特許第6304544号(P6304544)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304544
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】ケース側コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/74 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   H01R13/74 B
   H01R13/74 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-143332(P2014-143332)
(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公開番号】特開2016-18774(P2016-18774A)
(43)【公開日】2016年2月1日
【審査請求日】2016年10月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 道代
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−234744(JP,A)
【文献】 米国特許第05002497(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/56 − 13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器のケースの内部に設けられた装着凹部に収容されるケース側コネクタであって、
一対の第1外側面が第1の方向に並んで平行に配置され、一対の第2外側面が前記第1の方向とは異なる第2の方向に並んで平行に配置されたハウジングと、
前記一対の第1外側面にそれぞれ設けられ、前記第1の方向に撓み可能な一対の抜け止め片と、
前記一対の第2外側面にそれぞれ設けられ、前記第2の方向に撓み可能な一対の位置決め片と、
前記一対の抜け止め片の先端部にそれぞれ設けられ、前記装着凹部の内壁に設けられた一対の被係止部と係止することで前記ハウジングが前記装着凹部において抜け止めされる一対の係止部と、
前記第2外側面に突設され、前記装着凹部の内壁に設けられたリブに干渉可能な回り止め突部とを備え
前記抜け止め片は、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に直交する第3の方向に片持ち状をなして延出する形態とされており、
前記位置決め片は、前記抜け止め片とは反対方向に片持ち状をなして延出する形態とされているケース側コネクタ。
【請求項2】
機器のケースの内部に設けられた装着凹部に収容されるケース側コネクタであって、
一対の第1外側面が第1の方向に並んで平行に配置され、一対の第2外側面が前記第1の方向とは異なる第2の方向に並んで平行に配置されたハウジングと、
前記一対の第1外側面にそれぞれ設けられ、前記第1の方向に撓み可能な一対の抜け止め片と、
前記一対の第2外側面にそれぞれ設けられ、前記第2の方向に撓み可能な一対の位置決め片と、
前記一対の抜け止め片の先端部にそれぞれ設けられ、前記装着凹部の内壁に設けられた一対の被係止部と係止することで前記ハウジングが前記装着凹部において抜け止めされる一対の係止部と、
前記第2外側面に突設され、前記装着凹部の内壁に設けられたリブに干渉可能な回り止め突部とを備え、
前記リブは、前記装着凹部の入口部分において前記装着凹部への収容方向とは反対方向に突出して設けられているケース側コネクタ。
【請求項3】
前記抜け止め片は、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に直交する第3の方向に片持ち状をなして延出する形態とされている請求項2に記載のケース側コネクタ。
【請求項4】
前記位置決め片は、前記抜け止め片とは反対方向に片持ち状をなして延出する形態とされている請求項3に記載のケース側コネクタ。
【請求項5】
記回り止め突部は、前記第3の方向において前記一対の位置決め片の先端側にそれぞれ配されている請求項1、請求項3または請求項に記載のケース側コネクタ。
【請求項6】
記回り止め突部は、前記一対の第2外側面における一側縁部にそれぞれ片寄って配されている請求項1から請求項のいずれか一項に記載のケース側コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、ケース側コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器のケースの内部に組み付けられるケース側コネクタとして、特開2012−234744号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。このケース側コネクタは、前後方向に長い略方形のブロック状をなすケース側ハウジングを有し、ケース内の端子台に凹設された装着凹部に収容される。ケース側ハウジングの外側面には、片持ち状をなす複数の可撓片が弾性変形可能に設けられている。この可撓片は、ケース側ハウジングの4つの外側面にそれぞれ設けられている。一方、端子台の装着凹部には、可撓片の先端部に設けられた抜止部と係止可能な保持突起が設けられている。ケース側コネクタを装着凹部に収容すると、各抜止部が各保持突起に係止することにより、ケース側コネクタが装着凹部に抜け止めされた状態に収容される。
【0003】
上記ケース側コネクタには、カバー側コネクタが嵌合可能とされている。このカバー側コネクタは、ケース側コネクタに対して芯ずれした状態で嵌合する場合があり、この場合にはケース側ハウジングの可撓片が弾性変形することによってケース側コネクタが平行移動して芯ずれを吸収できるようになっている。また、可撓片の先端部には、フランジが側方に張り出す形態で設けられており、このフランジを装着凹部の内壁に設けられた案内溝に収容することで、ケース側コネクタの回り止めが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−234744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、機器の種類によってケース内における他の部材の設置スペースとの兼ね合いにより、可撓片にフランジを設定できない場合がある。この場合、可撓片自体を装着凹部の内壁に干渉させることでケース側コネクタの回り止めを行うことになるが、可撓片自体が弾性変形することから、ケース側コネクタの回り止めを十分に行うことができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示されるケース側コネクタは、機器のケースの内部に設けられた装着凹部に収容されるケース側コネクタであって、一対の第1外側面が第1の方向に並んで平行に配置され、一対の第2外側面が前記第1の方向とは異なる第2の方向に並んで平行に配置されたハウジングと、前記一対の第1外側面にそれぞれ設けられ、前記第1の方向に撓み可能な一対の抜け止め片と、前記一対の第2外側面にそれぞれ設けられ、前記第2の方向に撓み可能な一対の位置決め片と、前記一対の抜け止め片の先端部にそれぞれ設けられ、前記装着凹部の内壁に設けられた一対の被係止部と係止することで前記ハウジングが前記装着凹部において抜け止めされる一対の係止部と、前記第2外側面に突設され、前記装着凹部の内壁に設けられたリブに干渉可能な回り止め突部とを備えた構成とした。
【0007】
このような構成によると、抜け止め片の係止部を装着凹部の被係止部に係止させることにより、ハウジングが装着凹部において抜け止めされる。また、一対の抜け止め片によってハウジングが第1の方向に移動可能とされ、一対の位置決め片によってハウジングが第2の方向に移動可能とされているため、相手側コネクタとの嵌合の際に、芯ずれを吸収することができる。さらに、回り止め突部をリブに干渉させることでハウジングの回り止めを行うことができる。
【0008】
すなわち、撓み可能な位置決め片に回り止め突部を設けるのではなく、第2外側面に回り止め突部を設けてこの回り止め突部を装着凹部の内壁に干渉させるようにしたから、回り止め突部によってハウジングの回り止めを確実に行うことができる。また、位置決め片の先端部に係止部が設けられていないから、ケース側コネクタの設置スペースが狭い場合(第2外側面とこれに対向する装着凹部の内側面とが近い場合)においても、ハウジングを装着凹部に収容することができる。したがって、ケース側コネクタの設置スペースが狭い場合でも、回り止めを確実に行うことができる。
【0009】
本明細書によって開示されるケース側コネクタは、以下の構成としてもよい。
前記抜け止め片は、前記第1の方向と前記第2の方向の双方に直交する第3の方向に片持ち状をなして延出する形態とされている構成としてもよい。
このような構成によると、抜け止め片が第2の方向ではなく第3の方向に延出しているから、設置スペースの制約を受けずに抜け止め片の長さを設定することができる。
【0010】
前記位置決め片は、前記抜け止め片とは反対方向に片持ち状をなして延出する形態とされている構成としてもよい。
このような構成によると、位置決め片が第2の方向ではなく第3の方向に延出しているから、設置スペースの制約を受けずに位置決め片の長さを設定することができる。
【0011】
前記一対の回り止め突部は、前記第3の方向において前記一対の位置決め片の先端側に配されている構成としてもよい。
このような構成によると、位置決め片の先端部と回り止め突部とが近くに配されるため、回転方向の力を受けた際に、位置決め片の先端部が装着凹部の内壁に干渉することを回避しやすい。
【0012】
前記一対の回り止め突部は、前記第2外側面における一側縁部に片寄って配されている構成としてもよい。
このような構成によると、一対の回り止め突部が回転非対称となるため、ケース側コネクタを装着凹部へ収容する際に、誤結防止がしやすくなる。
【0013】
前記リブは、前記装着凹部の入口部分において前記装着凹部への収容方向とは反対方向に突出して設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、ケース側コネクタを装着凹部へ収容する際に、リブが見やすくなり、装着凹部に対する誤結防止をしやすくなる。
【発明の効果】
【0014】
本明細書によって開示されるケース側コネクタによれば、ケース側コネクタの設置スペースが狭い場合でも、回り止めを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ケース側コネクタが装着凹部に装着された状態を開口部側から見た背面図
図2図1におけるA−A線断面図
図3図1におけるB−B線断面図
図4】ケース側コネクタが回り止めされた状態を示した背面図
図5】ケース側コネクタの斜視図
図6】ケース側コネクタの正面図
図7】ケース側コネクタの背面図
図8】ケース側コネクタの底面図
図9】ケース側コネクタの平面図
図10】ケース側コネクタの側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
実施形態を図1から図10の図面を参照しながら説明する。本実施形態のケース側コネクタ10は、機器のケースの内部で用いられる機器用コネクタである。機器のケースの内部には、図1から図3に示すように、端子台40が配設されており、この端子台40に装着凹部41が設けられている。この装着凹部41にケース側コネクタ10が装着されており、このケース側コネクタ10に対して相手側コネクタ50が嵌合可能とされている。ケース側コネクタ10と相手側コネクタ50が嵌合すると、インターロック回路がつながった状態になって通電可能な状態に切り替わる。なお、以下の説明においては相手側コネクタ50との嵌合面側を前側とし、上下左右については図1を基準とする。
【0017】
装着凹部41は、図2に示すように、前後方向に貫通する孔であって、前方に開口する形態をなす前側凹部42と、後方に開口する形態をなす後側凹部43と、前側凹部42と後側凹部43を連通させる連通凹部44とを備えて構成されている。図1は、後側凹部43から見た背面図であって、後側凹部43の内壁における左右両側は、複数の第1リブ45と複数の第2リブ46とが設けられている。また、図3に示すように、連通凹部44の内壁における上下両側には、一対の被係止部47が設けられている。
【0018】
第1リブ45は、図1に示すように、後側凹部43の内壁における上側の左右両側に一対設けられている。第1リブ45は平板状をなして後方に突出する形態とされている。第2リブ46は、一対の第1リブ45の下方にそれぞれ位置して一対設けられている。第2リブ46はクランク状をなし、第1リブ45と対向する対向リブ46Aと、この対向リブ46Aの内側端部から下方に延びる縦リブ46Bと、この縦リブ46Bの下端部から内側に延びる横リブ46Cとからなる。対向リブ46Aと横リブ46Cは平行に配され、対向リブ46Aの幅寸法と横リブ46Cの幅寸法とを合わせた幅寸法が、第1リブ45の幅寸法と同じとされている。
【0019】
ケース側コネクタ10は、図5に示すように、略方形のブロック状をなすハウジング20を有している。このハウジング20は合成樹脂製であって、前後方向に長い形状とされている。ハウジング20は、上下一対の第1外側面21と、左右一対の第2外側面22とを有している。上下一対の第1外側面21は互いに平行に配され、左右一対の第2外側面22は互いに平行に配され、図6に示すように、複数の外側面21、22は正面視で横長の長方形状となるように配されている。
【0020】
ハウジング20の上下両側には、上下一対の抜け止め片30が設けられている。各抜け止め片30は、上下一対の第1外側面21の後端部から前方に向けて片持ち状に延出する形態とされている。各抜け止め片30の前端部には、各外側面21から離れる方向に突出する爪形状の上下一対の係止部31が設けられている。図3に示すように、ケース側コネクタ10を後側凹部43から前側凹部42に向けて装着すると、各係止部31が各被係止部47に前方から係止するようになっており、これによりケース側コネクタ10が後方へ抜け止めされた状態で端子台40に装着されている。
【0021】
ハウジング20の左右両側には、左右一対の位置決め片32が設けられている。各位置決め片32は、左右一対の第2外側面22の前後方向中央部から後方に向けて片持ち状に延出する形態とされている。位置決め片32は、抜け止め片30よりも幅狭となっており、抜け止め片30とは違って位置決め片32の先端部には、係止部が設けられていない。したがって、位置決め片32は、端子台40に対する係止機能を有していない。各抜け止め片30と各位置決め片32は、いずれも弾性的に撓み変形可能とされている。図2および図3に示すように、各抜け止め片30と各位置決め片32は、連通凹部44の内壁に当接しており、ケース側コネクタ10を装着凹部41においてセンタリングするように作用している。また、相手側コネクタ50がケース側コネクタ10に対して芯ずれした状態で嵌合が行われた場合に、相手側コネクタ50の位置に合わせてケース側コネクタ10を移動させることで芯ずれを吸収した上で嵌合できるようになっている。
【0022】
また、ハウジング20の左右両側における後端部には、上下一対の保護壁33が立設されている。これらの保護壁33は、図6に示すように、前方から見ると位置決め片32の上下両側に配され、図10に示すように、側方から見ると位置決め片32の先端の上下両側に配されている。これにより、位置決め片32の先端が一対の保護壁33によって保護される。
【0023】
上側の保護壁33の上面には、上方に延びる縦壁34が立設され、下側の保護壁33の下面には、下方に延びる縦壁34が立設されている。また、上側の縦壁34の前端部には、側方に張り出す回り止め突部35が設けられている。図10に示すように、保護壁33と縦壁34は、同じ幅寸法でかつ平板状とされているのに対して、回り止め突部35は、縦壁34よりも小さい幅寸法でかつ棒状とされている。また、回り止め突部35は、縦壁34の前端よりも前側にオフセットして配されている。回り止め突部35の下面と位置決め片32の先端上面とは、上下方向に対向する配置とされている。さらに、位置決め片32の基端部と抜け止め片30の係止部31とは、前後方向においてほぼ揃うように配されている。なお、一対の回り止め突部35は、第2外側面22における上側縁部に配されており、後方から見た場合に、ケース側コネクタ10の軸心に関して回転非対称となるように設けられている。
【0024】
図1に示すように、第1リブ45と第2リブ46の間には、前止まり用の突当面48が設けられている。この突当面48は、後方に臨んで配されている。回り止め突部35が第1リブ45と対向リブ46Aの間に進入すると、回り止め突部35が突当面48に後方から当接することでケース側コネクタ10の前止まりがなされる。このように第1リブ45と第2リブ46が後方に臨んで配されていることにより、回り止め突部35を第1リブ45と第2リブ46の間に挿入しやすくなり、ケース側コネクタ10の端子台40に対する誤結防止がしやすくなる。
【0025】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。ケース側コネクタ10を端子台40の装着凹部41に対して後方から挿入すると、一対の係止部31が一対の被係止部47の乗上面47Aに乗り上げつつ抜け止め片30が弾性変形し、一対の係止部31が一対の乗上面47Aを乗り越えると抜け止め片30が弾性復帰して、図3に示すように、一対の係止部31と一対の被係止部47の係止面47Bとが係止した状態となる。また、一対の回り止め突部35が一対の突当面48に当接することでケース側コネクタ10が前止まりされる。これにより、ケース側コネクタ10が後方に抜け止めされた状態で装着凹部41に収容される。
【0026】
また、上側の抜け止め片30は上側の被係止部47の乗上面47Aに当接し、下側の係止部31は下側の被係止部47の乗上面47Aに当接した状態となる。一方、一対の位置決め片32は、図2に示すように装着凹部41に収容されると、連通凹部44の内壁における左右両側面によってわずかに弾性変形した状態となる。したがって、左側の位置決め片32は連通凹部44の内壁における左側面に当接し、右側の位置決め片32は連通凹部44の内壁における右側面に当接した状態となる。これにより、ケース側コネクタ10は、装着凹部41においてセンタリングされる。また、各可撓片30、32が必要に応じて弾性変形することで相手側コネクタ50との嵌合時における芯ずれを吸収することができる。
【0027】
次に、ケース側コネクタ10が例えば反時計回り方向に力を受けた場合について、図4を参照しながら説明する。本実施形態では、4つの干渉ポイントI1、I2、I3、I4でケース側コネクタ10が装着凹部41の内壁に当接することによってケース側コネクタ10の回り止めがなされるものを例示している。干渉ポイントI1は、左側の回り止め突部35が左側の対向リブ46Aの上面に上方から当接する点である。干渉ポイントI2は、右側の回り止め突部35が右側の第1リブ45の下面に下方から当接する点である。干渉ポイントI3は、下側の係止部31が連通凹部44の内壁における右側面に左方から当接する点である。干渉ポイントI4は、上側の係止部31が連通凹部44の内壁における左側面に右方から当接する点である。
【0028】
干渉ポイントI1、I2については、一対の回り止め突部35が位置決め片32ではなく第2外側面22に対して変形しにくい態様で設けられており、ケース側コネクタ10の回り止めを確実に行うことができるようになっている。また、干渉ポイントI3、I4については、抜け止め片30が位置決め片32よりも幅広でかつ第1外側面21と同幅で形成されていることから、係止部31が連通凹部44の内壁に側方から当接しても抜け止め片30が側方に変形しにくくなっており、ケース側コネクタ10の回り止めを確実に行うことができるようになっている。また、後方に臨んで配された第1リブ45と対向リブ46Aの間に回り止め突部35を後方から挿入すればよいから、ケース側コネクタ10を装着凹部41に挿入する作業が視認しやすくなり、例えばケース側コネクタ10を装着凹部41に対して上下逆に挿入してしまうことを未然に回避できる。
【0029】
以上のように本実施形態では、抜け止め片30の係止部31を装着凹部41の被係止部47に係止させることにより、ハウジング20が装着凹部41において抜け止めされる。また、一対の抜け止め片30によってハウジング20が第1の方向(上下方向)に移動可能とされ、一対の位置決め片32によってハウジング20が第2の方向(左右方向)に移動可能とされているため、相手側コネクタ50との嵌合の際に、芯ずれを吸収することができる。さらに、回り止め突部35をリブ(第1リブ45、第2リブ46)に干渉させることでハウジング20の回り止めを行うことができる。
【0030】
すなわち、撓み可能な位置決め片32に回り止め突部を設けるのではなく、第2外側面22に回り止め突部35を設けてこの回り止め突部35を装着凹部41の内壁に干渉させるようにしたから、回り止め突部35によってハウジング20の回り止めを確実に行うことができる。また、位置決め片32の先端部に係止部が設けられていないから、ケース側コネクタ10の設置スペースが左右方向に狭い場合(第2外側面22とこれに対向する装着凹部41の内側面とが近い場合)においても、ハウジング20を装着凹部41に収容することができる。したがって、ケース側コネクタ10の設置スペースが狭い場合でも、回り止めを確実に行うことができる。
【0031】
抜け止め片30は、第1の方向と第2の方向の双方に直交する第3の方向(前後方向)に片持ち状をなして延出する形態とされている構成としてもよい。
このような構成によると、抜け止め片30が第2の方向ではなく第3の方向に延出しているから、設置スペースの制約を受けずに抜け止め片30の長さを設定することができる。
【0032】
位置決め片32は、抜け止め片30とは反対方向に片持ち状をなして延出する形態とされている構成としてもよい。
このような構成によると、位置決め片32が第2の方向ではなく第3の方向に延出しているから、設置スペースの制約を受けずに位置決め片32の長さを設定することができる。
【0033】
一対の回り止め突部35は、第3の方向において一対の位置決め片32の先端側に配されている構成としてもよい。
このような構成によると、位置決め片32の先端部と回り止め突部35とが近くに配されるため、回転方向の力を受けた際に、位置決め片32の先端部が装着凹部41の内壁に干渉することを回避しやすい。
【0034】
一対の回り止め突部35は、第2外側面22における一側縁部に片寄って配されている構成としてもよい。
このような構成によると、一対の回り止め突部35が回転非対称となるため、ケース側コネクタ10を装着凹部41へ収容する際に、誤結防止がしやすくなる。
【0035】
リブは、装着凹部41の入口部分(後側凹部43)において装着凹部41への収容方向とは反対方向に突出して設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、ケース側コネクタ10を装着凹部41へ収容する際に、リブが見やすくなり、装着凹部41に対する誤結防止をしやすくなる。
【0036】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、ハウジング20が4つの外側面21、22を有するものを例示しているものの、外側面の数は6つでもよいし、8つでもよい。
【0037】
(2)上記実施形態では、各可撓片30、32が常には連通凹部44の内壁に当接することで常時センタリング機能を発揮しているものの、必ずしも各可撓片が連通凹部44の内壁に当接している必要はなく、各可撓片と連通凹部44の内壁との間にわずかなクリアランスがあるものでもよい。
【0038】
(3)上記実施形態では、第1リブ45と第2リブ46が別々に設けられているものの、第1リブと第2リブを連結させて一続きのリブとしてもよい。
【0039】
(4)上記実施形態では、4つの干渉ポイントI1〜I4でケース側コネクタ10が装着凹部41の内壁に当接しているものの、干渉ポイントI3、I4については必須ではなく、干渉ポイントI1、I2の少なくとも一方でケース側コネクタ10が装着凹部41の内壁に当接するものでもよい。
【0040】
(5)上記実施形態では、抜け止め片30と位置決め片32が前後方向に延出する形態とされているものの、抜け止め片が左右方向に延出する形態としてもよいし、位置決め片が上下方向に延出する形態としてもよい。
【0041】
(6)上記実施形態では、抜け止め片30と位置決め片32が反対方向を向いて延出する形態とされているものの、抜け止め片と位置決め片が同じ方向を向いて延出する形態としてもよい。
【0042】
(7)上記実施形態では、回り止め突部35が位置決め片32の先端付近に配されているものの、回り止め突部を位置決め片32の基端付近に配してもよい。
【0043】
(8)上記実施形態では、複数のリブ45、46が装着凹部41の入口部分、すなわち後側凹部43の内壁に設けられているものの、複数のリブを前側凹部42の内壁に設けてもよい。
【0044】
(9)上記実施形態では、一対の回り止め突部35が第2外側面22における上側縁部に配されているものの、一対の回り止め突部を第2外側面22における下側縁部に配してもよい。
【符号の説明】
【0045】
10…ケース側コネクタ
20…ハウジング
21…第1外側面
22…第2外側面
30…抜け止め片
31…係止部
32…位置決め片
35…回り止め突部
41…装着凹部
43…後側凹部(入口部分)
45…第1リブ
46…第2リブ
47…被係止部
50…相手側コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10