(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305129
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
G10K 9/15 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
G10K9/15 L
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-49843(P2014-49843)
(22)【出願日】2014年3月13日
(65)【公開番号】特開2015-175869(P2015-175869A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2017年3月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松田 大造
【審査官】
下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−147085(JP,A)
【文献】
実開昭50−136366(JP,U)
【文献】
特開2008−278233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10K 9/12 − 9/22
H04R 1/00 − 1/08
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リード線が引き出され、背面を取付面へ当接して取り付ける音響出力装置であって、
前記リード線が前記取付面を貫通させて取り付けられる場合に、音響出力装置背面と対向する前記取付面に前記リード線を貫通させるために設けられる貫通口よりも広く、音響出力装置背面よりも狭く、且つ、前記リード線の外径よりも深く、音響出力装置背面の中央に設けられる中央凹部と、
前記リード線毎に設けられ、前記中央凹部と略同一の深さで、且つ、前記リード線の外径よりも大きな幅で、前記中央凹部から下方の外周部に達するように設けられる溝部と、
前記溝部毎に、外周部側の端部と前記中央凹部との間に設けられ、音響出力装置内部から音響出力装置背面へ向けて前記リード線が引き出される電線貫通孔と、
を有することを特徴とする音響出力装置。
【請求項2】
前記中央凹部と前記溝部とから成る凹部と離間して音響出力装置背面に開口し、前記取付面に音響出力装置を固定するための取付穴を有することを特徴とする請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
音響出力装置背面を形成すると共に音響出力装置本体と着脱可能な背面部材を有し、
前記取付穴は、前記背面部材を貫通し、一端が音響出力装置内部に開口する取付穴であることを特徴とする請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記音響出力装置は、
正面中央部に少なくとも8以上の略同一面積の開口の集合から成る音響口を有し、
前記取付面へ当接して取り付けた場合に、前記音響口のみが、音響出力装置内部と外部とを連通する開口であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リード線が引き出された音響出力装置に関し、特に複数方向へリード線を引き出して取り付けることができる防滴型の音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、制御盤内の取付面や壁面に、背面を当接して固定するブザー等の音響装置があり、高い音圧で警報音を出力する防災用途等に用いられている。
【0003】
例えば、非特許文献1のブザー10は、
図6に示すように、ブザー本体10の背面を壁W2の壁面に当接して外周部の取付穴を用いて壁面に固定するものであり、ブザー本体10の正面中央部に音響口10aを備え、防災用の制御盤等で広く用いられている。そして、ブザー本体10の背面側外周部に設けた開口よりリード線30が側方に引き出されている。このようなブザー10は、主に制御盤等の筐体内の取付面に固定して用いられる。すなわち、リード線30は、ブザー10が設けられた同一空間内で結線されて用いられるものである。このような構成とすることにより、リード線30は、ブザー本体10が見える近傍位置で容易に結線することができる。
【0004】
また、ブザー10の正面先端部は、リング状部材がブザー10本体側に螺設される構造であり、制御盤の盤面等、筐体表面に用いられる程度の薄板(例えば数ミリ程度の鋼鈑)であれば、そこに貫通口を設けて薄板の前後から挟持して固定することができるようにもなっている(図示せず)。すなわち、薄板であれば、それを貫通して固定することができるようになっている。このように固定した場合、ブザー10のリード線30は、取付面の薄板裏側の空間、すなわち音響口10aの位置する側とは反対側の空間で、結線されて用いられる。
【0005】
また、例えば、非特許文献2のブザー11は、
図7に示すように、ブザー本体11の背面を壁W1の壁面に当接して外周部の取付穴を用いて壁面に固定するものであり、ブザー本体11の正面に音響口11aを備える(この場合の音響口11aは、ブザー本体11の正面の外周部に近い位置の円環状の開口となっている)。そして、ブザー本体11の背面に設けた開口よりブザー11の後方へリード線31が引き出されている。このようなブザー11は、主に建造物の壁面や制御盤等の筐体表面を取付面とし、取付面に露出して固定される。すなわち、リード線31は、取付面のある壁W1を貫通してその反対側へ導かれ、ブザー本体11とは異なる空間で結線されて用いられるものである。このような構成とすることにより、リード線31は、ブザー本体11を取り付けた側からは見えないようにすることができる。
【0006】
そして、ブザー10、11のリード線30、31の引き出し部30a、31aは、シリコーンゴム等の封止剤で封止される。そして、リード線30、31が接続される電路側で結露水が発生してもリード線30、31の表面を流れてきても、水はブザー10、11の内部には容易に侵入することができないようになっている。
【0007】
しかしながら、非特許文献1のブザー10は、建造物の壁などの厚みのある壁を貫通して直接固定することができない。リード線30を厚い壁を貫通させ、その裏側で結線するためには壁面に固定したブザー10の近傍の壁に貫通口を設けてリード線30を貫通させねばならず、ブザー10を固定した面からはリード線30が露出配線となってしまう。このような固定を行うと、不特定多数の人が往来するような場所に設置するには、美観を損ない、保安上の問題も起きる。
【0008】
また、非特許文献2のブザー11は、制御盤等の筐体内部の壁面に固定し、ブザー11と同一の空間でリード線31を結線するには、筐体壁面から離間した取付板を設け、その取付板を貫通して引き出されるリード線31を、ブザー11を固定した空間へ引き回さねばならない。
【0009】
つまり、非特許文献1、2のブザー10、11は、固定した空間内で露出配線する場合と、リード線を露出せずに固定した取付面の背面で結線する場合とで、共用することが容易ではない。
【0010】
また、非特許文献2のブザー11は、リード線31が結線される電路側で結露水が発生すると、リード線31を伝って、リード線引き出し部31aの位置でブザー11の背面に水が滞留する虞がある。このような状態が長期に亘って継続すると、リード線引き出し部31aでの封止の劣化または絶縁低下や、ブザー11内部への漏水等のリスクが高まる。
【0011】
また、非特許文献1、2のブザー10、11の音響口10a、11aは、必要な音圧を得られるように十分な開口面積を有するが、このような一体的な音響口10a、11aのように大きな開口部があると、外部からの塵埃がブザー10、11の内部に侵入し易い。そして、
図5(a)に示すように音響口を4分割したとしても、塵埃と比較すれば大きな開口であることに変わりはなく、
図5(b)に示した音響口(すなわち、特許文献1のブザー10の音響口10aと同等の音響口)と大差無く、外部からの塵埃は容易に内部に侵入する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】https://akirasystem-spr.com/web/goods_detail.htm?id=19
【非特許文献2】https://akirasystem-spr.com/web/goods_detail.htm?id=66
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の事情に鑑み、背面または外周部下方のいずれの方向へもリード線を引き出して取り付けることができる防滴型の音響装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)この発明の音響出力装置は、リード線が引き出され、背面を取付面へ当接して取り付ける音響出力装置であって、前記リード線が前記取付面を貫通させて取り付けられる場合に、音響出力装置背面と対向する前記取付面に前記リード線を貫通させるために設けられる貫通口よりも広く、音響出力装置背面よりも狭く、且つ、前記リード線の外径よりも深く、音響出力装置背面の中央に設けられる中央凹部と、前記リード線毎に設けられ、前記中央凹部と略同一の深さで、且つ、前記リード線の外径よりも大きな幅で、前記中央凹部から下方の外周部に達するように設けられる溝部と、前記溝部毎に、外周部側の端部と前記中央凹部との間に設けられ、音響出力装置内部から音響出力装置背面へ向けて前記リード線が引き出される電線貫通孔と、を有することを特徴とする。
(2)また、この発明の音響出力装置は、(1)において、前記中央凹部と前記溝部とから成る凹部と離間して音響出力装置背面に開口し、前記取付面に音響出力装置を固定するための取付穴を有することを特徴とする。
(3)また、この発明の音響出力装置は、(2)において、音響出力装置背面を形成すると共に音響出力装置本体と着脱可能な背面部材を有し、前記取付穴は、前記背面部材を貫通し、一端が音響出力装置内部に開口する取付穴であることを特徴とする。
(4)また、この発明の音響出力装置は、(1)〜(3)において、前記音響出力装置は、正面中央部に少なくとも8以上の略同一面積の開口の集合から成る音響口を有し、前記取付面へ当接して取り付けた場合に、前記音響口のみが、音響出力装置内部と外部とを連通する開口であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明は、上記(1)の構成によると、リード線を、取付面を貫通して背面へ引き出すことができ、外周部下方へ引き出すこともできるという効果を奏する。また、溝部を介して排水できるので、音響出力装置背面に水が溜まらないようにできるという効果を奏する。
【0016】
また、この発明は、上記(2)の構成によると、音響出力装置を取付面に当接して固定したときに、前記中央凹部と溝部とから成る凹部と取付面との間に形成される空間と、取付穴とが、音響出力装置背面で連通しないので、前記凹部に水が入ることがあっても、取付穴を介して音響出力装置内部に水が入ることが無いという効果を奏する。
【0017】
また、この発明の音響出力装置は、上記(3)の構成によると、取付穴の一端が音響出力装置内部に開口するようにしても、音響出力装置本体を背面部材から取り外して背面部材を取付面に当接して固定した後に音響出力装置本体を一体化できるので、容易に取り付けることができるという効果を奏する。また、取付穴を音響出力装置本体の外部に設けないので、音響出力装置の取り付けに要する面積を音響出力装置本体の取付面積から増す必要が無いという効果を奏する。また、取付穴が音響出力装置外部から見えないので、美観に優れるという効果を奏する。
【0018】
また、この発明の音響出力装置は、(4)の構成によると、音響口以外に音響出力装置内部が外部との流通が無い袋小路の構造であり、音響口が少なくとも8以上の略同一面積の開口に分割されて空気抵抗が大きいので、外部からの塵埃が容易に侵入することができないという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の音響出力装置の外観を説明する図であり、(a)は斜視図、(b)は平面図、(c)は底面図、(d)は左側面図、(e)が正面図、(f)は右側面図、(g)は背面図である。
【
図2】本発明に係る音響出力装置のリード線を背面の取付面を貫通して引き出すときの設置状態を説明する図であり、(a)は背面、(b)は左側面を示す。
【
図3】本発明に係る音響出力装置のリード線を外周部下方へ引き出すときの設置状態を説明する図であり、(a)は背面、(b)は左側面を示す。
【
図4】本発明に係る音響出力装置の音響口の例を示す図である。
【
図5】従来の音響出力装置の音響口の例を示す図である。
【
図6】非特許文献1に開示された従来例を説明する図である。
【
図7】非特許文献2に開示された従来例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.実施形態
本発明に係る音響装置として、防災用の警報音出力に用いるブザーの例を
図1〜4に示す。まず、本実施形態に係るブザー1の構成を、
図1〜2に基づいて説明する。
【0021】
図1は、本発明に係るブザー1の外形の一例である。この例では、略円筒形で正面中央に音響口を備える点では一般的とも言える形状であるが(
図1(a)、(e)を参照)、本発明の外形上の主な特徴は、その背面に現れている(
図1(g)を参照)。
【0022】
次に、
図2を参照して、本発明に係るブザー1の構成を詳細に説明する。
図2は、ブザー1のリード線3を背面の取付面である壁W1を貫通して引き出すときの設置状態を説明する図であり、(a)は背面、(b)は左側面を示す。ブサー1は、リード線3がブザー1本体の背面から引き出され、その背面を取付面である壁W1の壁面へ当接して取り付ける。
【0023】
壁W1には、その裏面に敷設された電路とリード線3とを結線するための貫通口Hが開けられる。そして、ブザー1は、その背面中央部が貫通口Hと対向するように取り付けられる。すなわち、リード線3が取付面である壁W1を貫通させて取り付けられる場合に、ブザー1の背面と対向する壁W1に、リード線3を貫通させるために貫通口Hが設けられる。
【0024】
このように取り付けられたブザー1の背面の中央には、対向する貫通口Hよりも広い凹部2bを有する。凹部2bを形成する為、ブザー1を壁W1の壁面に取り付けるときに当接する部位が凹部2bの周囲に設けられる必要があることから、凹部2bは、当然にブザー1の背面よりも狭い。そして、凹部2bはリード線3の外径よりも深く形成する。このように凹部2bを形成して、ブザー1を壁W1の壁面に取り付けると、ブザー1と壁W1の壁面との間には、貫通口Hより広い面積で、リード線3の外径よりも深い空間が形成されることとなる。この空間は、貫通口Hを貫通してリード線3を壁W1の裏側へ導く電線経路となる。以下、凹部2bを中央凹部2bと称する。
【0025】
中央凹部2bから下方のブザー1の外周部に向けて、中央凹部2bと略同一の深さで、且つ、リード線3の外径よりも太い幅で溝部2aが設けられる。溝部2aは、リード線3の数だけ設けられ、一端は中央凹部2bと接し、他端はブザー1下方の外周部に達する。すなわち、溝部2aは、リード線3毎に設けられ、中央凹部2bと略同一の深さで、且つ、リード線3の外径よりも大きな幅で、中央凹部2bから下方の外周部に達するように設けられる。
図2の場合は、リード線3が2本あるので、溝部2aは2つ設けられている。リード線3が増えた場合は、それに応じて溝部2aも増える。
図2では、溝部2aは中央凹部2bから放射状に下方外周部へ向けて設けられているが、これに限るものではなく、中央凹部2bより下方の外周部に向けて、下がるように設ければ良い。すなわち、下り勾配であれば良く、直線的でなくても良い。ただし、途中には上り勾配が存在しないようにしておく。これは、溝部2aを後述する排水経路として利用できるようにするためである。
【0026】
このように溝部2aを形成し、ブザー1を壁W1の壁面に取り付けると、ブザー1と壁W1の壁面との間には、上記中央凹部2bと溝部2aとで一体的に形成された凹部2に対応する空間が形成されることとなる。そして、上記空間の一端は貫通口Hへ、他端は複数の溝部2aの端部でブザー1下方の外周部で開口して外気へ、それぞれ連通する。そして、先に述べたように、この開口は水抜き穴として機能するものであり、貫通口Hから凹部2に水が浸入したとしても、上記水抜き穴を介して排水されるので、ブザー1の背面に水が溜まることはない。つまり、凹部2は排水経路でもある。
【0027】
溝部2aの外周部側端部と中央凹部2bとの間には、電線貫通孔が溝部2a毎に設けられる。そして、ブザー1の内部からブザー1の背面へ向けてリード線3が引き出される。リード線3が引き出される電線貫通孔は、シリコーンゴム、UV硬化樹脂、等の封止材で封止されるようにしても良い。この場合、封止材は、柔軟性を有してリード線3の基端部である引き出し部3aを電線貫通孔で保持して封止し、安定的に水密できるものであれば良い。
【0028】
ブザー1の背面には、ブザー1を取付面である壁W1の壁面に固定するための取付穴4aが1以上設けられる。確実に固定するには、
図2に示すように取付穴4aは複数設けることが望ましい。
【0029】
次に、本発明に係るブザー1の設置について、
図2〜3に基づいて説明する。
【0030】
まず、
図2を参照して、リード線3を背面の取付面である壁W1を貫通して引き出すときの設置状態について説明する。ブザー1は、取付穴4aを利用して、タッピングビス等で壁W1の壁面に固定される。
【0031】
このとき、壁W1の貫通口Hが、ブザー1背面の中央凹部2bの範囲内に位置するように固定する。ブザー1から引き出されたリード線3は、その基端部であるリード線引き出し部3aから溝部2aに沿って中央凹部2bに向かい、溝部2aと中央凹部2bとから形成される凹部2の範囲内を経由して、壁W1の貫通口Hへ導く。そして、ブザー1が取付面である壁W1の壁面に取り付けられたときに凹部2が形成する空間内にリード線3が収納される。すなわち、凹部2はリード線3の電線経路である。ブザー1は、壁W1の裏側に敷設された電路とリード線3とを予め結線してから壁W1の壁面に固定する。
【0032】
このように設置されたブザー1は、壁W1の壁面に露出して設置されるわけであるが、リード線3を含む一切の電線が露出しないように隠蔽して設置されるので、美観に優れ、悪意で電線を切断されることも無い。
【0033】
また、一般に壁W1の貫通口Hは設置工事の際に封止されるものであるが、封止が不完全であったり経年劣化があったりして、壁W1内で結露が発生する虞がある。このように、貫通口Hを介してブザー1の背面に水が入り込むことがあっても、中央凹部2b及び溝部2aを介して、ブザー1の下方外周部の開口へ向けて排水されるので、ブザー1の背面に水が溜まることは無い。このとき、ブザー1の下方には水に弱い物を設置しなければ済む。
【0034】
次に、
図3を参照して、壁W2の壁面に固定したブザー1のリード線3を外周部下方へ引き出すときの設置状態について説明する。ブザー1は、取付穴4aを利用して、タッピングビス等で壁W2の壁面に固定される。
図2の壁W1と違って、壁W2にはリード線3を貫通させて結線するための貫通口Hが無い。
【0035】
ブザー1から引き出されたリード線3は、その基端部であるリード線引き出し部3aから溝部2aに沿って下方外周部に向かい、溝部2aの端部である開口からブザー1の外周部下方へ引き出される。
図2の場合と同様、ブザー1が取付面である壁W2の壁面に取り付けられたときに凹部2が形成する空間がリード線3の電線経路である。このように設置されたブザー1は、例えば、制御盤等の筐体内の取付面に設置されるわけであるが、リード線3はブザー1が設置された同一空間に引き出されるので、筐体内で容易に結線することができる。
【0036】
また、ブザー1が固定された壁W2の壁面が結露することがあっても、ブザー1の背面からは、中央凹部2b及び溝部2aを介して、ブザー1の下方外周部の開口へ向けて排水されるので、ブザー1の背面に水が溜まることは無い。なお、排水された水がリード線3を伝わって充電部分に達することを防ぐように、引き出されたリード線3の端部は一旦下方に向かった後に上方へ引き上げるように配置し、水がリード線3の端部の電極に達しないようにすると共に、ブザー1及びリード線3経路の下方には水に弱い物を設置しないようにする。
【0037】
以上のように、本発明の音響出力装置としてのブザー1は、取付面の壁を貫通して背面へ引き出すことができ、外周部下方へ引き出すこともできる。また、溝部2aを介して排水できるので、ブザー1の背面に水が溜まらないようにできる。
2.変形例
【0038】
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
2−1.変形例1
【0039】
本発明に係る音響出力装置であるブザー1の背面に設けられる取付穴4aは、ブザー1の外周部に突設した取付片に設けて、ブザー1の内部と離間して設けるようにしても良い(図示せず)。
【0040】
また、
図1〜3のように、ブザー1の内部に開口するように設けても良い。このとき、取付穴4aは、中央凹部2bと溝部2aとから成る凹部2と離間するように設けるようにする。後者のように構成することによって、ブザー1を取付面である壁W2の壁面に当接して固定したときに、中央凹部2bと溝部2aとから成る凹部2と取付面との間に形成される空間と、取付穴とが、ブザー1の背面で連通しない。
【0041】
したがって、上記いずれの構成の場合も、凹部2に水が入ることがあっても、取付穴4aを介してブザー1の内部に水が入ることが無い。
2−2.変形例2
【0042】
変形例1で述べたように、取付穴4aがブザー1の内部に開口する場合、ブザー1は、その背面を形成すると共にブザー1の本体と着脱可能な背面部材4を有するようにすると良い。例えば、
図2〜3のように、ブザー1を背面部材4と本体5とを嵌合部5aで係合して一体化されるように形成しておく。
【0043】
このように構成することにより、取付穴4aが背面部材4を貫通して一端がブザー1の内部に開口しても、本体5を背面部材4から取り外して、背面部材4を壁W1、2の壁面に当接して固定した後に本体5を背面部材4と一体化できる。このため、ブザー1を容易に壁W1、2の壁面に取り付けることができる。また、取付穴4aをブザー1の本体の外部に設けないので、ブザー1の取り付けに要する面積をブザー1本体の取付面積から増す必要が無く、ブザー1の大きさ以上に取り付けのための面積を要しない。また、ブザー1を取り付けた後は、取付穴4aがブザー1の外部から見えないので、美観に優れる。
2−3.変形例3
【0044】
ブザー1の正面中央に設けられる音響口1aを、複数の小さな開口、例えば
図4に示すように、少なくとも8以上の略同一面積の開口の集合から成るようにしても良い。そして、ブザー1を取付面である壁W1、2の壁面に当接して取り付けた場合に、音響口1aのみが、ブザー1の内部と外部とを連通する開口としておく。
【0045】
このように構成することにより、音響口1a以外にブザー1の内部が外部との流通が無い袋小路の構造となり、音響口1aが上記のように複数得の小さな開口に分割されて空気抵抗が大きいことから、外部からの塵埃が容易に侵入することができなくなる。つまり、防塵性を高めることができる。
2−4.変形例4
【0046】
上記実施形態は、本発明に係る音響出力装置をブザーとして説明したが、これに限るものではない。例えば、音声メッセージで警報するような音声警報装置であっても、同様の効果を奏する。また、単なるスピーカーであっても良い。
2−5.変形例5
【0047】
上記実施形態は、音響出力装置として説明したが、これに限るものではなく、音響入力装置、例えばマイクロフォンに適用することもできる。
【符号の説明】
【0048】
1、10、11…音響出力装置、 1a、10a、11a…音響口、
2…凹部、 2a…溝部、 2b…中央凹部、
3、30、31…リード線、 3a、30a、31a…リード線引き出し部、
3b…リード線の壁貫通部、
4…背面部材、 4a…取付穴、 5…本体、 5a…嵌合部、
W1…壁(貫通)、 W2…壁(非貫通)、H…壁貫通部