特許第6304911号(P6304911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6304911環境モニタリングセンサ及び環境モニタリング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6304911
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】環境モニタリングセンサ及び環境モニタリング装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/02 20060101AFI20180326BHJP
   G01N 27/26 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   G01N17/02
   G01N27/26 351J
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-154419(P2017-154419)
(22)【出願日】2017年8月9日
【審査請求日】2017年8月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514159162
【氏名又は名称】株式会社シュリンクス
(74)【代理人】
【識別番号】100081709
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴若 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智康
【審査官】 土岐 和雅
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−286422(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/013544(WO,A1)
【文献】 特開2014−185968(JP,A)
【文献】 特開2012−208088(JP,A)
【文献】 特開2015−072250(JP,A)
【文献】 特開2015−113991(JP,A)
【文献】 特開2011−137760(JP,A)
【文献】 特開2017−015560(JP,A)
【文献】 特開2001−201451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N17/00〜19/00、27/26〜27/49
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層を介して一方側にアノードを、他方側にカソードを有し、大気中に存在する水分で前記アノードと前記カソード間が連結されたことに起因して流れる電流値を測定するための板状のセンサ本体を含む環境モニタリングセンサであり、
前記センサ本体は、前記電流値を測定するためのセンサ評価面を有し、
前記センサ本体から前記アノードと前記カソードを細長く棒状に延長し、
前記アノードの延長した部位の先端部、別体のアノードリード線を接合可能とし、
前記カソードの延長した部位の先端部、別体のカソードリード線を接合可能とし、
前記センサ本体のセンサ評価面から前記アノードリード線の接合部及び前記カソードリード線の接合部を離間させた構成であることを特徴とする環境モニタリングセンサ。
【請求項2】
前記センサ評価面は、
前記環境モニタリングセンサのサイズにかかわらず、
同じ腐食環境におけるセンサ出力が同じになることを目的として前記アノードに隣接する前記カソードの海岸線の総延長距離が同じになるように、前記カソードのパターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の環境モニタリングセンサ。
【請求項3】
前記アノードと前記カソードの延長した部位は、屈曲可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の環境モニタリングセンサ。
【請求項4】
前記センサ本体から前記アノードと前記カソードを複数細長く棒状に延長し、
前記アノードリード線及び前記カソードリード線を接合しない不要の前記アノードの延長した部位及び前記カソードの延長した部位は切断する構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の環境モニタリングセンサ。
【請求項5】
前記アノードリード線と前記カソードリード線が接続されたセンサホルダを含み、
前記センサホルダに、前記センサ本体に設けた前記アノードの延長した部位と前記カソードの延長した部位が着脱可能であり
前記アノードの延長した部位に、前記アノードリード線を接点により接合して導通可能とし、
前記カソードの延長した部位に、前記カソードリード線を接点により接合して導通可能とする構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の環境モニタリングセンサ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の環境モニタリングセンサと、
前記環境モニタリングセンサに接続して電流値を測定する電流計と、を備え、
前記測定した電流値に基づき環境モニタリングを得ることを特徴とする環境モニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大気環境中に曝される構造物の大気腐食や、空気中又は水中の微生物量をモニタリングする環境モニタリングセンサ及び環境モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
長期間にわたって自然環境に曝される構造物、例えば橋梁、標識、街灯、水門、送電鉄塔、自動車および樋門などは、大気に存在する水分、酸素、腐食性ガスおよび塩類などの要因により腐食が進行するため、定期的に腐食状況を点検し、所定の耐久性を維持させる必要がある。そこで、構造物の腐食状況を把握するために、構造物周辺の腐食環境性を測定する腐食測定装置が開発されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、環境モニタリングセンサとして、絶縁部を介して二つの異種金属を配置し、大気中に存在する水分で両金属間が連結されたことに起因して流れる電流値を測定する、いわゆるガルバニック対を利用したACMセンサ(Atmospheric Corrosion Monitor)が提案されている。このACMセンサは、例えば、炭素鋼板を切り出して第1の(アノードとなる)導電部とし、この第1の導電部上に絶縁部を介して第2の(カソードとなる)導電部を塗布することにより形成されている。このACMセンサは、ガルバニックカップルの間に水分が付着し、これにより第1の導電部と第2の導電部との間に流れる電流が増加することで、構造物周辺の腐食環境性を高精度に測定することができる。
【0004】
また、例えば、非特許文献1には、「大気腐食はどこまでわかってきたかACMセンサを利用して」として、ACMセンサの原理及びACMセンサの実用化あるいは同センサによる種々の大気環境の腐食性評価法についての開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−33470号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】独立法人 物質・材料研究機構 http://www.nims.go.jp/corrosion/ACM/cr.htm 「大気腐食はどこまでわかってきたかACMセンサを利用して」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようなACMセンサは、アノードとカソードにリード線を接合した箇所がガルバニック腐食しないようにシリコン材で覆っていた。しかし、ACMセンサを小型化した場合、シリコン材がACMセンサのセンサ評価面に近接するため、雨がかりなどでシリコン材のふちに水だまりができるとセンサ評価面に液体が接して測定に誤差を生じることがある。また、シリコン材の高さのため、ACMセンサを狭所や隙間に設置した場合、シリコン材が評価箇所に干渉するなど不都合が生じることがあった。
[*課題の説明であり、かつ図面がないと理解できないことではないことから図面は不要と考えます。]
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、センサ本体のセンサ評価面にリード線接合部のシリコン材ふちの水だまりが接して測定に誤差を生じることを防止し、またセンサ設置の自由度が向上する環境モニタリングセンサ及び環境モニタリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決し、かつ目的を達成するために、この発明は、以下のように構成した。
【0010】
請求項1に記載の発明は、絶縁層を介して一方側にアノードを、他方側にカソードを有し、大気中に存在する水分で前記アノードと前記カソード間が連結されたことに起因して流れる電流値を測定するための板状のセンサ本体を含む環境モニタリングセンサであり、
前記センサ本体は、前記電流値を測定するためのセンサ評価面を有し、
前記センサ本体から前記アノードと前記カソードを細長く棒状に延長し、
前記アノードの延長した部位の先端部、別体のアノードリード線を接合可能とし、
前記カソードの延長した部位の先端部、別体のカソードリード線を接合可能とし、
前記センサ本体のセンサ評価面から前記アノードリード線の接合部及び前記カソードリード線の接合部を離間させた構成であることを特徴とする環境モニタリングセンサである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記センサ評価面は、
前記環境モニタリングセンサのサイズにかかわらず、
同じ腐食環境におけるセンサ出力が同じになることを目的として前記アノードに隣接する前記カソードの海岸線の総延長距離が同じになるように、前記カソードのパターンを形成することを特徴とする請求項1に記載の環境モニタリングセンサである。
【0013】
請求項に記載の発明は、前記アノードと前記カソードの延長した部位は、屈曲可能であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の環境モニタリングセンサである。
【0015】
請求項に記載の発明は、前記センサ本体から前記アノードと前記カソードを複数細長く棒状に延長し、
前記アノードリード線及び前記カソードリード線を接合しない不要の前記アノードの延長した部位及び前記カソードの延長した部位は切断する構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の環境モニタリングセンサである。
【0016】
請求項に記載の発明は、前記アノードリード線と前記カソードリード線が接続されたセンサホルダを含み、
前記センサホルダに、前記センサ本体に設けた前記アノードの延長した部位と前記カソードの延長した部位が着脱可能であり
前記アノードの延長した部位に、前記アノードリード線を接点により接合して導通可能とし、
前記カソードの延長した部位に、前記カソードリード線を接点により接合して導通可能とする構成であることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の環境モニタリングセンサである。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の環境モニタリングセンサと、
前記環境モニタリングセンサに接続して電流値を測定する電流計と、を備え、
前記測定した電流に基づき環境モニタリングを得ることを特徴とする環境モニタリング装置である。
【発明の効果】
【0018】
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
【0019】
請求項1乃至請求項に記載の発明では、センサ本体からアノードと前記カソードを細長く棒状に延長し、アノードの延長した部位の先端部、別体のアノードリード線を接合可能とし、カソードの延長した部位の先端部、別体のカソードリード線を接合可能とし、センサ本体のセンサ評価面からアノードリード線の接合部及びカソードリード線の接合部を離間させた構成であり、センサ評価面にリード線接合部のシリコン材ふちの水だまりが接して測定に誤差を生じることを防止し、またリード線接合部が干渉するなどの不都合がなくなり、センサ設置の自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1の形態の環境モニタリングセンサの平面図である。
図2】環境モニタリングセンサの断面図である。
図3】環境モニタリングセンサの設置状態を示す図である。
図4】センサ評価面のパターンを示す図である。
図5】第2の形態の環境モニタリングセンサの平面図である。
図6】第3の形態の環境モニタリングセンサの平面図である。
図7】第4の形態の環境モニタリングセンサの平面図である。
図8】第5の形態の環境モニタリング装置の斜視図である。
図9】環境モニタリング装置の平面図である。
図10】環境モニタリング装置の断面図である。
図11】環境モニタリング装置の動作を示す図である。
図12】データロガーの処理を示す図である。
図13】鉄の腐食速度と腐食測定装置の出力の日平均電気量(Q)の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の環境モニタリングセンサ及び環境モニタリング装置の実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
【0022】
(環境モニタリングセンサの構成)
[第1の形態]
この実施の形態の環境モニタリングセンサを、図1及び図2に基づいて説明する。図1は環境モニタリングセンサの平面図、図2は環境モニタリングセンサの断面図、図3は環境モニタリングセンサの設置状態を示す図、図4はセンサ評価面のパターンを示す図である。
【0023】
この環境モニタリングセンサ(ACMセンサ)1は、アノード2と、カソード3とを有し、アノード2とカソード3との間の電流を測定するためのセンサであり、アノード2とカソード3との間に絶縁層4を介在させた構成である。
【0024】
アノード2は、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、銅板などが用いられ、メッキ、合金、純金属であってもよい。カソード3は、銀(Ag)、カーボン(C)などを導電性ペーストによって成形したものである。例えば、絶縁層4の表面にカソード3を、導電性ペーストをスクリーン印刷して熱硬化させて成形する。カソード3は、導電性を有し、例えば重量比50%以上の銀(Ag)、カーボン(C)などを含むことが好ましい。
【0025】
この実施の形態では、アノード2が平面から見て略正方形であり、この一辺の両側端部を細長く外方に延長し、この延長した部位2a,2bに絶縁層4を延長して設ける。アノード2の延長した部位2bには、カソード3を延長させて延長した部位3aを設ける。
【0026】
アノード2の延長した部位2aには、その先端にリード線取付部2a1が設けられ、アノードリード線を接合可能としている。カソード3の延長した部位3aには、その先端にリード線取付部3a1が設けられ、カソードリード線を接合可能としている。
【0027】
環境モニタリングセンサ(ACMセンサ)1の厚みは、従来のセンサと同様に、例えば厚さ0.8mmでもよいが、例えば厚さ0.2mm以下の薄型とし、アノード2とカソード3の延長した部位2a,3aが屈曲可能である構成としてもよい。また、環境モニタリングセンサ全体も薄型とし、屈曲可能にしてもよい。
【0028】
このように、アノード2とカソード3を延長し、アノード2の延長した部位2aにアノードリード線を接合可能とし、カソード3の延長した部位3aにカソードリード線を接合可能とすることで、リード線取付部2a1とリード線取付部3a1のリード線接合部をセンサ評価面5から離間させている。このため、例えば、図3(a)に示すように、環境モニタリングセンサ(ACMセンサ)1を小型化し、リード線取付部2a1とリード線取付部3a1のリード線接合部に、それぞれアノードリード線11aとカソードリード線11bを接合し、この接合した箇所が腐食しないようにシリコン材11a1,11b1で覆っても、シリコン材11a1,11b1がセンサ評価面5から離間している。したがって、雨がかりなどでシリコン材11a1,11b1のふちに水だまりができることがあっても、センサ評価面5に雨など液体が接することがなくなり、測定に誤差を生じることを防止できる。
【0029】
また、環境モニタリングセンサ(ACMセンサ)1は、図3(b)に示すように、施設50の狭所や隙間に設置した場合でも、リード線接合部のシリコン材11a1,11b1がセンサ評価面5から離間しており、シリコン材11a1,11b1に高さであっても施設50などの障害物に干渉するなどの不都合がなくなり、センサ設置の自由度が向上する。
【0030】
また、環境モニタリングセンサ(ACMセンサ)1の厚みを、例えば厚さ0.2mm以下の薄型とすることで、図3(c)に示すように、アノード2とカソード3の延長した部位2a,3aが屈曲可能であり、環境モニタリングセンサ(ACMセンサ)1を設置する施設50の曲面に沿って取り付けることができる。さらに、図3(d)に示すように、環境モニタリングセンサ(ACMセンサ)1の全体が屈曲可能であり、環境モニタリングセンサ(ACMセンサ)1の全体を設置する施設50の曲面に沿って取り付けることができる。
【0031】
環境モニタリングセンサ1は、アノード2とカソード3との間の電流を測定するためセンサ評価面5を有し、このセンサ評価面5のパターンは、図1乃至3の実施の形態では、櫛状により外形が円形になるようにカソード3のパターンを形成しているが、これに限定されず、図4に示すように、カソード3のパターンの外形は丸ではなく四角い形状にしてもよく、外形の形状は特に限定されない。また、カソード3のパターンは、櫛状、短冊状に限定されず、種々の形状を採用することができる。
【0032】
センサ評価面5のパターンは、図4(a)では、環境モニタリングセンサ1が大きいサイズに形成され、図4(b)では、環境モニタリングセンサ1が小さいサイズに形成されているが、環境モニタリングセンサ1のサイズの大小にかかわらず、同じ腐食環境におけるセンサ出力が同じになることを目的としてアノード2に隣接するカソード3の海岸線の総延長距離が同じになるように、カソード3のパターンを形成する。このアノード2に隣接するカソード3の海岸線の総延長距離は、図1乃至3の実施の形態の短冊状により外形が円形になるように形成したカソード3のパターンでも同じになるように形成される。
【0033】
[第2の形態]
この実施の形態の環境モニタリングセンサを、図5に基づいて説明する。図5は環境モニタリングセンサの平面図である。この実施の形態は、アノード2が平面から見て略長方形であり、この略長方形とすることで外方に延長し、この延長した部位2c,2dに絶縁層4を延長して設け、延長した部位2dには、カソード3を延長させて延長した部位3aを設ける。
【0034】
アノード2の延長した部位2cには、その先端にリード線取付部2c1が設けられ、アノードリード線を接合可能としている。カソード3の延長した部位3aには、その先端にリード線取付部3a1が設けられ、カソードリード線を接合可能としている。
【0035】
[第3の形態]
この実施の形態の環境モニタリングセンサを、図6に基づいて説明する。図6は環境モニタリングセンサの平面図である。この実施の形態は、第1の形態と同じようにアノード2が平面から見て略正方形であるが、対向する辺の略中央部を細長く外方に延長し、この延長した部位2e,2fに絶縁層4を延長して設け、延長した部位2fには、カソード3を延長させて延長した部位3bを設ける。
【0036】
アノード2の延長した部位2eには、その先端にリード線取付部2e1が設けられ、アノードリード線を接合可能としている。カソード3の延長した部位3bには、その先端にリード線取付部3b1が設けられ、カソードリード線を接合可能としている。
【0037】
[第4の形態]
この実施の形態の環境モニタリングセンサを、図7に基づいて説明する。図7は環境モニタリングセンサの平面図である。この実施の形態の環境モニタリングセンサ1は、第1の形態と第3の形態を組み合わせた構成であり、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。アノード2とカソード3の延長は、それぞれ2カ所に設けているが、アノードリード線及びカソードリード線を接合しない不要の延長は切断する。
【0038】
また、この実施の形態では、アノード2とカソード3の延長は、それぞれ2カ所に設けているが、これに限定されず1カ所に延長を設けてもよく、同様にアノードリード線及びカソードリード線を接合しない不要の延長は切断する。
【0039】
[第5の形態]
この実施の形態の環境モニタリング装置を、図8に基づいて説明する。図8は環境モニタリング装置の斜視図である。この実施の形態の環境モニタリング装置1は、アノード2が平面から見て略正方形であり、この一辺の両側端部を細長く外方に延長し、この延長した部分2kに絶縁層4を延長して設け、延長した部位2kには、カソード3を延長させて延長した部位3cを設ける。
【0040】
アノード2の延長した部位2jは、その先端にアノードリード線を接点により接合して導通可能としている。カソード3の延長した部位3cは、その先端にカソードリード線を接点により接合して導通可能としている。この実施の形態は、リード線11a,11bが接続されたセンサホルダ30を含み、リード線11a,11bには、図示しない端子が接続されている。センサホルダ30に、アノード2の延長した部位2jと、カソード3の延長した部位3cが着脱可能な構成であり、センサホルダ30に装着することによってアノード2の延長した部位2jの先端と、カソード3の延長した部位3cの先端が、それぞれのリード線11a,11bの端子に接触して導通する。
【0041】
このように、センサホルダ30に環境モニタリングセンサ1を着脱可能とする構成であり、アノード2とカソード3を延長し、アノード2の延長した部位2jにアノードリード線を接点により接合して導通可能とし、カソード3の延長した部位3cにカソードリード線を接点により接合して導通可能とすることで、リード線の接点導通部をセンサ評価面5から離間させている。
【0042】
(環境モニタリング装置の構成)
この実施の形態の環境モニタリング装置を、図9及び図10に基づいて説明する。図9は環境モニタリング装置の平面図、図10は環境モニタリング装置の断面図である。
【0043】
この実施の形態の環境モニタリング装置10は、第1の形態の環境モニタリングセンサ1と、環境モニタリングセンサ1にリード線11a,11bを介して接続してアノード2とカソード3との間の電流を測定する電流計12と、データロガー13を備え、測定した電流に基づき環境モニタリングを得る。電流計12は、無抵抗電流計であり、測定した電流値をデータロガー13に送信する。環境モニタリングセンサは、第1の形態に限定されず、第2の形態乃至第5の形態も同様に用いることができる。
【0044】
[腐食測定]
環境モニタリングとして腐食測定を、図11乃至図13に基づいて説明する。図11は環境モニタリング装置の動作を示す図、図12はデータロガーの処理を示す図、図13は鉄の腐食速度と腐食測定装置の出力の日平均電気量(Q)の関係を示す図である。
【0045】
この環境モニタリング装置10は、長期間にわたって自然環境に曝される構造物、例えば橋梁、標識、街灯、水門および樋門、送電鉄塔、自動車などに設置される。構造物は、大気に存在する水分、酸素、腐食性ガスおよび塩類などの腐食成分と接触して腐食が進行するため、環境モニタリング装置10により構造物周辺の腐食環境性を測定し、構造物の腐食状況を把握するために用いられる。
【0046】
この環境モニタリング装置10は、2以上の環境モニタリングセンサ1を設けてもよく、その場合には、それぞれの環境モニタリングセンサ1にリード線11a,11bを接続し、それぞれの環境モニタリングセンサ1をリード線11a,11bを介して1の電流計12に接続して電流を測定することもできる。以下、1のみの環境モニタリングセンサ1を用いた場合について説明するが、2以上の環境モニタリングセンサ1を用いる場合も同様である。
【0047】
この環境モニタリングセンサ1は、環境因子により電気化学的に発生する出力電流値から腐食量を測定(推定)できるセンサであり、アノード2とカソード3間の絶縁抵抗が、例えば10MΩ以上、好ましくは1GΩ以上である。環境モニタリングセンサ1を大気中に暴露すると、例えば降雨や結露などによってアノード2とカソード3間に水膜が形成されてガルバニック電流が流れ、この電流を電流計12によって測定する。電流計12は、無抵抗電流計であり、測定した電流値をデータロガー13に送信する。
【0048】
発生する電流の値は、水膜が接触するアノード2の腐食速度に比例し、データロガー13としてコンピュータ又はマイクロプロセッサを用いる。
【0049】
以下、データロガー13の動作について説明する。データロガー13は、電流計12から、測定された電流値を受信する。電流値受信の時間間隔は、適宜に設計してよい。電流計12は、電流値を常時出力(測定)しているので、受信(計測)間隔を任意に設定可能である。例えば、10分につき1回とすることができる。
【0050】
データロガー13は、環境モニタリング装置10またはデータロガー13に設けられたスイッチの操作によって処理を開始する。
【0051】
電流計12によって、電流値が測定され、データロガー13に送信される。データロガー13は測定値を受信する(ステップ71)。データロガー13は、測定値を腐食量に変換する。
【0052】
データロガー13は、測定値に異常値があるか否かを判定する(ステップ72)。ここで、異常値であるか否かの判定は、値が電流計12に接続された湿度センサの値と相関があるか、環境モニタリングセンサ1では原理上ないマイナスの値かどうかによることができる。
【0053】
異常値が検出された場合、データロガー13は、警告を行う(ステップ73)。警告は、ディスプレイへの表示、音声の出力、その他適宜な手段で行うことができる。
【0054】
異常値検出の有無にかかわらず、データロガー13は、測定値を記録する(ステップ74)。この記録は、各種分析に役立てることができる。なお、記録と合わせてディスプレイへの表示を行ってもよい。
【0055】
データロガー13は、何らかの終了条件が満たされた場合には、処理を終了する(ステップ75)。例えば、環境モニタリングセンサ1またはデータロガー13に設けられたスイッチの操作による場合である。ただし、継続的にモニタリングをするため、Noに分岐して継続的な処理を行うことが一般的である。
【0056】
以上詳細に説明したように、環境モニタリングセンサ1は、アノード2とカソード3間に薄い水膜が形成されてガルバニック電流が流れ、この電流を、電流計12によって測定する。電流は、腐食速度と相関関係があるので、大気環境の腐食性のモニタリングをリアルタイムで行うことができる。
【0057】
大気環境の腐食性のモニタリングは、雨が直接かかる屋外においては、腐食測定装置の出力の大きさと経時変化とから、結露・乾燥・降雨の各期間を検出でき、それらの時間を測定できる。こうして求めたぬれ時間(降雨時問)は、湿度だけでなく付着海塩量にも依存し、「温度0℃以上で湿度80%以上」と気象条件だけで決まるとする国際標準化機構(ISO)方式では求めることができない。
【0058】
雨が直接かからない環境では、鉄の腐食速度と腐食測定装置の出力の日平均電気量(Q)とには対応関係があり、海塩付着量や湿度条件などの環境条件によらず、日平均電気量(Q)から鉄の腐食速度を推定できる。
【0059】
このように、環境モニタリング装置10は、環境モニタリングセンサ1において得られる環境因子により電気化学的に発生する金属の腐食に基づく出力電流値から腐食量を測定(推定)でき、その出力電流を解析することにより、環境の腐食性を直接、かつ定量的に評価することが可能で、電流は腐食速度と相関関係があるので、大気環境の腐食性をモニタリングすることができる。
【0060】
ここで、付着海塩量は、所定の海塩を、腐食測定装置に付着させ、出力および相対湿度RHの関係式を示す較正曲線を用いて付着海塩量を推定することができる。較正曲線から求められた式は、相対湿度RHに比例しているので、相対湿度RHは付着海塩量を求めるのに必要となる。
【0061】
また、鉄の腐食速度と腐食測定装置の出力の日平均電気量(Q) は、図8に示すように、直線関係にある。したがって、日平均電気量(Q)から腐食速度を求めることができる。
【0062】
[微生物量測定]
この環境モニタリング装置10は、病院内の空気中、あるいはプール等の水中に設けられる。アノード2に微生物が接触することにより、アノード2に自由電子が発生し、アノード2とカソード3との間に電流を生じる。その仕組みは、日本公衛誌 第60巻 第9号によれば、以下のものである。
【0063】
まず、微生物のチオール(スルフヒドリル:「RSH」で表す)と反応するため、銅イオンCu2+が発生する。同時に自由電子も発生する。
Cu→Cu2++2e (1)
【0064】
銅イオンCu2+は、微生物のチオールと反応する。
2Cu2++2RSH→2Cu+RSSR+2H (2)ここで、RSSRはジスルフィドを表す。
前記反応で生成された1価の銅イオンは、空気中又は水中の酸素と反応して過酸化水素発生する。発生した過酸化水素と1価の銅イオンが反応して、水酸基を発生する。これにより、抗菌作用を持つ。2Cu+2H+O→2Cu2++H (3)
Cu+2H→Cu2++OH+・OH (4)
ここで「・OH」はヒドロオキシルラジカルを表す。
【0065】
以上の反応において、(1)に示すとおり、アノード2に自由電子が発生する。
【0066】
自由電子が、リード線11a,11bの中をカソード3に向けて移動し、電流が発生する。この電流を、電流計12によって測定する。
【0067】
発生する電流の値は、微生物の濃度(単位面積のアノード2に接触する数)及びアノード2の表面積に比例する。ここで、アノード2の表面積は固定値であるので、発生する電流の値によって微生物の濃度を測定することができる。
【0068】
また、電流値と微生物濃度との関係は、アノード2の表面積によって定まるものであり、電流値に定数を演算することで微生物濃度を求めることができる。データロガー13としてコンピュータ又はマイクロプロセッサを用いることで、かかる演算を行うことができる。
【0069】
以上詳細に説明したように、この環境モニタリング装置10は、アノード2と微生物との反応によって発生する電流を、電流計12によって測定して微生物量をリアルタイムで測定する。
【0070】
この環境モニタリング装置10を活用して、データロガー13による環境モニタリングが可能である。
【0071】
この環境モニタリング装置10を医療施設に設置し、微生物を検出すると警告を出して対処を促すことができる。また、複数の環境モニタリング装置10をネットワークで接続して感染経路を特定して、治療・予防に活用することもできる。
【0072】
また、この環境モニタリング装置10は、学校、鉄道駅、高齢者介護施設等の公共施設において感染症予防に活用することもでき、さらにプール等における水中の微生物量を測定して感染症予防に活用することもでき、あるいは食品工場における細菌検査に活用することもできる。また、病原菌等の貯蔵施設における病原菌流出防止にも活用できる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
この発明は、大気環境中に曝される構造物の大気腐食や、空気中又は水中の微生物量をモニタリングする環境モニタリングセンサ及び環境モニタリング装置に適用でき、センサ本体のセンサ評価面にリード線接合部のシリコン材ふちの水だまりが接して測定に誤差を生じることを防止し、またセンサ設置の自由度が向上する。


【符号の説明】
【0074】
1 環境モニタリングセンサ
2 アノード
2a,2b,2c,2d,2e,2f,2j,2k 延長した部位
3 カソード
3a,3b,3c 延長した部位
4 絶縁層
5 センサ評価面
10 環境モニタリング装置
11a,11b リード線
12 電流計
13 データロガー
【要約】      (修正有)
【課題】センサ評価面にリード線接合部のシリコン材ふちの水だまりが接して測定に誤差を生じることを防止し、またセンサ設置の自由度が向上する環境モニタリングセンサ及び環境モニタリング装置を提供する。
【解決手段】アノード2と、カソード3とを有し、アノード2とカソード3との間の電流を測定するための環境モニタリングセンサ1であり、アノード2とカソード3との間の電流を測定するためセンサ評価面5に対し、アノード2とカソード3を延長し、アノード2の延長した部位に、アノードリード線を接合可能とし、カソード3の延長した部位に、カソードリード線を接合可能とする。
【選択図】図1
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