(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、参考発明および本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0025】
(参考発明の第1の実施の形態)
まず、参考発明の第1の実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係るインクジェットプリンター10の斜視図である。
【0027】
図1に示すように、インクジェットプリンター10は、印刷媒体90を支持するテーブル20と、矢印10aで示す走査方向(以下「主走査方向」と言う。)に延在するYバー30とを備えている。インクジェットプリンター10は、入力されたデータに基づいた形状に自動的に紫外線硬化型インクを塗布する装置である。
【0028】
テーブル20は、用紙などの印刷媒体90を支持する媒体支持部21を備えている。媒体支持部21は、印刷媒体90を支持する媒体支持面21aが形成されている。媒体支持面21aの色は、黒色などの紫外線を吸収することができる色である。例えば、媒体支持部21は、アルミニウムなどの金属によって形成されていて、少なくとも媒体支持面21aに対して、紫外線を吸収する塗料によってカーボン塗装が施されているか、紫外線を吸収する染料によって黒染めが施されている。
【0029】
また、テーブル20は、矢印10aで示す主走査方向に直交する矢印10bで示す走査方向(以下「副走査方向」と言う。)に延在していてYバー30を矢印10bで示す副走査方向に移動可能に支持しているガイド機構22を、矢印10aで示す主走査方向における両側に備えている。
【0030】
Yバー30は、矢印10aで示す主走査方向に延在しているガイドレール31と、矢印10aで示す主走査方向に移動可能にガイドレール31に支持されているキャリッジ40とを備えている。
【0031】
キャリッジ40は、光としての紫外線が照射されることによって硬化する光硬化型インクである紫外線硬化型インクの滴を吐出する記録ヘッド50と、記録ヘッド50によって吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する光照射装置としての紫外線照射装置60と、紫外線照射装置60によって照射された紫外線を遮る遮光部としての紫外線吸収遮光板80とを備えている。
【0032】
記録ヘッド50は、テーブル20によって支持されている印刷媒体90に向けて紫外線硬化型インクの滴を吐出する装置である。
【0033】
紫外線照射装置60は、記録ヘッド50によって吐出されて印刷媒体90に付着された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する装置である。紫外線照射装置60は、矢印10aで示す主走査方向において記録ヘッド50の両側に1つずつ備えられている。
【0034】
紫外線吸収遮光板80は、矢印10aで示す主走査方向において記録ヘッド50の両側に1つずつ備えられている。紫外線吸収遮光板80の色は、黒色などの紫外線を吸収することができる色である。例えば、紫外線吸収遮光板80は、アルミニウムなどの金属によって形成されていて、表面に対して、紫外線を吸収する塗料によってカーボン塗装が施されているか、紫外線を吸収する染料によって黒染めが施されている。
【0035】
図2は、紫外線照射装置60の近傍の正面図である。
【0036】
なお、
図2には、インクジェットプリンター10(
図1参照。)の2つの紫外線照射装置60のうちインクジェットプリンター10の正面側から見た左側の紫外線照射装置60のみを示している。また、
図2は、例えばキャリッジ40(
図1参照。)など、一部の構成を省略している。
図2において、紫外線照射装置60は、断面が示されている。
【0037】
図2に示すように、記録ヘッド50は、紫外線硬化型インクを吐出する図示していないノズルが形成されているノズル面51を備えている。ノズル面51は、テーブル20の媒体支持面21aと平行な面である。ノズル面51には、矢印10b(
図1参照。)で示す副走査方向に延在しているノズルの列(以下「ノズル列」と言う。)が複数設けられている。このノズル列は、例えば、シアンの紫外線硬化型インク、マゼンタの紫外線硬化型インク、イエローの紫外線硬化型インク、ブラックの紫外線硬化型インク、白色の紫外線硬化型インク、無色透明な紫外線硬化型インクなど、紫外線硬化型インクの種類毎に設けられている。
【0038】
図3(a)は、紫外線照射装置60の側面図である。
図3(b)は、紫外線照射装置60の底面図である。
【0039】
図2および
図3に示すように、紫外線照射装置60は、紫外線を照射する光源61と、光源61を支持している光源支持部62と、光源61によって照射された紫外線を集めてテーブル20の媒体支持部21に向けて効果的に照射するために光源61を囲んでいるランプハウス70とを備えている。
【0040】
光源61は、矢印10bで示す副走査方向に複数並べられている。光源61としては、LD(Laser Diode)、LED(Light Emitting Diode)、メタルハライドランプなど任意のものが採用されることができる。
【0041】
記録ヘッド50および光源61の並び方向、すなわち、矢印10aで示す主走査方向における紫外線吸収遮光板80の位置は、矢印10aで示す主走査方向における記録ヘッド50の位置と、矢印10aで示す主走査方向における光源61の位置との間に配置されている。
【0042】
ランプハウス70は、光源61に対して記録ヘッド50側に配置されていて光源61によって照射された紫外線を反射する反射板71と、光源61に対して記録ヘッド50側とは反対側に配置されていて光源61によって照射された紫外線を反射する反対側反射部としての反射板72と、矢印10bで示す副走査方向において光源61を挟む位置に配置されていて光源61によって照射された紫外線を反射する2枚の反射板73、74とを備えている。
【0043】
ランプハウス70の内部の色は、メタリックまたは白色である。すなわち、反射板71、72、73、74は、光源61側にそれぞれ反射面71a、72a、73a、74aが形成されている。
【0044】
ランプハウス70の外部の色は、黒色などの紫外線を吸収することができる色である。例えば、ランプハウス70は、外部の表面に対して、紫外線を吸収する塗料によってカーボン塗装が施されているか、紫外線を吸収する染料によって黒染めが施されている。
【0045】
反射板71は、矢印10aで示す主走査方向に直交する、すなわち、媒体支持面21aに直交することが好ましい。
【0046】
反射板73は、媒体支持面21aに直交する状態から傾いた状態、すなわち、媒体支持面21aに直交する状態より媒体支持部21に対して寝かせられる方向に傾けられた状態で配置されていることが好ましい。
【0047】
同様に、反射板74は、媒体支持面21aに直交する状態から傾いた状態、すなわち、媒体支持面21aに直交する状態より媒体支持部21に対して寝かせられる方向に傾けられた状態で配置されていることが好ましい。
【0048】
なお、光源61によって照射された紫外線の光量は、光源61からの距離の2乗に反比例する。したがって、万一、光源61によって照射された紫外線が何れかの場所で反射しながら記録ヘッド50のノズル面51に到達した場合の対策として、記録ヘッド50のノズル面51に到達した紫外線の光量を小さくするために、記録ヘッド50と、紫外線照射装置60とは、矢印10aで示す主走査方向において、可能な限り離すことが好ましい。
【0049】
ただし、記録ヘッド50によって吐出されて印刷媒体90に付着された紫外線硬化型インクが印刷媒体90上で滲んでしまうと印刷の質が低下するので、紫外線硬化型インクが印刷媒体90に付着されてから印刷媒体90上で滲む前に光源61からの紫外線によって硬化させられるように、記録ヘッド50と、紫外線照射装置60との矢印10aで示す主走査方向における距離には、上限が設定されていることが好ましい。この上限は、紫外線硬化型インクが印刷媒体90に付着されてから印刷媒体90上で滲むまでの時間と、記録ヘッド50および紫外線照射装置60の矢印10aで示す主走査方向における移動速度、すなわち、キャリッジ40(
図1参照。)の矢印10aで示す主走査方向における移動速度とを掛け合わせて得られる距離を考慮して判断される。紫外線硬化型インクが印刷媒体90に付着されてから印刷媒体90上で滲むまでの時間は、紫外線硬化型インクの種類に依存するが、例えば0.2秒である。
【0050】
紫外線吸収遮光板80のうちテーブル20の媒体支持面21a側の面81と、テーブル20の媒体支持面21aとの距離は、記録ヘッド50のノズル面51と、テーブル20の媒体支持面21aとの距離以下になっている。
【0051】
図4は、光源61および反射板72の位置関係を説明するための紫外線照射装置60の近傍の正面図である。
【0052】
図4において、曲線100は、光源61がUV−LEDである場合の光源61の指向性曲線を示している。
【0053】
点101は、矢印10aで示す主走査方向における紫外線吸収遮光板80の中央の点を示している。点102は、点101から媒体支持部21に下ろした垂線の足を示している。
【0054】
線103は、紫外線吸収遮光板80の面81と、テーブル20の媒体支持面21aとの距離が変更可能である場合に、インクジェットプリンター10(
図1参照。)が印刷を実行している状態で紫外線吸収遮光板80の面81と、テーブル20の媒体支持面21aとの距離が取り得る最大の距離であるときの点102と、矢印10aで示す主走査方向における紫外線吸収遮光板80の面81の光源61側の端点81aとを通る線を示している。
【0055】
線104は、紫外線吸収遮光板80の面81と、テーブル20の媒体支持面21aとの距離が変更可能である場合に、インクジェットプリンター10が印刷を実行している状態で紫外線吸収遮光板80の面81と、テーブル20の媒体支持面21aとの距離が取り得る最大の距離であるときの点102と、矢印10aで示す主走査方向における紫外線吸収遮光板80の面81の記録ヘッド50側の端点81bとを通る線を示している。
【0056】
図4に示すように、光源61は、線103に対して点101側に配置されている。
【0057】
反射板72の媒体支持部21側の端72bは、線103に対して点101側に配置されている。
【0058】
次に、インクジェットプリンター10の動作について説明する。
【0059】
インクジェットプリンター10は、外部から送信されてきた印刷データを受信すると、この印刷データに基づいて印刷を実行する。
【0060】
具体的には、インクジェットプリンター10は、テーブル20に支持されているYバー30に対してキャリッジ40をガイドレール31に沿って矢印10aで示す主走査方向に移動させることによって、キャリッジ40に搭載されている記録ヘッド50および紫外線照射装置60を、テーブル20に支持されている印刷媒体90に対して矢印10aで示す主走査方向に移動させる。このとき、インクジェットプリンター10は、テーブル20に支持されている印刷媒体90に向けて記録ヘッド50によって紫外線硬化型インクを吐出し、その後、記録ヘッド50によって吐出されて印刷媒体90に付着された紫外線硬化型インクに紫外線照射装置60によって紫外線を照射することによって、矢印10aで示す主走査方向における印刷を実行する。なお、インクジェットプリンター10は、矢印10aで示す主走査方向において
図1における右側にキャリッジ40が移動しながら印刷を実行している場合には、記録ヘッド50に対して
図1における左側に配置されている紫外線照射装置60によって紫外線を照射し、矢印10aで示す主走査方向において
図1における左側にキャリッジ40が移動しながら印刷を実行している場合には、記録ヘッド50に対して
図1における右側に配置されている紫外線照射装置60によって紫外線を照射する。
【0061】
そして、インクジェットプリンター10は、矢印10bで示す副走査方向における所定の位置において矢印10aで示す主走査方向における印刷が終了する度に、テーブル20に対してYバー30をガイド機構22に沿って矢印10bで示す副走査方向に移動させることによって、Yバー30に支持されているキャリッジ40に搭載されている記録ヘッド50および紫外線照射装置60を、テーブル20に支持されている印刷媒体90に対して矢印10bで示す副走査方向に移動させて、矢印10bで示す副走査方向における次の位置において再び矢印10aで示す主走査方向における印刷を実行する。
【0062】
なお、
図4に示すように、光源61が線103に対して点101側に配置されているので、光源61によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50に近付く向きである紫外線111は、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって反射させられて、紫外線吸収遮光板80の面81と、テーブル20の媒体支持面21aとの間に進んだとしても、必ず紫外線吸収遮光板80に当たって吸収される。
【0063】
また、反射板72の媒体支持部21側の端72bが線103に対して点101側に配置されているので、光源61によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50から遠ざかる向きである紫外線112は、反射板72によって反射させられた後、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって更に反射させられて、紫外線吸収遮光板80の面81と、テーブル20の媒体支持面21aとの間に進んだとしても、必ず紫外線吸収遮光板80に当たって吸収される。
【0064】
以上に説明したように、インクジェットプリンター10は、光源61によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50に近付く向きである紫外線111が、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって反射させられた後、紫外線吸収遮光板80の記録ヘッド50側の端点81bより記録ヘッド50側に進むことを紫外線吸収遮光板80によって抑えることができるので、記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑えることができ、結果として、紫外線照射装置60によって照射された紫外線が記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑える能力を従来より向上することができる。
【0065】
なお、インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、光源61が線103に対して点101側に配置されている。しかしながら、インクジェットプリンター10は、光源61が線103上に配置されていても、同様の効果を得ることができる。
【0066】
インクジェットプリンター10は、記録ヘッド50および光源61の並び方向が記録ヘッド50の矢印10aで示す主走査方向であるので、記録ヘッド50と光源61との距離を長く離間させると、矢印10aで示す主走査方向においてインクジェットプリンター10全体が大型化するデメリットがある。しかしながら、インクジェットプリンター10は、光源61によって照射された光が記録ヘッド50のノズル面51に当たることを紫外線吸収遮光板80によって抑えることができるので、記録ヘッド50と光源61との距離を短くすることができ、結果として、矢印10aで示す主走査方向においてインクジェットプリンター10全体を小型化することができる。
【0067】
インクジェットプリンター10は、光源61によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50から遠ざかる向きである紫外線112が、反射板72によって反射させられて、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって更に反射させられた後、紫外線吸収遮光板80の記録ヘッド50側の端点81bより記録ヘッド50側に進むことを紫外線吸収遮光板80によって抑えることができるので、記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑えることができる。
【0068】
なお、インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、反射板72の媒体支持部21側の端72bが線103に対して点101側に配置されている。しかしながら、インクジェットプリンター10は、反射板72の媒体支持部21側の端72bが線103上に配置されていても、同様の効果を得ることができる。
【0069】
インクジェットプリンター10は、紫外線照射装置60の互いに対向する反射板71および反射板72が平行である場合には、光源61によって媒体支持面21aにほぼ平行な方向に照射された紫外線が反射板71および反射板72によって多数回反射された後、媒体支持面21aにほぼ平行な方向に進んで、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって反射させられて、結果として、記録ヘッド50のノズル面51に当たる可能性があるという問題がある。しかしながら、インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、反射板71および反射板72が平行ではないので、そのような問題の発生を抑えることができる。
【0070】
また、インクジェットプリンター10は、紫外線照射装置60の互いに対向する反射板73および反射板74も平行ではないので、反射板73および反射板74についても同様の問題の発生を抑えることができる。
【0071】
なお、インクジェットプリンター10は、反射板72の媒体支持部21側の端72bが線103に対して点101側に配置されており、光源61によって照射された紫外線が反射板72によって反射させられて記録ヘッド50のノズル面51に当たることを紫外線吸収遮光板80によって抑えることができるので、紫外線照射装置60の互いに対向する反射板71および反射板72が平行であっても良い。
【0072】
また、インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、
図4に示すように、光源61の指向性の中心線100aがテーブル20の媒体支持面21aに直交するようになっている。しかしながら、インクジェットプリンター10は、
図5に示すように、光源61の指向性の中心線100aがテーブル20の媒体支持面21aに直交する状態から紫外線照射装置60が傾いた状態、すなわち、光源61の指向性の中心線100aがテーブル20の媒体支持面21aに直交する状態より紫外線照射装置60の上部が記録ヘッド50に近付く状態で配置されていても良い。インクジェットプリンター10は、紫外線照射装置60が
図5に示すように傾いた状態である場合であっても、反射板72の媒体支持部21側の端72bが線103に対して点101側、または、線103上に配置されているときには、
図4に示す状態である場合と同様の効果を得ることができる。更に、インクジェットプリンター10は、紫外線照射装置60が
図5に示すように傾いた状態である場合には、
図4に示す状態である場合と比較して、紫外線照射装置60によって照射された紫外線が記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑える能力を向上することができる。
【0073】
インクジェットプリンター10は、本実施の形態において、記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に移動することによって印刷媒体90に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であるが、この構成以外の構成であっても良い。例えば、インクジェットプリンター10は、印刷媒体90を矢印10bで示す副走査方向に搬送することによって印刷媒体90に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であっても良い。
【0074】
(参考発明の第2の実施の形態)
まず、参考発明の第2の実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0075】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成のうち参考発明の第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)の構成と同様の構成については、インクジェットプリンター10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0076】
図6は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの紫外線照射装置160の近傍の正面図である。
【0077】
なお、
図6には、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの2つの紫外線照射装置160のうちこのインクジェットプリンターの正面側から見た左側の紫外線照射装置160のみを示している。また、
図6は、例えばキャリッジ40(
図1参照。)など、一部の構成を省略している。
図6において、紫外線照射装置160は、断面が示されている。
【0078】
図6に示すように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成は、記録ヘッド50によって吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する光照射装置としての紫外線照射装置160を、紫外線照射装置60(
図2参照。)に代えて、インクジェットプリンター10(
図1参照。)が備え、インクジェットプリンター10と比較して記録ヘッド50および紫外線吸収遮光板80がテーブル20の媒体支持面21aに近付いた構成と同様である。
【0079】
紫外線照射装置160は、紫外線照射装置60がランプハウス70(
図2参照。)に代えてランプハウス170を備え、紫外線照射装置60と比較してテーブル20の媒体支持面21aに近付いた構成と同様である。
【0080】
ランプハウス170は、光源61に対して記録ヘッド50側とは反対側に配置されていて光源61によって照射された紫外線を反射する反対側反射部としての反射板172と、光源61に対して矢印10b(
図1参照。)で示す副走査方向の位置に配置されていて光源61によって照射された紫外線を反射する反射板173と、矢印10bで示す副走査方向において反射板173とともに光源61を挟む位置に配置されていて光源61によって照射された紫外線を反射する図示していない反射板とを、反射板72(
図2参照。)、反射板73(
図2参照。)および反射板74(
図2参照。)に代えて、ランプハウス70が備えた構成と同様である。
【0081】
反射板172は、反射板72が長さと、テーブル20の媒体支持面21aに対する角度とを変えた構成と同様である。
【0082】
図7は、光源61および反射板172の位置関係を説明するための紫外線照射装置160の近傍の正面図である。
【0083】
図7に示すように、反射板172は、線103に直交する状態より媒体支持部21に対して寝かせられる方向に傾けられた状態で配置されている。
【0084】
反射板173と、反射板173に対向する図示していない反射板とは、光源61によって照射された紫外線が矢印10bで示す副走査方向に漏れることを抑えるために、反射板71と、反射板172とを繋ぐように矢印10aで示す主走査方向に延在させられている。
【0085】
次に、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの動作について説明する。
【0086】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、参考発明の第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)と同様に印刷を実行することができる。
【0087】
なお、
図7に示すように、光源61が線103に対して点101側に配置されているので、光源61によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50に近付く向きである紫外線111は、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって反射させられて、紫外線吸収遮光板80の面81と、テーブル20の媒体支持面21aとの間に進んだとしても、必ず紫外線吸収遮光板80に当たって吸収される。
【0088】
また、反射板172が線103に直交する状態より媒体支持部21に対して寝かせられる方向に傾けられた状態で配置されているので、光源61によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50から遠ざかる向きである紫外線112は、反射板172によって反射させられた後、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって更に反射させられて、紫外線吸収遮光板80の面81と、テーブル20の媒体支持面21aとの間に進んだとしても、紫外線吸収遮光板80に当たって吸収される。
【0089】
以上に説明したように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、光源61によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50に近付く向きである紫外線111が、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって反射させられた後、紫外線吸収遮光板80の記録ヘッド50側の端点81bより記録ヘッド50側に進むことを紫外線吸収遮光板80によって抑えることができるので、記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑えることができ、結果として、紫外線照射装置160によって照射された紫外線が記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑える能力を従来より向上することができる。
【0090】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、本実施の形態において、光源61が線103に対して点101側に配置されている。しかしながら、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、光源61が線103上に配置されていても、同様の効果を得ることができる。
【0091】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、記録ヘッド50および光源61の並び方向が記録ヘッド50の矢印10aで示す主走査方向であるので、記録ヘッド50と光源61との距離を長く離間させると、矢印10aで示す主走査方向においてインクジェットプリンター全体が大型化するデメリットがある。しかしながら、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、光源61によって照射された光が記録ヘッド50のノズル面51に当たることを紫外線吸収遮光板80によって抑えることができるので、記録ヘッド50と光源61との距離を短くすることができ、結果として、矢印10aで示す主走査方向においてインクジェットプリンター全体を小型化することができる。
【0092】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、光源61によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50から遠ざかる向きである紫外線112が、反射板172によって反射させられて、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって更に反射させられた後、紫外線吸収遮光板80の記録ヘッド50側の端点81bより記録ヘッド50側に進むことを紫外線吸収遮光板80によって抑えることができるので、記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑えることができる。
【0093】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、本実施の形態において、反射板172が線103に直交する状態より媒体支持部21に対して寝かせられる方向に傾けられた状態で配置されている。しかしながら、インクジェットプリンター10は、反射板172が線103に直交する状態で配置されていても、同様の効果を得ることができる。
【0094】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、紫外線照射装置160の互いに対向する反射板71および反射板172が平行である場合には、光源61によって媒体支持面21aにほぼ平行な方向に照射された紫外線が反射板71および反射板172によって多数回反射された後、媒体支持面21aにほぼ平行な方向に進んで、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体90によって反射させられて、結果として、記録ヘッド50のノズル面51に当たる可能性があるという問題がある。しかしながら、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、本実施の形態において、反射板71および反射板172が平行ではないので、そのような問題の発生を抑えることができる。
【0095】
また、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、紫外線照射装置160の互いに対向する反射板173および図示していない反射板も平行ではないので、反射板173と、反射板173に対向する図示していない反射板についても同様の問題の発生を抑えることができる。
【0096】
また、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、媒体支持部21の媒体支持面21aが矢印10aで示す主走査方向と、矢印10bで示す副走査方向とに平行である場合に、
図8に示すように、反射板172が媒体支持面21aに直交する状態より媒体支持部21に対して寝かせられる方向に傾けられた状態で媒体支持面21aの垂線に対して45°傾いている状態、または、この状態より媒体支持部21に対して寝かせられる方向に傾けられた状態で配置されていても良い。この構成である場合、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、光源61によって照射される紫外線の進行方向が媒体支持部21の媒体支持面21aと平行である方向、または、この方向より媒体支持面21aに近付く方向であるとき、光源61によって照射される紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50から遠ざかる向きである紫外線112が、反射板172によって反射させられることによって、矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50に近付く向きになることを防止することができるので、反射板172によって反射させられたこの紫外線112が媒体支持面21aによって反射させられて記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑えることができる。
【0097】
同様に、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、印刷媒体90の光源61側の面が矢印10aで示す主走査方向と、矢印10bで示す副走査方向とに平行である場合に、反射板172が印刷媒体90の光源61側の面に直交する状態より媒体支持部21に対して寝かせられる方向に傾けられた状態で媒体支持面21aの垂線に対して45°傾いている状態、または、この状態より媒体支持部21に対して寝かせられる方向に傾けられた状態で配置されていても良い。この構成である場合、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、光源61によって照射される紫外線の進行方向が印刷媒体90の光源61側の面と平行である方向、または、この方向より印刷媒体90の光源61側の面に近付く方向であるとき、光源61によって照射される紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50から遠ざかる向きである紫外線112が、反射板172によって反射させられることによって、矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50に近付く向きになることを防止することができるので、反射板172によって反射させられたこの紫外線112が印刷媒体90の光源61側の面によって反射させられて記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑えることができる。
【0098】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、本実施の形態において、
図7に示すように、光源61の指向性の中心線100aがテーブル20の媒体支持面21aに直交するようになっているが、参考発明の第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10と同様に、光源61の指向性の中心線100aがテーブル20の媒体支持面21aに直交する状態から紫外線照射装置160が傾いた状態、すなわち、光源61の指向性の中心線100aがテーブル20の媒体支持面21aに直交する状態より紫外線照射装置160の上部が記録ヘッド50に近付く状態で配置されていても良い。
【0099】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、本実施の形態において、記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に移動することによって印刷媒体90に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であるが、この構成以外の構成であっても良い。例えば、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、印刷媒体90を矢印10bで示す副走査方向に搬送することによって印刷媒体90に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であっても良い。
【0100】
(参考発明の第3の実施の形態)
まず、参考発明の第3の実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0101】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成のうち参考発明の第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)の構成と同様の構成については、インクジェットプリンター10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0102】
図9は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの紫外線照射装置260の近傍の正面図である。
【0103】
なお、
図9には、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの2つの紫外線照射装置260のうちこのインクジェットプリンターの正面側から見た左側の紫外線照射装置260のみを示している。また、
図9は、例えばキャリッジ40(
図1参照。)など、一部の構成を省略している。
図9においてテーブル20、遮光壁210および印刷媒体290は、断面が示されている。
【0104】
図9に示すように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成は、インクジェットプリンター10(
図1参照。)が紫外線吸収遮光板80(
図1参照。)を備えておらず、記録ヘッド50によって吐出された紫外線硬化型インクに紫外線を照射する光照射装置としての紫外線照射装置260を紫外線照射装置60(
図1参照。)に代えて備えた構成と同様である。
【0105】
図10は、遮光壁210の近傍の平面図である。
【0106】
図9および
図10に示すように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、光を遮る遮光壁210を媒体支持部21によって支持されている印刷媒体290の周囲を囲むように配置された状態で、印刷媒体290への印刷を実行する。
【0107】
遮光壁210の色は、黒色などの紫外線を吸収することができる色である。例えば、遮光壁210は、表面に対して、紫外線を吸収する塗料によってカーボン塗装が施されているか、紫外線を吸収する染料によって黒染めが施されている。
【0108】
印刷媒体290は、記録ヘッド50のノズル面51と対向している時点での、ノズル面51との距離が短い印刷面である高印刷面291を備えている。また、印刷媒体290は、テーブル20の媒体支持面21aとの距離が高印刷面291と、媒体支持面21aとの距離より短い印刷面である低印刷面292を備えている。すなわち、記録ヘッド50のノズル面51が高印刷面291に対向している時点でのノズル面51と、高印刷面291との距離は、記録ヘッド50のノズル面51が低印刷面292に対向している時点でのノズル面51と、低印刷面292との距離より短い。
【0109】
遮光壁210は、テーブル20の媒体支持面21a側とは反対側の面211と、媒体支持面21aとの距離が、印刷媒体290の高印刷面291と、媒体支持面21aとの距離と同一になるように形成されている。
【0110】
遮光壁210は、矢印10aで示す主走査方向における印刷媒体290の高印刷面291との低印刷面292側の距離201が、矢印10aで示す主走査方向における記録ヘッド50と、紫外線照射装置260との距離202より短くなるように形成されている。
【0111】
次に、本実施の形態に係るインクジェットプリンターを使用したインクジェット印刷方法について説明する。
【0112】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、遮光壁210および印刷媒体290を
図9および
図10に示すようにテーブル21上に配置した状態で、参考発明の第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)と同様に印刷を実行する。
【0113】
すなわち、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、遮光壁210および印刷媒体290を
図9および
図10に示すようにテーブル21上に配置した状態で、印刷媒体290への記録ヘッド50による紫外線硬化型インクの吐出と、印刷媒体290に付着された紫外線硬化型インクへの紫外線照射装置260による紫外線の照射とを実行する。
【0114】
ここで、本実施の形態に係るインクジェット印刷方法は、矢印10aで示す主走査方向における印刷媒体290の高印刷面291と、この高印刷面291に対する低印刷面292側の遮光壁210との距離201が、矢印10aで示す主走査方向における記録ヘッド50と、紫外線照射装置260との距離202より短いので、記録ヘッド50と、紫外線照射装置260とが同一の印刷媒体290の低印刷面292に対向することを防止することができる。すなわち、本実施の形態に係るインクジェット印刷方法は、紫外線照射装置260によって照射された紫外線が、印刷媒体290の低印刷面292によって反射させられた後、記録ヘッド50のノズル面51に当たることを遮光壁210によって抑えることができる。
【0115】
なお、距離202は、紫外線照射装置260によって照射された紫外線が、印刷媒体290によって反射させられた後、記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑えるという観点からは、例えば200mmなど、長いほど好ましい。ただし、距離202の上限は、参考発明の第1の実施の形態において説明したように、記録ヘッド50によって吐出されて印刷媒体290に付着された紫外線硬化型インクが印刷媒体290上で滲むまでの時間と、記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における移動速度とを掛け合わせて得られる距離を考慮して判断される。
【0116】
以上に説明したように、本実施の形態に係るインクジェット印刷方法は、紫外線照射装置260によって照射された紫外線が、印刷媒体290によって反射させられた後、記録ヘッド50のノズル面51に当たることを遮光壁210によって抑えることができるので、紫外線照射装置260によって照射された紫外線が記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑える能力を従来より向上することができる。
【0117】
インクジェットプリンターは、記録ヘッド50によって吐出された紫外線硬化型インクの進行方向を変更させるような風を、矢印10aで示す主走査方向における記録ヘッド50の移動によって発生させてしまう可能性がある。インクジェットプリンターは、記録ヘッド50によって吐出された紫外線硬化型インクの進行方向がこの風によって変更させられた場合、印刷の質が低下してしまう。この風が発生する可能性は、記録ヘッド50のノズル面51が低印刷面292に対向している時点でのノズル面51と、低印刷面292との距離が、記録ヘッド50のノズル面51が高印刷面291に対向している時点でのノズル面51と、高印刷面291との距離より長いほど、すなわち、記録ヘッド50のノズル面51が低印刷面292に対向している時点でのノズル面51と、低印刷面292との距離が長いほど、高くなる。しかしながら、本実施の形態に係るインクジェット印刷方法は、記録ヘッド50によって吐出された紫外線硬化型インクの進行方向を変更させるような風の発生も遮光壁210によって抑えることができるので、印刷の質を向上することができる。
【0118】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、本実施の形態において、記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に移動することによって印刷媒体290に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であるが、この構成以外の構成であっても良い。例えば、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、印刷媒体290を矢印10bで示す副走査方向に搬送することによって印刷媒体290に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であっても良い。
【0119】
(参考発明の第4の実施の形態)
まず、参考発明の第4の実施の形態に係るインクジェット印刷システムの構成について説明する。
【0120】
図11は、本実施の形態に係るインクジェット印刷システム310のブロック図である。
【0121】
図11に示すように、インクジェット印刷システム310は、PC(Personal Computer)などのコンピューター320と、コンピューター320と通信可能に接続されていてインクジェット印刷を実行可能であるインクジェットプリンター330とを備えている。
【0122】
なお、インクジェットプリンター330の構成のうち参考発明の第3の実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成と同様の構成については、参考発明の第3の実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0123】
図12は、コンピューター320のブロック図である。
【0124】
図12に示すように、コンピューター320は、利用者による種々の操作が入力されるキーボード、マウスなどの入力デバイスである操作部321と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部322と、インクジェットプリンター330(
図11参照。)と通信を行う通信デバイスである通信部323と、各種のデータを記憶しているHDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスである記憶部324と、コンピューター320全体を制御する制御部325とを備えている。
【0125】
記憶部324は、インクジェットプリンター330を制御するためのプログラム324aを記憶している。
【0126】
制御部325は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部324に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0127】
制御部325は、記憶部324に記憶されているプログラム324aを実行することによって、記録ヘッド50(
図9参照。)の矢印10aで示す主走査方向における移動範囲(有効スキャン幅)を制御する移動範囲制御手段325aとして機能する。
【0128】
図13は、インクジェットプリンター330のブロック図である。
【0129】
図13に示すように、インクジェットプリンター330は、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部331と、種々の情報を表示するLCDなどの表示デバイスである表示部332と、記録ヘッド50(
図9参照。)および紫外線照射装置260(
図9参照。)と、テーブル20(
図1参照。)に対してYバー30(
図1参照。)を矢印10b(
図1参照。)で示す副走査方向に移動させるYバー移動装置333と、Yバー30に対してキャリッジ40(
図1参照。)を矢印10a(
図1参照。)で示す主走査方向に移動させるキャリッジ移動装置334と、キャリッジ40上で記録ヘッド50に対して紫外線照射装置260を矢印10aで示す主走査方向に移動させることによって記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔である距離202(
図9参照。)を変更する間隔変更装置335と、コンピューター320(
図11参照。)と通信を行う通信デバイスである通信部336と、各種のデータを記憶しているEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの記憶デバイスである記憶部337と、インクジェットプリンター330全体を制御する制御部338とを備えている。
【0130】
制御部338は、例えば、CPUと、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROMと、CPUの作業領域として用いられるRAMとを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部337に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0131】
次に、インクジェット印刷システム310の動作について説明する。
【0132】
まず、記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔を変更する場合のインクジェット印刷システム310の動作について説明する。
【0133】
利用者が記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔の変更を操作部321を介してコンピューター320に指示すると、コンピューター320の制御部325は、
図14に示す動作を実行する。
【0134】
図14は、記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔を変更する場合のコンピューター320の動作のフローチャートである。
【0135】
図14に示すように、コンピューター320の制御部325は、記録ヘッド50の矢印10aで示す主走査方向における移動範囲を移動範囲制御手段325aによって変更する(S391)。ここで、移動範囲制御手段325aは、記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔の増加に応じて矢印10aで示す主走査方向における移動範囲を減少させ、記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔の減少に応じて矢印10aで示す主走査方向における移動範囲を増加させる。
【0136】
次いで、制御部325は、利用者から操作部321を介して指示された上述の間隔のデータを、通信部323を介してインクジェットプリンター330に送信して(S392)、
図14に示す動作を終了する。
【0137】
インクジェットプリンター330の制御部338は、コンピューター320から送信されてきた間隔のデータを通信部336を介して受信すると、このデータに基づいて間隔変更装置335を制御することによって、記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔を変更する。
【0138】
なお、コンピューター320の制御部325は、利用者の指示に応じてインクジェットプリンター330に送信するための印刷データを生成する場合には、S391によって変更された移動範囲で印刷データを生成する。
【0139】
次に、印刷を実行する場合のインクジェット印刷システム310の動作について説明する。
【0140】
利用者がインクジェットプリンター330による画像の印刷を操作部321を介してコンピューター320に指示すると、コンピューター320の制御部325は、通信部323を介してインクジェットプリンター330に印刷データを送信する。
【0141】
インクジェットプリンター330の制御部338は、コンピューター320から送信されてきた印刷データを通信部336を介して受信すると、この印刷データに基づいて記録ヘッド50、紫外線照射装置260、Yバー移動装置333、および、キャリッジ移動装置334を制御することによって印刷媒体290(
図9参照。)に画像を印刷する。
【0142】
以上に説明したように、インクジェット印刷システム310は、記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔が増加させられることによって、紫外線照射装置260によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50に近付く向きである紫外線が、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体290によって反射させられた後、記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑えることができるので、紫外線照射装置260によって照射された紫外線が記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑える能力を従来より向上することができる。
【0143】
また、インクジェット印刷システム310は、記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔の増加に応じて、記録ヘッド50による矢印10aで示す主走査方向における移動範囲を自動的に減少させるので、利便性を向上することができる。
【0144】
なお、参考発明のインクジェット印刷システムは、本実施の形態においてコンピューター320を含んでいるが、インクジェットプリンター330のみで実現されるようになっていても良い。すなわち、参考発明の移動範囲制御手段は、インクジェットプリンター330の制御部338によって実現されるようになっていても良い。
【0145】
インクジェットプリンター330は、本実施の形態において、記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に移動することによって印刷媒体290に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であるが、この構成以外の構成であっても良い。例えば、インクジェットプリンター330は、印刷媒体290を矢印10bで示す副走査方向に搬送することによって印刷媒体290に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であっても良い。
【0146】
(本発明の一実施の形態)
まず、本発明の一実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成について説明する。
【0147】
なお、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成のうち参考発明の第3の実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成と同様の構成については、参考発明の第3の実施の形態に係るインクジェットプリンターの構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0148】
図15は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターのキャリッジ440の近傍の上面断面図である。
【0149】
なお、
図15は、例えばテーブル20(
図1参照。)など、一部の構成を省略している。
【0150】
図15に示すように、キャリッジ440は、紫外線照射装置260を矢印10aで示す主走査方向に移動可能に支持する軸部材441と、軸部材441に巻き付けられていて紫外線照射装置260を矢印10aで示す主走査方向において記録ヘッド50から遠ざかる方向に付勢するバネ442とを備えている。記録ヘッド50は、軸部材441に対して固定されている。すなわち、キャリッジ440は、矢印10aで示す主走査方向における記録ヘッド50および紫外線照射装置260の間隔が大きくなる方向に付勢しながら記録ヘッド50および紫外線照射装置260を支持するようになっており、本発明の付勢支持部を構成している。
【0151】
軸部材441は、紫外線照射装置260が矢印10aで示す主走査方向において記録ヘッド50から遠ざかる方向に移動することを紫外線照射装置260との接触によって防止するフランジ441aを両端に備えている。したがって、紫外線照射装置260は、バネ442によって付勢されて矢印10aで示す主走査方向において記録ヘッド50から遠ざかる方向に移動しても軸部材441の端部で停止する。
【0152】
軸部材441は、バネ442が矢印10aで示す主走査方向において軸部材441の中央に近付く方向に移動することをバネ442との接触によって防止するフランジ441bを中央に備えている。
【0153】
バネ442は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの2つの紫外線照射装置260のそれぞれに対して設けられている。バネ442の一端は、紫外線照射装置260に接触している。
【0154】
図16(a)は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの矢印10aで示す主走査方向における一端側でのキャリッジ440の近傍の上面断面図である。
図16(b)は、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの矢印10aで示す主走査方向における他端側でのキャリッジ440の近傍の上面断面図である。
【0155】
なお、
図16は、例えばテーブル20(
図1参照。)など、一部の構成を省略している。
【0156】
図16に示すように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、紫外線照射装置260に接触することによって矢印10aで示す主走査方向における紫外線照射装置260の移動を制限する移動制限部450をYバー30(
図1参照。)に備えている。
【0157】
移動制限部450は、矢印10aで示す主走査方向における紫外線照射装置260の移動範囲の両端部に配置されている。
【0158】
移動制限部450は、軸部材441の一部を通す穴451が形成されている。穴451は、軸部材441を通す大きさであるが、紫外線照射装置260を通さない大きさである。
【0159】
なお、記録ヘッド50、紫外線照射装置260、キャリッジ440および移動制限部450の配置は、紫外線照射装置260が移動制限部450に接触している場合の記録ヘッド50の位置が矢印10aで示す主走査方向における印刷範囲外になるように設計されている。
【0160】
また、紫外線照射装置260は、記録ヘッド50が矢印10aで示す主走査方向における印刷範囲外の位置に存在する場合に、紫外線照射装置260に電気を供給する回路上の機械部品同士の接触が解除されるなどのように何らかのハードウェア的な仕組みや、記録ヘッド50が矢印10aで示す主走査方向における印刷範囲外の位置に存在することを検出するセンサーからの信号に応じて本実施の形態に係るインクジェットプリンターの制御部が紫外線照射装置260による紫外線の照射を停止させるなどのように何らかのソフトウェア的な仕組みによって、自動的に紫外線の照射を中止するようになっている。
【0161】
次に、本実施の形態に係るインクジェットプリンターの動作について説明する。
【0162】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、参考発明の第1の実施の形態に係るインクジェットプリンター10(
図1参照。)と同様に印刷を実行することができる。
【0163】
ここで、キャリッジ440は、紫外線照射装置260が移動制限部450に接触していない場合には、
図15に示すように、矢印10aで示す主走査方向において紫外線照射装置260を記録ヘッド50から十分に離して支持している。一方、キャリッジ440は、矢印10aで示す主走査方向における紫外線照射装置260の移動範囲の端部に移動して紫外線照射装置260が移動制限部450に接触した場合には、
図16に示すように、移動制限部450に接触している紫外線照射装置260によってバネ442が縮められることによって、この紫外線照射装置260を記録ヘッド50に近付けて支持する。
【0164】
なお、紫外線照射装置260が移動制限部450に接触している場合、記録ヘッド50は、矢印10aで示す主走査方向における印刷範囲外の位置に存在する。ここで、紫外線照射装置260は、上述したように、記録ヘッド50が矢印10aで示す主走査方向における印刷範囲外の位置に存在する場合に、紫外線の照射を中止する。したがって、紫外線照射装置260は、移動制限部450に接触している場合、すなわち、移動制限部450によって移動が制限されている場合に、紫外線の照射を中止する。
【0165】
以上に説明したように、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、印刷媒体290(
図9参照。)に付着された紫外線硬化型インクに紫外線照射装置260によって紫外線が照射される時点での記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔が増加させられるので、紫外線照射装置260によって照射された紫外線のうち矢印10aで示す主走査方向の成分の向きが記録ヘッド50に近付く向きである紫外線が、媒体支持部21(
図9参照。)、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体290によって反射させられた後、記録ヘッド50のノズル面51(
図9参照。)に当たることを抑えることができ、結果として、紫外線照射装置260によって照射された紫外線が記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑える能力を従来より向上することができる。
【0166】
また、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、矢印10aで示す主走査方向における紫外線照射装置260の移動範囲の端部において移動制限部450が紫外線照射装置260に接触することによって矢印10aで示す主走査方向における記録ヘッド50および紫外線照射装置260の間隔が小さくなるので、印刷媒体290に付着された紫外線硬化型インクに紫外線照射装置260によって紫外線が照射される時点での記録ヘッド50および紫外線照射装置260の矢印10aで示す主走査方向における間隔を十分に設けたとしても、記録ヘッド50による矢印10aで示す主走査方向における移動範囲が減少することを抑えることができる。
【0167】
また、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、矢印10aで示す主走査方向における紫外線照射装置260の移動範囲の端部において矢印10aで示す主走査方向における記録ヘッド50および紫外線照射装置260の間隔が小さくなった時点で、紫外線照射装置260による紫外線の照射が自動的に中止されるので、矢印10aで示す主走査方向における紫外線照射装置260の移動範囲の端部において、紫外線照射装置260によって照射された紫外線が、媒体支持部21、または、媒体支持部21によって支持されている印刷媒体290によって反射させられた後、記録ヘッド50のノズル面51に当たることを抑えることができる。
【0168】
本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、本実施の形態において、記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に移動することによって印刷媒体290に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であるが、この構成以外の構成であっても良い。例えば、本実施の形態に係るインクジェットプリンターは、印刷媒体290を矢印10bで示す副走査方向に搬送することによって印刷媒体290に対して記録ヘッド50を矢印10bで示す副走査方向に相対移動させる構成であっても良い。