特許第6304828号(P6304828)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ タイコ エレクトロニクス アンプ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハウツンクの特許一覧

特許6304828インピーダンス等化部材を一体化した電気コネクタ
<>
  • 特許6304828-インピーダンス等化部材を一体化した電気コネクタ 図000002
  • 特許6304828-インピーダンス等化部材を一体化した電気コネクタ 図000003
  • 特許6304828-インピーダンス等化部材を一体化した電気コネクタ 図000004
  • 特許6304828-インピーダンス等化部材を一体化した電気コネクタ 図000005
  • 特許6304828-インピーダンス等化部材を一体化した電気コネクタ 図000006
  • 特許6304828-インピーダンス等化部材を一体化した電気コネクタ 図000007
  • 特許6304828-インピーダンス等化部材を一体化した電気コネクタ 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304828
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】インピーダンス等化部材を一体化した電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6473 20110101AFI20180326BHJP
   H01R 13/658 20110101ALI20180326BHJP
【FI】
   H01R13/6473
   H01R13/658
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-500836(P2015-500836)
(86)(22)【出願日】2013年3月8日
(65)【公表番号】特表2015-514288(P2015-514288A)
(43)【公表日】2015年5月18日
(86)【国際出願番号】EP2013054781
(87)【国際公開番号】WO2013139631
(87)【国際公開日】20130926
【審査請求日】2016年1月22日
(31)【優先権主張番号】102012005812.8
(32)【優先日】2012年3月22日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501090342
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ジャーマニー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツンク
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Germany GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】カラッシュ、 グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】フォルクマン、 ダニエル
【審査官】 竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−220427(JP,A)
【文献】 特開平05−189625(JP,A)
【文献】 特開2011−253667(JP,A)
【文献】 特開平11−329612(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/646 − 13/6599
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性コンタクトキャリア(102)と、前記コンタクトキャリア(102)に保持される導電性コンタクト部材(104)とを有する電気コネクタであって、
少なくとも1つの前記コンタクト部材(104)が配置される領域の少なくとも一部における当該コネクタ(100)のインピーダンスを調整するために、少なくとも1つのインピーダンス等化部材(112)が前記コンタクトキャリア(102)中に設けられて前記コンタクトキャリア(102)と一体化し、
前記インピーダンス等化部材(112)は、導電性の略平面構造を有し、
前記インピーダンス等化部材(112)は、前記少なくとも1つのコンタクト部材(104)に対して、調整対象のインピーダンス値に依存する所定の間隔を置いて配置され、
前記コンタクトキャリアを少なくとも部分的に包囲する導電性シールドを更に含み、
前記少なくとも1つのインピーダンス等化部材(112)は、前記シールドに接続されることにより前記シールドの一部を形成し、
前記インピーダンス等化部材(112)は、前記電気コネクタが搭載される印刷回路基板(114)に対する基板ロック(116)を有する電気コネクタ。
【請求項2】
前記少なくとも1つのインピーダンス等化部材(112)が金属板から作製される請求項1に記載の電気コネクタ。
【請求項3】
前記コンタクト部材(104)は、第1の外部部品を接続するための接続領域(106)と第2の外部部品に接触するための接触領域(108)を有し、
前記接続領域(106)と前記接触領域(108)は、接続領域(110)によって互いに接続され、
前記少なくとも1つのインピーダンス等化部材(112)は、前記接続領域(106)や前記接触領域(108)に配置される請求項1又は請求項2に記載の電気コネクタ。
【請求項4】
前記接続領域(106)における前記少なくとも1つのコンタクト部材(104)は、印刷回路基板に挿入されることができるように、屈曲した形に構成されている請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項5】
前記少なくとも1つのコンタクト部材(104)は、前記接続領域(106)に圧着接続される請求項3に記載の電気コネクタ。
【請求項6】
前記少なくとも1つのコンタクト部材(104)は、前記接触領域(108)にコンタクトソケットを含む請求項1乃至5のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項7】
2つのコンタクト部材(104)が設けられ、
前記少なくとも1つのインピーダンス等化部材(112)は、前記接触領域(108)において前記コンタクト部材(104)の両長手軸に沿って延在するように配置される請求項3乃至6のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項8】
前記少なくとも1つのインピーダンス等化部材(112)は、前記絶縁性コンタクトキャリア(102)に一体化される請求項1乃至7のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【請求項9】
前記コンタクトキャリア(102)は、射出成形部品として作製され、
前記少なくとも1つのインピーダンス等化部材(112)は、前記コンタクトキャリア(102)に鋳込まれる請求項8に記載の電気コネクタ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのインピーダンス等化部材(112)は、前記コンタクトキャリア(102)を包囲するように取り付け可能な導電性シールドを固定するための少なくとも1つの弾性部材を有する請求項1乃至9のいずれか一項に記載の電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁性コンタクトキャリアと、インピーダンス等化部材を備える少なくとも1つの導電性コンタクト部材とを有する電気コネクタに関する。特に、本発明は、シールドの有無に拘らず規定のインピーダンス特性を有する電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電気コネクタは、極めて多種多様な電気部品及び電気構造体、例えば、印刷回路基板、同軸ケーブル、別体の回路部品、フレキシブル回路等を互いに接続することで知られている。一般に、かかるコネクタは、同一又は同類の部品間、例えば、2つの回路間だけでなく、同一ではない部品同士間、例えば、ケーブルと印刷回路基板との間に信号線や電力供給線を生成する。かかるプラグコネクタは、対応する用途に応じて多様な形状又はサイズで作製されている。かかるコネクタのコンタクト同士間の形状、サイズ、及び間隔も大きく異なる。個々のコンタクトの形状、サイズ、及び間隔と共に、そのインピーダンスも変化する。
【0003】
信号線は、一般的に直流電流を伝送せず、代わりに、信号線にパルス反射が生じないようにパルス電流又は交流電流のみを伝送するため、均一なインピーダンス、即ち、一定のインピーダンスが提供されることが保証されなければならない。これがいわゆる公称インピーダンスと呼ばれるものである。従って、特に関連するプラグコネクタ上の高速データ伝送に関連して、線同士を接続する際、一定のインピーダンスが維持されることも保証されなければならない。
【0004】
従って、1つ以上のコンタクト部材を使用する電気コネクタ内において所望の公称インピーダンスを調整するための様々なアプローチが知られている。このように、例えば、DE102009019626B3(ドイツ国特許第102009019626号明細書)では、コネクタのインピーダンスを調整するために、孔に受容される導電性インピーダンス補正ピンを配置することが提案されている。この孔は、複数のコンタクト部材に対して対称的に配置される。
【0005】
しかしながら、このように調整されたインピーダンスは、プラグコネクタが更にシールドに包囲されたままか否かに明らかに依存すると考えられる。例えば自動車におけるイーサネット接続などの様々な用途に関して、電磁散在(electromagnetic interspersions)に対するシールドが必要か否かは、設置条件に大きく依存する。原則として、コストの面から、遮蔽されていないプラグコネクタという変形が好ましく、シールドは特別な場合に代替的な手段としてのみ嵌合される。
【0006】
従って、インピーダンス値が電磁シールドの有無によって大きな影響を受けない規定のインピーダンスを有する電気コネクタが求められている。
【0007】
US6,749,444B2(米国特許第6,749,444号明細書)により、交換可能なインピーダンスチューナを有する電気コネクタが知られている。この調整部材は、誘電材料から作製され、更に、コンタクトと平行に配置されたインピーダンス調整金属板を有する。これらの金属板は、インピーダンスチューナに受容され、インピーダンスチューナから取り外すことができる。この誘電チューナもまた、他のインピーダンス値が望ましい場合に、プラグコネクタハウジングから丸ごと取り外して、異なるチューナと交換することができる。しかしながら、本発明とは異なり、US6,749,444B2に係るインピーダンスチューナは、コネクタを包囲する金属ケーシングによってコネクタに固定されている。即ち、調整されるインピーダンスは、金属シールドを有する装置に常に基づいている。
【0008】
従って、既知のプラグコネクタは、インピーダンスの調整に関して極めて柔軟であるが、作製するには比較的高価であり、シールドに加えて、インピーダンスチューナを交換可能に固定するという目的も有する金属シェルを必須に備えている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方、本発明が対処する課題は、簡単且つコスト効果の高い方法で作製することができる上述の種類の電気コネクタを提供することと、コネクタを包囲するシールド又は任意で設けられた接地板又はその他の金属ハウジングの存在に拘らず安定したインピーダンスに調整することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明の独立請求項の主題によって解決される。本発明に係る電気コネクタの有利な発展形態は、本発明の従属請求項において示される。
【0011】
本発明は、少なくとも1つのコンタクト部材が配置される領域の少なくとも一部においてコネクタのインピーダンスを調整するために、少なくとも1つのインピーダンス等化部材が、コンタクトキャリアと一体化するように、即ち、製造工程後にコンタクトキャリアに永久的に接続されるように、コンタクトキャリア上に設けられるという考えに基づく。インピーダンス等化部材は、特に、導電性の略平面構造を有し、前記少なくとも1つのコンタクト部材に対して、調整対象のインピーダンス値に依存する所定の間隔を置いて配置される。コンタクトキャリアに一体化される本発明に係るこのインピーダンス等化部材は、遮蔽されていないコネクタのインピーダンス挙動を支配する。ここで付加的なシールドが嵌合されると、このシールドは、コネクタのインピーダンスに対してある程度の影響を及ぼすが、この影響は小さく、信号特性は所要の制限範囲内に留まる。当然のことながら、ハウジングの形状によって、シールドがコンタクト部材に対して所与の最小の間隔を維持することが確保されることが保証されなければならない。
【0012】
特に簡単な方法では、本発明に係るインピーダンス等化部材は、金属板から作製することによって実現することができる。かかる金属板は、いわゆるスティッチ接続によって取外し不能な方法でハウジング内に導入又はコンタクトキャリアに接続されることもできる。幾つかの部品からなる、即ち、2つの部分からなるハウジングを作成すること、及び組立前に2つの部分の一方に金属板を挿入することも有利である。いずれにしても、インピーダンス等化部材は組立後に再び取り外されるようにはなっていない。
【0013】
コンタクト部材は、一般的に、第1の外部の電気部品、例えばケーブルを接続するための接続領域と、第2の外部の電気部品、例えば相手コネクタピンに接触するための接触領域とを有し、この接続領域と接触領域は、他の接続領域によって互いに接続されている。本発明によれば、インピーダンス等化部材は、接続領域と接触領域の両方に配置されてもよく、且つ両領域に同時に配置されてもよい。それにより、全ての重要な接続点におけるインピーダンスの安定化が達成される。
【0014】
特に有利な方法では、本発明は、コンタクト部材の接続領域に圧着コネクタが設けられた電気コネクタ用に使用することができる。
【0015】
或いは、印刷回路基板(PCB)に接触するための接続コネクタとして、プレスイン又は半田接続部及び特に屈曲構成が設けられてもよい。しかしながら、この位置には、その他の考え得る接続部、例えば、その他のプラグ接続部が設けられ、本発明に係る電気コネクタがアダプタを形成するようにしてもよい。
【0016】
以下では、大抵の場合、コンタクト部材がソケット部材であるという事実に対して具体的に言及する。しかしながら、当然のことながら、本発明に係るインピーダンス安定化は、ピンコンタクトに対しても行われることができる。
【0017】
インピーダンス等化部材の影響によるインピーダンス特性の本発明に係る優越性は、特に、インピーダンス等化部材がコンタクト部材の両長手軸に沿って略平行に延在することによって、確実に達成することができる。
【0018】
コンタクトキャリアに対するインピーダンス等化部材の永久的な接続に関しては、様々に考え得る有利な実施形態がある。一方では、インピーダンス等化部材は、絶縁性コンタクトキャリアに一体化されてもよく、したがって、例えば、射出成形作業において鋳込まれてもよい。この手順には、本機能に極めて重要なコンタクト部材とインピーダンス等化部材の間の間隔の調整が比較的小さな誤差で行われることができるという利点がある。或いは、コンタクトキャリアの外側面上のインピーダンス等化部材が、所謂スティッチ作業又はその他の任意の適切な接着剤による接着又はプレスイン法によってコンタクトキャリアに永久的に接続されるようにしてもよい。既に述べたように、数個の部品からなる、例えば2つの部分からなるハウジングを作製し、組立前に2つの部分の一方に金属板を挿入することも有利である。いずれにせよ、インピーダンス等化部材は、組立後に再び取り外されるようにはなっておらず、インピーダンス等化部材は、分離不能な方法でコンタクトキャリアに接続されることが好ましい。
【0019】
特にインピーダンス等化部材が金属板から製作される場合、インピーダンス等化部材は、電気コネクタに対して様々な付加的な機能を行うことができる。例えば、インピーダンス等化部材は、コンタクトキャリアを包囲するように任意で取り付けられる導電性シールドをコネクタに固定することができる少なくとも1つの弾性部材を有してもよい。その結果、コネクタを遮蔽することが意図されていても、更なる保持部材を嵌める必要がない。
【0020】
更に、インピーダンス等化部材は、印刷回路基板と共に締付接続部を形成するために、1つ以上の締付突出部を有してもよい。かかる所謂基板ロックを使用して、一般的に知られているように、リベット型固定具又はねじ型固定具に代わるものとして、プラグコネクタを印刷回路基板上に取付けて保持することができる。基板ロックに接続されるプラグコネクタが、構成対象の印刷回路基板上に押圧され、クランプは、係合するか、機械的張力を受ける。かかる締付接続部の保持力は、例えば半田作業時に、印刷回路基板上にプラグコネクタを保持するのに十分となるように選択することができる。内側がめっきされた組立孔の場合、基板ロックを半田付けすることによって、挿抜作業時にプラグコネクタのテンションリリーフを大幅に更に改善することもできる。
【0021】
更に、インピーダンス等化部材は、例えば、ケーブルのシールドに接触するために、圧着コネクタを備えてもよい。
【0022】
本発明に係る電気コネクタが導電性シールドを備える場合、有利な一実施形態によれば、少なくとも1つのインピーダンス等化部材は、既にこのシールドの一部を形成していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明をより良く理解するために、以下の図面に示された本発明の実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。同一の部品には同一の参照番号及び同一の記号を付す。更に、図示及び記述される実施形態からの幾つかの特徴又は特徴の組み合わせは、単独で独立した発明的な解決法を構成してもよいし、本発明に係る解決法を構成してもよい。
図1】第1の有利な実施形態に係る印刷回路基板上に搭載された電気コネクタの断面図である。
図2図1の装置の被覆されたエッジが見えるようにした側面図である。
図3図2の装置の他の断面図である。
図4図2のプラグコネクタの正面図である。
図5】第2の実施形態に係るプラグコネクタの平面図である。
図6図5の装置の第1の断面である。
図7図5の装置の第2の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図面を参照して本発明を以下に詳細に説明する。
【0025】
図1は、第1の有利な実施形態に係る印刷回路基板(PCB)114上に搭載された時の本発明に係る電気コネクタ100の断面図である。電気コネクタ100は、適切な絶縁性材料から作製されたコンタクトキャリア102を含む。本書に示す特定の実施形態では、電気コネクタ100は、例えば印刷回路基板と信号線の接続に使用される、二端子を屈曲したプラグコネクタである。この例では、図3及び図4を参照すると明らかになるように、ソケットコンタクトとして構成された2つのコンタクト部材104が設けられている。しかしながら、本発明に係る原理は、その他の接続構成にも適用することができる。
【0026】
コンタクト部材104の各々は、コンタクト部材104を印刷回路基板114に電気的に接続するための接続コネクタ122、例えば、半田接続部又はプレスインコネクタとの接続領域106を有する。接続領域110は、相手コネクタに接続されるように構成された実際の接触領域108に接続されている。図示の実施形態では、接触領域は、相手コネクタピンに電気的に接続可能なコンタクトソケットとして構成されている。
【0027】
コンタクト部材104は、係止アーム118によってコンタクトキャリア102の対応する係止開口120に固定される。更に、コンタクトキャリア102は、図示の実施形態では2つの部品として構成されており、接続領域106及び接触領域108が、別々に作製可能なコンタクトキャリア102の夫々の部分に位置するようにしている。
【0028】
本発明によれば、コンタクトキャリア102には、接続領域106と接触領域108の両方において、金属製のインピーダンス等化部材112が一体化されている。コンタクト部材104に対する長さ、幅、及び間隔d1又はd2は夫々、波抵抗の特定値、例えば、100Ω,50Ω,又は120Ωに調整されるように選択される。これらの間隔の程度は、10分の数ミリメートルの範囲内であり、波抵抗は、インピーダンス等化部材112がコンタクト部材104から離れて配置されるほど大きくなる。
【0029】
本発明に係るインピーダンス等化部材112の配置により、プラグコネクタ100のインピーダンス挙動は強く支配的に影響され、コンタクトキャリアを包囲する追加的なシールドが波抵抗全体の影響に及ぼす効果が弱くなる。図示の実施形態では、インピーダンス等化部材は、接続領域106と接触領域108の両方に設けられている。しかしながら、必ずしもそうしなければならない訳ではなく、正確に規定された形状のコンタクトソケット又は接続コネクタによって、インピーダンスの適当な調整が既に保証されている場合がある。
【0030】
図示の実施形態では、インピーダンス等化部材112は、いずれの場合も、金属製の打ち抜き部品/曲げ部品としてコンタクトキャリア102のプラスチック材料に鋳込まれる。この形態は、特に高精度に作製することができる形態であって、インピーダンス等化部材112が特に良好且つ安定的にコンタクトキャリア102に固定される形態を構成する。しかしながら、その他の、好ましくは取外し不能な接続の変形形態を用いることもでき、特にインピーダンス等化部材は、コンタクトキャリア102の外面上でプラスチック材料内へ押し込む又は締め付けることもでき、或いは、インピーダンス等化部材は、多部品複合ハウジングの内側に保持することができる。
【0031】
図2及び図4を同時に見ると分かるように、金属製のインピーダンス等化部材は、更なる機能を有することもできるので有利である。このように、例えば、接続領域106に位置するインピーダンス等化部材112上には、印刷回路基板114に対する締付接続部となる4つの基板ロック116が形成されている。既に述べたように、コネクタ100は、これによって印刷回路基板114に対して確実に固定されることができ、挿入作業のために、印刷回路基板114に接触するための接続コネクタ122上でのテンションリリーフシステムが保証される。接続コネクタ122が圧入コネクタとして構成される場合と半田接続の場合の両方において、このように、挿入作業によって印刷回路基板に対して電気コンタクトが損傷することを効果的に防止することができる。図示されていないが、各インピーダンス等化部材112は、圧着突起として機能する対応する突出部を有してもよい。
【0032】
更に、付加的な金属シールドを固定するロック突出部又は弾性突出部が形成されてもよい。この場合、インピーダンス等化部材は、導電的にシールドに接続されているために、シールドの一部を形成し、プラグコネクタを再び印刷回路基板から取り外すことなく、遡及的に追加することを意図する場合に印刷回路基板からの遮蔽を大幅に高めることもできる。
【0033】
図3及び図4に見られるように、インピーダンス等化部材112は、本発明によればコンタクト部材104と平行に配置され、インピーダンスが2つのコンタクト部材104の互いに対する所与の間隔に関して所定の値に調整されるように選択された、コンタクト部材104に対して明確に規定された間隔を有する。
【0034】
用途によっては、コンタクトキャリア102を少なくとも部分的に包囲する導電性シールドをコネクタ100に嵌合することが必要となる場合がある。インピーダンスは、やはりかかるシールドの影響を受けるが、金属製のインピーダンス等化部材112の影響は優越的な効果を生じ、それにより、信号の品質に対して問題が生じず、信号の品位は必要限度以内に留まる。尚、シールドは、インピーダンス等化部材112の影響が実際に優勢的な効果のまま留まるように、コンタクト部材に対して所与の最小間隔を有していなければならない。
【0035】
本発明に係るコネクタ100の他の有利な実施形態を図5乃至図7に示す。ここでの大きな違いは、インピーダンス等化部材112の寸法に関係する。即ち、接続領域106では、第1のインピーダンス等化部材112aは第1の実施形態よりも長いが、接触領域に配置されたインピーダンス等化部材112bは第1の実施形態よりも短い。更に、この実施形態におけるコンタクトキャリア102は、実質的に単体であり、インピーダンスを等化し、印刷回路基板114に対して屈曲した圧入コネクタを被覆するために設けられたカバーキャップ124のみを有する。
【0036】
以上、本発明に係る原則を、2つのプラグコンタクトを備えるイーサネット接続部を例に説明してきた。しかしながら、かかるインピーダンス等化部材は、単極型プラグコネクタ又は3つ以上のコンタクトを備えるコネクタ用に作製することもできる。複数のコンタクトの全体に対して連続的な金属面を設けることができ、或いは、別々のインピーダンス等化部材が夫々の場合において既定のコンタクト群に関わるようにしてもよい。
【0037】
本発明に係るインピーダンス等化部材は、調整されたインピーダンスに対する安定化効果を有し、所定の誤差の範囲内において、導電性シールドが更にプラグコネクタ100上に設けられているか否かによって信号品質に違いが生じないようにすることが重要である。更に、ピッチ及び空間的形状に対する遮蔽型及び非遮蔽型に関して、正確に同一のコネクタを使用することができ、特に自動車部門において時間とコストの節約になる。
【符号の説明】
【0038】
100 電気コネクタ
102 コンタクトキャリア
104 コンタクト部材、コンタクトソケット
106 コンタクトソケットの接続領域
108 コンタクトソケットの接触領域
110 接続領域
112 インピーダンス等化部材
114 印刷回路基板
116 基板ロック
118 係止アーム
120 係止開口
122 接続コネクタ
124 カバーフラップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7