(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態に係る空気調和装置の室内ユニットについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0029】
《発明の実施形態1》
図1に示すように、室内ユニット(10)は、室内空間(S)の天井面が一段下がった下がり天井(1)内に設置されている。室内ユニット(10)は、ケーシング(20)と、クロスフロー型の送風機(30)と、熱交換器(40)と、ドレンパン(50)と、電装品箱(60)とを備えている。クロスフロー型の送風機(30)と熱交換器(40)とドレンパン(50)と電装品箱(60)とは、ケーシング(20)内に設置されている。
【0030】
ケーシング(20)は、略直方体形状の箱体によって形成されている。具体的には、
図1において、ケーシング(20)は、平面視において、縦方向(紙面表裏方向)が横方向(左右方向)よりも長く、横方向の長さよりも高さが低い縦長薄型の箱体に構成されている。ケーシング(20)には、横方向の一方の側面(
図1では右側の側面)に流入口(21)が形成され、他方の側面(
図1では左側の側面)に流出口(22)が形成されている。流入口(21)には、一端が室内空間(S)において開口する吸込ダクト(2)の他端が接続されている。流出口(22)は、ダクト状に形成され、下がり天井(1)の側面(1a)を貫通して室内空間(S)において開口している。
【0031】
クロスフロー型の送風機(30)は、ファンロータ(羽根車)(31)とハウジング(32)とモータ(図示省略)とを有している。クロスフロー型の送風機(30)は、縦方向に長く形成されている。なお、クロスフロー型の送風機(30)の詳細については、後述する。
【0032】
熱交換器(40)は、ケーシング(20)内において、クロスフロー型の送風機(30)の吸込側に設けられている。熱交換器(40)は、3つの熱交換部、第1〜第3熱交換部(41〜43)を有している。第1〜第3熱交換部(41〜43)は、クロスフロー型の送風機(30)と同様に、縦方向に長く形成されている。また、第1〜第3熱交換部(41〜43)は、クロスフロー型の送風機(30)の吸込側を取り囲むようにそれぞれ異なる角度で配置されている。
【0033】
ドレンパン(50)は、ケーシング(20)内において、熱交換器(40)の表面で発生した結露水を受け止めるように、熱交換器(40)の下方に設けられている。ドレンパン(50)は、平面視において、縦方向の長さも横方向の長さも熱交換器(40)の各長さよりも長くなるように形成され、受け止めた結露水が漏れないように、外周部が上方に上がり、外周壁を構成している。ドレンパン(50)は、ケーシング(20)の底板上に設置されている。ドレンパン(50)で受け止められた結露水は、図示しないドレンホースを介して屋外へ排出される。
【0034】
電装品箱(60)は、ケーシング(20)内の流入口(21)と流出口(22)とが対向する横方向において流入口(21)側の端部の底板上に設けられている。つまり、電装品箱(60)は、ケーシング(20)内に形成される上記空気流れにおいて、結露水を発生する熱交換器(40)及び結露水を受け止めるドレンパン(50)よりも上流側に配置されている。電装品箱(60)は、ドレンパン(50)の外周壁と間隔を空けて配置され、高さがドレンパン(50)の高さよりも低くなるように形成されている。
【0035】
〈クロスフロー型の送風機〉
上述のように、クロスフロー型の送風機(30)は、ファンロータ(羽根車)(31)とハウジング(32)とモータ(図示省略)とを有している。
【0036】
[ファンロータ]
図2及び
図3に示すように、ファンロータ(31)は、10枚の円板形状の仕切板(33)と、多数の羽根(34)と、2つの軸部(35)とを有している。10枚の仕切板(33)は、中心が同一直線上に並ぶように間隔を空けて設けられている。なお、中心を結ぶこの直線は、ファンロータ(31)の中心軸(回転軸)(X)となる。2つの軸部(35)は、10枚の仕切板(33)のうち端に設けられた両端の仕切板(33)の中心部から外側へ突出するように形成されている。2つの軸部(35)の一方の軸部(35)は、ハウジング(32)の後述する側壁部(38)に回転自在に支持され、他方の軸部(35)には、図示しないモータが連結されている。
【0037】
多数の羽根(34)は、10枚の仕切板(33)の各間に、対向する一対の仕切板(33)の外周部に架け渡されている。多数の羽根(34)は、周方向に間隔を空けて配置されている。また、各羽根(34)は、ファンロータ(31)の周方向において回転方向(
図2の矢印で示す方向)の逆側へ膨出するように湾曲すると共に、ファンロータ(31)の径方向において内側の部分ほど、周方向において回転方向と逆側に位置するように径方向に対して傾斜した姿勢で配列されている。
【0038】
このような構成により、本実施形態1では、ファンロータ(31)は、互いに対向する一対の仕切板(33)とその互いの外周部を連結するように設けられた複数の羽根(34)とによって形成される連が、軸方向に9つ繋がるように形成されている。
【0039】
[ハウジング]
図2及び
図4に示すように、ハウジング(32)は、空気の吸込口(32a)と吹出口(32b)とが形成され、内部にファンロータ(31)が収容されるように筺状に形成されている。ハウジング(32)は、ファンロータ(31)の下側に設けられる第1ガイド(36)と、ファンロータ(31)の上側に設けられる第2ガイド(37)と、ファンロータ(31)の軸方向の両端部に設けられる2つの側壁部(38)とを有している。
【0040】
第1ガイド(36)は、ファンロータ(31)の中心軸(X)よりも下方且つ吹出口(32b)側において、ファンロータ(31)の軸方向に長く形成されている。第1ガイド(36)は、舌部(36a)と、第1延長壁部(第1の壁部)(36b)と、シール部(36c)とを有している。
【0041】
舌部(36a)は、ファンロータ(31)の中心軸(X)よりも下方且つ吹出口(32b)側の部分に近接して対向し、ファンロータ(31)の軸方向に長く延びている。舌部(36a)の下端は、吸込口(32a)を形成している。
【0042】
第1延長壁部(36b)は、舌部(36a)の上端に連続し、該舌部(36a)の上端から略L字状に折れ曲がるように形成されている。第1延長壁部(36b)は、舌部(36a)の上端から斜め下方に延び、吹出口(32b)まで延びている。つまり、第1延長壁部(36b)の下端は、吹出口(32b)を形成している。
【0043】
シール部(36c)は、第1延長壁部(36b)の下面から舌部(36a)に略平行に延びている。シール部(36c)は、下端が第1熱交換部(41)に当接して、流入口(21)からケーシング(20)内に流入した空気が、熱交換器(40)を迂回して送風機(30)に吸い込まれないように吸込口(32a)と熱交換器(40)との隙間をシールしている。
【0044】
第2ガイド(37)は、ファンロータ(31)の中心軸(X)よりも上方において、ファンロータ(31)の軸方向に長く形成され、上側の外周面を広く覆っている。第2ガイド(37)は、スクロール壁部(37a)と、第2延長壁部(第2の壁部)(37b)と、シール部(37c)とを有している。
【0045】
スクロール壁部(37a)は、一端部を除く部分が渦巻き形状に形成された壁部であり、ファンロータ(31)の中心軸(X)よりも上方において、ファンロータ(31)の軸方向に長く延び、ファンロータ(31)の外周面を覆っている。スクロール壁部(37a)は、吸込側(
図2では右側)の一端が吸込口(32a)を形成し、この吸込口(32a)を含む一端部は、上流側から下流側に向かうほどファンロータ(31)に近接するように形成されている。スクロール壁部(37a)は、ファンロータ(31)に最も近接する近接部から下流側(吹出口(32b)側)に向かうほどファンロータ(31)から離れるように形成されている。スクロール壁部(37a)は、舌部(36a)の上端部の真上の位置まで延びている。また、スクロール壁部(37a)の近接部と舌部(36a)の近接部とは、ファンロータ(31)の中心軸(X)を挟んで反対側に位置している。
【0046】
第2延長壁部(37b)は、舌部(36a)の上端部の真上の位置においてスクロール壁部(37a)に滑らかに連続するように形成されている。第2延長壁部(37b)は、第1延長壁部(36b)に対向するように延び、吹出口(32b)まで延びている。つまり、第2延長壁部(37b)の下端は、吹出口(32b)を形成している。
【0047】
シール部(37c)は、スクロール壁部(37a)の一端部の上面からケーシング(20)の天板に向かって斜め上方に延びている。シール部(37c)は、下面が第3熱交換部(43)に当接して、流入口(21)からケーシング(20)内に流入した空気が、熱交換器(40)を迂回して送風機(30)に吸い込まれないように吸込口(32a)と熱交換器(40)との隙間をシールしている。
【0048】
2つの側壁部(38)は、ファンロータ(31)の軸方向の両端部に設けられている。2つの側壁部(38)は、下端部が熱交換器(40)の上端面に沿うように形成され、上端部は、スクロール壁部(37a)の上端部に対応するように形成されている。また、2つの側壁部(38)には、ファンロータ(31)の軸部(35)の挿通孔が形成され、軸部(35)が挿通される。2つの側壁部(38)は、第1ガイド(36)と第2ガイド(37)との間に、吸込口(32a)から吹出口(32b)へ向かう空気流路を形成している。また、2つの側壁部(38)は、第1ガイド(36)の第1延長壁部(36b)と第2ガイド(37)の第2延長壁部(37b)との間に、ファンロータ(31)から吹き出される吹出空気を吹出口(32b)に導く吹出流路(F)を形成している。さらに、2つの側壁部(38)は、吹出流路(F)が後述する絞り部(70)を有するように、内側に傾斜した傾斜面(38a)を有している。
【0049】
なお、
図4に示すように、本実施形態1では、ハウジング(32)は、下側ハウジング(32A)と上側ハウジング(32B)の2つの部分によって構成されている。第1ガイド(36)は、下側ハウジング(32A)に形成され、第2ガイド(37)は、上側ハウジング(32B)に形成されている。また、2つの側壁部(38)は、それぞれ下側部分と上側部分とに二分され、下側部分は下側ハウジング(32A)に形成され、上側部分は上側ハウジング(32B)に形成されている。
【0050】
[吹出流路]
上述のように、ハウジング(32)内には、互いに対向するように設けられた第1ガイド(36)の第1延長壁部(36b)及び第2ガイド(37)の第2延長壁部(37b)と2つの側壁部(38)とによって吹出流路(F)が区画されている。また、吹出流路(F)は、上流側から下流側に向かって、断面形状が長方形状から台形状に変化して流路断面積が減少する絞り部(70)を有している。なお、ここで言う台形状には、上底と下底とを結ぶ側辺が直線でなく湾曲したものも含む。
【0051】
絞り部(70)は、吹出流路(F)の長さ(第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の長さ)の半分以上の流路長さになるように形成されている。本実施形態1では、絞り部(70)は、吹出流路(F)の上流側の一部分を除く大部分を占めるように形成されている。
【0052】
絞り部(70)は、上流側から下流側に向かって、2つの側壁部(38)の形状を変化させることによって断面形状が変化するように構成されている。具体的には、2つの側壁部(38)は、吹出流路(F)内に面する内壁面の一部が、第2延長壁部(37b)側ほど内側に位置する傾斜面(38a)に構成されている。また、傾斜面(38a)は、吹出流路(F)の上流側から下流側に向かって、2つの側壁部(38)の内壁面において傾斜面(38a)が占める割合が大きくなるように形成されている。具体的には、絞り部(70)の上流側では、2つの側壁部(38)の内壁面の上側の一部のみが傾斜面(38a)に形成されるところ、絞り部(70)の下流側では、2つの側壁部(38)の内壁面の上側から下側に亘って大部分が傾斜面(38a)に形成されている。このように、絞り部(70)では、上流側から下流側に向かって、2つの側壁部(38)の形状が変化することにより、上流側から下流側に向かって、断面形状が長方形状から台形状に変化することとなる。
【0053】
以下、絞り部(70)の断面形状の変化を
図2及び
図5〜
図8を用いて説明する。なお、
図5〜
図8は、吹出口(32b)と平行な断面で切断したときの吹出流路(F)の断面を示し、
図5は、絞り部(70)の始端(最上流)の第1の位置における断面を示し、
図6は、絞り部(70)の第1の位置よりも下流側の第2の位置における断面を示し、
図7は、絞り部(70)の第2の位置よりも下流側の第3の位置における断面を示し、
図8は、絞り部(70)の終端(最下流)の第4の位置における断面、即ち、吹出口(32b)における断面を示している。
【0054】
図2及び
図5に示すように、絞り部(70)において最上流の第1の位置では、2つの側壁部(38)の内壁面に傾斜面(38a)はなく、上下方向に真っ直ぐ延びるように形成されている。そのため、第1の位置では、吹出流路(F)の断面形状が、長方形状になる(
図5においてドットを付した領域を参照)。
【0055】
図2及び
図6に示すように、絞り部(70)において上記第1の位置よりも下流側の第2の位置では、2つの側壁部(38)の内壁面は、第2延長壁部(37b)側の一部が、第2延長壁部(37b)側ほど内側に位置する傾斜面(38a)に構成されている。そのため、第2の位置では、吹出流路(F)の断面形状が、長方形状に近い略六角形状になる(
図6においてドットを付した領域を参照)。
【0056】
図2及び
図7に示すように、絞り部(70)において上記第2の位置よりもさらに下流側の第3の位置では、2つの側壁部(38)の内壁面は、第1延長壁部(36b)側の一部を除く大部分が、第2延長壁部(37b)側ほど内側に位置する傾斜面(38a)に構成されている。そのため、第3の位置では、吹出流路(F)の断面形状が、台形状に近い略六角形状になる(
図7においてドットを付した領域を参照)。
【0057】
図2及び
図8に示すように、絞り部(70)において最下流の第4の位置では、2つの側壁部(38)の内壁面は、全体が第2延長壁部(37b)側ほど内側に位置する傾斜面(38a)に構成されている。そのため、第4の位置では、吹出流路(F)の断面形状が、台形状になる(
図8においてドットを付した領域を参照)。
【0058】
また、
図5〜
図8に示すように、本実施形態1では、傾斜面(38a)は、吹出流路(F)の外側に凹む湾曲面によって形成されている。そのため、吹出流路(F)において傾斜面(38a)とその他の部分とは、滑らかに連続している。
【0059】
さらに、
図5〜
図8に示すように、絞り部(70)の第1〜第4の各位置において、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)は平行に形成されている。一方、絞り部(70)において、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)は、上流側から下流側へ向かって(
図5に示す第1の位置から
図8に示す第4の位置へ向かって)、互いの距離が短くなるように形成されている。即ち、絞り部(70)では、上流側から下流側へ向かって第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)が互いに近づいていく。
【0060】
具体的には、
図5に示す第1の位置における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH1、
図6に示す第2の位置における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH2、
図7に示す第3の位置における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH3、
図8に示す第4の位置における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH4とすると、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)が、H1>H2>H3>H4となるように形成されている。
【0061】
なお、
図2に示すように、吹出流路(F)の始端(第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の上流端)における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH0とすると、H0はH1とほぼ等しく、H4よりも大きい。即ち、本実施形態1では、H4/H0<1となっている。
【0062】
このように絞り部(70)では、上流側から下流側に向かって断面形状が長方形状から台形状に変化すると共に、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離が徐々に短くなることにより、吹出流路(F)の流路断面積が徐々に減少することとなる。これにより、吹出流路(F)に流入した吹出空気が絞り部(70)を流れる際に、流れが徐々に縮流し、吹出流路(F)の下流側においても隅々まで吹出空気が流れることとなる。
【0063】
−運転動作−
空気調和装置の室内ユニット(10)では、送風機(30)の起動により、ケーシング(20)内に流入口(21)から流出口(22)に向かう空気流れが形成される。これにより、室内空間(S)の室内空気が吸込ダクト(2)を介してケーシング(20)内に流入する。流入口(21)からケーシング(20)内に流入した空気は、熱交換器(40)を通過する際に、冷媒と熱交換し、温度が調節(加熱又は冷却)される。温調後の空気は、送風機(30)に吸い込まれて、ハウジング(32)内に形成された空気流路を流れて吹出口(32b)から吹き出される。送風機(30)から吹き出された空気は、流出口(22)から室内空間(S)に供給される。この空気によって室内空間(S)の室内空気の温度が調節される。
【0064】
〈送風機での空気の流れ〉
送風機(30)において、ファンロータ(31)が回転すると、ハウジング(32)内にファンロータ(31)を貫く空気流れが形成される(
図2の白抜き矢印を参照)。この空気流れは、ファンロータ(31)の羽根(34)の湾曲形状により、略S字状の流れとなる。ファンロータ(31)から吹き出された吹出空気は、吹出流路(F)に流入する。このとき、吹出空気の流れは、ファンロータ(31)が吹出側において舌部(36a)方向へ回転することにより、舌部(36a)側に偏る。
【0065】
本実施形態1では、吹出流路(F)に、断面形状が長方形状から第2延長壁部(37b)側の幅が第1延長壁部(36b)側の幅よりも短い台形状に変化する絞り部(70)が設けられている。絞り部(70)では、2つの側壁部(38)に形成された傾斜面(38a)によって、上流側から下流側に向かって吹出空気が流れ難い第2延長壁部(37b)側の幅が徐々に狭くなる。そのため、吹出流路(F)に流入した吹出空気は、絞り部(70)を流れる際に、第2延長壁部(37b)側の流れが徐々に縮流することとなる。
【0066】
ところで、本実施形態1のように、吹出流路(F)の下流側において第2延長壁部(37b)側の流路幅が狭くなっていなければ、吹出流路(F)の両端部では、2つの側壁部(38)との摩擦によって、吹出空気の流速が著しく低下していく。そのため、送風機(30)が設けられる室内ユニット(10)のフィルタ(図示省略)の目詰まり等によって空気流れの圧力損失が大きくなると、吹出流路(F)の吹出口(32b)付近の両端部では吹出空気がほとんど流れなくなり、該両端部から吹出流路の上流側へ空気が逆流する虞がある。
【0067】
また、本実施形態1のように、室内ユニット(10)の大型化を抑制する観点から、流入口(21)の開口幅が大きくとれない場合、室内ユニット(10)内における空気流路が狭くなり、室内ユニット(10)の内部における圧力損失(機内圧損)が比較的高くなる。具体的には、
図2に示すように、本実施形態1では、流入口(21)の開口幅(流入口(21)をファンロータ(31)の径方向に沿って切断したときの幅)をA、ファンロータ(31)の直径をDとすると、A/D≦2.5程度に構成されている。このように開口幅Aを大きく確保できない場合、室内ユニット(10)の内部における圧力損失(機内圧損)が高くなるため、送風機(30)の回転数に対する風量が少なくなり、吹出空気の流れが流れ難い吹出流路(F)の吹出口(32b)付近の両端部において吹出空気がほとんど流れなくなる。そのため、吹出流路(F)の吹出口(32b)付近の両端部から吹出流路の上流側へ空気が逆流する虞がより高くなる。
【0068】
しかしながら、本実施形態1では、絞り部(70)によって、吹出空気の第2延長壁部(37b)側の流れが縮流するため、吹出流路(F)の吹出口(32b)付近の第2延長壁部(37b)側の吹出空気の流速低下が抑制される。
【0069】
また、本実施形態1では、吹出流路(F)の絞り部(70)は、上流側から下流側へ向かって第1の壁部(36b)と第2の壁部(37b)の距離が短くなることによって流路断面積がさらに狭くなるように構成されている。そのため、吹出流路(F)に流入した吹出空気が、絞り部(70)を流れる際にさらに流れが縮流され、吹出流路(F)の下流側且つ第2延長壁部(37b)側における吹出空気の流速低下がより抑制される。
【0070】
このようにして、本実施形態1では、吹出流路(F)の下流側においても隅々まで吹出空気が流れ、吹出口(32b)から吹き出されることとなる。つまり、吹出流路(F)の絞り部(70)によって、吹出流路(F)の下流側においても吹出空気が流れない箇所や流速が著しく遅い箇所がなくなり、高負荷運転時に吹出空気が第2延長壁部(37b)から剥離することがなくなり、吹出口(32b)の両端部から空気が逆流することもなくなる。
【0071】
−実施形態1の効果−
以上のように、本実施形態1によれば、クロスフロー型の送風機(30)の吹出流路(F)に、断面形状が長方形状から第2延長壁部(37b)側の幅が第1延長壁部(36b)側の幅よりも短い台形状に変化する絞り部(70)を設けることとした。絞り部(70)では、2つの側壁部(38)の形状が変化して、上流側から下流側に向かって吹出空気が流れ難い第2延長壁部(37b)側の幅が徐々に狭くなって流路断面積が狭くなる。そのため、吹出流路(F)に流入した吹出空気は、絞り部(70)を流れる際に縮流することとなる。特に、上記絞り部(70)では、吹出流路(F)に流入した吹出空気の第2延長壁部(37b)側の流れが徐々に縮流することとなる。このように吹出流路(F)に絞り部(70)を形成することにより、吹出流路(F)の両端部における吹出空気の流速の低下が抑制される。これにより、本実施形態1によれば、吹出流路(F)に絞り部(70)を形成することにより、吹出流路(F)において吹出空気が流れない箇所や流速が著しく遅い箇所がなくなり、吹出流路(F)の吹出口(32b)付近の両端部においても吹出空気の流れを形成することができる。従って、このようなクロスフロー型の送風機(30)によれば、高負荷運転時における吹出空気の第2延長壁部(37b)からの剥離を抑制して騒音を抑制することができると共に、吹出流路(F)の吹出口(32b)付近における逆流を抑制してサージングを抑制することができる。
【0072】
また、本実施形態1によれば、吹出流路(F)の絞り部(70)において、上流側から下流側へ向かって第1の壁部(36b)と第2の壁部(37b)の距離が短くなるように構成した。このような構成により、吹出流路(F)の下流側における吹出空気の流速の低下がより抑制されるため、騒音及び逆流によるサージングをより抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態1によれば、絞り部(70)が、吹出流路(F)の長さの半分以上の流路長さになるように長く形成されているため、上流側から下流側に向かって、吹出流路(F)の流路幅を徐々に絞ることができる。つまり、吹出流路(F)に、流路を絞る突出物を設けるのではなく、吹出流路(F)の断面形状を徐々に変形させて流路断面積を徐々に低下させることにより、吹出流路(F)の流路幅を滑らかに絞ることができる。このような絞り部(70)によれば、吹出空気の流れの抵抗とならないため、吹出空気の流れを阻害することなく吹出流路(F)における騒音及び逆流を抑制することができる。
【0074】
また、本実施形態1によれば、絞り部(70)を構成するために2つの側壁部(38)の内壁面の一部を第2延長壁部(37b)側ほど吹出流路(F)の内側に位置するように傾斜させてなる傾斜面(38a)を、吹出流路(F)の外側に凹む湾曲面によって形成することとした。このような構成により、吹出流路(F)において傾斜面(38a)とその他の部分とを滑らかに連続させることができる。従って、絞り部(70)を吹出流路(F)に設けても、吹出空気の流れの抵抗とならないため、吹出空気の流れを阻害することなく吹出流路における騒音及び逆流を抑制することができる。
【0075】
また、本実施形態1によれば、騒音及び逆流が抑制されたクロスフロー型の送風機(30)を空気調和装置の室内ユニット(10)に適用することにより、騒音の少ない室内ユニット(10)を提供することができる。
【0076】
《発明の実施形態2》
実施形態2は、実施形態1において天井設置型に構成されていた室内ユニット(10)が、壁に設置される壁掛け型に構成されている。
【0077】
具体的には、
図9に示すように、室内ユニット(10)は、ケーシング(20)と、クロスフロー型の送風機(30)と、熱交換器(40)と、ドレンパン(50)と、フィルタ(80)とを備えている。なお、室内ユニット(10)は、図示しない制御部も備えている。送風機(30)と熱交換器(40)とドレンパン(50)とフィルタ(80)と制御部とは、ケーシング(20)内に設置されている。
【0078】
ケーシング(20)は、前面を覆う前面パネル(20F)と、後面を覆う後面パネル(20R)と、上面を覆う上面パネル(20U)と、底面を覆う底面パネル(20B)と、両側面を覆う2つの側面パネル(20S)とによって箱状に形成されている。また、ケーシング(20)には、空気が流入する流入口(21)と、空気が流出する流出口(22)とが形成されている。流入口(21)は、上面パネル(20U)に形成され、流出口(22)は底面パネル(20B)に形成されている。なお、本実施形態2では、後述する送風機(30)のハウジング(32)は、ケーシング(20)と一体に形成されている。また、本実施形態2では、流出口(22)は、後述する送風機(30)の吹出口(32b)によって構成されている。流出口(22)となる吹出口(32b)には、室内への空気の吹出方向を調節するフラップ(23)が設けられている。
【0079】
送風機(30)は、概ね、実施形態1と同様に構成されている。送風機(30)は、ファンロータ(羽根車)(31)とハウジング(32)とモータ(図示省略)とを有している。送風機(30)は、縦方向に長く形成されている。なお、送風機(30)の詳細については、後述する。
【0080】
熱交換器(40)は、ケーシング(20)内において、送風機(30)の吸込側に設けられている。本実施形態2では、熱交換器(40)は、送風機(30)の前側及び上側に設けられている。熱交換器(40)は、4つの熱交換部、第1〜第4熱交換部(41〜44)を有している。第1〜第4熱交換部(41〜44)は、送風機(30)の吸込側(前側及び上側)を取り囲むようにそれぞれ異なる角度で配置されている。
【0081】
ドレンパン(50)は、ケーシング(20)内において、熱交換器(40)の表面で発生した結露水を受け止めるように、熱交換器(40)の下方に設けられている。本実施形態2では、ドレンパン(50)は、第1熱交換部(41)の下方に設けられた前側ドレンパン(51)と、第4熱交換部(44)の下方に設けられた後側ドレンパン(52)とで構成されている。実施形態2では、ドレンパン(50)は、ケーシング(20)の一部を構成している。ドレンパン(50)で受け止められた結露水は、図示しないドレンホースを介して屋外へ排出される。
【0082】
フィルタ(80)は、ケーシング(20)内において、流入口(21)から流出口(22)へ向かう空気流れの熱交換器(40)よりも上流側、即ち、流入口(21)と熱交換器(40)との間に設けられている。フィルタ(80)は、熱交換器(40)に沿う形状に形成され、熱交換器(40)の前側及び上側を覆うように取り囲んでいる。フィルタ(80)は、流入口(21)から空気と共にケーシング(20)内に取り込まれる塵埃を捕捉して下流側(熱交換器(40)及び送風機(30))に流れないようにする。
【0083】
〈クロスフロー型の送風機〉
クロスフロー型の送風機(30)は、実施形態1と同様に、ファンロータ(羽根車)(31)とハウジング(32)とモータ(図示省略)とを有している。
【0084】
[ファンロータ]
ファンロータ(31)は、実施形態1と同様に構成され、
図3及び
図9に示すように、複数の円板形状の仕切板(33)と、多数の羽根(34)と、2つの軸部(35)とを有している。複数の仕切板(33)は、中心が同一直線上に並ぶように間隔を空けて設けられている。なお、中心を結ぶこの直線は、ファンロータ(31)の中心軸(回転軸)(X)となる。2つの軸部(35)は、複数の仕切板(33)のうち端に設けられた両端の仕切板(33)の中心部から外側へ突出するように形成されている。2つの軸部(35)の一方の軸部(35)は、ハウジング(32)の後述する側壁部(38)に回転自在に支持され、他方の軸部(35)には、図示しないモータが連結されている。
【0085】
多数の羽根(34)は、複数の仕切板(33)の各間に、対向する一対の仕切板(33)の外周部に架け渡されている。多数の羽根(34)は、周方向に間隔を空けて配置されている。また、各羽根(34)は、ファンロータ(31)の周方向において回転方向(
図9の矢印で示す方向)の逆側へ膨出するように湾曲すると共に、ファンロータ(31)の径方向において内側の部分ほど、周方向において回転方向と逆側に位置するように径方向に対して傾斜した姿勢で配列されている。
【0086】
このような構成により、本実施形態2では、ファンロータ(31)は、互いに対向する一対の仕切板(33)とその互いの外周部を連結するように設けられた複数の羽根(34)とによって形成される連が、軸方向に複数繋がるように形成されている。
【0087】
[ハウジング]
図9に示すように、ハウジング(32)は、空気の吸込口(32a)と吹出口(32b)とが形成され、内部にファンロータ(31)が収容されるように筺状に形成されている。上述のように、本実施形態2では、ハウジング(32)は、ケーシング(20)と一体に形成されている。ハウジング(32)は、ファンロータ(31)の前側に設けられる第1ガイド(36)と、ファンロータ(31)の後側に設けられる第2ガイド(リアガイダ)(37)と、ファンロータ(31)の軸方向の両端部に設けられる2つの側壁部(38)とを有している。
【0088】
第1ガイド(36)は、ファンロータ(31)の中心軸(X)よりも前方且つ下方の吹出口(32b)側において、ファンロータ(31)の軸方向に長く形成されている。第1ガイド(36)は、舌部(スタビライザ)(36a)と、第1延長壁部(第1の壁部)(36b)とを有している。
【0089】
舌部(36a)は、ファンロータ(31)の中心軸(X)よりも前方且つ下方の吹出口(32b)側の部分に近接して対向し、ファンロータ(31)の軸方向に長く延びている。舌部(36a)の前端は、吸込口(32a)を形成している。
【0090】
第1延長壁部(36b)は、舌部(36a)の後端に連続し、該舌部(36a)の後端から略L字状に折れ曲がるように形成されている。第1延長壁部(36b)は、舌部(36a)の後端から斜め下方に延び、吹出口(32b)まで延びている。つまり、第1延長壁部(36b)の下端は、吹出口(32b)を形成している。
【0091】
第2ガイド(37)は、ファンロータ(31)の後側において、ファンロータ(31)の軸方向に長く形成され、後側の外周面を広く覆っている。第2ガイド(37)は、スクロール壁部(37a)と、第2延長壁部(第2の壁部)(37b)とを有している。
【0092】
スクロール壁部(37a)は、一端部を除く部分が渦巻き形状に形成された壁部であり、ファンロータ(31)の中心軸(X)よりも後方において、ファンロータ(31)の軸方向に長く延び、ファンロータ(31)の外周面を覆っている。スクロール壁部(37a)は、吸込側(
図9では上側)の一端が吸込口(32a)を形成し、この吸込口(32a)を含む一端部は、上流側から下流側に向かうほどファンロータ(31)に近接するように形成されている。スクロール壁部(37a)は、ファンロータ(31)に最も近接する近接部から下流側(吹出口(32b)側)に向かうほどファンロータ(31)から離れるように形成されている。スクロール壁部(37a)は、舌部(36a)の後端部に対応する位置まで延びている。
【0093】
第2延長壁部(37b)は、舌部(36a)の後端部に対応する位置においてスクロール壁部(37a)に滑らかに連続するように形成されている。第2延長壁部(37b)は、第1延長壁部(36b)に対向するように延び、吹出口(32b)まで延びている。つまり、第2延長壁部(37b)の下端は、吹出口(32b)を形成している。
【0094】
2つの側壁部(38)は、ファンロータ(31)の軸方向の両端部に設けられている。2つの側壁部(38)には、ファンロータ(31)の軸部(35)の挿通孔が形成され、軸部(35)が挿通される。2つの側壁部(38)は、第1ガイド(36)と第2ガイド(37)との間に、吸込口(32a)から吹出口(32b)へ向かう空気流路を形成している。また、2つの側壁部(38)は、第1ガイド(36)の第1延長壁部(36b)と第2ガイド(37)の第2延長壁部(37b)との間に、ファンロータ(31)から吹き出される吹出空気を吹出口(32b)に導く吹出流路(F)を形成している。さらに、2つの側壁部(38)は、吹出流路(F)が後述する絞り部(70)を有するように、内側に傾斜した傾斜面(38a)を有している。
【0095】
[吹出流路]
上述のように、ハウジング(32)内には、互いに対向するように設けられた第1ガイド(36)の第1延長壁部(36b)及び第2ガイド(37)の第2延長壁部(37b)と2つの側壁部(38)とによって吹出流路(F)が区画されている。また、吹出流路(F)は、上流側から下流側に向かって、断面形状が長方形状から台形状に変化して流路断面積が減少する絞り部(70)を有している。なお、ここで言う台形状には、上底と下底とを結ぶ側辺が直線でなく湾曲したものも含む。
【0096】
絞り部(70)は、吹出流路(F)の長さ(第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の長さ)の半分以上の流路長さになるように形成されている。本実施形態2では、絞り部(70)は、吹出流路(F)の上流側の一部分を除く大部分を占めるように形成されている。
【0097】
絞り部(70)は、上流側から下流側に向かって、2つの側壁部(38)の形状を変化させることによって断面形状が変化するように構成されている。具体的には、2つの側壁部(38)は、吹出流路(F)内に面する内壁面の一部が、第2延長壁部(37b)側ほど内側に位置する傾斜面(38a)に構成されている。また、傾斜面(38a)は、吹出流路(F)の上流側から下流側に向かって、2つの側壁部(38)の内壁面において傾斜面(38a)が占める割合が大きくなるように形成されている。具体的には、絞り部(70)の上流側では、2つの側壁部(38)の内壁面の後側の一部のみが傾斜面(38a)に形成されるところ、絞り部(70)の下流側では、2つの側壁部(38)の内壁面の後側から前側に亘って大部分が傾斜面(38a)に形成されている。このように、絞り部(70)では、上流側から下流側に向かって、2つの側壁部(38)の形状が変化することにより、上流側から下流側に向かって、断面形状が長方形状から台形状に変化することとなる。
【0098】
以下、絞り部(70)の断面形状の変化を
図9及び
図10〜13を用いて説明する。なお、
図10〜
図13は、吹出口(32b)と平行な断面で切断したときの吹出流路(F)の断面を示し、
図10は、絞り部(70)の始端(最上流)の第1の位置における断面を示し、
図11は、絞り部(70)の第1の位置よりも下流側の第2の位置における断面を示し、
図12は、絞り部(70)の第2の位置よりも下流側の第3の位置における断面を示し、
図13は、絞り部(70)の終端(最下流)の第4の位置における断面、即ち、吹出口(32b)における断面を示している。
【0099】
図9及び
図10に示すように、絞り部(70)において最上流の第1の位置では、2つの側壁部(38)の内壁面に傾斜面(38a)はなく、真っ直ぐ延びるように形成されている。そのため、第1の位置では、吹出流路(F)の断面形状が、長方形状になる(
図10においてドットを付した領域を参照)。
【0100】
図9及び
図11に示すように、絞り部(70)において上記第1の位置よりも下流側の第2の位置では、2つの側壁部(38)の内壁面は、第2延長壁部(37b)側の一部が、第2延長壁部(37b)側ほど内側に位置する傾斜面(38a)に構成されている。そのため、第2の位置では、吹出流路(F)の断面形状が、長方形状に近い略六角形状になる(
図11においてドットを付した領域を参照)。
【0101】
図10及び
図12に示すように、絞り部(70)において上記第2の位置よりもさらに下流側の第3の位置では、2つの側壁部(38)の内壁面は、第1延長壁部(36b)側の一部を除く大部分が、第2延長壁部(37b)側ほど内側に位置する傾斜面(38a)に構成されている。そのため、第3の位置では、吹出流路(F)の断面形状が、台形状に近い略六角形状になる(
図12においてドットを付した領域を参照)。
【0102】
図10及び
図13に示すように、絞り部(70)において最下流の第4の位置では、2つの側壁部(38)の内壁面は、全体が第2延長壁部(37b)側ほど内側に位置する傾斜面(38a)に構成されている。そのため、第4の位置では、吹出流路(F)の断面形状が、台形状になる(
図13においてドットを付した領域を参照)。
【0103】
また、
図10〜13に示すように、本実施形態2では、傾斜面(38a)は、吹出流路(F)の外側に凹む湾曲面によって形成されている。そのため、吹出流路(F)において傾斜面(38a)とその他の部分とは、滑らかに連続している。
【0104】
さらに、
図10〜
図13に示すように、絞り部(70)の第1〜第4の各位置において、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)は平行に形成されている。一方、絞り部(70)において、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)は、上流側から下流側へ向かって(
図10に示す第1の位置から
図13に示す第4の位置へ向かって)、互いの距離が短くなるように形成されている。即ち、絞り部(70)では、上流側から下流側へ向かって第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)が互いに近づいていく。
【0105】
具体的には、
図10に示す第1の位置における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH1、
図11に示す第2の位置における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH2、
図12に示す第3の位置における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH3、
図13に示す第4の位置における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH4とすると、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)が、H1>H2>H3>H4となるように形成されている。
【0106】
なお、
図9に示すように、吹出流路(F)の始端(第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の上流端)における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH0とすると、H0はH1とほぼ等しく、H4よりも大きい。即ち、本実施形態1では、H4/H0<1となっている。
【0107】
このように絞り部(70)では、上流側から下流側に向かって断面形状が長方形状から台形状に変化すると共に、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離が徐々に短くなることにより、吹出流路(F)の流路断面積が徐々に減少することとなる。これにより、吹出流路(F)に流入した吹出空気が絞り部(70)を流れる際に、流れが徐々に縮流し、吹出流路(F)の下流側においても隅々まで吹出空気が流れることとなる。
【0108】
−運転動作−
空気調和装置の室内ユニット(10)では、送風機(30)の起動により、ケーシング(20)内に流入口(21)から流出口(22)(吹出口(32b))に向かう空気流れが形成される。これにより、室内空間の室内空気がケーシング(20)内に流入する。流入口(21)からケーシング(20)内に流入した空気は、熱交換器(40)を通過する際に、冷媒と熱交換し、温度が調節(加熱又は冷却)される。温調後の空気は、送風機(30)に吸い込まれて、ハウジング(32)内に形成された空気流路を流れて流出口(22)を構成する送風機(30)の吹出口(32b)から室内空間に供給される。この空気によって室内空間の室内空気の温度が調節される。
【0109】
〈送風機での空気の流れ〉
送風機(30)において、ファンロータ(31)が回転すると、ハウジング(32)内にファンロータ(31)を貫く空気流れが形成される(
図9の白抜き矢印を参照)。この空気流れは、ファンロータ(31)の羽根(34)の湾曲形状により、略S字状の流れとなる。ファンロータ(31)から吹き出された吹出空気は、吹出流路(F)に流入する。このとき、吹出空気の流れは、ファンロータ(31)が吹出側において舌部(36a)方向へ回転することにより、舌部(36a)側に偏る。
【0110】
本実施形態2では、吹出流路(F)に、断面形状が長方形状から第2延長壁部(37b)側の幅が第1延長壁部(36b)側の幅よりも短い台形状に変化する絞り部(70)が設けられている。絞り部(70)では、2つの側壁部(38)に形成された傾斜面(38a)によって、上流側から下流側に向かって吹出空気が流れ難い第2延長壁部(37b)側の幅が徐々に狭くなる。そのため、吹出流路(F)に流入した吹出空気は、絞り部(70)を流れる際に、第2延長壁部(37b)側の流れが徐々に縮流することとなる。
【0111】
ところで、本実施形態2のように、吹出流路(F)の下流側において第2延長壁部(37b)側の流路幅が狭くなっていなければ、吹出流路(F)の両端部では、2つの側壁部(38)との摩擦によって、吹出空気の流速が著しく低下していく。そのため、送風機(30)が設けられる室内ユニット(10)のフィルタ(80)の目詰まり等によって空気流れの圧力損失が大きくなると、吹出流路(F)の吹出口(32b)付近の両端部では吹出空気がほとんど流れなくなり、該両端部から吹出流路の上流側へ空気が逆流する虞がある。
【0112】
また、本実施形態2でも、
図9に示すように、室内ユニット(10)の大型化を抑制する観点から、流入口(21)の開口幅が大きくとれず、流入口(21)の開口幅(流入口(21)をファンロータ(31)の径方向に沿って切断したときの幅)をA、ファンロータ(31)の直径をDとすると、A/D≦2.5程度に構成されている。そのため、実施形態2においても、開口幅Aを大きく確保できず、室内ユニット(10)の内部における圧力損失(機内圧損)が高くなるため、吹出空気の流れが流れ難い吹出流路(F)の吹出口(32b)付近の両端部から吹出流路の上流側へ空気が逆流する虞がより高くなる。
【0113】
しかしながら、本実施形態2においても、絞り部(70)によって、吹出空気の第2延長壁部(37b)側の流れが縮流する構成であるため、吹出流路(F)の吹出口(32b)付近の第2延長壁部(37b)側の吹出空気の流速低下が抑制される。
【0114】
また、本実施形態2においても、吹出流路(F)の絞り部(70)は、上流側から下流側へ向かって第1の壁部(36b)と第2の壁部(37b)の距離が短くなることによって流路断面積が狭くなるように構成されている。そのため、吹出流路(F)に流入した吹出空気が、絞り部(70)を流れる際にさらに流れが縮流され、吹出流路(F)の下流側且つ第2延長壁部(37b)側における吹出空気の流速低下がより抑制される。
【0115】
このようにして、本実施形態2では、吹出流路(F)の下流側においても隅々まで吹出空気が流れ、吹出口(32b)から吹き出されることとなる。つまり、吹出流路(F)の絞り部(70)によって、吹出流路(F)の下流側においても吹出空気が流れない箇所や流速が著しく遅い箇所がなくなり、高負荷運転時に吹出空気が第2延長壁部(37b)から剥離することがなくなり、吹出口(32b)の両端部から空気が逆流することもなくなる。
【0116】
以上により、本実施形態2のクロスフロー型の送風機(30)によっても、実施形態1のクロスフロー型の送風機(30)と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態2においても、騒音及び逆流が抑制されたクロスフロー型の送風機(30)を空気調和装置の室内ユニット(10)に適用することにより、騒音の少ない室内ユニット(10)を提供することができる。
【0117】
《発明の実施形態3》
実施形態3は、実施形態1において、吹出流路(F)の形状を変更したものである。吹出流路(F)の形状の他は、実施形態1と同様に構成されている。以下では、実施形態1と異なる吹出流路(F)の構成と吹出流路(F)での空気の流れについてのみ説明し、その他の構成及び動作については説明を省略する。
【0118】
[吹出流路]
図14に示すように、本実施形態3においても、互いに対向するように設けられた第1ガイド(36)の第1延長壁部(第1の壁部)(36b)及び第2ガイド(37)の第2延長壁部(第2の壁部)(37b)と2つの側壁部(38)とによって吹出流路(F)が区画されている。また、吹出流路(F)は、上流側から下流側に向かって、断面形状が長方形状から台形状に変化して流路断面積が減少する絞り部(70)を有している。なお、ここで言う台形状には、上底と下底とを結ぶ側辺が直線でなく湾曲したものも含む。
【0119】
実施形態3では、絞り部(70)は、吹出流路(F)の長さ(第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の長さ)の略半分の流路長さになるように形成されている。具体的には、実施形態3では、吹出流路(F)の下流側の半分が絞り部(70)を構成する。そして、吹出流路(F)の上流側の半分は、上流側から下流側に向かって流路断面積が拡大するディフューザ部(71)に形成されている。
【0120】
ディフューザ部(71)は、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離が、上流側から下流側へ向かって(絞り部(70)に向かって)互いの距離が長くなるように形成されている。即ち、絞り部(70)では、上流側から下流側へ向かって第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)が互いに離れていく。
【0121】
絞り部(70)は、実施形態1と流路長さが異なるのみで構成は同様であり、絞り部(70)は、上流側から下流側に向かって、2つの側壁部(38)の形状を変化させることによって断面形状が長方形状から台形状に変化するように構成されている。また、
図14に示すように、絞り部(70)は、上流側から下流側へ向かって、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離が短くなるように形成されている。即ち、絞り部(70)では、上流側から下流側へ向かって第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)が互いに近づいていく。具体的には、
図14に示す絞り部(70)の第1〜第4の各位置における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をそれぞれH1〜H4とすると、絞り部(70)は、H1>H2>H3>H4となるように形成されている。
【0122】
このように、実施形態3では、吹出流路(F)は、ディフューザ部(71)と絞り部(70)とで構成されている。
【0123】
また、
図14に示すように、吹出流路(F)の始端(第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の上流端)における第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離をH0とすると、実施形態3では、H0はH1より小さく、さらに、H4よりも小さい。即ち、本実施形態3では、H4/H0>1となっている。なお、吹出流路(F)は、0.9≦H4/H0≦1.03を満たすように形成すると、高負荷運転時における送風音を低く抑えることができることがわかっている。
【0124】
以上のように、実施形態3では、吹出流路(F)は、上流側の半分が下流側に向かって流路断面積が大きくなるディフューザ部(71)に構成されている。ディフューザ部(71)では、送風機(30)の吹出空気の動圧が静圧に変換されるため、送風機(30)の静圧が高くなる。また、吹出流路(F)は、上記ディフューザ部(71)の下流側に、下流側に向かって流路断面積が小さくなる絞り部(70)を有しており、絞り部(70)では、上流側から下流側に向かって断面形状が長方形状から台形状に変化すると共に、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離が徐々に短くなることにより、吹出流路(F)の流路断面積が徐々に減少する。そのため、吹出流路(F)に流入した吹出空気は、絞り部(70)を流れる際に、流れが徐々に縮流し、吹出流路(F)の下流側においても隅々まで吹出空気が流れることとなる。
【0125】
[吹出流路における空気の流れ]
実施形態3においても、送風機(30)において、ファンロータ(31)が回転すると、ハウジング(32)内にファンロータ(31)を貫く略S字状の空気流れが形成される(
図9の白抜き矢印を参照)。そして、ファンロータ(31)から吹き出された吹出空気は、吹出流路(F)に流入する。なお、吹出空気の流れは、ファンロータ(31)が吹出側において舌部(36a)方向へ回転することにより、舌部(36a)側に偏る。
【0126】
本実施形態3では、吹出流路(F)の上流側が上述のディフューザ部(71)に構成されている。そのため、吹出流路(F)に流入した吹出空気は、まず、ディフューザ部(71)において動圧が静圧に変換される。これにより、送風機(30)の静圧が高くなる。そして、ディフューザ部(71)を通過した吹出空気は、絞り部(70)に流入する。絞り部(70)では、2つの側壁部(38)に形成された傾斜面(38a)によって、上流側から下流側に向かって吹出空気が流れ難い第2延長壁部(37b)側の幅が徐々に狭くなる。また、絞り部(70)では、上流側から下流側へ向かって第1の壁部(36b)と第2の壁部(37b)の距離が短くなっていく。そのため、絞り部(70)では、下流側へ向かうほど流路断面積が狭くなり、吹出空気が縮流されていく。
【0127】
このようにして、本実施形態3では、吹出流路(F)の上流側では、ディフューザ部(71)によって吹出空気の動圧が静圧に変換されて送風機(30)の静圧が高くなり、風量が増大する。また、吹出流路(F)の下流側では、絞り部(70)により、吹出流路(F)の第2延長壁部(37b)側における吹出空気の流速低下が抑制され、隅々まで吹出空気が流れ、吹出口(32b)から吹き出されることとなる。つまり、吹出流路(F)の絞り部(70)によって、吹出流路(F)の下流側においても吹出空気が流れない箇所や流速が著しく遅い箇所がなくなり、高負荷運転時に吹出空気が第2延長壁部(37b)から剥離することがなくなり、吹出口(32b)の両端部から空気が逆流することもなくなる。
【0128】
以上により、本実施形態3のクロスフロー型の送風機(30)によっても、実施形態1のクロスフロー型の送風機(30)と同様の効果を奏することができる。また、本実施形態3においても、騒音及び逆流が抑制されたクロスフロー型の送風機(30)を空気調和装置の室内ユニット(10)に適用することにより、騒音の少ない室内ユニット(10)を提供することができる。さらに、本実施形態3によれば、吹出流路(F)の上流側をディフューザ部(71)に構成することにより、風量を増大させつつ、騒音及び逆流によるサージングを抑制することができる。
【0129】
《その他の実施形態》
上記実施形態1,3では、天井内に設置される室内ユニット(10)に本発明に係るクロスフロー型の送風機(30)を適用した例について説明し、実施形態2では、壁に設置される壁掛け型の室内ユニット(10)に本発明に係るクロスフロー型の送風機(30)を適用した例について説明していたが、本発明に係るクロスフロー型の送風機(30)が適用される室内ユニット(10)の構成は上述のものに限られない。室内空間の上に設置される床置き型の室内ユニット(10)に適用してもよい。
【0130】
また、上記実施形態1では、室内ユニット(10)は、流入口(21)と流出口(22)とが対向する2つの側面に形成されたケーシング(20)を備えるように構成されていたが、ケーシング(20)における流入口(21)と流出口(22)の位置は、上述のものに限られない。例えば、ケーシング(20)の下面に流入口(21)が形成され、一側面に流出口(22)が形成されていてもよい。
【0131】
また、上記各実施形態では、絞り部(70)が、上流側から下流側に向かって断面形状が長方形状から台形状に変化しつつ第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離が短くなることで、上流側から下流側に向かって流路断面積が狭くなるように構成されていた。しかしながら、絞り部(70)は、上流側から下流側に向かって流路断面積が狭くなるように構成されればよい。そのため、絞り部(70)は、上流側から下流側に向かって第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離を変化させることなく、断面形状を長方形状から台形状に変化させることだけによって流路断面積を絞るものであってもよい。また、逆に、絞り部(70)は、上流側から下流側に向かって断面形状を長方形状から台形状に変化させることなく、第1延長壁部(36b)及び第2延長壁部(37b)の距離を変化させることだけによって流路断面積を絞るものであってもよい。
【0132】
また、上記実施形態3では、実施形態1において吹出流路(F)の形状を変更した例について説明したが、実施形態3の吹出流路(F)は、実施形態2のような壁掛け型の室内ユニット(10)の送風機(30)にも、床置き型の室内ユニット(10)の送風機(30)にも適用可能である。
【解決手段】ファンロータ(31)とハウジング(32)とを備えたクロスフロー型の送風機(30)において、ハウジング(32)の舌部(36a)に連続して吹出口(32b)まで延びる第1延長壁部(36b)と、これに対向する第2延長壁部(37b)と、ファンロータ(31)の軸方向の両端部に設けられた2つの側壁部(38)とで区画された吹出流路(F)が、上流側から下流側へ向かって、断面形状が長方形状から第2延長壁部(37b)側の幅が第1延長壁部(36b)側の幅よりも短い台形状に変化することによって流路断面積が狭くなる絞り部(70)を有するように2つの側壁部(38)を形成する。