(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来より提案されているマッキベン(McKibben)型人工筋肉は、その端部から加圧流体(空気)を供給することで収縮力を発生させる人工筋肉であり、Pneumatic Artificial Muscles(PAM)と称されたり、あるいは、流体の注入により収縮力を発生させるアクチュエータとしての用途があることからニューマチック・アクチュエータ(Pneumatic Actuator)とも呼ばれる。
【0003】
図9は、従来の人工筋アクチュエータの外観構造を模式的に示している。
図9の人工筋アクチュエータ500は、管状体501と、管状体501の外側に配置した編組み補強繊維体503と、管状体501および編組み補強繊維体503を固定するための端部閉鎖部材505a,505bとからなる。管状体501にはゴムまたはゴム状弾性材料が使用されるが、その他、これらと同様の弾性を有し、かつ、注入される流体を漏らさず圧力に耐える材料であれば、各種のプラスチック材料で代替してもよい。また、編組み補強繊維体503は、管状体501の内圧上昇による最大膨径時において静止角に至るような編組み構造を有しており、例えば、芳香族ポリアミド繊維等の有機繊維、極細金属ワイヤの撚り線等の無機質高張力繊維類などが使用できる。
【0004】
端部閉鎖部材505a,505bは、管状体501を軸(長手)方向の両側から気密に封止し、実質的に張力を発生する編組み補強繊維体503を固定しており、流体の注入部507と、駆動力を伝えるための連結部511a,511bを有する構成をとる。また、管状体501は気密を保てるような方法、例えば端部閉鎖部材505a,505b各々の外周に溝を形成し、その溝を利用して管状体501の端部を、押さえリングを用いる等の方法で固定する。編組み補強繊維体503は、バインド509a,509bで固定するか、あるいは接着等の手段で固定する。
【0005】
図9に示す人工筋アクチュエータの動作について簡単に説明する。注入部507より管状体501の内部空洞内に加圧流体(空気)を導入することにより、管状体501が直径方向に膨脹し、管状体501の周囲に形成された編組み補強繊維体503が径方向に変形する。管状体501の外側に配された編組み補強繊維体503の補強繊維体の繊維は、斜めに編んで形成されているため、編組み補強繊維体503の径方向への変形により、長手方向に大きな駆動力を発生する。よって、このような収縮時の駆動力を利用して人工筋をリンク機構に組み込むことで、流体の注入により所望の力を得る動作、例えば、人間の体に装着して筋力を補助するウエアラブルな装置等を実現できる。
【0006】
このように空気で動作するマッキベン型のアクチュエータは、油圧シリンダを用いた往復運動アクチュエータやサーボモータに比べて、装置自体の重量が軽く、作動油の漏洩による環境汚染がない、構造が簡単で軽量でありながら高出力である等の優れた特徴を有している。しかしその反面、他の直線運動タイプのシリンダや角度を検知できるサーボモータと比較すると、収縮量を把握しにくいという課題がある。
【0007】
マッキベン型人工筋においても、その収縮量を読み取る手段が提案されているが、流体圧力で収縮量を見る場合、無負荷のときと、大負荷の掛かっているときとでは力の釣り合うポイントがずれてしまい、収縮量を正しく読み取ることができないという問題がある。
【0008】
例えば、特許文献1には、弱い引張ばねを用いた長さセンサ、および圧力センサを内蔵した流体圧式アクチュエータが開示されている。ここでは、アクチュエータ内部に制御基板ごとにセンサを内蔵することで、ホストコンピュータに長さ情報、および圧力情報を素早くフィードバックしている。また、特許文献2では、アクチュエータ内に光源と受光素子を組み込み、位置変位に対する光量変化をカウントすることで管状体の長手方向の収縮量変位(両閉鎖部材の相対変位量)を測定する技術を開示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る一実施の形態例を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態例に係るアクチュエータ(人工筋)を外観を示し、
図2は、
図1のアクチュエータの収縮動作に対応する収縮量を検出するためのセンサの一例を示している。ここでは、以降の各実施例において詳述するように、
図1に示すアクチュエータ10の管状体1の外側であって、その円周方向(外周方向)に、
図2に示すセンサ21を密着させて収縮量を検出する。より詳細には、アクチュエータ10の収縮動作に応じた出力を取り出すセンサ21を、アクチュエータ10の管状体1の外側に配置した編組み補強繊維体4の表面に密着状態で配置する。
【0022】
図1に示すように、本実施の形態例に係るアクチュエータ10は、管状体1全体を覆って気密に封止し、実質的に張力を発生する編組み補強繊維体3と、編組み補強繊維体3を固定するための一対の端部閉鎖部材5a,5bとを備える。端部閉鎖部材5a,5b各々には、外部に駆動力を伝えるための連結部11a,11bが設けられ、一方の端部閉鎖部材には流体の注入部18が配置されている。
【0023】
管状体1には、例えば、ゴムまたはゴム状弾性材料を使用するが、これらと同様の弾性を有し、かつ、注入される流体を漏らさず圧力に耐える材料であれば、各種のプラスチック材料で代替してもよいことは、従来のアクチュエータと同様である。また、編組み補強繊維体3は、管状体1の内圧上昇による最大膨径時において静止角に至るような編組み構造を有し、例えば、芳香族ポリアミド繊維等の有機繊維、極細金属ワイヤの撚り線等の無機質高張力繊維類などが使用できる。
【0024】
なお、本実施の形態例に係るアクチュエータにおいて、管状体1の気密を保持しながら管状体1の端部を端部閉鎖部材5a,5bに固定する方法、および編組み補強繊維体3を固定等する方法は、従来のアクチュエータと同様であるため、ここでは、その説明を省略する。
【0025】
図2に示すセンサ21は、アクチュエータの収縮量に応じた変位量を検出する手段として機能する伸びセンサである。このセンサ21は、ゴム状エラストマにカーボンを練り込んだ導電性ゴムシート(例えば、共和工業(株)製の導電シリコーンゴム)を所定の長さ、および所定の幅に切断してなるセンサ部23と、そのセンサ部23の両端の対向する位置に取り付けた電極部25a,25bとを含んで構成される。センサ部23の幅、および長さは、使用する導電性ゴムシートの比抵抗、取り出す出力、使用する位置等により適宜、決めることができる。
【0026】
次に、本発明の実施の形態例に係るアクチュエータの種々の実施例について具体的に説明する。
<実施例1>
図3は、本実施の形態例の実施例1に係るアクチュエータ(人工筋)における収縮量の検出動作を説明するための図である。
図3(a)は、アクチュエータ40の非収縮時において、実施例1で使用するセンサ(環状伸びセンサ)30を取り付けたときの様子を示している。ここでは、
図3(a)に示すように、アクチュエータ40の周方向の全周に渡って環状伸びセンサ30を取り付ける。
【0027】
図3(b)は、
図3(a)のA部の詳細拡大図であり、非収縮時における環状伸びセンサ30の外観を示している。環状伸びセンサ30は、伸縮性の導電性シリコーンゴムを、例えば、長さが約10cm、幅が約1.5cmとなるように切り取ってセンサ部33とし、その長手方向の両端に電極部35a,35bを取り付け、さらに、電極部35a,35bの導電性ゴムの付いていない端部同志を非伸長性部材で連結した構成を有する。
【0028】
なお、環状伸びセンサ30の外周寸法を、非収縮時のアクチュエータ40の外周寸法よりもやや小さく作成することで、環状伸びセンサ30自身の収縮性を利用してアクチュエータ40に取り付けることができる。また、位置ずれしないようにするために、環状伸びセンサ30の電極部35a,35bを、アクチュエータ40の管状体全体を覆う編組み補強繊維体34(
図3において格子模様を付して示した部分)に接着等によって固定しても良い。さらには、環状伸びセンサ30のセンサ部33は、取り外しが容易になるように脱着ができる機構を備えるようにしても良い。
【0029】
実施例1に係るアクチュエータ40の管状体に流体を注入すると、
図3(c)に示すように管状体が直径方向に膨脹するため、アクチュエータ40の管状体上(より詳細には、
図3(a)で格子模様を付して示す編組み補強繊維体34の上面)の外周方向に密着させた環状伸びセンサ30のセンサ部33も、管状体の膨脹に追随して伸びる。そのときの環状伸びセンサ30の様子を、
図3(c)のB部の詳細拡大図である
図3(d)に示す。
図3(d)に示すようにセンサ部33が伸びることで抵抗値が変化し、電極部35a,35bに接続されたリード線37を介して、環状伸びセンサ30のセンサ部33の抵抗値変化を出力として取り出すことができる。
【0030】
なお、アクチュエータ40における環状伸びセンサ30の円周方向への取り付け位置は、必ずしもアクチュエータ40の中央部分に限定されず、例えば、管状体の固定部(管末端部)に近い部分を選択して取り付けてもよい。こうすることで、環状伸びセンサ30として、変位量の少ない(つまり、あまり伸びない)センサも利用できる。また、取り付け位置で変位させる量を調整することができる。
【0031】
図4は、実施例1におけるアクチュエータの収縮率と、環状伸びセンサの抵抗値との関係を示している。
図4に示すように、アクチュエータの収縮率と、環状伸びセンサ30のセンサ部33の抵抗値の逆数(1/抵抗値)との関係は、アクチュエータの使用範囲において一次で近似しても実用上、問題がないと解される。
【0032】
また、
図5は、実施例1におけるアクチュエータの収縮率と、環状伸びセンサの抵抗値変化との関係を示している。
図5から明らかなように、アクチュエータの長さ方向の収縮率と、環状伸びセンサの抵抗値変化ΔRとに比例関係が認められる。このことから、アクチュエータの収縮量を環状伸びセンサの抵抗値変化で測定できることが分かる。
【0033】
なお、
図5によれば、荷重負荷の違いにより、アクチュエータの長さ方向の収縮率と、環状伸びセンサの抵抗値変化量とが若干ずれるが、このようなずれは、圧力とのバランス点がずれるという原理的なものであるため補正可能であり、アクチュエータの収縮量の検出において特段の問題は生じない。また、アクチュエータの収縮と膨張を何度か繰り返したところ、繰り返し誤差は5%程度であった。
【0034】
<実施例2>
本実施の形態例の実施例2では、伸縮性の導電性シリコーンゴムを、例えば、長さが約5cm、幅が1.5cmとなるように切り取り、それをセンサ部として、その長手方向の両端に電極部を取り付けたものを準備する。ここでは、図示を省略するが、電極部の導電性ゴムの付いていない端部同志を、別の伸長性のある非導電性エラストマ部材で連結して環状伸びセンサを作成する。
【0035】
上記実施例1では、アクチュエータの管状体のほぼ全周方向に渡って、環状伸びセンサのセンサ部を密着させる構成をとったが、実施例2では、アクチュエータの管状体の周方向の1/2程度にセンサ部を密着させ、その周方向の残りの部分には、伸縮性エラストマが配置される構成としたことを特徴とする。このように実施例2では、センサを構成する導電性シリコーンゴムの一部を、それと同様の伸縮性を持つエラストマに置き換えることで、センサに使用するセンサ部材を減らすことができる。
【0036】
このような構成とした実施例2の環状伸びセンサによっても、アクチュエータの収縮率と、環状伸びセンサの抵抗値変化とは、実施例1の場合と同様の関係が得られた。
【0037】
<実施例3>
図6は、本実施の形態例の実施例3に係るアクチュエータ(人工筋)における収縮量の検出動作を説明するための図である。
図6(a)は、アクチュエータ40の非収縮時において、実施例3で使用する環状伸びセンサ70を取り付けたときの様子を示しており、ここでは、アクチュエータ40の周方向の全周に渡って環状伸びセンサ70を取り付ける。
【0038】
図6(b)は、
図6(a)のC部の詳細拡大図であり、非収縮時における環状伸びセンサ70の外観を示している。実施例3の環状伸びセンサ70は、伸縮性の導電性シリコーンゴムを、例えば、長さが約5cm、幅が1.5cmとなるように切り取ってセンサ部73とし、その長手方向の両端に電極部75a,75bを取り付け、さらに、電極部75a,75bの導電性ゴムの付いていない端部同志を非伸長性、かつ非導電性部材で連結した構成を有する。
【0039】
なお、実施例3の環状伸びセンサ70の外周寸法についても、実施例1に係る環状伸びセンサと同様、収縮前のアクチュエータ40の外周寸法よりもやや小さく作成して、アクチュエータ40の管状体上の編組み補強繊維体への密着性を確保する。
【0040】
実施例3において、アクチュエータ40の管状体に流体が注入されると、
図6(c)に示すように管状体が直径方向に膨脹する。このとき、アクチュエータ40の管状体上に配置した編組み補強繊維体の外周方向に密着させた環状伸びセンサ70のセンサ部73も、
図6(c)のD部の詳細拡大図である
図6(d)に示すように、管状体の膨脹に追随して伸びる。
【0041】
しかしながら、実施例3の環状伸びセンサ70では、センサ部73以外の部分が、電極部75a,75bの導電性ゴムの付いていない端部同志を非伸長性、かつ非導電性部材(例えば、非伸縮性テープ等)で連結してなる非伸縮部79からなるため、アクチュエータ40の収縮時にはセンサ部73のみが伸びることになる。その結果、アクチュエータ40の収縮量の検出時には、
図6(c)に示すように、管状体の直径方向への膨脹により、アクチュエータ40の環状伸びセンサ70を密着させた周回部分にくびれ41が生じることから、環状伸びセンサ70が管状体に、より強固に締め付けられ、センサの密着性を確保できる。
【0042】
このように実施例3は、アクチュエータの周方向の1/2程度にセンサ部が密着され、周方向の残りの部分を非伸縮部とした構成の環状伸びセンサ70を使用することを特徴とする。この場合においても、実施例2と同様、環状伸びセンサ70を構成するセンサ部材(導電性シリコーンゴム)を減らすことができるとともに、環状伸びセンサ70の管状体への密着性を向上できる。
【0043】
なお、実施例3に係る環状伸びセンサ70においても、電極部75a,75bに接続されたリード線77を介して、環状伸びセンサ70のセンサ部73の抵抗値変化を出力として取り出すが、アクチュエータの収縮率と環状伸びセンサの抵抗値変化との関係は、実施例1の場合と同様であるため、それらの説明を省略する。
【0044】
<実施例4>
図7は、本実施の形態例の実施例4に係るアクチュエータ(人工筋)の収縮量検出動作を説明するための図である。ここでは、
図7に示すように、伸びセンサ90を、アクチュエータ40の全周方向の一部に貼り付ける。そのため、伸びセンサ90は、伸縮性の導電性シリコーンゴムを所定の大きさに切り取ったものをセンサ部93とし、そのセンサ部93の一方端に電極部95aを、他方端に電極部95bを設けた構成とする。そして、これらの電極部95a,95bに、伸びセンサ90のセンサ部93の抵抗値変化を出力として取り出すためにリード線97を接続する。
【0045】
実施例4では、伸びセンサ90の電極部95a,95bを直接、アクチュエータ40表面の編組み補強繊維体94(
図7で格子模様を付して示す部分)に接着で固定する。そこで、実施例4に係るアクチュエータ40の管状体に流体を注入すると、
図7(b)に示すように、管状体の直径方向への膨脹によって、編組み補強繊維体94に接着固定された電極部95a,95bが互いに離間する方向へ移動する。その結果、電極部95a,95b間に配置されたセンサ部93は、アクチュエータ40の管状体の円周方向に伸びる。
【0046】
このように実施例4では、伸びセンサ90を上述した構成とすることで、伸びセンサ90の小型化が可能となり、それによりアクチュエータの管状体の外側面の一部に貼り付けることができるので、簡単な構成でアクチュエータの収縮率と、伸びセンサの抵抗値変化との関係を得ることができる。
【0047】
<実施例5>
本実施の形態例の実施例5では、実施例1等と同様、アクチュエータ(人工筋)の周方向の全周に渡ってセンサを取り付けるが、そのセンサのセンサ部として、導電性シリコーンゴムではなく、張力によってその抵抗値が変わるセンサ部材を使用した張力センサとする。このような構成とすることで、アクチュエータの管状体の周方向(径方向)の膨張がやや阻害され、アクチュエータの収縮量は減ることがあっても、アクチュエータそのものの動作に影響はない。
【0048】
すなわち、実施例5では、張力センサを用いることでアクチュエータの繰り返し動作における出力シフトが抑制され、精度の高い測定が可能となる。なお、張力に対するセンサの直径を、非収縮時のアクチュエータの直径よりも小さくし、自己の収縮性を利用して取り付けることができる。また、アクチュエータに対する、より強固な固定が必要な場合には、電極部を直接、アクチュエータ表面の編組み補強繊維体に接着等で固定してもよい。
【0049】
実施例5のように、張力によって抵抗値が変わるセンサ部材を使用した張力センサを用いても、アクチュエータの収縮率と張力センサの抵抗値変化については、実施例1の場合と同様の関係が得られる。
【0050】
<実施例6>
図8は、本実施の形態例の実施例6に係るアクチュエータ(人工筋)の収縮量検出動作を説明するための図である。実施例6では、アクチュエータの収縮量の検出に収縮センサを使用し、その収縮センサの抵抗値変化からアクチュエータの収縮率を検出する。そのため、例えば、
図8(a)に示すように、所定の大きさに切り取った伸縮性の導電性シリコーンゴム部をセンサ部103とし、そのセンサ部103の両端の対向する位置に電極部105a,105bを取り付けた収縮センサ100を準備する。そして、その収縮センサ100を、アクチュエータ40の全周方向に渡って取り付けたベルト111の下部に固定する。すなわち、実施例6では、収縮センサ100が、アクチュエータ40の管状体上の編組み補強繊維体104(
図8で格子模様を付した部分)と、ベルト111とで挟まれた状態で固定される。
【0051】
実施例6に係るアクチュエータ40の管状体に流体を注入すると、
図8(b)に示すように管状体が直径方向に膨脹し、編組み補強繊維体104は長手方向に収縮する。一方、ベルト111は非伸長性材料からなるので、ベルト111部分の管状体は、くぼみ101を形成しながら膨脹し、その部分において、ほぼ非収縮時の径が維持される。
【0052】
実施例6では、アクチュエータ40の管状体の直径方向への膨脹時、管状体(より詳細には、編組み補強繊維体104)と、ベルト111とによって挟まれた収縮センサ100のセンサ部103も、アクチュエータ40の長手方向に収縮する。そして、電極部105a,105bに接続されたリード線107を介して、収縮センサ100のセンサ部103の抵抗値変化を出力として取り出す。
【0053】
なお、
図8では、電極部105a,105bをセンサ100の長さ方向に取り出しているが、適宜、金属箔を貼り合せたり、あるいは導電テープを貼る等により厚み方向に電極部を形成するようにしても良い。また、センサ部には、導電ゴム系に限らず、管状体の直径方向への膨脹により、管状体(編組み補強繊維体104)とベルト111との間に発生する圧縮圧力(荷重)により抵抗値が変化する圧電センサを使用することもできる。
【0054】
以上説明したように、本実施の形態例に係るアクチュエータは、そのアクチュエータの収縮量を検知するセンサとして、柔軟な導電性エラストマからなる伸びセンサを使用することで、人工筋としてのアクチュエータが持つ柔軟性を損なうことがない。また、センサを人工筋アクチュエータの外部の周囲方向に取り付ける構成とすることで、センサ構造を極めて簡素化でき、かつ、簡便軽量でコストが抑えられ、交換、調整等のメンテナンス性も向上する。
【0055】
また、本実施の形態例に係るアクチュエータは、上述した構造によりアクチュエータの収縮量に応じて荷重がセンサ部に加わり、それに応じてセンサ部の抵抗値が変化することから、収縮時に荷重がかかり、伸長(弛緩)時には荷重がかからないというセンサ本来の動きを実現でき、アクチュエータの収縮量と、センサより得た抵抗値の逆数とから、収縮量に対して比例する出力を取り出すことができる。
【0056】
さらには、センサをアクチュエータの外周部に密着して配置し、センサそのものも小型であるため、センサをアクチュエータの外部に取り付けても大きな容積を占めることがなく、センサのないアクチェータと同様に取り扱うことができる。
【0057】
また、人工筋は流体の注入がない非動作時には小さくしぼむため、使用法によってはアクチュエータが曲がることも想定されるが、その場合でも、センサの配置をアクチュエータ外側の周方向とし、人工筋の長手方向に軸を通した可動部を持たない構成としたので、アクチュエータの曲げによる影響を受けることがない。
【0058】
さらに、柔軟なゴム系センサでは、変形を繰り返すことで弾性変形から塑性変形が増加して出力値がシフトすることも考えられるが、人工筋アクチュエータでは、収縮の繰り返しに用いられ、同じ位置で長時間保持することがほとんどない。そのため、無負荷時にゼロ点合わせ(原点合わせ)を行うことで出力値のシフトが回避可能となる。また、センサを人工筋の外部に取り付けることが可能な構成としたので、無負荷時の測定で数値が基準範囲外になったセンサを容易に交換できるというメンテナンス面での利点がある。