特許第6304549号(P6304549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6304549二人式エンジン杭打ち機を用いた杭打ち方法及び杭打ち機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304549
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】二人式エンジン杭打ち機を用いた杭打ち方法及び杭打ち機
(51)【国際特許分類】
   E02D 7/04 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   E02D7/04
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-210323(P2014-210323)
(22)【出願日】2014年10月14日
(65)【公開番号】特開2016-79618(P2016-79618A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2016年12月22日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成26年10月14日から開催の第1回国際次世代農業EXPO用ガイドブック(ネット上で事前公開)にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512144254
【氏名又は名称】株式会社フジワラ
(74)【代理人】
【識別番号】100132920
【弁理士】
【氏名又は名称】阪田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 理
【審査官】 西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−080151(JP,U)
【文献】 特開2005−105582(JP,A)
【文献】 特開2012−087582(JP,A)
【文献】 特開2001−279669(JP,A)
【文献】 実公昭35−009737(JP,Y1)
【文献】 実公昭45−025624(JP,Y1)
【文献】 実公昭40−028170(JP,Y1)
【文献】 実開昭61−193189(JP,U)
【文献】 実開昭54−143302(JP,U)
【文献】 米国特許第04665994(US,A)
【文献】 米国特許第05667021(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 1/04
E02D 7/04
E02D 7/06
E21B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対する2名の作業者が杭打ち作業に使用するエンジン式手持ちフレーム型杭打ち機であって、
フレーム両端に作業者用の把手があり、フレーム中央にはエンジンマウントが設置された構造であって、
作業者用の把手は、フレーム中央から2本の金属製パイプを平行に配置した両端部に把手をつけた構造であって、
エンジンマウントは作業者用の把手から0.2〜1mの位置にあり、
エンジンマウント端部につながった伸縮可能なトルクバーはベースプレートで地面と設地する構成であり、
エンジンマウントにはガソリンエンジンが取り付けられ、
ガソリンエンジンは、その駆動を減速して伝える減速機を備え、
更に、減速機とつながったドリルジョイントで、スクリュー杭にガソリンエンジンの回転を伝える構成の手持ち式杭打ち機。
【請求項2】
フレームが金属パイプ製の上フレームと下フレームの二段で構成され、さらに、上フレームと下フレームを金属パイプでつなぐ結合用フレームから構成されたフレームであって、
エンジンマウントは下フレームに設置され、
下フレームまたは結合用フレームが接地部分を有する構成としたフレームである請求項1記載の手持ち式杭打ち機。
【請求項3】
請求項1または2記載の手持ち式杭打ち機にスクリュー杭をつなぎ、スクリュー杭の打ち込み位置決めをした後、
相対する2名の作業者がフレーム両端の把手を持ち、
作業員から見て90度の位置に設置されたトルクバーでささえながら、
ガソリンエンジンの駆動に合わせてスクリュー杭の打ち込みを開始し、
杭打ち作業の進行に伴い杭打ち機の地面からの高さが変動することにあわせてトルクバーが伸縮する杭打ち方法。
【請求項4】
杭打ちの位置決め時に、スタンドを用いる杭打ち方法であって、
請求項1または2記載の手持ち式杭打ち機の接地部分をスタンド上に置き、
スクリュー杭を杭打ち機とジョイントでつなぎ、杭打ちの位置決めから杭打ち開始時まで、スタンドを用いる杭打ち方法であって、
フレームをスタンドにより支え、スクリュー杭の打ち込み位置決めをした後、フレームからスタンドを取り去り、スクリュー杭の打ち込みを行う請求項3記載の杭打ち方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は手持ち式杭打ちに用いる杭打ち機に関し、より詳細には、重機を用いた杭打ちができない土地に、スクリュー杭を打ち込むことができる、二人式エンジン杭打ち機及び係る杭打ち機を用いた杭打ち方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、メガソーラー発電施設を設置する場合、土地に土留めをする場合、あるいはフェンスの基礎工事をする場合等について、従来は、コンクリート基礎を作り、各コンクリート基礎の上に構築物、例えば、太陽光パネル等を設置していく工法がとられている。そして、この工法については、例えば、穴をあけた後、コンクリートを流し込んでコンクリート基礎として施工する工法がとられてきた。
【0003】
一方、コンクリート基礎でなく杭を直接打ち込む施工法もとられてきた。杭としては、例えば、スクリュー杭が用いられていている。スクリュー杭の打ち込み方法としては、リーダーを用いた方法が一般的に用いられている。ここで、リーダーとは、杭打ちハンマーやオーガーの案内やぐらのことで、スクリュー杭を所定の角度で正確に打ち込めるよう打ち込み方向を規制することができるガイドのことをいう。
【0004】
かかるリーダーを用いた方法は、リーダーを装備し、キャタピラを装着した重機により行われる。従って、重機が行動できる土地であることが前提である。ところが、例えば、茶畑、果樹園、野菜畑といった農作物が現実に栽培されている農地などは、一般に、重機を入れることが困難な狭い土地であることが多い。かかる土地では、人が持ち運び可能な杭打ち機で杭打ちが行われる。
【0005】
例えば、ソーラーパネル設置の多様化から考えると、例えば、茶畑、果樹園、野菜畑といったメガソーラー設置の場所として考えられなかった土地にもソーラーパネル設置の必要性が考慮されるようになってきた。また、土留め杭基礎としても、フェンス用の杭基礎としても用いることのできるスクリュー杭を狭い土地に打ち込む方法についても考慮されるようになってきた。
【0006】
しかし、茶畑、果樹園、野菜畑に太陽光発電用のソーラーパネルを設置する工事は、茶の木、果樹の木、畑はそのままで、空いた空間にソーラーパネルを設置するものである。従って、重機等の搬入はできず、ソーラーパネル用の杭打ちをする場合は、人の持ち運び可能な手動型の杭打ち機によって杭打ちがなされてきた。また、茶畑、果樹園、野菜畑は、その表面が柔らかい地面であることが予想されるので、ソーラーパネル設置においては特別な工夫が必要である。また、狭い土地での土留め、フェンス杭についても、重機が使えない場合については特別な工夫が必要である。
【0007】
人力で持ち運び可能で農地に対する杭打ち機については、例えば、特許文献1に記載がある。特許文献1には、らせん杭を地面に対して、安全・確実に打ち込み又は引き抜き作業をするための可搬式打ち込み機についての記載がある。しかし、この可搬式打ち込み機は、同文献の記載のように、約0.6m、引き抜き耐力150kgのらせん杭を人力に替わる機械(小型エンジン)による打ち込み機として開発したものである。従って、長さ1m以上で、引き抜き耐力が700kg以上のスクリュー杭の杭打ちには対応できない。
【0008】
一方、ソーラーパネル設置にスクリュー杭を架台として用いる場合、スクリュー杭は1〜3mのものが使用されている。また、引き抜き耐力も800〜1000kg程度が要求される。従って、従来のらせん杭を打ち込む可搬式打ち込み機ではかかる用途には対応できなかった。
【0009】
また、特許文献2には、杭打ち機とは異なるが、人が持ち運び可能な掘削方法が記載されている。この方法は、地中に打ち込んだアンカーと電動モータ駆動のスクリューオーガーを有する手持ち式掘削機とを伸縮ロッドにより連結することで、掘削機を持つ作業員にかかる回転反力が小さくなるので1人の作業員により省力化ができるというものである。しかし、この方法は、一例として、エクステンションオーガは長さ50cm、外径30cmと記載していて、これでは、例えば、1mの穴を掘ることには使用できるが、スクリュー杭打ちという方法には、使用できない。すなわち、スクリュー杭の打ち込みのためには新たな試みが必要で、単に、作業員にかかる回転反力を小さくするだけでは不十分である。
【0010】
また、特許文献3には、杭打ち作業などの撃打作業の負担を軽減できるとともに、作業性を向上することができる撃打作業機を提供するとして撃打作業機が記載されている。動力源からの回転出力を伝動するための伝動軸が内部に嵌挿された筒状体を用いるものであり、筒状体を1人の作業員が上を向むきながら作業するので、安定性が良くなく、打ち込める杭の状態を常時監視できないなど問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実公平7−6191公報
【特許文献2】特開2012−87582号公報
【特許文献3】特開平10−231521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明は、茶畑、果樹園、野菜畑、狭い土地等重機を用いた杭打ちができない土地に、ソーラーパネル用の架台、土留め杭基礎、フェンス用の杭基礎等として用いるスクリュー杭を正確に打ち込むための二人式エンジン杭打ち機及び係る杭打ち機を用いた杭打ち方法を提供することを目的とする。また、十分な回転トルクを有する動力を使用しても、安定した杭打ちのできる杭打ち機及び杭打ち方法を提供することを目的とする。さらに、作業員が杭打ち状況を常に監視しながら作業ができる杭打ち方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1記載の、
相対する2名の作業者が杭打ち作業に使用するエンジン式手持ちフレーム型杭打ち機であって、フレーム両端に作業者用の把手があり、フレーム中央にはエンジンマウントが設置された構造であって、作業者用の把手は、フレーム中央から2本の金属製パイプを平行に配置した両端部に把手をつけた構造であって、 エンジンマウントは作業者用の把手から0.2〜1mの位置にありエンジンマウント端部につながった伸縮可能なトルクバーはベースプレートで地面と設地する構成であり、エンジンマウントにはガソリンエンジンが取り付けられ、ガソリンエンジンは、その駆動を減速して伝える減速機を備え更に、減速機とつながったドリルジョイントで、スクリュー杭にガソリンエンジンの回転を伝える構成の手持ち式杭打ち機とした。
【0014】
さらに、請求項2記載のフレームが上フレームと下フレームの二段で構成され、さらに、上フレームと下フレーム金属パイプでつなぐ結合用フレームから構成されたフレームであって、エンジンマウントは下フレームに設置され、下フレームまたは結合用フレームが接地部分を有する構成としたフレームである手持ち式杭打ち機とした。
【0015】
さらに、請求項3記載の、手持ち式杭打ち機にスクリュー杭をつなぎ、スクリュー杭の打ち込み位置決めをした後、相対する2名の作業者がフレーム両端の把手を持ち、作業員から見て90度の位置に設置されたトルクバーでささえながら、
ガソリンエンジンの駆動に合わせてスクリュー杭の打ち込みを開始し、杭打ち作業の進行に伴い杭打ち機の地面からの高さが変動することにあわせてトルクバーが伸縮する杭打ち方法とした。
さらに、請求項4記載の、杭打ちの位置決め時に、スタンドを用いる杭打ち方法であって、請求項1または2記載の手持ち式杭打ち機の接地部分をスタンド上に置き、スクリュー杭を杭打ち機とジョイントでつなぎ、杭打ちの位置決めから杭打ち開始時まで、スタンドを用いる杭打ち方法であって、フレームをスタンドにより支え、スクリュー杭の打ち込み位置決めをした後、フレームからスタンドを取り去り、スクリュー杭の打ち込みを行う請求項3記載の杭打ち方法とした。
【発明の効果】
【0016】
茶畑、果樹園、野菜畑、狭い土地等重機を用いた杭打ちができない土地に、ソーラーパネル用の架台、土留め杭基礎、フェンス用の杭基礎等として用いるスクリュー杭を正確に打ち込む杭打ち機を提供できる。また、係る杭打ち機を使用することで、十分な回転トルクを有する動力を使用しても、安定した杭打ちのできる杭打ち方法が提供できる。さらに、本発明の杭打ち機では、作業員が杭打ち状況を常に監視しながら作業ができるので、正確な杭打ちが確実にできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の二人式エンジン杭打ち機を用いた杭打ちの図である。
図2図1について、別の側面(作業員の位置)から見た図であって、トルクバーを1本使用した図である。
図3図1について、別の側面(作業員の位置)から見た図であって、トルクバーを2本使用した図である。
図4図1図3の杭打ち機を上から見た図である。
図5図1にスタンドをつけた図である。
図6図5について、別の側面(作業員の位置)から見た図である。
図7】トルクバーの接地状況を上から見た図である。
図8】本発明の別の二人式エンジン杭打ち機を用いた杭打ちの図である。
図9図8の杭打ち機を用いて杭打ちを行ったときの作業終了直前の状態を示す図である。
図10】本発明の別の二人式エンジン杭打ち機を用いた杭打ちの図である。
図11図10の杭打ち機を用いて2m以上の長いスクリュー杭を打ち込んでいる様子を示す図である。
図12図10を別の側面(作業員の位置)から見た図である。
図13図12が杭打ち終了直前の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備える限りにおいて当該工法及び杭打ち機を広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
まず、本発明に用いられる杭の例であるスクリュー杭について説明する。スクリュー杭とは、例えば金属製の帯状板をらせん状に形成したスクリュー部を有する杭であり、必要に応じ、そのスクリュー部に、鋼管等を継ぎ足して形成された構造を有している。スクリュー杭の打ち込み深さは、打ち込み後のスクリュー杭の強度によって必要な深さを決定するが、ソーラーパネル用の架台用としては、1m〜3mのものが使用される。本発明の杭打ち機では、1.2〜3mまで対応できる。特に、1.5〜2mの杭打ちに優れる。
【0020】
打ち込み後のスクリュー杭の強度は、「太陽電池アレイ用支持物設計基準」JISC8955:2011(日本規格協会平成23年2月21日発行)により強度設定した。スクリュー杭を打ち込む現場の状態によって打ち込み深さは変動するのが実情であるが、上記基準により設定した強度より、安全率(1.15倍)以上を考慮した打ち込み深さとしている。例えば、必要な深さが1.0mで必要な強度が得られた場合、その20%深く打ち込み強度を測定し、安全率(1.15倍)以上を担保している。例えば、前記1.0mが必要な深さとなったとき、1.2m以上打ち込むことが好ましい。
【0021】
本発明の手持ち式杭打ち機のフレームについて説明する。フレームは、金属製のパイプで構成されている。金属は、例えば、鉄、鉄の合金、アルミニウム合金のパイプを用いることにより、強度と軽量化が図れる。フレームは、2人の相対する作業員が持つ把手とガソリンエンジンを設置する部分、その他杭打ち機を支える部分からなる。
【0022】
本発明では、ガソリンエンジンの回転数を、例えば、サイクロ減速機によって、回転数が毎分25〜40回であって、最大出力トルクが800〜1000Nmとなるように調整される。このトルクは電動モーターを使用した1人作業の杭打ち機では出すことができないし、制御できない。ガソリンエンジンは、杭打ち機のフレームの中央部に設置し、作業員が持つ把手から0.2〜1m離すのが安全上望ましい。減速機の操作は作業員が持つ把手部分又はフレームに付けられた回転調整用レバーによりなされる。減速機につながるドリルジョイントによりスクリュー杭へと回転が伝えられる。
【0023】
本発明では、フレームは、例えば、2本の金属製パイプを平行に配置し両端部に把手をつけ、長方形型の構成とすることが望ましい。金属製パイプは、その長さが0.8m〜2.5mであることが望ましい。フレームは補強用に金属パイプ間に補強用フレームを付けることがのぞましい。ガソリンエンジンは、フレーム上にエンジンマウントを設置し、エンジンマウント上にその上に固定することが望ましい。エンジンマウントは作業性から2人の作業員の持つ把手から等距離の位置に設置することが望ましい。エンジンマウントは、正方形の板状であって、中央に円形の穴の開いた構造になっている。その大きさ(正方形の一辺に相当する長さ)は、杭打ち機の把手の長さとほぼ等しい長さに調整され、0.3〜0.5mが望ましい。エンジンマウントについても、補強用フレームで補強することが望ましい。
【0024】
さらに、フレームは、例えば、長方形型構成の上下二段とすることが望ましい。この場合、上段のものを上フレーム、下段のもの下フレームとよぶ。上フレームと下フレームは、金属パイプでつなぐと、作業上好都合である。この場合、例えば、上フレームのパイプを下に曲げ、1本のパイプで上フレームと金属パイプの働きをしても良い。あるいは、下フレームを上に曲げ、1本のパイプで下フレームと金属パイプの働きをしても良い。把手の位置は、下フレームを上に曲げたときは、上フレームつけることが望ましい。逆に、上フレームを下に曲げたときは、把手は下フレームにつけることが望ましい。エンジンマウントは下フレームに設置すると作業中の安定性が良くなる。さらに補強用フレームを設けてもかまわない。
【0025】
さらに、フレームは、例えば、立方体状又は長方体状に構成することが望ましい。この場合、上フレームと下フレームを別の金属パイプ(上下フレーム結合用パイプ)によりつなぐことで強化することができる。この場合は、フレームを曲げることは要しないので、杭打ち機のフレーム構成としてはより望ましい。この場合も、下段フレームにエンジンマウントを設置すると作業中の安定性が良くなる。把手は、上フレーム又は下フレームのどちらにも設置することができし、両方につけることもできる。把手は、フレームに接合する、またはフレームを構成する金属パイプと一体とすることもできる。さらに、上下フレーム結合用パイプに接地用フレーム(パイプ)を付けることで、作業の安定性をはかることができる。なお、必要に応じて適宜補強用フレームを付けることができる。本発明に用いる杭打ち機は、ガソリンエンジンを含めその重さが10Kg〜35Kgとなるようにすることが望ましい。なお、重量が20Kg以上になる場合は、以下に記載するスタンドを用いることで作業性を向上することができる。
【0026】
トルクバーは、地面にベースプレートで接地され、もう一方はトルクバー取り付けステーションにより、エンジンマウント端部につながっている。ベースプレートで接地し、アンカー等の打ち込みが必要ないので、杭打ち機の移動、杭打ちの位置決めが簡単にできる。トルクバーは2本を一組として使用することも1本のみとすることも可能である。1.6m〜3mのスクリュー杭を打ち込むときはトルクバーは2本使用することが好ましい。トルクバーは、1.5〜5mの長さのものが使用される。長さは、打ち込むスクリュー杭の長さによって選択できる。例えば、打ち込む杭の長さの1.4倍〜2倍程度の長さのものが望ましい。
【0027】
トルクバーは、杭打ち作業の進行に伴い杭打ち機の地面からの高さが変動することにあわせて伸縮して対応する。トルクバー伸縮部は、例えば、トルクバー全体の1/4〜3/4に設定することが望ましい。この作用により、2名の作業員は、常に、杭打ち状況を監視する姿勢を維持できるので、安全な作業を維持できる。あわせて正確な杭打ちができる。
【0028】
スタンドは、下フレームを支える金属パイプ製のもので、杭打ちの位置決め時に用いることで、作業員の負担を軽減する。杭打ち機の下フレームをスタンド上に置き、次いでスクリュー杭を杭打ち機とジョイントでつなぐ。杭の打ちの位置決めと杭打ち開始時まで、スタンドは下フレームに取り付けて使用する。スクリュー杭打ちは、スクリュー杭が0.05〜0.2mの仮打ち込みまで、スタンドは付けたままで杭打ちし、その後、作業員はスタンドを外して、本打ち込みをするとより正確な打ち込みができる。接地用フレームを設けたときは、接地用フレームにスタンドを取り付けても良い。上記のように、スタンドの利用は、杭打ち機の重量が20Kg以上の重さとなった場合に、作業員の負担を軽減する役割も果たす。
【0029】
以下、図面に従って本発明を説明する。図1は、本発明の二人式エンジン杭打ち機を用いた杭打ちの図である。2人の作業員が相対して手持ち式杭打ち機の把手30を持っていることを示している。フレームは、二段になっていて、上フレーム3、下フレーム9、金属パイプ(上下フレーム結合用フレーム)31からなる。金属パイプ(上下フレーム結合用フレーム)31は、下フレーム9と一体になっている。下フレーム9に支えられたエンジンマウント17にガソリンエンジン2を設置する。ガソリンエンジンには、エアクリーナー6、マフラー7が付いている。ガソリンエンジン2の頭部は上フレーム3から出るように設置することでエンジンの回転が安定する。ガソリンエンジンの回転はサイクロ減速機8によって減速される。減速されたエンジンの回転は、クラッチ13を通じてスクリュー杭1に伝わる。作業員が2人が相対してレバー3の両端部を持ち、回転操作レバー4、クラッチ操作用レバー5を操作する。ドリルジョイント11は、種々のスクリュー杭に対応できるという利点がある。スクリュー杭1はドリルジョイント11でフレンジ14にボルト(記載省略)でつながっている。
【0030】
図2は、図1について、別の側面(作業員の方)から見た図であって、トルクバー22を1本使用した図である。図3は、図1について、別の側面(作業員の方)から見た図であって、トルクバー22を2本使用した図である。トルクバー22は、連結具20でベースプレート21により地面に接地する。トルクバー先端部15がトルクバー取り付けステーション16でエンジンマウント17の端部に設置されている。トルクバー22のうち伸縮部23が杭打ちの進行に従い縮んでいく。
【0031】
図4は、図1図3の杭打ち機を上から見た図である。本発明のフレーム3とトルクバー22、把手30の位置関係について説明する。フレーム3は、金属パイプで、長方形状に形成される。両端が把手30になっている。エンジン2はフレームの中央部に設置され、トルクバー22は、作業員の持つ把手30から見て90度の位置に設置される。補強用フレーム10が4本と把手30により、フレーム3はその強度と形状の維持が図られる。トルクバー22は、連結具20でベースプレート21につながる。
【0032】
図5図6は、図1図3の杭打ち機にスタンド18をつけた本発明の図である。スタンド18はその上部で下フレーム9を支えることで、杭打ち機を支える。図5のスタンドは、金属パイプ製で台形状をしている。このスタンド18も補強用フレームが設けられている。図5は、位置決めの調整が終了し仮打ち作業開始時に相当し、図6は作業員の位置から見た図である。
【0033】
図7は、トルクバーの接地部分を示した図である。トルクバー22は、連結具20によって、ベースプレート21と連結する。ベースプレート21は平板状のもので、地面に打ち込むことはないので、結果として、杭打ち機の位置決めが容易となる。
【0034】
図8は、上フレーム3、下フレーム9、金属パイプ(上下フレーム結合用フレーム)31、金属パイプ接地部32でフレームが構成されている。フレームは全体として立方体又は、長方体の辺の形をしている。金属パイプ(上下フレーム結合用パイプ)31をさらに長くして、接地用も兼ねたものである。その先端部は接地用として金属パイプ接地部32を形成する。図9は杭打ちが進み金属パイプ接地部32が接地直前であることを示す図である。
【0035】
図10は、本発明の別の二人式エンジン杭打ち機を用いた杭打ちの図である。この杭打ち機は、把手30が金属パイプ接地部32とつながっているものある。把手30の位置が下フレーム9の位置よりも下であるので、2m以上のスクリュー杭打ちに好都合である。図11は、図10と同じ杭打ち機を用いて2m以上の長いスクリュー杭を打ち込んでいる様子を示す図である。
【0036】
図12は、図10を別の側面(作業員の位置)から見た図であり、図13は、図12が杭打ち終了直前の図である。図12図13で、32の番号で示してある部分は把手であり、かつ、金属パイプ接地の働きも行う。
【0037】
図8の杭打ち機を用いて、長さ1500mmと1700mmのスクリュー杭を打ち込んだときの実際の測定値を表1に示す。また、図10の杭打ち機を用いて、長さ2000mmのスクリュー杭を打ち込んだときの実際の測定値を表1に示す。エンジンの回転は30回/分、出力トルクは800〜900で、千葉県鎌ヶ谷市の農地で試験した。測定は、上記JISC8955:2011によっている。引き抜き試験の結果、800Kgf以上の強度が得られたとき評価○、900Kgf以上の強度が得られたとき評価◎とした。
【0038】
【表1】
【0039】
本発明の杭打ち方法によれば、十分な杭打ち深さと杭打ち強度が得られることがわかった。1500、1700、2000mmのスクリュー杭を900mm〜1300mm、1500mmの深さへの打ち込みで、引き抜き強度800Kgf、900Kgf以上の強度が得られることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、茶畑、果樹園、野菜畑等重機を用いた杭打ちができない土地にスクリュー杭を正確に打ち込むことができる打ち込み方法又は持ち運び可能な杭打ち機として利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 スクリュー杭
2 ガソリンエンジン
3 フレーム(上フレーム)
4 回転調整用レバー
5 エンジンストッパー
6 エアークリーナー
7 マフラー
8 減速機
9 フレーム(下フレーム)
10 補強用フレーム
11 ドリルジョイント
12 マウントプレート
13 クラッチ
14 フランジ
15 トルクバー (先端部)
16 トルクバー取り付けステーション
17 エンジンマウント
18 スタンド
19 ジョイントプレート
20 連結具
21 ベースプレート
22 トルクバー
23 トルクバー伸縮部
30 把手
31 金属パイプ(上下フレーム結合用フレーム)
32 金属パイプ接地部(図12図13は除く)
32 把手でありかつ金属パイプ接地部(図12図13
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13