(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、Zn及びNiの含有率の合計が3ppm以下であり、酸素の含有率が250ppm以下であり、窒素の含有率が300ppm以下である炭化珪素粉粒体を製造するための方法であって、黒鉛からなる坩堝内に収容されたSiを98質量%以上の含有率で含むシリコンの粒状物のみからなる原料を加熱して、該原料が融解してなる融液を得た後、該融液が、最高温度が1500〜2000℃である高温領域と、最低温度が1200〜1990℃である低温領域を有し、かつ、上記高温領域と上記低温領域との温度差が10〜300℃である温度勾配を有するように、該融液を加熱しながら、該融液中に炭化珪素粉粒体を析出させることを特徴とする炭化珪素粉粒体の製造方法。
【背景技術】
【0002】
炭化珪素(SiC)は、研磨・研削材、セラミックス焼結体、導電性材料等の工業用材料として、従来、幅広く使用されている。最近では、省エネルギー志向の強まりや脱原発による自然再生エネルギーの活用への期待等の社会的背景下において、パワー半導体等に用いられる単結晶ウェハの原料として、高純度の炭化珪素粉末が求められている。
高純度の炭化珪素粉末を製造する方法としては、気相法、還元法、及び低純度の炭化珪素粉末を純化する方法等が知られている。
例えば、還元法として、特許文献1には、シリカと炭素を出発原料として炭化珪素を製造する方法において、該出発原料を塩化水素を含む非酸化性雰囲気中1500℃以上で合成し、炭化珪素を得る高純度炭化珪素粉末の製造方法が記載されている。
また、低純度の炭化珪素粉末を純化する方法として、特許文献2には、炭化珪素粉末を真空度が9×10
−5〜1×10
−2torrの範囲で、かつ、1,500〜1,700℃の温度範囲で加熱し、高純度化する高純度炭化珪素粉末の製造方法が記載されている。
【0003】
一方、工業的に炭化珪素粉末を製造する方法として、アチソン法が知られている。アチソン法は、一度に大量の炭化珪素粉末を製造することができるが、不純物が混入しやすいという問題があった。
アチソン法を用いて、高純度炭化珪素粉末を製造する方法として、特許文献3には、アチソン炉を用いて、粒子内にシリカとカーボンの各々が全体的に分布しており、かつ、B及びPの各々の含有率が1ppm以下である、シリカとカーボンからなる粒子を加熱して、高純度炭化珪素粉末を得る、高純度炭化珪素粉末の製造方法が記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された方法は、使用する塩化水素ガスが腐食性を有するため、製造装置が腐食するおそれがあり、設備費用が高くなるという問題があった。
また、特許文献2に記載された方法は、装置が複雑かつ高価であるとともに、大量生産をすることができないという問題があった。
さらに、特許文献3に記載された方法は、高純度の炭化珪素粉末を得ることができるものの、炭化珪素粉末の原料であるSiが、SiOガスとして大気中に飛散するため、炭化珪素粉末の収率が悪いという問題があった。また、加熱後、炭化珪素は塊状物として得られるため、特定の粒度(例えば、粒径3mm以下)の粉末を得るためには、塊状物を粉砕する必要があり、粉砕を行う際に不純物が混入する可能性があるため、高純度化には限界があった。
本発明は、高純度の炭化珪素粉粒体、及び、高純度の炭化珪素粉粒体を簡易にかつ高い収率で製造することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、黒鉛からなる坩堝内に収容されたSiを含む原料を加熱して融液を得た後、該融液が温度勾配を有するように加熱しながら、該融液中に炭化珪素粉粒体を析出させる方法、及び、該方法によって得られる炭化珪素粉粒体によって、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1] B、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、Zn及びNiの含有率の合計が3ppm以下であり、酸素の含有率が250ppm以下であり、窒素の含有率が300ppm以下であることを特徴とする炭化珪素粉粒体。
[2] 前記[1]に記載の炭化珪素粉粒体を製造するための方法であって、黒鉛からなる坩堝内に収容されたSiを含む原料を加熱して、Siを含む原料が融解してなる融液を得た後、該融液が温度勾配を有するように加熱しながら、該融液中に炭化珪素粉粒体を析出させることを特徴とする炭化珪素粉粒体の製造方法。
[3] 上記Siを含む原料中の、Siの含有率が98質量%以上である前記[2]に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
[4] 上記Siを含む原料中の、Siの含有率が99.999質量%以上である前記[3]に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
[5] 上記Siを含む原料中の、Siの含有率が99.999999999質量%以上である前記[4]に記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
[6] 上記Siを含む原料が、使用済みの太陽電池用シリコンウェハ、使用済みの半導体用シリコンウェハ、太陽電池用シリコンウェハの製造工程で発生する端材、及び、半導体用シリコンウェハの製造過程で発生する端材の中から選ばれる少なくとも1種である、前記[2]〜[5]のいずれかに記載の炭化珪素粉粒体の製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炭化珪素粉粒体は、高い純度を有するため、パワー半導体等に用いられる単結晶ウェハの原料として用いることができる。
本発明の炭化珪素粉粒体の製造方法によれば、高純度の炭化珪素粉粒体を簡易にかつ高い収率で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の炭化珪素粉粒体の粒径は、通常、5mm以下、好ましくは3mm以下である。
本発明の炭化珪素粉粒体中、B、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、Zn及びNiの含有率の合計は、3ppm以下、好ましくは2ppm以下、より好ましくは1ppm以下である。
また、本発明の炭化珪素粉粒体中、酸素(O)の含有率は、250ppm以下、好ましくは230ppm以下、より好ましくは200ppm以下である。
さらに、本発明の炭化珪素粉粒体中、窒素(N)の含有率は300ppm以下、好ましくは200ppm以下、より好ましくは100ppm以下である。
本発明の炭化珪素粉粒体中の、B、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、Zn及びNiの含有率の合計、並びに、酸素(O)及び窒素(N)の含有率が上記数値範囲内であれば、パワー半導体等に用いられる単結晶ウェハの原料として、炭化珪素粉粒体を好適に用いることができる。特に、窒素(N)の含有率が低いことから、本発明の炭化珪素粉粒体は、n型半導体だけではなく、p型半導体用の単結晶原料や半絶縁体材料用単結晶原料としても好適に使用することができる。
【0010】
上記「酸素(O)の含有率」とは、炭化珪素粉粒体に含まれる金属酸化物を構成する酸素原子の総量を示す。上記「窒素(N)の含有率」とは、炭化珪素粉粒体に含まれる金属窒化物を構成する窒素原子の総量を示す。
本明細書中、「粉粒体」とは、粉末(粒径が0.1mm以下のもの)のみからなる集合体、粒体(粒径が0.1mmを超えるもの)のみからなる集合体、及び、粉末及び粒体からなる集合体の3つの形態を包含するものである。
本明細書中、ppmは質量基準である。
本発明の炭化珪素粉粒体は、上述のB、P、Fe等の不純物の含有率が小さく、高純度のものである。
【0011】
以下、本発明の炭化珪素粉粒体の製造方法について、
図1を参照にしながら詳しく説明する。
本発明の炭化珪素粉粒体の製造方法は、黒鉛からなる坩堝1内に収容されたSiを含む原料を加熱して、Siを含む原料が融解してなる融液5を得た後、融液5が温度勾配を有するように加熱しながら、融液5中に炭化珪素粉粒体6を析出させる方法である。この時、黒鉛からなる坩堝1は、炭化珪素粉粒体6を析出させるための炭素の供給源として炭素を融液5に供給する。このため、黒鉛からなる坩堝1の板厚は、時間の経過とともに小さくなる。そこで、炭化珪素粉粒体の製造開始時の黒鉛からなる坩堝1の板厚は、融液5の漏れが生じない厚みであればよく、特に限定されるものではない。
さらに、黒鉛からなる坩堝1は、その内部に乱流板2を有してもよい。乱流板2を設けることで、融液5中に溶け出した黒鉛からなる坩堝1由来の炭素が、融液5中に均一に分散され、得られる炭化珪素粉粒体6の収率が向上する。乱流板の材質は、炭素供給源として働く観点から、黒鉛が好ましい。乱流板は平坦な板状の物質であることが好ましく、また、坩堝の側面の内壁から水平方向に延びるように固着されていることが好ましい。なお、黒鉛からなる坩堝が有する乱流板の数は、一つでもよく、複数でもよい。
【0012】
Siを含む原料中のSiの含有率(純度)は、より高純度の炭化珪素粉粒体を得る観点から、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99.999質量%以上、特に好ましくは99.999999999質量%以上である。
Siを98質量%以上の含有率で含む原料としては、一般的に、金属グレードシリコンと呼ばれる原料が挙げられる。Siを99.9999質量%以上の含有率で含む原料としては、一般的に、太陽電池グレードシリコンと呼ばれる原料が挙げられる。Siを99.999999999質量%以上の含有率で含む原料としては、一般的に、半導体グレードシリコンと呼ばれる原料が挙げられる。
また、コストの低減や入手の容易性の観点からは、金属グレードシリコンを用いることが好ましい。本発明の製造方法によれば、Siの含有率(純度)が、98質量%以上、99.999質量%未満である金属グレードシリコンを用いても、高純度の炭化珪素粉粒体を得ることができる。
【0013】
さらに、Siを含む原料として、使用済みの太陽電池用シリコンウェハ、使用済みの半導体用シリコンウェハ、太陽電池用シリコンウェハの製造工程で発生する端材、及び半導体用シリコンウェハの製造過程で発生する端材(シリコンインゴットからウェハを切り出す際に発生する切りくず等)等の中から選ばれる少なくとも1種を使用してもよい。これらの原料を使用することで、炭化珪素の再利用を図ることができる。
これらのSiを含む原料は、融解に要する時間を短くする観点から、粒径が好ましくは3mm以下となるように、事前に粉砕してもよい。
【0014】
黒鉛からなる坩堝内に収容されたSiを含む原料を加熱する温度は、好ましくは1500℃以上、より好ましくは1600〜2400℃、特に好ましくは1700〜2200℃である。加熱温度が1500℃未満の場合、Siを含む原料のすべてを溶融するまでに時間がかかる。
上記坩堝内に収容されたSiを含む原料を加熱することで、Siを含む融液を得ることができる。
【0015】
その後、得られた融液が温度勾配を有するように(換言すると、高温領域と低温領域を有するように)加熱することで、融液中に高純度の炭化珪素粉粒体を析出させることができる。
例えば、融液中の高温領域と低温領域との温度の差が、10〜300℃(好ましくは20〜270℃)となる温度勾配を有するように加熱することで、黒鉛からなる坩堝からC(炭素)が溶け出し、融液の低温領域において炭化珪素粉粒体が析出する。融液の高温領域と低温領域との温度の差が大きいほど、炭化珪素粉粒体が析出する速度が大きくなるが、温度の差が300℃を超えると、得られた炭化珪素粉粒体が多結晶化してしまう場合がある。
また、融液が、上述した温度勾配を有するようにするために、黒鉛からなる坩堝の底面および側面に複数個の加熱体を設けて加熱を調整してもよく、融液の一部を強制冷却してもよい。
【0016】
また、融液の低温領域の温度は、通常、2000℃以下である。なお、高温度域と低温領域の温度差を大きくすることで、析出速度が大きくなり、炭化珪素粉粒体の収率も向上する。
例えば、黒鉛からなる坩堝1の底面部分のみを加熱し、黒鉛からなる坩堝1の底面周辺の融液5の高温領域における最高温度が1500〜2000℃となり、融液5の液面周辺の低温領域における最低温度が1200〜1990℃となるように温度勾配を設けることによって、融液5の液面周辺の低温領域において、高純度の炭化珪素粉粒体6が析出する。
なお、融液の温度を1450℃以下に制御する場合、シリコンの融液に遷移金属(例えばCr、Fe、Ti、Co、Ni等)を添加し、合金溶媒とすることが好ましい。
加熱の方法は、特に限定されないが、例えば、抵抗加熱、誘電加熱等が挙げられる。抵抗加熱は、所定の温度に達するまでの時間がかかるものの、大規模な装置による大量生産に向いている。
【0017】
融液をムラなく加熱する観点から、黒鉛からなる坩堝は、回転しながら加熱されてもよい。
具体的には、溶液炉7内に、水平方向に回転する台座4を設置し、黒鉛からなる坩堝1を台座4の上面に載置して、台座4を回転させながら加熱する。回転は、一定の時間間隔で正転と逆転を交互に行ってもよい。
【0018】
黒鉛からなる坩堝1、加熱体3等を、密閉することができる溶液炉7内に設置し、加熱等を行ってもよい。密閉された溶液炉7内で加熱することで、エネルギー効率良く、融液5を作製することができる。
また、加熱を非酸化性雰囲気下で行ってもよい。加熱を非酸化性雰囲気下で行うことで、不純物(NおよびO)の含有率、特に酸素(O)の含有率の低い炭化珪素粉粒体を得ることができる。具体的には、溶液炉内の空気を、非酸化性のガス(例えば、Ar(アルゴン)ガス、He(ヘリウム)ガス等)で置換して、加熱を行えばよい。
【0019】
上記製造方法において、黒鉛からなる坩堝内に、さらに炭素源を加えて加熱してもよい。炭素源を加えることで、融液への炭素の供給が黒鉛からなる坩堝のみからなされる場合と比べて、炭化珪素粉粒体の析出速度が大きくなるとともに、炭化珪素粉粒体の収率を上げることができる。また、黒鉛からなる坩堝の劣化を防ぐことができる。
炭素源としては、粉末状のカーボン、炭化水素等が挙げられる。
【0020】
また、黒鉛からなる坩堝内に、さらに金属を加えて加熱してもよい。金属を加えることにより、融液中のSiCの溶解量が増大し、融液の低温領域における、炭化珪素粉粒体の析出速度が大きくなるとともに、析出量が増大し、収率を上げることができる。また、析出する炭化珪素粉粒体の粒子径をコントロールすることができる。
金属の好ましい例としては、炭化珪素粉粒体の析出速度を大きくする観点から、遷移金属(例えば、Cr、Fe、Ti、Co、Ni等)が挙げられる。
【0021】
上記製造方法によって、本発明の炭化珪素粉粒体を高い収率でかつ簡易に製造することができる。
本発明の炭化珪素粉粒体の収率は、通常、10%以上、好ましくは12〜25%、より好ましくは14〜20%である。収率(%)とは、仕込んだ原料の質量に対する、得られた炭化珪素粉粒体の質量の割合である。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
使用材料は、以下に示すとおりである。
(1)Si原料A:金属グレードシリコン(中国製、Siの含有率:99.96%)
(2)Si原料B:金属グレードシリコン(中国製、Siの含有率:98.80%)
(3)Si原料C:太陽電池グレードシリコン(中国製、Siの含有率:99.9999%以上)
(4)Si原料D:半導体グレードシリコン(中国製、Siの含有率:99.999999999%以上)
(5)Si原料E:太陽電池用シリコンウェハの回収物(Siの含有率:99.9999%以上、太陽電池用シリコンウェハの加工時にウェハが割れたり、端部が欠けて製品として使用できなくなったものを回収業者がシリコンウェハメーカーから回収したもの)
(6)Si原料F:半導体用シリコンウェハの回収物(Siの含有率:99.999999999%以上、半導体用シリコンウェハの加工時にウェハが割れたり、端部が欠けて製品として使用できなくなったものを回収業者がシリコンウェハメーカーから回収したもの)
(7)高純度シリカ:太平洋セメント社製の試製品(シリカゾル溶液と鉱酸を混合して合成したもの)
(8)カーボン:東海カーボン社製、商品名「シーストTA」
(9)発熱体用黒鉛:太平洋セメント社製の試製品(カーボンブラックを3000℃で熱処理してなる熱分解黒鉛)
【0023】
[実施例1]
小型の黒鉛からなる坩堝1(三協カーボン社製、商品名IGS−743KII:内径25mm×高さ50mm)の中に、直径2mm程度に粉砕した金属グレードシリコン(Si原料A)の粒状物を、黒鉛からなる坩堝1の上面と面一となるように収容した。収容後、黒鉛からなる坩堝1を溶液炉6内の台座4の上面に載置した。
載置後、溶液炉6内を真空にし、Ar(アルゴン)ガスで置換することを2回繰り返して、溶液炉6内をAr雰囲気とした。次いで、黒鉛からなる坩堝1の底部の温度が1750〜1900℃となるようにしながら、10時間加熱を保持した。
上記加熱は、坩堝内のSi原料の融液が温度勾配を有するように(坩堝の底部周辺の融液が高温領域となり、坩堝の上部周辺の融液が低温領域となるように)行われた。加熱によって、Si原料が融解した後、融液の液面周辺において炭化珪素が析出した。なお、加熱中の融液の液面の温度は、1730℃であった。
また、加熱中、黒鉛からなる坩堝1を設置した台座4が、一定の間隔で水平方向に正転又は逆転することで、底部の温度にムラが発生しないようにした。
加熱後、黒鉛からなる坩堝1を溶液炉6から取り出し、ダイヤモンドカッターを用いて、黒鉛からなる坩堝1を2分割し、黒鉛からなる坩堝1内で析出した炭化珪素粉粒体を回収した。該粉粒体を混酸(フッ酸と硝酸の体積比(フッ酸:硝酸)が1:2のもの)に浸漬し、残存していたSiをフッ硝酸に溶解させて、炭化珪素粉粒体を得た。
【0024】
得られた炭化珪素粉粒体中、B、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、Zn及びNiの含有率を、グロー放電質量分析計を用いて測定した。
また、得られた炭化珪素粉粒体中、酸素及び窒素の含有率を、水素・窒素・酸素分析装置(LECOジャパン合同会社製、商品名「TCH600」)を用いて測定した。
さらに、得られた炭化珪素粉粒体の収率を算出した。なお、収率(%)は、仕込んだ原料の質量に対する、得られた炭化珪素粉粒体の質量の割合である。
結果を表1に示す。
【0025】
[実施例2]
Si原料Aの代わりにSi原料Bを用いた以外は実施例1と同様にして、炭化珪素粉粒体を得た。
[実施例3]
Si原料Aの代わりにSi原料Cを用いるとともに、黒鉛からなる坩堝1の底部の温度が1750〜1800℃となるように加熱する以外は実施例1と同様にして、炭化珪素粉粒体を得た。なお、加熱中の融液の液面の温度は、1725℃であった。
[実施例4]
Si原料Aの代わりにSi原料Dを用いるとともに、黒鉛からなる坩堝1の底部の温度が1650〜1700℃となるように加熱する以外は実施例1と同様にして、炭化珪素粉粒体を得た。なお、加熱中の融液の液面の温度は、1630℃であった。
[実施例5]
Si原料Aの代わりにSi原料Cを用いるとともに、台座4を回転させずに黒鉛からなる坩堝1の底部の温度が1850〜1900℃となるように加熱する以外は実施例1と同様にして、炭化珪素粉粒体を得た。なお、加熱中の融液の液面の温度は、1830℃であった。
[実施例6]
坩堝の内部に乱流板2を設けた黒鉛からなる坩堝1を用いて、黒鉛からなる坩堝1の底部の温度が1650〜1700℃となるように加熱する以外は実施例3と同様にして、
炭化珪素粉粒体を得た。なお、加熱中の融液の液面の温度は、1630℃であった。
[実施例7]
Si原料Aの代わりにSi原料Eを用いた以外は実施例1と同様にして、炭化珪素粉粒体を得た。
[実施例8]
Si原料Aの代わりにSi原料Fを用いた以外は実施例1と同様にして、炭化珪素粉粒体を得た。
【0026】
[比較例1]
高純度シリカとカーボンを、C/SiO
2モル比が3.0となるように、3軸ミキサーで10分間混合し、混合原料を得た。この混合原料160kgおよび発熱体用黒鉛を、アチソン炉(アチソン炉の内寸;長さ1000mm、幅500mm、高さ500mm)の中へ収容した後、約2500℃で約10時間通電加熱を行い、炭化珪素の塊状物20.0kgを生成させた。
得られた炭化珪素の塊状物をジョークラッシャーおよびトップグラインダーを用いて粉砕し、炭化珪素粉粒体を得た。
【0027】
実施例2〜8及び比較例1で得られた炭化珪素粉粒体中のB、P、Fe、Ti、V、Cr、Cu、Zn、Ni、O(酸素)及びN(窒素)の含有率、並びに収率を、実施例1と同様にして測定、算出した。結果を表1に示す
表1から、実施例1〜8では、比較例1に比べて、不純物の含有率が低く、かつ、収率が高いことがわかる。
【0028】
【表1】