特許第6304997号(P6304997)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6304997差し込み式接続エレメントのコンタクトチャンバ内に係止されるコンタクト並びに差し込み式接続エレメント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6304997
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】差し込み式接続エレメントのコンタクトチャンバ内に係止されるコンタクト並びに差し込み式接続エレメント
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/42 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   H01R13/42 H
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-209894(P2013-209894)
(22)【出願日】2013年10月7日
(65)【公開番号】特開2014-78507(P2014-78507A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2016年10月5日
(31)【優先権主張番号】10 2012 218 234.9
(32)【優先日】2012年10月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ シュマッツ
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ ヴィットマン
【審査官】 楠永 吉孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−326638(JP,A)
【文献】 特開平10−162891(JP,A)
【文献】 米国特許第5997363(US,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1962386(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40〜13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁(16)と、下壁(17)と、互いに向かい合って位置する2つの側壁(18,19)とを備えたコンタクトボックス(13)と、
前記上壁(16)から斜めに外方に向かってばね弾性的に突出する一次ロックランス(14)とを有している、
差し込み式接続エレメント(1)のコンタクトチャンバ(7)内に係止されるコンタクト(10)であって、
少なくとも1つの前記側壁(18,19)は、前記一次ロックランス(14)に側方で隣接する領域(23)で、前記上壁(16)の平面を越えて外方に向かって突出しており、少なくとも1つの前記側壁(18,19)の外側に位置する縁部(22)は、前記一次ロックランス(14)の側縁(26)に被さっていて、これにより前記一次ロックランス(14)の外方に向かう湾曲に対抗して形状接続的に作用し、
前記側壁(18,19)の、外側に位置する被さる前記縁部(22)は、外方に向かって突出する前記一次ロックランス(14)の全長にわたって延びていることを特徴とする、差し込み式接続エレメント(1)のコンタクトチャンバ(7)内に係止されるコンタクト。
【請求項2】
少なくとも1つの前記側壁(18,19)の外側に位置する前記縁部(22)は、少なくとも、前記一次ロックランス(14)の、前記上壁(16)を越えて最も突出している領域における前記一次ロックランス(14)の中央領域(25)には被さっていない、請求項1記載のコンタクト。
【請求項3】
前記側壁(18,19)の、外側に位置する被さる前記縁部(22)は、前記一次ロックランス(14)の前記側縁(26)に、無負荷状態で機械的に接触している、請求項1又は2記載のコンタクト。
【請求項4】
少なくとも1つの前記側壁(18,19)は、前記一次ロックランス(14)に隣接する前記領域(23)で、導入傾斜部(27)を形成しており、該導入傾斜部(27)の壁高さは、前記コンタクトチャンバ(7)内への当該コンタクト(10)の導入方向(15)とは逆方向で増大している、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンタクト。
【請求項5】
少なくとも1つの前記側壁(18,19)は、前記導入方向(15)で見て前記一次ロックランス(14)の後方の領域で、導出傾斜部(28)を形成しており、該導出傾斜部(28)の壁高さは、前記コンタクトチャンバ(7)内への当該コンタクト(10)の前記導入方向(15)とは逆方向で減少している、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンタクト。
【請求項6】
前記一次ロックランス(14)は、前記コンタクトボックス(13)及び該コンタクトボックス(13)の前記側壁(18,19)と一体的に形成されている、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンタクト。
【請求項7】
前記両側壁(18,19)は、前記一次ロックランス(14)に側方で隣接する領域(23)で、前記上壁(16)の平面を越えて外方に向かって突出しており、前記両側壁(18,19)の外側に位置する縁部(22)は、前記一次ロックランス(14)の側縁(26)にそれぞれ被さっていて、これにより前記一次ロックランス(14)の外方に向かう湾曲に対抗して形状接続的に作用する、請求項1からまでのいずれか1項記載のコンタクト。
【請求項8】
少なくとも1つのコンタクトチャンバ(7)と、該コンタクトチャンバ(7)に一次ロックランス(14)によって係止される、請求項1からまでのいずれか1項記載の少なくとも1つのコンタクト(10)とを有している、差し込み式接続エレメント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差し込み式接続エレメントのコンタクトチャンバ内に係止するために設けられたコンタクトに関する。さらに本発明は、このようなコンタクトを備えた差し込み式接続エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
特に自動車での使用のためにしばしば差し込み式接続エレメントが使用され、この差し込み式接続エレメントでは、複数のコンタクトがそれぞれ、差し込み式接続エレメントとして形成されたコネクタ又はソケットのコンタクトチャンバ内に導入され、ここで位置固定される。この場合、差し込み式接続エレメントはコンタクト支持体として働く。
【0003】
適合する対応コンタクトとコンタクトするように形成された例えば直方体のコンタクトボックスが前方領域に設けられているコンタクトにはそれぞれ、まず、例えばケーブルの形の電気的ラインが、例えば圧着固定により、コンタクトの後端部に取り付けられる。次いでこのコンタクトは、差し込み式接続エレメントのコンタクトチャンバの1つに導入される。
【0004】
この場合に、コンタクトに設けられたいわゆる一次ロックランス(Primaerverriegelungslanze)が、このコンタクトをコンタクトチャンバに係止するために働く。この場合、一次ロックランスは、コンタクトボックスから外方に向かって突出しており、ばね弾性的にコンタクトボックスに向かって変位することができる。このコンタクトをコンタクトチャンバ内に挿入する際に、一次ロックランスはまず、コンタクトチャンバに設けられた適当な切欠に達するまで、ばね弾性的に内方に向かって変位し、次いで一次ロックランスはばね弾性的に外方に向かって変位し、これによりコンタクトをコンタクトチャンバ内で前記切欠に形状接続的に係止させる。
【0005】
DE102009054705A1号明細書には、差し込み式接続部用の、突出する一次ロックランスが設けられた従来の電気的なコンタクトが記載されている。
【0006】
しかしながら、有利には片持ち式の、外方に向かって突出する一次ロックランスは、外部から作用する力によって損傷される恐れがある。例えば、コンタクトの製造中及び取扱中に、一次ロックランスには上方又は下方又は側方から力が作用し、一次ロックランスを塑性変形させる恐れがある。コンタクトチャンバ内に係止された状態であっても、一次ロックランスには、例えばコンタクトに圧着固定されたケーブルを引っ張る際に強い力がかかる恐れがあり、これにより、コンタクトチャンバ内で係止された一次ロックランスは外方に過剰に変形され、損傷される恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE102009054705A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、冒頭で述べた形式のコンタクト及び差し込み式接続エレメントを改良して、コンタクトの損傷を防止することのできるようなコンタクト及び差し込み式接続エレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために本発明の構成では、上壁と、下壁と、互いに向かい合って位置する2つの側壁とを備えたコンタクトボックスと、前記上壁から斜めに外方に向かってばね弾性的に突出する一次ロックランスとを有している、差し込み式接続エレメントのコンタクトチャンバ内に係止されるコンタクトにおいて、少なくとも1つの前記側壁は、前記一次ロックランスに側方で隣接する領域で、前記上壁の平面を越えて外方に向かって突出しており、少なくとも1つの前記側壁の外側に位置する縁部は、前記一次ロックランスの側縁に被さっていて、これにより前記一次ロックランスの外方に向かう湾曲に対して形状接続的に反作用するようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成により、コンタクトの一次ロックランスを、過剰な塑性変形による損傷からほぼ保護することができる。
【0011】
本発明の一構成によれば、差し込み式接続エレメントのコンタクトチャンバ内に係止するために設けられたコンタクトは、コンタクトボックスと一次ロックランスを有している。コンタクトボックスは、上壁と、下壁と、互いに向かい合って位置する2つの側壁とを有していて、即ち例えば直方体形状に構成することができる。一次ロックランスは、コンタクトボックスの上壁から傾斜して外方に向かってばね弾性的に突出している。このコンタクトは、コンタクトボックスの少なくとも1つの側壁が、一次ロックランスに側方で隣接する領域で、コンタクトボックスの上壁の平面を越えて外方に、即ち上方に突出していて、この場合、この側壁の、外側に位置する縁部が、前記一次ロックランスの側縁に被さっていて、これにより、前記一次ロックランスの外方に向かう湾曲に対して形状接続的に反作用することを特徴としている。
【0012】
換言すると、コンタクトボックスの少なくとも1つの側壁が、コンタクトボックスの側面を画成しているだけでなく、上壁の平面を越えて上方に向かって突出し、ひいては、同じく上方に向かって突出する一次ロックランスに側方で隣接するように構成されていることにより、コンタクトの一次ロックランスが過剰な外方に向かう湾曲による損傷から保護されている。これにより一次ロックランスを、側方から一次ロックランスに加えられる力に抗して保護することができる。さらに、外方に向かって突出する側壁の、外側に位置する、即ち上方の縁部は、一次ロックランスの側縁に被さるように一次ロックランスに向かって湾曲されている。このように側方から被さることにより、側壁と一次ロックランスとの間に形状接続が得られ、これにより、一次ロックランスが過剰に外方に向かって、即ち、コンタクトボックスの上壁から離れて湾曲することが阻止される。
【0013】
有利には、一方だけではなく両方のコンタクトボックスの側壁が、一次ロックランスに側方で隣接する領域で、前記上壁の平面を越えて外方に向かって突出しており、前記両側壁の外側に位置する縁部は、前記一次ロックランスの両側縁にそれぞれ被さっていて、これにより、一次ロックランスの外方に向かう湾曲に対して形状接続的に反作用する。これにより一次ロックランスを、側方の両側から加えられる力に抗して保護することができる。さらに、一次ロックランスは、外側に向けられた力が一次ロックランスに作用する際に、互いに向かい合って位置する両側縁で、これに被さる両側壁によって保持され、これにより一次ロックランスがねじれることも阻止することができる。
【0014】
外方に突出する側壁の外側に位置する縁部は、一次ロックランスの側縁に被さるように湾曲されているが、一次ロックランスの中央領域、特に、コンタクトボックスの上壁を越えて最も突出している領域における中央領域には側壁が被さっていない。換言すると、一次ロックランスに少なくとも部分的に形状接続的に被さる側壁は、少なくとも一次ロックランスの、上壁を越えて最も突出する領域には被さっておらず、露出させている。これにより、側壁とは異なり、一次ロックランスは、下方に向かってばね弾性的にコンタクトボックスに向かって変位することができ、例えばコンタクトチャンバ内への挿入の際に、上壁を越えて最も突出する前記領域で下方に向かって押されることができる。この場合、一次ロックランスは、露出した中央領域で、例えば、コンタクトチャンバに設けられた相応に形成された対向面によって下方に押され、この場合、中央領域の側方で側縁に被さっている側壁は、このように下方に向かう押圧を妨害することはない。
【0015】
好適には、前記側壁の外側に位置する被さる前記縁部は、外方に向かって突出する前記一次ロックランスの全長にわたって延びている。これにより一次ロックランスはその全長にわたって、側方から作用する力に対しても、外方に向かって曲げる力に対しても保護されている。
【0016】
側壁の、外側に位置する被さる縁部のジオメトリと、一次ロックランスの構成とは、側壁の外側に位置する縁部が、一次ロックランスの側縁に、無負荷状態で機械的に接触するように互いに適合させることができる。換言すれば、コンタクトボックスの側壁は上方に突出する領域で、その外側に位置する縁部が、一次ロックランスに外力が負荷されない限りは、一次ロックランスの側縁に直接接触するように寸法設定されて、曲げられている。このような構成では、側壁は最小限でのみ、上壁の平面を越えて、一次ロックランスよりも上方で延びているので、コンタクトの総横断面積は殆ど拡大されない。これにより、コンタクトの横断面積の拡大により、例えばコンタクトチャンバへのコンタクトの挿入時に生じる問題に到ることは回避される。
【0017】
とりわけ、コンタクトチャンバへのコンタクトの導入をさらに簡単にするために、前記一次ロックランスに隣接する前記領域でコンタクトボックスの上壁の平面を越えて突出する少なくとも1つの側壁は、導入傾斜部を形成しており、該導入傾斜部の壁高さは、前記コンタクトチャンバ内へのコンタクトの導入方向とは逆方向で増大している。この場合、側壁の外側に位置する縁部は、好ましくは、外方に向かって傾斜して突出する一次ロックランスに対してほぼ平行に延びている。
【0018】
付加的に、コンタクトチャンバからのコンタクトの解離、特に、例えばコンタクトチャンバの後方に位置するマット状シール部材をコンタクトが通るのを簡単にするために、突出した側壁は、導入方向で見て一次ロックランスの後方に位置する領域で、導出傾斜部を形成しており、この導出傾斜部の壁高さは、コンタクトチャンバ内へのコンタクトの導入方向にとは逆方向で減少している。導入方向とは逆方向でコンタクトチャンバからコンタクトを引き抜く場合には、このような導出傾斜部によって、一次ロックランスが、又は一次ロックランスに接している側壁の領域が、コンタクトチャンバ若しくはマット状シールに引っかかり、これを損傷してしまうことが阻止される。この場合、導出傾斜部は、導入傾斜部と同様に好ましくは、導出傾斜部の一方の端部が、コンタクトボックスの上壁とほぼ同一平面にあるように形成されている。導出傾斜部の反対側の端部はさらに、上壁の平面を越えて突出しており、好ましくは丸く面取りされて、直接、同様に側壁によって形成された導入傾斜部に移行している。
【0019】
好ましくは、一次ロックランスとコンタクトボックスとその側壁とは一体的に形成されている。例えば、コンタクトの全ての構成部分は、1つの金属薄板から、適当な打ち抜き及び曲げ加工により成形することができる。
【0020】
本発明の構成の種々の特徴及び利点は部分的に本発明によるコンタクトに関して、及び部分的に本発明による差し込み式コンタクトエレメントに関して説明されている。個々の特徴は適当に互いに組み合わせる、又は交換することができ、このようにして、本発明の別の構成及び相乗効果に到ることができることは、当業者には認識されている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】差し込みコネクタを示した分解図である。
図2】一次ロックランスを備えたコンタクトを示した斜視図である。
図3】コンタクトチャンバ内にロックされたコンタクトを示した縦断面図である。
図4】本発明によるコンタクトを一次ロックランスが負荷された状態で示した部分的な斜視図である。
図5】本発明によるコンタクトを一次ロックランスが負荷された状態で示した部分的な斜視図である。
図6】本発明による一次ロックランスを示した横断面図である。
図7】導出傾斜部を備えた本発明による別のコンタクトを示した部分的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に本発明の実施の形態を図面につき詳しく説明するが、この説明及び図面は本発明の構成を限定するものではない。
【0023】
図面は単に概略的に示したものであり、実際の縮尺ではない。同じ特徴若しくは同じ機能を有する特徴については図面において同じ符号を用いている。
【0024】
図1にはコネクタ1が示されており、このコネクタ1は、差し込み接続エレメントとして、対応コネクタに対する差し込み式接続部材の部分を成すことができる。このコネクタ1は例えば、複数のケーブルを互いに、又はワイヤーハーネスを自動車の制御機器に、機械的かつ電気的に接続するために使用される。
【0025】
コネクタ1はケーシング上部3とケーシング下部4とを有し、これら両部分3,4は係止舌片5を介して互いに機械的に結合可能である。ケーシング上部3とケーシング下部4との間にマット状シール部材8が配置されている。ケーシング上部3及びケーシング下部4には複数のコンタクトチャンバ6,7が設けられており、これらコンタクトチャンバ6,7を貫通して、ケーブル及びケーブルに固定されたコンタクト(図1には示されていない)がコネクタ1内に導入され、コネクタ1で係止固定される。
【0026】
図2には、コネクタ1のコンタクトチャンバ7内に挿入され、ここで係止されるようなコンタクト10が示されている。この場合、このコンタクト10の前方部分にはコンタクトボックス13が設けられており、このコンタクトボックス13はほぼ直方体形状である。コンタクトボックス13は、上壁16と、下壁17と、互いに向かい合って位置する2つの側壁18,19とを有している。このコンタクト10の後端部にはケーブル11が圧着領域12を介してコンタクト10に取り付けられている。
【0027】
コンタクトボックス13の上壁16には、導入方向15とは逆方向で後方に向かって斜めに突出し、上壁16を越えて突き出る一次ロックランス14が設けられている。この一次ロックランス14は、一方の端部で、コンタクトボックス13の上壁16に一体的に結合されており、コンタクトを形成する薄板のばね弾性的な特性により、ばね弾性的に内方に向かって変位可能である。力を負荷しなければ、一次ロックランス14は外方に向かって突出している。しかしながらコンタクト10がコンタクトチャンバ7内に挿入されると、一次ロックランス14は短時間、内方に向かって、コンタクトボックス13の内部にばね弾性的に押し込まれ、最終位置に達すると、外方に向かってばね的に、そこに設けられている切欠21内に入って係止するようになっている。
【0028】
図3の縦断面図で示されているように、コンタクト10は、コネクタ1のコンタクトチャンバ7内で係止されている。上壁16から突出している一次ロックランス14はこの場合、コンタクトチャンバ7に設けられた切欠21に係合する。
【0029】
図4及び図5には、本発明の一実施例によるコンタクト10の部分的な斜視図が示されている。図6には、このコンタクト10の横断面図が示されている。
【0030】
コンタクトボックス13は、上壁16と、下壁17と、互いに向かい合って位置する2つの側壁18,19とを有している。コンタクトボックス13の全ての壁16,17,18,19は、1つの薄板から適当な打ち抜き成形及び曲げ加工によって形成されている。上壁16からは、導入方向15とは逆方向に傾斜して、一次ロックランス14が外方に向かって突出している。この場合、一次ロックランス14も、コンタクトボックス13と同じ薄板から縁部を切り離すことにより形成されていて、その一方の端部は上壁16に一体的に移行しているが、他方の端部は片持ち式に外方に向かって突出している。
【0031】
側壁18,19は、一次ロックランス14に側方で隣接する領域23で、コンタクトのために使用される薄板を適当に打ち抜き成形することにより、上壁16の平面を越えて外方に向かって突出するように形成されている。側壁18,19の壁高さは、この場合、導入方向15とは逆方向で連続的に増大しており、これにより導入傾斜部27が形成されている。側壁18及び側壁19はこの場合、側方で、一次ロックランス14に隣接しており、一次ロックランス14を僅かに越えて突出しており、これにより一次ロックランス14は、側方から作用する力に対して保護されている。
【0032】
さらに側壁18,19は領域23でそれぞれ外側に位置する縁部22で、一次ロックランス14の方に向かって折り曲げられていて、例えば30°〜150°の角度、好ましくは60°〜120°の角度、さらに好ましくは90°±10°の角度で折り曲げられている。従って、領域23で内方に折り曲げられた側壁18,19の縁部22は、一次ロックランス14の側縁26に被さっている。従って、一次ロックランス14の側縁26は、外側に向かう力が一次ロックランス14に加えられた場合に、側壁18,19の縁部22によって形状接続的に、即ち部材相互の当接により保持されるので、一次ロックランス14は極端に外方に向かって湾曲されることはなく、この場合、塑性変形はしない。
【0033】
図4に示されているように、領域23において側壁18,19は、特に、外側に位置する縁部22は、図5に示されたような内側に向かう力24によって一次ロックランス14がコンタクトボックス13の方に向かって変位されない限りは、一次ロックランス14の外側に向いた表面にこの縁部22が直接接触するように形成されている。
【0034】
少なくとも一次ロックランス14の、上壁16を越えて最も突出している領域における中央領域25には側壁18,19の縁部22は被さっておらず、中央領域25は露出している。この中央領域25には、例えばコンタクトチャンバ7にコンタクト10が挿入される際に、コンタクトチャンバ7の相応に適合された対応面が接触して、コンタクト10が対応する切欠21に達し、一次ロックランス14がこの切欠21にばね弾性的に係止するまで、一次ロックランス14をコンタクトボックス13の方へと変位させる内方に向かう力24が加えられる。
【0035】
図7には、本発明によるコンタクト10の別の構成が斜視図で示されている。このコンタクト10は導入傾斜部27に加えて付加的に、導出傾斜部28を有している。この導出傾斜部28の領域で側壁18,19は同様に、上壁16の平面を越えて突出しており、一次ロックランス14の後方に位置する領域における壁高さは、コンタクトチャンバ7へのコンタクト10の導入方向15と逆方向で連続的に減少している。
【0036】
導入傾斜部27はコンタクト10をコンタクトチャンバ7に装着する際に役立つのに対し、導出傾斜部28は、導入方向15とは逆方向でコンタクト10をコンタクトチャンバ7から外す際及び引き抜く際に有利である。両場合において、各傾斜部27,28が役立ち、例えば、コンタクトチャンバ7の前方に位置するマット状シール部材8が損傷するのが阻止される。
【符号の説明】
【0037】
1 コネクタ、 3 ケーシング上部、 4 ケーシング下部、 5 係止舌片、 7 コンタクトチャンバ、 8 マット状シール部材、 10 コンタクト、 11 ケーブル、 12 圧着領域、 13 コンタクトボックス、 14 一次ロックランス、 15 導入方向、 16 上壁、 17 下壁、 18,19 側壁、 21 切欠、 22 縁部、 23 領域、 24 内側に向かう力、 25 中央領域、 26 側縁、 27 導入傾斜部、 28 導出傾斜部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7