【実施例】
【0027】
以下に、本発明の実施例を説明する。なお、本発明は、以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0028】
実施例及び比較例を以下の評価方法により評価する。
【0029】
【表1】
【0030】
[サイドインパクト試験]
室温(23℃)にて水を300ml充填後、温度5℃に保った恒温槽に12時間静置した多層容器10における胴部13の中央部分(底部14から95mmの部分)をサイドインパクト試験装置によって繰り返し打撃し、層間剥離が発生するまでの打撃回数を測定した。層間剥離の有無は目視で判定した。多層容器10への打撃回数は最大100回とし、層間剥離が生じるまで打撃した。実施例1から3及び比較例1においては12本(n=12)の多層容器のサンプルについて試験を行い、比較例2については6本(n=6)の多層容器のサンプルについて試験を行った。
【0031】
(実施例1)
実施例1は、多層容器10の構成を内層15/中間層17a/中間層17/中間層17b/外層16の2種5層構造とした。実施例1は、内層15及び外層16の厚さを0.3mmとし、中間層17の厚さを0.04mmとし、中間層17a及び17bの厚さを0.02mmとした。また、多層容器10の成形時におけるバレル温度を245℃とした。さらに、実施例1においては、多層容器10の成形後、室温23℃で多層容器10を保管した後に試験を行った。
内層15、外層16及び中間層17は、PET(「BK6180C」日本ユニペット株式会社製)により形成した。
中間層17a及び17bは、ナイロンMXD6(「S6011」三菱ガス化学株式会社製)と、耐熱非晶性ポリエステル樹脂(「アルテスタS1000」三菱ガス化学株式会社製)と、を重量比8:2の割合で混合して形成した。また、中間層17a及び17bの割合を7wt%とした。
【0032】
(実施例2)
実施例2は、多層容器10の成形時におけるバレル温度を255℃とした以外は、実施例1と同様の要件で成形した。
【0033】
(実施例3)
実施例3は、多層容器10の成形時におけるバレル温度を270℃とした以外は、実施例1と同様の要件で成形した。
【0034】
(比較例1)
比較例1は、その容器形状を実施例1と同様の形状(多層容器10の形状)とした。比較例1は、多層容器の構成を実施例1と同様に2種5層構造とした。内層15及び外層16の厚さを0.3mmとし、中間層17の厚さを0.04mmとし、中間層17a及び17bの厚さを0.02mmとした。また、多層容器10の成形時におけるバレル温度を245℃とした。さらにまた、比較例1においては、多層容器の成形後、室温23℃で多層容器を保管した後に試験を行った。
内層15、外層16及び中間層17は、PET(「BK6180C」日本ユニペット株式会社製)により形成した。
中間層17a及び17bは、ナイロンMXD6(「S6011」三菱ガス化学株式会社製)により形成した。また、中間層の割合を7wt%とした。
【0035】
(比較例2)
比較例2は、多層容器の成形後、室温(23℃)で多層容器を保管した後に試験を行った以外は、比較例1と同様の要件で成形した。
【0036】
表1に示すように、本発明に係る実施例1から3は、いずれも、層間剥離が発生するまでの打撃回数が平均値で60回以上と、比較例1及び2の平均値(14.8回及び25.5回)と比べて非常に多く、最大打撃回数(100回)に達しても層間剥離が発生しない場合もあった。すなわち、中間層をナイロンMXD6と、耐熱非晶性ポリエステル樹脂と、を混合した層で形成することにより、内層及び外層と、中間層との各層間における耐剥離性が向上した。
【0037】
また、実施例1から3に示すように、多層容器10の成形時におけるバレル温度を245℃から270℃に上げることで、層間剥離が発生するまでの打撃回数の平均値が63.5回(実施例1)から76.4回(実施例3)に増加した。すなわち、多層容器の成形時におけるバレル温度を上げることで、内層及び外層と、中間層との層間における耐剥離性が向上した。
【0038】
【表2】
【0039】
[ボトルスクイーズ試験]
多層容器10の胴部13(底部14から90mmの部分)を、オートグラフ(株式会社島津製作所製 AGS-5kNJ)のクロスヘッド部に装着した圧縮治具(先端部直径30mm、ナイロン製)によって押し込み、押し込みによる層間剥離の有無及び層間剥離が発生した際の押し込み量(mm)を測定した。多層容器10の胴部13への押し込み量は最大30mmとした。多層容器10の固定には、多層容器10の肩部12のリブ等に干渉しない幅の位置決め台(ブロック)を使用した。多層容器10の胴部13を両面テープにより固定した。実施例8及び比較例6においては、それぞれ6本(n=6)の多層容器のサンプルについて試験を行った。
【0040】
(実施例4、比較例3)
実施例4は実施例1と、比較例3は比較例1と同様の要件で成形した。
【0041】
表2に示すように、比較例3については、全てのサンプルに層間剥離が発生したが、本発明に係る実施例4については、1本のみに層間剥離が発生した。すなわち、中間層をナイロンMXD6と、耐熱非晶性ポリエステル樹脂と、を混合した層で形成することにより、内層及び外層と、中間層との各層間における耐剥離性が向上した。
【0042】
【表3】
【0043】
[透明性試験]
多層容器の胴部からサンプル(厚み0.7mm)を切り出し、このサンプルについて、試験規格JIS K7136:2000に基づき、ヘイズメータ(日本電色工業株式会社製NDH2000型)を用いて、曇り度合(ヘイズ値)を測定した。
【0044】
(実施例5)
実施例5は実施例1と同様の要件で成形した。
【0045】
表3に示すように、本発明に係る実施例5の曇り度合(ヘイズ値)は、一般に透明性の高いPETボトルに求められる値(ヘイズ値6%以下)を満たしており、良好であった。すなわち、中間層をナイロンMXD6と、耐熱非晶性ポリエステル樹脂と、を混合した層で形成した場合であっても、透明性を保持することができるといえる。