【実施例】
【0019】
図1は、本発明の実施例であるマンホールの概略を示す図である。
【0020】
図1において、本発明の実施例であるマンホール100は、いくつかのブロック、本例では上側ブロック1、2および下側ブロック3からなり、上側ブロック1と上側部ブロック2、上側ブロック2と下側ブロック3とが組積みされ、
図6に示されるように互いに噛み合い可能に構成される。本例では、上側ブロック2の中で、上側ブロック2を選択して、下側ブロック3との組み合わせについて説明するが、他のブロック間の連結にも採用可能である。通常上側ブロック1は、斜壁ブロックとして、上側ブロック1、2は直壁ブロックとして構成される。下側ブロック3には、底版ブロック4が接続される。
【0021】
上側ブロック1と上側ブロック2との間、上側ブロック2と下側ブロック3との間には連結金具10が取り付けられる。下側ブロック3と底版ブロック4との間にも連結金具10が設けられてもよい。
【0022】
このように構成されたマンホール100は、立坑6内に配置される。この立坑6が狭隘なものとなって来ている。
【0023】
本実施例で、
図1において、上下方向をマンホール100の長手方向、横方向を半径方向と呼ぶ。
【0024】
図2は、連結金具10を用いた上下ブロックの連結方法を示す。下側金具11および上側金具12が上下方向、すなわちマンホールの長手方向に配置され、それぞれ下側ブロック3、上側ブロック2に固定され、上側ブロック2の移動操作によって組み立てられる。
【0025】
図3から
図5は、連結金具10の構成要素である部品を示す。
図2(a)は、連結金具10の正面を示し、
図2(b)は、連結金具10の側面を示す。
【0026】
これらの図において、連結金具10は、下側金具11、上側金具12および保持部材13を有して構成される。理解し易くするために、下側金具11から説明する。
【0027】
下側金具11は、
図3に示すように細長く延在する長方形の板状の
第一のプレートである第一プレート15、
第一プレート15から起立する一対の保持片16から構成される。この例の場合、一対の保持片16は、
第一プレート15から直立している。逆に倒立していると表現してもよい。
第一プレート15および一対の保持片16は、一枚のプレート材を加工することで形成される。一対の保持片16は、
第一プレート15の右方部から直立し、
第一プレートの先端部に、切り欠け部17が形成される。切り欠け部17は、後述するように吊る下げられた上側ブロック2の横方向への揺動を許容することになる。
【0028】
一対の保持片16の間には空間部24が形成され、この空間部24が、ここに配置される保持材13の移動空間とされる。一対の保持片16には、その中央部おいてハート状の開口部18が形成されている。ハート状の開口部18は、ハート基部の基孔部19、この基孔部9から水平方向でわずかに下方を向いて形成された傾斜して掲載された、一方ハート部の移動孔部20および基孔部19から鉛直方向に対してわずかに傾斜する、他方のハート部の保持部材固定孔部21から形成される。このハート状の開口部18は、板打抜きで形成される。保持部材13に円形に形成された材料が使用されるので、移動孔部17の端部および保持部材固定孔部21の端部は円形形状とされる。また、基孔部19も円形とされ、総合的に孔形状が集合したハート状をなす。
【0029】
切り欠け部17は、断面で、開口部18全体をカバーして、上下方向に切り掛けられる。
【0030】
保持部材固定孔部21は、移動孔部20に対して直角上方向に形成される。
【0031】
第一プレート15と一対の保持片16とは一枚のプレート材からなり、一対の保持片16が
第一プレート15から直角曲げ加工されて形成される。直角でなくてもよいが、配置上、直角にするのがよい。第
二プレート31は、
第一プレート15に沿って空間部24内を上下方向に移動することが出来る。この場合に、切り欠け部17が形成されているので、第二プレート31は、半径方向にも移動可能とされる。
【0032】
第一プレート15の下方端部にボルト
穴22が形成してある。このボルト
穴22にボルト23を
挿入させ、下側ブロック
3に設けたボルト穴22に挿入することで下側金具11は下側ブロック3に固定され、取付けられる。
【0033】
図4は、連結金具の一部製品の形態を示す斜視図である。
図4において、上側金具12は、長方形板状の
第二プレート31からなり、
第二プレート31は、先端部が直角以上に折り曲げられる。この折り曲げ部が水平面に対して上方に向けて傾斜した傾斜面を備えた引っ掛け片(引っ掛け部と表現してもよい)34となる。引っ掛け片34は、保持部材13を引っ掛けて載置保持する機能を備える。引っ掛けと称するのは、保持部材13を引っ掛け状態で載置するからであり、静止状態を観察すれば保持部材固定用載置部とも称することが出来る。上
側金具12は、
第二プレート31とこれから折り曲がる引っ掛け片34とを有して構成される。
第二プレート31の上端部にはボルト
穴37が形成してあり、ボルト
35を、このボルト
穴22に挿入させ、上側ブロック
2に設けたボルト穴
37に挿入することで上
側金具12を上側ブロック2に固定して取り付けることが出来る。
【0034】
第二プレート31は、その幅は
第一プレート15よりもわずかに狭く、
第二プレート31
第一はプレート15上を移動可能になる。すなわち上金具12は、一対の保持片16の間に形成された空間部24内を長手方向に移動させることが出来る。この場合に、上述したように切り欠け部17内を半径方向にも移動可能とされる。したがって、
第二プレート31が、半径方向に十分に空間部を確保出来るような時、あるいは引っ掛け部の長さを短めにする時には、切り欠け部17を設けることを要さない。切り欠け部17を設けることで、連結金具10を全体的に小型化できる。
【0035】
図5は、保持部材13の形状を示す。保持部材13は、断面円形状の中央部41と端部42とからなり、独立体となっている特徴がある。端部42は、中央部41よりもわずかに大きな外形形状を備え、保持部材13が開口部18に挿入されたときに開口部18から外れない大きさとなっている。端部の一方は取り外し可能である。保持部材13は、典型的にはボルトナット構成で構成される。ボルトが中央部を形成し、ボルト頭およびナットが端部となる。ナットは、取り外し可能であるので、保持部材13は、開口部18から取り外し自在とされる。
【0036】
連結金具10が、上述したように下側ブロックに取り付けられる第一プレートと、ブロックの長手方向に延在し、第一プレートからブロックの半径方向に立つ一対の保持片と、を有し、一対の保持片の間に空間部が形成され、保持片に、上方および半径方向に向けて傾斜する開口部が形成され、開口部が保持部材固定部を備え、一対の開口部内を移動可能な保持部材が挿入されて構成された下側金具、および上側ブロックに取り付けられる第二プレートと、前記空間部内を移動可能で、ブロックの半径方向であって水平面に対して上方に向けて傾斜した傾斜面を備えた、第二プレートに一体の引っ掛け片と、を有して構成された上側金具から構成される。
【0037】
図2は、連結金具10によって上側ブロック2と下側ブロック3とが連結されるに至る状態を示す。
図2(a)は、正面を示し、
図6(b)は、側面を示している。
【0038】
図2に示すように連結金具10の上側金具12、下側金具
11は、それぞれが隣接する上側ブロック2と下側ブロック3との間に固定して設置される。この配置で、ハート型の開口部18は水平方向に対して若干上向いた配置になる。これは引っ掛け片34の傾斜に対応する。
【0039】
下側ブロック3は立坑6内の所定位置に固定される。上側ブロック2は、通常用いられるようにクレーン等によって吊り下げられ、上側金具
12が下側金具の上方に位置するように位置決めされる。
【0040】
図2は、上側ブロック2と下側ブロック3とが組積みされ、互いに噛み合いされる状態前の連結金具10による上側ブロック2と下側ブロック3との連結状態を形成することを示す図である。組積み構造は従来構造が採用されればよい。この状態では、連結金具10は、当初遊んでいる状態であり、上側金具12は、下側金具11と連結されていない。すなわち上側ブロック2は、吊り下げられ、上側ブロック
2を上下方向、半径方向に移動可能な状態にある。
【0041】
図2(b)において、保持部材13が開口部18の基孔部19に、これを貫通して配設される。保持部材13は、例えばボルトナット構成であり、ナットを締めることで開口部18から抜け出ることはない。保持部材13は、基孔部19から移動孔部20および保持部材固定孔部21の双方に摺動可能であり、上下マンホールの連結に際して、基孔部19および移動孔部20の機能が利用される。
【0042】
第二プレートであるプレート31が空間部24内を下方に移動され、引っ掛け片34は、開口部18の上側の配置となる.
上側金具12と下側金具11との連結係合は、上側金具12と下側金具11との当接、保持部第13の退避・反転および自重戻り・載置の第一、第二の2つのステップから構成され、連結固定は第三ステップを経てなされる。
【0043】
上側金具12
は、上方から下方に向けて位置調整されながら移動され、空間部24内に引っ掛け片34が持ち来たされる。上側ブロック3の下方移動および切り欠け部17を利用しての半径方向への揺動に伴って、引っ掛け片34の傾斜する下面あるいは先端が保持部材13の側面に当接する(第一ステップ)。第二プレートに形成した引っ掛け片34は、水平方向からわずかに上方に傾斜する形態となっているために、当接する引っ掛け片34には、横方向、すなわち右方横に移動させる力(横方向力)が発生し、この力は、保持部材13を、水平方向に対してわずかに傾斜する移動孔部20内を右方向に移動させ、引っかけ片34の先端位置まで移動させる。すなわち、退避させる。引っ掛け片34の傾斜を大きくすると保持部材13の退避操作をより容易にすることができる。
【0044】
保持部材13を、引っ掛け片の先端まで退避させ、先端を越えた時に、引っ掛け片先端は保持部材13の下側に位置し、この配置構成から保持部材13を自重によって反転させる。このように、引っ掛け片の先端部は、保持部材の下側に位置し、保持部材13は、自重によって基孔部19まで戻ることになり、引っ掛け片34上に載置される(第
二ステップ)。
【0045】
引っ掛け片34の保持部材13への当接による横方向力発生のために、この例では、上側金具12は、一枚の板材から傾斜面を形成してあるが、引っ掛け部34の下面に丸めを付けたりするなどの加工を施しても横方向の力を発生させることが出来る。また、保持部材13の移動を容易にするために潤滑剤を塗っておくことが出来る。保持部材13は、自重で移動孔部を元の方向に戻ることが可能とされる。保持部材13を元の位置に戻すのに特別の力を付与するようにすることもできるが、本例の場合に特別の力を付与するような機構を設けることなく元に戻せるので、特別の機構を設けることを要さない。
【0046】
このように、
第二プレート31が空間部24内を下方に移動されると、引っ掛け片34の下面である傾斜面が保持部材に当接して保持部材を、開口部内の移動孔部を移動させて退避させる。退避に引き続いて反転がなされ、これによって
図2(b)に示される第ニステップの載置状態が形成される。第二ステップで連結がなされる。
【0047】
この状態で上側ブロック2を上方に移動して第二プレートが上方に移動すると引っ掛け片34は、保持部材13を保持部材保持孔部に固定する(第三ステップ)。これによって、上側金具12と下側金具11との連結固定がなされる。すなわち上側ブロック2と下側ブロック3との連結固定がなされることになる。
【0048】
連結金具10は、上下ブロックの両側に設けられていて、ほぼ同時に連結されるが、上側金具12と下側金具11との接続を同時に行う必要はない。一方の上側金具12と下側金具11との接続を完了し、この状態で、切り欠け部17が設けられていることで、吊り下げた上側ブロックをわずかに揺動させ、他側の引っ掛け片を保持部材13に係合させることが出来る。この連結に際して、立坑6の外部で作業がなされるので、作業員は連結を確実に行われるように保持部材13を調整することが出来る。立坑内においても連結することが出来る。
【0049】
このようにして上側金具を下側金具への双方の接続が完了し、上側ブロック2と下側ブロック3との係合が完了すると、次に示す両ブロックの組み合わせによるレベル2の地震動に耐え得る連結した接合構造にされる。
【0050】
本実施例によれば、立坑内作業が求められるような時に、マンホールと立坑との間の狭い作業域に作業者が入ることなく接合作業をすることが出来るが、従来二人の作業者が入っていたのを1人の作業者が入るようにして、引っ掛け片と保持部材との接続を確実、迅速に行うようにしてもよい。本実施例によれば、1人の作業者にても十分に連結金具による連結状態並びに保持部材13と引っかけ片34に生成される所定の間隙を視認することができる。
【0051】
上側ブロックと下側ブロックとが連結なされると、吊り下げられた上側ブロック2が、吊り下ろされて下側ブロック3に固定された状態であって、引っ掛け片34が保持部材13から離間された時の引っ掛け片34の状態と、上側ブロック2と下側ブロック3との間には、独立体である保持部材13が連結固定した時の引っ掛け片34の状態とは、所定の間隙が形成された関係となる。引っ掛け片34と保持部材13が連結された状態と連結固定された状態との関係における位置関係は一定であるので、上述した所定の間隙は、上側ブロックが下側ブロック3に固定された時の状態と、引っ掛け片および保持部材13が連結状態にある場合における関係において所定の間隙と言い直すことが出来る。
【0052】
図6は、レベル2の地震動に耐えるようにして接合されたマンホール100を示す。
図2に示す第三ステップの状態から上側ブロック2が下側ブロック3の上に固定される。この状態では、上側金具12と下側金具11が接続された状態であるので、上側ブロック
2と下側ブロック
3のそれぞれ設けられた組立用溝の起点50は一致状態にあって上側ブロック
2と下側ブロック
3は、噛み合い組積みがなされる。
【0053】
この時、引っ掛け片34と保持部材13との間には所定の間隔が保持される。この間隔は、所定のレベルの地震が発生したときに上下ブロックの接合部が所定距離離反可能な距離であって、それ以上離反することがないように固定状態の引っ掛け片34と保持部材13が連結係合することになる。このように保持部材13は、開口部19に固定されてストッパ機能が有り、ブロック接合部の目地の開口量を、流過機能を阻害する土砂の流入がない範囲とすることが出来る。そして、独立体としての保持部材13を用いての所定レベルの地震動に耐え得る連結接合構造が提供される。
【0054】
図2に示す第三ステップの状態からは上側ブロック2と下側ブロック3の連結した接合状態を形成することが出来る。
【0055】
図7は、この連結および連結固定した接合状態を示す。
【0056】
図2に示す第三ステップの状態から、もしくは
図6に示される状態から上側ブロック2が上方に向けて移動されると、
図7に示される状態が形成される。プレート31が上方に移動されると、引っ掛け片34が載置した状態で、保持部材13を保持部材固定孔部21に固定した固定状態を形成することが出来る。すなわち連結固定状態を形成することが出来る。第二プレート31への第一プレート15への固定結合は、引っ掛け片34による保持部材13の保持と保持部材13の固定部材保持孔部21との固定係合によってなされる。これによって上側金具12が保持部材13を介して下側金具11を保持されることがなされるので、上側金具12を上方に上側ブロック2の移動に伴って引っ張り上げることで、上側ブロック2に下側ブロック3が連結金具10によって連結固定された状態が形成される。このように、
図7(b)は、上下ブロックが連結固定された状態をも示す。
【0057】
以上のように、本実施例は、次に示す3つのステップからなるマンホールの連結方法が提供されることになる。
【0058】
下側ブロックに取り付けられる第一プレートと、ブロックの長手方向に延在し、第一プレートからブロックの半径方向に起立する一対の保持片と、を有し、一対の保持片の間に空間部が形成され、保持片に、上方および半径方向に向けて傾斜する開口部が形成され、開口部が保持部材固定孔部である保持部材固定部を備え、一対の開口部内を移動可能な独立構成の保持部材が挿入されて構成された下側金具、および上側のブロックに取り付けられる第二プレートと、前記空間部内を移動可能で、ブロックの半径方向であって水平面に対して上方に向けて傾斜し、第二プレートに一体形状の引っ掛け片と、を有して構成された上側金具から構成された連結金具を用いる。
下側金具が下側ブロックに固定され、上側金具が上側ブロックに固定される。
【0059】
吊り下げられた上側ブロックの下方への移動に伴って第二プレートが空間部内を下方に移動されると、引っ掛け片が保持部材に当接して保持部材を、開口部内を移動させて引っ掛け片先端以上退避させ、反転させ、自重で逆方向に移動させて引っ掛け片に載置させ、開口部の保持部材固定部に固定状態で保持し得る連結金具によって上側ブロックと下側ブロックとが連結あるいは連結固定される。
【0060】
この連結状態が形成され、吊り下げられた上側ブロックが、吊り下ろされて下側ブロックに固定された時の引っ掛け片状態と、上側ブロックと下側ブロックとが連結金具によって連結された、あるいは連結固定された時の引っ掛け片状態との間に、所定の間隙が形成される。
【0061】
下方に移動され、上側金具が下側ブロックに連結結合された状態で、引っ掛け片と保持部材とを所定の間隔で配置し、地震動があった時などに上側ブロックと下側ブロックの離反を防止する構造が提供され、連結金具を構成する部材に塑性曲げ変形作用が発生させることを要せず、したがって弾性領域を超えて塑性状態での操作はなされず、第二プレートの上下動操作および横方向揺動操作によって双方の連結をすることが出来るので、マンホールにプレート緊結タイプを採用して、上側マンホールおよび下側マンホール間に所定の固定された間隙を形成するに当たって、工数の増加、コストアップ、製品種類の増加を抑えながら、立坑外面からの操作性、作業性を向上させることが出来る。