(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1において、前記仕切り要素は、ロック時に前記対応する締付部材の押圧面によって押圧された弾性舌片が対応する溝内に退避した状態で、前記対応する締付部材による締付荷重を受ける受け部を含むステアリング装置。
請求項1または2において、前記対応する第1側板の外側面に保持された部材は、前記複数の仕切り要素と、前記複数の仕切り要素を格子状に連結する連結枠と、を含み、前記対応する第1側板の外側面に沿って固定された枠板であるステアリング装置。
請求項6において、チルト方向の一方側における前記締付部材の端部と、チルト方向の他方側における前記凹溝の内壁部との間の距離が、チルト方向における前記弾性舌片の配置ピッチの整数倍と一致しないステアリング装置。
請求項1〜7の何れか一項において、前記支持部として、前記一対の長手縁部にそれぞれ沿う一対の支持部が設けられ、前記一対の支持部の一方に支持されて前記列をなす前記弾性舌片の配置の位相と、前記一対の支持部の他方に支持されて前記列をなす前記弾性舌片の配置の位相とが、互いに異なっているステアリング装置。
請求項1〜8の何れか一項において、前記弾性舌片は、チルト方向に対向する板厚面とチルト方向に延びる板面とを含む板片であり、チルト方向に関する前記板面の幅は、板厚よりも大きいステアリング装置。
請求項9において、前記弾性舌片としての板片は、対応する溝から突出する部分として、頂部と前記頂部の両側に配置され互いに逆向きに傾斜する一対の斜面部とを有する山形部を含み、
対応する溝から突出した山形部が対応する締付部材からチルト方向の荷重を受けるときに、前記一対の斜面部が仕切り要素によって受けられることにより前記山形部が両持ち支持されるステアリング装置。
請求項11において、前記仕切り要素は、ロック時に前記対応する第1側板の押圧面によって押圧された弾性舌片が対応する溝内に退避した状態で、前記仕切り要素が前記対応する第1側板による締付荷重を受ける受け部を含むステアリング装置。
請求項11または12において、前記対応する第2側板の外側面に保持された部材は、前記複数の仕切り要素と、前記複数の仕切り要素を格子状に連結する連結枠と、を含み、前記対応する第2側板の外側面に沿って固定された枠板であるステアリング装置。
請求項16において、テレスコ方向の一方側における前記締付部材の端部と、テレスコ方向の他方側における前記凹溝の内壁部との間の距離が、テレスコ方向における前記弾性舌片の配置ピッチの整数倍と一致しないステアリング装置。
請求項11〜17の何れか一項において、前記支持部として、前記一対の長手縁部にそれぞれ沿う一対の支持部が設けられ、前記一対の支持部の一方に支持されて前記列をなす前記弾性舌片の配置の位相と、前記一対の支持部の他方に支持されて前記列をなす前記弾性舌片の配置の位相とが、互いに異なっているステアリング装置。
請求項11〜18の何れか一項において、前記弾性舌片は、テレスコ方向に対向する板厚面とテレスコ方向に延びる板面とを含む板片であり、テレスコ方向に関する前記板面の幅は、板厚よりも大きいステアリング装置。
請求項19において、前記弾性舌片としての板片は、対応する溝から突出する部分として、頂部と前記頂部の両側に配置され互いに逆向きに傾斜する一対の斜面部とを有する山形部を含み、
対応する溝から突出した山形部が対応する第1側板からテレスコ方向の荷重を受けるときに、前記一対の斜面部が前記溝の縁部によって受けられることにより前記山形部が両持ち支持されるステアリング装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の操舵装置では、ハーフロックの発生を防止するために、複数枚の板部材、付勢部材およびこれらを保持するためのホルダ等の部品を設ける必要があるため、部品点数が増加する。
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、部品点数の増加を抑制しつつハーフロックの発生を防止した強固なロックを実現することができるステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、チルト調整可能なステアリング装置(1)であって、一端に操舵部材(2)が連結されるステアリングシャフト(3)と、前記ステアリングシャフトを支持する筒状のステアリングコラム(8)と、車体(13)に固定される一対の第1側板(25,25R)を含む第1ブラケット(17)と、前記ステアリングコラムに固定された一対の第2側板(27)を含む第2ブラケット(18)と、前記第1側板のチルト用長溝(26)および前記第2側板の挿通溝(28)を挿通する締付軸(21)と、前記締付軸と一体回転する操作レバー(20)と、押圧面(45,45P,50,50P)を含み、前記締付軸によって支持されてチルト調整時に前記締付軸および前記ステアリングコラムと同行移動し、前記操作レバーのロック方向への回転操作に伴って各前記第1側板を対応する第2側板に締め付ける一対の締付部材(36,36P,36Q,39,39P,39Q)と、を含み、前記ステアリングコラムの位置をロックするロック装置(19,19R)と、を備え、前記チルト用長溝は、チルト方向(Y)に長手に延びる一対の長手縁部(32,32R)を含み、前記ロック装置は、少なくとも一方の第1側板の少なくとも一方の長手縁部に沿う支持部(64)、および前記支持部によって片持ち状に支持され前記支持部からチルト方向とは概ね直交する方向に延びチルト方向に並ぶ列(L1,L1W,L2,L2W)をなし、ロック時に対応する締付部材の押圧面によって押圧されることにより撓む複数の弾性舌片(65,65W)を含む舌片ユニット(56,56W)と、各前記弾性舌片をそれぞれ突出可能に収容する複数の溝(61,61R,61W)を互いの間に形成し、対応する弾性舌片のチルト方向への移動を規制可能であり、対応する第1側板の外側面(25a,25Ra)または当該外側面に保持された部材(55,55W)に形成された仕切り要素(59,82R,59W)と、をさらに含み、ロック時に、前記対応する締付部材の押圧面が、一部の弾性舌片を押圧して前記溝内に退避させることにより、前記対応する締付部材が、前記チルト方向に関して、前記溝から突出している弾性舌片の間に介在するステアリング装置である。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1において、前記仕切り要素は、ロック時に前記対応する締付部材の押圧面によって押圧された弾性舌片が対応する溝内に退避した状態で、前記対応する締付部材による締付荷重を受ける受け部(78,78R)を含むステアリング装置である。
請求項3記載の発明は、請求項1または2において、前記対応する第1側板の外側面に保持された部材は、前記複数の仕切り要素(59,59W)と、前記複数の仕切り要素を格子状に連結する連結枠(60)と、を含み、前記対応する第1側板の外側面に沿って固定された枠板(55,55W)であるステアリング装置である。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項3において、前記舌片ユニットの前記支持部は、前記枠板と対応する第1側板との間に挟持されているステアリング装置である。
請求項5記載の発明は、請求項1または2において、前記複数の仕切り要素は、対応する第1側板と単一の材料で一体に設けられ格子状に配列された複数の凸リブ(82R)であるステアリング装置である。
【0009】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項において、前記締付部材の前記押圧面は、ロック時に対応する弾性舌片を収容する少なくとも1つの凹溝(80P,80Q)を含み、前記凹溝は、ロック時に収容した弾性舌片と前記チルト方向の対応する方向にそれぞれ係合可能な一対の内壁部(81P,81Q)を含むステアリング装置である。
請求項7記載の発明は、請求項6において、チルト方向の一方側における前記締付部材の端部(461Q,511Q)と、チルト方向の他方側における前記凹溝の内壁部との間の距離(DQ)が、チルト方向における前記弾性舌片の配置ピッチ(P)の整数倍と一致しないステアリング装置である。
【0010】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項において、前記支持部として、前記一対の長手縁部にそれぞれ沿う一対の支持部(64W)が設けられ、前記一対の支持部の一方に支持されて前記列をなす前記弾性舌片の配置の位相と、前記一対の支持部の他方に支持されて前記列をなす前記弾性舌片の配置の位相とが、互いに異なっているステアリング装置である。
【0011】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8の何れか一項において、前記弾性舌片は、チルト方向に対向する板厚面(65a)とチルト方向に延びる板面とを含む板片であり、チルト方向に関する前記板面(65b)の幅は、板厚よりも大きいステアリング装置である。
請求項10記載の発明は、請求項9において、前記弾性舌片としての板片は、対応する溝から突出する部分として、頂部(76)と前記頂部の両側に配置され互いに逆向きに傾斜する一対の斜面部(77)とを有する山形部(75)を含み、対応する溝から突出した山形部が対応する締付部材からチルト方向の荷重を受けるときに、前記一対の斜面部が仕切り要素によって受けられることにより前記山形部が両持ち支持されるステアリング装置である。
【0012】
請求項11記載の発明は、テレスコ調整可能なステアリング装置(1S)であって、一端に操舵部材(2)が連結されるステアリングシャフト(3)と、前記ステアリングシャフトを支持する筒状のステアリングコラム(8)と、車体(13)に固定される一対の第1側板(25S,25T,25U)を含む第1ブラケット(17S)と、前記ステアリングコラムに固定された一対の第2側板(27S,27V)を含む第2ブラケット(18S)と、前記第1側板の挿通溝(26)および前記第2側板のテレスコ用長溝(28S)を挿通する締付軸(21)と、前記締付軸と一体回転する操作レバー(20)と、押圧面(45,50)を含み、前記締付軸によって支持されてテレスコ調整時に前記締付軸および前記ステアリングコラムと同行移動し、前記操作レバーのロック方向への回転操作に伴って各前記第1側板を対応する第2側板に締め付ける一対の締付部材(36,39)と、を含み、前記ステアリングコラムの位置をロックするロック装置(19S,19V)と、を備え、前記テレスコ用長溝は、テレスコ方向(X)に長手に延びる一対の長手縁部(79S,79V)を含み、前記ロック装置は、少なくとも一方の第2側板の少なくとも一方の長手縁部に沿う支持部(63S)、および前記支持部によって片持ち状に支持され前記支持部からテレスコ方向とは概ね直交する方向に延びテレスコ方向に並ぶ列(L1S,L1Z,L2S,L2Z)をなし、ロック時に対応する第1側板の押圧面(25Sb,25Tb,25Ub)によって押圧されることにより撓む複数の弾性舌片(65S,65Z)を含む舌片ユニット(56S,56Z)と、各前記弾性舌片をそれぞれ突出可能に収容する複数の溝(61S,61V,61Z)を互いの間に形成し、対応する弾性舌片のテレスコ方向への移動を規制可能であり、対応する第2側板の外側面(27Sa)または当該外側面に保持された部材(55S,55Z)に形成された仕切り要素(59S,82V,59Z)と、をさらに含み、ロック時に、前記対応する第1側板の押圧面が、一部の弾性舌片を押圧して前記溝内に退避させることにより、前記対応する第1側板が、前記テレスコ方向に関して、前記溝から突出している弾性舌片の間に介在するステアリング装置である。
【0013】
請求項12記載の発明は、請求項11において、前記仕切り要素は、ロック時に前記対応する第1側板の押圧面によって押圧された弾性舌片が対応する溝内に退避した状態で、前記仕切り要素が前記対応する第1側板による締付荷重を受ける受け部(78S,78V)を含むステアリング装置である。
請求項13記載の発明は、請求項11または12において、前記対応する第2側板の外側面に保持された部材は、前記複数の仕切り要素(59S)と、前記複数の仕切り要素を格子状に連結する連結枠(60S)と、を含み、前記対応する第2側板の外側面に沿って固定された枠板(55S)であるステアリング装置である。
【0014】
請求項14記載の発明は、請求項13において、前記舌片ユニットの前記支持部は、前記枠板と対応する第2側板との間に挟持されているステアリング装置である。
請求項15記載の発明は、請求項11または12において、前記複数の仕切り要素は、対応する第2側板と単一の材料で一体に設けられ格子状に配列された複数の凸リブ(82V)であるステアリング装置である。
【0015】
請求項16記載の発明は、請求項11〜15の何れか一項において、前記第1側板の前記押圧面は、ロック時に対応する弾性舌片を収容する少なくとも1つの凹溝(80T,80U)を含み、前記凹溝は、ロック時に収容した弾性舌片と前記テレスコ方向の対応する方向にそれぞれ係合可能な一対の内壁部(81T,81U)を含むステアリング装置である。
【0016】
請求項17記載の発明は、請求項16において、テレスコ方向の一方側における前記締付部材の端部(251U)と、テレスコ方向の他方側における前記凹溝の内壁部との間の距離(DU)が、テレスコ方向における前記弾性舌片の配置ピッチ(PS)の整数倍と一致しないステアリング装置である。
請求項18記載の発明は、請求項11〜17の何れか一項において、前記支持部として、前記一対の長手縁部にそれぞれ沿う一対の支持部(63Z)が設けられ、前記一対の支持部の一方に支持されて前記列をなす前記弾性舌片の配置の位相と、前記一対の支持部の他方に支持されて前記列をなす前記弾性舌片の配置の位相とが、互いに異なっているステアリング装置である。
【0017】
請求項19記載の発明は、請求項11〜18の何れか一項において、前記弾性舌片は、テレスコ方向に対向する板厚面(65Sa)とテレスコ方向に延びる板面とを含む板片であり、テレスコ方向に関する前記板面(65Sb)の幅は、板厚よりも大きいステアリング装置である。
請求項20記載の発明は、請求項19において、前記弾性舌片としての板片は、対応する溝から突出する部分として、頂部(76S)と前記頂部の両側に配置され互いに逆向きに傾斜する一対の斜面部(77S)とを有する山形部(75S)を含み、対応する溝から突出した山形部が対応する第1側板からテレスコ方向の荷重を受けるときに、前記一対の斜面部が前記溝の縁部によって受けられることにより前記山形部が両持ち支持されるステアリング装置である。
【0018】
なお、上記において、括弧内の数字等は、後述する実施形態における対応構成要素の参照符号を表すものであるが、これらの参照符号により特許請求の範囲を限定する趣旨ではない。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の発明によれば、締付部材の押圧面が弾性舌片を溝内に退避させるので、チルト方向における締付部材の位置にかかわらず、いわゆるハーフロックを発生させることなくステアリングコラムの位置をロックすることができる。
また、ロック状態において、二次衝突時に操舵部材にチルト方向の衝撃が加わると、締付部材のチルト方向の端部が、当該端部とチルト方向に対向するように溝から突出し対応する仕切り要素によってチルト方向への移動を規制される弾性舌片と、チルト方向に当接することにより、締付部材のチルト方向への移動が規制される。このようにチルト方向に対向する部材同士がチルト方向に当接することによって、ステアリングコラムのチルト方向への移動が物理的に規制されるので、高保持力の強固なロックを実現することができる。
【0020】
さらに、単一の部材である舌片ユニットと仕切り要素とを設ければよいので、部品点数の増加を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、ロック時では、仕切り要素の受け部が締付部材による締付荷重を受ける一方、溝内に退避した弾性舌片が過度な締付荷重を受けることがない。よって、弾性舌片の耐久性の向上を図ることができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、第1側板の外側面に沿って固定された枠板に、仕切り要素を設けるため、ロック装置の薄型化を図ることができる。
請求項4記載の発明によれば、舌片ユニットの支持部を、枠板と対応する第1側板との間に挟持することにより、前記支持部を第1側板に安定して保持することができる。
請求項5記載の発明によれば、仕切り要素としての複数の凸リブを第1側板と一体に設けることで、ロック装置の薄型化および簡素化を図ることができる。
【0022】
請求項6記載の発明によれば、ロック状態において、二次衝突時に操舵部材にチルト方向の衝撃が加わると、締付部材の押圧面の凹溝内に収容された弾性舌片が、凹溝の対応する内壁部とチルト方向に係合する。これにより、締付部材のチルト方向への移動規制を行うことができる。
請求項7記載の発明によれば、二次衝突時に締付部材がチルト方向に移動規制される位置を弾性舌片の配置ピッチよりも細かいピッチ間隔で設定することができる。これにより、二次衝突時に、締付部材の端部が、溝から突出している弾性舌片とチルト方向に係合するまでに移動する場合の最大距離(前記ピッチ間隔に相当)を短くすることができる。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、二次衝突時に、締付部材がチルト方向に移動規制される位置を、各列の弾性舌片の配置ピッチよりも細かいピッチ間隔で設定することができる。これにより、二次衝突時に、締付部材の端部が、溝から突出している弾性舌片とチルト方向に係合するまでに移動する場合の最大距離(前記ピッチ間隔に相当)を短くすることができる。
【0024】
請求項9記載の発明によれば、弾性舌片が、板厚面よりも幅の広い板面方向にチルト方向の荷重を受けるので、チルト方向の荷重に対する強度を向上することができる。
請求項10記載の発明によれば、溝から突出する山形部は、仕切り要素によって両持ち支持されるため、チルト方向の荷重に対する強度をより向上することができる。
請求項11記載の発明によれば、第1側板の押圧面が弾性舌片を溝内に退避させるので、テレスコ方向における第1側板の位置にかかわらず、いわゆるハーフロックを発生させることなくステアリングコラムの位置をロックすることができる。
【0025】
また、ロック状態において、二次衝突時に操舵部材にテレスコ方向の衝撃が加わると、第1側板のテレスコ方向の端部が、当該端部とテレスコ方向に対向するように溝から突出し対応する仕切り要素によってテレスコ方向への移動を規制される弾性舌片と、テレスコ方向に当接することにより、第1側板のテレスコ方向への移動が規制される。このように、テレスコ方向に対向する部材同士がテレスコ方向に当接することによって、ステアリングコラムのテレスコ方向への移動が物理的に規制されるので、高保持力の強固なロックを実現することができる。
【0026】
さらに、単一の部材である舌片ユニットと仕切り要素とを設ければよいので、部品点数の増加を抑制することができる。
請求項12記載の発明によれば、ロック時では、仕切り要素の受け部が第1側板による締付荷重を受ける一方、溝内に退避した弾性舌片が過度な締付荷重を受けることがない。よって、弾性舌片の耐久性の向上を図ることができる。
【0027】
請求項13記載の発明によれば、第2側板の外側面に沿って固定された枠板に、仕切り要素を設けるため、ロック装置の薄型化を図ることができる。
請求項14記載の発明によれば、舌片ユニットの支持部を、枠板と対応する第2側板との間に挟持することにより前記支持部を第2側板に安定して保持することができる。
請求項15記載の発明によれば、仕切り要素としての複数の凸リブを第2側板と一体に設けることで、ロック装置の薄型化および簡素化を図ることができる。
【0028】
請求項16記載の発明によれば、ロック状態において、二次衝突時に操舵部材にテレスコ方向の衝撃が加わると、第1側板の押圧面の凹溝内に収容された弾性舌片が、凹溝の対応する内壁部とテレスコ方向に係合する。これにより、第1側板のテレスコ方向への移動規制を行うことができる。
請求項17記載の発明によれば、二次衝突時に第1側板がテレスコ方向に移動規制される位置を弾性舌片の配置ピッチよりも細かいピッチ間隔で設定することができる。これにより、二次衝突時に、第1側板の端部が、溝から突出している弾性舌片とテレスコ方向に係合するまでに移動する場合の最大距離(前記ピッチ間隔に相当)を短くすることができる。
【0029】
請求項18記載の発明によれば、二次衝突時に、第1側板がテレスコ方向に移動規制される位置を、各列の弾性舌片の配置ピッチよりも細かいピッチ間隔で設定することができる。これにより、二次衝突時に、第1側板の端部が、溝から突出している弾性舌片とテレスコ方向に係合するまでに移動する場合の最大距離(前記ピッチ間隔に相当)を短くすることができる。
【0030】
請求項19記載の発明によれば、弾性舌片が、板厚面よりも幅の広い板面方向にテレスコ方向の荷重を受けるので、テレスコ方向の荷重に対する強度を向上することができる。
請求項20記載の発明によれば、溝から突出する山形部は、仕切り要素によって両持ち支持されるため、テレスコ方向の荷重に対する強度をより向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態のステアリング装置1の概略構成の一部破断模式的側面図である。
図1を参照して、ステアリング装置1は、ステアリングホイール等の操舵部材2が軸方向Xの一端に連結されたステアリングシャフト3と、インターミディエイトシャフト4等を介してステアリングシャフト3と連結された転舵機構5とを備える。
【0033】
転舵機構5は、操舵部材2の操舵に連動して転舵輪(図示せず)を転舵する例えばラックアンドピニオン機構である。操舵部材2の回転は、ステアリングシャフト3およびインターミディエイトシャフト4等を介して転舵機構5に伝達される。また、転舵機構5に伝達された回転は、図示しないラック軸の軸方向移動に変換される。これにより、転舵輪が転舵される。
【0034】
ステアリングシャフト3は、例えばスプライン嵌合やセレーション嵌合によって相対摺動可能に嵌合された筒状のアッパーシャフト6とロアーシャフト7とを有している。操舵部材2は、アッパーシャフト6の一端に連結されている。また、ステアリングシャフト3は、軸方向Xに伸縮可能である。
ステアリング装置1は、ステアリングシャフト3を回転可能に支持する中空のステアリングコラム8を備える。ステアリングシャフト3は、ステアリングコラム8内に挿通されており、複数の軸受9,10を介してステアリングコラム8によって回転可能に支持されている。
【0035】
ステアリングコラム8は、相対摺動可能に嵌合された例えばアウターコラムである筒状のアッパーコラム11と例えばインナーコラムである筒状のロアーコラム12とを有している。ステアリングコラム8は、軸方向Xに伸縮可能である。アッパーコラム11は、軸受9を介してアッパーシャフト6を回転可能に支持している。また、アッパーコラム11は、軸受9を介して、ステアリングシャフト3の軸方向Xに同行移動可能にアッパーシャフト6と連結されている。
【0036】
ステアリング装置1は、車体13に固定される固定ブラケット14と、固定ブラケット14によって支持されたチルト支軸15と、ロアーコラム12の外周に固定され、チルト支軸15によって回転可能に支持されたコラムブラケット16とを備える。ステアリングコラム8およびステアリングシャフト3は、チルト支軸15の中心軸線であるチルト中心CCを支点にして、チルト方向Yに回動可能(チルト可能)となっている。
【0037】
チルト中心CC回りにステアリングシャフト3およびステアリングコラム8が、回動(チルト)されることで、操舵部材2の位置が、チルト方向Yに調整される(いわゆるチルト調整)。また、ステアリングシャフト3およびステアリングコラム8が、軸方向Xに伸縮されることで、操舵部材2の位置が、テレスコ方向(軸方向X)に調整される(いわゆるテレスコ調整)。
【0038】
ステアリング装置1は、車体13に取り付けられる第1ブラケット17と、ステアリングコラム8のアッパーコラム11に固定された第2ブラケット18(ディスタンスブラケットに相当)と、ロック装置19とを備える。ロック装置19によって、両ブラケット17,18がロックされることにより、ステアリングコラム8の位置が車体13に対して固定されて、操舵部材2の位置が固定される。
【0039】
ロック装置19は、運転者が手動で回転操作する操作レバー20と、操作レバー20と一体回転可能であって両ブラケット17,18を挿通する締付軸21と、チルト方向Yにおける操舵部材2の位置を保持する保持力を向上するための保持力向上機構22と、を備える。締付軸21の中心軸線C1が、操作レバー20の回転中心に相当する。締付軸21は、チルト方向Yおよびテレスコ方向(軸方向X)と直交する方向に延びている。
【0040】
保持力向上機構22は、第1ブラケット17の一対の第1側板25(
図1では一方の第1側板25のみを示してある)のうちの少なくとも一方の第1側板25の外側面25aに沿うように保持されている。保持力向上機構22は、外側面25aに固定された枠板55を含む。本実施形態では、保持力向上機構22が一対の第1側板25の外側面25aのそれぞれに設けられている例に即して説明する(
図2参照)。
【0041】
締付軸21は、第1ブラケット17の一対の第1側板25にそれぞれ設けられたチルト用の長溝26と、第2ブラケット18の一対の第2側板27(
図1では一方の第2側板27のみを示してある)にそれぞれ設けられテレスコ方向(軸方向Xに相当)に延びる挿通溝としてのテレスコ用の長溝28とを挿通している。
締付軸21は、テレスコ調整の際、テレスコ用の長溝28に沿ってテレスコ方向に移動する。締付軸21は、チルト調整の際、チルト用の長溝26に沿ってチルト方向Yに移動する。
【0042】
図2に示すように、第1ブラケット17は、図示しないカプセル機構を介して車体13に離脱可能に支持された取付板30と、取付板30に沿って固定された天板31と、天板31の両端からチルト方向Yの下方に延びる一対の第1側板25とを備える。
図3に示すように、第1側板25に設けられた長溝26は、チルト方向Yに長手の一対の長手縁部32を含んでいる。
【0043】
第2ブラケット18は、第1ブラケット17の一対の第1側板25の内側面にそれぞれ対向する一対の第2側板27と、一対の第2側板27のチルト方向Yの下端間を連結する連結板33とを備えた溝形をなしている。
図2に示すように、締付軸21は、両側板25,27を貫通する軸部21aと、軸部21aの一端に設けられた頭部21bと、軸部21aの他端に設けられたねじ部21cとを含むボルトからなる。頭部21bは、操作レバー20に一体回転可能に固定されている。
【0044】
ロック装置19は、操作レバー20と一体回転する回転カム35と、回転カム35に対してカム係合する非回転カムを構成し一方の第1側板25を締め付ける第1締付部材36とを備える。
締付軸21の頭部21bと一方の第1側板25との間に、操作レバー20と、回転カム35と、第1締付部材36と、枠板55を含む一方の保持力向上機構22とが介在している。回転カム35および第1締付部材36は、締付軸21の頭部21bの近傍において、軸部21aによって支持されている。回転カム35は、締付軸21に対する軸方向Kの移動が規制されている。第1締付部材36は、締付軸21の軸方向Kに移動可能である。
【0045】
また、ロック装置19は、締付軸21のねじ部21cにねじ係合したナット37と、他方の第1側板25とナット37との間に介在し他方の第2側板27を締め付ける第2締付部材39と、第2締付部材39とナット37との間に介在した介在部材40とを含む。枠板55を含む他方の保持力向上機構22は、ナット37と、他方の第1側板25との間に介在している。
【0046】
第2締付部材39と介在部材40とは、ナット37の近傍において、締付軸21の軸部21aによって、軸方向Kに移動可能に支持されている。介在部材40は、ナット37と第2締付部材39との間に介在するワッシャ41と、ワッシャ41と第2締付部材39との間に介在する針状ころ軸受42とを備える。
回転カム35は、締付軸挿通孔を有する環状板43と、環状板43から板厚方向に延設され、操作レバー20の連結孔に一体回転可能に連結された筒状のボス44とを含む。
【0047】
非回転カムとしての第1締付部材36は、一方の第1側板25に対向する押圧面45を有し、締付軸挿通孔を有する締付板46と、締付板46の板厚方向に延設され一方の第1側板25の長溝26に挿通されて当該長溝26によって回転規制された筒状のボス47とを含む。
図7に示すように、締付方向(締付軸21の軸方向Kに相当)から見て、締付板46は、略矩形をなしている。締付板46は、チルト方向Yに対向する一対の第1端部461と、一対の長手縁部32の対向方向(チルト方向Yとは直交する方向)に対向する一対の第2端部462とを含む。
【0048】
図2に示すように、第2締付部材39は、他方の第1側板25に対向する押圧面50を有し、締付軸挿通孔を有する環状の締付板51と、締付板51の板厚方向に延設され他方の第1側板25の長溝26に挿通されて当該長溝26によって回転規制された筒状のボス52とを含む。
図9に示すように、締付方向(締付軸21の軸方向Kに相当)から見て、締付板51は、略矩形をなしている。締付板51は、チルト方向Yに対向する一対の第1端部511と、一対の長手縁部32の対向方向(チルト方向Yとは直交する方向)に対向する一対の第2端部512とを含む。
【0049】
図2に示すように、回転カム35の環状板43と非回転カム(第1締付部材36)の締付板46との対向面の一方に、カム突起(図示せず)が形成され、他方に、前記カム突起と係合するカム面が形成される。回転カム35と非回転カム(第1締付部材36)とによって、操作レバー20を介して回転カム35に入力された回転を、締付軸21上での非回転カム(第1締付部材36)の軸方向移動に変換するカム機構からなる運動変換機構Hが構成されている。
【0050】
締付軸21の軸部21aの外周には、例えばセレーション嵌合により締付軸21と一体回転するスリーブ53が嵌合している。スリーブ53の外周には、押上カム54が一体回転可能に設けられている。
操作レバー20のロック方向への回転操作に伴って、回転カム35が第1締付部材36(非回転カム)に対して回転することにより、第1締付部材36が締付軸21の軸方向Kに移動されて、第1締付部材36の締付板46と第2締付部材39の締付板51との間で、第1ブラケット17の両第1側板25が挟持されて、第1側板25が第2側板27に締め付けられる。
【0051】
これにより、第1ブラケット17の各第1側板25が、第2ブラケット18の対応する第2側板27に圧接されて、チルトロックおよびテレスコロックが達成される。また、押上カム54がロアーコラム12を押し上げることにより、両コラム11,12間のロックが達成される。
チルトロックおよびテレスコロックが達成されている状態から、操作レバー20をロック方向の反対方向へ回転操作すると、締付部材36,39による第2側板27の締め付けが解除され、チルト調整およびテレスコ調整が可能になる。締付部材36,39は、チルト調整時にステアリングコラム8のチルト方向Yへの回動とともにチルト方向Yに移動する締付軸21によって支持されている。そのため、締付部材36,39は、チルト調整時には、締付軸21およびステアリングコラム8と同行移動する。
【0052】
ここで、保持力向上機構22について詳しく説明する。
図3に示すように、保持力向上機構22は、舌片ユニット56および枠板55を含む。
舌片ユニット56は、チルト方向Yに延びる長孔58を区画する枠板62と、枠板62によって片持ち状に支持された複数の弾性舌片65をそれぞれ含む2つの弾性舌片列L1,L2とを備える。各弾性舌片列L1,L2の複数の弾性舌片65は、配置ピッチPでチルト方向Yに等間隔で並んでいる。長孔58は、軸方向Kから見て第1側板25の長溝26と重なっている。
【0053】
枠板62は、各弾性舌片列L1,L2の弾性舌片65をそれぞれ支持する一対の支持部としての縦枠64と、一対の縦枠64の両端部(チルト方向Yの端部)を連結する一対の横枠63とを含む。
図3および
図4(a)に示すように、枠板55は、チルト方向Yに延びる長孔57を区画する一対の縦枠66と、一対の縦枠66の両端部(チルト方向Yの端部)をそれぞれ連結する一対の横枠67とを含む。長孔57は、軸方向Kから見て第1側板25の長溝26と重なっている。
【0054】
図3に示すように、各縦枠66は、対応する弾性舌片列L1,L2の弾性舌片65をそれぞれ突出可能に収容する複数の溝61からなる溝列M1,M2と、各溝列M1,M2の溝61を互いに仕切る複数の仕切り要素としての仕切部59からなる仕切部列N1,N2とを含む。また、各縦枠66は、対応する仕切部列N1,N2の複数の仕切部59をそれぞれ格子状に連結する各一対の連結枠60を含む。
【0055】
枠板55および舌片ユニット56の枠板62は、枠板55の一対の横枠67に設けられたねじ挿通孔70および舌片ユニット56の枠板62の一対の横枠63に設けられたねじ挿通孔71にそれぞれ挿通されて、第1側板25のねじ孔72にそれぞれねじこまれる一対の固定ねじ73によって、第1側板25に固定されている。この状態で、舌片ユニット56の枠板62は、枠板55と第1側板25との間に配置されている。
【0056】
図8(a)および
図10(a)に示すように、舌片ユニット56の枠板62の一対の縦枠64は、第1側板25の外側面25aと、枠板55との間に挟持されている。この状態で、一対の縦枠64のそれぞれは、対応する長手縁部32に沿っている。
図5に示すように、弾性舌片65は、チルト方向Yとは概ね直交する方向に延びている。
図4(b)に示すように、弾性舌片65は、板片からなり、チルト方向Yに対向し板厚方向と平行な板厚面65aと、チルト方向Yに延びる板面65bとを含む。
【0057】
図6に示すように、弾性舌片65は、頂部76と頂部76の両側に配置され互いに逆向きに傾斜する一対の斜面部77とを有する山形部75を含む。頂部76を含む山形部75の一部75aは、第1側板25とは反対側へ向けて溝61から突出している。
図5に示すように、弾性舌片65は、仕切部59によってチルト方向Yへの移動が規制されている。
このような保持力向上機構22に関して、一方側の第1側板25に取り付けられた枠板55には、
図7に示すように、第1締付部材36の締付板46が締付方向(軸方向Kに相当)に対向している。弾性舌片列L1,L2の一部の弾性舌片65は、締付方向に関して、第1締付部材36の締付板46の押圧面45に対向している(
図8(a)参照)。
【0058】
他方側の第1側板25に取り付けられた枠板55には、
図9に示すように、第2締付部材39の締付板51が締付方向(締付軸21の軸方向K)に対向している。弾性舌片列L1,L2の一部の弾性舌片65は、締付方向(締付軸21の軸方向K)に関して、第2締付部材39の締付板51の押圧面50に対向している。(
図10(a)も参照)。
図8(a)および
図10(a)に示すアンロック状態では、各弾性舌片65が、第1側板25とは反対側へ向けて対応する溝61から突出している。
【0059】
図8(a)および
図10(a)に示すアンロック状態から、操作レバー20をロック方向へ回転操作し、締付部材36,39を締付方向(軸方向Kに相当)に移動させると、チルト方向Yに関して弾性舌片列L1,L2の一部の弾性舌片65が基端部65cを支点として撓ませられる(
図8(b)および
図10(b)も参照)。
図8(b)および
図10(b)に示すように、ロック時では、締付部材36,39の押圧面45,50によって押圧されて撓ませられた弾性舌片65は、対応する溝61内に退避している。この状態で、枠板55の各仕切部列N1,N2の仕切部59の表面からなる受け部78によって、締付部材36,39の押圧面45,50による締付荷重が、受けられる。
【0060】
図11に示すように、ロック状態では、チルト方向Yに関して弾性舌片列L1、L2の一部の弾性舌片65が、締付部材36,39の押圧面45,50によって溝61に退避させられている。締付部材36,39は、チルト方向Yに関して、撓まないで溝61から突出している弾性舌片65の間に介在している。
図7および
図9に示すように、二次衝突時に操舵部材2にチルト方向Yの衝撃が加わり、溝61から突出している弾性舌片65の間に介在する締付部材36,39がチルト方向Yへ移動すると、締付部材36,39の締付板46,51の第1端部461,511と、撓まないで溝61から突出している弾性舌片65の板厚面65aとが係合し、当該弾性舌片65がチルト方向Yの荷重を受ける。詳しくは、
図12に示すように、第1端部461,511と板厚面65aとの係合により、溝61から突出した山形部75の一部75aが対応する締付部材36,39からチルト方向Yの荷重を受ける。このとき、一対の斜面部77が隣接する仕切部59によって受けられることによって、山形部75が、荷重負荷方向(チルト方向Y)に関して両持ち支持される。
【0061】
本実施形態によれば、締付部材36,39の押圧面45,50が弾性舌片65を溝61内に退避させるので、チルト方向Yにおける締付部材36,39の位置にかかわらず、いわゆるハーフロックを発生させることなくステアリングコラム8の位置をロックすることができる。
また、ロック状態において、二次衝突時に操舵部材2にチルト方向Yの衝撃が加わると、締付部材36,39のチルト方向Yの端部461,511が、端部461,511とチルト方向Yに対向するように溝61から突出し対応する仕切部59によってチルト方向Yへの移動を規制される弾性舌片65と、チルト方向Yに当接することにより、締付部材36,39のチルト方向Yへの移動が規制される。このようにチルト方向Yに対向する部材同士(締付部材36,39と溝61から突出した弾性舌片65)がチルト方向Yに当接することによって、ステアリングコラム8のチルト方向Yへの移動が物理的に規制されるので、高保持力の強固なロックを実現することができる。
【0062】
さらに、単一の部材である舌片ユニット56と枠板55とを設ければよいので、部品点数の増加を抑制することができる。
また、ロック時では、仕切部59の受け部78が締付部材36,39による締付荷重を受ける一方、溝61内に退避して弾性舌片65が過度な締付荷重を受けることがない。よって、弾性舌片65の耐久性の向上を図ることができる。
【0063】
また、第1側板25の外側面25aに沿って固定された枠板55に、仕切部59を設けるため、締付部材36,39と第1側板25との間に摩擦力によってステアリングコラム8の位置をロックするために複数枚の板を備える従来の構成のステアリング装置と比較して、ロック装置19の薄型化を図ることができる。
また、舌片ユニット56の枠板62の一対の縦枠64を枠板55と対応する第1側板25との間にそれぞれ挟持することにより、一対の縦枠64を第1側板25に安定して保持することができる。
【0064】
また、弾性舌片65が、板厚面65aよりも幅の広い板面方向にチルト方向Yの荷重を受けるので、チルト方向Yの荷重に対する強度を向上することができる。
また、溝61から突出する山形部75は、仕切部59によって両持ち支持されるため、チルト方向Yの荷重に対する強度をより向上することができる。
(第2実施形態)
図13は、本発明の第2実施形態を示している。
図13に示す第2実施形態が
図11に示す第1実施形態と異なるのは、締付部材36P,39Pの押圧面45P,50Pがロック時に対応する弾性舌片65を収容する少なくとも1つの凹溝80Pを含む点である。第2実施形態では、凹溝80Pが複数設けられている
図13の例に即して説明する。ただし、凹溝80Pは、1つであってもよい。
【0065】
以下では、
図13の第2実施形態の構成要素において、第1実施形態と同じ構成要素には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する(以下の
図14〜
図17および
図21において同様。)。
凹溝80Pは、押圧面45P,50Pが締付板46P,51Pの板厚方向(軸方向Kに相当)に凹んだ部分である。凹溝80Pは、チルト方向Yに関して弾性舌片65の板厚面65aに対向する一対の内壁部81Pを含む。
【0066】
チルト方向Yにおける凹溝80Pの配置ピッチPPは、弾性舌片65の配置ピッチPの整数倍と一致している。
図13の例では、配置ピッチPPと配置ピッチPとは、一致している。
チルト方向Yにおける一方側の締付板46P,51Pの第1端部461P,511Pと、各凹溝80Pのチルト方向Yにおける他方側の内壁部81Pとの間の距離DPは、配置ピッチPの整数倍と一致している。
【0067】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同じ効果を奏する。
さらに、ロック状態において、二次衝突時に操舵部材2にチルト方向Yの衝撃が加わると、締付部材36P,39Pが、撓まないで溝61から突出している弾性舌片65にチルト方向Yに係合するときに、締付部材36P,39Pの押圧面45P,50Pの凹溝80P内に収容された各弾性舌片65が、対応する凹溝80Pの内壁部81Pとチルト方向Yに係合する。これにより、締付部材36P,39Pのチルト方向Yへの移動規制を行うことができる。
(第3実施形態)
図14(a)および
図14(b)は、本発明の第3実施形態を示している。
図14(a)に示す第3実施形態が
図13に示す第2実施形態と異なるのは、チルト方向Yにおける一方側の締付部材36Q,39Qの締付板46Q,51Qの第1端部461Q,511Qと、チルト方向Yにおける他方側の凹溝80Qの内壁部81Qとの間の距離DQが、弾性舌片65の配置ピッチPの整数倍と一致していない点である。
【0068】
第3実施形態では、凹溝80Qが複数設けられている
図14の例に即して説明する。ただし、凹溝80Qは、1つであってもよい。凹溝80Qの配置ピッチPQは弾性舌片65の配置ピッチPの整数倍と一致している。
第3実施形態によれば、第1実施形態と同じ効果を奏する。
さらに、二次衝突時に、締付部材36Q,39Qの端部461Q,511Qと対応する弾性舌片65とがチルト方向Yに係合するときと、ロック時に凹溝80Qの内壁部81Qと対応する弾性舌片65とがチルト方向Yに係合するときとでは、締付部材36Q,39Qのチルト方向Yにおける位置が異なる。つまり、締付部材36Q,39Qがチルト方向Yに移動規制される位置を弾性舌片65の配置ピッチPよりも細かいピッチ間隔(距離DQと配置ピッチPQとの差)で設定することができる。これにより、二次衝突時に、締付部材36Q,39Qの端部461Q,511Qが、溝61から突出している弾性舌片65とチルト方向Yに係合するまでに移動する場合の最大距離(前記ピッチ間隔に相当)を短くすることができる。
(第4実施形態)
図15および
図16は、本発明の第4実施形態を示している。
図15に示す第4実施形態が
図3に示す第1実施形態と異なるのは、ロック装置19Rの保持力向上機構22Rが枠板55(
図3参照)を含んでいない点である。
【0069】
保持力向上機構22Rは、枠板55の代わりに、各第1側板25R(
図15では、一方の第1側板25Rのみ示してある)に形成された一対の凸リブ列G1R,G2Rを含む。一対の凸リブ列G1R,G2Rは、複数の仕切り要素としての凸リブ82Rを含む。複数の凸リブ82Rは、対応する第1側板25と単一の材料で一体に設けられている。
複数の凸リブ82Rは、チルト方向Yに等間隔を空けて格子状に配列されている。複数の凸リブ82Rは、第1側板25Rの長手縁部32Rに沿って設けられている。各凸リブ82Rは、チルト方向Yとは概ね直交する方向に延びている。チルト方向Yに関して、複数の凸リブ82Rは、複数の溝61Rを互いの間に形成している。
【0070】
舌片ユニット56は、一対の固定ねじ73によって、第1側板25Rの外側面25Raに保持されている。各固定ねじ73は、舌片ユニット56の対応するねじ挿通孔71をそれぞれ挿通して、第1側板25Rの対応するねじ孔72にそれぞれねじ込まれる。
図16に示すように、隣接する凸リブ82R間に形成された溝61Rには、それぞれ対応する弾性舌片65が突出可能に収容されている。凸リブ82Rの頂部は、ロック時に対応する締付部材36,39の押圧面45,50によって押圧された弾性舌片65が対応する溝61R内に退避した状態で、対応する締付部材36,39による締付荷重を受ける受け部78Rを構成している。
【0071】
本実施形態によれば、第1実施形態と同じ効果を奏する。さらに、複数の仕切り要素としての凸リブ82Rを第1側板25Rと一体に設けることで、ロック装置19Rの薄型化および簡素化を図ることができる。ひいては、ステアリング装置1の小型化および簡素化を図ることができる。
(第5実施形態)
図17は、本発明の第5実施形態を示している。
図17に示す第5実施形態が
図1の第1実施形態と異なるのは、ロック装置19Sの保持力向上機構22Sが、テレスコ方向における操舵部材2の位置を保持する保持力を向上する点である。
【0072】
具体的には、第5実施形態のステアリング装置1Sでは、第1実施形態のステアリング装置1とは異なり、保持力向上機構22Sが第2側板27Sの外側面27Saに保持されており、第1ブラケット17Sの第1側板25Sが押圧面としての内側面25Sbを有する。
図17に示すように、第2ブラケット18Sの第2側板27Sのテレスコ用長溝28Sは、テレスコ方向に延びる一対の長手縁部79Sを含む。締付軸21は、第1側板25Sの挿通溝としてのチルト用長溝26と、第2側板27Sの長溝28Sに挿通している。
【0073】
保持力向上機構22Sは、舌片ユニット56Sと、枠板55Sとを含む。
舌片ユニット56Sは、テレスコ方向に延びる長孔58Sを区画する枠板62Sと、枠板62Sによって片持ち状に支持された複数の弾性舌片65Sをそれぞれ含む2つの弾性舌片列L1S,L2Sとを備える。
各弾性舌片列L1S,L2Sの複数の弾性舌片65Sは、配置ピッチPSでテレスコ方向に等間隔で並んでいる。長孔58Sは、軸方向Kから見て第2側板27Sの長溝28Sと重なっている。
【0074】
枠板62Sは、各弾性舌片列L1S,L2Sの弾性舌片65Sをそれぞれ支持する一対の支持部としての横枠63Sと、一対の横枠63Sの両端部(テレスコ方向の端部)を連結する一対の縦枠64Sとを含む。
枠板55Sは、テレスコ方向に延びる長孔57Sを区画する一対の横枠67Sと、一対の横枠67Sの両端部(チルト方向Yの端部)をそれぞれ連結する一対の縦枠66Sとを含む。長孔57Sは、軸方向Kから見て第2側板27Sの長溝28Sと重なっている。
【0075】
各横枠67Sは、対応する弾性舌片列L1S,L2Sの弾性舌片65Sをそれぞれ突出可能に収容する複数の溝61Sからなる溝列M1S,M2Sと、各溝列M1S,M2Sの溝61Sを互いに仕切る複数の仕切り要素としての仕切部59Sからなる仕切部列N1S,N2Sとを含む。また、各横枠67Sは、対応する仕切部列N1S,N2Sの複数の仕切部59Sをそれぞれ格子状に連接する各一対の連結枠60Sを含む。
【0076】
枠板55Sおよび舌片ユニット56Sの枠板62Sは、枠板55Sの一対の縦枠66Sに設けられたねじ挿通孔70Sおよび舌片ユニット56Sの枠板62Sの一対の縦枠64Sに設けられたねじ挿通孔71Sにそれぞれ挿通されて、第2側板27Sのねじ孔90Sにそれぞれねじこまれる一対の固定ねじ73によって、第2側板27Sに固定されている。この状態で、舌片ユニット56Sの枠板62Sは、枠板55Sと第2側板27Sとの間に配置されている。
【0077】
舌片ユニット56Sの枠板62Sの一対の横枠63Sは、第2側板27Sの外側面27Saと、枠板55Sとの間に挟持されている。この状態で、一対の横枠63Sのそれぞれは、対応する長手縁部79Sに沿っている。
弾性舌片65Sは、テレスコ方向とは概ね直交する方向に延びている。弾性舌片65Sは、板片からなり、テレスコ方向に対向し板厚方向と平行な板厚面65Saと、テレスコ方向に延びる板面65Sbとを含む。
【0078】
弾性舌片65Sは、頂部76Sと頂部76Sの両側に配置され互いに逆向きに傾斜する一対の斜面部77Sとを有する山形部75Sを含む。頂部76Sを含む山形部75Sの一部75Saは、第2側板27Sとは反対側へ向けて溝61Sから突出している。弾性舌片65Sは、仕切部59Sによってテレスコ方向への移動が規制されている。
このような保持力向上機構22Sに関して、各第2側板27Sに取り付けられた枠板55Sには、それぞれ対応する第1側板25Sが締付方向(軸方向Kに相当)に対向している。弾性舌片列L1S,L2Sの一部の弾性舌片65Sは、締付方向に関して、第1側板25Sの内側面25Sbに対向している。アンロック状態では、各弾性舌片65Sが、第2側板27Sとは反対側へ向けて対応する溝61Sから突出している。
【0079】
操作レバー20をロック方向へ回転操作し、第1側板25Sを締付方向(軸方向Kに相当)に締め付けると、テレスコ方向に関して弾性舌片列L1S,L2Sの一部の弾性舌片65が基端部を支点として撓ませられ、ロック装置19Sがロック状態になる。
ロック時には、弾性舌片列L1S,L2Sの一部の弾性舌片65Sは、対応する第1側板25Sの押圧面としての内側面25Sbによって押圧されることにより撓む。第1側板25Sによって撓ませられた弾性舌片65Sは、対応する溝61S内に退避している。この状態で、枠板55Sの各仕切部列N1S,N2Sの仕切部59Sの表面からなる受け部78Sによって、第1側板25Sの内側面25Sbによる締付荷重が受けられる。
【0080】
ロック時に、対応する第1側板25Sの内側面25Sbが、一部の弾性舌片65Sを押圧して撓ませて溝61S内に退避させることにより、対応する第1側板25Sが、テレスコ方向に関して、撓まないで溝61Sから突出している弾性舌片65Sの間に介在する。
溝61Sから突出している弾性舌片65Sの間に介在する第1側板25Sがテレスコ方向へ移動しようとすると、テレスコ方向における第1側板25Sの端部251Sと、撓まないで溝61Sから突出している弾性舌片65Sの板厚面65Saとが係合し、当該弾性舌片65Sがテレスコ方向の荷重を受ける。詳しくは、第1側板25Sの端部251Sと板厚面65Saとの係合により、溝61Sから突出した山形部75Sの一部75Saが対応する第1側板25Sからテレスコ方向の荷重を受ける。このとき、一対の斜面部77Sが隣接する仕切部59Sによって受けられることによって、山形部75Sが、荷重負荷方向(テレスコ方向)に関して両持ち支持される。
【0081】
本実施形態によれば、第1側板25Sの内側面25Sbが弾性舌片65Sを溝61S内に退避させるので、テレスコ方向における第1側板25Sの位置にかかわらず、いわゆるハーフロックを発生させることなくステアリングコラム8の位置をロックすることができる。
また、ロック状態において、二次衝突時に操舵部材2にテレスコ方向の衝撃が加わると、第1側板25Sのテレスコ方向の端部251Sが、端部251Sとテレスコ方向に対向するように溝61Sから突出し対応する仕切部59Sによってテレスコ方向への移動を規制される弾性舌片65と、テレスコ方向に当接することにより、第1側板25のテレスコ方向への移動が規制される。このように、テレスコ方向に対向する部材同士(第1側板25Sと溝61Sから突出した弾性舌片65S)がテレスコ方向に当接することによって、ステアリングコラムのテレスコ方向への移動が物理的に規制されるので、高保持力の強固なロックを実現することができる。
【0082】
さらに、ロック時では、仕切部59Sの受け部78Sが第1側板25Sによる締付荷重を受ける一方、溝61S内に退避した弾性舌片65Sが過度な締付荷重を受けることがない。よって、弾性舌片65Sの耐久性の向上を図ることができる。
また、第2側板27Sの外側面27Saに沿って固定された枠板55Sに、仕切部59Sを設けるため、従来のように、締付部材36,39と第1側板25Sとの間に摩擦力によってステアリングコラム8の位置をロックするために複数枚の板を備える構成のステアリング装置と比較して、ロック装置19Sの薄型化を図ることができる。
【0083】
また、舌片ユニット56Sの一対の横枠63Sを、枠板55Sと対応する第2側板27Sとの間にそれぞれ挟持することにより一対の横枠63Sを第2側板27Sに安定して保持することができる。
また、弾性舌片65Sが、板厚面65Saよりも幅の広い板面方向にテレスコ方向の荷重を受けるので、テレスコ方向の荷重に対する強度を向上することができる。
【0084】
また、溝から突出する山形部75Sは、仕切部59Sによって両持ち支持されるため、テレスコ方向の荷重に対する強度をより向上することができる。
(第6実施形態)
図18は、本発明の第6実施形態を示している。
以下では、
図18の第6実施形態の構成要素において、第5実施形態と同じ構成要素には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する(以下の
図19、
図20および
図22において同様。)。
【0085】
図18に示す第6実施形態が
図17に示す第5実施形態と異なるのは、第1側板25Tの内側面25Tbがロック時に対応する弾性舌片65Sを収容する少なくとも1つの凹溝80Tを含む点である。第6実施形態では、凹溝80Tが複数設けられている
図18の例に即して説明する。ただし、凹溝80Tは、1つであってもよい。
図18に示すように、凹溝80Tは、内側面25Tbが第1側板25Tの板厚方向(軸方向Kに相当)に凹んだ部分である。凹溝80Tは、チルト方向Yに関して弾性舌片65の板厚面65Saに対向する一対の内壁部81Tを含む。
【0086】
テレスコ方向における凹溝80Tの配置ピッチPTは、弾性舌片65の配置ピッチPSの整数倍と一致している。
図18の例では、配置ピッチPTと配置ピッチPSとは、一致している。
テレスコ方向の一方側における第1側板25Tの端部251Tと、各凹溝80Tのテレスコ方向の他方側における内壁部81Tとの間の距離DTは、配置ピッチPSの整数倍と一致している。
【0087】
第6実施形態によれば、第5実施形態と同じ効果を奏する。
さらに、ロック状態において、二次衝突時に操舵部材2にテレスコ方向の衝撃が加わると、第1側板25Tの内側面25Tbが、テレスコ方向に関して、撓まないで溝61Sから突出している弾性舌片65Sに係合すると同時に、第1側板25Tの内側面25Tbの凹溝80T内に収容された弾性舌片65Sが、凹溝80Tの対応する内壁部81Tとテレスコ方向に係合する。これにより、第1側板25Tのテレスコ方向への移動規制を行うことができる。
(第7実施形態)
図19は、本発明の第7実施形態を示している。
図19に示す第7実施形態が
図18に示す第6実施形態と異なるのは、テレスコ方向における一方側の第1側板25Uの端部251Uと、テレスコ方向における他方側の凹溝80Uの内壁部81Uとの間の距離DUとが、弾性舌片65Sの配置ピッチPSと一致していない点である。
【0088】
第7実施形態では、凹溝80Uが複数設けられている
図14の例に即して説明する。ただし、凹溝80Uは、1つであってもよい。凹溝80Uの配置ピッチPUは弾性舌片65Sの配置ピッチPSの整数倍と一致している。
第7実施形態によれば、第5実施形態と同じ効果を奏する。
さらに、二次衝突時に、第1側板25Uの端部251Uと対応する弾性舌片65Sとがテレスコ方向に係合するときと、ロック時に凹溝80Uの内壁部81Uと対応する弾性舌片65Sとがテレスコ方向に係合するときとでは、第1側板25Uのテレスコ方向における位置が異なる。つまり、第1側板25Uがテレスコ方向に移動規制される位置を弾性舌片65Sの配置ピッチよりも細かいピッチ間隔(距離DUと配置ピッチPUとの差)で設定することができる。これにより、二次衝突時に、第1側板25Uの端部251Uが、溝61Sから突出している弾性舌片65Sとテレスコ方向に係合するまでに移動する場合の最大距離(前記ピッチ間隔に相当)を短くすることができる。
(第8実施形態)
図20は、本発明の第8実施形態を示している。
図20に示す第8実施形態が
図17に示す第5実施形態と異なるのは、ロック装置19Vの保持力向上機構22Vが枠板55S(
図17参照)を含んでいない点である。
【0089】
保持力向上機構22Vは、枠板55Sの代わりに、各第2側板27V(
図20では、一方の第2側板27Vのみ示してある)に形成された一対の凸リブ列G1V,G2Vを含む。一対の凸リブ列G1V,G2Vが、複数の仕切り要素としての凸リブ82Vを含む。複数の凸リブ82Vは、対応する第2側板27Vと単一の材料で一体に設けられている。
複数の凸リブ82Vは、テレスコ方向に等間隔を空けて格子状に配列されている。複数の凸リブ82Vは、第2側板27Vの長手縁部79Vに沿って設けられている。各凸リブ82Vは、テレスコ方向とは概ね直交する方向に延びている。テレスコ方向に関して、複数の凸リブ82Vは、複数の溝61Vを互いの間に形成している。
【0090】
舌片ユニット56Sは、一対の固定ねじ73によって、第2側板27Vの外側面27Vaに保持されている。各固定ねじ73は、舌片ユニット56Sの対応するねじ挿通孔71Sをそれぞれ挿通して、第2側板27Vの対応するねじ孔90Sにそれぞれねじ込まれる。
隣接する凸リブ82V間に形成された溝61Vには、それぞれ対応するそれぞれ対応する弾性舌片65Sが突出可能に収容されている。凸リブ82Vの頂部は、ロック時に対応する第1側板25Sの内側面25Sbによって押圧された弾性舌片65が対応する溝61V内に退避した状態で、対応する第1側板25Sによる締付荷重を受ける受け部78Vを構成している。
【0091】
本実施形態によれば、第5実施形態と同じ効果を奏する。さらに、複数の凸リブ82Vを第2側板27Vと一体に設けることで、ロック装置19Vの薄型化および簡素化を図ることができる。ひいては、ステアリング装置1Sの小型化および簡素化を図ることができる。
(第9実施形態)
図21は、本発明の第9実施形態を示している。
図21に示す第9実施形態が
図7および
図9に示す第1実施形態と異なるのは、舌片ユニット56Wの一対の支持部としての縦枠64Wの一方に支持されて弾性舌片列L1Wをなす弾性舌片65Wの配置の位相と、一対の縦枠64Wの他方に支持されて弾性舌片列L2Wをなす弾性舌片65Wの配置の位相とが、互いに異なっている点である。
【0092】
弾性舌片列L1Wの弾性舌片65Wの配置ピッチP1Wと、弾性舌片列L2Wの弾性舌片65Wの配置ピッチP2Wとは、互いに等しくされている。弾性舌片列L1Wの弾性舌片65Wの配置の位相と、弾性舌片列L2Wの弾性舌片65Wの配置の位相との差は、配置ピッチP1W(P2W)の半分に相当する。
また、枠板55Wの一対の縦枠66Wのそれぞれは、対応する弾性舌片列L1W,L2Wの弾性舌片65Wをそれぞれ突出可能に収容する複数の溝61Wからなる溝列M1W,M2Wと、各溝列M1W,M2Wの溝61Wを互いに仕切る複数の仕切り要素としての仕切部59Wからなる仕切部列N1W,N2Wとを含む。
【0093】
本実施形態によれば、第1実施形態と同じ効果を奏する。さらに、二次衝突時に、締付部材36,39がチルト方向Yに移動規制される位置を、各弾性舌片列L1W,L2Wの弾性舌片65Wの配置ピッチP1W,P2Wよりも細かいピッチ間隔PWで設定することができる。これにより、二次衝突時に、締付部材36,39の端部461,511が、溝61Wから突出している弾性舌片65Wとチルト方向Yに係合するまでに移動する場合の最大距離(ピッチ間隔PWに相当)を短くすることができる。
(第10実施形態)
図22は、本発明の第10実施形態を示している。
図22に示す第10実施形態が
図17に示す第5実施形態と異なるのは、舌片ユニット56Zの一対の支持部としての横枠63Zの一方に支持されて弾性舌片列L1Zをなす弾性舌片65Zの配置の位相と、一対の横枠63Zの他方に支持されて弾性舌片列L2Zをなす弾性舌片65Zの配置の位相とが、互いに異なっている点である。
【0094】
弾性舌片列L1Zの弾性舌片65Zの配置ピッチP1Zと、弾性舌片列L2Zの弾性舌片65Zの配置ピッチP2Zとは、互いに等しくされている。弾性舌片列L1Zの弾性舌片65Zの配置の位相と、弾性舌片列L2Zの弾性舌片65Zの配置の位相との差は、配置ピッチP1Z(P2Z)の半分に相当する。
また、枠板55Zの一対の縦枠66Zのそれぞれは、対応する弾性舌片列L1Z,L2Zの弾性舌片65Zをそれぞれ突出可能に収容する複数の溝61Zからなる溝列M1Z,M2Zと、各溝列M1Z,M2Zの溝61Zを互いに仕切る複数の仕切り要素としての仕切部59Zからなる仕切部列N1Z,N2Zとを含む。
【0095】
本実施形態によれば、第5実施形態と同じ効果を奏する。さらに、二次衝突時に、第1側板25Sがテレスコ方向に移動規制される位置を、各弾性舌片列L1Z,L2Zの弾性舌片65Zの配置ピッチP1Z,P2Zよりも細かいピッチ間隔PZで設定することができる。これにより、二次衝突時に、第1側板25Sの端部251Sが、溝61Zから突出している弾性舌片65Zとテレスコ方向に係合するまでに移動する場合の最大距離(ピッチ間隔PZに相当)を短くすることができる。
【0096】
本発明は、各前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。