【実施例1】
【0029】
図1〜
図5に示すように、このワーク検知装置1は、ワークWの重量で可動ロッドを下降させて開閉弁機構を切換えることでワークを検知可能にしたワーク検知装置であり、ワークWに対する加工や組み立てを行う生産ラインの1又は複数のステージに装備されるものである。このワーク検知装置1は、その基本構成要素として、本体部材2と、可動ロッド3と、弁操作孔4と、圧縮コイルスプリング5(付勢手段)と、弁ケース部17を有する弁ケース部材6と、開閉弁機構7などを備えている。
【0030】
本体部材2は、ユーザーが準備する基盤部材B(
図3参照)に装着される。
図1,
図2に示すように、本体部材2は、基盤部材Bの円筒孔8に嵌入されるシリンダ部2bと、このシリンダ部2bの上端に一体形成された本体上部2aとを有し、本体上部2aはその据え付け面9を基盤部材Bの上面に当接させた状態で複数のボルト孔10に挿通される複数のボルトにより基盤部材Bに固定される。
【0031】
本体部材2は、本体上部2aに貫通状に形成されたロッド孔11と、このロッド孔11の下端に連なるようにシリンダ部2bに形成されたシリンダ孔12であってロッド孔11よりも大径のシリンダ孔12とを有する。シリンダ部2bの外周部にはシール部材13a,13bが装着されている。
【0032】
可動ロッド3は、本体部材2のロッド孔11とシリンダ孔12とに昇降可能に装着され、
図1の状態では可動ロッド3の上半部が本体部材2から上方へ突出し、ワークWにより下方へ押動可能になっている。尚、ロッド孔11の上端部には合成樹脂製の環状のスクレーパ23が装着されている。
【0033】
可動ロッド3の下部には下端開放状の弁操作孔4が形成され、可動ロッド3の中段部には弁操作孔4に連なるスプリング収容孔14が形成され、スプリング収容孔14の上端部に連なるネジ孔14aが形成され、このネジ孔14aにワークWを受け止めるプラグ部材15が着脱可能に螺合され、弁操作孔4の上端部分とスプリング収容孔14には可動ロッド3を上方へ付勢する圧縮スプリング5が収容され、圧縮スプリング5の下端は弁ケース部材6の上端で受け止められ、圧縮スプリング5の上端がプラグ部材15で受け止められている。尚、ネジ孔14aの上端部にはシール部材15aが装着されている。可動ロッド3の下端部にはシリンダ孔12内に位置する鍔部3aが形成されている。
【0034】
弁ケース部材6は、シリンダ孔12の下端部に内嵌された円板部16と、この円板部16の中心側部分から上方へ延びる弁ケース部17とを備えている。円板部16の外周部にはシール部材16aが装着され、円板部16の下端部には大径部16bが形成され、この大径部16bがシリンダ孔12の下端側の大径孔12aに嵌合され、シリンダ部2bに装着されたストップリング18で抜け止め状態に固定されている。弁ケース部17は、弁操作孔4に僅かの隙間を空けて挿入可能に形成されている。
【0035】
弁ケース部材6には加圧エア通路19が形成され、加圧エア通路19は加圧エア通路20を介して外部の加圧エア供給源21に接続され、加圧エア通路20には圧力センサ22が接続されている。加圧エア通路19は、弁ケース部材6の下部に形成された縦向きエア通路19aと、この縦向きエア通路19aの上端に連通し弁ケース部17を横断する横断エア通路19bと、シリンダ孔12と兼用されるシリンダ孔通路19cと、シリンダ部2bに形成された排気エア通路19dとを有する。この排気エア通路19dは大気開放されている。
【0036】
この開閉弁機構7は、弁ケース部17に組み込まれており、弁操作孔4と協働して加圧エア通路19の途中部を開閉可能なものである。開閉弁機構7は、弁ケース部17に形成した縦向きの弁体収容孔25と、この弁体収容孔25に昇降可能に装着された弁体26と、弁体収容孔25の上端部に装着されてストップリング28で固定されたスプリング受け部材27と、弁体26に形成された環状凹部30と、この環状凹部30の上部に形成された下方程小径の部分円錐面30aと、環状凹部30の下部に形成された上方程小径の部分円錐面30bと、弁ケース部17の筒壁の複数の保持孔31に水平方向へ可動に保持され且つ環状凹部30に部分的に収容されて部分円錐面30aに当接した複数の鋼球32(球体)と、スプリング受け部材27に対して弁体26を下方へ弾性付勢する圧縮スプリング29とを備えている。
【0037】
前記弁体26の下端には弁面26aが形成され、弁体収容孔25の下端面には縦向きエア通路19aが開口し、その開口部の周囲には弁面26aに対向する環状弁座17aが形成されている。開閉弁機構7は、弁操作孔4の壁面で複数の鋼球32が軸心側へ押動された状態では、弁体26が上方へ押されて弁面26aが弁座17aから離隔するため開弁状態になり、弁操作孔4の壁面で複数の鋼球32が軸心側へ押動されない状態では弁面26aが弁座17aに押し付けられた閉弁状態になる。
【0038】
弁操作孔4は、可動ロッド3の下端側部分に形成された小径孔4aと、この小径孔4aの上端に連なり且つ小径孔4aよりも大径の大径孔4bとを有し、鋼球32が小径孔4aに当接している場合には、複数の鋼球32が部分円錐面30aを軸心側へ押す押動変位が大きくなるため、開閉弁機構7が
図1に示す開弁状態になる。しかし、鋼球32が大径孔4bに当接している場合には、複数の鋼球32が部分円錐面30aを軸心側へ押す押動変位が零になるため、開閉弁機構7が
図2に示す閉弁状態になる。
【0039】
図1に図示のように、小径孔4aは第1設定距離S1よりも長く形成され、大径孔4bは第2設定距離S2の長さに形成されている。
それ故、
図1に図示のように可動ロッド3が上限位置にある状態を初期状態として、開閉弁機構7は、可動ロッド3が上限位置から第1設定距離S1下降した第1位置まで下降する間は開弁した第1状態を保持し、第1位置に下降した時に閉弁した第2状態に切り換えられ、その後可動ロッド3が第1位置から更に第2設定距離S2下降した第2位置まで下降する間は第2状態を保持するように構成されている。
【0040】
上記のワーク検知装置1の作用について説明する。
図1に示すように、ワークWが投入されていない状態では、可動ロッド3が圧縮スプリング5の付勢力で上限位置に保持され、複数の鋼球32が小径孔4aの壁面で軸心側へ押されるため、複数の鋼球32が部分円錐面30aを介して弁体26を上方へ押し、弁面26aが弁座17aから離間し、開閉弁機構7が開弁状態を保持する。
【0041】
ワークWが投入されてワークWの自重で可動ロッド3が下降し始め、第1設定距離S1だけ下降すると、複数の鋼球32が大径孔4bの下端部に係合し、複数の鋼球32が大径孔4bで押されなくなるため、弁体26は下限位置まで下降可能となり、弁体26が圧縮スプリング29で弁座17aに押圧されて閉弁状態となり、その後
図2に示すように、可動ロッド3が第2設定距離S2下降して複数の鋼球32が大径孔4bの上端部に係合するまでの間閉弁状態を保持する。
【0042】
次に、ワーク検知装置1を生産ラインのワーク支持システム40に適用した例について、
図3〜
図5に基づいて簡単に説明する。このワーク支持システム40には、ワーク支持台41と、ワーク検知装置1と、油圧式リフタ42と、複数の基準座43とが装備されている。
図3に示すように、ワークWが投入されていない状態では、ワーク検知装置1の可動ロッド3は上限位置に位置し、ワーク支持台41は油圧式リフタ42で支持されている。この状態では、開閉弁機構7は開弁状態を保持するため、前記圧力センサ22で検出されるエア圧は「低」である。
【0043】
図4に示すように、ワークWがワーク支持台41上に投入されると、ワークWの重量により可動ロッド3が第1設定距離S1だけ下降し、複数の鋼球32が大径孔4bの下端部に係合して開閉弁機構7が閉弁状態に切り換わるため、前記圧力センサ22で検出されるエア圧は「高」になる。
【0044】
その後、
図5に示すように、油圧式リフタ42によりワークWを下降させて複数の基準座43に支持させると、可動ロッド3が第2設定距離S2だけ下降して複数の鋼球32が大径孔4bの上端部に係合する。この状態においても、開閉弁機構7が閉弁状態を保持し、前記圧力センサ22で検出されるエア圧は「高」である。こうして、前記圧力センサ22で検出されるエア圧に基づいて、
図4の状態から
図5の状態に亙って、ワークWが投入済みであることを確実に検知することができる。
【0045】
上記のワーク検知装置1の効果について説明する。
開閉弁機構7は、可動ロッド3が上限位置から第1設定距離S1下降した第1位置まで下降する間は開弁した第1状態を保持し、第1位置において閉弁した第2状態に切り換わり、その後可動ロッド3が第1位置から更に第2設定距離S2下降した第2位置まで下降する間は閉弁した第2状態を保持するように構成してあるため、次の効果を奏する。
ワークWが投入されて第1設定距離S1下降後に第1状態から第2状態に切り換わるため、ワーク検知の信頼性を高めることができる。
【0046】
しかも、第2状態に切り換ってから第2設定距離S2だけワークWが下降する間は第2状態を保持するため、投入されたワークWが第1位置から第2位置に下降するまで「ワーク有り」を示す第2状態を保持するため、ワークWの高さ位置が第1位置から第2位置に変化しても「ワーク有り」を確実に検知することができる。
それ故、生産ラインを制御する際に、ワークWが投入状態であるにも関わらず、ワーク未投入と誤認する等のエラーが発生せず、ワーク検知の信頼性を高めることができる。
【0047】
開閉弁機構7は、弁体収容孔25と、弁体26と、この弁体26に形成された環状凹部30および部分円錐面30aと、弁ケース部17の筒壁の複数の保持孔31に保持され且つ部分円錐面30aに当接した複数の鋼球32と、弁体26を下方へ弾性付勢する圧縮スプリング29とを備えているため、簡単な構造の開閉弁機構7とすることができる。
【0048】
開閉弁機構7は、弁操作孔4の壁面で複数の鋼球32が軸心側へ押動された状態では開弁状態になり、弁操作孔4の壁面で複数の鋼球32が軸心側へ押動されない状態では閉弁状態になるため、弁操作孔4の直径の大小により閉弁状態か開弁状態かを設定することができる。
【0049】
弁操作孔4は、第1設定距離S1よりも長い小径孔4aと、この小径孔4aの上端に連なり且つ小径孔4aよりも大径で第2設定距離S2の長さの大径孔4bとを有するため、可動ロッド3が第1設定距離S1下降した際に開閉弁機構7を第1状態から第2状態に切換え、その可動ロッド3が第2設定距離S2下降する間開閉弁機構7を第2状態に保持することができる。
【0050】
前記可動ロッド3にプラグ部材15を螺合にて装着し、圧縮スプリング5を交換可能に装着したため、ワークWの重量に応じた付勢力を発揮する圧縮スプリング5を採用することができる。
開閉弁機構7を組み込んだ弁ケース部17を、可動ロッド3に形成した弁操作孔4に挿入するように構成したため、可動ロッド3内の空間を有効利用することができ、コンパクトなワーク検知装置1にすることができる。
【実施例2】
【0051】
本実施例のワーク検知装置1Aは、前記弁操作孔4を変更し、開閉弁機構7の開閉状態を前記ワーク検知装置1の開閉状態と逆にしたものであるため、異なる構成についてのみ
図6、
図7に基づいて説明し、ワーク検知装置1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0052】
弁操作孔4Aは、可動ロッド3Aの下端側部分に形成された大径孔4cと、この大径孔4cの上端に連なり且つ大径孔4cよりも小径の小径孔4dとを備えている。大径孔4cは第1設定距離S3よりも長く形成され、小径孔4dは第2設定距離S4以上の長さに形成されている。
図6に示す初期状態においては、複数の鋼球32が大径孔4cの壁面で軸心側へ押されないため、弁体26は下限位置まで下降して開閉弁機構7が閉弁した第1状態を維持する。
【0053】
図7に示すように、ワークWが投入されると、可動ロッド3Aが上限位置から第1設定距離S3下降した第1位置まで下降する間は開閉弁機構7が閉弁した第1状態を保持し、第1位置において複数の鋼球32が小径孔4dの壁面で押されると、開閉弁機構7は開弁した第2状態に切り換わり、その後可動ロッド3Aが第1位置から更に第2設定距離S4下降した第2位置まで下降する間は前記第2状態を保持する。
【0054】
尚、第1,第2設定距離S3,S4は例示であり、これに限定されるものではない。
このワーク検知装置1Aの作用、効果は、前記ワーク検知装置1の作用、効果と同様であるので、その説明は省略する。
【実施例3】
【0055】
本実施例のワーク検知装置1Bは、実施例2のワーク検知装置1Aの弁操作孔4Aにおける大径孔4cの長さを変更可能に構成したものである。それ故、実施例2のワーク検知装置1Aと異なる構成についてのみ
図8に基づいて説明し、同様の構成要素に同様の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図8に示すように、このワーク検知装置1Bにおいて、弁操作孔4Bは、可動ロッド3Bの下端側部分に形成された大径孔4eと、この大径孔4eの上端に連なり且つ大径孔4eよりも小径の小径孔4fとを備えている。前記大径孔4eは第1設定距離S5よりも長く形成され、小径孔4fは第2設定距離S6以上の長さに形成されている。
前記小径孔4fを形成するスリーブ部材50が可動ロッド3Bの内部に昇降可能に装着されている。このスリーブ部材50は、頭部51とこの頭部51の下端から下方へ延びる薄い板厚のスリーブ部52を備えている。
【0057】
可動ロッド3Bには、大径孔4eと同径のガイド孔4gが大径孔4eの上方へ延びるように形成され、前記プラグ部材15を螺合するネジ孔14aが可動ロッド3Bの中段部まで延長されている。前記スリーブ部材50のスリーブ部52がガイド孔4gに摺動自在に内嵌され、スリーブ部材50の頭部51が前記ネジ孔14aに螺合され、スリーブ部材50は可動ロッド3Bに上下方向位置を調節可能に装着されている。
【0058】
前記スリーブ部材50のスリーブ部52の下端には上方ほど小径化する環状の曲面が形成され、頭部51の上端部には複数の工具挿入穴53が形成されている。前記スリーブ部材50の上下方向位置を調節することにより、ワーク投入時の可動ロッド3Bの下降距離に適合するように大径孔4eの長さ(つまり、第1設定距離S5)を調節することができる。それ故、ワーク検知装置1Bを汎用性の高いものにすることができる。その他、ワーク検知装置1と同様の作用、効果を奏する。
【実施例4】
【0059】
本実施例のワーク検知装置1Cは、前記弁操作孔4を変更し、開閉弁機構7の開閉状態を前記ワーク検知装置1の開閉弁機構7の開閉状態と異ならせたものであるため、異なる構成についてのみ説明し、ワーク検知装置1と同様の構成については同様の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図9に示すように、このワーク検知装置1Cの開閉弁機構7において、弁操作孔4Cは、可動ロッド3Cの下端側部分に形成された小径孔4hと、この小径孔4hの上端に連なり且つ小径孔4hよりも大径の第1大径孔4iと、この第1大径孔4iの上端に連なる第2大径孔4jとを備えている。前記小径孔4hは第1設定距離S7よりも長く形成され、第1大径孔4iは第2設定距離S8の長さに形成され、第2大径孔4jは第3設定距離S9の長さに形成されている。
【0061】
ワークWが投入されてない初期状態においては、開閉弁機構7は開弁した第1状態であり、ワークWが投入されて可動ロッド3Cが上限位置から第1設定距離S7下降した第1位置まで下降する間は前記第1状態を保持し、第1位置において
図10に示すようにほぼ閉弁した第2状態に切り換わり、第1位置から第2設定距離S8下降した第2位置まで下降する間前記のほぼ閉弁した第2状態を保持し、第2位置において
図11に示すように全閉した第3状態に切り換わり、第2位置から第3設定距離S9下降した第3位置まで下降する間前記第3状態を保持する。
【0062】
このワーク検知装置1Cは、実施例1と同様の使用形態で使用することも不可能ではないが、このワーク検知装置1Cは、投入されたワークWの種類を判別するような使用形態で使用するのに適している。
【0063】
図10に示すように、第1ワークW1が投入されて、可動ロッド3Cが第1設定距離S7以上の距離下降して、基準座43に着座した場合には、複数の鋼球32は第1大径孔4iの壁面に当接するため、開閉弁機構7はほぼ閉弁状態になり、前記圧力センサ22で検出されるエア圧は「高」よりも低く「低」よりも高い「中圧」である。
【0064】
図11に示すように、第2ワークW2が投入されて、可動ロッド3Cが(第1設定距離S7+第2設定距離S8)以上の距離下降して、基準座43に着座した場合には、複数の鋼球32は第2大径孔4jの壁面に当接するため、開閉弁機構7は全閉弁状態になり、前記圧力センサ22で検出されるエア圧は「高」になる。
【0065】
このように、圧力センサ22で検出されるエア圧から、投入されたワークの種類を判別することができる。尚、図示の第1,第2,第3設定距離S7,S8,S9は例示であり、これに限定されるものではない。その他、ワーク検知装置1と同様の作用、効果を奏する。
【0066】
次に、前記実施例を部分的に変更する例について説明する。
1)前記圧力センサ22の代わりに圧力スイッチを採用してもよい。
2)プラグ部材15を着脱可能な構造にしたが、この構造は必須のものではない。
3)その他、当業者ならば本発明に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそれらをも包含するものである。