(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、水晶振動子、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)振動子等の高いQを有する共振子の共振周波数は、f
L=(1/2π)√{(C
1+C
L)/L
1C
1C
L}で表される。ここで、C
1は振動子の等価回路のモーショナルキャパシタンス、C
Lは負荷容量、L
1は振動子の直列インダクタンスである。
【0008】
C
1が比較的小さいMEMS振動子を用いた発振回路においては、振動子に印加するバイアス電圧を調整することによって周波数の調整が行われる。しかし、集積回路や個別部品において実現できる数pFオーダーの容量値に対してC
1が非常に小さい振動子を発振回路に用いた場合は、C
L>>C
1の関係に基づいてf
L=(1/2π)√(1/L
1C
1)と近似できるので、共振周波数は、振動子が有するL
1及びC
1に基づいて定められる。したがって、上記の振動子を発振回路に用いる場合には、振動子の共振周波数の温度特性が、そのまま発振周波数の温度特性に反映されてしまう。
【0009】
特に、MEMS振動子の共振周波数の温度特性は−30ppm/℃程度であり、温度変化に対する周波数変化範囲が比較的大きい。したがって、MEMS振動子を用いた発振回路においては、バイアス電圧を調整するだけでは、温度変化を相殺して安定した発振周波数を得ることが困難である。
【0010】
図8に示した反共振回路400においては、単一のMEMS振動子のバイアス電圧を調整する場合よりも広い周波数範囲で反共振周波数を変化させることができる。しかし、反共振回路400において、反共振周波数におけるQの値を発振回路に用いることができる程度に大きな値にするために、インダクタ413及びインダクタ423のインダクタンス値を十分に大きな値にしなければならなかった。具体的には、特許文献1においては、インダクタ413及びインダクタ423のインダクタンス値として27μHが例示されている。
【0011】
しかし、インダクタは、温度変化に応じてインダクタンス値が大きく変化する。また、振動子のばらつきに応じてインダクタンス値を調整することも困難である。したがって、インダクタを用いた共振回路においては、安定した発振周波数の発振信号を得ることができなかった。さらに、μHオーダーのインダクタンス値を有するインダクタは、集積回路に内蔵することが困難であった。したがって、従来の反共振回路400を用いて、安定した発振周波数の発振信号を得られる発振回路を、低コストで量産することができなかった。
【0012】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、集積回路に内蔵することが可能であり、かつ、振動子の共振周波数と異なる周波数で共振させることができる共振回路及び発振回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の実施態様においては、第1振動子と、第1振動子と直列に接続された第2振動子と、第1振動子と並列に、互いに直列に接続された反転増幅器及び容量素子と、第1振動子と第2振動子との間のノードとグランドとの間に設けられた負性容量回路と、を備える共振回路を提供する。容量素子の容量は、例えば、第1振動子の等価並列容量と等しい。また、負性容量回路は、容量値を変化させることができてもよい。
【0014】
上記の共振回路は、第1振動子と並列に設けられた第1可変抵抗と、第2振動子と並列に設けられた第2可変抵抗と、をさらに備えてもよい。また、上記の発振回路は、第1振動子と第2振動子との間に可変容量素子をさらに備えてもよい。
【0015】
本発明の第2の実施態様においては、第1振動子と、第1振動子と直列に接続された第2振動子と、第1振動子と並列に、互いに直列に接続された反転増幅器及び容量素子と、第1振動子と第2振動子との間のノードとグランドとの間に設けられた負性容量回路と、第2振動子が出力する信号を第1振動子に帰還する帰還部と、を備える発振回路を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る発振回路によれば、集積回路に内蔵することが可能であり、かつ、振動子の共振周波数と異なる周波数で共振させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
[発振器100の構成]
図1は、第1の実施形態に係る発振器100の構成例を示す。発振器100は、共振回路1と増幅回路2とを備える。増幅回路2は、第2振動子12が出力する信号を第1振動子11に帰還する帰還部として機能する。共振回路1と増幅回路2とがループを形成することにより、発振器100は、共振回路1の共振周波数の発振信号を発生させることができる。
【0019】
[共振回路1の構成]
共振回路1は、第1振動子回路10と、第2振動子12と、負性容量回路15とを備える。第1振動子回路10は、第1振動子11と、反転増幅器13と、容量素子14とを備える。
第1振動子11及び第2振動子12は、例えばATカット水晶振動子、SCカット水晶振動子及びMEMS振動子である。第1振動子11と第2振動子12とは、直列に接続されている。
【0020】
本実施形態における第1振動子11の共振周波数fr
1は、約51.9MHzであり、反共振周波数fa
1は、約52.0MHzである。第2振動子12の共振周波数fr
2は、約52.1MHzであり、反共振周波数fa
2は、約52.2MHzである。すなわち、第1振動子11及び第2振動子12の共振周波数と反共振周波数との関係は、fr
1<fa
1<fr
2<fa
2である。
【0021】
反転増幅器13及び容量素子14は、第1振動子11と並列に、互いに直列に接続されている。すなわち、反転増幅器13の入力端子は、第1振動子11の一端に接続されており、反転増幅器13の出力端子は、容量素子14の一端に接続されている。容量素子14の他端は、第1振動子11と第2振動子12との間のノードに接続されている。反転増幅器13の利得は1であることが好ましい。
【0022】
負性容量回路15は、第1振動子11と第2振動子12との間のノードとグランドとの間に設けられている。負性容量回路15は、正の電圧を印加すると電荷を放出する性質を持つ回路である。例えば、負性容量回路15は、オペアンプ又は複数のトランジスタのような能動素子と、キャパシタ及び抵抗のような受動素子とを組み合わせて構成される公知の回路により構成される。
【0023】
図2は、第1の実施形態に係る共振回路1の等価回路を用いたシミュレーション回路を示す。
図2において、共振回路1は、交流信号源16と負荷抵抗17とに接続されている。交流信号源16及び負荷抵抗17は、共振回路1を
図1に示した発振器100に用いた場合の動作をシミュレーションするために設けられている。
【0024】
第1振動子11においては、等価並列容量111と、互いに直列に接続された等価直列容量112、等価直列インダクタ113及び等価直列抵抗114とが並列に接続されている。第2振動子12においては、等価並列容量121と、互いに直列に接続された等価直列容量122、等価直列インダクタ123及び等価直列抵抗124とが並列に接続されている。
【0025】
容量素子14の容量は、第1振動子11の等価並列容量111の容量と等しい。交流信号源16が出力する信号は、等価並列容量111に入力されるとともに反転増幅器13に入力される。反転増幅器13を介して容量素子14に入力される信号は、等価並列容量111に入力される信号と逆相である。したがって、等価並列容量111を通過した信号は、等価並列容量111と容量値が等しい容量素子14を通過した信号により打ち消される。
【0026】
負性容量回路15の容量値は、例えば、容量素子14、等価並列容量111及び等価並列容量121の容量値と符号が反対で、容量素子14、等価並列容量111及び等価並列容量121の容量値を合計した値に等しい。第1振動子11と第2振動子12との間に負性容量回路15があることで、等価並列容量111、容量素子14及び等価並列容量121の影響が打ち消されるので、共振回路1は、第1振動子11の反共振周波数の影響を受けにくくなり、第1振動子11の共振周波数と第2振動子12の共振周波数との間で発振しやすくなる。このように、負性容量回路15が接続されるノード、すなわち、第1振動子回路10と第2振動子12との接続点から、第1振動子回路10を見ても、第2振動子12を見ても、第1振動子回路10の容量素子14、等価並列容量111、及び第2振動子12の等価並列容量121を見えないようにすることで、第1振動子11の共振周波数と第2振動子12の共振周波数の中間に共振周波数を成立させることができる。
【0027】
なお、負性容量回路15の容量値が容量素子14、等価並列容量111及び等価並列容量121の容量値を合計した値よりも小さくなると、共振回路1の共振周波数が第1振動子11の共振周波数に近づく。また、負性容量回路15の容量値が容量素子14、等価並列容量111及び等価並列容量121の容量値を合計した値よりも大きくなると、共振回路1の共振周波数が第2振動子12の共振周波数に近づく。したがって、負性容量回路15の容量値を変化させることにより、共振回路1の共振周波数を変化させることができる。例えば、負性容量回路15にバリキャップダイオードのような可変容量素子を用いれば、当該可変容量素子に印加する電圧を変化させることによって共振回路1の共振周波数を変化させることができる。
【0028】
図3Aは、第1の実施形態に係る共振回路1の利得の周波数特性の一例を示す。
図3Aにおける破線は、第1振動子回路10の利得の周波数特性である。また、
図3Aにおける1点鎖線は、第2振動子12の利得の周波数特性である。また、
図3Aにおける実線は、共振回路1の利得の周波数特性である。
図3Bは、第1の実施形態に係る共振回路1の位相の周波数特性の一例を示す。
図3Bにおける破線は、第1振動子回路10の位相である。また、
図3Bにおける1点鎖線は、第2振動子12の位相である。
図3Bにおける実線は、共振回路1の位相である。
【0029】
図3Aに示されているように、第1振動子回路10の利得の周波数特性においては、第1振動子11の共振周波数である51.9MHz付近に、利得が大きいピークがある。第2振動子12の利得の周波数特性においては、第2振動子12の共振周波数である52.1MHz付近に利得が大きいピークがある。また、共振回路1の利得の周波数特性においては、第1振動子11の共振周波数と第2振動子12の共振周波数との間の52.0MHz付近に利得が大きいピークがある。このように、共振回路1においては、第1振動子11の共振周波数と第2振動子12の共振周波数との間の周波数が共振周波数になることがわかる。また、
図3Bに示されるように、第1振動子11、第2振動子12及び共振回路1は、それぞれの利得のピークに対応する周波数において位相が180度変化している。
【0030】
第2振動子12及び共振回路1の利得の周波数特性においては、第2振動子12の反共振周波数である52.2MHz付近に、利得が小さいピークが生じている。これに対して、
図3Aの破線が示すように、第1振動子回路10の利得の周波数特性においては反共振周波数が見られない。これは、以下の理由により、第1振動子11と並列に反転増幅器13及び容量素子14が設けられていることで、第1振動子回路10の反共振周波数が第2振動子12の共振周波数fr
2よりも高くなったためである。
【0031】
第1振動子11の反共振周波数fa
1は、fa
1=fr
1・(1/2π)√{1+C
1/C
0}で表される。ここで、C
0は第1振動子11の等価並列容量111の容量値、C
1は第1振動子11の等価直列容量112の容量値である。上記の式からわかるように、第1振動子11の等価並列容量111の容量値が小さければ小さいほど、反共振周波数fa
1が高くなる傾向にある。
【0032】
本実施形態における第1振動子回路10では、反転増幅器13及び容量素子14が設けられていることによってC
0が打ち消されるので、第1振動子回路10の反共振周波数fa
1が第2振動子12の共振周波数fr
2に比べて大きくなる。その結果、共振回路1においては、第1振動子11の共振周波数fr
1と第2振動子12の共振周波数fr
2との間の全ての周波数範囲において発振条件が満たされるので、共振回路1は、広い周波数範囲で共振周波数を変化させることができる。
【0033】
[比較例]
図3Cに、比較例として、共振回路1から反転増幅器13、容量素子14及び負性容量回路15を削除した回路における利得の周波数特性を示す。
図3Cにおける破線は、第1振動子11の利得の周波数特性である。また、
図3Cにおける1点鎖線は、第2振動子12の利得の周波数特性である。また、
図3Cにおける実線は、第1振動子11及び第2振動子12を直列に接続した比較例の回路における利得の周波数特性を示す。
【0034】
図3Cに示すように、共振回路1から反転増幅器13、容量素子14及び負性容量回路15を削除した回路においては、第1振動子11の共振周波数fr
1と第2振動子12の共振周波数fr
2との間に第1振動子11の反共振周波数fa
1があるので、第1振動子11の共振周波数fr
1と第2振動子12の共振周波数fr
2との間で周波数を変化させようとすると、第1振動子11の共振周波数fr
1と第2振動子12の共振周波数fr
2との間の全ての周波数範囲では発振条件が満たされず、狭い周波数範囲でしか発振条件が満たされない。
【0035】
[第1の実施形態における効果]
以上のとおり、第1の実施形態に係る共振回路1によれば、第1振動子11と、第1振動子11と直列に接続された第2振動子12と、第1振動子11と並列に、互いに直列に接続された反転増幅器及び容量素子と、第1振動子11と第2振動子12との間のノードとグランドとの間に設けられた負性容量回路15とを備えることで、第1振動子11の共振周波数fr
1と第2振動子12の共振周波数fr
2との間の周波数に共振周波数を設定することができる。
【0036】
<第2の実施形態>
[振動子と並列に可変抵抗を備える]
図4は、第2の実施形態に係る共振回路1の構成例を示す。共振回路1は、第1可変抵抗18及び第2可変抵抗19をさらに備える点で
図2に示した共振回路1と異なり、他の点で同じである。
【0037】
第1可変抵抗18は、第1振動子11と並列に設けられている。第2可変抵抗19は、第2振動子12と並列に設けられている。第1振動子11を流れる電流は、第1可変抵抗18の抵抗値を調整することによって調整される。また、第2振動子12を流れる電流は、第2可変抵抗19の抵抗値を調整することによって調整される。
【0038】
例えば、第1可変抵抗18の抵抗値が等価直列抵抗114に対して比較的大きく、第2可変抵抗19の抵抗値が等価直列抵抗124に対して比較的小さい場合、交流信号源16から出力された電流は第1振動子回路10を通過する。そして、第1振動子回路10を通過した電流のうち比較的多くの割合の電流が第2可変抵抗19を通過する。したがって、この場合の共振回路1においては第2振動子12の影響をほとんど受けず、第1振動子回路10を通過した信号のうち、第2振動子12の共振周波数から離れた周波数の信号も減衰されない。その結果、共振回路1の共振周波数は、第2振動子12の共振周波数に比べて第1振動子回路10の共振周波数に近い周波数となる。
【0039】
他方、第1可変抵抗18の抵抗値が等価直列抵抗114に対して比較的小さく、第2可変抵抗19の抵抗値が等価直列抵抗124に対して比較的大きい場合、交流信号源16から出力された電流は第1振動子回路10の影響をほとんど受けることなく第1可変抵抗18を通過する。そして、第1可変抵抗18を通過した電流のうち比較的多くの割合の電流が第2振動子12を通過する。したがって、この場合の共振回路1においては第1振動子回路10の影響をほとんど受けず、第1振動子回路10の共振周波数から離れた周波数の信号が減衰されることなく第2振動子12に入力される。その結果、共振回路1の共振周波数は、第1振動子回路10の共振周波数に比べて第2振動子12の共振周波数に近い周波数となる。
【0040】
第1可変抵抗18及び第2可変抵抗19の抵抗値を変化させることにより、共振回路1に入力された信号のそれぞれの周波数成分が、第1振動子回路10及び第2振動子12を通過する間に減衰される量が変化する。そして、第1振動子回路10及び第2振動子12を通過する間に減衰する量が最も小さい周波数において、共振回路1が共振する。
【0041】
[第2の実施形態における効果]
以上のとおり、第2の実施形態に係る共振回路1によれば、第1可変抵抗18及び第2可変抵抗19をさらに備えることにより、共振回路1の共振周波数を、第1振動子11の共振周波数と第2振動子12の共振周波数との間で調整することができる。すなわち、第2の実施形態に係る共振回路1においては、第1可変抵抗18及び第2可変抵抗19の値に応じて、
図3Aの実線で示される共振回路1の周波数特性におけるピークの周波数を、第1振動子11の共振周波数fr
1と第2振動子12の共振周波数fr
2との間で変化させることができる。
【0042】
<第3の実施形態>
[第1振動子11と第2振動子12との間に可変容量素子を備える]
図5は、第3の実施形態に係る共振回路1の構成例を示す。第3の実施形態に係る共振回路1は、可変容量素子20をさらに備える点で
図4に示した共振回路1と異なり、他の点で同じである。
図6Aは、第3の実施形態に係る共振回路1の利得の周波数特性の一例を示す。
図6Bは、第3の実施形態に係る共振回路1の位相の周波数特性の一例を示す。
【0043】
可変容量素子20は、第1振動子11と第2振動子12との間に設けられている。可変容量素子20は、例えば、バリキャップダイオード、又はFETと抵抗との直列接続によって構成される素子群である。可変容量素子20の容量値を変化させることにより、共振回路1の共振周波数を変化させることができる。
【0044】
図6Aにおける破線は、可変容量素子20の容量値を十分に大きくした状態で第2可変抵抗19を短絡した共振回路1における利得の周波数特性である。この状態では、第1振動子11の周波数特性が共振回路1の周波数特性に対して強く影響するため、共振回路1の共振周波数は、第1振動子11の共振周波数に近い。第2可変抵抗19を短絡した状態で、可変容量素子20の容量値を減少させることにより、共振回路1の共振周波数が高くなり、実線で示す周波数特性に変化する。
【0045】
また、第2可変抵抗19の抵抗値と可変容量素子20の容量値とを十分に大きくして、第1振動子11の共振周波数と第2振動子12の共振周波数との中央付近の周波数に共振回路1の共振周波数をした後に、可変容量素子20の容量値を減少させると、第2振動子12の周波数特性が共振回路1の周波数特性に対して強く影響するようになる。その結果、
図6Aにおける1点鎖線が示すように、共振回路1の周波数特性は第2振動子12の周波数特性に近づく。
【0046】
[第3の実施形態における効果]
以上のとおり、第3の実施形態に係る共振回路1によれば、可変容量素子20をさらに備えることにより、共振回路1の共振周波数をさらに自由に変化させることができる。
【0047】
<第4の実施形態>
図7は、第4の実施形態に係る発振器200の構成例を示す。
図7に示した発振器200における共振回路1は、第3振動子21と、負性容量回路22と、反転増幅器23と、容量素子24とをさらに備える点で
図1に示した発振器100における共振回路1と異なり、他の点で同じである。
【0048】
第3振動子21の共振周波数は、第2振動子12の共振周波数よりも高い。負性容量回路22の容量値は、第2振動子12の端子間容量、第3振動子21の端子間容量及び容量素子24と符号が反対で、これらの容量値を合計した値に等しい。反転増幅器23及び容量素子24は、第2振動子12の端子間容量を相殺する。
【0049】
図7に示した共振回路1が負性容量回路22と、反転増幅器23と、容量素子24とを備えることにより、第1振動子11の反共振周波数と第2振動子12の反共振周波数が第3振動子21の共振周波数よりも高くなるので、発振器200は、第1振動子11の共振周波数と第3振動子21の共振周波数との間の周波数で発振する。負性容量回路22の容量値を変化させることにより、第1振動子11の共振周波数と第3振動子21の共振周波数との間で、発振器200の発振周波数を変化させることができる。なお、第2の実施形態と同様に、第3振動子21と並列に可変抵抗を設けて、可変抵抗の抵抗値を変化させたり、第3の実施形態と同様に、第2振動子12と第3振動子21との間に可変容量素子を設けて、可変容量素子の容量値を変化させたりすることによっても、発振器200の発振周波数を変化させることができる。
【0050】
[第4の実施形態における効果]
以上のとおり、第4の実施形態に係る発振器200によれば、第3振動子21と、負性容量回路22と、反転増幅器23と、容量素子24とをさらに備えることで、上記の実施形態よりもさらに広い周波数範囲で、発振周波数を変化させることができる。
【0051】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0052】
例えば、第1の実施形態においては、第1振動子11に並列に反転増幅器13と容量素子14とが直列に接続されていたが、第2振動子12に並列に反転増幅器13及び容量素子14と同等の回路が接続されていてもよい。
また、第4の実施形態においては、発振器200が3個の振動子を備える構成について説明したが、発振器200は、さらに多くの振動子を備えてもよい。