特許第6304792号(P6304792)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セルオプティック、インコーポレイテッドの特許一覧

特許6304792受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法
<>
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000016
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000017
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000018
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000019
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000020
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000021
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000022
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000023
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000024
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000025
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000026
  • 特許6304792-受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法 図000027
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304792
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】受け取った電磁放射からホログラムを生成するために複屈折レンズを使用するためのシステム、装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/04 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   G03H1/04
【請求項の数】20
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2017-510440(P2017-510440)
(86)(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公表番号】特表2017-515169(P2017-515169A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】US2015028477
(87)【国際公開番号】WO2015168384
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】61/987,205
(32)【優先日】2014年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509018649
【氏名又は名称】セルオプティック、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CELLOPTIC, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ブルッカー、ゲーリー
(72)【発明者】
【氏名】シーゲル、ニサン
【審査官】 植野 孝郎
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/132781(WO,A1)
【文献】 特表2009−544036(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0050832(US,A1)
【文献】 Gary Brooker et al.,In-line FINCH super resolution digital holographic fluorescence microscopy using a high efficiency transmission liquid crystal GRIN lens,OPTICS LETTERS,2013年12月15日,Vol.38,No.24,p.5264-5267
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03H 1/00− 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非量子化異方性電磁特性を有する少なくとも1つの複屈折レンズを含む複数のレンズを備える光学装置であって、
前記複数のレンズが、
オブジェクトから、非コヒーレントな光である電磁放射を受け取り、
それぞれ異なる位相特性を受け取りながら共通の経路中を伝搬する2つ以上の差分変調された電磁波生成するために、受け取った前記電磁放射を、非量子化異方性電磁特性を有する前記少なくとも1つの複屈折レンズを使用する屈折によって変換し、前記2つ以上の差分変調された電磁波は、電力を要することなく、前記少なくとも1つの複屈折レンズによって異なる焦点面に収束され、
電磁干渉を生成するために、前記差分変調された電磁波を提供する
ように構成される、光学装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つのレンズのうち前記複屈折レンズを除く別のレンズは、前記複屈レンズを出た前記差分変調された電磁波の各々の焦点距離を修正するように構成される、請求項に記載の光学装置。
【請求項3】
前記差分変調された電磁波の間隔因子が、前記別のレンズの焦点距離により変更可能である、請求項に記載の光学装置。
【請求項4】
前記別のレンズが、ガラスレンズである、請求項または請求項に記載の光学装置。
【請求項5】
前記複屈折レンズが、アルファほう酸バリウム材料またはベータほう酸バリウム材料を備える、請求項から請求項の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項6】
前記複屈折レンズが、平坦な複屈折材料に、あるいは正湾曲した、また負湾曲した複屈折材料中に封入される液晶材料を備える、請求項から請求項の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項7】
前記複屈折レンズが、平坦な複屈折材料に、あるいは正湾曲した、また負湾曲した非複屈折材料中に封入される液晶材料を備える、請求項から請求項の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項8】
前記電磁干渉が、前記オブジェクトを表すホログラムを形成する、請求項1から請求項の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項9】
前記ホログラムが、前記電磁干渉により生成されるFINCHホログラムである、請求項に記載の光学装置。
【請求項10】
前記ホログラムが、前記電磁干渉により生成されるフレネルホログラム、フーリエホログラム、FINCHホログラム、またはオフアクシスホログラムのうちのいずれかである、請求項に記載の光学装置。
【請求項11】
受け取った前記電磁放射が顕微鏡からである、請求項1から請求項の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項12】
前記電磁干渉を記録するように構成されたカメラをさらに備える、請求項1から請求項11の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項13】
前記光学装置が、ホログラフィをスキャンする際に励起パターンとして前記電磁干渉を使用するように更に構成される、請求項1から請求項の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項14】
前記光学装置が、構造化照明(SIM)イメージングシステムの励振源において前記電磁干渉を使用するように更に構成される、請求項1から請求項の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項15】
前記光学装置が、顕微鏡対物レンズ内に収容される、請求項1から請求項の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項16】
前記電磁放射のコヒーレンス長に対する前記差分変調された電磁波間の位相遅延を最小限に抑えるために少なくとも1つの補償光学部品をさらに備える、請求項1から請求項の何れか一項に記載の光学装置。
【請求項17】
前記少なくとも1つの補償光学部品が、複屈折補償光学部品である、請求項16に記載の光学装置。
【請求項18】
オブジェクトから、非コヒーレントな光である電磁放射を受け取る段階と
それぞれ異なる位相特性を受け取りながら共通の経路中を伝搬する2つ以上の差分変調された電磁波生成するために、受け取った前記電磁放射を、非量子化異方性電磁特性を有する少なくとも1つの複屈折レンズを使用する屈折によって変換する段階であって前記2つ以上の差分変調された電磁波は、電力を要することなく、前記少なくとも1つの複屈折レンズによって異なる焦点面に収束される段階と、
電磁干渉を生成するために、前記差分変調された電磁波を提供する段階と
を含む、方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの複屈折レンズは固体である、
請求項1に記載の光学装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの複屈折レンズは、石英、ほう酸バリウム、ニオブ酸リチウム、および、方解石、の少なくとも1つを含む、
請求項1に記載の光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願についての相互参照>
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2014年5月1日付けで出願された米国仮特許出願第61/987,205号に関し、その優先権を主張するものである。
【0002】
<政府の権利>
本発明は、米国国立がん研究所(NCI)により授与された認可R44CA192299の下で、米国政府の支援を受けて行われた。米国政府は、本発明においてある特定の権利を有する。
【0003】
本発明は、受け取った光又は他の電磁放射の位相特性を変更するために、複屈折レンズ又は光学素子の使用によって、フレネル非コヒーレント自己相関ホログラフィ(FINCH)又は他のホログラフィ画像を収集するための装置に関する。本発明はまた、これらのホログラフィ画像を収集するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
ホログラムは、2つ以上の光又は他の放射波により生成される干渉パターンの記録である。その放射波が干渉するためには、放射波は、異なる位相特性を有しなければならない。現在のホログラフィ法では、干渉される波は、各々の波に異なる位相特性を加える異なる光学経路を通過する。シングルパスホログラフィの方法の1つのクラスでは、通常、光空間変調器(SLM)又は他の光学素子に表示されたデジタル化された位相パターンを通過させること、あるいはそこから反射させることによって、波に異なる位相特性を与える。自己干渉ホログラフィのための方法の別のクラスでは、単一の波からこれらの波を生じさせ、それをビームスプリッタにより分割し、次いで、異なるミラーで反射させた後に、ビーム経路の最後の部分で再合成され、干渉させることになる。これらの方法で生成されるホログラムは、光路長におけるわずかな不整合、量子化誤差、又はSLM若しくは他の光学素子の望ましくない回折効果に起因して、有意な欠陥が生じるという欠点があり得る。不要な反射若しくは量子化誤差、又は望ましくない回折効果を受けることなく、異なる位相特性を受け取りながら、すべて放射波が同じ光学経路を通ることを可能にした装置、システム又は方法は、ホログラフィの分野における大きな進歩である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第8,542,421号
【特許文献2】米国特許出願第62/023,958号
【特許文献3】米国特許第8,009,340号
【特許文献4】米国特許第8,179,578号
【特許文献5】米国特許第8,405,890号
【特許文献6】日本国特許第8,542,421号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nature 161, 777-778 (1948)
【非特許文献2】Optics Letter 22,1506-1508 (1997)
【非特許文献3】Optics Letter 32, 912-914 (2007)
【非特許文献4】Optics Letter 38, 3922 (2013)
【非特許文献5】Optik 118, 335-339 (2007)
【非特許文献6】J. Rosen及びG. Brooker, Non-scanning motionless fluorescence three-dimensional holographic microscopy, Nat. Photonics 2, 190-195 (2008)
【非特許文献7】G. Brooker, N. Siegel, V. Wang及びJ. Rosen, Optimal resolution in Fresnel incoherent correlation holographic fluorescence microscopy, Optics Express 19, 5047-5062 (2011);
【非特許文献8】J. Rosen, N. Siegel及びG. Brooker, Theoretical and experimental demonstration of resolution beyond the Rayleigh limit by FINCH fluorescence microscopic imaging, Optics Express 19, 26249-26268 (2011)
【非特許文献9】B. Katz, J. Rosen, R. Kelner及びG. Brooker, Enhanced resolution and throughput of Fresnel incoherent correlation holography (FINCH) using dual diffractive lenses on a spatial light modulator (SLM), Optics Express 20, 9109-9121 (2012)
【非特許文献10】N. Siegel, J. Rosen及びG. Brooker, Reconstruction of objects above and below the objective focal plane with dimensional fidelity by FINCH fluorescence microscopy, Optics Express 20, 19822-19835 (2012)
【非特許文献11】P. Bouchal, J. Kapitan, R. Chmelik及びZ. Bouchal, Point spread function and two-point resolution in Fresnel incoherent correlation holography, Optics Express 19, 15603-15620 (2011)
【非特許文献12】X. Lai, Y. Zhao, X. Lv, Z. Zhou及びS. Zeng, Fluorescence holography with improved signal-to-noise ratio by near image plane recording, Optics Letter 37, 2445-2447 (2012)
【非特許文献13】O Bouchal及びZ. Bouchal, Wide-field common-path incoherent correlation microscopy with a perfect overlapping of interfering beams, J. Europ. Opt. Soc. -Rap. Pub. 8, 13011 (2013)
【非特許文献14】X. Lai, S. Zeng, X. Lv, J. Yuan及びL. Fu, Violation of the Lagrange invariant in an optical imaging system, Optics Letter 38, 1896-1898 (2013)
【非特許文献15】G. Brooker, N. Siegel, J. Rosen, N. Hashimoto, Makato Kurihara及びA. Tanabe, In-line FINCH super resolution digital holographic fluorescence microscopy using a high efficiency transmission liquid crystal GRIN lens, Optics Letter 38 (24), 5264-5267 (2013)
【非特許文献16】N. Siegel及びG. Brooker, Improved axial resolution of FINCH fluorescence microscopy when combined with spinning disk confocal microscopy, Optics Express Vol.22, pp 22298-22307 (2014)
【非特許文献17】Proceedings of SPIE Vol. 6018, 601812 (2005)
【非特許文献18】Meas. Sci. Technology, 17, 1367 (2006)
【非特許文献19】Web情報「https://community.dur.ac.uk/g.d.love/downloadable/china05.pdf」
【非特許文献20】Optics Letters 22 (16), 1269-1270 (1997)
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の1つの目的は、受け取った電磁放射から電磁干渉を生成するために使用される非量子化異方性電磁特性をもつ装置、及びその使用のための方法を提供することである。異方性電磁特性は、任意の波長において任意のタイプの活性な光学的に複屈折性の結晶材料又は液晶材料などの、1つ又は複数の異方性構成要素に由来し得、他の材料と組み合わせることによって、更に調整され得る。受け取った電磁放射は、X線、黒体放射、又はコヒーレント若しくは非コヒーレントなソースのような任意のソースからの任意の波長の光などであり得る。本装置では、受け取った電磁放射は、次いで、屈折によって、共通の経路中を伝搬する2つ以上の差分変調波へと変換され、変調された電磁波は、フレネル、フーリエ、フレネル非コヒーレント自己相関ホログラフィ(FINCH)、オフアクシス、又は他のホログラムの形態をとることができる電磁干渉を生成する。干渉は、記録デバイスによって記録され、干渉から、受け取った放射のソースに関する情報を取得することができる。
【0008】
本発明の別の目的は、受け取った電磁放射から電磁干渉を生成するために使用される非量子化異方性電磁特性をもつ装置、及びその使用のための方法を提供することである。異方性電磁特性は、任意の波長において任意のタイプの活性を有し、光学的に複屈折性である結晶材料又は液晶材料などの、1つ又は複数の異方性構成要素に由来し得、他の材料と組み合わせることによって、更に調整され得る。受け取った電磁放射は、X線、黒体放射、又はコヒーレント若しくは非コヒーレントなソースのような任意のソースからの任意の波長の光などであり得る。本装置では、受け取った電磁放射は、次いで、屈折によって、共通の経路中を伝搬する2つ以上の差分変調波へと変換され、差分は、変調間でプログラムされる。変調された電磁波は、フレネル、フーリエ、フレネル非コヒーレント自己相関ホログラフィ(FINCH)、オフアクシス又は他のホログラムの形態をとることができる電磁干渉を生成する。干渉は、次いで、プログラムされた情報を、顕微鏡サンプル又は光記録媒体のような後続のデバイス又はオブジェクトに送出するために使用される。
【0009】
本発明の別の目的は、外部電源を必要としない構成において上記の利点を提供し、移動可能な様式で干渉波(及びホログラム)を取得することができるようにすることである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】オブジェクトから受け取った電磁(EM)放射が、ただ1つの焦点面に集束する従来の撮像レンズを示す図である。
図2】基準ビーム及びサンプルビームを生成するために光空間変調器(SLM)を使用するフレネルインコヒーレント自己相関ホログラフィ(FINCH)イメージングのための3つの構成を示す図である。
図3】薄型液晶屈折勾配率(TLCGRIN)レンズを使用するFINCH蛍光顕微鏡法の模式図である。
図4】2つの焦点距離f1及びf2をもつ複屈折レンズを示す。
図5】FINCHホログラムを生成するための一般化された方式を示す。
図6】レンズの正面において屈折率が異なる結果、焦点距離が異なる複屈折レンズを示す。
図7】最適なホログラム面の場所のシフトに依存する波長を示す。
図8図3と同様のFINCHシステムを使用して、EM放射源としてのレーザからキャプチャされたホログラム未加工画像及び処理済み画像を示す。
図9】方解石BRLを組み込んだFINCHシステムを使用して、EM放射源としてのレーザからキャプチャされたホログラムの未加工画像及び処理済み画像を示す。
図10】同時に使用される2つの複屈折レンズの模式図である。
図11】平坦な複屈折板と併せて使用される複屈折レンズの模式図である。
図12】単一の球面ガラスレンズから2つの焦点面を生じるために使用される複屈折板又はブロックの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
古典的な光学イメージングでは、光のビームは、オブジェクトから射出又は反射され、次いで、レンズにより集光される。最も単純な場合、光のビームは、このレンズによって集束し、焦点面に画像が生成される。当該画像は、図1に示すように2次元であり、図1は、オブジェクト101の焦点面106で画像102を生成する焦点距離105をもつレンズ100を示し、焦点面の上方又は下方のオブジェクト101に関する3次元(3D)情報を識別することはできない。オブジェクトの平面の上方又は下方のいかなる情報も、レンズの焦点面に対しては並進せず、失われる。
【0012】
画像品質を向上させる、又は拡大率を変えるために、他のレンズをシステムに追加することができるが、3D情報はやはり失われる。ホログラフィ法は、シーン中の3D情報のイメージングを可能にする。基準ビームと組み合わせてサンプルから射出又は反射される光の干渉が、オブジェクトの3D特性を完全に描写するホログラムを生成するように、レーザによりサンプルが照明される多くのホログラフィ法が存在する(非特許文献1)。古典的なホログラフィでは、コヒーレントな光源はサンプルビームと基準ビームとに分割され、それらは次いで、互いに干渉してホログラムを生成する。この方法は、蛍光サンプルなどからの非コヒーレントな発光を測定するためには使用できないが、ホログラフィをスキャンすることが提案されており、蛍光を励起するためにサンプル全体で干渉パターンをスキャンし、サンプルビームと相関させてホログラムを生成する(非特許文献2)。その方法は、かなり複雑であり、マルチビームプロセスとして、厳密な整列要求という欠点があり、システムにおけるいかなる振動も防止する必要性を理由に、環境的な不安定に敏感である。
【0013】
2006年に本発明の発明者のうちの1人により発明された非コヒーレントなホログラフィのための別の方法(特許文献1および非特許文献3)は、フレネル非コヒーレント自己相関ホログラフィをFINCHと称する。FINCHは、オブジェクトから発した2つの球面波からの自己干渉により単一ビームシステムにおいて非コヒーレントな光を射出するオブジェクトからホログラムを生成する。光空間変調器(SLM)を使用するFINCHの3つの例示的な構成が図2に示されている(非特許文献8に適応)。図2には、2つの回折レンズがSLM204上に表示されたFINCH200が記載されており、一方(f)は正であり、もう一方(f)は負である。回折レンズは、オブジェクト101から受け取った光を、中間レンズ203を通して、SLMから距離205(z)において、CCDカメラ206により記録されたホログラムへと集束させる。201には、SLM204上に2つの回折レンズを有するFINCHが記載されており、両方のレンズは正である((fはより短い/より長い焦点距離である)。このタイプのFINCHの残部は、200と同様である。202には、201のセットアップをエミュレートする実際のセットアップが記載されており、1つの正の回折レンズ(f)は、SLM204上に表示され、1つの正ガラスレンズ207(f)は、SLMの近くに配置されている。図2は、非特許文献8に適応している。当業者には、前のパラグラフにおいて、及び本明細書全体にわたって、SLM又はSLMに取って代わる他の要素は、1つ又は2つのレンズのみを表示することには限定されず、ホログラフィックプロセスに有利な適用例について望まれるような3つ以上のレンズ又は他の位相パターンを表示してもよいことが理解されよう。
【0014】
FINCHは、蛍光顕微鏡法の潜在能力を示し(非特許文献6)、その技法を有用な高解像度3Dイメージング法へと完成するために多くの研究が行われた。レーザ、スキャニング又は軸並進がなく、あるいは、3D画像を生成するために複数の焦点面において画像をキャプチャする必要がなく、ホログラフィックプロセスによって非コヒーレントな光源から3D画像が取得され得る概念が魅力的である。この分野は現在のところ、出願人のグループによるさらなる研究(非特許文献7〜10)、並びにFINCH光学システムが非コヒーレント超解像度であるという立証(非特許文献8〜10)を含む他の研究室によるさらなる研究(非特許文献11〜13)の結果として進歩してきた。最近、その理由は、FINCHがラグランジュの不変量を克服することが分かった(非特許文献14)。より最近FINCHホログラムは、電気的に変調された透過性液晶光学部品を使用して生成されてきた(非特許文献15)。さらに、ニプコー円板を含めるが、共焦点FINCH画像を生成するために使用されてきた(非特許文献16及び特許文献2)。FINCHホログラフィックプロセスは、特許文献3〜6の主題である。
【0015】
FINCHは、非コヒーレントホログラフィにおけるかなりの進歩である一方で、2つの干渉ビームを生成するSLM法は、依然として2つの異なるレンズを必要とし、それらのレンズは、完璧なアライメントを必要とする。使用されるSLM法は、光空間変調器(SLM)上に1つ又は複数の異なるレンズパターンを表示することを含む(非特許文献3および非特許文献7)が、レンズサンプリングに起因してホログラム品質が低くなりやすく、高次回折画像に起因して効率が低くなりやすい。これらの問題は、SLMの限られたピクセル数及びビット深さに起因して、不十分な干渉、高いバックグラウンド及び低い解像度につながる。さらに、SLMは反射性であるので、光学配置は、SLMが、イメージングシステムの光軸から一定の角度で配置される、又は一定の角度でマウントすることを避けるようにビームスプリッタ上に配列されることを必要とする。しかしながら、元の光ビームの入射が傾斜すると、複数の焦点距離についてSLMの較正が難しくなり、ビームスプリッタを使用すると、光学システムの光収支が著しく低減する(非特許文献7)。
【0016】
図3は、非特許文献15において報告された、完全に透過性の構成で液晶フレネルレンズ又は勾配屈折率(GRIN又はTLCGRIN)レンズと併せてガラスレンズを使用してき最新の方法の詳細な模式図を示す。図3に示すブロック300の左側には、あるポイントのFINCHホログラムの詳細な光路図が示されている。光は、オブジェクト101を出て、距離306を進み、対物レンズ301により集光される。301を出たコリメート光は、2つのリレーレンズのうちの最初のレンズ302まで距離307を伝搬する。光は、第2のリレーレンズ303まで距離308を進み、GRINアセンブリ304までさらなる距離309を進む。2つの有効焦点距離312及び313をもつGRINアセンブリ304が、距離310及び距離311を伝搬する2つの波を生成する一方で、ホログラム距離205だけGRINアセンブリ304から移された平面にホログラム305が配置される。図3に示すブロック301の右側に、参照された顕微鏡システムにおける構成要素の詳細な配列が示されている。すべての光学部品は、光伝搬軸314上でセンタリングされる。ダイクロイックビームスプリッタ315と吸収フィルタ316とは、蛍光顕微鏡法のために必要であるが、偏光ビームスプリッタキューブ317は、GRINアセンブリのアクティブ軸に対して45度の角度で、受け取った光を偏光させるために使用される。この偏光子からの除去された偏光成分は、標準的な画像を記録するカメラ318に送信される。GRINアセンブリ304は、ガラスレンズ319、並びにアクティブGRIN320及び非アクティブGRIN321を含む。ガラスレンズは、通過するすべて光を集束するが、アクティブGRINは、その軸に対して平行に通る光にさらなる焦点距離を加え、非アクティブGRINは、アクティブGRINを通る光の副作用を補償するのに働きをする。このようにして、2つの焦点距離312及び313が生成される。距離は、BSキューブのガラスを通って光路を占めるように補正される。最後の2つの光学部品は、位相シフト波長板322と出力偏光子323であり、それぞれ、ホログラムの全体的な位相を変調し、干渉効率を増大させる。ホログラム面305は、2つの焦点距離312と313との間にあり、ホログラムを記録するためにカメラ324が使用される。図3は、非特許文献15に適応している。
【0017】
TLCGRIN法は、SLMに勝る進歩であるが、フレネルレンズのイメージング品質が低減されること、又は液晶GRINレンズを生成するために使用されるグレード領域の数が限定されることに依然として制限されている。さらに、ホログラフィックシステムの高品質イメージング及びコンパクト性について十分なアパーチャ及び焦点距離の短さでGRINレンズを製造することには課題が多い。このGRINレンズシステムの例では、GRINレンズの焦点距離は5000mmであり、ガラスレンズの焦点距離は300mmである。さらに、SLMシステムとGRINレンズシステムは共に、液晶材料中の分散を制御するために補償レンズに加えて、デバイスの電気制御を必要とする。焦点距離のこの組合せは、3%未満の2つの焦点距離間を生成し、これにより、ホログラフィックシステムが確実にイメージングすることができる3Dオブジェクトの軸深さを低減する(非特許文献9)。
【0018】
これに対処するために、発明者らは、複屈折材料で構築され得る球面レンズについて固有の使用を発見した。図4は、複屈折材料で作製されたレンズ400の例を示す。複屈折物質は、2つの別個の偏光感応性屈折率を有し、したがって、そのような材料で作製されたレンズは、常に2つの焦点距離f401及びf402を有し、偏光子を通して画像を見ない限り単一のシャープな焦点面が可能ではないので、ランダムに偏光した光が通過したときに、ぼやけた画像が生成される。ランダムに偏光した光がレンズを通過したとき、その材料の複数の屈折率は、レンズに、p偏光又はs偏光の光について異なる焦点を表示させるので、単一のシャープな焦点は得られず、距離403及び距離404に2つの画像が生成される。したがって、これらのレンズは、2重になった又はぼやけた画像405を生じ、これは一般に、標準的な光学適用例において望ましくない。このために、複屈折材料は、典型的には、この通常は望ましくない特性を理由に、光学レンズを作成するために使用されず、これは、複屈折レンズが光学供給業者から容易には市販されないことの根拠である。現在、複屈折レンズは、カスタムメイドでなければならず、それらの構造が報告されている文献はごく少数である(非特許文献17、18および5)。しかしながら、方解石、ほう酸バリウム、ニオブ酸リチウム及び石英のような複屈折材料は、ちょうどガラスのように容易に加工できるので、複屈折材料のレンズを、それらを製造するための論拠を与える任意のレンズ仕様に容易に調整することが可能である。
【0019】
発明者らは、オブジェクトの3次元情報を明らかにすることができる非常に高品質のホログラムを生成するために、複屈折レンズの複数の焦点距離を同時に使用することが非常に有利であり得ることを発見した。本発明は、FINCHを含むホログラフィの多くの形態に適用でき、標準的なイメージング法のパフォーマンスを超える比類のホログラフィック画像品質を生じる光学特性で、電気的に独立して動作する。さらに、ホログラフィイメージング適用例に加えて、本発明はまた、他の形態並びにホログラフィ及びインターフェロメトリの使用を向上させ、単純にする。一例では、複屈折レンズは、トリロバイト(4億5千年前に海中に生息していた生きた生き物)の眼において、ずっと以前に自然界で既に見つかっている。これらのアイレンズは、集合複眼と呼ばれ、複屈折方解石で製造された。方解石で作製されたレンズは、それらの望ましくない光学的性質を理由に発展中に廃れたと推測するかもしれない。方解石は、偏光面に応じた2つの異なる屈折率をもつ光学的に透明な材料である。標準レンズを製造するために良好な材料でなくても、その偏光特性は、偏光子、及びグラン−タイラープリズムのような偏光感応性デバイスを製造するために大幅に活用される。方解石は、光学的に透明であり、その結晶構造が直線偏光の単一の軸を効率的に通過できるので使用される。しかしながら、2つの偏光面において異なる屈折率を理由に、レンズが方解石で製造された場合、それらのレンズの2つの別個の偏光感応性焦点距離が観察される(非特許文献19を参照)。しかしながら、環境中の光の共通形態である混合偏波光を用いると、レンズが複屈折材料で製造される場合、ぼやけた画像が生じる。トリロバイトは、そのレンズ材料に方解石を使用したが、その光受容体がクロス偏光するので、視界がぼやけるか、又は2つの焦点面を見えるか疑問であるかもしれない。
【0020】
しかしながら、同じ画像の異なる整列したコピーを必要とするイメージング法は、単に複屈折レンズなどから大きな恩恵を受けることがある。FINCH及び他の方法を含むホログラフィのクラスである非コヒーレントホログラフィ(非特許文献3、4、6〜8、10および15、並びに特許文献1、3および4)は、同じ画像の2つのコピーの干渉から、又は、2つのコピーに分割される任意の単一のEM放射波からホログラムを生成するための技法であり、SLM並びに液晶フレネルレンズ及びGRINレンズのような偏光感応性光学素子(PSOE)を使用して実証されてきた。これらのPSOEは、古典的な屈折球面レンズではないが、動作時に回折又は屈折することがあり、異なる球面曲率をもつ2つの部分に画像ビームを分割する働きをする。プロセスのさらなる詳細では、このシステムについて説明するために十分である「ポイントホログラム」を生成する(射出又は反射あるいは任意の他のプロセスによって)単一の微分的に小さいオブジェクトポイントから発する光と、拡張オブジェクトを構成するすべて異なるポイントのホログラムの和にすぎないホログラムを生成するよりも大きな拡張オブジェクトとについて考察する。そのようなビームの画像が微小点光源からの回折限界スポットであるので、これらのシステムにおいてEM放射線のモデル光源として、広いコリメートレーザビームを使用するは一般的である。この態様により、任意のそのようなシステムの最も良好な応答の経験的な特徴付けを可能になる。
【0021】
図5は、PSOEの役割を強調するFINCHプロセスの模式図を示す。PSOE501は、fdiがより短く、fd2図5の313)がより長い2つの異なる焦点距離を有する。他の光学素子又はグループ500、502は、システムの位相全体、偏光、収差補正、あるいは拡大率又はホログラムサイズにおける具体的な特定の変更を行うために使用され得るが、ビーム分離は、単にPSOEの使用の結果である。オブジェクトから発し、場合によっては他の光学素子を通過した後に、光波は、PSOEにより、焦点距離が異なる2つの波に分割される。これらの波は、同じ空間を通って同じ方向に伝搬し、信号波fd1及び基準波fd2と呼ばれる。現在、これは、2つの方法のうちの1つで達成される。
【0022】
1.偏光によって:PSOEに当たる受け取った波を、PSOEの偏光軸に対して45度で偏光する。したがって、PSOE偏光軸に対して平行な投射される偏光成分をもつ、波の半分は、PSOEにおいて符号化された曲率を与えられるが、PSOE偏光軸に対して直角に投射される偏光成分をもつ、波の半分は、その元の曲率を維持する。その結果は、fd1波及びfd2波である。
【0023】
2.PSOEのサンプリングによって:PSOEは、各々が異なる球面位相で符号化される2つ以上の部分に分割される。それらの部分は、互いに連続していても、点在していてもよい。PSOEに当たる受け取った波は、PSOE偏光軸に対して完全に平行に偏光し、PSOEから出た波は、PSOEの異なる部分における符号化された曲率に対応して加えられる異なる曲率をもつ異なる部分を有する。PSOEが2つの部分を有する場合、PSOEから出た2つの波部分は、fd1及びfd2と呼ばれる。ただし、PSOEは、3つ以上の部分を有するがあり、その場合、fd3呼ばれる光波などがある。
【0024】
d1波及びfd2波を生成するために偏光感応性PSOEとして役立つ現在の技術は、デジタル光空間変調器(SLM)、液晶(LC)フレネルレンズ、及びLC勾配屈折率(GRIN)レンズを含む。いくつかの構成では、これらの構成要素はまた、古典的なレンズと併せて使用され、あるいは、構成要素の2つ以上を互いと併せて使用してもよい。
【0025】
PSOEから伝搬した後、2つの波は、干渉して、検出器(z)平面に記録されるホログラムを生成する。検出器は、CCD、CMOS、あるいは他のカメラ又は画像キャプチャデバイス、並びに、アバランシェフォトダイオードなのポイント検出器又は固体デバイスであり得る。任意選択で、波は、可変移相器及び偏光子を通過してもよい。ポイント又は画像を再構成し、ホログラフィにおけるバイアス及び二重画像を除去する基盤を提供するために、検出器は、2つ以上の未加工のホログラムをキャプチャし、ビームのうちの1つの位相は、元のEM源の位相特性を完全にキャプチャする複雑なホログラムの回復を可能にするために、後続の未加工のホログラムにおいて所定の量だけ異なるように設定される(非特許文献20)。そのような異なる位相因子をもつ未加工のホログラムの収集は、FINCH及び同様のホログラフィ法を用いて最適な結果を達成するには重要である。
【0026】
このプロセスにおける主要パラメーターのうちの1つは、焦点距離fd1及びfd2とzにあるホログラム記録面との関係である。ホログラムは、PSOEの後の任意の点に記録されうるが、最適なホログラム品質は、2つの波が最大空間重複の条件に従うときに可能になる。fd1ビームとfd2ビームとの間の最大重複を保証する条件は、ホログラムが平面に記録されたときに満たされる。
【数1】
この関係は、以下のように表すこともできる。
【数2】
ただし、間隔因子は、以下の等式に従う。
【数3】
sが増大する(fd1とfd2との間の距離が増大する)につれて、最適なz面にあるポイントホログラムもまた、以下の等式により記載されるようにサイズが増大する。
【数4】
【0027】
ただし、RHはホログラムのアパーチャ半径であり、RoはPSOE又は等価物における波のアパーチャ半径である。このサイズの増大は、記録デバイスによってより簡単にポイントホログラムを解像できるようにするが、ホログラムのピーク強度を減少させる。sのための上限及び下限を同じく確立する他の因子(非特許文献9)がある。すべての可能な変数についてホログラフィックシステムを最適化することを可能にするために、広範囲上にわたってsを完全に制御をすることが非常に望ましい。s因子は、ホログラムによってコード化される画像の解像度をそれ自体では変えないが、ホログラムが記録され得る容易度に影響を及ぼし、さらに、sを変更するために使用される任意の配列は、拡大率及び被写界深度のような他の画像因子に影響を及ぼす。
【0028】
前述した3つの現在の技術の各々は、fd1及びfd2を生成するのに役立ち得るが、各々は有意な欠点もまたはらんでいる。
1.SLMは、デジタル化フレネル位相パターンの形態で異なる焦点距離PSOEを随意に生成するように簡単に調節可能であるが、ピクセル化されたデジタルSLMからの回折はが、より高い回折次数の横断焦点への有意な光損失を引き起こすので、SLMには、所望の画像に対するフォーカシング効率が低いという欠点がある。さらに、SLMに生成されたPSOEには、ホログラム形成におけるパフォーマンスを低下し得る光波長の機能(色収差と呼ばれる効果)として、焦点距離に有意な変動性が生じるという欠点がある。
2.LCフレネルレンズは、偏光感応性であり、より高次の横断焦点という欠点がないが、他の軸焦点を表示することがあり、間違いなく、有意な色収差が生じるという欠点がある。また、LCフレネルレンズは、調節可能ではなく、単一の公称焦点距離をのみを提供する。
3.LC GRINレンズは、印加電圧に応じて調節可能な焦点距離、並びにSLM又はLCフレネルレンズよりも低い色収差を有するが、非常に長い焦点距離を有し、それにより、相応の全体的な焦点距離を達成するために標準的な屈折レンズと対になることが必要とされる。屈折レンズと組み合わせたときであっても、LC GRINレンズは、間隔因子の可能性を制限する。最終的に、現在使用されているLC GRINレンズは、(考えられ得る差分屈折ゾーンの数が実際には制限されることを理由に)レンズの近似値の量子化し、したがって、焦点距離算出の干渉効率及び精度を低減させることができる非集束ビームに、空間的な光分散を強いる。
【0029】
この分野では、前述の欠点なしに、かつ、間隔因子sにおける融通性を増大させてfd1ビーム及びfd2ビームを生成するためにデバイスを導入することが火急的に必要とされる。複屈折材料は、材料における異なる伝搬方向に沿って2つ以上の屈折率をもち、それらは、通常軸及び異常軸と呼ばれる。これらの軸は、n及びnでそれぞれ示される屈折率を有する。レンズの焦点距離が、レンズを備える材料の屈折率に部分的に依存するので、これらの材料は、2つの異なる偏波依存的な焦点距離をもつ球面レンズを生成するために使用され得、各々が、標準的なガラスレンズと等しい品質の球面ビーム及び焦点スポットを生成する。図6は、異なる焦点面に異なる偏波の光を集束させる複屈折レンズ(BRL)の模式図を示す。図6(a)の断面600は、BRLの横断面を示し、通常屈折率602及び異常屈折率603がレンズのxカルテシアン軸及びyカルテシアン軸に沿って投射されている。図6(b)の601は、異常軸に対して平行に偏光された光及びレンズの通常軸に対して平行に偏光された光にそれぞれ関する、(2つのレンズ表面について曲率半径R図6の604)及びR図6の605)をもつ)単一の複屈折レンズの焦点距離fbe図6の606)及びfbo図6の607)を示す。ビームの品質及びBRLの焦点スポットは、前述の回折PSOEよりもるかに改善される。複屈折レンズは、非コヒーレントホログラム生成のいくつかの態様においてPSOEに勝る、以下の利点を提供する。
1.PSOEの不要な回折次数に起因するノイズ及び画像アーチファクト、あるいはレンズのデジタル表示又は二進表示に固有の量子化誤差の排除
2.非複屈折光学部品及び複屈折光学部品を含む補正光学部品の使用によって、色収差、球面収差、及び他の収差の補正の実現性
3.BRL材料、曲率及び関連する光学部品の選択により、間隔因子sの正確かつ柔軟な調整。
4.電子構成要素及び反射性構成要素の除去による、光学アセンブリの簡略化及びそのサイズ低減。
【0030】
本発明は、一部では、ホログラムを生成するために、異なる球面曲率をもつ2つの直交分極波に受信した波を分割することに影響を及ぼすように、単独での、あるいは他の屈折レンズ又は他の光学素子と組み合わせた複屈折レンズ(BRL)の使用を包含する。複屈折結晶は、それらの通常結晶軸及び異常結晶軸に沿って異なる屈折率を有し、これらの2つの軸が互いに対して直交し、レンズを通る光伝搬の方向に直交するレンズの面に双方が位置する適切な配向で、そのような材料からレンズを切削することによって、特別な特性をもつ屈折レンズを生成することができる。これらの特別な特性とは、レンズが、その偏光軸のうちの1つ(例えば、通常軸、本明細書ではカルテシアン系におけるX軸とも特定される)に平行に偏光した光を所与の焦点面に集束させ、他方の軸(異常軸又はy軸)に平行に偏光した光が異なる焦点面に集束することである(図6参照)。これは、薄型レンズの等式を参照することによって、簡単に理解され得る。
【数5】
【数6】
【数7】
【0031】
上記の式(5b)は、1つの平坦な側部(平凹又は平凸)と曲率Rの1つの湾曲した側部とをもつ、特定の場合のレンズに関する。fは、レンズの焦点距離であり、nは、レンズ材料の屈折率であり、R及びRは、レンズの2つの側部の曲率半径であり、Reffは、レンズの「有効」全曲率である。等式5cに示されるように、2つの湾曲した側部をもつレンズのReffは平凹レンズ又は平凸レンズのRと正確に等しい。中実の複屈折結晶の使用と同等に、複屈折液晶材料は、曲率R及びRをもつ2つの基材間で位置合わせして配置したときにBRLを生成するために使用され得る。したがって、通常屈折率及び異常屈折率についてn及びnをもつ複屈折材料で作成された単一のBRLは、その通常軸に沿って偏光した光についての焦点距離fboと、その異常軸に沿って偏光した光についての焦点距離fbeとを有する。レンズの異常軸が光伝搬の方向に直交していることにより、異常軸は、他の軸配向において起こり得るような横断方向のオフセットをビームに課さない。BRLの2つの焦点距離を、ホログラフィックプロセスに必要な2つの焦点距離として使用することができる、すなわち、fbe及びfboは、等式3のfdi及びfd2と置換され得る。次いで、等式3を参照すると、所与のタイプの複屈折材料で作製された任意の単一レンズは、レンズの物理曲率にかかわらず、一定の間隔因子を有する。
【数8】
【0032】
ただし、非複屈折レンズと併せて使用するときには、複屈折レンズの焦点距離のそれぞれは、複屈折レンズの各偏光軸について1つずつ、2つの新しい合成焦点距離が生じるように、非複屈折レンズの単一の焦点距離fと合成する。薄レンズ近似下で、複屈折レンズと標準レンズとの間に距離がないと仮定すると、合成されたシステムの焦点距離f'be及びf'boは以下の通りであり、
【数9】
また、ホログラムシステムの合成された間隔因子s'は、以下の式にしたがって、この一定値から増減する。
【数10】
【0033】
間隔因子の調整のために追加の因子をしめす等式6の内側部分への等式8の最も右側の部分の類似性に留意されたい。表1は、等式4〜6により算出される、いくつかの選択された複屈折材料で作製され得る球面レンズの屈折率、曲率、焦点距離及び固有の間隔因子、並びに、等式7及び8から算出される、これらのレンズ及び選択されたガラスレンズを組み込んだシステムについての対応する変更された焦点距離及び変更された間隔因子を含む。収集されたデータは、BRLベースのシステムの間隔因子及び他のホログラフィ特性の全体制御を発揮する可能性を実証する。
【0034】
【表1】
【0035】
上記の式(8)は以下のことを意味する。
1.複屈折レンズのR及びR並びに標準レンズの焦点距離fの選択は、任意の複屈折材料で作製されたBRLを用いて任意の間隔因子が達成されることを可能にする。
2.標準レンズとして正レンズを使用すると、sと比較してs'が低減され、標準レンズとして負レンズを使用すると、sと比較してs'が増大する。
3.任意の所望の焦点距離、収色性及び間隔因子のハイブリッドレンズは、一緒に固められた複屈折材料成分及び非複屈折材料成分から構成される材料で製造され得る。
4.複屈折材料の複合レンズの組成は、デバイスをアクロマティックにすることができるが、非アクロマティックな複屈折レンズにおける各レンズの波長比屈折は、複屈折材料で作製されたレンズ焦点の各々のフォーカスを比例してシフトすることを認識されたい。したがって、最大干渉の平面は、波長に応じてシフトされる。このため、複屈折レンズを使用することにより可能になるフィーチャは、波長に特有のホログラムは、入力が多色性であっても、それらの波長に特有のホログラム面のうちのいずれかにおけるホログラム検出によって取得されることができる。図7は、波長における自由度に応じたホログラム面700、701、702におけるシフトの例を示す。破線及び2重線は、青色の波長700を表し、一点鎖線及び中実線は、緑色の波長701を表し、二点鎖線及び3重線は、赤色の波長702を表す。
【0036】
当業者には、上述の等式5、7及び8は、より正確なレンズ方程式とともに使用するために、また、BRLとガラスレンズとの間の何らかの距離を考慮するために調整され得ることが認識されよう。
【0037】
したがって、複屈折レンズは、以下の構成で使用されると、ホログラム生成を著しく大幅に向上させるために使用され得る。
1.ホログラム形成に関与する唯一のレンズ又は光学素子として
2.fd1ビーム及びfd2ビームの間隔因子を変更するために、下記で構成される別の対になったレンズ又は光学素子と併せて
a.単一レンズ又は光学素子
b.複合レンズ又は光学素子
c.レンズ又は光学素子のシーケンス。
3.複屈折レンズにおける球面収差、色収差、又は他の収差を修正するように設計された、下記で構成される別の補正レンズ又は光学素子と併せて
a.複屈折レンズの一方又は他方の焦点距離の収差を補正するように設計された、標準的な、単一、複合、又は複数の非複屈折補正レンズ又は光学素子
b.複屈折レンズの2つの焦点距離の収差を補正するように設計された、標準的な、単一、複合、又は複数の非複屈折補正レンズ又は光学素子
c.複屈折レンズのうちの一方又は他方の焦点距離の収差を補正するように設計された単一又は複数の複屈折補正レンズ又は光学素子であって、補正複屈折レンズが、ホログラム形成複屈折レンズとは異なる複屈折材料で製造され得る、単一又は複数の複屈折補正レンズ又は光学素子
d.複屈折レンズの2つの焦点距離の収差を補正するように設計された単一又は複数の複屈折補正レンズ又は光学素子であって、補正複屈折レンズが、ホログラム形成用の複屈折レンズとは異なる複屈折材料で製造され得る、単一又は複数の複屈折補正レンズ又は光学素子
e.複屈折レンズのうちの一方又は他方の焦点距離の収差を補正するように設計された、標準的な非複屈レンズ又は光学素子と併せて使用される単一又は複数の複屈折補正レンズ又は光学素子であって、補正複屈折レンズが、ホログラム形成用の複屈折レンズとは異なる複屈折材料で製造され得る、単一又は複数の複屈折補正レンズ又は光学素子
f.複屈折レンズの2つの焦点距離の収差を補正するように設計された、標準的な非複屈レンズ又は光学素子と併せて使用される単一又は複数の複屈折補正レンズ又は光学素子であって、補正複屈折レンズが、ホログラム形成用の複屈折レンズとは異なる複屈折材料で製造され得る、単一又は複数の複屈折補正レンズ又は光学素子
【0038】
実験作業は、現在のTLCGRTNベースのシステムをBRLベースのシステムと比較したとき、FINCHシステムにおいて見られる改善を確認した。図8は、図3に示した従来技術の場合のように、レーザをEM放射源として使用して、2本の収束ビームの間のホログラム面を用いて2本の収束ビームを生成するために液晶GRINレンズ及びガラスレンズで構成されたFINCHシステムから得られるFINCHホログラムを示す。図8の上部3つのパネル800、801、802は、3つの位相シフトされた未加工のFINCHホログラムを示し、それらは、FINCHシステムの理想的な応答を特徴づけなければならない良好に変調された球面フレネルパターンから著しく歪んでいる。図8の下部の3つのパネルは、右から左に、複合FINCHホログラムのマグニチュード803、複合FINCHホログラムの位相804、最後に、レーザビームの再構成画像805を示す。マグニチュードは、大きい強度変動を示し、マグニチュード及び位相は、完全な球形からの偏差を示す。再構成されたスポットは、バックグラウンド信号、及び完全なポイント形状からの有意な偏差を示す。図9は、同様のシステムによる結果を示し、唯一の違いは、ガラスレンズ構成+GRINレンズの代わりに、信号と基準ビームとの間に異なる位相特性を誘起する球面方解石BRLを使用したことであり、また、撮像リレーレンズを使用して、当該レンズがBRLを通過した後にカメラにホログラムを投射した。光源、補助的光学部品、偏光子、プレート及び電圧をシフトする位相、並びにカメラを含むすべての他の因子及び設定は、図8を生成するために使用したものと同じであった。図9の上部の行には、図8の上部の3つのパネルの場合のように3つの位相シフトされた未加工のホログラム900、901、902が示されている。未加工のホログラムは、所望の球面フレネルパターンのほぼ完全な表現であり、図8における未加工のホログラムよりもより多くのフレネルリングを示し、その結果、GRIN/ガラスシステムの代わりに方解石BRLを使用するときに可能な間隔係数sがより大きくなる。図9の下部の3つのパネルには同じく、右から左に、レーザの複雑なホログラムマグニチュード903、位相904及び再構築画像905が見える。マグニチュード及び位相は共に、完全に球面パターンであり、マグニチュードは、図3において説明するシステムに影響を及ぼし、図8を生成するために使用される有意な強度変動の影響を受けない。位相は、位相ラッピング領域において滑らかな傾斜及び整然とした遷移を示し、再構成されたスポットは、ポイント様であり、過大なバックグラウンドレベルの影響を受けない。図8に勝る図9の劇的な改善は、BRLが他のPSOE上に提供することができるホログラフィイメージングにける全体的な改善を示す。
【0039】
BRLを利用する他のシステムを構築してもよい。図10に示すように、別のシステム1000は、2つの波のさらなる修正を達成するために、一緒に使用される2つのBRL400及び1002を(前記BRLが同じ材料で作製されるか否かにかかわらず)組み込む。2つのBRLの断面を表す図10の断面1001は、どのように第2のBRL1002が使用され得るかを示し、その軸702及び703は、第1のBRLに色補正、球面補正、又は他の補正を提供するために、第1のBRL400の対応する軸に対して直交している、又は平行である。
【0040】
図11は、波の波面の球面曲率を差分的に変更するBRLに加えて、2つの波の間光路差全体を変更するために働く以下で複屈折平面(BRF)1102と称する2つの平坦な側部をもつBRLを組み込んでいる別のシステム1100を示す。断面を表す図11の断面1101は、BRL400及びBRF1102の通常屈折率702及び異常屈折率703の相対配向を示す。光路長(OPL)は、波が横断する種々の媒質の厚さとそれらの屈折率の両方を考慮に入れた、EM波が進んだ距離の測度である。
【数11】
【0041】
ただし、d及びnは、波が進んだ経路中の全ての媒質の厚さ及び屈折率である。2つの波の光路差(OPD)は、波が進んだOPLにおける差の測度である。非コヒーレントホログラフィに対処するとき、ホログラフィ干渉が起こることが必要である状態を維持ために、2つの波の間の総光路差を低く保つことが重要である。BRLは、2つの焦点距離fbe606及びfbo607を通る2つの波に異なる曲率を課すだけでなく、BRLの厚さdBRLに比例する2つの波と、複屈折材料の2つの屈折率の全体的な光路差OPDも課す。
【数12】
【0042】
BRFと同じ厚さのBRFと切削角度であるが、EM伝搬方向に直交する平面で90度回転しているBRLを使用することによって、OPDは、2つの波の球面曲率の相対差を変更することなく補正され得る。BRLの通常軸に沿って投射する波は、BRFの異常軸に沿って投射し、その逆も成り立ち、したがって、BRLからの非球面OPDは、BRFによりキャンセルされる。BRLをわずかに傾斜させると、このOPD一致効果のマグニチュードが変わる。
【0043】
図12に示した別のシステムは、オブジェクト101から2つの波への受信した波の分離も影響を及ぼすために、ガラスレンズ100とともにBRF1200のみを組み込む。
媒質に入る正の球状曲率をもつ波は、それらの焦点に達する際に遅延を経験する。この遅延Δは、媒質の厚さt及び屈折率nに比例する。
【数13】
【0044】
図12の拡大部1201において、BRFは、通常軸に対して平行な波1202及び異常軸に対して平行な波1203を、異なる屈折率に起因して異なる量だけ遅延させることがあり、それにより、2つの波の焦点面1204及び1205を分離し、ホログラフィ干渉305が起こることが可能になる。
【0045】
上記の教示に照らして、本発明の数多くの修正形態及び変形形態が可能である。したがって、添付の特許請求の範囲に含まれるものと理解すべきであり、本明細書は、特段の記載がない限り、本明細書で具体的に記載した通りに実施することができる。
[項目1]
受け取った電磁放射から電磁干渉を生成するために使用される、非量子化異方性電磁特性をもつ装置であって、
a.前記受け取った電磁放射が、屈折によって、共通の経路中を伝搬する2つ以上の差分変調波へと変換され、
b.前記変調された電磁波が、前記電磁干渉を生成する、
装置。
[項目2]
受け取った前記電磁放射が光である、項目1に記載の装置。
[項目3]
受け取った前記電磁放射が蛍光である、項目1に記載の装置。
[項目4]
受け取った前記電磁放射が化学発光光である、項目1に記載の装置。
[項目5]
受け取った前記電磁放射が生物発光光である、項目1に記載の装置。
[項目6]
受け取った前記電磁放射がX線である、項目1に記載の装置。
[項目7]
受け取った前記電磁放射が黒体放射である、項目1に記載の装置。
[項目8]
受け取った前記電磁放射が非コヒーレントな光である、項目1に記載の装置。
[項目9]
受け取った前記電磁放射がコヒーレント光である、項目1に記載の装置。
[項目10]
受け取った前記電磁放射が赤外光である、項目1に記載の装置。
[項目11]
前記非量子化異方性電磁特性が、方解石材料に由来する、項目1に記載の装置。
[項目12]
前記非量子化異方性電磁特性が、アルファほう酸バリウム材料又はベータほう酸バリウム材料に由来する、項目1に記載の装置。
[項目13]
前記非量子化異方性電磁特性が、異方性である任意の材料に由来する、項目1に記載の装置。
[項目14]
前記非量子化異方性電磁特性が、液晶材料に由来する、項目1に記載の装置。
[項目15]
前記非量子化異方性電磁特性が、平坦な非複屈折材料に、あるいは正湾曲した、また負湾曲した非複屈折材料中に封入される液晶材料に由来する、項目1に記載の装置。
[項目16]
前記非量子化異方性電磁特性が、平坦な複屈折材料に、あるいは正湾曲した、また負湾曲した複屈折材料中に封入される液晶材料に由来する、項目1に記載の装置。
[項目17]
前記電磁干渉がホログラムである、項目1に記載の装置。
[項目18]
前記電磁干渉がフレネルホログラムである、項目1に記載の装置。
[項目19]
前記電磁干渉がフーリエホログラムである、項目1に記載の装置。
[項目20]
前記電磁干渉がFINCHホログラムである、項目1に記載の装置。
[項目21]
前記電磁干渉がオフアクシスホログラムである、項目1に記載の装置。
[項目22]
受け取った前記電磁放射が、顕微鏡及び/又は顕微鏡見本から生じる、項目1の装置。
[項目23]
受け取った前記電磁放射が、DNAシーケンスゲル又はDNAシーケンスシステムから生じる、項目1の装置。
[項目24]
生成された前記電磁干渉が、画像記録デバイスによって記録される、項目1に記載の装置。
[項目25]
生成された前記電磁干渉が、点光源検出器によって記録される、項目1に記載の装置。
[項目26]
前記電磁干渉が、ホログラフィをスキャンする際に励起パターンとして使用される、項目1に記載の装置。
[項目27]
前記電磁干渉が、構造化照明(SIM)イメージングシステムの励振源において使用される、項目1に記載の装置。
[項目28]
前記電磁干渉が、ホログラフィック記憶媒体にデータを記録するために使用される、項目1に記載の装置。
[項目29]
受け取った前記電磁放射は、ホログラフィックデータ記憶媒体の読出しから生じる、項目1の装置。
[項目30]
前記電磁干渉が、ホログラフィック記憶媒体に記憶されたデータを回復するために解釈される、項目1に記載の装置。
[項目31]
単一のソースから、2つ以上の異なる平面に、集束スポットを同時に生成するための複屈折光学デバイス。
[項目32]
前記集束スポットが、顕微鏡において励起光として使用され、2つ以上のオブジェクト面上に同時に集束する、項目31に記載の複屈折光学デバイス。
[項目33]
複屈折レンズが、顕微鏡対物レンズである、項目31に記載の複屈折光学デバイス。
[項目34]
前記複屈折光学デバイスが、顕微鏡対物レンズ内に収容される、項目31に記載の複屈折光学デバイス。
[項目35]
前記複屈折光学デバイスが、顕微鏡対物レンズ内に収容され、レーザ励起光をサンプル中に集束させるために使用される、項目31に記載の複屈折光学デバイス。
[項目36]
前記異方性電磁特性が、1つ又は複数の複屈折レンズ中に含まれる、項目1に記載の装置。
[項目37]
複屈折レンズの各表面の曲率半径と、任意の関連した標準レンズの焦点距離とを選択することにより、複合レンズシステムの通常焦点距離と異常焦点距離との焦点距離における任意の差を達成することを可能にする、項目36に記載の装置。
[項目38]
前記複屈折レンズの曲率半径のうちのいくつか又は全部が無限大である、項目37に記載の装置。
[項目39]
前記複屈折レンズが、1つのユニットにおいて結合される、項目37に記載の装置。
[項目40]
結合手段が、空気である、項目39に記載の装置。
[項目41]
結合手段が、光学セメントであり、前記レンズが1つのユニットである、項目39に記載の装置。
[項目42]
結合手段が、光学的に透明な物質である、項目39に記載の装置。
[項目43]
受け取った電磁放射から、フレネルホログラム、フーリエホログラム、又は他のホログラムを生成するための非量子化複屈折光学デバイスであって、
複屈折レンズのハイブリッドレンズが、任意の仕様の2つ以上の焦点距離をもつ偏光感応性レンズを生成するために、複屈折材料と非複屈折材料との組合せにより生成される、
非量子化複屈折光学デバイス。
[項目44]
異なる複屈折材料のレンズの組合せによって、任意の2つの異なる焦点距離をもつ非量子化複屈折光学デバイス。
[項目45]
前記非量子化複屈折光学デバイスが、ホログラムを生成するために使用される、項目44に記載の非量子化複屈折光学デバイス。
[項目46]
前記複屈折レンズの前記焦点距離の差を変動させることができる、項目43に記載の非量子化複屈折光学デバイス。
[項目47]
複屈折レンズが、受け取った電磁放射から、フレネルホログラム、フーリエホログラム、又は他のホログラムを生成するために使用され、複屈折レンズのハイブリッドレンズが、任意の仕様の2つ以上の焦点距離をもつ偏光感応性レンズを生成するために、複屈折材料と非複屈折材料との組合せにより生成される、項目44に記載の非量子化複屈折光学デバイス。
[項目48]
電磁放射の干渉を誘起するための複屈折レンズ。
[項目49]
複屈折材料の分散特性が、広帯域電磁放射線からの多数の空間分離した波長依存的なホログラムを生成するために使用される、項目1に記載の装置。
[項目50]
受け取った前記電磁放射のソースが、人間の眼底であり、前記屈折した電磁干渉が、デジタルカメラ上も記録される、項目1に記載の装置。
[項目51]
受け取った前記電磁放射のソースが、顕微鏡対物レンズであり、前記屈折した電磁干渉が、光学的超解像度画像を生成するために使用される、項目1に記載の装置。
[項目52]
任意の仕様の2つ以上の偏光感応性焦点距離をもつレンズを生成するために、1つ又は複数の複屈折球面レンズを組み込んだ複屈折光学デバイス。
[項目53]
他の光学デバイスは、所望の空間特性、色特性及び時間特性を達成するために、前記電磁干渉を変更することができる、項目1に記載の装置。
[項目54]
受け取った電磁放射から電磁干渉を生成するために使用される非量子化異方性電磁特性をもつ方法であって、
a.前記受け取った電磁放射が、屈折によって、共通の経路中を伝搬する2つ以上の差分変調波へと変換され、
b.前記変調された電磁波が、前記電磁干渉を生成する、
方法。
[項目55]
受け取った前記電磁放射が光である、項目54に記載の方法。
[項目56]
受け取った前記電磁放射が蛍光である、項目54に記載の方法。
[項目57]
受け取った前記電磁放射が化学発光光である、項目54に記載の方法。
[項目58]
受け取った前記電磁放射が生物発光光である、項目54に記載の方法。
[項目59]
受け取った前記電磁放射がX線である、項目54に記載の方法。
[項目60]
受け取った前記電磁放射が黒体放射である、項目54に記載の方法。
[項目61]
受け取った前記電磁放射が非コヒーレントな光である、項目54に記載の方法。
[項目62]
受け取った前記電磁放射がコヒーレント光である、項目54に記載の方法。
[項目63]
受け取った前記電磁放射が赤外光である、項目54に記載の方法。
[項目64]
前記非量子化異方性電磁特性が、方解石材料に由来する、項目54に記載の方法。
[項目65]
前記非量子化異方性電磁特性が、アルファほう酸バリウム材料又はベータほう酸バリウム材料に由来する、項目54に記載の方法。
[項目66]
前記非量子化異方性電磁特性が、異方性である任意の材料に由来する、項目54に記載の方法。
[項目67]
前記非量子化異方性電磁特性が、液晶材料に由来する、項目54に記載の方法。
[項目68]
前記非量子化異方性電磁特性が、平坦な非複屈折材料に、あるいは正湾曲した、また負湾曲した非複屈折材料中に封入される液晶材料に由来する、項目54に記載の方法。
[項目69]
前記非量子化異方性電磁特性が、平坦な複屈折材料に、あるいは正湾曲した、また負湾曲した複屈折材料中に封入される液晶材料に由来する、項目54に記載の方法。
[項目70]
前記電磁干渉がホログラムである、項目54に記載の方法。
[項目71]
前記電磁干渉がフレネルホログラムである、項目54に記載の方法。
[項目72]
前記電磁干渉がフーリエホログラムである、項目54に記載の方法。
[項目73]
前記電磁干渉がFINCHホログラムである、項目54に記載の方法。
[項目74]
前記電磁干渉がオフアクシスホログラムである、項目54に記載の方法。
[項目75]
受け取った前記電磁放射が、顕微鏡及び/又は顕微鏡見本から生じる、項目54の方法。
[項目76]
受け取った前記電磁放射が、DNAシーケンスゲル又はDNAシーケンスシステムから生じる、項目54の方法。
[項目77]
生成された前記電磁干渉が、画像記録デバイスによって記録される、項目54に記載の方法。
[項目78]
生成された前記電磁干渉が、点光源検出器によって記録される、項目54に記載の方法。
[項目79]
前記電磁干渉が、ホログラフィをスキャンする際に励起パターンとして使用される、項目54に記載の方法。
[項目80]
前記電磁干渉が、構造化照明(SIM)イメージングシステムの励振源において使用される、項目54に記載の方法。
[項目81]
前記電磁干渉が、ホログラフィック記憶媒体にデータを記録するために使用される、項目54に記載の方法。
[項目82]
受け取った前記電磁放射は、ホログラフィックデータ記憶媒体の読出しから生じる、項目54の方法。
[項目83]
前記電磁干渉が、ホログラフィック記憶媒体に記憶されたデータを回復するために解釈される、項目54に記載の方法。
[項目84]
単一のソースから、複屈折光学デバイスを使用して、2つ以上の異なる平面に、集束スポットを同時に生成するための方法。
[項目85]
前記集束スポットが、顕微鏡において励起光として使用され、2つ以上のオブジェクト面上に同時に集束する、項目84に記載の方法。
[項目86]
複屈折レンズが、顕微鏡対物レンズである、項目84に記載の方法。
[項目87]
複屈折レンズが、顕微鏡対物レンズ内に収容される、項目84に記載の方法。
[項目88]
複屈折レンズが、顕微鏡対物レンズ内に収容され、レーザ励起光をサンプル中に集束させるために使用される、項目84に記載の方法。
[項目89]
前記非量子化異方性電磁特性が、1つ又は複数の複屈折レンズ中に含まれる、項目54に記載の方法。
[項目90]
複屈折レンズの各表面の曲率半径と、任意の関連した標準レンズの焦点距離とを選択することにより、複合レンズシステムの通常焦点距離と異常焦点距離との焦点距離における任意の差を達成することを可能にする、項目89に記載の方法。
[項目91]
前記複屈折レンズの曲率半径のうちのいくつか又は全部が無限大である、項目90に記載の方法。
[項目92]
前記複屈折レンズが、1つのユニットにおいて結合される、項目90に記載の方法。
[項目93]
結合手段が、空気である、項目92に記載の方法。
[項目94]
結合手段が、光学セメントであり、前記レンズが1つのユニットである、項目92に記載の方法。
[項目95]
結合手段が、光学的に透明な物質である、項目92に記載の方法。
[項目96]
受け取った電磁放射から、フレネルホログラム、フーリエホログラム、又は他のホログラムを生成するために非量子化複屈折光学デバイスを使用する方法であって、
複屈折レンズのハイブリッドレンズが、任意の仕様の2つ以上の焦点距離をもつ偏光感応性レンズを生成するために、複屈折材料と非複屈折材料との組合せにより生成される、方法。
[項目97]
異なる複屈折材料のレンズの組合せによって、任意の2つの異なる焦点距離をもつ非量子化複屈折光学デバイスを使用するための方法。
[項目98]
前記デバイスが、ホログラムを生成するために使用される、項目97に記載の方法。
[項目99]
前記複屈折レンズの前記焦点距離の差を変動させることができる、項目96に記載の方法。
[項目100]
複屈折素子が、受け取った電磁放射から、フレネルホログラム、フーリエホログラム、又は他のホログラムを生成するために使用され、複屈折レンズのハイブリッドレンズが、任意の仕様の2つ以上の焦点距離をもつ偏光感応性レンズを生成するために、複屈折材料と非複屈折材料との組合せにより生成される、項目97に記載の方法。
[項目101]
電磁放射の干渉を誘起するための複屈折レンズを使用するための方法。
[項目102]
複屈折材料の分散特性が、広帯域電磁放射線からの多数の空間分離した波長依存的なホログラムを生成するために使用される、項目54に記載の方法。
[項目103]
受け取った前記電磁放射のソースが、人間の眼底であり、前記屈折した電磁干渉が、デジタルカメラ上も記録される、項目54に記載の方法。
[項目104]
受け取った前記電磁放射のソースが、顕微鏡対物レンズであり、前記屈折した電磁干渉が、光学的超解像度画像を生成するために使用される、項目54に記載の方法。
[項目105]
任意の仕様の2つ以上の偏光感応性焦点距離をもつレンズを生成するために、1つ又は複数の複屈折球面レンズを組み込んだ複屈折光学デバイスを使用するための方法。
[項目106]
他の光学デバイスは、所望の空間特性、色特性及び時間特性を達成するために、前記電磁干渉を変更することができる、項目54に記載の方法。
[項目107]
前記非量子化異方性電磁特性が、勾配屈折レンズに由来する、項目1に記載の装置。
[項目108]
前記非量子化異方性電磁特性が、勾配屈折レンズに由来する、項目54に記載の方法。
[項目109]
前記非量子化異方性電磁特性が、外部電源とは無関係に存在する、項目1に記載の装置。
[項目110]
前記非量子化異方性電磁特性が、外部電源とは無関係に存在する、項目54に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12