特許第6304810号(P6304810)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6304810-リーチインショーケース 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304810
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】リーチインショーケース
(51)【国際特許分類】
   A47F 11/10 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   A47F11/10
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-61408(P2014-61408)
(22)【出願日】2014年3月25日
(65)【公開番号】特開2015-181762(P2015-181762A)
(43)【公開日】2015年10月22日
【審査請求日】2017年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000213493
【氏名又は名称】中野冷機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088720
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 眞一
(72)【発明者】
【氏名】秋子 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 修太郎
【審査官】 長清 吉範
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−243743(JP,A)
【文献】 特開2009−125311(JP,A)
【文献】 特開平9−287866(JP,A)
【文献】 特開2006−266645(JP,A)
【文献】 特開2002−300947(JP,A)
【文献】 特許第3173843(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 11/10
F25D 11/00
F25D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口が形成されるとともに内部に商品陳列室が形成されたショーケース本体と、前記開口を開閉可能とする透明扉体と、前記透明扉体の内側である前記商品陳列室内に配置された庫内照明灯とを有する冷気循環式のリーチインショーケースにおいて、
前記ショーケース本体に取付けられて前記透明扉体の外側に配置された庫外照明灯と、
前記リーチインショーケースの近くに居る人の有無を検出する人感センサと、が設けられ、
前記庫外照明灯は、前記リーチインショーケースが設置された店舗の営業時間中は常時点灯され、
前記庫内照明灯は、光度を上げ下げ切替可能に設けられ、前記人感センサが前記ショーケースの近くに居る人を検出している場合には光度を上げられ、前記人感センサが前記ショーケースの近くに居る人を検出していない場合には光度を下げられ
前記庫外照明灯は、光度を上げ下げ切替可能に設けられ、前記人感センサの検出結果に応じて前記庫内照明灯が光度を上げられている場合には光度を下げられていることを特徴とするリーチインショーケース。
【請求項2】
前記庫内照明灯と前記庫外照明灯との光度の上げ下げ切替は、前記リーチインショーケースの庫外側の照度の値が一定に維持されるように行われることを特徴とする請求項1記載のリーチインショーケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗に設置され、商品を陳列販売するために用いられる冷気循環式のリーチインショーケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗では、冷凍食品や生鮮食品を陳列販売するために冷気循環式のリーチインショーケースが使用されている。これらのリーチインショーケースは、前面に開口が形成されるとともに内部に商品陳列室が形成されたショーケース本体を有し、ショーケース本体には開口を開閉可能とするガラス扉が設けられている。さらに、商品陳列室内には庫内照明灯が設けられている。庫内照明灯は、主として商品陳列室内に陳列されている商品を照らすために用いられており、庫内照明灯の取付構造としては様々なものが知られている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−224150号公報
【特許文献2】特開平8−56792号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1,2に記載されたリーチインショーケースでは、リーチインショーケースの庫外側(例えば、リーチインショーケースの前面側の通路、リーチインショーケースの外装パネル等)の照明は庫内照明灯を利用しており、庫内照明灯から出射されてガラス扉を透過した光によりリーチインショーケースの庫外側を照明している。このため、ガラス扉を有しないタイプのオープンショーケースに比べると、リーチインショーケースの庫外側の照度が低くなっている。
【0005】
また近年では、庫内照明灯としてLEDを用いたリーチインショーケースが普及している。LEDは指向性が強く、しかも、LEDの照射方向は商品陳列室内に向けられている。このため、庫内照明灯としてLEDを用いた場合には、庫内照明灯として蛍光灯を用いた場合に比べてガラス扉を透過する光が少なくなり、リーチインショーケースの庫外側の照度がより一層低くなっている。
【0006】
庫内照明灯から出射された光によるリーチインショーケースの庫外側の照度を高くするためには、庫内照明灯の光度を上げることが考えられる。しかし、庫内照明灯の光度を上げると、庫内照明灯からの発熱量が増加して商品陳列室内を循環する冷気を暖めることになるため、庫内照明灯の光度を上げることは冷気の生成に関する熱効率を低下させることになる。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、リーチインショーケースの庫外側の照度を高くするとともに、庫内照明灯からの熱により商品陳列室内を循環する冷気を暖めることを抑制して冷気の生成に関する熱効率を高めることができるリーチインショーケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るリーチインショーケースは、前面に開口が形成されるとともに内部に商品陳列室が形成されたショーケース本体と、前記開口を開閉可能とする透明扉体と、前記透明扉体の内側である前記商品陳列室内に配置された庫内照明灯とを有する冷気循環式のリーチインショーケースにおいて、前記ショーケース本体に取付けられて前記透明扉体の外側に配置された庫外照明灯と、前記リーチインショーケースの近くに居る人の有無を検出する人感センサと、が設けられ、前記庫外照明灯は、前記リーチインショーケースが設置された店舗の営業時間中は常時点灯され、前記庫内照明灯は、光度を上げ下げ切替可能に設けられ、前記人感センサが前記ショーケースの近くに居る人を検出している場合には光度を上げられ、前記人感センサが前記ショーケースの近くに居る人を検出していない場合には光度を下げられ、前記庫外照明灯は、光度を上げ下げ切替可能に設けられ、前記人感センサの検出結果に応じて前記庫内照明灯が光度を上げられている場合には光度を下げられていることを特徴とする。
【0010】
また、前述の本発明に係るリーチインショーケースにおいて、前記庫内照明灯と前記庫外照明灯との光度の上げ下げ切替は、前記リーチインショーケースの庫外側の照度の値が一定に維持されるように行われることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るリーチインショーケースによれば、店舗の営業中はショーケース本体に取付けられて透明扉体の外側に配置された庫外透明灯が常時点灯されているため、庫内照明灯の光度を上げなくてもリーチインショーケースの庫外側の照度を高くすることができる。さらに、庫内照明灯は、人感センサがリーチインショーケースの近くに居る人を検出している場合には光度を上げられ、人感センサがリーチインショーケースの近くに居る人を検出していない場合には光度を下げられるため、リーチインショーケースの近くに人が居る場合には庫内照明灯の光度を上げることにより商品陳列室内の商品をその人から見易くすることができる。一方、リーチインショーケースの近くに人がおらず、商品陳列室内の商品を照明する必要がない場合には、庫内照明灯の光度を下げることにより庫内照明灯からの発熱量を低下させ、庫内照明灯からの熱により商品陳列室内を循環する冷気を暖めることを抑制して冷気の生成に関する熱効率を高めることができる。また、人感センサの検出結果に応じて庫内照明灯の光度が上げられている場合には、庫外照明灯の光度が下げられるので、庫内照明灯と庫外照明灯とによるリーチインショーケースの庫外側の照度を確保しつつ、庫外照明灯の光度を下げることにより庫外照明灯の電力消費量を抑制して省エネを図ることができる。
【0013】
また、庫内照明灯と庫外照明灯との光度の上げ下げ切替は、リーチインショーケースの庫外側の照度の値が一定に維持されるように行われるので、リーチインショーケースの庫外側の照度環境を一定に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態のリーチインショーケースを示す断面側面図である。
図2】照明に関する構成部品の電気的な接続構造を示すブロック図である。
図3】庫内照明灯と庫外照明灯との点灯制御について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態について、図面に基づいて説明する。図1は、リーチインショーケース1を示す断面側面図である。リーチインショーケース1は、前面に開口2が形成されるとともに内部に商品陳列室3が形成された箱形状のショーケース本体4を有している。ショーケース本体4には、開口2を開閉可能とする透明扉体であるガラス扉5が取付けられている。
【0016】
ショーケース本体4は、断熱材により形成された外周壁6と、外周壁6の内側に位置する区画壁7とを有し、ショーケース本体4内における区画壁7で囲まれた領域が商品陳列室3とされている。商品陳列室3内には、商品を陳列する複数段の商品陳列棚8が上下方向に配列されている。
【0017】
外周壁6と区画壁7との間には、ダクト9が形成されている。ダクト9内には、ショーケース本体4内の空気をダクト9内を通して循環させる送風ファン10と、送風ファン10により送風された空気を冷却して冷気を生成する冷却器11とが収容されている。ダクト9の上部の開口2側の先端部には、下向きに開口した吹出口12が形成され、ダクト9の下部の開口2側の先端部には、上向きに開口した吸込口13が形成されている。送風ファン10により送風されて冷却器11により生成された冷気は、吹出口12から下向きに吹き出して吸込口13から吸込まれ、吹出口12と吸込口13との間に冷気のエアカーテンが形成されるようになっている。
【0018】
ショーケース本体4には、ガラス扉5の内側である商品陳列室3内に配置された庫内照明灯14が取付けられている。庫内照明灯14は、上下方向に延出する向きに配置されている。また、庫内照明灯14は、光度を上げ下げ切替可能に設けられている。庫内照明灯14から出射された光は、商品陳列棚8に陳列されている商品を照明するとともに、その光の一部はガラス扉5を透過してリーチインショーケース1の庫外側(例えば、リーチインショーケース1の前面側の通路15、リーチインショーケース1の外装パネル16等)を照明するようになっている。
【0019】
ショーケース本体4の上部には、ガラス扉5の外側に配置され、ショーケース本体4の横幅方向に沿って水平方向に延出したキャノピー17が取付けられている。このキャノピー17の下側には、ショーケース本体4の横幅方向に沿って水平方向に延出した庫外照明灯18が取付けられている。庫外照明灯18は、リーチインショーケース1が設置された店舗の営業時間中は常時点灯されるようになっている。また、庫外照明灯18は、光度を上げ下げ切替可能に設けられている。庫外照明灯18から出射された光は、リーチインショーケース1の庫外側(例えば、リーチインショーケース1の前面側の通路15、リーチインショーケース1の外装パネル16等)を照明するようになっている。
【0020】
図2は、リーチインショーケース1の照明に関する構成部品の電気的な接続構造を示すブロック図である。リーチインショーケース1にはリーチインショーケース1の各部を制御する制御部19が設けられており、この制御部19には、庫内照明灯14と、庫外照明灯18と、人感センサ20と、タイマ機能を備えた制御盤21とが接続されている。人感センサ20は、リーチインショーケース1の近くに居る人の有無を検出するセンサであり、ショーケース本体4、又は、リーチインショーケース1が設置されている場所の天井部分等に取付けられている。制御盤21は、リーチインショーケース1の制御に関する各種の設定を行う部分であり、例えば、店舗の開店時間や閉店時間、庫内照明灯14や庫外照明灯18の光度の上げ下げ切替の値等を設定できるようになっている。
【0021】
図3は、庫内照明灯14と庫外照明灯18との点灯制御について説明するフローチャートである。まず、店舗の開店時間になったか否かが判断される(ステップS1)。
【0022】
店舗の開店時間になった場合は(ステップS1のYES)、庫内照明灯14が低光度状態で点灯され(ステップS2)、庫外照明灯18が高光度状態で点灯される(ステップS3)。
【0023】
庫内照明灯14と庫外照明灯18とが点灯された後、閉店時間になったか否かが判断される(ステップS4)。閉店時間になった場合には(ステップS4のYES)、庫内照明灯14が消灯され(ステップS5)、庫外照明灯18が消灯され(ステップS6)、ステップS1に戻る。
【0024】
一方、閉店時間になっていない場合には(ステップS4のNO)、人感センサ20がリーチインショーケース1の近くに人が居ることを検出したか否かが判断される(ステップS7)。リーチインショーケース1の近くに人が居ることを検出しない場合には(ステップS7のNO)、ステップS4に戻る。
【0025】
一方、リーチインショーケース1の近くに人が居ることを検出した場合には(ステップS7のYES)、庫内照明灯14の光度が高光度に切替えられ(ステップS8)、さらに、庫外照明灯18の光度が低光度に切替えられる(ステップS9)。
【0026】
庫内照明灯14と庫外照明灯18との光度切替えが行われた後、人感センサ20が人の検出を終了したか否かが判断される(ステップS10)。人感センサ20が引き続き人を検出している場合には(ステップS10のNO)、ステップS4に戻る。
【0027】
一方、人感センサ20が人の検出を終了した場合には(ステップS10のYES)、庫内照明灯14の光度が低光度に切替えられ(ステップS11)、さらに、庫外照明灯18の光度が高光度に切替えられ(ステップS12)、ステップS4に戻る。
【0028】
ここで、人感センサ20の検出結果に基づく庫内照明灯14と庫外照明灯18との光度の切替は、庫内照明灯14が低光度で点灯されるとともに庫外照明灯18が高光度で点灯される場合におけるリーチインショーケース1の庫外側の照度と、庫内照明灯14が高光度で点灯されるとともに庫外照明灯18が低光度で点灯された場合におけるリーチインショーケース1の庫外側の照度とが、一定に維持されるように行われている。
【0029】
なお、庫内照明灯14の光度の切替えについて、低光度と高光度とに切替えることを説明したが、低光度の一例としては、消灯状態も含まれるものである。
【0030】
このような構成において、このリーチインショーケース1では、送風ファン10が駆動されるとともに冷却器11が駆動されることにより、ダクト9内を送風された空気が冷却器11により冷却されて冷気となり、その冷気が吹出口12から吹出すとともに吸込口13から吸込まれてダクト9内に入り、冷却器11により再び冷却される。このようにして、冷却器11で冷却された冷気が商品陳列室3内を循環することにより、商品陳列棚8に陳列されている商品が冷却される。
【0031】
庫内照明灯14が点灯されると、庫内照明灯14から出射された光の一部はガラス扉5を透過してリーチインショーケース1の庫外側(例えば、リーチインショーケース1の前面側の通路15、リーチインショーケース1の外装パネル16等)を照明するようになっている。また、庫外照明灯18が点灯されると、庫外照明灯18から出射された光は、リーチインショーケース1の庫外側を照明するようになっている。
【0032】
ここで、庫外照明灯18は、店舗の営業時間中は常時点灯され、リーチインショーケース1の庫外側を常時照明している。このため、庫内照明灯14の光度を上げなくても、リーチインショーケース1の庫外側の照度を高くすることができ、リーチインショーケース1の周囲がうす暗くなることを防止することができる。
【0033】
庫内照明灯14は、人感センサ20がリーチインショーケース1の近くに居る人を検出していない場合には光度を下げられ、人感センサ20がリーチインショーケース1の近くに居る人を検出している場合には光度を上げられている。このため、リーチインショーケース1の近くに人が居る場合には庫内照明灯14の光度を上げることにより商品陳列室3内の商品の照明を良好に行うことができ、リーチインショーケース1の近くに居る人に対して商品陳列室3内の商品を見易くすることができる。一方、リーチインショーケース1の近くに人がおらず、商品陳列室3内の商品を照明する必要がない場合には、庫内照明灯14の光度を下げることにより庫内照明灯14からの発熱量を低下させ、庫内照明灯14からの熱により商品陳列室3内を循環する冷気を暖めることを抑制して冷気の生成に関する熱効率を高めることができる。
【0034】
また、リーチインショーケース1の近くに居る人の検出結果に基づいて庫内照明灯14の光度が上げられた場合には、庫外照明灯18の光度が下げられる。庫内照明灯14の光度が上がることにより、庫内照明灯14から出射された光によるリーチインショーケース1の庫外側の照度が高くなるので、庫外照明灯18の光度を下げてもリーチインショーケース1の庫外側の照度を維持することかできる。そして、庫外照明灯18の光度を下げることにより、庫外照明灯18での電力消費量を抑制して省エネを図ることができる。
【0035】
また、人感センサ20の検出結果に基づき庫内照明灯14と庫外照明灯18との光度が上げ下げ切替された場合において、その上げ下げ切替は、リーチインショーケース1の庫外側の照度が一定に維持されるように行われるため、リーチインショーケース1の庫外側の照度環境を一定に維持することができる。
【0036】
本発明は、前述の実施形態に限るものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。例えば、前述の実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよく、さらに、異なる実施形態に係る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 リーチインショーケース
2 開口
3 商品陳列室
4 ショーケース本体
5 ガラス扉(透明扉体)
6 外周壁
7 区画壁
8 商品陳列棚
9 ダクト
10 送風ファン
11 冷却器
12 吹出口
13 吸込口
14 庫内照明灯
15 通路
16 外装パネル
17 キャノピー
18 庫外照明灯
19 制御部
20 人感センサ
21 制御盤
図1
図2
図3