特許第6304547号(P6304547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304547
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】易開封性多層フィルム
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20180326BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   B32B27/32 E
   B65D65/40 D
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-180803(P2014-180803)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2016-55433(P2016-55433A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222462
【氏名又は名称】東レフィルム加工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100182785
【弁理士】
【氏名又は名称】一條 力
(72)【発明者】
【氏名】徳田 浩忠
(72)【発明者】
【氏名】松浦 洋一
(72)【発明者】
【氏名】三好 克典
【審査官】 春日 淳一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−045884(JP,A)
【文献】 特開平09−048099(JP,A)
【文献】 特開2010−005935(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0286511(US,A1)
【文献】 特開2015−013397(JP,A)
【文献】 特許第6103302(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00−43/00
B65D65/00−65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層(A)、中間層(B)およびシール層(C)がこの順に積層され、基材層(A)は、高密度ポリエチレン(a1)10〜90重量%と低密度ポリエチレン(a2)90〜10重量%を混合した樹脂組成物からなり、中間層(B)は、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)と高密度ポリエチレン(b2)とエチレン・α−オレフィンフランダム共重合体エラストマー(b3)を混合した樹脂組成物からなり、シール層(C)はポリプロピレン系樹脂(c1)55〜95重量%とメルトフローレートが10〜200g/10分の範囲であるポリエチレン系樹脂(c2)45〜5重量%を混合した樹脂組成物からなり、シール層(C)の厚さは2〜20μmの範囲であり、ポリプロピレン系樹脂(c1)中のシングルサイト触媒を用いて合成されたポリプロピレン系樹脂の割合が30重量%以上である易開封性多層フィルム。
【請求項2】
直鎖状低密度ポリエチレン(b1)のメルトフローレートが10〜80g/10分の範囲である請求項1に記載の易開封性多層フィルム。
【請求項3】
ポリエチレン系樹脂(c2)が、直鎖状低密度ポリエチレンである請求項1または2に記載の易開封性多層フィルム。
【請求項4】
中間層(B)は、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)60重量%〜90重量%と高密度ポリエチレン(b2)5重量%〜20重量%とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(b3)5重量%〜20重量%の範囲で混合した樹脂組成物である請求項1〜3のいずれかに記載の易開封性多層フィルム。
【請求項5】
高密度ポリエチレン(a1)と高密度ポリエチレン(b2)はメルトフローレートがa1<b2である請求項1〜4のいずれかに記載の易開封性多層フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた密封性と易開封性を有する易開封性多層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
包装体の本来の目的は内容物を保護することであって、輸送や陳列時の外力に抗して容易に開封されないという性能が重要であることは言うまでもないが、一方で使用時には簡単に開封できるという「易開封性」が求められることが多くなっている。特に近年の高齢者人口の増加および核家族化により個食が増え、利便性が良く容易に開封できる包装体への要望が高まってきた。易開封性の包装体として種々のものが提案されており、なかでもイージーピールと呼ばれる包装体は開封性を付与したシーラントフィルムを用いるものであって、ゼリー・ヨーグルト・プリンなどのデザート食品や米飯などのカップ容器の蓋材、ハム・ベーコンなどの畜肉加工品のパックなどに広範に用いられており、熱シール性と開封性のバランスが重要となる。
【0003】
シーラントフィルムに係るこの課題を解決する方法として、特定の比率でポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂を混合したヒートシール層からなる共押出多層フィルムが提案されている。(例えば、特許文献1,2参照)
しかし、前記特許文献1,2で提供された共押出多層フィルムをシーラントフィルムとして使用した場合であっても、耐熱性と耐衝撃性を両立するために易開封性を得られなかったり、ゼリーなどの包装において広く実施されている満杯充填時には、シール部に夾雑物を噛み込んだ際にシール温度が落ちるためヒートシールができなかったり、流通時にシールが剥がれて内容物が漏れるといった問題が発生していた。内容物を保護する目的でシール強度を得ようとすると、易開封性が損なわれるため、良好な易開封性とシール性を満足できる程度に両立できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−144015号公報
【特許文献2】特開2003−127298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、容器の蓋材やレトルトパウチのような袋状の包装体などでシール部に夾雑物を噛み込んでも安定して密封でき、優れた耐衝撃性を持つことで流通時の内容物保護が可能でありながら、開封する際には容易に開封することができる易開封性シーラントフィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するための本発明は、次の構成を特徴とするものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材層(A)、中間層(B)およびシール層(C)がこの順に積層され、基材層(A)は、高密度ポリエチレン(a1)10〜90重量%と低密度ポリエチレン(a2)90〜10重量%を混合した樹脂組成物からなり、中間層(B)は、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)と高密度ポリエチレン(b2)とエチレン・α−オレフィンフランダム共重合体エラストマー(b3)を混合した樹脂組成物からなり、シール層(C)はポリプロピレン系樹脂(c1)55〜95重量%とメルトフローレートが10〜200g/10分の範囲であるポリエチレン系樹脂(c2)45〜5重量%を混合した樹脂組成物からなり、シール層(C)の厚さは2〜20μmの範囲であり、ポリプロピレン系樹脂(c1)中のシングルサイト触媒を用いて合成されたポリプロピレン系樹脂の割合が30重量%以上である易開封性多層フィルム、
(2)直鎖状低密度ポリエチレン(b1)のメルトフローレートが10〜80g/10分の範囲である上記の易開封性多層フィルム、
(3)ポリエチレン系樹脂(c2)が、直鎖状低密度ポリエチレンである易開封性多層フィルム、
(4)中間層(B)は、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)60重量%〜90重量%と高密度ポリエチレン(b2)5重量%〜20重量%とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(b3)5重量%〜20重量%の範囲で混合した樹脂組成物である上記の易開封性多層フィルム、
(5)高密度ポリエチレン(a1)と高密度ポリエチレン(b2)はメルトフローレートがa1<b2である上記の易開封性多層フィルム、である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の易開封性共押出多層フィルムは、広い温度範囲で安定してシールでき良好な易開封性を有し、更に流通時の内容物保護を満足することができる。さらに、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも1層を、前記易開封性多層フィルムの基材層(A)側に積層することにより、易開封性と流通時の内容物保護を満足する包装体を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の易開封性多層フィルムについて具体的に説明する。
【0009】
本発明の易開封性多層フィルムは、基材層(A)と中間層(B)とシール層(C)がこの順で積層された複合フィルムであることが必須であり、基材層(A)は適度な剛性をフィルムに与えることで製膜性とフィルムの取り扱い性を向上させるために重要である。しかし、基材層(A)とシール層(C)との2層の積層では十分な層間強度が得られないため中間層(B)が必要であり、シール層(C)はシール性と易開封性のために必要である。必要に応じて基材層(A)側に第4、第5のポリエチレン系樹脂層を積層し、4層以上の複合フィルムとしてもよい。
【0010】
本発明における基材層(A)を構成する樹脂は、高密度ポリエチレン(a1)10〜90重量%と低密度ポリエチレン(a2)90〜10重量%を混合した樹脂組成物であることが必要である。この構成とすることで、フィルムに適度の剛性があり、取り扱い性も優れたものであり、蓋材として適度な大きさにフィルムを打ち抜く際にフィルムの伸びが発生しにくく打ち抜くことができる。高密度ポリエチレン(a1)が90重量%を超えるとフィルムの剛性が高くなりすぎ、巻取り時にシワ発生し製膜悪くなり、低密度ポリエチレン(a2)が90重量%を超えるとフィルムの剛性低くなって打ち抜き特性が悪くなる。
【0011】
本発明における高密度ポリエチレン(a1)は、密度は0.942〜0.970g/cmが好ましく、0.950〜0.965g/cmがより好ましい。メルトフローレート(以下MFRと省略することがある。JIS K 7210に準拠、温度条件;190℃。単に、190℃と記すことがある。以下、特にことわらない限り同じ。)は1.0〜40.0g/10分が好ましく、5.0〜15.0g/10分がより好ましい。
【0012】
本発明における低密度ポリエチレン(a2)は、高圧法低密度ポリエチレンが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンは高圧法低密度ポリエチレンより破断強度、破断伸度が大きくなるため、打ち抜き特性が悪くなることがある。
【0013】
本発明における低密度ポリエチレン(a2)は、密度は0.905〜0.940g/cmが好ましく、0.910〜0.925g/cmがより好ましい。MFR(190℃)は0.5〜50g/10分が好ましく、1〜25g/10分がより好ましい。
【0014】
中間層(B)を構成する樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)と高密度ポリエチレン(b2)とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(b3)を混合した樹脂組成物であることが必要である。この構成の混合樹脂組成物とすることで、易開封性および内容物保護のため十分強い落下衝撃性を発現することができる。
【0015】
本発明における直鎖状低密度ポリエチレン(b1)は、シングルサイト、マルチサイト何れの触媒を用いて得られたものであってもよく、コモノマーとしては、1―ブテン、1−ヘキセン、4メチル−1−ペンテン、1−オクテンを選ぶことができる。直鎖状低密度ポリエチレンは、高圧法低密度ポリエチレンより融点が高くフィルムの耐熱性を向上させ、耐寒性も優れるため落下衝撃性が強くなる。通常、密度は0.905〜0.95g/cmが好ましく、0.910〜0.940g/cmがより好ましい。MFR(190℃)は0.5〜100g/10分が好ましく、10〜80g/10分がより好ましい。また、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)のMFR(190℃)が該範囲を外れると剥離する際にフィルムが伸び剥離外観が悪くなる場合がある。
【0016】
本発明における高密度ポリエチレン(b2)は、密度は0.940〜0.970g/cmが好ましく、0.950〜0.965g/cmがより好ましい。MFR(190℃)は1.0〜40.0g/10分が好ましく、6.0〜20.0g/10分がより好ましい。MFR(190℃)がこの範囲であれば、フィルムの製膜性が向上し、また相溶効果によりエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(b3)が適度に分散することから、耐衝撃性効果が高くなる。
【0017】
本発明におけるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(b3)は、密度は0.860〜0.900g/cmが好ましく、0.865〜0.895g/cmがより好ましい。MFR(190℃)は0.2〜20.0g/10分が好ましく、0.5〜10.0g/10分がより好ましい。α−オレフィンは、プロピレン、1−ブテン、1−オクテンから好ましく選ぶことができ、具体的にはエチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体が好ましい。
【0018】
中間層(B)は、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)、高密度ポリエチレン(b2)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマーの混合した樹脂組成物であることが必要である。直鎖状低密度ポリエチレン(b1)は、優れた落下衝撃性を付与するために必要であり、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(b3)も落下衝撃性を付与するために必要であるが、高密度ポリエチレン(b2)をエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(b3)と同量程度添加することで樹脂の分散状態を良くすることができる。高密度ポリエチレン(b2)を添加しないと剥離する際の強度がバラつき、剥離外観が悪くなる。
【0019】
中間層(B)は、直鎖状低密度ポリエチレン(b1)60〜90重量%と高密度ポリエチレン(b2)5〜20重量%とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(b3)5〜20重量%の範囲で混合した樹脂組成物であることが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン(b1)、高密度ポリエチレン(b2)、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(b3)が該範囲を逸脱する場合、ヒートシール強度のバラつきが発生し、剥離外観が悪くなり落下衝撃性が劣る。
【0020】
高密度ポリエチレン(a1)と高密度ポリエチレン(b2)は、メルトフローレートがa1<b2であることが好ましい。該範囲を外れると基材層(A)と中間層(B)がうまく積層されず、製膜性が悪くなる場合がある。
【0021】
シール層(C)を構成する樹脂は、ポリプロピレン系樹脂(c1)55〜95重量%とメルトフローレートが10〜200g/10分の範囲であるポリエチレン系樹脂(c2)45〜5重量%を混合した樹脂組成物からなり、シール層(C)の厚さ2〜20μmの範囲であり、ポリプロピレン系樹脂(c1)中のシングルサイト触媒を用いて合成されたポリプロピレン系樹脂の割合が30重量%以上である。
【0022】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(c1)は、プロピレンの単独重合体、または、プロピレンとコモノマーとのランダム共重合体が好ましく例示され、コモノマーはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等から好ましく選ぶことができ、コモノマーが5重量%未満の範囲のものが好ましい。 ポリプロピレン系樹脂(c1)としてブロック共重合体を使用すると満足するヒートシール強度が得られないことがある。
【0023】
前記ポリプロピレン系樹脂(c1)には、マルチサイト触媒(チグラー・ナッタ触媒)を用いて重合されたポリプロピレン系樹脂を混合して使用してもよいが、シングルサイト触媒を用いて合成されたポリプロピレンが30重量%未満になると低温シール性が損なわれ、シール部に夾雑物を噛み込んだ際にシール強度が大きく落ちることとなり流通時の内容物保護が満足できない。
【0024】
シングルサイト触媒として例えばメタロセン触媒(カミンスキー触媒)などを用いることができる。シングルサイト触媒は活性点が均一であるため、活性点が不均一なマルチサイト触媒と比較して、得られる樹脂の分子量分布(例えば分子量分布Mw/Mnが2〜5)がシャープになるため、フィルムを製膜した際に低分子量成分の析出が少なく、シール安定性に優れた物性の樹脂が得られる。また、本発明においてシール層(C)中のポリプロピレン系樹脂(c1)は55〜95重量%とすることが必要である。該範囲を逸脱するとピール強度が安定せず安定した易開封性を得られない。
【0025】
本発明におけるポリプロピレン系樹脂(c1)は、シングルサイト触媒を用いて合成されたポリプロピレン系樹脂を30重量%以上含む。それぞれのポリプロピレン系樹脂の密度は0.900〜0.910g/cmが好ましく、MFR(230℃)は1〜50.0g/10分が好ましく、2〜30g/10分がより好ましい。
【0026】
本発明におけるポリエチレン系樹脂(c2)は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、これらの変性体、これらの混合物から好ましく選ばれる樹脂であり、融点が100℃以上のものを好ましく選ぶことができ、適度に耐熱性、剛性がある直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
【0027】
ここで変性体とは、ポリエチレン系樹脂に対して、極性官能基を有するモノマーで変性させた樹脂組成物で、例えば三井化学社製の“アドマー”のような官能基をポリオレフィンに導入した変性ポリオレフィンが好ましく例示される。
【0028】
本発明におけるポリエチレン系樹脂(c2)は、シングルサイト、マルチサイト何れの触媒を用いて得られたものであってもよいが、MFR(190℃)は10〜200g/10分の範囲である。MFR(190℃)が10g/10分未満であると剥離時にノッキング剥離(パルス剥離)が発生し、剥離感が悪くなる。MFR(190℃)は好ましくは11〜80g/10分のものである。密度は、0.905〜0.950g/cmが好ましく、より好ましくは0.910〜0.940g/cmの範囲である。また、本発明におけるシール層(C)中のポリエチレン系樹脂(c2)は、ノッキング剥離を防止する役割を果たすように、5〜45重量%とする必要がある。該範囲を逸脱すると剥離時にノッキング剥離が発生し、剥離感が悪くなる。
【0029】
ここでノッキング剥離とは剥離時にピール音(ピリピリというパルス剥離音)が発生する状態をいい、剥離する際にストレスを感じる状態をいう。
【0030】
基材層(A)、中間層(B)、シール層(C)には本発明の目的を損なわない範囲で、フィルム加工に適した滑り性やラミネート適性を確保するため、特定の添加剤、具体的にはエルカ酸アミドなどの有機滑剤、分子量500以上の酸化防止剤、および、シリカ、ゼオライト、炭酸カルシウムなどの無機粒子や、ポリメチルメタクリレート架橋粒子などの有機粒子を選択して使用してもよい。また、製膜性を良好にする酸化防止剤、耐熱安定剤、帯電防止剤等を含むことができる。基材層(A)、中間層(B)のポリマーには本発明の効果を阻害しない範囲であれば、必要に応じて本発明のフィルムを生産する際に生じる耳やスリット屑などを混合使用することができる。
【0031】
本発明の易開封性共押出多層フィルムの厚さは30〜100μmが好ましい。
【0032】
シール層(C)の厚さは2〜20μmとすることが必要である。好ましくは2〜10μmの範囲のものが好適である。シール層(C)の厚さが20μmを超えると剥離する際、糸引き、フェザリング、膜残りと呼ばれる剥離外観不良が発生し、シール層(C)の厚さが2μm未満であると安定したヒートシール強度が得られず、剥離時のフィルム裂けが発生する。
【0033】
ここで、糸引きとは開封時にフィルムが糸のように伸びて剥離する状態をいい、内容物に混入する観点から剥離時に糸引き状態がない方が良い。また、フェザリング、膜残りは開封時に糸引きより多く、フィルムが残って剥離してしまう状態のことをいう。
【0034】
基材層(A)の厚さは2〜30μmが好ましく、更に好ましくは2〜20μmの範囲のものが好適である。
【0035】
中間層(B)の厚さは10〜90μmが好ましく、更に好ましくは20〜60μmの範囲のものが好適であり、この範囲であると良好な押出性と包装フィルムとして用いる場合に十分な機械的強度を得ることができる。
【0036】
本発明の易開封性共押出多層フィルムは、基材層(A)側に、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも1層を、必要に応じて、単独、あるいは、組合せて積層して使用するのが好ましい。ポリアミドフィルムとしては、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン66などが挙げられ、中でも二軸延伸ナイロン66フィルムが、耐熱性、耐湿性の面でより好ましい。ポリエステルフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルムなどが挙げられ、中でも二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが、耐熱性とフィルム価格等で総合的により好ましい。金属箔としては、アルミ箔、銅箔などが挙げられ、なかでもアルミ箔がより好ましい。印刷紙としては、合成紙、上質紙、中質紙、アート紙、コート紙、更紙などが挙げられるが、印刷の出来具合からアート紙が好ましい。
【0037】
前記ポリアミドフィルムまたはポリエステルフィルムの厚さは、10〜100μmの範囲が好ましく、特に、12〜50μmの範囲であると印刷加工適性が良く、蓋材とした場合に、耐衝撃性と取り扱い性から好ましい。
【0038】
前記金属箔の厚さとしては、5〜30μmの範囲であることが、蓋材とした場合に、耐衝撃性、取り扱い性および経済性から好ましい。
【0039】
基材層(A)側にこれらの層を積層する方法としては特に限定されないが、接着剤、ホットメルト剤、低融点の押出ラミネート樹脂を介して積層する方法が挙げられる。
【0040】
次に、本発明の易開封性多層フィルムの製造法の一例を説明する。
【0041】
3台の押出機を用いて、1台の押出機から高密度ポリエチレン樹脂(a1)として密度0.950〜0.965g/cm、MFR(190℃)が6〜20g/10分の範囲の樹脂を10〜90重量%と低密度ポリエチレン(a2)として0.910〜0.925g/cm、MFR(190℃)が1.0〜25g/10分の範囲の樹脂90〜10重量%混合した樹脂組成物を220〜230℃で押し出し[基材層(A)]、もう1台の押出機から直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(b1)として密度0.910〜0.940g/cm、MFR(190℃)が10.0〜80.0g/10分の範囲の樹脂を60〜90重量%と、高密度ポリエチレン(b2)として密度0.950〜0.965g/cm、MFR(190℃)が6〜20g/10分の範囲の樹脂を5〜20重量%と、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(b3)として密度0.865〜0.895g/10分、MFR(190℃)が0.5〜10分/gの範囲の樹脂を5〜20重量%混合した樹脂組成物を220〜230℃で押し出し[中間層(B)]、さらにもう一台の押出機からポリプロピレン系樹脂(c1)を主成分としてシングルサイト触媒を用いて合成されたポリプロピレンを少なくとも30重量%とMFR(190℃)が10.0〜80.0g/10分の範囲であるポリエチレン系樹脂(c2)5〜45重量%を混合した樹脂組成物を220〜230℃で溶融して押し出し[シール層(C)]、共押出多層ダイで積層させ、基材層(A)の厚さが5μmで、中間層(B)の厚さが40μmで、シール層(C)の厚さが5μmとなるようにして、ダイよりフィルム状に押し出し、25〜50℃の冷却ロールでキャスト冷却固化し易開封性多層フィルムとする。
【0042】
続いて、必要に応じ基材層(A)の表面にコロナ放電処理を施し、巻き取り、さらに所定の幅、長さにスリットする。以上のようにして得られた本発明の易開封性多層フィルムは、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔から選ばれる少なくとも1層と積層して、一般包装用、レトルト食品包装袋用、医療用輸液バック、流動食用パウチ等のシーラントフィルムとしても使用できる。
【実施例】
【0043】
本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明における特性の測定方法並びに効果の評価方法は、次の通りである。
【0044】
(1)樹脂の密度
JIS K 7112(1980)に規定された密度勾配管法に従い密度を測定した。
【0045】
(2)フィルム厚さ
ダイヤルゲージ式厚さ計(JIS B 7509(1992)、測定子5mmφ平型)を用いて、フィルムの長手方向及び幅方向に10cm間隔で10点測定して、その平均値とした。
【0046】
(3)各層の厚さ
フィルムの断面をミクロトームにて切り出し、その断面についてデジタルマイクロスコープVHX−100形(株式会社キーエンス製)を用いて1000倍に拡大観察して撮影した断面写真を用いて、各層の厚さ方向の距離を計測し、拡大倍率から逆算して各層の厚さを求めた。尚、各層の厚さを求めるに当たっては、互いに異なる測定視野から任意に選んだ計5箇所の断面写真計5枚を使用し、それらの平均値として算出した。
【0047】
(4)メルトフローレート(MFR)
JIS K 7210に準拠して、ポリエチレン系樹脂は190℃、ポリプロピレン系樹脂は230℃で測定した。
【0048】
(5)シール用複合フィルムの作成方法
易開封性多層フィルムの基材層(A層)側に厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、P60(東レ株式会社製“ルミラー”)をポリウレタン接着剤で塗布量2g/mでドライラミネートし、40℃、72時間エージングしたサンプルをシール用複合フィルムとした。
【0049】
(6)評価用ポリプロピレンシート
押出機からホモポリプロピレン(後述のPP−3)樹脂を温度220〜230℃で溶融し、ダイよりフィルム状に押し出し、25〜50℃の冷却ロールでキャスト冷却固化し、厚さ300μmの評価用ポリプロピレンシートを作成した。
【0050】
(7)ヒートシール強度
(5)で作成したシール用複合フィルムを100mm×15mmに切り出し、シール層(C層)と(6)で作成した300μmの評価用ポリプロピレンシートに重ねて、テスター産業株式会社製の平板ヒートシールテスター(TP−701B)を使用し、シール温度160〜180℃、シール圧力2kg/cm、シール時間1秒の条件でヒートシールしたサンプルを、株式会社オリエンテック製のテンシロン(RTC−1210A)を使用して300mm/分の引張速度で、180°剥離したときのヒートシール強度を測定した。そのとき、1試料についてn数10の測定値の平均値をとり、10〜20N/15mmであるものを○とし、該範囲を外れたものを×とした。
【0051】
(8)開封力
(5)で作成したシール用複合フィルムを100mm×100mmにサンプルを切り出し、シール層(C層)とポリプロピレン製容器(95φ×61.9H、東缶工業株式会社製)に重ねて、エーシンパック工業株式会社製のハンドシーラーを使用し、ヒートシール温度170℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールしたサンプルを作成した。次いで株式会社オリエンテック製のテンシロン(RTC−1210A)を使用して、開封口をチャックに固定し、一方、容器を手に持ち、もう一方のチャックに手を添え300mm/分の引張速度で、シール用複合フィルムとポリプロピレン製容器が90°になるように開封したときの開封力を測定した。そのとき、1試料についてn数10の測定値の平均を取った。
ヒートシール温度170℃時に、開封力が10N以上/個であるものを○とし、該範囲を外れ、密封性、内容物保護性、易開封性を両立できないものを×とした。
【0052】
(9)打ち抜き特性
(5)で作成したサンプルを50mm×50mmにサンプリングし、直径20mmの穴が開いたサンプルホルダーにセットし、株式会社オリエンテック製テンシロン(RTC−1210A)を使用し、針(直径1.0mm、先端形状0.5mm)を毎分50±5mmの速度で突き刺し、突き刺す際にフィルムが伸びるかどうかを目視で評価し判定を行った。
【0053】
(10)落下衝撃性
(8)で用いたポリプロピレン製容器に内容物として水とサラダ油を50/50にブレンドした液を180ml充填封入してから、ヒートシール温度180℃、シール圧力0.2MPa、シール時間1秒の条件でヒートシールしたサンプルを常温雰囲気下において50cmの高さからコンクリート面へ蓋を下にして垂直落下させる。そのときに、1試料についてn数10のテストを行い、シール部の開封した個数で下記の通り判定した。
○:開封が、3個未満
×:開封が、3個以上
(11)剥離外観
(7)で作成したサンプルを手で剥離したときに、糸引き、膜残りを目視で評価し、下記の通り判定した。
○:糸引き、膜残りが見られない。
×:1mm以上の長い糸引き、膜残りが残る。
【0054】
(12)ノッキング剥離評価
(7)で作成したサンプルを手で剥離したときに、ノッキング剥離(パルス剥離音)の有無を官能で評価し、下記通り判定した。
○:ノッキング剥離がなくスムーズに剥離する。
×:ノッキング剥離が発生する。
【0055】
(13)製膜性
前記易開封性フィルムを製膜し巻き取る際、巻き取り張力調整が難しくシワが酷く発生するものを×、巻き取り張力調整が容易でシワが入らないものを○とした。
【0056】
本実施例で使用した原料は次の通りである。
(1)高密度ポリエチレン(HD−1)
日本ポリエチレン製 “ノバテック” HF562、MFR=7.5g/10分、密度=0.961g/cm
(2)高密度ポリエチレン(HD−2)
京葉ポリエチレン製 KEIYOポリエチ G1900、MFR=16.0g/10分、密度=0.955g/cm
(3)低密度ポリエチレン(LD−1)
住友化学製 “スミカセン” L705、MFR=7.0g/10分、密度=0.919g/cm
(4)直鎖状低密度ポリエチレン(LL−1)
住友化学製 “スミカセン−L” GA801、MFR=20.0g/10分、密度=0.920g/cm
(5)直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)
住友化学製 “スミカセン−L” GA804、MFR=50.0g/10分、密度=0.930g/cm
(6)直鎖状低密度ポリエチレン(LL−3)
住友化学製 “スミカセン−L” GA401、MFR=3.0g/10分、密度=0.935g/cm
(7)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(E−1)
三井化学製 “タフマー” A4085S、MFR=3.6g/10分、密度=0.885g/cm
(8)シングルサイト触媒を用いて合成されたエチレンプロピレンコポリマー(PP−1)
日本ポリプロ製 “ウィンテック” WMX03、MFR=25.0g/10分、密度=0.900g/cm
(9)マルチサイト触媒を用いて合成されたエチレンプロピレンコポリマー(PP−2)
住友化学製 住友“ノーブレン” FL6412、MFR=6.0g/10分、密度=0.900g/cm
(10)ホモポリプロピレン(PP−3)
プライムポリマー製 “プライムポリプロ” F107DJ、MFR=8.0g/10分、密度=0.900g/cm3
(11)エチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(E−2)
三井化学製 “タフマー” P0280、MFR=2.9g/10分、密度=0.870g/cm
【0057】
実施例1
基材層(A)の樹脂として、高密度ポリエチレン(HD−1)50重量%と低密度ポリエチレン(LD−1)50重量%混合した樹脂組成物を用い、中間層(B)として、直鎖状低密度ポリエチレン(LL−1)60重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)20重量%とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(E−1)10重量%と高密度ポリエチレン(HD−2)10重量%混合した樹脂組成物を用い、シール層(C)として、シングルサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−1)30重量%とマルチサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−2)60重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)10重量%を、3種3層無延伸フィルム成形機の押出機3台に各々投入し、180〜230℃の押出温度で230℃のTダイより押し出し、40℃のキャスティングロールで急冷し易開封性フィルムを成形し、基材層(A)にコロナ処理を施した。得られた易開封性共押出多層フィルムの総厚さは50μmでシール層(C)の厚さが5μmであった。
【0058】
実施例2
シール層(C)をシングルサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−1)30重量%とマルチサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−2)30重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)40重量%混合した樹脂組成物とする意外は実施例1と同様に行った。
【0059】
実施例3
シール層(C)をシングルサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−1)60重量%とマルチサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−2)30重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)10重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0060】
実施例4
基材層(A)として、高密度ポリエチレン(HD−1)20重量%と低密度ポリエチレン(LD−1)80重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0061】
実施例5
基材層(A)として、高密度ポリエチレン(HD−1)80重量%と低密度ポリエチレン(LD−1)20重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0062】
実施例6
得られた易開封性共押出多層フィルムのシール層(C)の厚さを10μmと中間層(B)の厚さを35μmとする以外は、実施例1と同様に行った。
【0063】
実施例7
中間層(B)として、直鎖状低密度ポリエチレン(LL−1)60重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)20重量%とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(E−2)10重量%と高密度ポリエチレン(HD−2)10重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0064】
実施例8
中間層(B)として、直鎖状低密度ポリエチレン(LL−1)90重量%とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(E−1)5重量%と高密度ポリエチレン(HD−2)5重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0065】
実施例9
シール層(C)をシングルサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−1)90重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)10重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0066】
比較例1
シール層(C)をシングルサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−1)30重量%とマルチサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−2)60重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−3)10重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0067】
比較例2
中間層(B)を直鎖状低密度ポリエチレン(LL−1)80重量%と直鎖状ポリエチレン(LL−2)20重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0068】
比較例3
基材層(A)として、高密度ポリエチレン(HD−1)とする以外は実施例1と同様に行った。
【0069】
比較例4
基材層(A)として、低密度ポリエチレン(LD−1)とする以外は実施例1と同様に行った。
【0070】
比較例5
シール層(C)をシングルサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−1)10重量%とマルチサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−2)80重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)10重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0071】
比較例6
シール層(C)をシングルサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−1)40重量%とマルチサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−2)60重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0072】
比較例7
シール層(C)をシングルサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−1)98重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)2重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0073】
比較例8
中間層(B)として、直鎖状低密度ポリエチレン(LL−1)60重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)20重量%とエチレン・α−オレフィンランダム共重合体エラストマー(E−1))20重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0074】
比較例9
中間層(B)として、直鎖状低密度ポリエチレン(LL−1)60重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)20重量%と高密度ポリエチレン(HD−1)20重量%混合した樹脂組成物とする以外は実施例1と同様に行った。
【0075】
比較例10
得られた易開封性共押出多層フィルムのシール層(C)の厚さを22μmと中間層(B)の厚さを23μmとする以外は、実施例1と同様に行った。
【0076】
比較例11
シール層(C)をシングルサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−1)20重量%とマルチサイト触媒系エチレンプロピレンコポリマー(PP−2)10重量%と直鎖状低密度ポリエチレン(LL−2)70重量%とする以外は実施例1と同様に行った。
【0077】
上記より得られた易開封性共押出多層フィルムの評価を行った。結果を表1から表2に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
比較例1は、シール層(C)に用いたポリエチレン系樹脂(c2)のメルトフローレートが小さく、落下衝撃性が良好だが、ノッキング剥離することが確認された。
【0081】
比較例2は、中間層(B)が直鎖状低密度ポリエチレン(b1)のみのため、ヒートシール強度は良好だが、落下衝撃性と剥離外観が悪いことが確認された。
【0082】
比較例3または比較例4は、ヒートシール強度、落下衝撃性は良好だが、フィルムの取り扱いが悪くなり製膜性や打ち抜き特性が悪いことが確認された。
【0083】
比較例5は、シール層(C)のポリプロピレン系樹脂(c1)中のシングルサイト触媒を用いて合成されたポリプロピレン系樹脂の割合が低いため、剥離外観は良好だが開封力が悪いことが確認された。
【0084】
比較例6は、ヒートシール強度、開封力、落下衝撃性は良好だがノッキング剥離することが確認された。
【0085】
比較例7は、開封力、落下衝撃性は良好だがヒートシール強度が悪く、ノッキング剥離することが確認された。
【0086】
比較例8または比較例9は、ヒートシール強度は良好だが、落下衝撃性、剥離外観が悪いことが確認された。
【0087】
比較例10は、開封力、落下衝撃性は良好だがヒートシール強度、剥離外観が悪いことが確認された。
【0088】
比較例11は、打ち抜き特性、剥離外観は良好だがヒートシール強度、開封力、落下衝撃性が悪くノッキング剥離することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明の易開封性共押出多層フィルムは、広い温度範囲で安定してシールでき、内容物保護と良好な易開封性を両立し、さらに、二軸延伸ポリアミドフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、印刷紙、金属箔の少なくとも1層以上の他基材の片面に積層体とすることにより食品や医療用用具、雑貨等を充填する包装体として好適に用いることができる。