【実施例】
【0044】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
[油脂の比較]
[実施例1]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、融点約38℃、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、中鎖脂肪酸グリセリンエステル(以下、「MCT」と略記する。日清オイリオグループ社製、ODO(品名))95.0gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品1)。
【0045】
[実施例2]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、精製パーム核油200g(不二製油製、融点約25℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品2)。
【0046】
[実施例3]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、精製ヤシ油200g(日清オイリオグループ社製、融点約25℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品3)。
【0047】
[実施例4]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、硬化ヤシ油200g(日清オイリオグループ社製、融点約31℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品4)。
【0048】
[比較例1]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、精製パーム油200g(日清オイリオグループ社製、デリカプレミアム(品名)、融点約38℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品1)。
【0049】
[比較例2]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、大豆硬化油200g(日清オイリオグループ社製、大豆硬化油34(品名)、融点約30℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品2)。
【0050】
[比較例3]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、菜種硬化油200g(日清オイリオグループ社製、菜種硬化油34(品名)、融点約33℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品3)。
【0051】
[比較例4]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、MCT200gを使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品4)。
【0052】
[比較例5]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、市販無塩バター200gを使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品5)。
【0053】
【表1】
【0054】
(官能評価)
市販牛乳20%水溶液および市販ミルク入りコーヒー20%水溶液に発明品1〜4および比較品1〜5をそれぞれ0.1%添加し、121℃、20分のレトルト殺菌を行い、常温で1週間静置後、その香味について、5名の良く訓練されたパネリストによる官能評価を行った。結果を表2、表3に示した。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
表2、3の結果から明らかなように、牛乳20%水溶液、ミルク入りコーヒー20%水溶液のいずれの場合でも、発明品1〜4は乳脂感、コクの増加が認められた。特に発明品1は特にその効果が顕著に認められた。
一方、比較品1〜5はいずれも乳脂感、コクの増加は感じられなかった。また、比較品1では牛乳とは異なる風味が感じられた。
以上の結果から、油脂のうち、ヤシ・パーム混合加工油脂、精製パーム核油、精製ヤシ油、硬化ヤシ油は、使用した乳化組成物を乳含有製品に添加することにより、乳脂感、コクを増加することができることが確認された。特にヤシ・パーム混合加工油脂はその効果が顕著であった。
【0058】
[乳化剤の検討]
[実施例5]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品5)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は478nmであった。
【0059】
[実施例6]
キラヤサポニン(丸善製薬社製、キラヤニンC−100(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品6)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は325nmであった。
【0060】
[実施例7]
ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製、リョートーシュガーエステルP−1570(品名))10g、エタノール50g、グリセリン580gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品7)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は368nmであった。
【0061】
[実施例8]
ポリソルベート80(花王製、エマゾールO−120V(品名))を150g、
エタノール150g、D−ソルビトール400gを混合、溶解し水相部とした。
また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部に油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品8)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は563nmであった。
【0062】
[比較例6]
アラビアガム30%水溶液500g、グリセリン200gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品6)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は1217nmであった。
【0063】
(平均粒子径の測定)
実施例5〜8および比較例6の乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径の測定は、大塚電子社製 レーザーゼータ電位計ELS−8000(品名)を用いて行った。
【0064】
(保存後の乳化組成物の状態)
表4に示すように発明品5〜8の乳化組成物は、調製直後および室温3ヶ月保存後も分離、凝集・合一はなく非常に安定で良好な乳化組成物であった。一方、比較品6は、調製直後は凝集・合一はなかったが、室温2週間保存で乳化粒子の凝集・合一が見られ、不安定な乳化組成物であることが確認された。
また、発明品5〜8を牛乳20%水溶液に0.1%添加混合し、121℃、20分殺菌後(レトルト殺菌)、常温で1週間静置後、10名のパネリストによる官能評価を行ったところ、いずれも良好な乳脂感を付与することを確認した。
【0065】
【表4】
【0066】
[平均粒子径の検討]
[実施例9]
撹拌時間を15分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が151nmの乳化組成物1000gを得た(発明品9)。
【0067】
[実施例10]
撹拌時間を12分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が約250nmの乳化組成物1000gを得た(発明品10)。
【0068】
[実施例11]
実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が495nmの乳化組成物1000gを得た(発明品11)。
【0069】
[実施例12]
撹拌時間を5分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が755nmの乳化組成物1000gを得た(発明品12)。
【0070】
[比較例7]
撹拌時間を20分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が103nmの乳化組成物1000gを得た(比較品7)。
【0071】
[比較例8]
撹拌時間を2分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径997nmの乳化組成物1000gを得た(比較品8)。
【0072】
(官能評価)
発明品9〜12および比較品7および8を牛乳20%水溶液に0.1%添加混合し、121℃、20分殺菌後(レトルト殺菌)、常温で1週間静置後、その香味について、5名の良く訓練されたパネリストによる官能評価を行った。結果を表5に示した。
【0073】
【表5】
【0074】
表5の結果から明らかなように、発明品9〜12は乳脂感、コクの増加が認められた。特に発明品10〜12は特にその効果が顕著に認められた。
一方、比較品7、8はいずれも乳脂感、コクの増加は感じられなかった。
以上の結果から、乳化粒子の平均粒子径が151〜755nmの本発明品を乳含有製品に添加することにより、乳脂感、コクを増加することができることが確認された。特に乳化粒子の平均粒子径が250〜755nmの本発明品はその効果が顕著であった。
【0075】
[香料化合物の効果の検討]
[実施例13]
表6に示す香料処方に従い、香料組成物MF−1〜MF−12を調製した。
【0076】
【表6】
【0077】
次に、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび香料組成物MF−1、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品13)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は488nmであった。
【0078】
[実施例14〜24]
香料組成物MF−1、20gに代えてMF−2〜12をそれぞれ20g用いる以外は、実施例13と同様の手順に従い、発明品14〜24の乳化組成物1000gを得た。それらの乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は順に485nm、488nm、486nm、486nm、485nm、488nm、485nm、487nm、486nm、486nm、485nmであった。
【0079】
[比較例9]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、MCT275g、市販ビタミンE5gおよび香料組成物MF−11、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品9)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は486nmであった。
【0080】
[比較例10]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、MCT275g、市販ビタミンE5gおよび香料組成物MF−12、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品10)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は488nmであった。
【0081】
(官能評価)
市販牛乳20%水溶液および市販ミルク入りコーヒー20%水溶液に発明品13〜24、発明品11および比較品9、10をそれぞれ0.1%添加し、121℃、20分のレトルト殺菌を行い、常温で1週間静置後、その香味について、5名の良く訓練されたパネリストによる官能評価を行った。結果を表7に示した。
【0082】
[表7]
【0083】
表7に示したように、香料化合物が無添加である発明品11は乳脂感、コクの増加が顕著であり、牛乳20%水溶液より明らかに濃く感じられたが、発明品13は、発明品11に比べ、さらにミルクの香味がくっきりとしていた。また、発明品14〜24はさらに新鮮なミルクの香味が付与されており、好ましいと判断された。中でも、発明品23および24は、新鮮なミルクの香味が顕著に付与・増強されており、非常に評価が高かった。
一方、香料化合物は添加したものの、使用した油脂はMCTのみの比較品9および10は若干の香味変化あるも乳脂感、コクの増加はなかった。
【0084】
[脂肪酸の効果の検討]
[実施例25]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT65g、酪酸10gおよび香料組成物MF−12、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品25)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は483nmであった。
【0085】
[実施例26]
酪酸10gに代えて、ヘキサン酸10gを使用するほかは実施例25と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品26)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は485nmであった。
【0086】
[実施例27]
酪酸10gに代えて、ラウリン酸10gを使用するほかは実施例25と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品27)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は487nmであった。
【0087】
[実施例28]
酪酸10gに代えて、ステアリン酸10gを使用するほかは実施例25と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品28)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は490nmであった。
【0088】
[実施例29]
酪酸10gに代えて、オレイン酸10gを使用するほかは実施例25と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品29)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は488nmであった。
【0089】
(官能評価)
市販牛乳20%水溶液に発明品25〜29、発明品24および11、比較品4をそれぞれ0.1%添加し、121℃、20分のレトルト殺菌を行い、常温で1週間静置後、その香味について、8名の良く訓練されたパネリストによる官能評価を行った。結果を表8に示した。
【0090】
[表8]
【0091】
表8の結果から明らかなように、脂肪酸、香料化合物が無添加である発明品11は乳脂感、コクの増加が顕著であり、牛乳20%水溶液より明らかに濃く感じられたが、脂肪酸は無添加であるが香料化合物を添加した発明品24は、発明品11に比べ、さらにミルクの香味がくっきりとしていた。また、脂肪酸と香料化合物を添加した発明品25〜29はさらに乳脂感、コクが増強されており、好ましいと判断された。
一方、脂肪酸、香料化合物が無添加であり、使用した油脂はMCTのみの比較品4は乳脂感、コクの増加はなかった。
【0092】
[ミルク向け呈味コロイドの調製および効果の確認]
[実施例30]
表9に示す処方に従い、ミルク向け調合香料を調製した。
【0093】
【表9】
【0094】
次に、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記ミルク向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品30)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は490nmであった。
【0095】
[実施例31]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品31)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は492nmであった。
【0096】
[比較品11]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、菜種硬化油(日清オイリオグループ社製、菜種硬化油34(品名)、融点約33℃)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記ミルク向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品11)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は495nmであった。
【0097】
(官能評価)
表10のラクトアイス処方に従ってラクトアイスを1kg×3(個)調製し、ステンレス製ボウルに入れ、これらに発明品30、発明品31、比較品11の乳化組成物をそれぞれ0.1%添加し、ハンドミキサーを用いて十分、混合・溶解した。これらを2時間冷蔵庫内に保存後、市販のアイスクリーマーのポットに素早く移し、20分間撹拌を行った。得られた撹拌物を約200mlずつ紙製カップに入れ、フリーザーに一晩保管し、一晩保存し、アイスクリームを調製した。
さらに乳化組成物を添加しない無添加品(参考品1)を同様の手順で調製した。
その後、調製した各アイスクリームの香味について、8名の良く訓練されたパネリストにより官能評価を行った。結果を表11に示した。
【0098】
【表10】
【0099】
【表11】
【0100】
表11の結果から明らかなように、本発明の乳化組成物を添加した発明品30、31は乳脂感、コクが付与されており、特にミルク向け調合香料を添加した発明品30はミルクの香味がくっきりとしていた。
一方、本発明の乳化組成物とは異なる乳化組成物を添加した比較品11は乳脂感、コクが付与されておらず、乳化組成物を添加していない参考品1は、乳脂感が非常に弱く、ミルクの風味は全く感じられなかった。
【0101】
(チーズ向け呈味コロイドの調製および効果の確認)
[実施例32]
表12に示す処方に従ってチーズ向け調合香料を調製した。
【0102】
【表12】
【0103】
次に、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記チーズ向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品32)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は493nmであった。
【0104】
[実施例33]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品33)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は492nmであった。
【0105】
[比較品12]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、菜種硬化油(日清オイリオグループ社製、菜種硬化油34(品名)、融点約33℃)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記チーズ向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品12)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は497nmであった。
【0106】
(官能評価)
市販のクリームチーズ(フィラデルフィアクリームチーズ、森永乳業社製)100g、カッテージチーズ(雪印北海道100 カッテージチーズ うらごしタイプ、雪印乳業社製)100gおよびグラニュー糖10gを混合後、十分に混練し、チーズスプレッド(参考品2)とした。このチーズスプレッドに発明品32および33、比較品11を0.1%添加し、参考品2とともにその風味について、5名の良く訓練されたパネリストにより官能評価した。結果を表13に示した。
【0107】
【表13】
【0108】
表13の結果から明らかなように、本発明の乳化組成物を添加した発明品32、33は乳脂感、コクが付与されており、特にチーズ向け調合香料を添加した発明品32はチーズの香味がアップしていた。
一方、本発明の乳化組成物とは異なる乳化組成物を添加した比較品12はチーズ特有の乳脂感、コクが付与されておらず、乳化組成物とチーズ向け調合香料を添加していない参考品2は、濃厚感が弱かった。
【0109】
(バター向け呈味コロイドの調製および効果の確認)
[実施例34]
表14に示す処方に従ってバター向け調合香料を調製した。
【0110】
【表14】
【0111】
次に、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記バター向け調合香料、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品34)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は493nmであった。
【0112】
[実施例35]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品35)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は492nmであった。
【0113】
[比較品13]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、菜種硬化油34(日清オイリオグループ社製、菜種硬化油34(品名)、融点約33℃)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記バター向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品13)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は497nmであった。
【0114】
(官能評価)
市販のマーガリン(ネオソフトハーフ・コレステロールゼロ雪印メグミルク:参考品3)を用意し、これに発明品34および35、比較品13を0.15%添加し、参考品3とともにその風味について、5名の良く訓練されたパネリストにより官能評価した。結果を表15に示した。
【0115】
【表15】
【0116】
表15から明らかなように、本発明の乳化組成物を添加した発明品34、35はバターの香気、バターの濃厚感が付与されており、特にバター向け調合香料を添加した発明品34ははっきりしたバターの香気が付与されていた。
一方、本発明の乳化組成物とは異なる乳化組成物を添加した比較品13はバターの濃厚感が付与されておらず、乳化組成物とバター向け調合香料を添加していない参考品3は、バターの香気、バターの濃厚感はほとんど感じられなかった。