特許第6304840号(P6304840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6304840乳風味付与用水中油型乳化組成物、および飲食品に乳風味を付与する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304840
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】乳風味付与用水中油型乳化組成物、および飲食品に乳風味を付与する方法
(51)【国際特許分類】
   A23D 7/00 20060101AFI20180326BHJP
   A23L 27/20 20160101ALI20180326BHJP
   A23F 5/24 20060101ALN20180326BHJP
   A23C 9/156 20060101ALN20180326BHJP
   A23C 19/076 20060101ALN20180326BHJP
【FI】
   A23D7/00 504
   A23L27/20 A
   !A23F5/24
   !A23C9/156
   !A23C19/076
【請求項の数】8
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-195694(P2016-195694)
(22)【出願日】2016年10月3日
(62)【分割の表示】特願2013-238629(P2013-238629)の分割
【原出願日】2013年11月19日
(65)【公開番号】特開2017-29163(P2017-29163A)
(43)【公開日】2017年2月9日
【審査請求日】2016年10月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000214537
【氏名又は名称】長谷川香料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 茶絵
(72)【発明者】
【氏名】高久 寛康
(72)【発明者】
【氏名】川口 賢二
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 麻紀子
【審査官】 田中 耕一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−099295(JP,A)
【文献】 特開2011−041512(JP,A)
【文献】 特開2008−212100(JP,A)
【文献】 特開2010−158210(JP,A)
【文献】 特開2005−015685(JP,A)
【文献】 特開2011−083234(JP,A)
【文献】 特開2015−097495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00
DWPI(Thomson Innovation)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(A)〜(D)成分を含み、油相部を形成する乳化粒子の平均粒子径が、150〜800nmであって、(A)成分を5〜25質量%、(B)成分を5〜20質量%、(C)成分を0.1〜10質量%、(D)成分を30〜80質量%含み、飲食品の全体質量に対して0.005〜0.5%の割合で配合される、乳風味付与用水中油型乳化組成物。
(A)ヤシ・パーム混合加工油脂
(B)中鎖脂肪酸トリグリセリド、
(C)乳化剤、
(D)水および/または多価アルコ−ル。
【請求項2】
(C)乳化剤が、グリセリン脂肪酸エステル、キラヤサポニン、ショ糖脂肪酸エステル、およびポリソルベ−トから選択される1種または2種以上である請求項に記載の乳風味付与用水中油型乳化組成物。
【請求項3】
香料をさらに含む請求項1または2に記載の乳風味付与用水中油型乳化組成物。
【請求項4】
香料が、12−メチルトリデカナール、δ−ヘキサラクトン、δ−オクタラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトンおよびγ−ドデカラクトンから選択される1種または2種以上である請求項に記載の乳風味付与用水中油型乳化組成物。
【請求項5】
C4〜C18の脂肪酸をさらに含む請求項1〜のいずれか1項に記載の乳風味付与用水中油型乳化組成物。
【請求項6】
C4〜C18の脂肪酸が、酪酸、ヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸から選択される1種または2種以上である請求項に記載の乳風味付与用水中油型乳化組成物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載の乳風味付与用水中油型乳化組成物が添加された飲食品。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載の乳風味付与用水中油型乳化組成物を飲食品に添加することを特徴とする、飲食品に乳風味を付与する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳風味付与用水中油型乳化組成物、および飲食品に乳風味を付与する方法に関する。さらに詳しくは、ミルク入りのコ−ヒ−、紅茶、ココアなど、乳原料を配合する飲食品の乳風味(ミルク風味)を増強し、乳原料の代替製品として使用することができる乳風味付与用水中油型乳化組成物、および飲食品に乳風味を付与する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コ−ヒ−や紅茶は、世界中の多くの国で飲用されており、人々にとって非常になじみの深い嗜好飲料である。日本では、特にコ−ヒ−は巨大な飲料市場を形成しており、抽出されたコ−ヒ−に何も添加していない「ブラックタイプ(無糖)」をはじめとして、「レギュラ−タイプ」、「微糖タイプ」、「カフェオレタイプ」など、甘味料(グラニュー糖、白砂糖など)や乳原料などを種々の割合で添加したコ−ヒ−が、缶、紙パック、ペットボトル、瓶等の各種容器に詰められて、多種多様な形態の製品として製造・販売されている。それらの中でも、乳原料を添加したミルク風味のコ−ヒ−に対する需要は非常に高い。
【0003】
コ−ヒ−や紅茶などに添加される乳原料としては、牛乳のほか、粉乳(全脂粉乳、脱脂粉乳)、練乳、クリ−ムなどがある。これらの乳原料のうち、牛乳は水分が約90%を占めることから変質しやすく、輸送や保管に細心の注意が必要となる。それに対し、粉乳は保存性に優れるため、輸送や保管は容易であるが、ミルク本来の風味とは異なる風味を呈する。牛乳を濃縮した粘状の液体物である練乳は調達コストが比較的安くて保存性も高く、粉乳にはない滑らかな組織を有するが、芳醇な特有の風味があることから、以前ほど使用されなくなっている。クリ−ムは、コ−ヒ−に、コク味やまろやかさを付与して風味を向上させるが、天然クリ−ムは調達コストが高く、品質の保持が困難であるため、現在では植物性油脂を利用した合成クリ−ムが主流となっている。
【0004】
しかしながら、これらの乳原料は、その比率が高まるほど「コーヒーらしさ」から離れる傾向があり、かつ、脂肪分の分離を招くことが多くなる。加えて、これらの乳原料は製品出荷以降の温度変化や時間の経過によって固化して、浮遊、分離することがあるため、乳原料を多く含むコーヒー飲料を飲む場合には、よく振ってから飲むことが必要とされる。なお、製品に乳固形分を3%以上含むもの(カフェ・オ・レ、カフェ・ラッテ、コ−ヒ−牛乳など)は「乳および乳原料の成分規格等に関する省令(乳等省令)」に基づき「乳飲料」に分類されている。
【0005】
また、従来、乳原料を含有したコーヒー飲料を製造する際に、コーヒー抽出液に乳原料を添加し、加熱殺菌すると、乳原料の凝集物や沈澱物が発生したり、本来コ−ヒ−のもつフレッシュな香りが損なわれて、好ましくない臭いが発生したりするという問題があった。
【0006】
さらに、乳原料は加温販売時の熱によって酸化され、経時によって劣化が進むと特有の臭気を発するため、これを避けるためにビタミンE等の酸化防止剤が添加されるが、それでも加温による風味の寿命は1〜2週間程度(通常の賞味期限は製造日から1年程度)であった。
【0007】
その他、最近の健康志向の高まりから、カロリ−の高い乳原料の摂取を極力控えたいという需要者の増加傾向が認められる。しかしながら、他方ではミルク風味を十分に楽しみたいという要望もある。そのため、摂取カロリ−をできるだけ少なくしつつ、ミルク風味を十分に味わうことができるコーヒー飲料が市場で求められている。
【0008】
こうした状況を受け、乳原料の添加量を少なくしても、その分失われた乳風味を補うことができるように、飲食品の乳風味を強化する技術開発が進められており、現在まで多数報告されている。それらの報告のうち、いくつかについて以下に列挙する。
例えば、コーヒー抽出液や紅茶抽出液に乳化物を混合させても、油脂分の浮上分離やタンパクの沈澱を抑制することができ、乳風味豊かなミルク入りコーヒー飲料またはミルク入り紅茶飲料とすることが可能となる濃縮乳タイプ乳化物として、炭素数が8〜10である中鎖脂肪酸のみからなる中鎖脂肪酸油脂を5〜30質量%含有し、かつ生クリ−ムからバタ−を製造する際の副産物であるバタ−ミルク中の乳固形分を5〜30質量%含有することを特徴とする濃縮乳タイプ乳化物が報告されている(特許文献1)。
【0009】
また、コーヒー、紅茶等の飲食物のミルク風味を増強させる方法として、固形分あたりの糖組成が、5糖類以上が40重量%以上であり、7糖類以上が35重量%以下である低糖化還元水飴を飲食物に添加する方法が報告されている(特許文献2)。
【0010】
また、良好な乳風味とコク味を有するホイップクリ−ムとして用いることができる起泡性水中油型乳化組成物として、油脂を含有する油相と、高甘味度甘味料と乳清ミネラルを含有する水相とを混合し、乳化することにより得られる起泡性水中油型乳化組成物が報告されている(特許文献3)。
【0011】
また、バタ−やチ−ズ等の乳原料の風味、コク味の賦与または増強するために、12−メチルトリデカナ−ルを1ppt〜100ppmの濃度で含有させ、乳脂肪感、ボディ−感、コク味などを増強することが報告されている(特許文献4)。
【0012】
また、少量の乳成分しか含有しない飲食品に乳感と乳由来の香気や呈味といった乳風味を付与する方法、あるいは乳含有製品の乳風味をさらに向上する方法として、玄米あるいは催芽処理させた玄米を粉砕処理して得られる粉末を乳原料を含有する飲食品に添加し、加熱することにより、乳の香気が引き立ち、更に乳特有の生臭みが軽減され、乳特有の乳感や呈味も改良され、乳風味全体が向上した飲食品を得ることが報告されている(特許文献5)。
【0013】
また、乳原料特有の甘いクリ−ミ−な香味を付与することができる乳風味賦与乃至増強剤として、(Z)−6−オクテナ−ルを有効成分として含有することを特徴とする乳風味賦与乃至増強剤が報告されている(特許文献6)。
【0014】
また、食品中に乳味成分が少量存在するだけでも、充分な乳風味、コク味を得ることのできる、乳風味増強材の製造法として、コ−ン粉末と油脂を、水の沸点より低い温度で接触処理することを特徴とする乳風味増強材の製造法が報告されている(特許文献7)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−212100号公報
【特許文献2】特開2008−259447号公報
【特許文献3】特開2011−101637号公報
【特許文献4】特開2010−158210号公報
【特許文献5】特開2005−21047号公報
【特許文献6】特開2003−189号公報
【特許文献7】特開2000−4822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、乳風味を増強するための従来技術は、コ−ヒ−や紅茶等の飲料の風味を損なう場合があり、自然な乳脂感、ミルク感、コクを付与するものではなかった。また、水系飲食品にそのまま直接使用することができる乳化香料タイプの乳風味付与用乳化組成物を提供するものはほとんどなかった。
【0017】
こうした状況に鑑み、本発明が解決せんとする課題は、飲食品本来の風味を損なうことなく、乳脂感、生乳のようなフレッシュなミルク感、および濃厚感のあるコクを増強、付与することができる乳風味付与用水中油型乳化組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記課題を解決するために、まず、牛乳の脂肪酸組成を参考にして各種植物油脂を選び出し、該植物油脂をそれぞれ含有する各種乳化物を調製した。そして、牛乳の水溶液に対し、上記調製した各種乳化物を配合して乳風味の評価を重ねた結果、乳脂感を増強する食用油脂としてラウリン酸系油脂が好適であることを見出した。この知見をもとにして、さらに、乳化香料を構成するラウリン酸系油脂以外の成分、各成分の配合量、乳化粒子の平均粒子径等について種々の検討を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち、本発明は、
以下の(A)〜(D)成分を含み、油相部を形成する乳化粒子の平均粒子径が、150〜800nmである乳風味付与用水中油型乳化組成物である。
(A)ラウリン酸系油脂、
(B)中鎖脂肪酸トリグリセリド、
(C)乳化剤、
(D)水性溶剤。
【0020】
また、本発明は、乳風味付与用水中油型乳化組成物を飲食品に添加することを特徴とする、飲食品に乳風味を付与する方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、乳成分を含有する飲食品に添加することで、該飲食品本来の風味を損なうことなく、該飲食品の乳脂感、ミルク感、コクを増強することができる。また、乳成分を含有しない飲食品に添加しても、該飲食品本来の風味を損なうことなく、該飲食品に乳脂感、ミルク感、コクを付与することができる。 従来使用されていた乳原料に代わって、低カロリ−で安価な乳風味付与材料として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の乳風味付与用水中油型乳化組成物(以下、「乳化組成物」と略記する。)は、中鎖脂肪酸トリグリセリドや乳化剤を使用して、ラウリン酸系油脂を微粒子状態に乳化し、水性溶剤に分散するように加工されたものである。以下、詳細に説明する。
【0023】
(A)成分であるラウリン酸系油脂は、本発明の乳化組成物において油相部を形成するベースとなる成分であり、本発明の乳化組成物に乳脂感、コクを付与し、かつ、良好な乳化安定性を可能にする成分である。本発明において、ラウリン酸系油脂とは、油脂の全構成脂肪酸中にラウリン酸を35%以上含む油脂の意味であり、特にはラウリン酸を35〜55%含み、かつ、パルミチン酸を4〜13%含む油脂が好適に使用される。ラウリン酸系油脂としては、ヤシ油、パ−ム核油、高ラウリン菜種油、またはその硬化(水添)、分別、エステル交換を実施した油脂が例示され、これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。具体的には、精製ヤシ油、精製パ−ム核油、硬化ヤシ油、およびヤシ・パーム混合加工油脂から選択される1種または2種以上を用いることが好ましい。
【0024】
ラウリン酸系油脂単独ではなく、ラウリン酸系油脂を主成分とする食用油脂混合物も(A)成分として用いることができる。この混合物において、ラウリン酸系油脂以外の食用油脂としては、パ−ム油、菜種油、大豆油、綿実油、サフラワ−油、コ−ン油、米油、ラ−ド、牛脂、魚油等の動植物油脂、乳脂肪等が例示され、これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。なお、ラウリン酸系油脂とラウリン酸系油脂以外の食用油脂との混合物を用いる場合は、十分な乳風味付与が確実に行われるようにするため、通常、該混合物中のラウリン酸系油脂の含量を50質量%以上にすることが望ましい。
【0025】
(A)成分であるラウリン酸系油脂は、通常、本発明の乳化組成物中に5〜25質量%、好ましくは、10〜20質量%配合させる。5質量%未満であると、乳脂感、コクを十分に付与することができず、25質量%を超えると油脂の呈味が強くなりすぎるおそれがある。
【0026】
(B)成分である中鎖脂肪酸トリグリセリド(Medium Chain Triglycerides:MCT)は、(A)成分であるラウリン酸系油脂を溶解して油相部を形成し、乳化を安定化する役割を果たす。本発明において、中鎖脂肪酸トリグリセリドとは、炭素数8、10の直鎖型飽和脂肪酸(すなわち、それぞれ、カプリル酸、カプリン酸)で構成されたトリグリセリドを意味する。
【0027】
炭素数8の直鎖型飽和脂肪酸と炭素数10の直鎖型飽和脂肪酸の構成比率は、特に限定されるものでない。例えば、炭素数8の脂肪酸を約75質量%、炭素数10の脂肪酸を約25質量%含有しているトリグリセリドが例示され、このようなトリグリセリドは市販されている(例えば、「O.D.O」(品名)、「スコレー64G」(品名)、「スコレーMC」(品名)、いずれも日清オイリオグル−プ社製)。中鎖脂肪酸トリグリセリドは、このように市販されているもののほか、炭素数8、10の中鎖脂肪酸とグリセリンとの使用比率を適宜調整して常法によりエステル化反応に付することによって得ることができる。
【0028】
(B)成分である中鎖脂肪酸トリグリセリドは、通常、本発明の乳化組成物の全質量に対し、5〜20質量%、好ましくは、6〜15質量%配合させる。5質量%未満であると、ラウリン酸系油脂の溶解が不十分となり乳化安定性に支障をきたし、一方、20質量%を超えると、乳風味を十分に付与できない場合が生じる。
【0029】
(C)成分である乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、キラヤサポニン、ショ糖脂肪酸エステル、およびポリソルベ−トから選択される1種または2種以上を用いることが好ましい。グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等であって、脂肪酸部分はパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アラキジン酸、ベヘン酸であるものが例示される。ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えば、脂肪酸部分がパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸であるものが例示される。これらの乳化剤は単独で、あるいは、数種類を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
(C)成分である乳化剤は、本発明の乳化組成物の全質量に対し、0.1〜10質量%、好ましくは、2〜7質量%配合させる。0.1質量%未満であると、十分に乳化が行われず、一方、10質量%を超えると、乳化剤に起因する好ましくない風味が発生してしまうおそれがある。
【0031】
(D)成分である水および/または多価アルコ−ルは、前記乳化剤等の水溶性成分を溶解して水相部を形成する。多価アルコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、1,3−ブチレングリコ−ル、1,4−ブチレングリコ−ル、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロ−ルプロパン等が例示され、中でもグリセリン、1,3−ブチレングリコ−ルが好ましい。また、水および/または多価アルコ−ルには、液糖や低級アルコ−ルを配合することもできる。液糖としては、ショ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、転化型液糖、低級アルコ−ルとしては、エタノールが例示される。
【0032】
(D)成分である水および/または多価アルコ−ルは、本発明の乳化組成物の全質量に対し、通常、30〜80質量%配合される。30質量%未満であると、乳化粒子が破壊されやすくなるため、乳化組成物が不安定になる場合がある。一方、80質量%を超えると、十分な乳風味が付与されない場合がある。
【0033】
本発明の乳化組成物には前述した(A)〜(D)成分に加えて、香料成分として、各種の合成香料、天然香料、天然精油、植物エキスなどを配合することができる。例えば、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料、P88−131、平成12年1月14日発行」に記載されている天然精油、天然香料、合成香料を挙げることができる。
【0034】
例えば、δ−カプロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−オクタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、7−デセン−4−オリド、3−メチル−4−デセン−4−オリド、3−メチル−5−デセン−4−オリド、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトン、γ−トリデカラクトン、γ−テトラデカラクトン、2−ヘキセン−5−オリド、2−ヘプテン−5−オリド、δ−オクタラクトン、2−オクテン−5−オリド、4−メチル−5−オクタノリド、δ−ノナラクトン、2−ノネン−5−オリド、4−メチル−5−ノナノリド、δ−デカラクトン、2−デセン−5−オリド、4−メチル−5−デカノリド、δ−ウンデカラクトン、2−ウンデセン−5−オリド、4−メチル−5−ウンデカノリド、δ−ドデカラクトン、2−ドデセン−5−オリド、4−メチル−5−ドデカノリド、δ−トリデカラクトン、2−トリデセン−5−オリド、4−メチル−5−トリデカノリド、δ−テトラデカラクトン、2−テトラデセン−5−オリド、2−ペンタデセン−5−オリド、2−ヘキサデセン−5−オリド、2−ヘプタデセン−5−オリド、2−オクタデセン−5−オリド、2−ノナデセン−5−オリド、2−エイコセン−5−オリド、ε−デカラクトン等のラクトン類;プロピオン酸、酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、トランス−2−ヘキセン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ノナン酸、5−ヒドロキシノナン酸、カプリン酸、2−デセン酸、4−デセン酸、5−デセン酸、6−デセン酸、9−デセン酸、5−ヒドロキシデセン酸、5−ヒドロキシウンデカン酸、ラウリン酸、5−ヒドロキシドデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、イソペンタデカン酸、パルミチン酸、ヘプタデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノ−ル酸、リノレン酸等の脂肪酸類;trans−2−オクテナ−ル、trans−2−ノネナ−ル、アセトアルデヒド、プロパナ−ル、ブタナ−ル、2−ブテナ−ル、ヘキサナ−ル、オクタナ−ル、4−ヘプテナ−ル、2,4−オクタジエナ−ル、ノナナ−ル、2−ノネナ−ル、2,4−ノナジエナ−ル、2,6−ノナジエナ−ル、デカナ−ル、2,4−デカジエナ−ル、12−メチルトリデカナ−ル、ウンデカナ−ル、2,4−ウンデカジエナ−ル、ドデカナ−ル、ベンズアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、フルフラ−ル、ヘリオトロピンジエチルアセタ−ル等のアルデヒド類;蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソアミル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸フェネチル、乳酸エチル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、3−エチル酪酸エチル、吉草酸メチル、カプロン酸メチル、カプロン酸エチル、ヘプタン酸メチル、ヘプタン酸エチル、カプリル酸エチル、カプリル酸イソアミル、カプリル酸ヘプチル、ノナン酸メチル、ノナン酸エチル、カプリン酸メチル、カプリン酸エチル、ウンデカン酸エチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、サリチル酸メチル、コハク酸ジエチル、セバシン酸ジエチル、5−ヒドロキシヘキサン酸エチル、5−ヒドロキシデカン酸エチル、5−ヒドロキシウンデカン酸エチル、5−ヒドロキシデカン酸プロピル、5−ヒドロキシデカン酸イソプロピル、5−ヒドロキシオクタン酸2−メチルプロピル、5−ヒドロキシ−9−メチルデカン酸エチル等のエステル類;エタノ−ル、プロパノ−ル、ブタノ−ル、ペンタノ−ル、ヘキサノ−ル、ヘプタノ−ル、オクタノ−ル、ノナノ−ル、デカノ−ル、ベンジルアルコ−ル、フェニルエチルアルコ−ル、フルフリルアルコ−ル等のアルコ−ル類;フラネオ−ル、2−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、1−オクテン−3−オン、2−ノナノン、3−ノナノン、8−ノネン−2−オン、2−ウンデカノン、2−トリデカノン、アセトイン、5−ヒドロキシ−4−オクタノン、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3−ヘキサジオン、2,3−ヘプタジオン、アセチルイソバレリル、p−メトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、マルト−ル等のケトン類;フェニルエチルアンスラニレ−ト、トリメチルアミン、インド−ル、スカト−ル、ピリジン、イソキノリン、ピラジン、メチルピラジン、2−アセチルピロリン等の含窒素化合物類;メチルメルカプタン、イソブチルメルカプタン、2,4−ジチアペンタン、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、2,4−ジチアペンタン、ジメチルトリスルフィド、ビス(2−メチル−3−フリル)ジスルフィド、ジメチルスルフォキシド、ジメチルスルフォン、メタンチオ−ル、メチルスルフォニルメタン、メチルイソチオシアネ−ト、エチルイソチオシアネ−ト、アリルイソチオシアネ−ト、2−メチル−3−ブタンチオ−ル、メチオナ−ル、チオ酢酸エチル、チオ酪酸メチル、3−ブテニルイソチオシアネ−ト、2−メチルチオフェン、ベンゾチアゾ−ル、スルフロ−ル、アセチル乳酸チオメチルエステル、プロピオニル乳酸チオメチルエステル、ブチリル乳酸チオメチルエステル、バレリル乳酸チオメチルエステル、2−メチルブチリル乳酸チオメチルエステル、デシリル乳酸チオメチルエステル、アセチル乳酸チオエチルエステル、プロピオニル乳酸チオエチルエステル、ブチリル乳酸チオエチルエステル、バレリル乳酸チオエチルエステル、イソカプロイル乳酸チオプロピルエステル、2−アセチル−2−チアゾリン等の含硫化合物類など公知の香料化合物;乳脂のリパ−ゼ分解物;乳タンパク質のプロテア−ゼ分解物;乳、濃縮乳、粉乳、ミルクホエイ、バタ−、チ−ズ、ヨ−グルトもしくはこれらの混合物からの乳または乳加工品の分画物などを挙げることができる。
【0035】
前記香料のうち、特に12−メチルトリデカナール、δ−ヘキサラクトン、δ−オクタラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトン、δ−テトラデカラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトンおよびγ−ドデカラクトンから選択される1種または2種以上を用いることは、本発明の乳化組成物によって付与される乳脂感、コクを強化し、ミルクの香味を付与する点で特に有効である。
【0036】
また、本発明の乳化組成物には、C4〜C18の脂肪酸を添加することができる。これによって、クリ−ミ−な濃厚感や生乳のようなフレッシュ感をさらに強化することができる。なかでも、酪酸、ヘキサン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、およびオレイン酸から選択される1種または2種以上は、本発明の乳化組成物によって付与される乳脂感、コクを強化し、ミルクの香味を付与する点で特に有効である。
【0037】
本発明の乳化組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、その他の水溶性、油溶性の各種成分を配合することもできる。その他の成分としては、例えば、水溶性色素(例えば、食用赤色2号、同3号、同102号、同104号、同105号および第106号;食品黄色4号および同5号;食用緑色3号;食用青色1号および同2号等の合成タール系色素;カカオ色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、クチナシ緑色素、グレープスキン色素、コチニール色素、紫トウモロコシ色素、紫キャベツ色素、シソ色素、ハイビスカス色素、レッドビート色素、紅花色素、ラック色素、ターメリック色素、カラメル色素等の天然色素);水溶性ビタミン(例えば、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸);油溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)、油溶性抗酸化剤(例えば、トコフェロ−ル類、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテ−ト);香料保留剤(例えば、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、グリセリン、ヘキシルグリコ−ル、ベンジルベンゾエ−ト、トリエチルシトレ−ト、ジエチルフタレ−ト、ハ−コリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸ジグリセリド);前記以外の乳化剤、増粘剤、安定剤等を例示することができる。
【0038】
本発明の乳化組成物は、油相を形成する乳化粒子の平均粒子径が、150〜800nm、特には、250〜800nmであることが好ましい。150nm未満であると、乳脂感、コクが十分に付与されず、ミルク感が損なわれる場合があり、一方、800nmを超えると、乳脂感、コクが十分に付与されず、油脂の呈味が強くなりすぎるおそれがある。
【0039】
油相部を形成する乳化粒子の平均粒子径は、粒子径測定機器を用いて測定すればよく、例えば、大塚電子社製、レーザーゼ−タ電位計ELS−8000(品名)が例示される。
【0040】
本発明の乳化組成物は、そのまま飲食品にごく微量配合して乳風味を付与または増強することができる。該飲食品は乳成分を含有するものだけではなく、乳成分を含有しないものでもよい。本発明の乳化組成物は、乳成分を含有しない飲食品に添加しても、自然なミルク感、乳脂感、コクを付与することができる。
【0041】
本発明の乳化組成物の飲食品への配合量は、飲食品の種類や形態によって異なり一概に言えないが、例えば、飲食品の全体質量に対して0.005〜0.5%の範囲を例示することができる。
【0042】
本発明の乳化組成物によって乳風味を付与することのできる飲食品の具体例としては何ら限定されるものではなく、例えば、コ−ラ飲料、果汁入炭酸飲料、乳類入炭酸飲料等の炭酸飲料類;果汁飲料、野菜飲料、スポ−ツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料、ヨーグルト飲料等の食系飲料類;緑茶、紅茶、ウ−ロン茶、ハ−ブティ−、コーヒー飲料、ココア等の嗜好飲料類;チュ−ハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒等のアルコ−ル飲料類;バタ−、チ−ズ、ホイップクリーム、ミルク、ヨ−グルト等の乳原料;アイスクリ−ム、ラクトアイス、氷菓、ヨ−グルト、プリン、ゼリ−、デイリ−デザ−ト等のデザ−ト類およびそれらを製造するためのミックス類;キャラメル、キャンディ−、錠菓、クラッカ−、ビスケット、クッキ−、パイ、チョコレ−ト、スナック等の菓子類およびそれらを製造するためのケ−キミックス等のミックス類;パン、ス−プ、ホワイトソース、各種インスタント食品等の一般食品類;を挙げることができる。
【0043】
本発明の乳化組成物の調製法は特に限定されるものではないが、好ましい一実施態様を例示すれば、まず、グリセリン脂肪酸エステル、キラヤサポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベ−ト等の1種または2種以上の乳化剤、水および/または多価アルコ−ル等の水溶性成分を加熱溶解し、水相部を調製する。なお、ポリソルベ−トについては、油相部に分散・溶解させてもかまわない。一方、ラウリン酸系油脂、中鎖脂肪酸トリグリセリド、C4〜C18の脂肪酸、香料、油溶性抗酸化剤等の油溶性成分を加熱・溶解し、油相部を調製する。次いで、上記水相部と油相部を撹拌機等で混合して予備乳化し、得られた予備乳化液をホモミキサ−、ホモジナイザ−等の乳化機を用いて高速撹拌乳化することによって、乳化粒子の平均粒子径が150〜800nmの乳化組成物が得られる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に説明する。
[油脂の比較]
[実施例1]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、融点約38℃、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、中鎖脂肪酸グリセリンエステル(以下、「MCT」と略記する。日清オイリオグループ社製、ODO(品名))95.0gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品1)。
【0045】
[実施例2]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、精製パーム核油200g(不二製油製、融点約25℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品2)。
【0046】
[実施例3]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、精製ヤシ油200g(日清オイリオグループ社製、融点約25℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品3)。
【0047】
[実施例4]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、硬化ヤシ油200g(日清オイリオグループ社製、融点約31℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品4)。
【0048】
[比較例1]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、精製パーム油200g(日清オイリオグループ社製、デリカプレミアム(品名)、融点約38℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品1)。
【0049】
[比較例2]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、大豆硬化油200g(日清オイリオグループ社製、大豆硬化油34(品名)、融点約30℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品2)。
【0050】
[比較例3]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、菜種硬化油200g(日清オイリオグループ社製、菜種硬化油34(品名)、融点約33℃)を使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品3)。
【0051】
[比較例4]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、MCT200gを使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品4)。
【0052】
[比較例5]
ヤシ・パーム混合加工油脂200gに代えて、市販無塩バター200gを使用するほかは実施例1と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(比較品5)。
【0053】
【表1】
【0054】
(官能評価)
市販牛乳20%水溶液および市販ミルク入りコーヒー20%水溶液に発明品1〜4および比較品1〜5をそれぞれ0.1%添加し、121℃、20分のレトルト殺菌を行い、常温で1週間静置後、その香味について、5名の良く訓練されたパネリストによる官能評価を行った。結果を表2、表3に示した。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
表2、3の結果から明らかなように、牛乳20%水溶液、ミルク入りコーヒー20%水溶液のいずれの場合でも、発明品1〜4は乳脂感、コクの増加が認められた。特に発明品1は特にその効果が顕著に認められた。
一方、比較品1〜5はいずれも乳脂感、コクの増加は感じられなかった。また、比較品1では牛乳とは異なる風味が感じられた。
以上の結果から、油脂のうち、ヤシ・パーム混合加工油脂、精製パーム核油、精製ヤシ油、硬化ヤシ油は、使用した乳化組成物を乳含有製品に添加することにより、乳脂感、コクを増加することができることが確認された。特にヤシ・パーム混合加工油脂はその効果が顕著であった。
【0058】
[乳化剤の検討]
[実施例5]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品5)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は478nmであった。
【0059】
[実施例6]
キラヤサポニン(丸善製薬社製、キラヤニンC−100(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品6)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は325nmであった。
【0060】
[実施例7]
ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製、リョートーシュガーエステルP−1570(品名))10g、エタノール50g、グリセリン580gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品7)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は368nmであった。
【0061】
[実施例8]
ポリソルベート80(花王製、エマゾールO−120V(品名))を150g、
エタノール150g、D−ソルビトール400gを混合、溶解し水相部とした。
また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部に油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品8)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は563nmであった。
【0062】
[比較例6]
アラビアガム30%水溶液500g、グリセリン200gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品6)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は1217nmであった。
【0063】
(平均粒子径の測定)
実施例5〜8および比較例6の乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径の測定は、大塚電子社製 レーザーゼータ電位計ELS−8000(品名)を用いて行った。
【0064】
(保存後の乳化組成物の状態)
表4に示すように発明品5〜8の乳化組成物は、調製直後および室温3ヶ月保存後も分離、凝集・合一はなく非常に安定で良好な乳化組成物であった。一方、比較品6は、調製直後は凝集・合一はなかったが、室温2週間保存で乳化粒子の凝集・合一が見られ、不安定な乳化組成物であることが確認された。
また、発明品5〜8を牛乳20%水溶液に0.1%添加混合し、121℃、20分殺菌後(レトルト殺菌)、常温で1週間静置後、10名のパネリストによる官能評価を行ったところ、いずれも良好な乳脂感を付与することを確認した。
【0065】
【表4】
【0066】
[平均粒子径の検討]
[実施例9]
撹拌時間を15分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が151nmの乳化組成物1000gを得た(発明品9)。
【0067】
[実施例10]
撹拌時間を12分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が約250nmの乳化組成物1000gを得た(発明品10)。
【0068】
[実施例11]
実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が495nmの乳化組成物1000gを得た(発明品11)。
【0069】
[実施例12]
撹拌時間を5分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が755nmの乳化組成物1000gを得た(発明品12)。
【0070】
[比較例7]
撹拌時間を20分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径が103nmの乳化組成物1000gを得た(比較品7)。
【0071】
[比較例8]
撹拌時間を2分とする以外は実施例5と同様の手順に従い、乳化粒子の平均粒子径997nmの乳化組成物1000gを得た(比較品8)。
【0072】
(官能評価)
発明品9〜12および比較品7および8を牛乳20%水溶液に0.1%添加混合し、121℃、20分殺菌後(レトルト殺菌)、常温で1週間静置後、その香味について、5名の良く訓練されたパネリストによる官能評価を行った。結果を表5に示した。
【0073】
【表5】
【0074】
表5の結果から明らかなように、発明品9〜12は乳脂感、コクの増加が認められた。特に発明品10〜12は特にその効果が顕著に認められた。
一方、比較品7、8はいずれも乳脂感、コクの増加は感じられなかった。
以上の結果から、乳化粒子の平均粒子径が151〜755nmの本発明品を乳含有製品に添加することにより、乳脂感、コクを増加することができることが確認された。特に乳化粒子の平均粒子径が250〜755nmの本発明品はその効果が顕著であった。
【0075】
[香料化合物の効果の検討]
[実施例13]
表6に示す香料処方に従い、香料組成物MF−1〜MF−12を調製した。
【0076】
【表6】
【0077】
次に、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび香料組成物MF−1、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品13)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は488nmであった。
【0078】
[実施例14〜24]
香料組成物MF−1、20gに代えてMF−2〜12をそれぞれ20g用いる以外は、実施例13と同様の手順に従い、発明品14〜24の乳化組成物1000gを得た。それらの乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は順に485nm、488nm、486nm、486nm、485nm、488nm、485nm、487nm、486nm、486nm、485nmであった。
【0079】
[比較例9]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、MCT275g、市販ビタミンE5gおよび香料組成物MF−11、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品9)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は486nmであった。
【0080】
[比較例10]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、MCT275g、市販ビタミンE5gおよび香料組成物MF−12、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品10)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は488nmであった。
【0081】
(官能評価)
市販牛乳20%水溶液および市販ミルク入りコーヒー20%水溶液に発明品13〜24、発明品11および比較品9、10をそれぞれ0.1%添加し、121℃、20分のレトルト殺菌を行い、常温で1週間静置後、その香味について、5名の良く訓練されたパネリストによる官能評価を行った。結果を表7に示した。
【0082】
[表7]
【0083】
表7に示したように、香料化合物が無添加である発明品11は乳脂感、コクの増加が顕著であり、牛乳20%水溶液より明らかに濃く感じられたが、発明品13は、発明品11に比べ、さらにミルクの香味がくっきりとしていた。また、発明品14〜24はさらに新鮮なミルクの香味が付与されており、好ましいと判断された。中でも、発明品23および24は、新鮮なミルクの香味が顕著に付与・増強されており、非常に評価が高かった。
一方、香料化合物は添加したものの、使用した油脂はMCTのみの比較品9および10は若干の香味変化あるも乳脂感、コクの増加はなかった。
【0084】
[脂肪酸の効果の検討]
[実施例25]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT65g、酪酸10gおよび香料組成物MF−12、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品25)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は483nmであった。
【0085】
[実施例26]
酪酸10gに代えて、ヘキサン酸10gを使用するほかは実施例25と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品26)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は485nmであった。
【0086】
[実施例27]
酪酸10gに代えて、ラウリン酸10gを使用するほかは実施例25と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品27)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は487nmであった。
【0087】
[実施例28]
酪酸10gに代えて、ステアリン酸10gを使用するほかは実施例25と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品28)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は490nmであった。
【0088】
[実施例29]
酪酸10gに代えて、オレイン酸10gを使用するほかは実施例25と同様の手順に従い、乳化組成物1000gを得た(発明品29)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は488nmであった。
【0089】
(官能評価)
市販牛乳20%水溶液に発明品25〜29、発明品24および11、比較品4をそれぞれ0.1%添加し、121℃、20分のレトルト殺菌を行い、常温で1週間静置後、その香味について、8名の良く訓練されたパネリストによる官能評価を行った。結果を表8に示した。
【0090】
[表8]
【0091】
表8の結果から明らかなように、脂肪酸、香料化合物が無添加である発明品11は乳脂感、コクの増加が顕著であり、牛乳20%水溶液より明らかに濃く感じられたが、脂肪酸は無添加であるが香料化合物を添加した発明品24は、発明品11に比べ、さらにミルクの香味がくっきりとしていた。また、脂肪酸と香料化合物を添加した発明品25〜29はさらに乳脂感、コクが増強されており、好ましいと判断された。
一方、脂肪酸、香料化合物が無添加であり、使用した油脂はMCTのみの比較品4は乳脂感、コクの増加はなかった。
【0092】
[ミルク向け呈味コロイドの調製および効果の確認]
[実施例30]
表9に示す処方に従い、ミルク向け調合香料を調製した。
【0093】
【表9】
【0094】
次に、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記ミルク向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品30)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は490nmであった。
【0095】
[実施例31]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品31)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は492nmであった。
【0096】
[比較品11]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、菜種硬化油(日清オイリオグループ社製、菜種硬化油34(品名)、融点約33℃)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記ミルク向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品11)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は495nmであった。
【0097】
(官能評価)
表10のラクトアイス処方に従ってラクトアイスを1kg×3(個)調製し、ステンレス製ボウルに入れ、これらに発明品30、発明品31、比較品11の乳化組成物をそれぞれ0.1%添加し、ハンドミキサーを用いて十分、混合・溶解した。これらを2時間冷蔵庫内に保存後、市販のアイスクリーマーのポットに素早く移し、20分間撹拌を行った。得られた撹拌物を約200mlずつ紙製カップに入れ、フリーザーに一晩保管し、一晩保存し、アイスクリームを調製した。
さらに乳化組成物を添加しない無添加品(参考品1)を同様の手順で調製した。
その後、調製した各アイスクリームの香味について、8名の良く訓練されたパネリストにより官能評価を行った。結果を表11に示した。
【0098】
【表10】
【0099】
【表11】
【0100】
表11の結果から明らかなように、本発明の乳化組成物を添加した発明品30、31は乳脂感、コクが付与されており、特にミルク向け調合香料を添加した発明品30はミルクの香味がくっきりとしていた。
一方、本発明の乳化組成物とは異なる乳化組成物を添加した比較品11は乳脂感、コクが付与されておらず、乳化組成物を添加していない参考品1は、乳脂感が非常に弱く、ミルクの風味は全く感じられなかった。
【0101】
(チーズ向け呈味コロイドの調製および効果の確認)
[実施例32]
表12に示す処方に従ってチーズ向け調合香料を調製した。
【0102】
【表12】
【0103】
次に、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記チーズ向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品32)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は493nmであった。
【0104】
[実施例33]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品33)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は492nmであった。
【0105】
[比較品12]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、菜種硬化油(日清オイリオグループ社製、菜種硬化油34(品名)、融点約33℃)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記チーズ向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品12)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は497nmであった。
【0106】
(官能評価)
市販のクリームチーズ(フィラデルフィアクリームチーズ、森永乳業社製)100g、カッテージチーズ(雪印北海道100 カッテージチーズ うらごしタイプ、雪印乳業社製)100gおよびグラニュー糖10gを混合後、十分に混練し、チーズスプレッド(参考品2)とした。このチーズスプレッドに発明品32および33、比較品11を0.1%添加し、参考品2とともにその風味について、5名の良く訓練されたパネリストにより官能評価した。結果を表13に示した。
【0107】
【表13】
【0108】
表13の結果から明らかなように、本発明の乳化組成物を添加した発明品32、33は乳脂感、コクが付与されており、特にチーズ向け調合香料を添加した発明品32はチーズの香味がアップしていた。
一方、本発明の乳化組成物とは異なる乳化組成物を添加した比較品12はチーズ特有の乳脂感、コクが付与されておらず、乳化組成物とチーズ向け調合香料を添加していない参考品2は、濃厚感が弱かった。
【0109】
(バター向け呈味コロイドの調製および効果の確認)
[実施例34]
表14に示す処方に従ってバター向け調合香料を調製した。
【0110】
【表14】
【0111】
次に、グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記バター向け調合香料、20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品34)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は493nmであった。
【0112】
[実施例35]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、ヤシ・パーム混合加工油脂(日油社製、スーパーヌーコアH、登録商標)200g、市販ビタミンE5g、MCT95gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(発明品35)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は492nmであった。
【0113】
[比較品13]
グリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製、ポエムJ−0381H(品名))60g、グリセリン500g、水140gを混合、溶解し、90℃達温にて加熱殺菌し、水相部とした。また、菜種硬化油34(日清オイリオグループ社製、菜種硬化油34(品名)、融点約33℃)200g、市販ビタミンE5g、MCT75gおよび上記バター向け調合香料20gを加熱・溶解し油相部とした。次に水相部と、油相部を混合し、TKホモミキサーを用いて6000rpmで10分間撹拌し、乳化組成物1000gを得た(比較品13)。得られた乳化組成物に含まれる乳化粒子の平均粒子径は497nmであった。
【0114】
(官能評価)
市販のマーガリン(ネオソフトハーフ・コレステロールゼロ雪印メグミルク:参考品3)を用意し、これに発明品34および35、比較品13を0.15%添加し、参考品3とともにその風味について、5名の良く訓練されたパネリストにより官能評価した。結果を表15に示した。
【0115】
【表15】
【0116】
表15から明らかなように、本発明の乳化組成物を添加した発明品34、35はバターの香気、バターの濃厚感が付与されており、特にバター向け調合香料を添加した発明品34ははっきりしたバターの香気が付与されていた。
一方、本発明の乳化組成物とは異なる乳化組成物を添加した比較品13はバターの濃厚感が付与されておらず、乳化組成物とバター向け調合香料を添加していない参考品3は、バターの香気、バターの濃厚感はほとんど感じられなかった。