(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
走行車体(2)に左右の走行輪(10,11)に駆動力を伝動する左右の走行伝動ケース(13,18)を各々装着し、該走行車体(2)に苗植付部(4)を設けると共に、圃場に肥料を供給する施肥装置(5)や圃場を整地する整地装置(27)を含む補助作業装置(68)を着脱自在に設けた苗移植機において、
前記左右の走行伝動ケース(13,18)に、前記補助作業装置(68)に駆動力を伝動する補助伝動ケース(67)を各々着脱可能で且つ取付姿勢を変更可能に装着し、
該左右の補助伝動ケース(67)のうちのいずれか一方の補助伝動ケース(67)で施肥装置(5)を駆動し、他方の補助伝動ケース(67)で整地装置(27)を駆動する構成とし、
前記左右の補助伝動ケース(67)の取付姿勢は、前記施肥装置(5)への伝動と前記整地装置(27)への伝動で各々異なる姿勢とし、
前記左右の走行輪(10,11)を前記左右の走行伝動ケース(13,18)へ取り付ける向きを変えると、前記左右の走行輪(10,11)同士の左右間隔が変更される構成としたことを特徴とする苗移植機。
走行車体(2)に左右の走行輪(10,11)に駆動力を伝動する左右の走行伝動ケース(13,18)を各々装着し、該走行車体(2)に苗植付部(4)を設けると共に、圃場に肥料を供給する施肥装置(5)や圃場を整地する整地装置(27)を含む補助作業装置(68)を着脱自在に設けた苗移植機において、
前記左右の走行伝動ケース(13,18)に、前記補助作業装置(68)に駆動力を伝動する補助伝動ケース(67)を各々着脱可能で且つ取付姿勢を変更可能に装着し、
該左右の補助伝動ケース(67)のうちのいずれか一方の補助伝動ケース(67)で施肥装置(5)を駆動し、他方の補助伝動ケース(67)で整地装置(27)を駆動する構成とし、
前記左右の補助伝動ケース(67)の取付姿勢は、前記施肥装置(5)への伝動と前記整地装置(27)への伝動で各々異なる姿勢とし、
前記左右の走行伝動ケース(13,18)は、前記走行車体(2)に装着する上部ケース(83)と、該上部ケース(83)に摺動自在に装着する下部ケース(84)と、前記上部ケース(83)と前記下部ケース(84)の間の空間部にスプリング(85)を有するサスペンション機構(87)で各々構成し、
前記上部ケース(83)または下部ケース(84)にスプリング(85)を配置する空間と繋がる圧抜部を形成するか、または上部ケース(83)と走行伝動部材(69)の間の軸受(90)のボールの一部を抜き取ることで圧抜部を形成することを特徴とする苗移植機。
【背景技術】
【0002】
先行する特許文献1(特開2011−31号公報)には、左右一側の後輪伝動ケースに、整地ロータへの伝動機構が設けられた苗移植機が開示されている。
【0003】
これにより、ドライブシャフトから後輪伝動ケースに伝動される駆動力を整地ロータの駆動に用いることができるので、整地ロータ用の伝動経路を形成する必要が無く、部品点数の減少による構成の簡潔化や軽量化が図られる。
【0004】
また、整地ロータの駆動が走行速度に合わせて変更されるので、整地ロータの回転が不足して圃場の凹凸が均されず、あるいは過度の回転により圃場面が乱されて、植付深さが乱れることが防止される。
【0005】
先行特許文献2(特開2014−212718号公報)には、左右一方の側の後輪伝動ケースに施肥装置への伝動機構が設けられた苗移植機が開示されている。
【0006】
これにより、ドライブシャフトから後輪伝動ケースに伝動される駆動力を施肥装置の駆動に用いることができるので、施肥装置用の伝動経路を形成する必要が無く、部品点数の減少による構成の簡潔化や軽量化が図られる。また、施肥装置の駆動が走行速度に合わせて変更されるので、肥料の供給量が不足する、あるいは肥料が過剰に供給されることにより、苗の生育不良が生じることが防止される。
【0007】
しかしながら、駆動力を整地ロータに伝動する整地伝動軸は、後輪伝動ケースから機体後方に向かって下方傾斜姿勢で配置されるものであるが、施肥装置に伝動する施肥伝動機構は後輪伝動ケースの前側から上方に向かって配置されるために、左右の後輪伝動ケースの構造を異ならしめる必要がある。これにより、左右の後輪に伝動する後輪伝動ケースは左右で共通しない構造となるので、部品数が増加し、構成の複雑化や重量の増加を招く問題がある。
【0008】
そして、前記特許文献1及び2記載の苗移植機が搭載する苗植付部は、苗同士の左右方向の植付間隔、いわゆる条間が一定となるよう構成されているが、苗の植付を行う場所によっては条間設定が異なることがあり、異なる条間に合わせた設計が行われている。
【0009】
このとき、前輪及び後輪の左右間隔、いわゆるトレッドは植え付けた苗の間を通過する位置に設定する必要があるが、前輪及び後輪のトレッドは搭載する苗植付部の条間に合わせて伝動ケースから設計されているので、前輪や後輪の互換性がなく、苗移植機の生産性が低くなる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献1、2記載の苗移植機の構成では、前輪及び後輪のトレッドは搭載する苗植付部の条間に合わせて伝動ケースから設計されているので、前輪や後輪の互換性がなく苗移植機の生産性が低くなる問題を解決する必要がある。
【0012】
そこで、本発明の課題は、前輪と後輪の互換性を持たせた生産性の高い苗移植機の提供をすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記課題は次の解決手段により解決される。
【0014】
請求項1記載の発明は、走行車体(2)に左右の走行輪(10,11)に駆動力を伝動する左右の走行伝動ケース(13,18)を各々装着し、該走行車体(2)に苗植付部(4)を設けると共に、圃場に肥料を供給する施肥装置(5)や圃場を整地する整地装置(27)を含む補助作業装置(68)を着脱自在に設けた苗移植機において、前記左右の走行伝動ケース(13,18)に、前記補助作業装置(68)に駆動力を伝動する補助伝動ケース(67)を各々着脱可能で且つ取付姿勢を変更可能に装着し、
該左右の補助伝動ケース(67)のうちのいずれか一方の補助伝動ケース(67)で施肥装置(5)を駆動し、他方の補助伝動ケース(67)で整地装置(27)を駆動する構成とし、前記左右の補助伝動ケース(67)の取付姿勢は、前記施肥装置(5)へ
の伝動と前記整地装置(27)へ
の伝動で各々異なる姿勢とし、前記左右の走行輪(10,11)を前記左右の走行伝動ケース(13,18)へ取り付ける向きを変えると、前記左右の走行輪(10,11)同士の左右間隔が変更される構成としたことを特徴とする苗移植機である。
【0015】
請求項2記載の発明は、前記左右の走行輪(10,11)は、左右の前輪(10)と左右の後輪(11)とで構成し、該左右の前輪(10)の車軸に前輪支持部材(92)を各々設け、該左右の車輪(10)は、該左右の前輪支持部材(92)に左右どちら側の面でも装着可能な取付フランジ(88)を各々備え、
該左右の取付フランジ(88)の取付面は、左右どちら側の面も前記左右の車輪(10)の左右中央部から各々同じ側に偏倚し、前記左右の車輪(10)を取り付ける面を変更すると左右の車輪(10)の左右間隔が変更される構成としたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機である。
【0016】
請求項3記載の発明は、前記左右の走行輪(10,11)は、左右の前輪(10)と左右の後輪(11)とで構成し、該左右の後輪(11)は、取付支持部材(80)を介して左右の後輪車軸(75)に各々設け、該左右の取付ボス(80)に左右一側に突出する突出部(80a)を各々設け、該左右の突出部(80a)を前記走行車体(2)の機体内側に向けて突出させて前記左右の後輪(11)を装着したときと、前記走行車体(2)の機体外側に向けて突出させて前記左右の後輪(11)を装着したときで、前記左右の後輪(11)の左右間隔が変更される構成としたことを特徴とする請求項1に記載の苗移植機である。
【0017】
請求項4記載の発明は、走行車体(2)に左右の走行輪(10,11)に駆動力を伝動する左右の走行伝動ケース(13,18)を各々装着し、該走行車体(2)に苗植付部(4)を設けると共に、圃場に肥料を供給する施肥装置(5)や圃場を整地する整地装置(27)を含む補助作業装置(68)を着脱自在に設けた苗移植機において、前記左右の走行伝動ケース(13,18)に、前記補助作業装置(68)に駆動力を伝動する補助伝動ケース(67)を各々着脱可能で且つ取付姿勢を変更可能に装着し、
該左右の補助伝動ケース(67)のうちのいずれか一方の補助伝動ケース(67)で施肥装置(5)を駆動し、他方の補助伝動ケース(67)で整地装置(27)を駆動する構成とし、前記左右の補助伝動ケース(67)の取付姿勢は、前記施肥装置(5)へ
の伝動と前記整地装置(27)へ
の伝動で各々異なる姿勢とし、前記左右の走行伝動ケース(13,18)は、前記走行車体(2)に装着する上部ケース(83)と、該上部ケース(83)に摺動自在に装着する下部ケース(84)と、前記上部ケース(83)と前記下部ケース(84)の間の空間部にスプリング(85)を有するサスペンション機構(87)で各々構成し、前記上部ケース(83)または下部ケース(84)にスプリング(85)を配置する空間と繋がる圧抜部を形成するか、または上部ケース(83)と走行伝動部材(69)の間の軸受(90)のボールの一部を抜き取ることで圧抜部を形成することを特徴とする苗移植機である。
【0018】
これに加えて、第1の関連発明は、左右の走行輪(10,11)及び左右の走行伝動ケース(13,18)は走行車体(2)の前部と後部にそれぞれ設けられ、前記左右の走行伝動ケース(13,18)のうち、前記走行車体(2)の後部に設けた左右の後輪伝動ケース(18)に、前記補助作業装置(68)に駆動力を伝動する補助伝動ケース(67)を各々着脱可能で且つ回動可能に装着し、該左右の補助伝動ケース(67)には、補助作業装置(68)の伝動機構を回転させる前後方向の補助作業出力軸(79)を設け、前記走行車体(2)にミッションケース(12)を設け、該ミッションケース(12)に前記左右の後輪伝動ケース(18)及び左右の補助伝動ケース(67)に伝動する左右の走行伝動部材(69)を設け、前記左右の後輪伝動ケース(18)は、前記左右の走行伝動部材(69)から各々伝動される左右の出力部材(72)と、該左右の出力部材(72)から各々伝動される左右の入力部材(73)と、該左右の入力部材(73)により前記左右の走行輪(11)を各々回転させる左右の走行輪車軸(75)を備え、前記左右の補助伝動ケース(67)には、前記左右の走行伝動部材(69)から各々伝動される左右の出力回転体(76)と、該左右の出力回転体(76)から各々伝動される左右の入力回転体(77)と、該左右の入力回転体(77)により各々回転する前記左右の補助作業出力軸(79)を備えることを特徴とする苗移植機である。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、補助伝動ケース(67)を左右の走行伝動ケース(13,18)に各々着脱可能に設けたことにより、補助作業装置(68)を増設する、あるいは撤去する際に補助伝動ケース(67)の着脱で対応することができるので、作業条件の適応性が従来技術より向上する。
【0020】
また、左右の走行伝動ケース(13,18)が補助作業装置(68)への伝動に影響しないことにより、左右の走行伝動ケース(13,18)の構成を同一にすることができるので、走行伝動ケース(13,18)の生産性が向上する。
【0021】
また、左右の走行輪(10,11)同士の左右間隔が変更されることにより、植付条間の異なる苗植付部(4)を装着したとき、左右の走行輪(10,11)を苗植付部(4)が植え付けた苗を踏まない位置に容易に移動させることができ、作業能率が向上する。
【0022】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、前輪支持部材(92)の取付フランジ(88)の取付面が、左右どちら側の面を左右の前輪(10)に取り付けても左右の前輪(10)の左右中央部から各々同じ側に偏倚することにより、左右の前輪(10)を取り付ける向きを変更すると左右の前輪(10)同士の左右間隔を変更することができるので、植付条間の異なる苗植付部(4)を装着するときに前輪(10)を苗の植付位置から離間させることができ、変更作業に要する時間と労力が軽減される。
【0023】
また、前輪伝動ケース(13)への伝動経路を変更する必要がないので、部品点数が増加することがなく、構成の簡潔化や軽量化が図られる。
【0024】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果に加えて、左右の後輪(11)を付ける向きを変えると左右の後輪(11)の左右間隔を変更することができるので、植付条間の異なる苗植付部(4)を装着するときに後輪(11)を苗の植付位置から離間させることができ、変更作業に要する時間と労力が軽減される。
【0025】
また、左右の後輪伝動ケース(18)への伝動経路を変更する必要がないので、部品点数が増加することがなく、構成の簡潔化や軽量化が図られる。
【0026】
請求項4記載の発明によれば、上部ケース(83)または下部ケース(84)に圧抜部を形成したことにより、サスペンション機構(87)が作用した際の前輪伝動ケース(13)内の圧力変化を小さくすることができるので、前輪伝動ケース(13)内の破損が防止される。
【0027】
また、前輪伝動ケース(13)内の圧力変化が抑えられることにより、スプリング(85)の荷重による緩衝効果が向上するので、走行性や植付精度が向上する。
【0028】
これに加えて、関連発明1によれば、左右の走行伝動部材(69)に左右の走行伝動ケース(13,18)と左右の補助伝動ケース(67)を各々装着したことにより、一つの走行伝動部材(69)で走行伝動ケース(13,18)と補助伝動ケース(67)に駆動力を供給することができるので、伝動経路が簡略化され、部品点数の削減が図られる。
【0029】
また、補助伝動ケース(67)を外しても走行伝動ケース(13,18)への伝動経路が変わらないので、補助作業装置(68)の着脱に合わせた構成に容易に変更できる。
【0030】
そして、同じ走行伝動部材(69)に出力部材(72)と出力回転体(76)を設けたことにより、走行車体(2)の走行速度の変化に合わせて補助作業装置(68)の作動量を変更することができるので、走行速度に適さない作業が行われることが防止され、苗の生育が良好になる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、
図1及び
図2を参照しながら、本実施の形態の作業車両の構成及び動作について具体的に説明する。
【0033】
なお、本明細書では苗移植機の前進方向を前側、後退方向を後側といい、前進方向に向いて左右方向をそれぞれ左側、右側ということにする。
【0034】
図1及び
図2は本発明の一実施例である乗用型田植機の側面図と平面図である。この乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0035】
走行車体2は、左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪伝動ケース(前輪アクスルケース)13,13が設けられ、該左右前輪アクスルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪伝動ケース(後輪ギアケース)18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギアケース18,18から外向きに突出する後輪車軸11aに後輪11,11が取り付けられている。
【0036】
本実施例では四輪駆動車両を例示しているが、後輪11にエンジン駆動力が伝達される構成又は前輪10にエンジン駆動力が伝達される構成を採用しても良い。
【0037】
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪アクスルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが走行伝動ケース(後輪伝動ケース)18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、ミッションケース12内に設ける植付クラッチケース(図示省略)に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、図示しない施肥伝動機構(図示省略)によって施肥装置5へ伝動される。
【0038】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35は一部格子状になっており(
図2参照)、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35上の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。
【0039】
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0040】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム(図示せず)の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0041】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a、…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a、…に供給すると苗送りベルト51b、…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a、…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52、…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ97等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52、…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が図示しない仰角センサにより検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する図示しない油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0042】
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61、…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62、…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド(図示せず)、…まで導き、施肥ガイド、…の前側に設けた作溝体69、…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。ブロア用電動モータ53で駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62、…に吹き込まれ、施肥ホース62、…内の肥料を風圧で強制的に搬送するようになっている。
【0043】
苗植付部4には整地装置の一例であるロータ27(27a,27b)が取り付けられている。また、苗載台51は苗植付部4の全体を支持する左右方向と上下方向に幅一杯の矩形の支持枠体65の支持ローラ65aをレールとして左右方向にスライドする構成である。
【0044】
次に、
図3及び4に基づき、本発明の苗移植機(田植機)の構成及び動作について、具体的に説明する。
図3は苗移植機の機体左側の走行伝動ケースと補助伝動ケースの要部平面図であり、
図4は機体右側の走行伝動ケースと補助伝動ケースの要部平面図である。
【0045】
図3は補助伝動ケース67に整地ロータ27の駆動系を取り付けた状態を示し、
図4は補助伝動ケース67に施肥装置伝動系を取り付けた状態を示す。
【0046】
また、
図5には後輪伝動ケース18の回動軸18aを中心に回動自在に取り付けた整地ロータ27a、27b(
図1参照)を駆動させる補助伝動ケース67の平面図を示す。
【0047】
左右の後輪11に駆動力を伝動する左右の後輪伝動ケース18に、補助作業装置68(施肥装置5、整地ロータ27a、27bなどとそれらの駆動系からなる装置を総称して言う。)に駆動力を伝動する補助伝動ケース67を各々着脱自在で且つ回動自在に装着している。これは補助作業装置68を増設する、あるいは撤去する際に補助伝動ケース67の着脱で対応することができるようにするためである。
【0048】
また、補助伝動ケース67が後輪伝動ケース18に回動中心18aを中心にして回動可能に装着されていることにより、補助作業装置68の伝動機構の取付方向に合わせて補助伝動ケース67の装着姿勢を変更することができるので、補助作業装置68の着脱が容易な場所に移動して補助作業装置68の着脱が容易に行えると共に、補助伝動ケース67を左右で共通化することができる。
【0049】
さらに、後輪伝動ケース18が補助作業装置68への伝動に影響しないことにより、左右の後輪伝動ケース18の構成を同一にすることができるので、後輪伝動ケース18の生産性が従来技術より向上する。
【0050】
走行車体2にミッションケース12が装着されているが、ミッションケース12から左右の走行伝動ケース(後輪伝動ケース)18に駆動力を伝動する走行伝動部材(ドライブシャフト)69を設け、走行伝動部材69に補助伝動ケース67と走行伝動ケース(後輪伝動ケース)18を装着し、同一の走行伝動部材69から走行伝動ケース18と補助伝動ケース67に駆動力が供給される構成とし、左右の補助伝動ケース67と走行車体(機体フレーム)2を接続部材(ジョイントプレート)71(
図3、
図4)を介して連結している。
【0051】
左右の走行伝動部材69に走行伝動ケース18と補助伝動ケース67を各々装着したことにより、一つの走行伝動部材69で走行伝動ケース(後輪伝動ケース)18と補助伝動ケース67に駆動力を供給することができるので、伝動経路が簡略化され、部品点数の削減を図ることができる。
【0052】
また、補助伝動ケース67を外しても後輪伝動ケース18への伝動経路が変わらないので、補助作業装置68の着脱に合わせた構成に容易に変更できる。
【0053】
後輪伝動ケース18内には、走行伝動部材69に装着する出力部材(出力ベベルギア)72と噛み合う入力部材(入力ベベルギア)73〔
図4参照)、入力ベベルギア73の回転により走行輪11を回転させる車軸75を配置し、補助伝動ケース67内には、走行伝動部材(ドライブシャフト)69に装着する出力回転体(出力スプロケット)76と、補助作業装置68の伝動機構に駆動力を伝動する入力回転体(入力スプロケット)77と、補助作業装置68の伝動機構を回転させる補助作業出力軸79(
図4)を設けた。
【0054】
同じドライブシャフト69に出力部材72と出力回転体76を設けたことにより、走行車体2の走行速度の変化に合わせて補助作業装置68の作動量を変更することができるので、走行速度に適さない作業が行われることが防止され、苗の生育が良好になる。
【0055】
次に、苗の植付条の左右間隔を変更したい場合に適用可能な左右の後輪11の間隔変更用の構成を
図6(A)と
図6(B)に示す。
【0056】
走行輪(後輪)11を車軸75の両端部に取り付ける取付支持部材(取付ボス)80を設け、該取付支持部材80の一側端部に後輪11から側方に突出する突出部80aを設ける。このとき
図6(A)に示す取付支持部材80の突出部80aを後輪11より走行車体2の内側に向けて車軸75に装着した場合の後輪11を取り外し、車輪11を反転させて
図6(B)に示すように取付支持部材80の突出部80aを後輪11より走行車体2の外側に向けて車軸75に装着される構成にすることで一対の後輪11同士の左右間隔を変化させることができる。
【0057】
すなわち、
図7(A)に示すように取付支持部材80の突出部80aを後輪11より走行車体2の内側に向けて車軸75に装着したときの後輪11を取付支持部材80から取り外し、反転させた状態にして
図7(B)に示すように取付支持部材80の突出部80aを後輪11より走行車体2の外側に向けて車軸75に装着すると、点線Lで示すように苗の植付間隔Dが
図7(A)で、例えば30cmであったものが
図7(B)では、例えば25cmとなる。
【0058】
なお、
図7(A)と
図7(B)には、
図6(A)と
図6(B)に対応させて後輪11を車軸75に装着する際に走行補助輪81も同時に車軸75に装着した場合を示す。
【0059】
なお、走行補助輪81は、例えば脱出し難い圃場での苗移植機の推進力を増すために装着するために設ける。ここで
図7(A)に示すように後輪11の内側(機体中央側)の車軸75に走行補助輪81を装着する場合には、取付支持部材80にある軸心に沿って配置される3つの装着孔80bの中で後輪伝動ケース18に最も近い装着孔80bを利用して走行補助輪81を設ける。また
図7(B)に示すように後輪11の外側(機体外側)の車軸75に補助輪81を装着する場合には、前記3つの装着孔80bの中で後輪11から最も遠い側の装着孔80bを利用して走行補助輪81を設ける。
【0060】
上記した構成により、後輪11を車軸75に装着する取付位置を変えることで後輪11同士の左右間隔が変更でき、さらに苗植付部4の植付条間(苗同士の左右間隔)を変更する際、後輪11を反転させるだけで後輪11を苗が踏まない位置に移動させることができ、変更作業に要する時間と労力が軽減される。
【0061】
また、走行伝動ケース(後輪伝動ケース)18への伝動経路に変更がないので、部品点数が増加することがなく、構成の簡潔化や軽量化が図られる。
【0062】
図8に要部正面一部断面図で示す右側の前輪10を備える前輪支持部材(前輪伝動ケース)13(左側も同様の構造)には、走行車体2に装着する上部ケース83と、上部ケース83に摺動自在で且つ回動自在に装着する下部ケース84と該上部ケース83と下部ケース84の間の空間部にスプリング85を有するサスペンション機構87を設け、上部ケース83または下部ケース84のフランジ部88の内部にスプリング85を配置する空間と繋がる圧抜部88aを形成している。また、後輪11への駆動力伝達は、入力軸89の先端の歯車89aが、入力軸89とほぼ直交する方向に長いドライブシャフト69の中間部に設けられた歯車69aと噛合することで行われる。
【0063】
このように上部ケース83または下部ケース84に圧抜部88aを形成したことにより、サスペンション機構87が作用した際の前輪支持部材(前輪伝動ケース)13内の圧力変化を小さくすることで前輪支持部材(前輪伝動ケース)13内の破損が防止される。また、前輪支持部材(前輪伝動ケース)13内の圧力変化が抑えられることにより、スプリング85の荷重による緩衝効果が従来技術より向上するので、苗移植機の走行性や植付精度も同じく向上する。
【0064】
また前記圧抜部88aの代わりに上部ケース83とドライブシャフト69との間に設けた軸受90のボールの一部を抜き取ることにより前輪支持部材(前輪伝動ケース)13内の圧力変化を小さくすることもできる。
【0065】
図9に前輪10を備える右側の前輪支持構造(左側も同様の構造)の要部正面一部断面図には、前輪支持部材(前輪伝動ケース)13のスプリングケースは上部ケース83と下部ケース84を示すが、後輪11への駆動力伝達は、入力軸89の先端の歯車89aが、入力軸89とほぼ直交する方向に長いドライブシャフト69の中間部に設けられた歯車69aと噛合していることで行われる。
【0066】
また、
図8に示す場合と同様に、走行車体2に装着する上部ケース83と、上部ケース83に摺動自在で且つ回動自在に装着する下部ケース84と該上部ケース83と下部ケース84の間の空間部にスプリング85を有するサスペンション機構87を備えている。そしてドライブシャフト69とスプリング85を支持する上部ケース83の内部にある軸受90の一部にはベアリング玉が無い状態にすることで、この部分が空洞となり、サスペンション機構87が作用した際の前輪ファイナルケース13内の圧抜き部となり、圧力変化を小さくすることで前輪ファイナルケース13内の破損が防止され、スプリング荷重による緩衝効果が安定し、またスプリング85の伸張時にシール部分から泥水がサスペンション機構87に吸入されることが防げる。
【0067】
図10の前輪支持部の側面図に示すように、下部ケース84に前輪10を装着する前輪伝動ケース13には前輪支持部材92と、前輪10の中心部を(断面視)凹形状の取付フランジ88を設け、取付フランジ88の凹部88aで前輪支持部材92を覆って装着したときと取付フランジ88の前記凹部88aの底に形成される平坦部88bを前輪支持部材92に接触させて取り付けたときの違いで、前輪10同士の左右間隔が変更される構成とした。
【0068】
図10(A)に示すように取付フランジ88の平坦部を前輪支持部材92に接触させて取り付けたときのトレッド1124mmと
図10(B)に示すように取付フランジ88の凹部で前輪支持部材92を覆って装着したときのトレッド1039mmは異なる。
【0069】
このように前輪10を前輪支持部材92に装着する向きで前輪10同士の左右間隔が変更されることにより、苗植付部4の植付条間(苗同士の左右間隔)を変更する際、前輪10を反転させるだけで前輪10を苗の植付位置から遠ざけることができるので、変更作業に要する時間と労力が軽減される。
【0070】
また、前輪ファイナルケース13から前輪支持部材92への動力伝動経路に変更がないので、部品点数が増加することがなく、構成の簡潔化や軽量化が図られる。
【0071】
図11の苗移植機の正面図に示すように、予備苗枠38はステップ35の両端に設けられた支柱93に支持されるが、支柱93のステップ上の立ち上がり部分は、従来はステップ平面に対して鉛直方向に四角柱からなる支柱93を溶接接続で立ち上げていた。このため、四角柱からなる支柱93の断面端部が外観上強調されて見え、また溶接接続部分が見えるために視認性がよくなかった。
【0072】
そこで
図11に示すように、支柱93のステップ35上の立ち上がり部を車体中央側に湾曲させ、支柱93のステップ35よりも上方に向かう立ち上がり部を、角パイプの組み合わせから一本のパイプを屈曲させる構成にした。
【0073】
このような構成にすることで、デザイン的に優れ、ステップ35の端部と支柱93のクリアランスが減ることで、
図12に示す従来技術の支柱93’に比べて
図2に示す本実施例の支柱93の場合はステップ35の端部と支柱93の間のステップ35上に足をうっかり置くことがなくなり、不用意に足が取られることが無くなる。本実施例の支柱93は線引きマーカ97(
図1)位置とは離れているので、線引きマーカ97の障害物とはならない。
【0074】
また、一番下の予備苗載台38より下方の支柱93にバッテリ95を載置する部材を取り付けることもできる。
【0075】
従来は、バッテリ95はフロアステップ35上に載置していたが、ステップ35上は濡れやすく、バッテリ95が電気的な不具合を生じることがあった。しかし
図11に示すように支柱93にバッテリ95を載置することによりバッテリ95の交換などの際のメンテナンスが容易になった。支柱93に載置したバッテリ95の上側には雨除け用のカバー95aを取り付けるとバッテリ95が電気的な不具合を生じることが無くなる。
【0076】
このときバッテリ95を載置した領域とは反対側の支柱93があるステップ35上などに重量バランスが採れる部材を載置することが望ましい。