特許第6304654号(P6304654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304654
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】リソース管理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20180326BHJP
   G06F 1/26 20060101ALI20180326BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   H02J13/00 311R
   G06F1/26 334K
   H02J3/46
   H02J13/00 301A
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-86915(P2014-86915)
(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公開番号】特開2015-208104(P2015-208104A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】301022471
【氏名又は名称】国立研究開発法人情報通信研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】特許業務法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板谷 聡子
(72)【発明者】
【氏名】児島 史秀
(72)【発明者】
【氏名】原田 博司
【審査官】 宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2004/023625(WO,A1)
【文献】 特開2011−223852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F1/26−1/32
H02J3/00−5/00、
13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)第1のリソース供給源と第1の負荷との接続の開閉を制御する第1の開閉信号を送出する第1の開閉制御部と、
前記第1のリソース供給源から供給されるリソースの状態を監視する第1の監視部と、
前記第1のリソース供給源から供給されるリソースの状態に応じた前記第1の開閉信号を定義する第1のポリシーを記憶した第1の記憶部と、
前記第1の監視部の監視結果および前記第1のポリシーに基づき前記第1の開閉信号を生成する第1の経路制御部と
を備える第1の開閉制御機構と、
(2)前記第1のリソース供給源とは異なる第2のリソース供給源と第2の負荷との接続の開閉を制御する第2の開閉信号を送出する第2の開閉制御部と、
前記第2のリソース供給源から供給されるリソースの状態を監視する第2の監視部と、
前記第2のリソース供給源から供給されるリソースの状態に応じた前記第2の開閉信号を定義する第2のポリシーを記憶した第2の記憶部と、
前記第2の監視部の監視結果および前記第2のポリシーに基づき前記第2の開閉信号を生成する第2の経路制御部と
を備える第2の開閉制御機構と、
(3)前記第1のリソース供給源から供給されるリソースの状態を監視する第3の監視部と、
前記第3の監視部の監視結果に基づき前記第1の経路制御部および前記第2の経路制御部の少なくとも一方を制御して前記第1および第2の開閉信号の少なくとも一方を生成させる第3の経路制御部と
を備えるグリッドマネージャと、
を具備したことを特徴とするリソース管理システム。
【請求項2】
前記第1の記憶部は、前記第2の開閉制御機構及び前記グリッドマネージャとの通信条件を定義する第3のポリシーをさらに記憶し、
前記第2の記憶部は、前記第1の開閉制御機構及び前記グリッドマネージャとの通信条件を定義する第4のポリシーをさらに記憶すること
を特徴とする請求項1記載のリソース管理システム。
【請求項3】
前記第1のリソース供給源から供給されるリソースの状態に影響を与える環境情報を外部から取得する情報取得部と、
前記第1および第2の負荷の内容、前記第1および第2のリソース供給源の内容、および前記環境情報の少なくともいずれかに基づいて、前記第1および第2のポリシーを生成するポリシー生成部と
を備えたサービスマネージャをさらに備えたことを特徴とする請求項1または2記載のリソース管理システム。
【請求項4】
前記第2の経路制御部は、前記第2のリソース供給源と前記第1の負荷との接続の開閉を制御する第3の開閉信号を生成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリソース管理システム。
【請求項5】
(1)第1のリソース供給源と第1の負荷との接続の開閉を制御する第1の開閉信号を送出する第1の開閉制御部と、
前記第1のリソース供給源とは異なる第2のリソース供給源と前記第1の負荷との接続の開閉を制御する第2の開閉信号を送出する第2の開閉制御部と、
前記第1の負荷に供給されるリソースの状態を監視する第1の監視部と、
前記第1の負荷に供給されるリソースの状態に応じた前記第1および第2の開閉信号を定義する第1のポリシーを記憶した第1の記憶部と、
前記第1の監視部の監視結果および前記第1のポリシーに基づき前記第1および第2の開閉信号を生成する第1の経路制御部と
を備える第1の開閉制御機構と、
(2)前記第1のリソース供給源と第2の負荷との接続の開閉を制御する第3の開閉信号を送出する第3の開閉制御部と、
前記第1のリソース供給源とは異なる第3のリソース供給源と前記第2の負荷との接続の開閉を制御する第4の開閉信号を送出する第4の開閉制御部と、
前記第2の負荷に供給されるリソースの状態を監視する第2の監視部と、
前記第2の負荷に供給されるリソースの状態に応じた前記第3および第4の開閉信号を定義する第2のポリシーを記憶した第2の記憶部と、
前記第2の監視部の監視結果および前記第2のポリシーに基づき前記第3および第4の開閉信号を生成する第2の経路制御部と
を備える第2の開閉制御機構と、
(3)前記第1および第2の監視部の少なくとも一方の監視結果を取得する受信部と、
前記受信部が受けた監視結果に基づいて、前記第1の経路制御部および前記第2の経路制御部の少なくとも一方を制御して前記第1ないし第4の開閉信号を生成させる第4の経路制御部と
を備えるグリッドマネージャと、
を具備したことを特徴とするリソース管理システム。
【請求項6】
前記第1および第2のポリシーは、前記接続の開閉に許容される遅延時間を基準として分類した前記リソースの状態と、前記接続の開閉の状態の組み合わせとを対応付けたテーブルを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のリソース管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、リソース管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生産工場などでは、Just-in-Time方式やFactory Automationシステム導入による無人化・自動化を行っている場合がある。こうした方式やシステムを導入した場合、それぞれのプロセスにおける機器の不具合や停止を防ぐことが重要である。
【0003】
機器の不具合発生の原因の一つとして、落雷や突風など日常的な自然現象に起因する災害によって発生する電力の不安定性(いわゆる「瞬時電圧低下(瞬低)」)が挙げられる。電力の不安定性については、電源供給路の二重化やバックアップ電源などにより回避することが試みられている。
【0004】
しかし、中小規模の工場の場合、コストやスペースの関係上、平均的な業務に合わせてプロセスを解析した上で重要度に応じて無停電電源装置(Uninterruptible Power Supply: UPS)を設置することが行われている。また、気象庁の雷予測等に基づき、手動で電源供給のオンオフを行う場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-61970号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】T.Takuno, Y.Kitamori, R.Takahashi, T.Hikihara, “Ac Power Routing System in Home Based on Demand and Supply Utilizing Distributed Power Source”, Energies 2011, 4(5), 717-726
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の電力供給(リソース供給)を管理するシステムでは、コストや設置スペースの問題もあり管理対象内の全ての機器を網羅することが難しく、また日々の生産工程や負荷の動的変化に対応することが難しいという問題がある。本発明はかかる問題を解決するためになされたもので、負荷や障害の動的変化に対応するとともに、低コストで多くの機器を管理することのできるリソース管理システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係るリソース管理システムは、(1)第1のリソース供給源と第1の負荷との接続の開閉を制御する第1の開閉信号を送出する第1の開閉制御部と、前記第1のリソース供給源から供給されるリソースの状態を監視する第1の監視部と、前記第1のリソース供給源から供給されるリソースの状態に応じた前記第1の開閉信号を定義する第1のポリシーを記憶した第1の記憶部と、前記第1の監視部の監視結果および前記第1のポリシーに基づき前記第1の開閉信号を生成する第1の経路制御部とを備える第1の開閉制御機構と、(2)前記第1のリソース供給源とは異なる第2のリソース供給源と第2の負荷との接続の開閉を制御する第2の開閉信号を送出する第2の開閉制御部と、前記第2のリソース供給源から供給されるリソースの状態を監視する第2の監視部と、前記第2のリソース供給源から供給されるリソースの状態に応じた前記第2の開閉信号を定義する第2のポリシーを記憶した第2の記憶部と、前記第2の監視部の監視結果および前記第2のポリシーに基づき前記第2の開閉信号を生成する第2の経路制御部とを備える第2の開閉制御機構と、(3)前記第1のリソース供給源から供給されるリソースの状態を監視する第3の監視部と、前記第3の監視部の監視結果に基づき前記第1の経路制御部および前記第2の経路制御部の少なくとも一方を制御して前記第1および第2の開閉信号の少なくとも一方を生成させる第3の経路制御部とを備えるグリッドマネージャと、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、負荷や障害の動的変化に対応するとともに、低コストで多くの機器を管理することのできるリソース管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係るリソース管理システムの概要を示す図である。
図2】実施形態に係るリソース管理システムの機能構成を示すブロック図である。
図3】電力供給の停止から復旧するまでに許容される遅延時間について説明する図である。
図4】スマートスイッチ間の通信時における機能構成を示すブロック図である。
図5】スマートスイッチとグリッドマネージャとの間の通信における機能構成を示すブロック図である。
図6】グリッドマネージャが瞬低を検知した場合の動作を説明する概念図である。
図7】グリッドマネージャが瞬低を検知した場合の動作を説明する概念図である。
図8】スマートスイッチが機器の不具合を検知した場合の動作を説明する概念図である。
図9】グリッドマネージャとサービスマネージャとの間の通信における機能構成を示すブロック図である。
図10】サービスマネージャとクラウドとの間の通信における機能構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態のリソース管理システムは、複数の負荷をもつプラントなどにおいて当該負荷にリソースを適切に供給するとともに、リソース供給の障害発生やその予測に応じてリソースの供給ルートの再構築を行う。リソースの供給ルートの制御は、障害の内容に応じて階層的に行われ、リソースの供給ルートを柔軟に再構築することができる。以下の説明においては、負荷として電力機器を複数もつプラントにおいて、リソースとして電力の供給を管理する例について説明する。
【0012】
(実施形態の構成)
図1に示すように、実施形態のリソース管理システム1は、スマートスイッチ10a,10bと、グリッドマネージャ20と、サービスマネージャ30とを有している。スマートスイッチ10a,10bは、電力線40を介して電力の供給(リソースの供給)を受けるとともに、ネットワーク42を介してグリッドマネージャ20や他のスマートスイッチと相互に通信可能に接続されている。グリッドマネージャ20は、複数の通信経路(図1に示す例ではインターネット44およびモバイル網46)を介してサービスマネージャ30と接続されている。なお、実施形態のリソース管理システム1は、さらにインターネット44およびモバイル網46を介してサーバなどからなるクラウド35と接続されてもよい。
【0013】
スマートスイッチ10a,10bは、電力機器などの負荷およびリソースとしての電力供給源を接続または開放するスイッチ機構であり、任意の数の負荷および電力供給源が接続されている。図1に示すように、スマートスイッチ10aには、負荷50a〜50dが接続されるとともに、電力供給源として電力線40、発電機60および蓄電池62aが接続されている。また、スマートスイッチ10bには、負荷50aが接続されるとともに、電力供給源として電力線40および蓄電池62bが接続されている。
【0014】
スマートスイッチ10a,10bは、負荷への電力の供給をオンオフするだけではなく、複数の電力供給源から特定の電力供給源を選択し、任意の負荷に接続することができる。図1に示す例では、スマートスイッチ10aは、物理スイッチPS1〜PS3bを備えており、物理スイッチPS1およびPS3bを閉じるとともに物理スイッチPS2およびPS3aを開放状態として、発電機60の電力を負荷50cおよび50dに供給するとともに、蓄電池62aの電力を負荷50bに供給している。同様に、スマートスイッチ10bは、物理スイッチPS4を閉じることで、蓄電池62bの電力を負荷50aに供給している。
【0015】
スマートスイッチ10a,10bは、メモリなどの記憶部(図示せず)に、グリッドマネージャ20から提供されるローカル通信ポリシー(Local Communication Policy: LCP)と、サービスマネージャから提供されるローカルサービスポリシー(Local Service Policy: LSP)とを有している。ローカル通信ポリシーは、スマートスイッチが外部との通信に用いる通信経路や通信パラメータ、相手先情報などの通信条件を、想定される状況ごとに定義した定義情報である。ローカルサービスポリシーは、負荷および当該負荷に供給すべきリソース(電力量等)を、想定される状況ごとに定義した定義情報である。スマートスイッチ10a,10bは、遅延の許されない電力供給源の切替については、ローカルポリシーに基づいて自己の判断で実現するが、後述するグリッドマネージャ20の指示に基づいて電力供給源の切替を実現してもよい。
【0016】
ローカル通信ポリシーおよびローカルサービスポリシーは、複数のスマートスイッチ間の連携動作を可能にする。図1に示す例では、スマートスイッチ10aは、スマートスイッチ10bと連携して、それぞれが物理スイッチPS2を開放するとともに物理スイッチPS4を閉じることで、蓄電池62bの電力を負荷50aに供給している。また、ローカル通信ポリシーおよびローカルサービスポリシーは、自己のスマートスイッチ単位での自律的動作をも可能とする。すなわち、スマートスイッチは、自己の配下の物理スイッチの制御だけで継続的な電力供給が可能であれば、各ポリシーに基づいて物理スイッチを制御する。図1に示す例では、スマートスイッチ10aは、ローカルサービスポリシーに基づいて物理スイッチPS3aおよびPS3bを制御することで、電力線40からの電力または発電機60からの電力のいずれかを選択し、負荷50cおよび負荷50dに対して電力を供給することができる。
【0017】
スマートスイッチ10a,10bは、電力供給源や負荷の不具合を検知する機能をも有している。スマートスイッチ10a,10bは、配下の負荷の不具合を検知した場合、ローカルサービスポリシーに基づいて自律的に物理スイッチを制御して配下の負荷への電力供給を制御することができる。
【0018】
スマートスイッチは、図1に示すスマートスイッチ10aのように複数の電力供給源および複数の負荷を接続してもよいし、スマートスイッチ10bのように単独の電力供給源および単独の負荷を接続しても構わない。スマートスイッチの規模および配置は、プラントなどにおける負荷の配置状況や、電力供給を受ける受電設備の位置などに応じて設定することができる。
【0019】
グリッドマネージャ20は、複数のスマートスイッチ10a,10bを管理するとともに、各々のスマートスイッチが保持するローカル通信ポリシーを生成する管理装置である。グリッドマネージャ20は、複数のスマートスイッチ10a,10bとネットワーク42を介して接続され、複数のスマートスイッチ10a,10bの連携動作を実現する。また、グリッドマネージャ20は、スマートスイッチ10a,10bごとのローカル通信ポリシーを生成して各スマートスイッチに提供する。
【0020】
グリッドマネージャ20は、グローバル通信ポリシー(Global Communication Policy: GCP)を有している。グローバル通信ポリシーは、配下のスマートスイッチ10a,10bとの通信やスマートスイッチ10aおよび10b間の通信、さらには上位のサービスマネージャ30との通信について、通信経路や通信パラメータ、相手先情報などを、想定される状況ごとに定義した定義情報である。グローバル通信ポリシーは、サービスマネージャ30からの指示等に応じてグリッドマネージャ20が自ら生成し保持する。
【0021】
グリッドマネージャ20は、スマートスイッチ10a,10bと同様、電力供給源や負荷の不具合を検知する機能をも有している。グリッドマネージャ20が電力供給源の不具合を検知した場合、グリッド通信ポリシーに基づいて配下のスマートスイッチ10a,10bに電力供給ルートの変更を指示することができる。
【0022】
サービスマネージャ30は、グリッドマネージャ20を管理してシステム全体のサービス内容を設定するとともに、各々のスマートスイッチが保持するローカルサービスポリシーを生成する管理装置である。サービスマネージャ30は、スマートスイッチごとのローカルサービスポリシーを生成して各スマートスイッチに提供する。
【0023】
サービスマネージャ30は、グローバルサービスポリシー(Global Service Policy: GSP)を有している。グローバルサービスポリシーは、リソース管理システム1が管理するプラント全体に対する電力供給の基準を定義した定義情報である。グローバルサービスポリシーには、負荷の情報や当該負荷に必要な電力の情報、負荷や電力供給源の配置などの情報が含まれる。
【0024】
クラウド35は、例えば気象情報を提供するサーバやデータベースなどを含む情報提供システムである。クラウド35は、例えば瞬低の原因となる落雷予測情報などをサービスマネージャ30に提供する。
【0025】
続いて、図2を参照して、実施形態に係るリソース管理システム1の機能構成を詳細に説明する。
【0026】
図2に示すように、実施形態のスマートスイッチ10a,10bは、物理スイッチPSn、リソース測定コントローラ100、リソースルートマネージャ110、およびリソースルートコントローラ120を備えている。
【0027】
リソース測定コントローラ100(Resource Measurement Controller: RMC)は、電力供給ルートを決定するため、例えば、負荷50a〜50dの負荷情報、発電機60の発電量などを含む発電情報、蓄電池62a,62bの蓄電情報などのルート決定情報を収集し、リソースルートマネージャ110に提供する。リソース測定コントローラ100は、かかる情報群の収集を通じて負荷や電力供給源の不具合を監視し、負荷や電力供給源の不具合発生をリソースルートマネージャ110に通知する。
【0028】
リソースルートマネージャ110(Resource Route Manager: RRM)は、スマートスイッチ10a,10bにおけるサービス品質(どのような電力供給を行うか)を、ルート決定情報およびサービスマネージャ30から提供されたローカルサービスポリシーに従って決定する。また、リソース測定コントローラ100が負荷や電力供給の不具合発生を検知した場合、リソースルートマネージャ110は、不具合の状況に応じて電力供給ルートの再構築の決定を行う。
【0029】
リソースルートコントローラ120(Resource Route Controller: RRC)は、リソースルートマネージャ110の決定に基づきリソースたる電力の供給ルートを決定する。すなわち、リソースルートコントローラ100、リソースルートマネージャ110およびリソース測定コントローラ120は、互いに協働してリソースの供給ルートを決定する。電力の供給ルートの変更は、リソースルートコントローラ120がスマートスイッチ10a,10b配下の物理スイッチPSnそれぞれを制御信号により開閉制御することにより行う。
【0030】
また、実施形態のスマートスイッチ10a,10bは、ターミナル測定コントローラ130、ターミナル通信マネージャ140、およびターミナル通信コントローラ150を備えている。
【0031】
ターミナル測定コントローラ130(Terminal Measurement Controller: TMC)は、通信制御に必要な通信制御情報を収集し、ターミナル通信マネージャ140に提供する。ターミナル通信マネージャ140(Terminal Communication Manager: TCM)は、グリッドマネージャ20から提供されたローカル通信ポリシーに基づき、スマートスイッチと外部との通信を制御する。なお、ターミナル通信マネージャ140は、リソースルートマネージャ110が他のスマートスイッチと連携した電力供給を決定した場合、ローカル通信ポリシーに基づいて連携するスマートスイッチとの通信路を設定する。ターミナル通信コントローラ150(Terminal Communication Controller: TCC)は、ターミナル通信マネージャ140の指示に基づき、スマートスイッチ10a,10bの通信デバイスを制御して通信を行う。
【0032】
また、図2に示すように、実施形態のグリッドマネージャ20は、グリッド測定コントローラ200、グリッド通信マネージャ210、グリッド通信コントローラ220、およびローカル通信ポリシーコントローラ230を備えている。
【0033】
グリッド測定コントローラ200(Grid Measurement Controller: GMC)は、配下のスマートスイッチとの通信制御やサービスマネージャ30との通信制御に必要な通信制御情報を取得し、グリッド通信マネージャ210に提供する。併せて、グリッド測定コントローラ200は、リソースルートマネージャ110と同様、配下のスマートスイッチに収容された負荷や関係する電力供給源の不具合を検知する機能をも有している。
【0034】
グリッド通信マネージャ210(Grid Communication Manager: GCM)は、スマートスイッチ10a,10b間の通信状態、スマートスイッチ10a,10bとの通信状態、およびサービスマネージャ30との通信状態、さらには配下の負荷や電力供給の不具合の有無を監視する。併せて、グリッド通信マネージャ210は、サービスマネージャ30と連携して、通信手段や頻度などを含むローカル通信ポリシーを決定する。グリッド通信コントローラ220(Grid Communication Controller: GCC)は、スマートスイッチ10a,10bおよびサービスマネージャ30との通信に係る通信方式・通信頻度などを制御する。ローカル通信ポリシーコントローラ230(Local Communication Policy Controller: LCC)は、スマートスイッチ10a,10bにローカル通信ポリシーを提供してその書き換えを指示する。
【0035】
図2に示すように、実施形態のサービスマネージャ30は、サービス品質測定コントローラ300、クラウドサービスマネージャ310、通信コントローラ320、およびローカルサービスポリシーコントローラ330を備えている。
【0036】
サービス品質測定コントローラ300(Service Quality Measurement Controller: SQC)は、実施形態のリソース管理システム1が提供するサービス品質の状態を測定し、クラウドサービスマネージャ310に提供する。クラウドサービスマネージャ310(Cloud Service Manager: CSM)は、実施形態のリソース管理システム1のユーザが定めたサービスレベルを維持しているかサービス全体を監視する。そして、スマートスイッチ10a,10bに接続された負荷50a〜50dの変更や変動等により、瞬低や瞬電などリソースの供給停止時間に関する許容遅延が変化した場合に、各スマートスイッチ10a,10bのローカルサービスポリシーを変更したり、グリッドマネージャ20に通信ポリシーの変更を指示したりする。
【0037】
通信コントローラ320(Communication Controller: CC)は、グリッドマネージャ20の指示に応じた通信方式を設定して通信する。ローカルサービスポリシーコントローラ330(Local Service Policy Controller: LSC)は、負荷50a〜50dの変更や変動等により、各スマートスイッチ10a,10bのローカルサービスポリシーの変更が必要になった場合に、当該変更を指示する。
【0038】
さらに、図2に示すように、実施形態のクラウド35は、ローカル通信ポリシーやローカルサービスポリシーの変更に関係する分野の情報、例えば気象予測情報や生産管理情報などが格納されたサーバ350やデータベース360を含んでいる。
【0039】
このように、実施形態のリソース管理システムは、複数の負荷を含む管理対象に対して複数のスマートスイッチを配設し、当該スマートスイッチを管理するグリッドマネージャを階層的に配設している。かかる構成により、リソースの供給停止時間に関する許容遅延の長さに応じて柔軟なリソース供給制御が可能となる。すなわち、時間的に猶予のない瞬低に対する対応については、スマートスイッチがローカルサービスポリシーに基づいて自律的に供給ルートを変更する。また、比較的時間にゆとりのある瞬低予測に対する対応については、スマートスイッチおよびグリッドマネージャが協働し、複数のスマートスイッチにまたがる範囲にわたって供給ルートを変更する。これにより、負荷に応じた動的な供給制御が可能になる。
【0040】
また、この実施形態のリソース管理システムは、スマートスイッチを管理するグリッドマネージャとは別に、サービスを管理するサービスマネージャを備えたので、提供システム全体のサービス品質を担保することができる。
【0041】
さらに、この実施形態のリソース管理システムは、スマートスイッチがリソース供給制御をおこなう基準とするローカルサービスポリシーやローカル通信ポリシーを変更可能としたので、管理対象たるユーザの負荷やその配置に関わらずあらゆる形態の事業に適用することができる。これは、リソース管理システムを自営で行うことが難しいユーザに対して、実施形態のリソース管理システムを保有する者がクラウドサービスとしてリソース管理サービスを提供可能になることを意味している。
【0042】
(リソース供給停止から復旧までの許容遅延)
ここで、図3を参照して、負荷への電力供給の停止から復旧するまでに許容される遅延時間について説明する。
【0043】
電力などのリソース供給が障害により停止してから復旧するまでには、一定の時間を要するのが一般的である。一方で、負荷たる電力機器には、いかなる遅延も許されないものから、状況によりある程度の遅延が許容されるものまで様々なものが存在する。例えば、図3に示すように、プラントでの瞬低発生は、製品の品質や信頼性に直結する事象であるから、1秒以下での復帰が望まれる。プラントでの機器故障は、他の機器への影響を防ぐことが重要であり、数秒から数分単位の遅延で復帰すればよい。さらに、プラント内の機器毎の電力供給の平準化や電力供給の需要調整などの事象では、日常の業務において発生する問題であり、予め準備が可能であるから数分から数十分程度の遅延も許容され得る。雷災害の時期を予測して予め電力供給ルートを変更するような事象では、綿密な計画のもとに行われるものであるから、数時間単位の遅延も許容され得る。
【0044】
また、許容される遅延時間の相違は、負荷や電力供給の不具合の影響が及ぶ範囲とも関連する。例えば、プラントでの瞬低発生の場合は、許容される遅延時間が短いことからスマートスイッチ単位での自律的復旧が原則となる。一方、プラントの機器故障発生の場合は、瞬低発生よりも許容される遅延時間が長いものの、不具合の影響が広範囲に及ぶことから、グリッドマネージャおよびスマートスイッチの連携的復旧が不可欠となる。
【0045】
瞬低発生や機器の故障など電力供給の各種状態は、電力供給が停止し復旧するまでに許容される遅延時間(スイッチの開閉に許容される時間)を基準として分類されており、それぞれの状態に適した電力供給ルートの変更方法(スイッチの開閉の組合せ方法)が対応付けられたテーブルが、ローカルサービスポリシーとしてスマートスイッチやグリッドマネージャの記憶部に格納されている。図3に示す例では、プラントでの瞬低発生や機器故障、時間的に余裕のあるデマンドレスポンス、さらには雷など瞬低を予測した上での供給ルート変更が電力供給の状態として示されている。そして、各々の状態(予測)に対応して、スマートスイッチ単独の自律制御、スマートスイッチどうしの連携制御、グリッドマネージャとスマートスイッチとが連携したローカル制御、さらにはグリッドマネージャどうしが連携したグローバル制御などが対応策として定義づけられている。実施形態のリソース管理システムは、負荷への電力供給を直接制御するスマートスイッチと、複数のスマートスイッチを包括して管理するグリッドマネージャと、図3に示すようなサービスポリシーテーブルを備えたので、電力供給ルートの自律的な復旧に加えて他のスマートスイッチと連携した復旧を可能にしている。
【0046】
(実施形態の動作例1:スマートスイッチが不具合を検出)
以下、図4を参照して、実施形態のリソース管理システムの動作を説明する。図4に示すように、リソースルートマネージャ110a,110bは、リソースルート決定部111a,111b、ローカルサービス品質マネージャ112a,112bおよび情報処理部113a,113bを備えている。また、ターミナル通信マネージャ140a,140bは、ターミナル通信決定部141a,141b、ローカル通信マネージャ142a,142b、ネットワークアクセス部143a,143bおよびターミナル測定マネージャ144a,144bを備えている。
【0047】
リソース測定コントローラ100aが負荷50cにおける瞬低を検出すると、検出結果はリソースルートマネージャ110aの情報処理部113aに送られる。
【0048】
リソースルートマネージャ110aのローカルサービス品質マネージャ112aは、ローカルサービスポリシーに基づき、ターミナル通信マネージャ140aのローカル通信マネージャ142aを介して、グリッドマネージャ20やスマートスイッチ10bに瞬低発生を通知する。
【0049】
リソースルート決定部111aは、ローカルサービスポリシーに基づいて瞬低の発生原因である電力供給源(例えば電力線40)の切り離しを決定し、リソースルートコントローラ120aに通知する。
【0050】
リソースルートコントローラ120aは、通知に従って物理スイッチPS3aを開放するとともに物理スイッチPS3bを閉じて、負荷50cへの電力供給を電力線40から発電機60へ切り替える。
【0051】
リソースルート決定部111aは、ローカルサービス品質マネージャ112aからの指示に従い、他のスマートスイッチ10bと連携し、瞬低発生に備えた電力供給ルートを決定する。このように、実施形態のリソース管理システムによれば、スマートスイッチが検出し低遅延を要する物理スイッチの制御を、スマートスイッチ自身が単独で実現しているが、他のスマートスイッチと連携して物理スイッチの制御を実現してもよい。このときの連携制御は、上位に位置するグリッドマネージャを介してスマートスイッチどうしが連携動作してもよいし、スマートスイッチどうしが直接連携動作してもよい。
【0052】
(実施形態の動作例2:グリッドマネージャが不具合を検出)
続いて、図5および6を参照して、実施形態のリソース管理システムの他の動作を説明する。図5に示すように、リソースルートマネージャ110cは、リソースルート決定部111c、ローカルサービス品質マネージャ112cおよび情報処理部113cを備えている。また、ターミナル通信マネージャ140cは、ターミナル通信決定部141c、ローカル通信マネージャ142c、ネットワークアクセス部143cおよびターミナル測定マネージャ144cを備えている。さらに、グリッド通信マネージャ210は、グリッド通信ポリシー決定部211、ローカル通信ポリシー決定部212、ネットワークアクセス部213、グリッド通信マネージャ214および情報処理部215を備えている。
【0053】
グリッド測定コントローラ200が負荷50eにおける瞬低を検出すると、検出結果はグリッド通信マネージャ210の情報処理部215に送られる。
【0054】
グリッド通信マネージャ210のネットワークアクセス部213は、検出した瞬低情報を配下のスマートスイッチ10cに送る。スマートスイッチ10cのローカル通信マネージャ142cは、グリッドマネージャ20からの瞬低情報を受信する。受信した瞬低情報は、ローカルサービス品質マネージャ112cへ送られる。
【0055】
ローカルサービス品質マネージャ112cは、受信した瞬低情報とローカルサービスポリシーに基づいて、ローカル通信マネージャ142cを介してスマートスイッチ10dや10eに瞬低発生を通知する。
【0056】
リソースルート決定部111cは、瞬低の発生原因である電力供給源(例えば電力線40)の切り離しを決定し、リソースルートコントローラ120cに通知する。
【0057】
リソースルートコントローラ120cは、通知に従って物理スイッチPS3aを開放するとともに物理スイッチPS3bを閉じて、負荷50eへの電力供給を電力線40から発電機60cへ切り替える。
【0058】
リソースルート決定部111cは、ローカルサービス品質マネージャ112cからの指示に従い、他のスマートスイッチ10dや10eと連携し、瞬低発生に備えた電力供給ルートを決定する。
【0059】
図6および7は、動作例2の動作概要を示している。図6に示すように、瞬低情報がグリッドマネージャ20からスマートスイッチ10cに送られると(図6中(a))、スマートスイッチ10cのローカル通信マネージャ142cおよびスマートスイッチ10eのローカル通信マネージャ142eは瞬低情報を交換する(同(b))。次いで、ローカルサービス品質マネージャ112cとローカルサービス品質マネージャ112eは互いに連携してそれぞれの物理スイッチを制御し、発電機60cの電力を負荷50eだけでなく負荷50gや負荷50hへ供給している(同(c))。すなわち、複数のスマートスイッチが連携して電力供給ルートを変更している。
【0060】
また、図7に示すように、電力供給ルートの変更は、瞬低等の不具合を検知した時刻をT1、電力供給ルートの変更が完了する予定時刻をT2としたとき、遅延時間T2-T1が図3に示す事象ごとの許容遅延時間以下となる電力供給ルートが選択される。グリッドマネージャ20からスマートスイッチ10cまでの通信経路も同様であり、グリッド通信コントローラ220は、グリッドマネージャ20からスマートスイッチ10cへの通信が許容遅延時間を充分下回る時間となる通信経路を選択する。
【0061】
このように、実施形態のリソース管理システムによれば、グリッドマネージャが検出した異常について、スマートスイッチどうしが連携して物理スイッチを制御しているが、この連携動作は、グリッドマネージャを介して実現してもよいし、スマートスイッチ自身が他のスマートスイッチと直接連携して制御を実現してもよい。
【0062】
(実施形態の動作例3:特定のスマートスイッチが供給ルート構築)
続いて、図5および8を参照して、実施形態のリソース管理システムの他の動作を説明する。
【0063】
リソース測定コントローラ100cが配下の負荷における故障(異常)を検出すると(図8中(a))、検出結果はリソースルートマネージャ110cの情報処理部113cを通じてローカルサービス品質マネージャ112cに送られる。
【0064】
ローカルサービス品質マネージャ112cは、ローカルサービスポリシーに基づき、ターミナル通信マネージャ140cのローカル通信マネージャ142cを介して、グリッドマネージャ20に機器故障発生を通知する。
【0065】
機器故障発生の通知を受けると、グリッドマネージャ20のグリッド通信マネージャ210は、電力の供給ルーティングの再構築を行う。具体的には、グリッド通信マネージャ210は、機器故障の異常レベルに応じて適切なコミュニケーション手段(例えば、利用可能なチャネルや通信方式の混雑度などに応じて、最短時間で情報伝達可能なコミュニケーション手段)を選択する。そして、配下のスマートスイッチ10c〜10eに問題回避のための電力供給フローを実現できるよう電力ルーティングの再構築を行う。
【0066】
このとき、グリッドマネージャ20のグリッド通信マネージャ210が保持している各スマートスイッチへの電力供給ルートに関する情報が、所定時間以上古い情報である場合(例えば30分前)、かつ、複数のスマートスイッチが連携して経路再構築を行う必要がある場合、グリッド通信マネージャ210は、最速に電力ルート再計算が行えるスマートスイッチを選択して電力供給ルートの再構築を指示する(図8中(b)(c))。図8に示す例では、グリッド通信マネージャ210は、配下のスマートスイッチのうちCPU使用率の低いスマートスイッチ10eに電力ルートの再計算を指示している。
【0067】
指示を受けたスマートスイッチ10eは、自己のローカル通信マネージャ142eやローカルサービス品質マネージャ112eが保有する最新の情報を用いて電力供給ルートを再構築する演算を行う。
【0068】
再構築処理が完了すると、再構築を行ったスマートスイッチが、電力供給ルートの変更が必要なスマートスイッチに対してルートの変更を指示する(同(d))。
【0069】
指示を受けたスマートスイッチのローカル通信マネージャ10dは、ルート変更に係る情報をローカルサービス品質マネージャ112dに渡す。ローカルサービス品質マネージャ112dは、受け取った情報に基づき電力供給ルートを再構築する。
【0070】
(実施形態の動作例4:ポリシーの変更)
続いて、図5および9を参照して、実施形態のリソース管理システムの他の動作を説明する。図9に示すように、クラウドサービスマネージャ310は、通信ネットワーク決定部311、ローカルサービスポリシー決定部312、ネットワークアクセス部313、通信マネージャ314、グローバルサービス品質マネージャ316および情報処理部315を備えている。
【0071】
複数のグリッドマネージャ20のうちの一つに対して節電要請があった場合、節電要請を受けたグリッドマネージャ20は、自己が属するサービスマネージャ30へ調整依頼を送る。
【0072】
調整依頼を受けたサービスマネージャ30のグローバルサービス品質マネージャ316は、配下のグリッドマネージャ20の状態に基づき、ローカルサービスポリシー決定部312に最適なローカルサービスポリシーを作成させる。
【0073】
グローバルサービス品質マネージャ316は、作成されたローカルサービスポリシーを通信マネージャ314を介してグリッドマネージャ20に送る。
【0074】
サービスマネージャ30からローカルサービスポリシーを受け取ると、グリッドマネージャ20のグリッド通信マネージャは、受け取ったローカルサービスポリシーに適したローカル通信ポリシーをローカル通信ポリシー決定部212に作成させる。
【0075】
グローバル通信マネージャ214は、作成されたローカル通信ポリシーおよびサービスマネージャ30から受け取ったローカルサービスポリシーを、配下のスマートスイッチに送る。
【0076】
グリッドマネージャ20のグローバル通信マネージャ214からローカル通信ポリシーおよびローカルサービスポリシーを受け取ると、ローカルサービス品質マネージャ112cは、受け取ったローカルサービスポリシーを適用し、ローカル通信マネージャ142cは、受け取ったローカル通信ポリシーを適用する。
【0077】
受け取ったポリシーが適用されると、リソースルート決定部111cは、必要に応じて電力供給ルートの切り替えを行う。
【0078】
(実施形態の動作例5:クラウド利用)
続いて、図5,9および10を参照して、実施形態のリソース管理システムの他の動作を説明する。図10に示すように、グローバルサービス品質マネージャ316は、サービス品質評価部341、製品プロセス監視部342、リスク・インパクト評価部343、経済的損失評価部344およびデータアクセスコントローラ345を備えている。
【0079】
サービスマネージャ30のグローバルサービス品質マネージャ316は、管理対象のプラント等における生産プロセスやラインの状態情報を参照し、電力供給の障害が与えるインパクトの評価を行う。評価に当たって、グローバルサービス品質マネージャ316は、気象関係官署が提供する気象情報や雷予測情報をクラウド35のサーバ350やデータベース360から取得する。
【0080】
インパクトの評価の結果、電力フローの変更が必要と判定されると、ローカルサービスポリシー決定部312は、新しいローカルサービスポリシーを生成する。通信マネージャ314は、生成したローカルサービスポリシーをグリッドマネージャ20に送る。
【0081】
グリッドマネージャ20のグローバル通信マネージャ214は、新しいローカルサービスポリシーをスマートスイッチ10cのローカルサービス品質マネージャ112cに送り、ローカルサービス品質マネージャ112cは、受け取った新しいローカルサービスポリシーを適用する。
【0082】
また、グリッドマネージャ20のローカル通信ポリシー決定部212は、新しいローカルサービスポリシーを満足するためのローカル通信ポリシーを生成する。グローバル通信マネージャ214は、生成された新しいローカル通信ポリシーをスマートスイッチ10cのローカル通信マネージャ142cに送る。ローカル通信マネージャ142cは、新しいローカル通信ポリシーを適用する。
【0083】
リソースルート決定部111cは、必要に応じて新しいローカルサービスポリシーに基づいて電力供給ルートの再構築を行う。
【0084】
このように、実施形態のリソース管理システムは、複数の負荷を含む管理対象に対して複数のスマートスイッチを配設し、当該スマートスイッチを管理するグリッドマネージャを階層的に配設し、上位のグリッドマネージャと下位のスマートスイッチの両者で電力供給の不具合等を監視している。かかる構成により、電力供給経路の変更が広範囲にわたっても柔軟に対応することができる。
【0085】
また、この実施形態のリソース管理システムでは、実際に電力供給ルートの変更を担うスマートスイッチにおける動作の基準となるローカルサービスポリシーやローカル通信ポリシーを、上位のグリッドマネージャやサービスマネージャが変更可能としたので、電力供給管理の対象が広範囲にわたる場合でも柔軟に供給経路の変更を行うことができる。
【0086】
また、実施形態のリソース管理システムでは、かかるポリシー群を上位のグリッドマネージャやサービスマネージャが管理するので、管理対象たる工場の運営者がポリシーを管理する必要がなくなる。これは、第三者へリソース管理の運営を委ねることを可能とするものであり、中小規模の企業や工場のように自営の通信網と管理システムを備えることが難しい場合でも、リソース管理システムを容易に導入することが可能となる。
【0087】
さらに、この実施形態のリソース管理システムでは、スマートスイッチ、グリッドマネージャ、サービスマネージャ相互間の通信をローカル通信ポリシー、グローバル通信ポリシーにより通信条件を定義したので、通信路を自由に設定することができる。すなわち、自営の通信網に限らず、第三者が提供する電気通信網を利用するができる。また、複数の通信路を定義することで、スイッチ制御を高速化する通信路を自由に選択することが可能になる。
【0088】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが,これらの実施形態は,例として提示したものであり,発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は,その他の様々な形態で実施されることが可能であり,発明の要旨を逸脱しない範囲で,種々の省略,置き換え,変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は,発明の範囲や要旨に含まれるとともに,特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。例えば、実施形態のリソース管理システムは、電力供給の管理を行っているが、これには限定されない。ガス供給や水供給など、複数の負荷や需要地に複数のリソース供給源を用いて安定的な供給を図る対象に対して、同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1…リソース管理システム、10,10a〜10e…スマートスイッチ、100,100a〜100c…リソース測定コントローラ、110,110a〜110c…リソースルートマネージャ、120,120a〜120c…リソースルートコントローラ、130,130a〜130c…ターミナル測定コントローラ、140,140a〜140c…ターミナル通信マネージャ、150,150a〜150c…ターミナル通信コントローラ、20…グリッドマネージャ、200…グリッド測定コントローラ、210…グリッド通信マネージャ、220…グリッド通信コントローラ、230…ローカル通信ポリシーコントローラ、30…サービスマネージャ、300…サービス品質測定コントローラ、310…クラウドサービスマネージャ、320…通信コントローラ、330…ローカルサービスポリシーコントローラ、35…クラウド、350…サーバ、360…データベース、40…電力線、42…ネットワーク、44…インターネット、46…モバイル網、50a〜50h…負荷、60…発電機、62a,62b…蓄電池LSP…ローカルサービスポリシー、LCP…ローカル通信ポリシー、PS1〜PS4…物理スイッチ。
図1
図2
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