特許第6304977号(P6304977)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304977
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】インビトロ診断システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/04 20060101AFI20180326BHJP
   G01N 35/10 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   G01N35/04 G
   G01N35/10 C
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-185145(P2013-185145)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-52376(P2014-52376A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2016年8月22日
(31)【優先権主張番号】12183261.2
(32)【優先日】2012年9月6日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510259921
【氏名又は名称】シーメンス ヘルスケア ダイアグノスティクス プロダクツ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】アヒム ヘルツ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ヴィーデキント‐クライン
【審査官】 長谷 潮
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−059008(JP,A)
【文献】 特開2003−057249(JP,A)
【文献】 特開平05−346433(JP,A)
【文献】 特開2012−032309(JP,A)
【文献】 特開2003−344427(JP,A)
【文献】 特開昭63−175749(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/012779(WO,A2)
【文献】 特開2010−203773(JP,A)
【文献】 特開2011−078969(JP,A)
【文献】 特開2003−080487(JP,A)
【文献】 特開昭61−275660(JP,A)
【文献】 特開2006−349502(JP,A)
【文献】 特開2007−139704(JP,A)
【文献】 米国特許第05273717(US,A)
【文献】 特開平08−043403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00−35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移送システム(1)と、多次元移動可能な可動素子(2)と、前記移送システム(1)の位置決めを調節するための調節システム(3)とを備えたインビトロ診断システムあって、
前記調節システム(3)が、
接触素子(4)と、
弾性構成要素により形成され、前記接触素子(4)と前記可動素子(2)とを結合する結合素子(5)と、
前記接触素子(4)と前記可動素子(2)との間の距離を測定する距離測定センサ(7、8)と、
を含み、
前記調節システム(3)が、前記距離測定センサ(7、8)により測定された距離の相対的な変化に基づいて、前記移送システム(1)の位置決め調節を行なう、インビトロ診断システム。
【請求項2】
前記距離測定センサ(7、8)がホールセンサ(8)および磁石(7)を含む請求項1記載のインビトロ診断システム
【請求項3】
前記ホールセンサ(8)が前記可動素子(2)に配置され、前記磁石(7)が前記接触素子(4)に配置されている請求項2記載のインビトロ診断システム
【請求項4】
前記結合素子(5)が、前記接触素子(4)を前記可動素子(2)に対して、多次元移動をさせることが可能に構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載のインビトロ診断システム
【請求項5】
前記結合素子(5)が、前記接触素子(4)と前記可動素子(2)とを結合するゴム体から成る請求項1から4のいずれか一項に記載のインビトロ診断システム
【請求項6】
前記接触素子(4)に機能装置(6)が配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載のインビトロ診断システム
【請求項7】
前記機能装置(6)が把持装置およびピペット装置の少なくとも一方を含む請求項6記載のインビトロ診断システム
【請求項8】
前記機能装置(6)が、前記結合素子(5)に関して、前記距離測定センサ(7、8)の反対側に配置されている請求項6または7記載のインビトロ診断システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インビトロ(in−vitro)診断システムにおける移送システム用の調節システムに関する。調節システムは、移送システムの可動素子に配置される接触素子を含む。
【背景技術】
【0002】
今日、体液試料または生物学的試料における生理学的なパラメータを測定するための、複数の検出方法および分析方法が、in−vitro診断システムに対応する、数多くの自動化された方法において実行されている。これのために、試料、試薬用、実際の検出反応にも適している、キュベットとも呼ばれる容器が使用される。これらは、通常、閉じた壁を含み、場合により、分析される各試薬を保持するための密封可能な開口を含む。
【0003】
最新の機器は、1つの試料についての非常に多数の検出反応および分析を実行可能である。この目的を達成するために、このようなin−vitro診断システムは、通常、反応容器用の保持位置および、保持位置に関連する分析システムを含む。複数の処理工程を含む複雑な試験方法に関して、試料容器は一般的に種々の添加位置および/または反応位置に複数回運ばれる。自動化方法において、多数の実験を実行可能にするために、自動分析器は、移送システム、すなわち、容器の空間移送装置、例えば、移送アーム、輸送ベルト、回転可能な輸送ホイールもしくはディスクを含む。ここで、機器は適切なソフトウェアによる制御ユニットを含む。ソフトウェアは、大部分は独立して、所望の分析用の作業工程を計画し、実施することが可能である。
【0004】
in−vitro診断システムを組み立てる際、特に移送システムの位置決めに関して一定量の誤差が常にある。しかしながら、自動化された手順および正確な相互作用のための正確な位置決めデータが必要とされるので、正確な調節が必要である。これは、調節マークの支援を伴って手動的にまたは他に自動的に生じ得る。
【0005】
自動調節のために、通常第一に、移送システムの各可動素子の駆動部、例えば移送アームの一部に適切なセンサがある。センサは、制御ユニットに対して、駆動部の現在位置情報を提供する。ついで、移送アームは、制御ユニットにより調節マークに向かって動かされる。従来公知の調節システムは、多くの場合、接触素子が調節マーク上の小さな金属表面に導かれる際に可動素子上のニードルによる静電原理で動作する。接触が識別された場合、制御ユニットは、駆動部の関連した位置を記憶する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、インビトロ(in−vitro)診断システムにおける移送システムの高速自動調節を可能にする調節システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、この課題は、結合素子により可動素子に配置される接触素子の長所により達成される。結合素子は自己復帰形に設計され、接触素子と可動素子との間の距離に距離測定センサが関係する。
【0008】
本発明の利点は、インビトロ(in−vitro)診断システムにおける移送システムの高速の自動調節であり、この自動調節は、固く、比較的繊細な構成要素、例えば、特に従来使用された静電測定用ニードルを用いることなく調節がなされる場合に可能である。接触素子は移送システムの可動素子に据付けられかつ自己復帰形に設計されている、すなわち、結合が、規定された静止位置からそれる場合に、例えばばねまたは他の弾性構成要素の作用により、再復帰力を生じるならば、接触は接触素子の振れおよび結合により確立され得る。この目的を達成するために、接触素子と可動素子との間の距離に距離測定センサが関係する。その際、距離測定センサが距離の正確な連続的な絶対値を確立可能にするのではなく、むしろ距離の相対的な変化の簡易な測定が十分であればよい。これは、in−vitro診断システムにおける規定の調節マークとの接触が、静止位置からそれることにより既に識別され、従って位置決め調節が行われ得るからである。
【0009】
距離測定センサは有利にはホールセンサおよび磁石を含む。ここで、それぞれ、磁石は構成要素の1つに取り付けられ、ホールセンサは他の構成要素に取り付けられる。磁石とホールセンサとの間の相対的位置の変化は、ホールセンサ内に発生する磁場の変化をもたらし、従って調節マークに接触する接触素子の識別を可能にする。ここで、磁石およびホールセンサがそれぞれ構成要素の1つに取り付けられているので、ホールセンサに対する磁石の相対位置の変化が定量的に捕捉され得る。結合素子の自己復帰特性の結果として、磁石は、常に、接触素子に接触することのないホールセンサから同じ距離にあり、従ってここで同じ磁場が常に印加される。例えば、携帯電話からの電磁場による外的影響に対して特に抵抗力がある点で、磁気距離センサシステムは容量性センサに対して特に有利である。
【0010】
ここで、ホールセンサは有利には可動素子に配置され、磁石は接触素子に配置される。原則として、距離を測定するための設計は、対称的に互換性がある。しかしながら、磁石は単に受動素子であり、一方ホールセンサは能動性の信号生成素子を構成する。信号はどんな場合でも可動素子および制御ユニット内のその駆動部に送られる。このような取り付けにより、信号経路が短縮され、構造が簡易化される。
【0011】
有利な実施形態において、結合素子は多次元移動用に設計される。これは、調節が同じ接触素子により各空間方向において行われ得るので、調節の顕著な簡易化をもたらす。接触素子が調節マークに接触すると、結合の移動方向は接近方向に応じて変化するが、接触はどんな場合でも距離の変化に関係付けられ、距離測定センサが接触に反応する。
【0012】
特に有利な実施形態において、結合素子は、接触素子と可動素子とを結合するゴム体から成る。この結果は結合素子の特に簡易な実施形態となる。なぜなら、ゴムは、有利な特性、すなわち、結合が長期間持続すること、ほとんど修理を必要としないこと、ゴムが各次元に移動可能であること、および、その弾力性により自主的に静止位置に復帰することに関係するからである。
【0013】
移送システム、より具体的に移送アームは、典型的に機能装置を有する。機能装置は、典型的に移送アームの端部に配置され、移送アームの特定の用途に応じて種々の構造を有する。この機能装置は有利には接触素子に配置される。一方、これは調節の精度を向上させる。というのは、機能装置が、まさに、インビトロ(in−vitro)診断システムの他の構成要素と相互作用する移送システムの構成要素であり、従って正確に調節されなければならないからである。一方、自己復帰形の結合素子は、機能装置用の懸架要素として機能し、in−vitro診断システムの他の構成要素と相互作用する際に必要とされ得る。
【0014】
機能装置は、有利には、試料もしくは試薬の容器を把持するための把持装置、および/または、液体を輸送するためのピペット装置を含む。
【0015】
更なる有利な実施形態において、結合素子に関して、機能装置は、距離測定センサから離れて対向する側に配置されている。その結果、接触素子は実際に結合素子に対するレバーとして機能する。その結果、結合素子からの距離測定センサの距離が増加され得る。その結果、距離測定センサの振れも増加する。これにより、測定精度が改善される。
【0016】
in−vitro診断システム用の移送システムは有利には前述の調節システムを含む。自動化in−vitro診断システムは、同様に有利には、このような移送システムおよび/または前述の調節システムを含む。
【0017】
特に、結合を介して取り付けられた距離測定センサを有する接触素子を使用する結果として捕捉可能な、三次元全てにおける小さな機械的移動からなり、本発明により達成される利点は、より速く、より正確な調節を可能にする。特に、手動調節はもはや不要である。機器は、最新の状態を自動的に捕捉し、直ちにかつユーザーによる支援を必要とすることなく確立された要因を利用し得る。ここで、調節は、3つの空間方向全てに可能であるので、移動方向に制限がない。
【0018】
本発明は、図面に基づいて、より詳細に説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1の空間方向における自動調節中の移送アーム形式の移送システムの模式図を示す。
図2図2は、第2の空間方向における自動調節中の移送システムの模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
全ての図において、同じ部分には、同じ参照符号が付される。
【0021】
図1は、インビトロ(in−vitro)診断システム(図示せず)における移送アームの形式の移送システム1の模式図を示す。移送システム1は可動素子2を含む。可動素子2は駆動部(より詳細には説明しない)により自由に移動可能である。可動素子は制御ユニット(同様に、より詳細には説明しない)により制御される。駆動部上に適切なセンサがあり、センサが駆動部の現在位置についての情報を制御ユニットに提供する。
【0022】
移送システム1の正確な調節のために、調節システム3が設けられ、調節システム3は、結合素子5により移送システム1の可動素子2に取り付けられる接触素子4を含む。結合素子5は2つのゴムブロックからなる。ゴムブロックは、ぞれぞれの距離で、接触素子4と可動素子2とを結合する。従って、結合素子5は、接触素子4および可動素子2の互いに関連する多次元移動を可能にするが、自主的に静止位置に復帰する。
【0023】
接触素子4に、キュベット把持部として設計された機能装置6が配置されている。機能装置6は、試料または試薬の容器を把持するのに役立つ。ついで、これらは移送システム1によりインビトロ(in−vitro)診断システム内に輸送される。機能装置6から離れた接触素子4の端部に磁石7が配置されている。可動素子2上の対向領域では、プリント回路板9上のホールセンサ8が磁石7に対応している。ホールセンサ8は、磁場の変化により、各方向における磁石7の相対位置の変化を検出し、この情報をプリント回路板9を介して制御ユニットに提供する。従って、磁石7およびホールセンサ8は距離測定センサを形成する。
【0024】
調節は、調節マーク10に繋がれる接触素子4の長所により行われる。図1では、移送システムはA方向に移動される。測定された位置において、機能装置6を有する接触素子4は調節マーク10に突き当たる。この瞬間、接触素子4は回避動作Bを行う。これは、結合素子5の弾力性の結果として可能である。静止位置において、接触素子4の磁石7およびホールセンサ8は互いに特定の距離にある。接触素子4の回避動作は、動作Cによって示されるこの距離の変化をもたらす。これにより、ホールセンサ8により測定される磁場の強度が変化する。従って、調節マーク10の位置が特定され、調節のための制御ユニットにより評価される。
【0025】
図2に、図1の半透明図に示された、R方向からの図1の移送システム1を示す。図1の全ての構成要素をここにも示す。ただし、図2には、他の空間方向における調節が可能であることも示す。調節マーク10に対する動作方向を、もう一度、動作Aとして示す。なお、動作Aは、図1における動作Aに対して垂直である。この方向への調節は、動作BおよびCに示すように、調節システム3の変更なしに可能である。
【符号の説明】
【0026】
1 移送システム
2 可動素子
3 調節システム
4 接触素子
5 結合素子
6 機能装置
7 磁石
8 ホールセンサ
9 プリント回路板
10 調節マーク
図1
図2