(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
鍵盤と、各種設定を行う操作ボタンとを備え、前記操作ボタンを押しながら前記鍵盤の中の一つの鍵を押すことで、予め鍵に対応する操作設定が行われる電子楽器において、
押された鍵から予め鍵に対応して決められた操作設定の変更状態を認識する変更状態認識部と、
前記操作設定の設定項目名称を音声データとして記憶する設定項目名称記憶部と、
前記変更状態に対応する設定項目名称を発音する発音部と、を備えるとともに、
前記変更状態認識部は、前記鍵の押下以前に前記操作ボタンの予め設定された時間以上の押下を検出する音声アシスト認識部を有し、前記押下の検出時に前記発音部が前記設定項目名称を発音する
ことを特徴とする音声アシスト装置。
鍵盤と、音色選択や音設定を行う操作ボタンとを備え、前記操作ボタンを押しながら前記鍵盤の中の一つの鍵を押すことで、予め鍵に対応する音色選択や音設定を行う電子楽器において、
押された鍵から予め鍵に対応して決められた音色選択や音設定の変更状態を認識する変更状態認識部と、
前記音色選択や音設定の設定項目名称を音声データとして記憶する設定項目名称記憶部と、
前記変更状態に対応する設定項目名称を発音する発音部と、を備えるとともに、
前記変更状態認識部は、前記鍵の押下以前に前記操作ボタンの予め設定された時間以上の押下を検出する音声アシスト認識部を有し、前記押下の検出時に前記発音部が前記設定項目名称を発音する
ことを特徴とする音声アシスト装置。
前記発音部は、前記操作ボタンの予め設定された時間以上の押下を検出した時、音声アシストモードが適用されたことを告知する請求項1又は請求項2に記載の音声アシスト装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した構造の電子楽器で音色選択や音設定の変更を行う場合、鍵盤におけるどの鍵に何の設定項目が割り当てられているのかについては、取扱説明書や操作ガイドを見る必要があった。また、操作ガイドを見ながら操作する場合においても、操作ガイドに表示された鍵盤が実際にどの鍵なのかを瞬時に見つけ出すのは困難であった。
また、設定変更時に特に発音することがないため、変更を確認するためには、実際に鍵盤を押して演奏する必要があった。
そのため、電子楽器のユーザーは、設定変更するために時間を取られ、煩わしさを感じてしまうという課題が存在した。
更に、設定変更に割り当てられた鍵が分かり難いため、目的の設定変更とは異なる鍵を押してしまうということが生じ易かった。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みて提案されたもので、電子楽器において音色選択や音設定(残響効果や音響効果の設定)を変更するに際して、鍵に対応する設定項目内容を音声で読み上げる音声アシストを行うことで、目的とする設定変更内容を聴覚で確認することが可能な電子楽器における音声アシスト装置及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため請求項1の発明は、鍵盤と、各種設定を行う操作ボタンとを備え、前記操作ボタンを押しながら前記鍵盤の中の一つの鍵を押すことで、予め鍵に対応する操作設定が行われる電子楽器における音声アシスト装置であって、
押された鍵から予め鍵に対応して決められた操作設定の変更状態を認識する変更状態認識部と、
前記操作設定の設定項目名称を音声データとして記憶する設定項目名称記憶部と、
前記変更状態に対応する設定項目名称を発音する発音部と、を備えるとともに、
前記変更状態認識部は、前記鍵の押下以前に前記操作ボタンの予め設定された時間以上の押下を検出する音声アシスト認識部を有し、前記押下の検出時に前記発音部が前記設定項目名称を発音することを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明は、鍵盤と、音色選択や音設定を行う操作ボタンとを備え、前記操作ボタンを押しながら前記鍵盤の中の一つの鍵を押すことで、予め鍵に対応する音色選択や音設定を行う電子楽器における音声アシスト装置であって、
押された鍵から予め鍵に対応して決められた音色選択や音設定の変更状態を認識する変更状態認識部と、
前記音色選択や音設定の設定項目名称を音声データとして記憶する設定項目名称記憶部と、
前記変更状態に対応する設定項目名称を発音する発音部と、を備えるとともに、
前記変更状態認識部は、前記鍵の押下以前に前記操作ボタンの予め設定された時間以上の押下を検出する音声アシスト認識部を有し、前記押下の検出時に前記発音部が前記設定項目名称を発音することを特徴としている。
【0009】
請求項3は、請求項1又は請求項2の音声アシスト装置において、
前記発音部は、前記操作ボタンの予め設定された時間以上の押下を検出した時、音声アシストモードが適用されたことを告知することを特徴としている。
【0010】
請求項4は、請求項3の音声アシスト装置において、
前記告知は発話によりなされることを特徴としている。
【0011】
請求項5は、請求項1又は請求項2の音声アシスト装置において、
前記予め設定された時間は3秒であることを特徴としている。
【0012】
請求項6は、請求項2の音声アシスト装置において、
前記変更状態に応じてその影響が分かり易い音のフレーズが複数記憶されるフレーズ記憶部を備え、
前記発音部は、前記変更状態に対応するフレーズを発音し、その後に前記音色選択や音設定の設定項目名称を発音することを特徴としている。
【0013】
請求項6の音声アシストプログラムは、請求項1又は請求項2に記載の各部の機能をコンピュータに構築させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の音声アシスト装置及び音声アシストプログラムによれば、電子楽器における操作設定、又は、音色選択や音設定(残響効果や音響効果の設定)を変更するに際して、変更状態に対応する設定項目名称を発音し、鍵に対応する設定項目内容を音声で読み上げる音声アシストを行うことで、目的とする設定変更内容を聴覚で確認することができる。
【0015】
また、発音部により音声アシストモードが適用されたことを告知することで、この状態で鍵を押せば音声アシストが受けられることを認識することができる。
【0016】
発音部による告知を発話で行うことで、聴覚で音声アシストモードが適用されたことを確認することができる。
【0017】
予め設定された時間を3秒とすることで、ユーザーが操作に躓いた状況であることを的確に認識することができる。
すなわち、鍵の押下以前に操作ボタンが3秒以上押された場合は、ユーザーが操作に躓いた状況であると認識して音声アシストモードが適用され、3秒未満の場合は、ユーザーが鍵盤におけるどの鍵に何の設定項目が割り当てられているかを理解していると認識し、音声アシストを行わないようにすることができる。
【0018】
発音部が変更状態に対応するフレーズを発音し、その後に前記音色選択や音設定の設定項目名称を発音することで、設定の変化を分かり易くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態に係る電子楽器における音声アシスト装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、音声アシスト装置が搭載されたディジタルピアノ(電子楽器)の主要なハードウエア構成を示すブロック図であり、バス30に対して、CPU10、ROM11、RAM12、キースキャン回路16、音源18、ディジタル信号処理回路19を接続して構成されている。
【0021】
CPU10は、ROM11に格納されている制御プログラムに従って、ディジタルピアノ(電子楽器)の全体を制御するものである。例えば、CPU10は、押鍵に対し発音チャネルを割り当てるアサイナ処理、音源18に対するアクセス処理等を行う。
また、このCPU10には、専用線によって、音色選択や音設定(残響効果や音響効果の設定)に際して使用する操作ボタン1、発音に対してダンパペダル効果を付与するためのペダル14、及び、外部装置との間のMIDIデータ受け渡し制御を行うためのMIDIインタフェース回路15が接続されている。
【0022】
CPU10に接続される操作ボタン1は、オン・オフのスイッチで構成され、押下されたことをソフトウエアで検知してオン状態とする。そして、従来技術で説明したように、操作ボタン1を押しながら鍵盤2のいずれかの鍵を押すことで、音色選択等の各種設定を行うようになっている。
鍵盤2は、演奏者が楽音の音高を指示する複数の鍵と、この鍵に連動して開閉するキースイッチにより構成されている。鍵盤2は、キースイッチの状態をスキャンしてキーデータとして出力するキースキャン回路16に接続されている。
【0023】
鍵盤2の鍵には、
図7に示したように、音色選択81を行う鍵、デュアル設定82(異なる種類の音を重ねて発音させる際に選択)する鍵、リバーブ設定83(残響効果を選択)する鍵、設定項目84(打鍵による音響効果を選択)を設定する鍵、前記設定項目84に対する「オフ」設定や、設定時の音量の強さ「1」「2」「3」
を設定する設定値85を指定する鍵、ブリリアンス設定86(音色の明るさを調節)を行う鍵が予め対応付けられている。
【0024】
音色選択81の鍵は、例えばピアノ、オルガン、フルート等といった各種音色の中から発音に用いる音色を選択できる。
デュアル設定82の鍵は、異なる種類の音(例えば、ピアノとオルガン)を重ねて発音させることを選択する他、異なる音のバランス状態(どちらの音を強く又は弱く設定するか)や、バランスのリセット(同じバランスにする)が設定できる。
リバーブ設定83の鍵は、各種室内(例えば、コンサートホール等)における音の響き(残響)が再現できるように残響効果を選択できる。
【0025】
設定項目84における音響効果の選択は、例えば、鍵の押下の強さに対応する音量変化、ハンマー弦の硬さ等による音の変化等を調整できる。設定項目84では、項目を選択した後に、設定値85(「オフ」「1」「2」「3」)に対応する各鍵を選択することで、音量や変化の割合が調整できる。
ブリリアンス設定86(「オフ」「−」「+」)に対応するコントロール鍵は、音色の明るさを調節できる。
【0026】
CPU10に接続されるペダル14は、例えばフットペダルで構成され、ペダルに設けられた検出器により踏み込み量(ペダル位置データ)を検出してCPU10に送出する。ペダル位置データは、RAM12に一時的に記憶され、音響効果のかかり具合を制御するために使用される。
【0027】
ROM11は、CPU10により実行又は参照される各種プログラム(例えば、音声アシストプログラムやサウンドプレビュープログラム)や各種データ等を格納する。ROM11に記憶されているプログラムやデータは、システムバス30を介してCPU10により参照される。すなわち、CPU10は、システムバス30を介してROM11から制御プログラム(命令)を読み出して解釈・実行すると共に、所定の固定データを読み出して演算処理に使用するようになっている。
【0028】
また、ROM11には、サウンドプレビューでサンプル音として発音されるフレーズ(発音データ)がシーケンスデータとして保存されている。フレーズ(発音データ)は、音色設定、残響効果設定、音響効果設定等の種類により、設定内容が分かりやすい音を発音するデータで構成されている。音色設定、残響効果設定、音響効果設定毎に設定される発音データの種類の詳細については後述する。
【0029】
RAM12は、CPU10がプログラムを実行する際に必要な各種データを一時的に記憶するワーキングメモリとして使用される。例えば、操作パネル1による操作処理データ、鍵盤2から取り込まれたキーデータ、ペダル14から取り込まれたペダル位置データ等がRAM12に一時的に記憶される。RAM12に記憶されたデータは、システムバス30を介してCPU10により参照される。
【0030】
キースキャン回路16は、鍵盤2のキースイッチの状態をスキャンし、鍵のオン/オフ状態を示すキーデータとして出力する。キーデータは、システムバス30を介してCPU10に送られ、RAM12に一時的に記憶される。
【0031】
RAM12に記憶されたキーデータは、所定のタイミングで参照される。
キーデータは、操作ボタン1が押されている状態の場合は、イベントのあった鍵を特定するキーナンバにより音色選択や音設定等を行うデータとして使用される。
また、操作ボタン1が押されていない状態の場合は、イベントのあった鍵を特定するキーナンバ及び鍵の押下の強さ(速さ)を示すタッチデータを生成するために使用される。作成されたキーナンバ及びタッチデータは、周波数データ及びエンベロープデータに変換されて音源18に送られ、キーオン/キーオフに伴う押鍵/離鍵処理等に用いられる。
【0032】
音源18は、CPU10から送られてきた楽音データ(音色番号に対応して作成される波形アドレス、キーナンバに対応して作成される周波数データ、タッチデータ及びペダル位置データに基づいて作成されるエンベロープデータ等)及びフレーズ(発音データ)に従って駆動され、時分割でディジタル楽音信号を発生する。この音源18で発生されたディジタル楽音信号は、ディジタル信号処理回路19に出力される。
【0033】
波形メモリ40は、例えばROMで構成され、パルスコード変調(PCM)された波形データが記憶されている。波形メモリ40には、複数の音色を実現するため、各音色に対応した複数種類の波形データ(音色番号で特定される)が記憶されている。波形メモリ40に記憶されている波形データは、音源18により読み出される。
【0034】
ディジタル信号処理回路19は、音源18から入力されるディジタル楽音信号と、CPU10から入力される係数との間で所定の演算を行って出力するものである。例えば、ダンパペダルの踏み込み量によって決定される係数とディジタル楽音信号とを演算し、所定のダンパペダル効果が付加されたディジタル楽音信号を生成する。ディジタル信号処理回路19で生成されたディジタル楽音信号はD/A変換器20に供給される。
【0035】
D/A変換器20は、音源18から供給されたディジタル楽音信号をアナログ楽音信号に変換するものである。D/A変換器20が出力するアナログ楽音信号は、増幅器21に送出される。
【0036】
増幅器21は、入力されたアナログ楽音信号を所定の増幅率で増幅して出力する。増幅器21で所定の増幅が行われたアナログ楽音信号は、スピーカ22に供給される。
【0037】
スピーカ22は、電気信号としてのアナログ楽音信号を音響信号に変換するものである。すなわち、スピーカ22により、音色設定、残響効果設定、音響効果設定等の種類に応じた音声データやフレーズ(発音データ)が発音されたり、鍵盤2の各鍵の押下に対応した楽音に、ペダル14の踏み込み量に対応した音響効果が付加されて発音されることになる。
【0038】
図2は、
図1のブロック図におけるROM11に格納された音声アシストプログラム及びサウンドプレビュープログラムにより、ディジタルピアノ内に構築された音声アシスト装置の機能ブロック図である。
音声アシスト機能は、ディジタルピアノにおいて音色選択や音設定を変更するに際して、設定項目の内容を音声で自動的に発音する機能であ
る。この音声アシスト機能は、操作ボタン1、鍵盤2、変更状態認識部3、設定項目名称記憶部4、発音部5を備える
ことで実現される。また、音色選択や音設定の変更状態を認識する変更状態認識部3には、音声アシストを行うかどうかを決定する音声アシスト認識部6を備えている。
サウンドプレビュー機能は、ディジタルピアノにおいて音色選択や音設定を変更した際に、そのサンプル音をフレーズとして自動的に発音する機能で
ある。このサウンドプレビュー機能は、設定内容毎に決められたサンプル音のデータ
がフレーズ(発音データ)として設定項目名称記憶部4に記憶
されることで実現される。
【0039】
操作ボタン1及び鍵盤2は、音色選択や音設定を変更する際に使用するものである。すなわち、上述したように、操作ボタン1を押しながら鍵盤2の中の一つの鍵を押すことで、予め鍵に対応する音色選択や音設定が行われる。
変更状態認識部3は、ROM11に格納された音声アシストプログラム及びサウンドプレビュープログラムによりCPU10で実行される処理
のためのものであり、操作ボタン1及び鍵(鍵盤2におけるいずれかの鍵)の押下を検出した際、押された鍵から予め鍵に対応して決められた音色選択や音設定の変更状態を認識し、フレーズ記憶部4から変更状態に応じた発音データを取り込む。
【0040】
音声アシスト認識部6は、ROM11に格納された音声アシストプログラムによりCPU10で実行される処理
のためのものであり、操作ボタン1
の予め設定された時間(例えば3秒)以上の押下を検出すると、音声アシストが必要であることを認識する。操作ボタンの押下時間を3秒以上としたのは、ユーザーが操作に躓いた状況であるか否かを判断できるに適した時間だからである。したがって、押下による長押し時間が3秒以上であれば音声アシストモードが適用され、3秒未満の場合は、ユーザーが鍵盤におけるどの鍵に何の設定項目が割り当てられているかを理解していると認識し、音声アシストを行わない。
【0041】
設定項目名称記憶部4は、
図1のブロック図におけるROM11内に設けられ、音色や音設定に関して各設定項目に対応する音声データが記憶されている。すなわち、音声データは、
図12の各鍵に対応する設定項目である「コンサートグランド1」「モダンピアノ」「ジャズピアノ」「コンサートホール」「ダンパーレゾナンス」等が音声データで記憶されている。これらの元の音声データは、単語単位で切り分けて波形メモリ40に記憶され、設定項目名称記憶部4には、単語を繋ぎ合わせたシーケンスデータが記憶されている。
例えば、設定
項目のブリリアンス設定86に対応する各鍵「C♯5」(オフ)、「F♯5」(マイナス)、「G♯5」(プラス)で発音する音声データの場合、
図3に示すように、波形メモリ40における音声データ1として「ブリリアンス」が記憶され、音声データ2として「オフ」「マイナス」「プラス」が記憶され、シーケンスデータとして、「ブリリアンスオフ」「ブリリアン
スマイナス」「ブリリアンスオン」が保存されている。
【0042】
また、設定項目名称記憶部4には、変更状態に応じてその影響が分かり易い音のフレーズのサンプル音が複数記憶されている。設定変更に応じたサンプル音の例を
図4に示す。
例えば、音色選択81に対応する各鍵(A0〜A1等)により設定変更が行われる場合のフレーズとしては、C4,E4,G4,C5音高によるアルペジオ(ドミソドの和音を低音から順次鳴らす)が発音データとして記憶されている。音色の場合、和音のアルペジオによる発音が相違を分かり易くするからである。
残響効果に関するリバーブ設定82に対応する各鍵(B2〜A3)により設定変更が行われる場合のフレーズとしては、C5音高(ド)のみが発音される発音データが記憶されている。単独の「ド」を発音させることで、その余韻の違いを分かり易くするためである。
【0043】
設定項目
84のダンパーレゾナンス設定に対応する鍵E4により設定変更が行われる場合のフレーズとしては、C5,E5,G5,C6音高によるアルペジオ(ドミソドの和音を低音から順次鳴らす)が発音データとして記憶されている。なお、ダンパーレゾナンス設定の際に発音されるドミソドは、音色設定の際に発音されるドミソドより1オクターブ高い音程となっている。
設定項目
84のダンパーノイズ設定に対応する鍵F4により設定変更が行われる場合のフレーズとしては、C5音高(ド)のみが発音される発音データが記憶されている。
設定項目
84のストリングレゾナンス設定に対応する鍵G4により設定変更が行われる場合のフレーズとしては、C4鍵(ド)を押しながら
発音されるG4,A4,B4,C5音高によるアルペジオ(ソラシドの和音を低音から順次鳴らす)が発音データとして記憶されている。C4鍵(ド)に対する共鳴音を聞き取るためである。
設定項目
84のキーアクションノイズ設定に対応する鍵B4により設定変更が行われる場合のフレーズとしては、C4音高(ド)のみが発音される発音データが記憶されている。
【0044】
発音部5は、
図1のブロック図における音源18、ディジタル信号処理回路19、D/A変換器20、増幅器21、スピーカ22に対応し、変更状態認識部3がフレーズ記憶部4から取り込んだ変更状態に対応する発音データのフレーズを発音する。
【0045】
次に、上述したディジタルピアノの動作について、音声アシスト機能及びサウンドプレビュー機能を中心に
図5、
図6、
図7、
図9に示したフローチャートを参照しながら詳細に説明する。
【0046】
図5は、ディジタルピアノ(電子楽器)における各種処理を示すメインフローチャートであり、電源投入により起動される。すなわち、ディジタルピアノの電源が投入されると、先ず、CPU10、RAM12、音源18等の初期化処理が行われる(ステップ90)。
初期化処理では、CPU10内部のレジスタやフラグのクリア処理、RAM12内に定義された各種バッファ、レジスタ及びフラグ等に対する初期値設定処理、音源18に初期値を設定して不要な音が発音されるのを防止する処理等が行われる。
【0047】
次に、操作ボタンイベント処理が行われる(ステップ100)。
操作ボタンイベント処理では、操作ボタン1の押下操作により、音声アシストの適用の有無、及び、サウンドプレビュー機能の実行開始が選択される。
すなわち、操作ボタンイベント処理では、
図6のフローチャートに示すように、先ず、操作ボタン1が「オン又はオフ操作された」か否かを判断する(ステップ101)。操作ボタン1がオン又はオフ操作されずに「なにもされない」場合(状態変化が無)は、リターンからこのフローチャートを抜ける。
操作ボタン1が「オン又はオフ操作された」場合(状態変化が有)は、続いて、操作ボタン1の押下(スイッチオン)の有無を検出する(ステップ102)。
操作ボタン1が押下されている場合は、音声アシストが行われる音声アシストモードであるか否かが判断される(ステップ103)。
【0048】
未だ音声アシストモードでない場合、操作ボタン1が3秒間長押しされるかどうかのカウントがスタートする(ステップ104)。
また、ステップ102において、操作ボタン1の押下が無い場合は、操作ボタン1が3秒間長押されるかどうかのカウントをストップする(ステップ105)。
【0049】
ステップ103において、既に音声アシストモードである場合は、音声アシストモードを抜ける(ステップ106)。
設定項目の設定内容が変更されたかどうかを判断し(ステップ107)、設定変更された場合は設定変更内容を確定する(ステップ108)。
【0050】
次に、
図5に戻り、操作ボタンイベント処理に続いて、鍵盤イベント処理が行われる(ステップ200)。
鍵盤イベント処理では、鍵盤2に関する操作、すなわち、音色選択や音設定等の設定操作、及び、鍵盤における各鍵の押下による発音操作に対応する処理が行われる。鍵盤イベント処理の処理手順について
図7に示す。
【0051】
鍵盤イベント処理では、先ず、鍵盤オンイベントの有無が検出される(ステップ201)。鍵盤オンイベントの有無は、キースキャン回路16を介して鍵盤2をスキャンすることにより、各キーのオン/オフ状態を示すキーデータ
となる各キーに対応したビット列を新キーデータとしてとして読み込む。
【0052】
次いで、前回同様にして読み込み、既にRAM12に記憶されている旧キーデータと、前記新キーデータとを比較し、相違するビットが存在するか否かを検出する。そして、相違するビットが存在する場合に、キーイベントがあった旨を認識し、変化のあったキーに対応するビットをオンにセットしたイベントマップを作成する。
【0053】
そして、キーイベントの有無の判断は、このキーイベントマップを調べることにより行われる。即ち、キーイベントマップ中にオンになっているビットが存在しなければ、キーイベントがなかった旨が認識され、鍵盤イベント処理ルーチンからリターンしてメインルーチンに戻る。
【0054】
一方、キーイベントマップ中にオンになっているビットが存在すれば、キーイベントがあった旨が認識され、次いで、キーのオンイベントであるか否かを判断する。これは、前記キーイベントマップ中のオンになっているビットに対応する前記新キーデータ中のビットについて、オンになっているか否かを検出することで行われる。
【0055】
次に、鍵盤オン時に音声アシストモードに入っているかを検出し(ステップ202)、音声アシストモードである場合、音声アシスト(音声の発話)が行われ、音色選択や音設定に関する設定変更の処理が行われる(ステップ203)。
音色選択や音設定に関する設定変更の処理では、予め設定項目名称記憶部4に記憶された設定項目に対応した音声データが発話される。この音声データは、上述したように、各設定項目の内容を示す単語で構成されている。
また、音声データの発話は、予め設定項目名称記憶部4に記憶されたフレーズのサンプル音の発音の後に行われる。
【0056】
次に、音声アシストモードでない場合で、鍵盤オン時に操作ボタン1が押下されているかを検出し(ステップ204)、操作ボタン1が押下されている場合は、操作ボタン3秒長押しのためのカウントがストップされ、サウンドプレビュー機能のみが行われて音色選択や音設定に関する設定変更内容を確定する(ステップ205)。
音色選択や音設定に関する設定変更の処理では、予め設定項目名称記憶部4に記憶されたフレーズのサンプル音が発音される。また、フレーズは、上述したように、設定変更の変更状態に応じて、その影響が分かり易い和音のアルペジオや音高としているため、変更状態を聴覚で容易に確認することができる。
【0057】
具体的には、
図8に示されるように、操作ボタン(サウンドセレクトキー)1を指で押しながら(操作A)、鍵盤2の
鍵A0を指で押下(操作B)した場合、鍵A0は音色選択における「コンサートグランド1」のピアノ音に対応しているので、音色として「コンサートグランド1」が設定され、「コンサートグランド1」のピアノ音によるC4,E4,G4,C5音高によるアルペジオ(ドミソドの和音を低音から順次鳴らす)がサウンドプレビューとして発音される。
また、操作ボタン(サウンドセレクトキー)1を指で押しながら(操作A)、鍵盤2の
鍵G1を指で押下(操作B)した場合、鍵G1は音色選択における「モダンピアノ」のピアノ音に対応しているので、音色として「モダンピアノ」が設定され、「モダンピアノ」のピアノ音によるC4,E4,G4,C5音高によるアルペジオ(ドミソドの和音を低音から順次鳴らす)がサウンドプレビューとして発音される。
【0058】
また、ステップ204において、操作ボタン1が押下されていない場合は、鍵盤2における鍵の位置と押下の強さにより作成された楽音データの演奏行為に基づく楽音発生処理が行われる(ステップ206)。
【0059】
次に、
図5に戻り、鍵盤イベント処理に続いて、操作ボタン3秒長押し処理が行われる(ステップ300)。
操作ボタン3秒長押し処理では、
図9に示すように、操作ボタン1を3秒間長押ししたかが判断され、3秒間の長押しがあった場合、音声アシストモードに入り、操作ボタン1の3秒長押しのためのカウントはストップする(ステップ302)。そして、この時点で、
図10に示されるように、発音部5が「音声アシストモード」と音声で発話し、操作ボタン1に設けたモニタ部1aが点滅する。
音声アシストモードが適用されたことを発話で告知するとともに、モニタ部1aが点滅することで、この状態で鍵を押せば、鍵に対応する設定項目名称が発音される音声アシストが受けられることを認識することができる。
また、音声アシストモードに入った場合、操作ボタン1の物理的な押下を解除しても音声アシストモードが維持され、鍵盤2の鍵のみの押下で目的とする音色や音設定等の設定項目を選択することができる。
なお、操作ボタン1が押下され、3秒経過前に鍵盤2の鍵が押されると、3秒のカウントはストップし、その後に操作ボタン1を押し続けても音声アシストモードに突入することはない。
【0060】
すなわち、音声アシストモードにおいて、
図11に示すように、鍵盤2のいずれかの鍵(
図11の場合、鍵D♯1)が押下された時は、サウンドプレビュー(この場合は音色設定であるので、C4,E4,G4,C5音高によるアルペジオ)によるフレーズが発音された後に、鍵D♯1に割り当てられた設定項目名称(ジャズオルガン)が発話される。
【0061】
なお、操作ボタン3秒長押し処理が終了すると、次いで、「その他の処理」が行われる(ステップ400)。「その他の処理」では、例えば、MIDIインタフェース回路15を介してMIDIデータの送受信処理等が行われる。その後、ステップ100の操作ボタンイベント処理に戻り、以下、同様の処理を繰り返す。
【0062】
上述した音声アシスト装置によれば、電子楽器において音色選択や音設定を変更するに際して、鍵に対応する設定項目内容を音声で読み上げる音声アシストが行われるので、目的とする設定変更内容を聴覚で確認することができる。
この音声アシストは、操作ボタン1の長押し時に常時行われるのではなく、3秒以上の長押しを必要としているので、ユーザーが操作に困った時のみ音声データを発話してサポートすることができる。
設定項目変更の操作に慣れ、どの設定がどの鍵に割り当てられているかを迷わない場合は、操作ボタン1の長押し
時間が3秒未満となり、音声アシストモードに入ることなく、音声を聞く煩わしさを無くして素早い操作を可能とすることができる。
【0063】
また、サウンドプレビュー機能を有することで、音色選択や音設定を変更した場合、サンプル音のフレーズが発音されるので、設定変更による音の変化を瞬時に聴覚で容易に確認することができる。
【0064】
また、予めフレーズ記憶部4に記憶された設定内容(変更状態)に対応するフレーズ(和音のアルペジオや音高)が発音されるため、自分で演奏するより設定の変化の違いを分かり易くすることができる。
また、設定内容を表示する操作パネルを持たないタイプの電子楽器においても、音色選択や音設定の変更について、変更したことを確実に認識することができる。
【0065】
上述した音声アシスト装置では、操作ボタン1と鍵盤2の鍵との押下により、音色選択や音設定が行われるようにしたが、鍵盤2における鍵の押下で、電子楽器で自動演奏される楽曲名(練習曲を含む)の選択や電子楽器に関する各種操作設定(例えば、自動的に電源がオフになるまでの時間)が行われる場合にも適用することができる。
この場合、設定項目名称記憶部4に曲名や操作内容を音声データとして記録し、鍵盤2の鍵の押下で、自動演奏される楽曲が選択される場合は、曲名(練習曲を含む)が発話され、電子楽器に関する各種操作設定の場合は、例えば、「オートパワーオフ30分」のような音声データが発話される。