特許第6305093号(P6305093)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電波工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000002
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000003
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000004
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000005
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000006
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000007
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000008
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000009
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000010
  • 特許6305093-負性容量回路及び発振回路 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305093
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】負性容量回路及び発振回路
(51)【国際特許分類】
   H03H 11/48 20060101AFI20180326BHJP
   H03K 3/282 20060101ALI20180326BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   H03H11/48 B
   H03K3/282 A
   H03B5/32 E
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-27158(P2014-27158)
(22)【出願日】2014年2月17日
(65)【公開番号】特開2014-200067(P2014-200067A)
(43)【公開日】2014年10月23日
【審査請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-49253(P2013-49253)
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232483
【氏名又は名称】日本電波工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】石井 武仁
【審査官】 ▲高▼須 甲斐
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−006438(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0129424(US,A1)
【文献】 特開2006−005769(JP,A)
【文献】 特開平08−204451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 11/48
H03B 5/32
H03K 3/282
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エミッタフォロワ回路と、
容量成分を有する負荷に接続されるベース接地回路と、
前記エミッタフォロワ回路の出力端子と前記ベース接地回路の入力端子との間に設けられた第1キャパシタと、
前記ベース接地回路の出力端子と前記エミッタフォロワ回路の入力端子との間に設けられた減衰器と、
前記ベース接地回路の出力端子と外部回路に接続される外部インターフェイスとの間に設けられた抵抗と、
前記抵抗に並列に接続された第2キャパシタと、
を備える負性容量回路。
【請求項2】
エミッタフォロワ回路と、
ベース接地回路と、
前記エミッタフォロワ回路の出力端子と前記ベース接地回路の入力端子との間に設けられた第1キャパシタと、
前記エミッタフォロワ回路の入力端子と前記ベース接地回路の出力端子との間に設けられた減衰器と、
前記ベース接地回路の出力端子と外部回路に接続される外部インターフェイスとの間に設けられた抵抗と、
前記抵抗に並列に接続された第2キャパシタと、
を有する負性容量回路と、
前記負性容量回路に接続され、前記ベース接地回路の出力端子から出力される電流を受ける振動子と、
を備える発振回路。
【請求項3】
前記負性容量回路の等価並列抵抗の抵抗値は、前記振動子の共振周波数において正の値を有する、
請求項に記載の発振回路。
【請求項4】
前記第1キャパシタの容量は、前記振動子の等価並列容量と等しい、
請求項又はに記載の発振回路。
【請求項5】
前記減衰器の抵抗値は、前記エミッタフォロワ回路の不要発振を発生させる負性抵抗値よりも大きく、かつ、前記振動子の共振周波数において前記負性容量回路の等価並列抵抗が最大になる抵抗値よりも小さい、
請求項からのいずれか一項に記載の発振回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負性容量回路及び発振回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子、セラミック振動子、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動子等を用いた発振回路においては、振動子に接続するキャパシタの容量を調整することにより、発振周波数を調整することができる。しかし、高いQの振動子を用いた発振回路においては、振動子の等価並列容量C0と等価直列容量C1との比(C0/C1)が大きいことに起因して、温度補償等のための周波数調整を行うために必要な周波数可変量を得られない場合がある。特に、MEMS技術を用いた振動子のように小型な振動子においては、十分に大きな周波数可変量を得られないという傾向が強い。
【0003】
従来、周波数可変量を拡大するために、等価並列容量の影響を相殺する回路を振動子に接続する方法が知られている。例えば、振動子と並列にインダクタを接続することにより、等価並列容量の影響を相殺することができる。
【0004】
また、能動素子を用いて構成される負性容量回路を振動子に接続することにより、等価並列容量の影響を相殺する方法も知られている。ここで、負性容量回路とは、正の電圧を印加すると電荷を放出する性質を持つ回路である。負性容量回路を構成する能動素子として、オペアンプを用いる回路や複数のトランジスタを組み合わせて構成する回路等が知られている(例えば、特許文献1から特許文献5を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−124713号公報
【特許文献2】特開平8−204451号公報
【特許文献3】特開昭60−157317号公報
【特許文献4】国際公開第00/04647号公報
【特許文献5】米国特許第7609111号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、インダクタは、温度変化に応じてインダクタンス値が大きく変化する。また、振動子の等価並列容量を相殺するのに必要なμH以上のオーダーのインダクタを集積回路に内蔵することは困難である。したがって、インダクタを振動子に並列接続して発振回路を構成した場合、温度変化に応じて発振周波数が変動してしまうとともに、発振回路の小型化が困難であった。
【0007】
特許文献1及び特許文献2に示されているように、能動素子としてオペアンプを用いて負性容量回路を構成する場合には、オペアンプの動作帯域が十分に広くないため、負性容量回路を接続して使用することができる発振回路の発振周波数が数MHz程度に制限されてしまうという問題があった。
【0008】
また、特許文献3から特許文献5に示されているように、複数のトランジスタを組み合わせて負性容量回路を構成する場合には、不要発振が発生しやすいという問題があった。特に、エミッタフォロワ回路を用いて負性容量回路が構成される場合には、エミッタフォロワ回路の周辺における寄生キャパシタ及び寄生インダクタによってコルピッツLC発振回路が形成され、接続する振動子の共振周波数以外の周波数(例えばGHz帯)における不要発振が発生する場合があった。また、従来の負性容量回路においては、高い周波数におけるリターンゲインS11が存在することにより、他の回路を接続した場合に不要発振が発生する場合もあった。
【0009】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、集積回路に内蔵することが可能であり、かつ、広い周波数範囲で発振周波数を変化可能な発振信号を発生できる発振回路、及び当該発振回路に用いることができる負性容量回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様においては、エミッタフォロワ回路と、容量成分を有する負荷に接続されるベース接地回路と、エミッタフォロワ回路の出力端子とベース接地回路の入力端子との間に設けられた第1キャパシタと、ベース接地回路の出力端子とエミッタフォロワ回路の入力端子との間に設けられた減衰器と、を備える負性容量回路を提供する。上記の負性容量回路は、ベース接地回路の出力端子と外部回路に接続される外部インターフェイスとの間に設けられた抵抗と、当該抵抗に並列に接続された第2キャパシタとをさらに備えてもよい。
【0011】
本発明の第2の態様においては、エミッタフォロワ回路と、ベース接地回路と、エミッタフォロワ回路の出力端子とベース接地回路の入力端子との間に設けられたキャパシタと、エミッタフォロワ回路の入力端子とベース接地回路の出力端子との間に設けられた減衰器と、を有する負性容量回路と、負性容量回路に接続され、ベース接地回路の出力端子から出力される電流を受ける振動子と、を備える発振回路を提供する。
【0012】
上記の負性容量回路の等価並列抵抗の抵抗値は、上記の振動子の共振周波数において正の値を有することが好ましい。上記のキャパシタの容量は、例えば、上記の振動子の等価並列容量と等しい。
【0013】
また、上記の減衰器の抵抗値は、エミッタフォロワ回路の不要発振を発生させる負性抵抗値よりも大きく、かつ、振動子の共振周波数において負性容量回路の等価並列抵抗が最大になる抵抗値よりも小さいことが好ましい。また、上記の負性容量回路は、ベース接地回路の出力端子と上記の振動子との間に設けられた抵抗と、抵抗に並列に接続されたキャパシタとをさらに備えてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る発振回路によれば、集積回路に内蔵することが可能であり、かつ、広い周波数範囲で発振周波数を変化可能な発振信号を発生できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】第1の実施形態に係る発振回路の構成例を示す。
図1B】負性容量回路の等価回路を示す。
図2】負性容量回路を外部インターフェイスから観測した場合の等価RC並列回路の周波数特性の一例を示す。
図3】振動子のインピーダンス特性の一例を示す。
図4】外部インターフェイスから負性容量回路を観測した場合の反射特性の一例を示す。
図5】比較例の発振回路の構成例を示す。
図6】比較例の負性容量回路を外部インターフェイスから観測した場合の等価RC並列回路の周波数特性の一例を示す。
図7】比較例の負性容量回路を振動子に接続した場合のインピーダンス特性の一例を示す。
図8】外部インターフェイスから比較例の負性容量回路を観測した場合の反射特性の一例を示す。
図9】第2の実施形態に係る負性容量回路の構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
[発振回路100の回路構成]
図1Aは、第1の実施形態に係る発振回路100の構成例を示す。発振回路100は、負性容量回路10と、負性容量回路10の外部インターフェイス5に接続された振動子6及び増幅回路7を備える。負性容量回路10は、振動子6の等価並列容量を相殺する。負性容量回路10は、エミッタフォロワ回路1、ベース接地回路2、第1キャパシタ3、抵抗4及び外部インターフェイス5を備える。
【0017】
エミッタフォロワ回路1は、トランジスタ11及び抵抗12を有する。トランジスタ11は、例えばNPN型トランジスタである。トランジスタ11のコレクタは電源に接続されている。トランジスタ11のエミッタは、抵抗12を介してグランドに接続されている。以上の構成により、トランジスタ11及び抵抗12はコレクタ接地回路を構成している。トランジスタ11のエミッタは第1キャパシタ3の第1端子に接続されており、トランジスタ11のベースは抵抗4の第1端子に接続されている。
【0018】
ベース接地回路2は、トランジスタ21、電圧源22、電流源23及び抵抗24を有する。トランジスタ21は、例えばNPN型トランジスタである。トランジスタ21のコレクタは電流源23に接続されている。また、トランジスタ21のコレクタは抵抗4の第2端子及び外部インターフェイス5に接続されている。トランジスタ21のエミッタは、抵抗24を介してグランドに接続されているとともに、第1キャパシタ3の第2端子に接続されている。トランジスタ21のベースは、電圧源22の正極端子に接続されている。
【0019】
電圧源22は、トランジスタ21のベース電位を与えるための電圧源であり、正極端子がトランジスタ21のベースに接続され、負極端子がグランドに接続されている。電圧源22が出力する電圧値は、ベース接地回路2の回路が線形に動作する値に設定されている。
【0020】
電流源23は、例えば、カスケード接続された複数のトランジスタから構成される。電源に接続された抵抗により電流源23を構成してもよいが、電流源23における電圧降下を小さくするために、電流源23をトランジスタ等の能動素子により構成することが好ましい。
【0021】
第1キャパシタ3は、エミッタフォロワ回路1の出力端子であるトランジスタ11のエミッタと、ベース接地回路2の入力端子であるトランジスタ21のエミッタとの間に設けられている。第1キャパシタ3は、トランジスタ11のエミッタから出力される電流の一部をトランジスタ21のエミッタに入力する。第1キャパシタ3の容量は、例えば、振動子6の等価並列容量と等しい。
【0022】
抵抗4は、エミッタフォロワ回路1の入力端子であるトランジスタ11のベースと、ベース接地回路2の出力端子であるトランジスタ21のコレクタとの間に設けられた減衰器である。抵抗4は、例えば10Ω以上の抵抗値を有しており、エミッタフォロワ回路1の周辺の寄生キャパシタと寄生インダクタとによって形成されるコルピッツLC発振回路の振幅条件を満足させず、エミッタフォロワ回路1における不要な発振を防止する。なお、抵抗4は、複数の抵抗を組み合わせて構成される抵抗ネットワークであってもよい。
【0023】
また、抵抗4の抵抗値を調整することにより、負性容量回路10を外部インターフェイス5から見たときの等価並列抵抗が最大になる周波数を調整することができる。具体的には、抵抗4の抵抗値を大きくすることにより、等価並列抵抗が最大になる周波数を小さくすることができる。そこで、例えば、外部からの制御信号に応じた抵抗値に調整できるデジタルポテンショメータを抵抗4として用いることにより、振動子6の共振周波数における負性容量回路10の等価並列抵抗を、理想的な無限大の大きさに調整することができる。
【0024】
抵抗4は、例えば、エミッタフォロワ回路1の不要発振を発生させる負性抵抗値よりも大きい。抵抗4は、振動子6の共振周波数において等価並列抵抗が最大になる抵抗値よりも小さくてもよい。振動子6の共振周波数における負性容量回路10の等価並列抵抗が無限大に近い場合には、負性容量回路10が、振動子6の等価並列容量を相殺する機能以外に、振動子6及び増幅回路7から構成される発振回路の特性に対して不要な影響を与えないので好ましい。
【0025】
外部インターフェイス5は、負性容量回路10と振動子6及び増幅回路7との接続点である。外部インターフェイス5は、例えば、振動子6及び増幅回路7と接続するための導電性の端子である。なお、図1Aにおける負性容量回路10は、振動子6及び増幅回路7に接続されているが、外部インターフェイス5は、他の回路に接続されてもよい。また、トランジスタ21のコレクタと振動子6及び増幅回路7とを接続する配線が外部インターフェイス5として機能してもよい。
【0026】
振動子6は、負性容量回路10に接続され、ベース接地回路2の出力端子であるトランジスタ21のコレクタから出力される電流を受ける。振動子6は、例えばATカット水晶振動子、SCカット水晶振動子及びMEMS振動子である。
増幅回路7は、振動子6を発振させるための増幅回路である。振動子6及び増幅回路7は、例えばコルピッツ発振回路、又はハートレー発振回路を構成する。
【0027】
[負性容量回路10によって負性容量が生じる原理]
以下、負性容量回路10によって負性容量が生じる原理を定性的に説明する。
外部インターフェイス5に正の交流電圧Vが印加されると、抵抗4を介して、トランジスタ11のベースに、ほぼ同じ交流電圧Vが印加される。トランジスタ11はエミッタフォロワとして動作するから、交流電圧Vは、そのままトランジスタ11のエミッタに出力される。一方、ベース接地回路2のエミッタのインピーダンスはほぼ0とみなせるため、第1キャパシタ3には、第1キャパシタ3の容量値と交流電圧Vで決まる電流が流れる。
【0028】
トランジスタ21のエミッタに電流が入力されると、ほぼ同じ大きさの電流がトランジスタ21のコレクタから出力される。すなわち、外部インターフェイス5に正の交流電圧Vが印加されることによって、外部インターフェイス5に向けて電流が流れるので、負性容量回路10は、あたかも負の容量を有するキャパシタに交流電圧Vを印加したかのように動作する。
【0029】
負性容量回路10が振動子6に接続されている場合には、トランジスタ21のコレクタから電流が出力されることにより、振動子6の等価並列容量が相殺される。その結果、発振回路100は、振動子6の等価並列容量がない状態と等価な状態で発振することができる。
【0030】
なお、負性容量回路10によって負性容量が生じる原理は、図1Bに示す負性容量回路10の等価回路に基づいて、以下のように説明することもできる。トランジスタの相互コンダクタンスをgとし、外部インターフェイス5に正の交流電圧vが印加され、その時に外部インターフェイス5に流れる電流をiとすると、外部インターフェイス5から見たインピーダンスは、
in=v/i=−2/g−1/jωC
と表される。このことからも、容量Cと符号が逆の負性容量が生じることがわかる。
【0031】
[負性容量回路10の特性のシミュレーション結果]
図2は、抵抗4を1kΩに調整した負性容量回路10を外部インターフェイス5から観測した場合の等価RC並列回路の周波数特性の一例を示す。図2に周波数特性を示した負性容量回路10は、共振周波数が10MHzの振動子6の等価並列容量1.5pFを相殺することができる。実線は負性容量回路10の等価並列抵抗を示し、点線は負性容量回路10の等価並列容量を示している。
【0032】
図2の点線が示しているように、周波数10MHzにおける負性容量回路10の等価並列容量の値は、ほぼ−1.5pFであり、等価並列容量の値が1.5pFの振動子6に負性容量回路10を接続することにより、振動子6の等価並列容量を相殺できることがわかる。
【0033】
また、図2の実線が示しているとおり、振動子6の共振周波数である10MHzにおける等価並列抵抗の大きさは、100kΩより大きな正の値を示している。したがって、負性容量回路10が図2に示した特性を有することにより、負性容量回路10は、振動子6の等価並列容量を相殺する機能以外には、振動子6及び増幅回路7から構成される発振回路の特性に対して不要な影響を与えない。
【0034】
図3は、振動子6のインピーダンス特性の一例を示す。点線は、共振周波数が10MHzの振動子6の単体のインピーダンス特性を示す。実線は、振動子6に図3に示した特性を有する負性容量回路10を接続した場合のインピーダンス特性を示す。
【0035】
点線が示しているように、振動子6の単体のインピーダンス特性においては、振動子6が有する等価並列容量の影響により、共振周波数でインピーダンスが極小になり、共振周波数よりも高い反共振周波数でインピーダンスが極大になる。振動子6の発振周波数の可変範囲は、共振周波数と反共振周波数との間の周波数に限定される。
【0036】
これに対して、実線が示しているように、振動子6に負性容量回路10を接続した場合、振動子6の等価並列容量が相殺されるので、反共振周波数が表れていない。したがって、共振周波数と反共振周波数との間の周波数に限定されることなく、振動子6を単体で発振させる場合に比べて広い周波数範囲で周波数を変化させることができる。
【0037】
図4は、外部インターフェイス5から負性容量回路10を観測した場合の反射特性の一例を示す。横軸は周波数を示し、縦軸はリターンゲインを示している。図4が示すように、10MHzを超える周波数においても、ほとんど負性抵抗が発生していない。したがって、負性容量回路10を振動子6及び増幅回路7に接続した場合、不要な発振が発生しづらい。
【0038】
[比較例]
図5は、比較例として、図1Aに示した負性容量回路10から抵抗4を削除した負性容量回路20を振動子6及び増幅回路7に接続した発振回路200の構成例を示す。
【0039】
図6は、負性容量回路20を外部インターフェイス5から観測した場合の等価RC並列回路の周波数特性の一例を示す。実線は等価並列抵抗を示し、点線は等価並列容量を示している。図6においては、振動子6の共振周波数である10MHzにおける負性容量回路の等価並列容量は−1.5pFであるが、等価並列抵抗が20kΩしかないので好ましくない。
【0040】
図7は、負性容量回路20を振動子6に接続した場合のインピーダンス特性の一例を示す。図7における実線は、図3に示した、負性容量回路10を振動子6に接続した場合のインピーダンス特性を示しており、点線は、負性容量回路20を振動子6に接続した場合のインピーダンス特性を示している。負性容量回路20を振動子6に接続した場合には、共振周波数以外の周波数におけるインピーダンスが、負性容量回路10を振動子6に接続した場合に比べて低い。共振周波数以外の周波数におけるインピーダンスは、高い方が好ましいので、抵抗4を有する負性容量回路10の方が好ましい。
【0041】
図8は、外部インターフェイス5から負性容量回路20を観測した場合の反射特性の一例を示す。横軸は周波数を示し、縦軸はリターンゲインを示している。図8における点線は、図4に示した、負性容量回路10を振動子6に接続した場合の反射特性を示しており、実線は、負性容量回路20を振動子6に接続した場合の反射特性を示している。図8から明らかなように、負性容量回路20を振動子6に接続した場合には、100MHzより大きな周波数においてリターンゲインが急激に大きくなっている。したがって、リターンゲインが大きな周波数において不要発振が発生する可能性が高い。
【0042】
[第1の実施形態における効果]
以上のとおり、第1の実施形態に係る負性容量回路10においては、エミッタフォロワ回路1と、ベース接地回路2と、エミッタフォロワ回路1の出力端子とベース接地回路2の入力端子との間に設けられた第1キャパシタ3と、ベース接地回路2の出力端子とエミッタフォロワ回路1の入力端子との間に設けられた抵抗4とを備えることによって、接続された振動子6の等価並列容量を相殺することができるとともに、不要発振を防止することができるという効果を奏する。
【0043】
<第2の実施形態>
図9は、第2の実施形態に係る負性容量回路10の構成例を示す。図9に示した負性容量回路10は、ベース接地回路2の出力端子であるトランジスタ21のコレクタと外部インターフェイス5との間に設けられた抵抗8と、抵抗8に並列に接続された第2キャパシタ9とを備える点で、図1Aに示した負性容量回路10と異なり、その他の点で同じである。
【0044】
抵抗8は、数百Ωオーダーの抵抗値を有し、第2キャパシタ9は数pF〜数10pFのオーダーである。負性容量回路10が抵抗8及び第2キャパシタ9を備えることにより、負性容量回路10に接続される振動子6の共振周波数よりも高い周波数における負性容量回路10の負性抵抗が小さくなるので、振動子6の共振周波数よりも高い周波数における不要発振を効果的に防ぐことができる。
【0045】
<その他の変形例>
上記の実施形態においては、エミッタフォロワ回路1及びベース接地回路2がバイポーラトランジスタにより構成されていた。しかし、エミッタフォロワ回路1が電界効果トランジスタにより構成されてソースフォロワ回路として機能し、ベース接地回路2が電界効果トランジスタにより構成されてゲート接地回路として機能してもよい。
【0046】
エミッタフォロワ回路1及びベース接地回路2が電界効果トランジスタにより構成される場合には、上記の実施形態におけるバイポーラトランジスタのコレクタは電界効果トランジスタのドレインによって代替され、バイポーラトランジスタのエミッタは電界効果トランジスタのソースによって代替され、バイポーラトランジスタのベースは電界効果トランジスタのゲートによって代替される。
【0047】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。例えば、上記の実施形態においては、ベース接地回路2が1個のトランジスタを有する例について説明したが、ベース接地回路2が複数のトランジスタから構成されていてもよい。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0048】
1・・・エミッタフォロワ回路、2・・・ベース接地回路、3・・・第1キャパシタ、4・・・抵抗、5・・・外部インターフェイス、6・・・振動子、7・・・増幅回路、8・・・抵抗、9・・・第2キャパシタ、10・・・負性容量回路、11・・・トランジスタ、12・・・抵抗、20・・・負性容量回路、21・・・トランジスタ、22・・・電圧源、23・・・抵抗、24・・・抵抗、100・・・発振回路、200・・・発振回路
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9