【実施例1】
【0018】
下記する表1において、発明試料1では、基材としてSUS316Lφ30×3t(ステンレス鋼)を使用した。
【0019】
前記リン酸処理工程100は、前記金属製品を、5%リン酸水溶液に、60℃で、1時間浸漬することによって実施される。
【0020】
前記フッ酸処理工程200は、リン酸処理された金属製品を、3%のフッ酸(HF)水溶液に、常温(25℃)で、5分間浸漬することによって実施される。
【0021】
前記加熱処理工程300は、リン酸処理及び/若しくはフッ酸処理された金属製品を300℃の加熱雰囲気中に、1時間晒すことによって実施されるものである。
【0022】
表1で示されるように、発明試料1−1は、金属製品にリン酸処理工程100としてリン酸水溶液によるリン酸処理施し、その後フッ酸処理工程200を実施して得られたものである。この発明試料1−1では、前述した加熱処理工程300は実施されなかった。この発明試料1−1は、その耐腐食性を実証するために、濃度25%のフッ酸水溶液に3時間暴露される(以下、実証実験)。この結果は目視によって確認され、良好な結果(〇)が得られた。
【0023】
発明試料1−2は、フッ酸処理200が実施されて得られた発明試料1−1に、上述した条件の加熱処理工程300を実施して得られたものである。この発明試料1−2においても、同様の上述した実証実験が行われ、この場合最高の結果(◎)が得られた。
【0024】
下記する表1において、発明試料2は、金属製品として、2本の基材SUS316L(ステンレス鋼)、1/4インチのブライトアニール(BA)管5cmを溶接して、長さ10cmとした配管を使用した。
【0025】
発明試料2−1は、前記BA管に、上述した所定のリン酸水溶液によるリン酸処理工程100を施し、さらに所定のフッ酸水溶液によるフッ酸処理200が施されたが加熱処理300は実施せずに得られたものである。この発明試料2−1に上述した実証実験を施したところ、特に溶接部付近においての腐食状況を含み、良好な結果(〇)が得られた。
【0026】
発明試料2−2は、前記BA管において、発明試料2−1に、さらに加熱処理工程300を施して得られたもので、実証実験の結果は、特に溶接部付近においての腐食状況を含み、最高の結果(◎)が得られた。
【0027】
【表1】
【0028】
表2で示される比較試料1−1は、前記発明試料1おいて使用された金属製品について、フッ酸処理工程200のみを実行して得られたものである。この比較試料1−1について実証実験を行った結果、効果は認められなかった(×)。このことから、リン酸処理工程100及び加熱処理工程300がない場合には効果がないことがわかった。
【0029】
比較試料1−2は、前記発明試料1おいて使用された金属製品について、リン酸処理工程100が実施されずフッ酸処理工程200及び加熱処理300が施されて得られたものであり、これについて、実証実験が行われた。この実証実験の結果において効果は認められなかった(×)。このことから、リン酸処理工程100がない場合には効果がないことがわかった。
【0030】
比較試料1−3は、前記発明試料1おいて使用された金属製品について、リン酸処理工程100のみが実施されて得られたものであり、これについて、実証実験が行われた。この実証実験の結果において効果は認められなかった(×)。このことから、リン酸処理工程100のみが実施された場合にも効果がないことがわかった。
【0031】
比較試料1−4は、前記発明試料1おいて使用された金属製品について、リン酸処理工程100及び加熱処理工程300が実行されて得られたものであり、これについて、実証実験が行われた。この実証実験の結果において効果は認められなかった(×)。このことから、フッ酸処理工程200がない場合には効果がないことがわかった。
【0032】
比較試料2−1は、前記発明試料2において用いられた金属製品について、フッ酸処理工程200のみが実施された得られたものであり、これについて、実証実験が行われた。この実証実験の結果において効果は認められなかった(×)。このことから、リン酸処理工程100及び加熱処理工程300がない場合には効果がないことがわかった。
【0033】
比較試料2−2は、前記発明試料2において用いられた金属製品について、フッ酸処理工程200及び加熱処理工程300が実施された得られたものであり、これについて、実証実験が行われた。この実証実験の結果において効果は認められなかった(×)。このことから、リン酸処理工程100がない場合には効果がないことがわかった。
【0034】
比較試料2−3は、前記発明試料2において用いられた金属製品について、リン酸処理工程100のみが実施された得られたものであり、これについて、実証実験が行われた。この実証実験の結果において効果は認められなかった(×)。このことから、フッ酸処理工程200及び加熱処理工程300がない場合には効果がないことがわかった。
【0035】
比較試料2−4は、前記発明試料2において用いられた金属製品について、リン酸処理工程100及び加熱処理工程300が実施されて得られたものであり、これについて、実証実験が行われた。この実証実験の結果において効果は認められなかった(×)。このことから、フッ酸処理工程200がない場合には効果がないことがわかった。
【0036】
【表2】
【0037】
以上のことから、金属製品にリン酸処理工程100及びフッ酸処理工程200を施した製品では、過酷な腐食条件においても良好な耐腐食性が得られるものであり、さらに加熱処理工程300が施されることによって最高の耐腐食性が得られるものである。
【実施例2】
【0038】
下記する表3において、発明試料3では、基材としてアルミ5052(以下、アルミ金属製品)を使用した。
【0039】
実施例2において、前記リン酸処理工程100は、前記アルミ金属製品を、5%のリン酸水溶液に、60℃で、1時間浸漬することによって実施される。
【0040】
前記フッ酸処理工程200は、リン酸処理されたアルミ金属製品を、3%のフッ酸(HF)水溶液に、常温(25℃)で、5分間浸漬することによって実施される。
【0041】
前記加熱処理工程300は、リン酸処理及びフッ酸処理されたアルミ金属製品を、300℃の加熱雰囲気中に、1時間晒すことによって実施されるものである。
【0042】
発明試料3−1は、アルミ金属製品にリン酸処理工程100を施し、その後フッ酸処理工程200を実施し、さらに加熱処理工程300は実施して得られるものである。この発明試料3−1は、その耐腐食性を実証するために、濃度5%のフッ酸水溶液に1時間暴露される(以下、実証実験)。この結果は目視によって確認され、良好な結果(〇)が得られた。
【0043】
比較試料3−1は、アルミ金属製品について、フッ酸処理工程200及び加熱処理300が施されて得られたものであり、これについて、実証実験を行った。この実証実験の結果において効果は認められなかった(×)。このことから、リン酸処理工程100がない場合には効果がないことがわかった。
【0044】
比較試料3−2は、アルミ金属製品について、実証実験を行った。この実証実験の結果において効果は認められなかった(×)。このことから、リン酸処理工程100、フッ酸処理工程200及び加熱処理工程300が実施されていないアルミ金属製品について実証実験を行った結果、全く効果がないことがわかった。
【0045】
【表3】
【0046】
このように、アルミ金属製品においても、リン酸処理工程100、フッ酸処理工程200及び加熱処理工程300が施された製品については、過酷な腐食条件において良好な結果が得られることがわかった。