【実施例】
【0032】
原材料
以下の実施例および比較例で用いた原材料は、次のとおりである。
サンニックスGH−5000: ポリオキシプロピレントリオール、平均分子量5000、OH価:33.7mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
サンニックスPP−2000: ポリオキシプロピレンジオール、平均分子量2000、OH価56.1mgKOH/g、三洋化成工業株式会社製
T−80: コロネートT−80、2,4−トリレンジイソシアナート/2,6−トリレンジイソシアナート=80/20(質量比)の混合物、NCO含有量48.3質量%、日本ポリウレタン工業株式会社製
石油系炭化水素溶剤: ノルマルパラフィン、イソパラフィン混合物、シェルケミカルズジャパン株式会社製
MOCA: イハラキュアミンMT、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタン〔アミン価=420mgKOH/g〕、イハラケミカル工業株式会社製
変性MOCA: ML−620、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジクロロジフェニルメタンおよびその三核体を、同質量のポリオキシプロピレングリコール〔分子量2000〕で溶かしたもの〔アミン価=210mgKOH/g〕、イハラケミカル工業株式会社製
DETDA: エタキュア100、ジエチルトルエンジアミン、アルベマール社製
ニッカオクチックスCa5%T:2−エチルヘキサン酸カルシウム(Ca含有量12質量%)をミネラルスピリットで希釈し、Ca含有量として5質量%としたもの、日本化学産業株式会社
ニッカオクチックスBa15%T: 2−エチルヘキサン酸バリウム(Ba含有量32質量%)をミネラルスピリットで希釈し、Ba含有量として15質量%としたもの、日本化学産業株式会社
ニッカオクチックス鉛20%TS: 2−エチルヘキサン酸鉛(Pb含有量42質量%)をノルマルパラフィンとイソパラフィン混合物で希釈し、Pb含有量として20質量%としたもの、日本化学産業株式会社製
2−エチルヘキサン酸ビスマス(Bi15%): U−600H、2−エチルヘキサン酸ビスマス(Bi含有量31質量%)を石油系炭化水素溶剤で希釈し、Bi含有量として15質量%としたもの、日東化成工業株式会社製
ジオクチル錫ジラウレート: KS−1200A−1,共同薬品株式会社製
NC−IM: 1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、三共エアプロダクツ株式会社製
2−エチルヘキサン酸ストロンチウム(Sr2%): 2−エチルヘキサン酸ストロンチウム(Sr含有量23%)をトルエンで希釈し、Sr含有量として2質量%としたもの、和光純薬工業株式会社製
2−エチルヘキサン酸マグネシウム(Mg3%): 2−エチルヘキサン酸マグネシウム(Mg含有量8%)をトルエンで希釈し、Mg含有量として3質量%としたもの、和光純薬工業株式会社製
ナフテックスCa3%T: ナフテン酸カルシウム(なお、ナフテン酸とは石油抽出成分であり、炭素数が8〜22の脂環族カルボン酸の混合物である。)をミネラルスピリットで希釈し、Ca含有量として3質量%としたもの、日本化学産業株式会社
DINP: サンソサイザーDINP、ジイソノニルフタレート、新日本理化株式会社製
脂環族炭化水素溶剤: 三協化学株式会社製
添加剤類: 楠本化成株式会社製
炭酸カルシウム NS#100: 日東粉化工業株式会社製
トナー: 大日精化工業株式会社製
【0033】
主剤の調製
製造例1
サンニックスPP−2000の315.8g、サンニックスGH−5000の526.3g(当量比PP−2000/GH−5000=50/50)および石油系炭化水素溶剤の30.0g(主剤の3質量%)にT−80の128.0g(当量比NCO/OH=2.33)を95℃〜105℃で8時間反応させ、NCO含有率が3.50質量%のイソシアナート基末端TDI系プレポリマーを得た。
【0034】
製造例2
サンニックスPP−2000の397.6g、サンニックスGH−5000の441.8g(当量比PP−2000/GH−5000=60/40)および石油系炭化水素溶剤の30.0g(主剤の3質量%)にT−80の130.5g(当量比NCO/OH=2.27)を95℃〜105℃で8時間反応させ、NCO含有率が3.50質量%のイソシアナート基末端TDI系プレポリマーを得た。
【0035】
実施例1
MOCAの7.21質量部、サンニックスGH−5000の12.84質量部、サンニックスPP−2000の7.70質量部、(当量比MOCA/サンニックスGH−5000/サンニックスPP−2000=78/11/11)、DINPの8.13質量部、脂環族炭化水素溶剤の1.40質量部、ニッカオクチックスCa5%Tの3.00質量部、添加剤類0.52質量部にトナー1.20質量部および炭酸カルシウムNS#100の58.00質量部を加え、攪拌機(ディゾルバー羽根、1500rpm)で10分間混合して硬化剤を得た。この硬化剤と製造例1の方法で合成したジオール/トリオール当量比が50/50、NCO含有率3.50質量%のTDI系プレポリマー主剤を質量比1:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
当該防水材組成物の23℃の可使時間は65分と十分に長く、23℃の硬化時間は15時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0036】
実施例2(硬化触媒量)
ニッカオクチックスCa5%Tの使用量を7.00質量部に変更し、DINPを表1の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
23℃の可使時間は38分、硬化時間は8.5時間であり、冬季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0037】
実施例3(主剤/硬化剤混合比=1/2)
MOCAの3.61質量部、サンニックスGH−5000の6.42質量部、サンニックスPP−2000の3.85質量部、(当量比MOCA/サンニックスGH−5000/サンニックスPP−2000=78/11/11)、DINPの14.42質量部、脂環族炭化水素溶剤の1.40質量部、ニッカオクチックスCa5%Tの3.00質量部、添加剤類0.60質量部にトナー1.20質量部および炭酸カルシウムNS#100の65.50質量部を加え、攪拌機(ディゾルバー羽根、1500rpm)で10分間混合して硬化剤を得た。この硬化剤と製造例1の方法で合成したジオール/トリオール当量比が50/50、NCO含有率3.50質量%のTDI系プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
当該防水材組成物の23℃の可使時間は54分と十分に長く、23℃の硬化時間は14時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0038】
実施例4(主剤/硬化剤混合比=1/2)
ニッカオクチックスCa5%Tの使用量を5.00質量部に変更し、DINPを表1の配合量に変えた以外は実施例3と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
23℃の可使時間は38分、硬化時間は8時間であり冬季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性も良好であった。80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性は実施例4に比べるとやや劣るものの、防水材として実用上十分な性能を示した。
【0039】
実施例5,6(有機酸バリウム塩触媒)
触媒をニッカオクチックスCa5%TからニッカオクチックスBa15%Tの2.00質量部あるいは3.00質量部に変更し、DINPを表2の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
ニッカオクチックスBa15%Tを2.00質量部使用した時の、23℃の可使時間は55分、硬化時間は11時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。一方、ニッカオクチックスBa15%Tを3.00質量%使用した時の、23℃の可使時間は40分、硬化時間は7時間であり冬季用処方として良好な作業性が確保できた。いずれの場合も硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0040】
比較例1,2(有機酸鉛塩触媒)
触媒をニッカオクチックスCa5%TからニッカオクチックスPb20%TSに変え、使用量を1.00、2.00質量部に変更し、DINPを表3の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
ニッカオクチックスPb20%TSを1.00質量部使用した時の、23℃の可使時間は65分、硬化時間は17時間であり夏季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。しかしながら、明らかに層間膨れの現象が見られた。
一方、ニッカオクチックスPb20%TSを2.00質量部使用すれば層間膨れの現象は抑制されるものの、23℃の可使時間は32分、硬化時間は10時間であり夏季用処方としては可使時間が不十分であり、初期の破断時の伸び率も430%とJIS規格を下回っていた。
【0041】
比較例3、4(有機酸鉛塩触媒、主剤/硬化剤=1/2配合)
触媒をニッカオクチックスCa5%TからニッカオクチックスPb20%TSに変え、使用量を1.00、2.00質量部に変更し、DINPを表3の配合量に変えた以外は実施例3と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
ニッカオクチックスPb20%TSを1.00質量部使用した時の、23℃の可使時間は67分、硬化時間は16時間であり夏季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。しかしながら、明らかに層間膨れの現象が見られた。
一方、ニッカオクチックスPb20%TSを2.00質量部使用すれば層間膨れの現象は抑制されるものの、23℃の可使時間は31分、硬化時間は8時間であり夏季用処方としては可使時間が不十分あった。また、80℃4週間の加熱処理後の物性低下も激しく防水材性能として不十分であった。
【0042】
実施例7(変性MOCA)
変性MOCAの7.22質量部、サンニックスPP−2000の4.09質量部、(当量比変性MOCA/サンニックスPP−2000=78/22)、DINPの16.99質量部、脂環族炭化水素溶剤の1.40質量部、ニッカオクチックスCa5%Tの3.00質量部、添加剤類0.60質量部にトナー1.20質量部および炭酸カルシウムNS#100の65.50質量部を加え、攪拌機(ディゾルバー羽根、1500rpm)で10分間混合して硬化剤を得た。この硬化剤と製造例2の方法で合成したジオール/トリオール当量比が60/40、NCO含有率3.50質量%のTDI系プレポリマー主剤を質量比2:1で混合しTDI系ウレタン防水材組成物を得た。
当該防水材組成物の23℃の可使時間は71分と十分に長く、23℃の硬化時間は10時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性は初期の破断時伸び率がやや低いものの、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0043】
実施例8、9(DETDA/MOCA=8/92 併用)
MOCAの使用量を6.62質量部に変更し、DETDAの0.40質量部を加え(DETDA/MOCA当量比=8/92)、ニッカオクチックスCa5%TおよびDINPを表5の配合量に変えた以外は実施例1と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
DETDAを併用しても、ニッカオクチックスCa5%Tを3.00質量部使用した場合、23℃の可使時間は74分と十分に長く、硬化時間は12時間と速硬化性であり夏季用処方として良好な作業性が確保できた。一方、ニッカオクチックスCa5%Tを5.00質量部使用した場合、23℃の可使時間は49分、硬化時間は9.5時間であり冬季用処方として良好な作業性が確保できた。いずれの場合も、硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0044】
実施例10、11、12(DETDA/MOCA=8/92 併用)
触媒の種類・使用量およびDINPを表5の配合量に変えた以外は実施例8と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た
2−エチルヘキサン酸ストロンチウム(Sr2%)を硬化触媒として使用した場合、23℃の可使時間は123分、硬化時間は18時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。2−エチルヘキサン酸マグネシウム(Mg3%)を硬化触媒として使用した場合、23℃の可使時間は160分、硬化時間は18時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。さらにナフテックスCa3%Tを硬化触媒として使用した場合、23℃の可使時間は157分、硬化時間は18時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。いずれの場合も硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0045】
比較例5,6,7(DETDA/MOCA=8/92 併用、従来の硬化触媒)
硬化触媒の種類・使用量およびDINPを表6の配合量に変えた以外は実施例8と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
硬化触媒に2−エチルヘキサン酸ビスマス(Bi15%)あるいはジオクチル錫ジラウレートを使用した場合、硬化時の発泡および層間の膨れが激しく見られた。また、1−イソブチル−2−メチルイミダゾールを使用した場合、硬化時の発泡は抑制できたが、層間の膨れが見られた。
【0046】
実施例13,14(DETDA/MOCA=25/75 併用)
MOCAとDETDAの使用量を5.42質量部、1.21質量部(DETDA/MOCA当量比=25/75)に変更し、ニッカオクチックスCa5%TおよびDINPを表7の配合量に変えた以外は実施例8と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
ニッカオクチックスCa5%T使用量が0.50質量部の場合、23℃の可使時間は53分、硬化時間は18時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。ニッカオクチックスCa5%T使用量が3.00質量部の場合、23℃の可使時間は30分、硬化時間は10時間であり、冬季用処方として良好な作業性が確保できた。いずれの場合も硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0047】
実施例15(DETDA/MOCA=25/75併用、有機酸Ba塩)
硬化触媒を、ニッカオクチックスCa5%TからニッカオクチックスBa15%Tに変更し、触媒およびDINPを表7の配合量に変えた以外は実施例13と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
23℃の可使時間は53分、硬化時間は17時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0048】
実施例16(DETDA/MOCA=25/75併用、主剤/硬化剤=1/2配合)
MOCAの使用量を2.72質量部に変更し、DETDAの0.60質量部を加え(DETDA/MOCA当量比=25/75)、ニッカオクチックスCa5%TおよびDINPを表7の配合量に変えた以外は実施例3と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
主剤/硬化剤=1/2(質量比)の配合においてDETDAを併用しても、23℃の可使時間は71分、硬化時間は18時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0049】
実施例17、18(DETDA/MOCA=18/82併用、有機酸Ca塩/NC−IM併用)
MOCAとDETDAの使用量を5.87質量部、0.90質量部(DETDA/MOCA当量比=18/82)に変更し、硬化触媒として、ニッカオクチックスCa5%TとNC−IMを併用し、触媒およびDINPを表8の配合量に変えた以外は実施例12と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
ニッカオクチックスCa5%T使用量が0.50質量部、NC−IM使用量が0.06質量部の場合、23℃の可使時間は62分、硬化時間は15時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。一方、ニッカオクチックスCa5%T使用量が0.50質量部、NC−IM使用量が0.14質量部の場合、23℃の可使時間は32分、硬化時間は10時間であり、冬季用処方として良好な作業性が確保できた。いずれの場合も硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0050】
実施例19、20(DETDA/MOCA=18/82併用、有機酸Ba塩/NC−IM併用)
硬化触媒として、ニッカオクチックスBa15%TとNC−IMを併用し、触媒およびDINPを表8の配合量に変えた以外は実施例17と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
ニッカオクチックスBa15%T使用量が0.70質量部、NC−IM使用量が0.06質量部の場合、23℃の可使時間は52分、硬化時間は13時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。一方、ニッカオクチックスBa15%T使用量が0.70質量部、NC−IM使用量が0.10質量部の場合、23℃の可使時間は40分、硬化時間は9.5時間であり、冬季用処方として良好な作業性が確保できた。いずれの場合も硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0051】
実施例21(DETDA/MOCA=25/75併用、有機酸Ca塩/NC−IM併用)
硬化触媒として、ニッカオクチックスCa5%TとNC−IMを併用し、触媒およびDINPを表8の配合量に変えた以外は実施例13と同様に行い、TDI系ウレタン防水材組成物を得た。
23℃の可使時間は52分、硬化時間は17時間であり、夏季用処方として良好な作業性が確保できた。硬化時の発泡は十分に抑制されており、層間膨れの現象も見られなかった。また硬化塗膜の初期物性、80℃4週間の加熱処理後および60℃1週間のアルカリ処理後の物性、トップコート接着性はいずれも防水材として十分な性能を示した。
【0052】
なお、各評価項目の測定方法は次のとおりである。
【0053】
[NCO(質量%)]
200mLの三角フラスコに主剤約1gを精秤し、これに0.5Nジ−n−ブチルアミン(トルエン溶液)10mL、トルエン10mLおよび適量のブロムフェノールブルーを加えた後、メタノール約100mLを加え溶解する。この混合液を0.25N塩酸溶液で滴定する。NCO(質量%)は以下の式によって求められる。
NCO(質量%)=(ブランク滴定値−0.5N塩酸溶液滴定値)×4.202×0.25N塩酸溶液のファクター×0.25÷サンプル質量
【0054】
[可使時間(分)]
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合し、攪拌・混合開始から、BH型粘度計で2rpmにおける粘度が60,000mPa・sになるまでの時間を測定した。
【0055】
[硬化時間(時間)]
23℃、湿度50%の空気循環式型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m
2で塗布し、完全に硬化し塗膜上を靴で歩行できるまでの時間を測定した。
【0056】
[層間膨れ性]
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を1.5kg/m
2で塗布した。その18時間後、一層目と同じ主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を3.0kg/m
2で塗布し60℃、湿度50%の恒温・恒湿槽中で4時間硬化した後、目視にて一層目と二層目の層間膨れの状況を観察した。
評価○:全く膨れがない。
評価×:膨れがある。
【0057】
[発泡性]
主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を150ccの紙コップ(商品名:紙コップSM−150ホット無地、東罐興業株式会社製、底面の直径:47mm、上面の直径:60mm、高さ:73mm)の上面いっぱいに入れ、60℃の乾燥機に24時間放置した後の盛り上がりの状態をチェックした。
評価○:ほとんど発泡が認められない。
評価△:盛り上がりが5mm以上の発泡があり、実用上発泡の危険性がある。
評価×:明らかに発泡している。
【0058】
[トップコート接着性(23℃)]
23℃、湿度50%の空気循環型環境試験室内において、主剤と硬化剤を所定の割合で攪拌・混合した防水材を2kg/m
2で塗布した。その3日後、トップコート(OTコートA、田島ルーフィング株式会社製)を0.15kg/m
2で塗布した。さらにその翌日、接着性試験を行った。接着試験は、トップコート面を2mmの碁盤目(25マス)にカットした部分を、ゴムベラ先端を厚さ5mmにカットした角の部分で10往復(5cm巾で移動)こすった後のトップコートの剥れを観察するラビング試験で行った。
評価○:全く剥れない。
評価○△:10%以下剥れるが実用上問題ない。
評価△:一部分(30%以下)剥れる。
評価×:30%以上剥れる。
【0059】
[引張強さ(N/mm
2)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS規格では引張強さは2.3N/mm
2以上)。
【0060】
[破断時の伸び率(%)]
JIS A 6021に基づいて測定を行った(JIS規格では破断時の伸び率は450%以上)。
【0061】
[80℃、4週加熱処理後の引張強さ比(%)、破断時の伸び率(%)]
処理条件を80℃、4週間(JIS A 6021では80℃で1週間)に変えた以外は、JIS A 6021に基づいて引張強さおよび破断時の伸び率の測定を行い、引張強さに関しては処理前に対する引張強さ比を求めた。
【0062】
[アルカリ処理後の引張強さ比(%)と破断時の伸び率(%)]
処理条件を60℃、1週間(JIS A 6021では23℃で1週間)に変えた以外は、JIS A 6021に基づいて行い、処理前に対する引張強さ比(%)および破断時の伸び率(%)を求めた。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
【表8】