(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
キッチンキャビネットの上面に設けられたキッチン天板の天板開口部を通して、キッチンキャビネットの格納部に本体筐体の少なくとも一部が格納されるビルトイン型の加熱調理器であって、
本体筐体と、
前記本体筐体の上面に設けられたトッププレートと、
前記トッププレートの一辺に沿って前記トッププレートの上側に設けられた第1枠部材と、
前記トッププレートの前記一辺に沿って設けられ、前記第1枠部材の下側に対向配置された第2枠部材とを備え、
前記本体筐体は、前記本体筐体が前記格納部に格納された状態において前記キッチン天板よりも下側となる位置に吸気口が形成されており、
前記第1枠部材は、
前記トッププレートの前記一辺から外側に向かって延びる上壁と、
前記上壁の外側の端部から下側へ向かって延びる側壁とを有し、
前記側壁は、前記本体筐体が前記格納部に格納された状態において前記側壁の下端部が前記キッチン天板に接触しない長さを有し、
前記側壁の下端部と前記キッチン天板との隙間に第1排気口が形成され、
前記第1枠部材の前記上壁の下側に、前記第1排気口と前記本体筐体内とを連通する第1排気風路を備え、
前記第2枠部材には、前記トッププレートの前記一辺と前記第1枠部材の前記側壁との間に、第1開口が形成されている
ことを特徴とする加熱調理器。
キッチンキャビネットの上面に設けられたキッチン天板の天板開口部を通して、キッチンキャビネットの格納部に本体筐体の少なくとも一部が格納されるビルトイン型の加熱調理器であって、
本体筐体と、
前記本体筐体の上面に設けられたトッププレートと、
前記トッププレートの一辺に沿って前記トッププレートの上側に設けられた第1枠部材と、
前記トッププレートの前記一辺を除く他の一辺に沿って前記トッププレートの上に設けられた第3枠部材と、
前記他の一辺に沿って前記トッププレートの下に設けられた第4枠部材と、
前記トッププレートの下面と前記第4枠部材との間に設けられ、前記トッププレートの下面に接触する複数の支持部とを備え、
前記本体筐体は、前記本体筐体が前記格納部に格納された状態において前記キッチン天板よりも下側となる位置に吸気口が形成されており、
前記第1枠部材は、
前記トッププレートの前記一辺から外側に向かって延びる上壁と、
前記上壁の外側の端部から下側へ向かって延びる側壁とを有し、
前記側壁は、前記本体筐体が前記格納部に格納された状態において前記側壁の下端部が前記キッチン天板に接触しない長さを有し、
前記側壁の下端部と前記キッチン天板との隙間に第1排気口が形成され、
前記第1枠部材の前記上壁の下側に、前記第1排気口と前記本体筐体内とを連通する第1排気風路を備え、
前記第3枠部材の下端部と前記キッチン天板との隙間に第2排気口が形成され、
隣接する前記支持部の間には、一端が前記本体筐体内に連通し、他端は前記第2排気口に連通する流路が形成されている
ことを特徴とする加熱調理器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る加熱調理器の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す図面の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本発明を限定するものではない。これらの方向を示す用語は、特に明示しない限り、誘導加熱調理器を前面側(正面側)から見た場合の方向を意味している。また、各図において、同一の符号を付したものは、同一の又はこれに相当するものであり、これは明細書の全文において共通している。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る加熱調理器100と加熱調理器100が設置されるキッチンキャビネット200の分解斜視図である。本実施の形態の加熱調理器100は、キッチンキャビネット200に組み込まれて使用されるいわゆるビルトイン型のものである。キッチンキャビネット200は、本発明の加熱調理器100の一部ではないが、発明の理解を容易にするために併せて説明する。キッチンキャビネット200は、天面を構成するキッチン天板201を有し、加熱調理器100の一部が格納され上面を開放した空間である格納部202が形成されている。キッチンキャビネット200内の格納部202の下側には、食材や調理容器等を収納する収納スペースなどが設けられている。
【0014】
加熱調理器100は、内部に加熱手段等の部材を収容する本体筐体1と、本体筐体1の上面に設けられたトッププレート2とを有する。平面視において、トッププレート2の面積は本体筐体1の面積よりも大きく、また、トッププレート2の面積は格納部202の面積よりも大きい。加熱調理器100がキッチンキャビネット200に設置されると、本体筐体1が格納部202に格納され、トッププレート2の外周部はキッチン天板201の上面に支持される。
【0015】
トッププレート2は、例えばセラミックス、耐熱ガラス、結晶化ガラス等の非金属材料で構成される。加熱調理器100には、鍋等の被加熱物が載置される3つの加熱口3が配置されている。本実施の形態では、左右に並んだ2つの加熱口3と、それらの間の後側に設けられた1つの加熱口3と、の合計3つの加熱口3を設けているが、加熱口3の数及び配置は一例であって、図示のものに限定されない。トッププレート2の表面又は裏面には、加熱口3のそれぞれに被加熱物を載置する際の目印となる表示が施されている。
【0016】
トッププレート2には、操作部4及び表示部5が設けられている。操作部4は、例えば、静電容量式タッチスイッチを有し、ユーザーがトッププレート2に指で接触することにより、加熱調理器100に対する操作入力をして加熱の指示や火力の調整を行えるように構成されている。表示部5は、液晶ディスプレイやLED等の視覚的に情報を報知する装置を有し、加熱調理器100の火力、タイマーの時間等の動作状態や、ユーザーが操作部4で入力するための選択肢、ユーザーへの警告及び注意喚起の報知を行う。本実施の形態では、操作部4及び表示部5がトッププレート2に設けられているが、操作部4及び表示部5の一部または全部を、トッププレート2の手前側の枠体に設けてもよい。ここで例示した具体的構成のほか、操作部4及び表示部5は任意の構成を用いることができる。
【0017】
トッププレート2の縁には、金属製の枠が取り付けられている。本実施の形態のトッププレート2は、平面視したときの形状が矩形あるいは角丸矩形であり、トッププレート2四辺の縁に設けられた枠を、それぞれ、前枠10、左枠11、右枠12、後枠13と称する。
【0018】
本体筐体1の前部分には、本体筐体1の内部と外部とを連通する吸気口6が形成されている。本実施の形態では、吸気口6は、本体筐体1の前壁と底面とに形成された複数の開口で形成されている。吸気口6を介して本体筐体1内に冷却風が流入し、本体筐体1内に収容される部品の冷却と本体筐体1内の換気が行われる。
【0019】
図2は、実施の形態1に係る加熱調理器100のキッチンキャビネット200に設置された状態の背面側から見た斜視図である。後枠13は、トッププレート2の後側の辺から外側に向かって延びる上壁131と、上壁131の外側の端部から下側へ向かって延びる側壁132とを有する。上壁131は、トッププレート2の後側の辺に沿って延在しており、トッププレート2の後側の辺の上部を覆っている。詳細は後述するが、側壁132の下端部は、キッチン天板201に接触しておらず、側壁132とキッチン天板201との間の隙間が、加熱調理器100の第1排気口14である。
【0020】
本実施の形態では、後枠13は、トッププレート2に対して着脱自在に取り付けられている。後枠13が取り外されると、通常は後枠13で覆われていてメンテナンスが困難なキッチン天板201や、後枠13の内面、及び後枠13の下側に位置する部材が露出する。このため、空気の通過に伴ってこれらの部材に付着する塵埃及び汚れ、並びにふきこぼれによって生じる汚れの清掃が容易となり、加熱調理器100の衛生性を高めることができる。
【0021】
なお、本実施の形態では、後枠13は一体の部材で構成されていて、一体の部材全体が着脱可能となっているが、後枠13を複数の部品で構成して一部を着脱可能としてもよい。この場合、例えば、後枠13のうち、空気が通過する部分及びキッチン天板201を覆う部分を着脱可能な構成とすることができる。また、トッププレート2に接触する部分については着脱不可の構成としてもよく、このようにすることでトッププレート2の端部を保護してトッププレート2の損傷を抑制することができる。また、後枠13は、着脱可能な構成とするのではなく、ヒンジ等を介して加熱調理器100に取り付けるようにしてもよい。このようにヒンジの機能により後枠13を開閉自在な構成とすることで、通常は後枠13で覆われている部分を、後枠13を移動させることで露出させることができ、メンテナンス性に関して着脱自在な構成とした場合と同様の効果を得ることができる。
【0022】
図3は、実施の形態1に係る加熱調理器100の後枠13が取り外された状態の斜視図である。後枠13の下側には、トッププレート2を下方から支持する下枠15が設けられている。下枠15は後枠13と対向配置されており、トッププレート2の後側の端部は、後枠13と下枠15とによって上下に挟持される。下枠15は、概ねトッププレート2と平行な平面を有し、排気用の開口である開口151が設けられている。開口151の少なくとも一部は、トッププレート2の後側の辺よりも外側(後側)に開口しており、かつ、開口151は本体筐体1内と連通している。
【0023】
開口151の縁に沿って、下方に突出する水切り部152が設けられている。ふきこぼれ等により下枠15の上面を液体が流れることがあるが、液体は開口151の水切り部152を伝って開口151の下方へ落下するので、下枠15の下面を液体が伝いにくくなる。このため、液体が下枠15の下面を伝って本体筐体1内の各所へ流入するのを抑制することができる。なお、本実施の形態では、水切り部152は、開口151の全周に渡って設けられており、このようにすることで、水切り部152による水切り効果を高めているが、液体が伝っても影響がない開口151の一部には、水切り部152を設けないようにしてもよい。水切り部152は、例えば、下枠15を構成する金属板に形成された開口151の縁を曲げ加工して形成することができるが、水切り部152の形成方法はこれに限定されない。
【0024】
下枠15の後側の端部には、下枠15の長手方向に沿って延在し、上側に向かって突出する板状の第1遮蔽部153が設けられている。第1遮蔽部153は、下枠15の長手方向の全長に渡って途切れることなく設けられている。後枠13が設けられたトッププレート2の後側の辺と直交する方向、すなわち前後方向において、第1遮蔽部153は、後枠13の側壁132(
図2参照)と開口151との間に設けられている。第1遮蔽部153は、キッチン天板201を伝って本体筐体1内に浸入しようとする液体の流入を抑制する堤防として機能する。
図3の例では、第1遮蔽部153は、下枠15の長手方向に沿った直線状であるが、左枠11から右枠12まで連なっていれば直線状である必要はなく、たとえば部分的に曲線状あるいは折線状に曲がっていてもよい。第1遮蔽部153の長手方向に沿った形状によらず、第1遮蔽部153の液体の流入を抑制する効果を得ることができる。
【0025】
トッププレート2の後側の端部には、トッププレート2の後側の辺に沿って延在し、上側に向かって突出する板状の第2遮蔽部154が設けられている。第2遮蔽部154は、第1遮蔽部153と相対して概ね平行にトッププレート2の辺に沿って設けられており、第1遮蔽部153と第2遮蔽部154との間に開口151が配置されている。第1遮蔽部153及び第2遮蔽部154は、トッププレート2の後側の辺と概ね同じ長さで、途切れることなく一続きに設けられている。
【0026】
図4は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、トッププレート2、前枠10、左枠11、右枠12及び後枠13が取り外された状態の斜視図である。本体筐体1内の各加熱口3の下側には、加熱コイルユニット7がそれぞれ配置されている。加熱コイルユニット7は、トッププレート2の上に載置される鍋やフライパン等の被加熱物を誘導加熱する加熱手段である。加熱手段の具体的構成によって本発明は限定されず、例えば抵抗発熱体であるラジエントヒーターを加熱手段として用いてもよいし、加熱コイルとラジエントヒーターとを組み合わせて用いてもよい。
【0027】
本体筐体1の上側には、下枠15が設けられている。下枠15は、トッププレート2を下方から支持する部材であり、トッププレート2の裏面と本体筐体1の開口端との間に介在する。下枠15は、概ね平板状の額縁状の部材であり、本体筐体1の外周壁の上端から外周側へ向かって延び、トッププレート2の裏面の外周部分に接して支持する。トッププレート2はセラミックス、耐熱ガラス、結晶化ガラス等の板材で構成されているため、荷重や衝撃による損傷への配慮が必要である。本実施の形態では下枠15を設けてトッププレート2の下面を支持することで、荷重や衝撃によるトッププレート2の破損を軽減している。なお、本実施の形態ではトッププレート2の外周部全体の下方に下枠15を設けることで補強効果を高めているが、補強の必要な部分でかつ開口151を配置する領域にのみ下枠15を設けてもよい。
【0028】
図4に示す下枠15は、複数の部材を溶接や係合構造を用いて接合して構成されているが、一体成形により下枠15を構成してもよいし、下枠15を複数の部材で構成してもよい。例えば、本実施の形態では第1遮蔽部153及び第2遮蔽部154は下枠15に接合されているが、第1遮蔽部153及び第2遮蔽部154が構成された部材を別部材として設けてもよい。
【0029】
図5は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、トッププレート2、前枠10、左枠11、右枠12、後枠13及び下枠15が取り外された状態の斜視図である。本体筐体1内の加熱コイルユニット7の周囲及び下方には、加熱コイルユニット7を駆動制御する電気部品、電子部品及び放熱用のヒートシンク等を備えた回路基板16が設けられている。回路基板16は、基板ケース17に収容されている。
【0030】
本実施の形態の基板ケース17は、冷却風が流れるダクトとしても機能する風路部材である。基板ケース17への空気の流入口は、本体筐体1の吸気口6に連通しており、吸気口6を介して基板ケース17内に流入した空気は、基板ケース17内を流れる過程において回路基板16を冷却し、基板ケース17に設けられた孔部である第1流出口171から流出する。本実施の形態では、基板ケース17の上面に設けられた第1流出口171は、平面視において下枠15に設けられた開口151と重ならない位置に設けられている。このようにすることで、下枠15の開口151から浸入する液体等が第1流出口171を介して基板ケース17内に入るのを抑制している。
【0031】
図6は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、トッププレート2、前枠10、左枠11、右枠12、後枠13、下枠15及び加熱コイルユニット7が取り外された状態の斜視図である。基板ケース17の上面には、左右の加熱コイルユニット7の下面に対向する位置に、孔部である第2流出口172が設けられている。本実施の形態の第2流出口172は、複数の丸穴で構成されている。基板ケース17内を流れる冷却風の一部は、第2流出口172から加熱コイルユニット7の下面に吹き出され、発熱部品であるコイル巻線や防磁リング、フェライト等の周囲を冷却する。このように加熱コイルユニット7を冷却することで、加熱調理の動作に伴う温度上昇による、加熱コイルユニット7を構成する部品の機能低下や損傷を抑制している。
【0032】
図7は、実施の形態1に係る加熱調理器100の、トッププレート2、前枠10、左枠11、右枠12、後枠13、下枠15、加熱コイルユニット7及び基板ケース17の上部分が取り外された状態の斜視図である。基板ケース17内には、回路基板16が収容されている。回路基板16には、加熱コイルユニット7を駆動制御する電気部品及び電子部品が実装されており、発熱する部品にはアルミニウム等で構成されたヒートシンク等の放熱手段161が実装されている。
【0033】
基板ケース17の内部には、本体筐体1の吸気口6に隣接した位置に、送風機8が設けられている。送風機8は、遠心ファンであるシロッコファンと、シロッコファンを収容するファンケースとを有する。本実施の形態では2台の送風機8が設けられており、それぞれ、本体筐体1の2箇所の吸気口6に対応する位置に配置されている。送風機8が動作すると、本体筐体1の吸気口6から空気が送風機8に吸い込まれ、吸い込まれた空気は冷却風として基板ケース17内に向けて送出される。送風機8から送出された冷却風の一部は基板ケース17の第2流出口172(
図6参照)から吹き出されて加熱コイルユニット7を冷却し、残りの一部は基板ケース17内の回路基板16に実装された部品や放熱手段161を冷却して第1流出口171(
図6参照)から流出する。
【0034】
図8は、実施の形態1に係る加熱調理器100の部分分解斜視図である。本実施の形態の前枠10、左枠11及び右枠12は、一続きの部材で構成されている。トッププレート2の外周縁及びその上部は、前枠10、左枠11及び右枠12が一体となったコの字型の枠体と、後枠13とで囲まれる。通気風路を構成する後枠13を別体とすることで、製造を容易にして低コスト化するとともにメンテナンス性を高めている。また、前枠10、左枠11及び右枠12を一連の部材で構成することで、継目を無くして意匠性を高めるとともに部品点数を減らし部品コスト及び組立コストを安価にしている。
【0035】
トッププレート2の外周縁は、前枠10、左枠11、右枠12及び後枠13によって上から覆われ、下枠15によって下から覆われる。このため、調理器具等の衝突によるトッププレート2の角部等を、欠け等の損傷から保護することができる。加熱調理器100がキッチンキャビネット200に設置された状態では、下枠15及びトッププレート2の外周部分はキッチン天板201の上に載置され、当該部分には加熱調理器100の荷重がかかり、また調理作業に伴ってトッププレート2にも荷重がかかる。本実施の形態のようにトッププレート2の外周部を下から下枠15で支持することで、トッププレート2及び本体筐体1の外周上端部の荷重がかかる部分を補強し、これらの部材の変形及び撓みを軽減してトッププレート2の損傷を抑制している。
【0036】
下枠15の下面には、下枠15の概ね外周に沿ってシール材18が設けられている。シール材18は、発砲弾性体やゴム等の弾性体で、止水性を有する材料で構成されている。加熱調理器100がキッチンキャビネット200に設置された状態では、シール材18がキッチン天板201の上面に密着して、下枠15とキッチン天板201との隙間に水や油等の液体が流入することを抑制している。
【0037】
図9は、実施の形態1に係る後枠13の下面の斜視図である。
図9では、紙面上側に記載された後枠13の短手方向の端部が、トッププレート2に取り付けられる側(前側)の端部である。後枠13の下面には、短手方向における後側の端部に、複数の第1係合部133が互いに間隔をあけて配置され、前側の端部には第2係合部134が設けられている。
【0038】
第1係合部133は、下枠15の第1遮蔽部153に着脱自在に係合し、後枠13を下枠15に固定する機能を有する。本実施の形態の第1係合部133は、弾性力を有する対向配置された一対の爪状の部材で構成されており、一対の爪状の部材の間に、第1遮蔽部153が挟持される。
【0039】
第2係合部134は、下枠15の第2遮蔽部154に着脱自在に係合し、後枠13を下枠15に固定する機能を有する。本実施の形態の第2係合部134は、後枠13の長手方向に延在し、対向配置された一対の板状部材で構成されており、一対の板状部材の間に、第2遮蔽部154が挿入される。
【0040】
後枠13の前後方向の中心を挟んで第1係合部133と第2係合部134とが対向配置されており、対向する第1係合部133と第2係合部134との間の距離は、後枠13の高さ寸法以上の距離である。このため、後枠13の上壁131の上面の傾斜やゆがみを抑制して後枠13を下枠15に取り付けることができる。したがって、意匠性を向上させることができ、また部品のガタツキを抑制できるので品質を高めることができる。
【0041】
図10は、実施の形態1に係る加熱調理器100のトッププレート2が取り外された状態の平面図である。下枠15に設けられた複数の開口151は、本体筐体1の内側に、互いに間隔をあけて概ね左右対称に配置されている。左端の開口151の左端部から右端の開口151の右端部までの長さは、本体筐体1の左右の幅に近い長さ、具体的には概ね7割以上の長さである。
【0042】
第1係合部133は、正面視において下枠15の開口151と重ならない位置に配置されている。このため、開口151から出る排気流の主流は、第1係合部133に接触しにくく、第1係合部133による排気流の流れの阻害を軽減することができ、圧力損失の上昇を抑制することができる。また、隣接する第1係合部133同士の間の幅は、下枠15の各開口151の左右方向の幅以上である。このため、排気流の風路断面積の縮小を抑制し、圧力損失の上昇を抑えることができる。
【0043】
図11は、実施の形態1に係る加熱調理器100の前後方向の断面図である。
図11は、紙面左側が加熱調理器100の前側、紙面右側が加熱調理器100の後側を示している。本体筐体1の吸気口6は、本体筐体1の前壁と、底面のうち前壁に隣接する部分に複数設けられている。吸気口6は、送風機8の吸込口との間に概ね直線的な流路を形成するように対向して配置され、吸気口6と送風機8の吸込口との概ね気密に接続されており、圧力損失を抑えて本体筐体1の外部の室温の空気を本体筐体1内へ吸い込むことができる。本実施の形態の送風機8は、シロッコファンを収容するスクロールケーシングの下面に吸込口が形成され、吹出口は吸込口よりも後側に配置されている。送風機8の吹出口は、加熱コイルユニット7の前後方向の中心よりも前側かつ加熱コイルユニット7の下側に配置されている。
【0044】
図12は、
図11の後枠13近傍の拡大図である。
図12では、後枠13の近傍における空気の流れを矢印で概念的に示している。後枠13の上壁131の下側には、下枠15の上面との間に、第1排気風路20が形成される。第1排気風路20は、本体筐体1内と第1排気口14とを連通する風路である。
【0045】
下枠15の第1遮蔽部153の上端部は、後枠13の側壁132の下端部よりも高い位置に配置されており、背面視すると側壁132の下端部の下に形成される概ねスリット状の第1排気口14の内部は第1遮蔽部153で遮蔽される。このため、加熱調理器100を背面側からみたときの意匠性を高めることができる。また、第1遮蔽部153の上端部を側壁132の下端部よりも高い位置に配置することで、ナイフやフォーク等の食器や調理機材が第1排気口14から本体筐体1内へ挿入されるのを抑制し、内部の損傷や充電部への接触による故障を回避することができる。
【0046】
後枠13の第1係合部133を構成する下方に突出する一対の係合片は、弾性力で下枠15の第1遮蔽部153を着脱自在に挟持している。また、後枠13の第2係合部134を構成する一対の係合片は、弾性力で下枠15の第2遮蔽部154を着脱自在に挟持している。さらに本実施の形態では、下枠15の第2遮蔽部154の上端部には、下に向かって折り曲げられて構成された曲げ部が設けられており、この曲げ部が第2係合部134を構成する一対の係合片の間に挿入されている。このため、第2遮蔽部154の上端部の曲げ部が、板ばねとして作用して第2係合部134を外側へ付勢し、着脱性を向上するとともに安定した力で結合される。このように後枠13と下枠15とに一対の係合構造を設けることで、鍋やフライパン等の調理器具が後枠13に衝突しても、その衝撃で後枠13が下枠15から外れるのを抑制することができる。
【0047】
下枠15の開口151の下側には、回路基板16は露出しておらず、開口151と回路基板16との間には基板ケース17が介在している。このように開口151の下側に配置された回路基板16を基板ケース17で覆うことで、開口151及び水切り部152を介して滴下した水や油等の液体は、基板ケース17を伝って下側に流れ、回路基板16には接触しないので、回路基板16に実装された部品の故障が抑制されて製品の品質及び信頼性を高めることができる。
【0048】
本体筐体1の底面には、下枠15の開口151の下方に、排水口19が形成されている。開口151から本体筐体1内に流入した水や油等の液体は、排水口19を介して本体筐体1の外へ排出される。このため、本体筐体1内の下部に液体が溜まるのを抑制でき、液体が回路基板16に浸漬することによる回路基板16に実装された部品の故障を回避して製品の品質及び信頼性を高めることができる。
【0049】
下枠15の開口151よりも背面側に第1遮蔽部153が設けられているので、キッチン天板201を伝って流れてきた液体等の本体筐体1内への浸入を抑制することができる。また、仮に液体が第1遮蔽部153を乗り越えて開口151から内部に浸入した場合でも、開口151は本体筐体1の排水口19の上方に位置しているため、開口151から浸入した液体は本体筐体1から排出されやすい。このため、本体筐体1内に収容される部品の液体の浸漬による故障や損傷を抑制することができる。また、液体が開口151を回避して下枠15の上面を伝ったとしても、下枠15の開口151よりも前側には、第2遮蔽部154が設けられているので、液体のさらなる流入を抑制することができる。本実施の形態の第2遮蔽部154は、本体筐体1の幅よりも長い範囲に途切れることなく設けられているので、第2遮蔽部154の堤防効果により液体が回路基板16や加熱コイルユニット7に接触するのを抑制することができる。
【0050】
排気流の流れ方向に沿った下枠15の前後方向の寸法(a)は、第1排気風路20の高さ方向の寸法(b)よりも長い。ここで、第1排気風路20の高さ方向の寸法(b)は、より詳しくは、後枠13の上壁131の下面と、下枠15の上面との間の内寸である。このような寸法関係を採用することで、第1排気風路20への排気流の流入口である開口151における流路断面積を、第1排気風路20内の流路断面積よりも大きくすることができ、圧力損失を低減して排気流量を増加させて冷却効率を高める効果がある。
【0051】
図13は、実施の形態1に係る加熱調理器100の変形例を説明する図であり、
図12と同じ部位の拡大図である。
図13に示す例は、後枠13の側壁132よりも排気流の下流側に、庇部135が設けられた点が、
図12と異なる。庇部135は、上壁131に連なり、側壁132よりも背面側へ延在している。このような庇部135を設けることで、加熱調理器100の周囲から第1排気口14が視認されにくくなり、加熱調理器100の意匠性を高めることができる。なお、この庇部135の具体的形状は一例であり、側壁132の下流側を上から覆う形状であれば、同様の効果を得ることができる。また、
図13に示す庇部135を設けた構成では、後枠13の上面から伝ってくる液体の水切り部として側壁132が機能するので、第1排気口14から本体筐体1内への液体の浸入を抑制することができる。
【0052】
このように構成された加熱調理器100において、ユーザーが操作部4を操作して被加熱物を載置した加熱口3の火力を設定して加熱開始を指示すると、回路基板16の制御回路及び駆動回路が動作することにより、加熱コイルユニット7に高周波電流が流れる。電流が流れることにより、加熱コイルユニット7から磁力線が発生し、トッププレート2に載置される鍋やフライパン等の被加熱物に渦電流が生じ、被加熱物自体が発熱する。
【0053】
回路基板16の制御回路及び駆動回路が動作することにより、電源回路を構成するチョークコイルやインバータ回路を構成するIGBTやダイオードブリッジ等の部品は自己発熱し温度上昇する。また、加熱コイルユニット7を構成するコイル巻線、フェライト、防磁リングも自己発熱し温度が上昇する。回路基板16及び加熱コイルユニット7の機能を維持するためには所定の温度内に温度上昇を抑える必要がある。このため、回路基板16や加熱コイルユニット7の発熱か所には温度センサが設けられ、温度センサからの温度情報及び操作部4での火力設定等に基づいて、制御回路は送風機8を動作させる。
【0054】
送風機8が動作すると、送風機8の吸引力によって、キッチンキャビネット200の前面と本体筐体1との隙間から格納部202内に空気が流入し、流入した空気はキッチンキャビネット200と本体筐体1との隙間を、本体筐体1の前面及び底面に設けられた吸気口6に向かって流れ、吸気口6より本体筐体1内に流入する。本体筐体1内に流入した空気は、吸気口6と送風機8の吸込口との間に略気密に形成された風路を経て送風機8に吸引され、送風機8の吹出口から基板ケース17内に冷却風として送出される。
【0055】
送風機8の吹出口から吹き出された冷却風は、基板ケース17に設けられた第2流出口172から流出する流れと、第2流出口172よりも後側に配置されている第1流出口171から流出する流れとに分流する。回路基板16に実装された電気部品、電子部品及び放熱手段161は、基板ケース17内の冷却風の流れ方向において第2流出口172と第1流出口171との間に配置されている。基板ケース17に複数の第1流出口171及び第2流出口172を設けて冷却風を分流させることで、加熱コイルユニット7と回路基板16上部品のように異なる場所に配置された部品に、他の部品の発熱の影響による温度上昇が少ない概ね室温の低温の冷却風を供給することができる。したがって、冷却対象となる部品の冷却効率を高めることができる。また、複数の第1流出口171、第2流出口172に分流させることで、流路が拡大し風速を低くすることができ、圧力損失を抑制する効果がある。
【0056】
送風機8から送出され、第1流出口171及び第2流出口172から出た冷却風は、下枠15の開口151を介して本体筐体1から出て、後枠13の上壁131の下側に形成される第1排気風路20を流れ、後枠13の側壁132の下端の下側に形成されるスリット状の第1排気口14を通って排気される。送風機8の吹出口から第1排気口14に至る冷却風の流路を、本体筐体1の前面下部と背面上部とを結ぶ略直線的な流路とすることで、流路の曲がり等による圧力損失の増加を抑制することができる。また、流路長さを短くできるので圧力損失が低減され、送風機8の効率を高め低騒音な加熱調理器100を得ることができる。また、吸気口6から送風機8の吸込口に至る流路も直線的に構成し、送風機8の流入側と流出側ともに直線的な風路としたことで、さらに送風機8の効率が高まり、より低騒音な加熱調理器100を得ることができる。
【0057】
以上のように本実施の形態の加熱調理器100は、キッチンキャビネット200の上面に設けられたキッチン天板201の天板開口部を通して、キッチンキャビネット200の格納部202に本体筐体1の少なくとも一部が格納されるビルトイン型の加熱調理器である。この加熱調理器100は、本体筐体1と、本体筐体1の上面に設けられたトッププレート2と、トッププレート2の一辺に沿ってトッププレート2の上側に設けられた後枠13とを備える。本体筐体1には、本体筐体1が格納部202に格納された状態においてキッチン天板201よりも下側となる位置に吸気口6が形成されている。後枠13は、トッププレート2の一辺から外側に向かって延びる上壁131と、上壁131の外側の端部から下側へ向かって延びる側壁132とを有する。側壁132は、本体筐体1が格納部202に格納された状態において側壁132の下端部がキッチン天板201に接触しない長さを有し、側壁132の下端部とキッチン天板201との隙間に第1排気口14が形成され、後枠13の上壁131の下側に、第1排気口と本体筐体1内とを連通する第1排気風路20を備えた。
【0058】
後枠13の側壁132の下端部とキッチン天板201との間の隙間を第1排気口14としたので、加熱調理器100の外郭を構成する部材に排気用の穴を設ける場合よりも目立ちにくい排気口を設けることができる。このため、本実施の形態の加熱調理器100がアイランドキッチンに設置される等して加熱調理器100の上部の外周全体が目視可能であっても、良好な意匠性を保つことができる。また、第1排気口14の形成には、外郭を構成する部材への穴加工は不要であるので、穴加工に伴うカエリやバリ等のエッジ部は生じず、外部に露出する第1排気口14の外装品質を向上させることができる。また、第1排気口14を形成する後枠13の側壁132は、押出成型又はプレス加工で作製できる構造である。押出成型で作製した場合には、側壁132にエッジができず、プレス加工で作製した場合には、容易にエッジ対策を行うことができるので、ユーザーが触れたときに不快感を与えにくい。
【0059】
また、第1排気口14を形成する後枠13の側壁132は、下に向かって突出する形状であるので、側壁132は水切りとしても機能することができる。このため、トッププレート2上での加熱調理でふきこぼれた煮汁等の液体が後枠13を伝って流れることがあっても、後枠13の側壁132に到達した液体は重力により下方に向かって流れて落下し、液体が後枠13の内部を伝うのを抑制することができる。
【0060】
また、本体筐体1が格納部202に格納された状態においてキッチン天板201よりも下側となる位置に吸気口6が形成されているので、加熱に伴う油煙、湯気、煮汁などの液体は本体筐体1内へ浸入しにくい。キッチン天板201の上側に形成された第1排気口14から排気流が吹き出されると、塵埃や煮汁などの液体は第1排気口14から吸い込まれること無く排気される気流により流されて第1排気口14から遠ざかるため、スリット状の第1排気口14を設けても塵埃や煮汁などの液体が本体筐体1に浸入することが抑制される。また、キッチンキャビネット200内から吸気してキッチン天板201の上から排気することで、キッチンキャビネット200内の温度上昇を抑制してキッチンキャビネット200内に収納される食材の熱により劣化を抑制するとともに、内部に臭気が充満することも軽減され臭気によるユーザーの不快感を軽減する効果もある。
【0061】
また、第1排気口14は、操作部4が配置される前面側とは異なる側に設けられており、この第1排気口14は前面側と加熱コイルユニット7を挟んで対向する後枠13を用いて形成されている。このように、操作部4側、すなわち加熱調理をするユーザーが立つ側には排気しないので、加熱調理をするユーザーの快適性を維持することができる。第1排気口14は、後枠13の側壁132の下端とキッチン天板201の上面との間に形成され、第1排気風路20を通過した気流は側壁132の内面に導かれて概ね下向きで排気される。このため、加熱調理器100の背面側にユーザーがいる場合でも、下向きに導風される気流は、ユーザーの顔付近に吹き付けられにくく、排気がユーザーに接触することによる不快感を軽減することができる。
【0062】
また、トッププレート2の後辺に沿って設けられ、後枠13の下側に対向配置された下枠15を備え、下枠15は、上側に向かって突出し、第1排気口14に相対する第1遮蔽部153を備えた。このため、トッププレート2上での加熱調理にて鍋等の調理器具からの吹き零れた煮汁などの液体がキッチン天板201上に流出した場合でも、液体は第1遮蔽部153によりせき止められる。したがって、第1遮蔽部153よりも内側の下枠15上に液体が流入することを軽減でき、本体筐体1内への液体等の浸入による故障及び損傷を抑制する効果がある。
【0063】
また、本実施の形態では、第1遮蔽部153の上端は、後枠13の側壁132の下端よりも高い位置にある。このため、側壁132と第1遮蔽部153とで遮蔽されて本体筐体1内部が露出せず、第1排気口14を外側からユーザーが目視しても、本体筐体1の内部は見えないことから、意匠性が高まり外観品質を高める効果がある。また、第1排気口14に誤ってナイフやフォーク等の調理用具等が差し込まれたとしても、第1遮蔽部153が壁となるので、本体筐体1内への異物が侵入するのを抑制することができる。
【0064】
また、本実施の形態の加熱調理器100は、回路基板16と、第1流出口171が形成され、内部に回路基板16が収容される基板ケース17とを備えた。そして、下枠15には、平面視においてトッププレート2の後辺と後枠13の側壁132との間に、開口151が形成されており、平面視において下枠15の開口151は、基板ケース17の第1流出口171または回路基板16と重ならない位置に形成されている。このため、第1排気口14から第1排気風路20内に液体が流入して開口151から液体が滴下することがあったとしても、浸入した液体等は基板ケース17内に入りにくく、回路基板16に液体が接触しにくい。このため、回路基板16に実装された部品に液体等が浸漬することで生じる故障及び損傷を抑制することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、下枠15の開口151の縁に沿って設けられ、下方に突出する水切り部152を備えた。下枠15の上面を流れる液体は、水切り部152を伝って滴下し、下枠15の裏面には伝わりにくい。このため、下枠15の裏面を伝って液体が本体筐体1内の各所に滴下することが抑制され、本体筐体1内に実装された部品に液体が接触することによる故障及び損傷を抑制され、製品の品質及び信頼性を高める効果がある。また、液体は、水切り部152を伝って滴下するので、液体の本体筐体1内への滴下位置をコントロールすることができる。
【0066】
また、本実施の形態では、本体筐体1の底面には、排水口19が形成されており、排水口19は、平面視において少なくとも一部が下枠15の開口151または水切り部152に重なる位置に設けられている。このため、開口151または水切り部152から液体が滴下しても、滴下した液体は下方に配置された排水口19から速やかに排出されやすい。このため、本体筐体1内に実装された部品に液体が接触することによる故障及び損傷が抑制され、製品の品質及び信頼性を高める効果がある。
【0067】
また、本実施の形態の後枠13は、下枠15の第1遮蔽部153に着脱自在に係合する第1係合部133を備えた。このため、後枠13は下方から下枠15に支持され、後枠13の上に鍋等の調理器具が載置されても、後枠13が傾いたり変形したりすることによる、意匠性の低下を抑制して外観品質を高めることができる。また、後枠13の傾きや変形を抑制することで、後枠13と下枠15との間に形成される第1排気風路20の断面積が減少して圧力損失が増加し排気流量が減って所定の冷却効果が得られないことによる、製品の故障を抑制する効果がある。なお、本実施の形態では、第1係合部133を第1遮蔽部153に係合させる構造としたが、第1遮蔽部153とは別に第1係合部133が着脱自在に係合する係合部を下枠15に設けてもよい。また、後枠13及び下枠15に設ける一対の係合部は、下枠15の開口151よりもトッププレート2から離れた位置に設けることで、後枠13の上に荷重がかかることによる後枠13の傾き及び変形を抑制する効果を高めることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、下枠15の開口151を挟んで第1排気口14と相対する位置に、第2遮蔽部154を備え、第2遮蔽部154は、トッププレート2の後辺に沿って延在し、かつ上へ突出する形状である。このため、第1排気口14から液体や異物等が加熱調理器100内に侵入したとしても、液体や異物等は第2遮蔽部154でせき止められ、液体や異物等が下枠15の開口151以外から本体筐体1内に落下するのを抑制することができる。このため、本体筐体1内に実装された部品に液体が接触することによる故障及び損傷が抑制される。また、トッププレート2の後辺の端部に異物が接触することによるトッププレート2の損傷を抑制する効果がある。なお、第1遮蔽部153と第2遮蔽部154の両方を設ける場合には、第2遮蔽部154の上端部を、第1遮蔽部153の上端部よりも高い位置に設けることで、液体や異物の侵入抑制効果を高めることができる。
【0069】
また、本実施の形態の後枠13は、下枠15の第2遮蔽部154に着脱自在に係合する第2係合部134を備えた。このため、後枠13の傾きや変形に対する耐力が高まり、意匠性及び外観品質を高めることができる。また、後枠13と下枠15との間に形成される第1排気風路20の断面積が減少して圧力損失が増加し排気流量が減って所定の冷却効果が得られないことによる、製品の故障を抑制する効果がある。
【0070】
また、本実施の形態では、第1係合部133、第2係合部134、第1遮蔽部153及び第2遮蔽部154は、トッププレート2の後辺に沿って互いに平行に延在する構成である。このため、後枠13をトッププレート2の後辺に沿ってスライドさせることで、下枠15に対する着脱が行え、清掃性及びメンテナンス性を高める効果がある。
【0071】
また、本実施の形態では、後枠13は、トッププレート2に対して取り外し可能に又はトッププレート2への取り付け位置から移動可能に取り付けられている。そして、後枠13の側壁132は、下枠15よりもトッププレート2の後辺から離れた位置に設けられている。このため、後枠13をトッププレート2から取り外すことで、あるいはトッププレート2への取り付け位置から移動させることで、後枠13の側壁132の下に形成されている第1排気口14の近傍のキッチン天板201の表面を露出させることができる。これにより、第1排気口14を通過する気流に含まれる塵埃や加熱調理で鍋等の調理器具からふきこぼれた煮汁等の液体によって生じる後枠13に覆われた部分の汚れを、清掃しやすくすることができる。また、第1排気風路20の下側に配置された下枠15の清掃もしやすくなる。したがって、衛生性を向上できるとともに、塵埃の付着により圧力損失が増加して冷却流量が減少し所定の冷却効果が得られないことによる製品の故障を抑制する効果がある。
【0072】
また、本実施の形態では、正面視において、後枠13の第1係合部133は、下枠15の開口151と重ならない位置に設けられている。このため、下枠15の開口151から第1排気口14に至る排気流の風路に第1係合部133が配置されていても、排気流に衝突しにくく、排気流を妨げにくい。このため、第1係合部133による圧力損失の上昇を軽減でき、排気流量を増加させ冷却効率を高め製品の故障を抑制するとともに、送風機8の騒音を低下させる効果がある。
【0073】
また、本実施の形態の加熱調理器100は、本体筐体1内に加熱コイルユニット7を備え、本体筐体1の吸気口6の少なくとも一部は、加熱コイルユニット7よりもトッププレート2の後辺に対向する辺である前辺に近い位置に配置された。このため、加熱調理器100の前方の吸気口6から後方の第1排気口14に至る風路が加熱調理器100内に形成される。したがって、冷却風は本体筐体1の前面下側から背面側の第1排気口14まで略直線的に流れ、冷却風路の曲げ等による圧力損失が少ないことから冷却効率が高まる。また、圧力損失が抑制されるので、送風機8の負荷が下がり低騒音な加熱調理器とすることができる。
【0074】
また、本実施の形態では、トッププレート2は平面視において矩形であり、トッププレート2の後辺を除く前辺、左辺及び右辺を連続して囲む一体の前枠10、左枠11及び右枠12を備えた。前枠10、左枠11及び右枠12を一体の部材で構成することで、継目を無くして意匠性を高めるとともに部品点数を減らし部品コスト及び組立コストを安価にしている。また、第1排気口14及び第1排気風路20を形成する後枠13の構造は、前枠10、左枠11及び右枠12よりも複雑であるので、後枠13を別体とすることで製造を容易にすることができる。
【0075】
また、本実施の形態では、下枠15の下面に、キッチン天板201と下枠15の下面との間に介在するシール材18を備えた。このため、キッチン天板201の上を流れる液体が下枠15の下側に浸入して下枠15が汚れるのを抑制することができる。また、キッチンキャビネット200の格納部202への液体の浸入を抑制できるので、液体によるキッチンキャビネット200内の収容物の汚れも抑制され、衛生性を高める効果がある。
【0076】
なお、本実施の形態における後枠13は本発明の第1枠部材に相当し、下枠15は本発明の第2枠部材に相当する。
【0077】
実施の形態2.
本実施の形態の加熱調理器100は、
図9、
図11及び
図12に示した構造については、実施の形態1と同様である。以下、実施の形態1との相違点を中心に、実施の形態2の加熱調理器100を説明する。
【0078】
図14は、実施の形態2に係る加熱調理器100のキッチンキャビネット200に設置された状態の背面側から見た斜視図である。本実施の形態2は、トッププレート2の左枠11及び右枠12とキッチン天板201との隙間に第2排気口21が形成されている点が、実施の形態1と異なる。第1排気口14に加えて第2排気口21を設けることで、これら全体の開口面積は、実施の形態1の第1排気口14の開口面積の2倍以上とすることができ、排気に伴う圧力損失が低減されて送風機8の負荷が下がり消費電力を低減できるとともに、送風機8の騒音を低下させることができる。
【0079】
図15は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、左枠11、右枠12及び後枠13が取り外された状態の斜視図である。下枠15の左端には、トッププレート2の左辺と隙間をあけた位置に、トッププレート2の左辺に沿って延在し上方に突出する壁である第3遮蔽部156が設けられている。第3遮蔽部156とトッププレート2の左辺との間の隙間を、集合流路22と称する。第3遮蔽部は、キッチン天板201の上を流れる液体をせき止めて、本体筐体1内に液体が浸入するのを抑制する。なお、図では示されていないが、トッププレート2の右辺側にも左辺側と同様の第3遮蔽部156および集合流路22が設けられている。
【0080】
図16は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、トッププレート2、前枠10、左枠11、右枠12及び後枠13が取り外された状態の斜視図である。下枠15は、トッププレート2の左右の外周部と対向する位置に、上方に突出する複数の支持部157が設けられている。各支持部157は、加熱調理器100の内側から外側に向かって延びる長細い形状である。複数の支持部157は、加熱調理器100の前後方向に沿って、互いに間隔を開けて配置されている。隣接する支持部157同士の隙間を、流路23と称する。流路23は、本体筐体1内から排気される空気の流路となる。
【0081】
図17は、実施の形態2に係る加熱調理器100の部分分解斜視図である。本実施の形態では、トッププレート2の外周縁を囲む枠は、前枠10、左枠11、右枠12及び後枠13の4部品で構成される。左枠11と右枠12の断面形状は左右対称である。このため、これ以降の説明では、左枠11を例に具体的な構造を説明する。前枠10、左枠11、右枠12及び後枠13の下方にトッププレート2、その下方に下枠15が配置される。トッププレート2は、前枠10、左枠11、右枠12及び後枠13と下枠15とで挟まれ、シリコーン等の接着時材で各枠に固定される。前枠10、左枠11、右枠12及び後枠13と下枠15とは、ネジ等の締結部材で固定される。
【0082】
図18は、実施の形態2に係る左枠11の下面の斜視図である。
図18では、紙面下側に記載された左枠11の長手方向の端部(符号Bで示す部分)が、操作部4に近い側(前側)の端部である。左枠11は、短手方向に延びる板状の上壁111と、上壁111の下面(紙面上側の面)の外側の端部から上下方向に突出する第1側壁112、第1側壁112と対向して配置された第2側壁113とを有する。第1側壁112及び第2側壁113は、左枠11の長手方向に延在し、互いに略平行である。
【0083】
左枠11の前側の端部近傍であって、加熱調理器100の操作部4を左側への投影部分に対応する位置には、第1側壁112に連続して設けられた遮蔽部114が設けられている。遮蔽部114は、第1側壁112と同様に上下方向に突出する壁形状であるが、第1側壁112よりも上下方向の寸法が長い。より好ましくは、遮蔽部114の上下方向の寸法は、加熱調理器100がキッチンキャビネット200に設置された状態において、遮蔽部114の下端部がキッチン天板201に接触する寸法である。遮蔽部114は、加熱調理器100の左側から流出する排気流が、操作部4を操作するユーザーに接触しにくくする作用を発揮し、排気によるユーザーの不快感を軽減する。なお、本実施の形態では遮蔽部114を左枠11の一体物として構成したが、左枠11とは別体の部材で構成してもよい。
【0084】
図19は、実施の形態2に係る加熱調理器100のトッププレート2が取り外された状態の平面図である。下枠15の左右に設けられた各支持部157の平面形状は、本実施の形態では楕円又は角丸矩形であり、最も背面側に設けられた支持部157を除き、その長軸は本体筐体1の前辺及び後辺と概ね平行である。最も背面側に設けられた支持部157は、本体筐体1の隅と後枠13の隅とを結ぶように前後に傾斜している。
【0085】
図19では示されていないが、本実施の形態の加熱調理器100にも、実施の形態1で説明したものと同様の送風機8及び基板ケース17の第2流出口172が設けられている。送風機8から送出された冷却風は、基板ケース17内を流れる。冷却風の一部は、基板ケース17の上面の第2流出口172から流出して加熱コイルユニット7を冷却し、流路23を通り、左枠11及び右枠12の下側に形成される第2排気口21(
図22参照)から主に排気される。冷却風の残りの一部は、基板ケース17の第1流出口171から流出し、後枠13の下側に形成される第1排気口14(
図20参照)から主に排気される。このように本体筐体1内の空気は、第1排気口14及び第2排気口21から分散排気され、排気に伴う圧力損失が低減されている。
【0086】
図20は、実施の形態2に係る加熱調理器100の、右枠12及び後枠13を通る前後方向の要部断面図である。後枠13及び第1排気口14の構成は、実施の形態1と同様である。下枠15に設けられた支持部157は、本実施の形態では、下枠15を絞り加工して形成されている。なお、下枠15とは別体の支持部157を下枠15に取り付けてもよく、支持部157の製造方法によっては本発明の排気に係る構成は限定されない。
【0087】
図21は、実施の形態2に係る加熱調理器100の手前側の加熱コイルユニット7を通る正面断面図である。
図22は、
図21の左枠11近傍の拡大図である。加熱調理器100がキッチンキャビネット200に設置された状態において、トッププレート2の左側及び右側の端部並びに下枠15の支持部157は、平面視でキッチン天板201と重なる位置に配置される。
【0088】
左枠11の第1側壁112の下端部と、キッチン天板201との間に、第2排気口21が形成されている。第2側壁113は、トッププレート2の縁を覆っており、第2排気口21にナイフやフォーク等の異物が挿入されたとしても、異物がトッププレート2に接触及び衝突するのを防ぐことができる。このため、トッププレート2の異物による脆性破壊を抑制することができる。
【0089】
下枠15の外側の端部には、上へ起立する壁である第3遮蔽部156が設けられている。第3遮蔽部156の上端部は、左枠11の第1側壁112の下端部よりも高い位置に配置されており、側面視すると第1側壁112の下に形成される第2排気口21の内部は、第3遮蔽部156で遮蔽される。このため、加熱調理器100を側面からみたときの意匠性を高めることができる。また、第3遮蔽部156の上端部を第1側壁112の下端部よりも高い位置に配置することで、ナイフやフォーク等の食器や調理機材が第2排気口21から本体筐体1内へ挿入されるのを抑制し、内部の損傷や充電部への接触による故障を回避することができる。
【0090】
左枠11の上壁111の下側には、互いに平行に設けられた第1側壁112と第2側壁113との間に、集合流路22が設けられている。集合流路22は、複数の流路23の下流端が連通する流路であり(
図19参照)、各流路23を流れる排気流は、集合流路22で合流し、第2排気口21へ向かって流れる。
【0091】
さらに本実施の形態では、集合流路22内に、下枠15の第3遮蔽部156が配置されており、第3遮蔽部156の上端は、集合流路22の上端よりも低い位置にある。第3遮蔽部156は排気流を上方へ向かって導く導風壁としても機能し、各流路23からの排気は集合流路22の第3遮蔽部156の内側で合流し、第3遮蔽部156に導かれて上へ向かい、第3遮蔽部156を越えると第3遮蔽部156の上端よりも低い位置にある第2排気口21から外部へ流出する。
【0092】
基板ケース17の上面に設けられた第2流出口172、流路23、及び第2排気口21は、平面透視において略同一直線上に配置する(同一断面上に配置する)のが好ましい。このようにすることで、加熱調理器100を平面視したときに、第2流出口172から第2排気口21に至る略直線の排気経路が形成されるので、圧力損失を抑制して排気できる。このため、送風機8の負荷が低減されて消費電力を低下できるとともに、加熱調理器100の騒音を低下させる効果がある。
【0093】
下枠15の平板面の内側の端部は、本体筐体1の内部に配置されており、この端部には下方に突出する板状の水切り部158が設けられている。このため、第2排気口21から浸入した液体が下枠15の上を伝わって流れてきたとしても、液体は水切り部158に導かれて滴下する。このため、水切り部158の下側に回路基板16等の液体への接触を避けたい部品を配置する場合には、回路基板16等を基板ケース17等で覆っておくことで、液体が回路基板16等に接触するのを抑制することができる。また、水切り部158の下方に排水口19を設けることで、水切り部158から滴下した液体等が排水口19から排水されやすいので、本体筐体1内に滞留することを抑制することができる。このため、本体筐体1内の回路基板16等への液体の接触を抑制して、製品品質を高めることができる。
【0094】
また、左枠11の外側の側壁を構成する第1側壁112は、水切りとしても機能する。左枠11の上を流れる液体は、第1側壁112の表面を伝って流れて滴下し、左枠11の裏面側には伝わり難いので、加熱調理器100の内部への液体の浸入を抑制することができる。
【0095】
本実施の形態の加熱調理器100は、トッププレート2の左辺に沿ってトッププレート2の上に設けられた左枠11と、トッププレート2の左辺に沿ってトッププレート2の下に設けられた下枠15と、トッププレート2の下面と下枠15との間に設けられ、トッププレート2の下面に接触する複数の支持部157とを備えた。そして、左枠11の第1側壁112の下端部とキッチン天板201との隙間に第2排気口21が形成され、隣接する支持部157の間には、一端が本体筐体1内に連通し、他端は第2排気口21に連通する流路23が形成されている。後枠13の下に形成された第1排気口14に加え、左枠11の下に形成された第2排気口21からも本体筐体1内の排気が行われるので、本体筐体1内の熱気をより素早くスムースに排気することができる。このため、本体筐体1内の温度上昇による部品の損傷及び劣化を抑制でき、また、送風機8の負荷が低減されるので送風機8の騒音及び消費電力も低下させる効果がある。
【0096】
また、本実施の形態では、トッププレート2を下方から支持する複数の支持部157を備え、加熱調理器100がキッチンキャビネット200に設置された状態の平面視において、支持部157はキッチン天板201に重なる位置に設けられている。このような構成により、トッププレート2は、複数の支持部157を介してキッチン天板201に支持される。複数の支持部157を介して間接的にキッチン天板201がトッププレート2を支持することで、トッププレート2にかかる荷重が分散され、荷重によるトッププレート2の破損を軽減することができる。また、トッププレート2の左右の一部はキッチン天板201の上に配置されており、トッププレート2の左右の幅は格納部202の幅寸法よりも大きいので、調理作業のスペースが拡大されて調理の作業性が高まる。
【0097】
また、本実施の形態では、第2排気口21と複数の流路23との間に設けられ、複数の流路23の下流端を連通させる集合流路22を備えた。このため、複数の流路23のそれぞれを流れる排気の温度及び風速を集合流路22で均一化させてから、第2排気口21から排気することができる。各流路23を流れる排気の温度や風速は流路23の配置によって異なり、例えば高温の発熱部品近傍を通過した排気流が流れる流路23からの高温の排気流が直接的に外部へ出ると、ユーザーに不快感を与え得るが、本実施の形態では高温の排気流も集合流路22で他の排気流と混合されて低温化してから第2排気口21を介して流出するので、ユーザーの過度な不快感を軽減することができる。なお、集合流路22は、平面視においてトッププレート2と重ならない位置に配置されていてもよい。このようにすることで、集合流路22の容積を大型化できるので、各流路23からの排気流がよりよく混合され、排気流の温度及び風速を均一化する効果が高まる。また、集合流路22の流路断面積が拡大されることで、圧力損失を低減する効果がある。
【0098】
また、本実施の形態では、集合流路22内に、トッププレート2の左辺に沿って延在し、かつ上下に延びる壁である第3遮蔽部156を備え、集合流路22の上端は、支持部157の上端よりも高い位置にある。このため、第3遮蔽部156は上下方向への排気の導風板として機能し、集合流路22内には一旦上昇してから下降する流路が形成される(
図22参照)。したがって、集合流路22の流路長は、第3遮蔽部156を設けない場合よりも長くなり、集合流路22における各流路23からの排気流の攪拌が促進され、第2排気口21からの排気流の温度及び風速がより均一化される。また、集合流路22を排気流に平行な上下断面でみると、逆U字型のラビリンス形状であり、第2排気口21から本体筐体1内への害虫の侵入が抑制される。
【0099】
本実施の形態の加熱調理器100は、送風機8と、第2流出口172を有し、送風機8からの風が流れる風路を形成する基板ケース17とを備え、平面透視において、第2流出口172の少なくとも一部と流路23の少なくとも一部とは、同一直線上に配置されている。平面透視において第2流出口172から流路23に至る略直線状の排気経路が形成されるので、圧力損失が少なく排気が行える。このため、送風機8の負荷が低減して消費電力を低下させることができるとともに、加熱調理器100の騒音を低下させる効果がある。
【0100】
本実施の形態の下枠15は、本体筐体1の内側に配置され、下方に突出する水切り部158を備えた。このため、下枠15の上を流れる液体は、水切り部158に導かれて滴下するので、液体の本体筐体1内への滴下位置をコントロールすることができ、本体筐体1内への回路基板16等への液体の接触を抑制することができる。
【0101】
本実施の形態の本体筐体1の底面には、水切り部158の下方に、排水口19を備えた。このため、水切り部158から滴下した液体は、本体筐体1内に滞留することなく排水口19から外部へ排出されやすい。したがって、回路基板16等の本体筐体1内の部品への液体の接触を抑制することができる。
【0102】
本実施の形態の加熱調理器100は、トッププレート2の前側に設けられ、操作入力を受け付ける操作部4を備え、第2排気口21は、本体筐体1の左側及び右側に設けられている。そして、側面視において第2排気口21は、操作部4と重ならない位置に設けられている。より具体的には、第2排気口21を形成する左枠11の第1側壁112の手前側に、第1側壁112よりも長い遮蔽部114を設け、この遮蔽部114で第2排気口21に相当する部分を塞ぐことで、側面視において操作部4と重なる位置には第2排気口21を形成しないようにしている。このため、操作部4を操作するユーザーに排気流が接触しにくくなり、排気流の接触によるユーザーの不快感が軽減され調理作業環境を向上する効果がある。
【0103】
本実施の形態の加熱調理器100は、本体筐体1の前壁及び底面に吸気口6が形成されている。また、本体筐体1の後側に第1排気口14、本体筐体1の右側及び左側に第2排気口21が設けられている。このため、加熱調理器100内には、前方から吸気された空気が左右及び背面に向かう曲がりの少ない単純な気流が形成され、圧力損失を低減することができる。また、左右と後側とに分散して排気することで、第1排気口14及び第2排気口21からの排気の風速が低下し、圧力損失はさらに低下する。また、排気の風速が低下することで、排気がユーザーに接触することによるユーザーの不快感を軽減することができ、調理作業環境を向上させる効果がある。
【0104】
なお、本実施の形態における後枠13が本発明の第1枠部材に相当し、下枠15のうち後枠13の下方に対向配置された部分が第2枠部材に相当し、左枠11及び右枠12が第3枠部材に相当し、下枠15のうち左枠11及び右枠12の下方に対向配置された部分が第4枠部材に相当する。
【0105】
実施の形態3.
本実施の形態では、実施の形態1、2との相違点を中心に説明する。
図23は、実施の形態3に係る加熱調理器100のキッチンキャビネット200に組み込まれた状態の斜視図である。本実施の形態の本体筐体1は、キッチンキャビネット200の前面に形成された前面開口203から露出している。前面開口203から露出した本体筐体1の前面には、操作部4及び加熱庫9が設けられている。加熱庫9は、内部に被加熱物を収容する空間が形成され、該空間内を電気ヒーターや誘導加熱コイルなどの加熱手段を用いて加熱できるように構成されている。なお、操作部4及び加熱庫9の形状及び配置は一例であり、本実施の形態の特徴は、本体筐体1の前面がキッチンキャビネット200の前面開口203から露出している点にある。キッチンキャビネット200の前面開口203と、本体筐体1の前面との間には、通風可能な隙間があり、当該隙間を介して空気がキッチンキャビネット200内に流入できるようになっている。
【0106】
また、
図23で示す例では、操作部4はトッププレート2よりも手前側に設けられた操作ボタンで構成されている。実施の形態1及び2で示した操作部4と、本実施の形態で示す操作部4とは、組み合わせて、あるいは入れ替えて用いてもよい。
【0107】
図24は、実施の形態3に係る加熱調理器100のキッチンキャビネット200に組み込まれた状態の背面斜視図である。トッププレート2の後側に設けられた後枠13の側壁132の下端部とキッチン天板201との間には、第1排気口14が形成されている。
【0108】
図25は、実施の形態3に係る加熱調理器100の正面図である。本体筐体1の前面部分は、キッチンキャビネット200に収納された状態で外部に露出するよう、トッププレート2の前端よりも手前側に設けられている。また、本体筐体1の前面は、キッチンキャビネット200に嵌合するように階段状になっている。
【0109】
図26は、実施の形態3に係る加熱調理器100が収納されるキッチンキャビネット200の一例を示す図である。キッチンキャビネット200自体は本発明を構成するものではないが、本実施の形態の加熱調理器100の構成の理解を容易にするため、簡単に説明する。本実施の形態のキッチンキャビネット200は、キッチン天板201及び格納部202を備えている。さらに格納部202は、天面に加え、前面も開口しており、この前面の開口を前面開口203と称する。
【0110】
図27は、実施の形態3に係る加熱調理器100の分解斜視図である。後枠13の下側に後枠13に対向して配置される下枠15Aには、本実施の形態では、複数のスリット状の開口151が形成されている。下枠15Aの左右中央には、操作口25が開口しており、この操作口25を着脱自在に塞ぐ操作口カバー26が設けられている。操作口25は、加熱調理器100をキッチンキャビネット200に固定する固定部材30の操作のために設けられた穴である。また、下枠15Aには、取付穴27が開口しており、取付穴27に挿入されたネジ等の締結部材28によって下枠15Aが本体筐体1に固定される。後枠13は、下枠15Aの少なくとも一部、より好ましくは、開口151、操作口25及び取付穴27を上方から着脱自在に覆う。下枠15Aに形成された各種の穴を後枠13で覆うことで、各穴へ塵埃や煮汁等の液体が入るのを抑制することができ、意匠性も高まる。また、締結部材28や操作口カバー26など通常は操作する必要のない部分を後枠13で覆うことで、それらへアクセスしにくくし、誤操作を抑制して不要なトラブルを回避することができる。このように後枠13は、下枠15Aを上から覆うカバーとして機能する。
【0111】
本体筐体1には、操作口25の下方に、加熱調理器100をキッチンキャビネット200に固定するため固定部材30が設けられている。操作口25から挿入されるドライバー等の工具を用いて、固定部材30が操作され、加熱調理器100はキッチンキャビネット200に固定される。
【0112】
後枠13の上壁131は、その表面が平らであるのが好ましい。このようにすることで、後枠13を、調味料の容器や調理用具を載置するスペースとして利用できるので、調理の作業性及び利便性を高めることができる。また、後枠13を下枠15Aに対して着脱可能に構成することで、排気風路のメンテナンス及び清掃が行いやすい。
【0113】
トッププレート2の下に配置される加熱手段のうち、中央の加熱口3に対応する加熱手段は、本実施の形態ではラジエントヒーター29で構成されている。ラジエントヒーター29は、抵抗発熱体の発熱により、加熱口3に載置される被加熱物を加熱する。
【0114】
本体筐体1の内部の、右背面側には、送風機8が設けられている。本実施の形態で示す例では、1つの送風機8が設けられており、その配置位置も実施の形態1、2と異なっている。送風機8の前面側に吹出口が開口しており、送風機8が動作すると前方へ冷却風が吹き出される。送風機8の吹出口の前方に、回路基板16を収容した基板ケース17が設けられている。
図27の例では、送風機8の吹出口に対向する位置に放熱手段161が配置されており、低温の冷却風で放熱手段161を冷却できるようになっている。
【0115】
送風機8から吹き出された冷却風は、基板ケース17内を流れ、本体筐体1の右前方に開口した第1流出口171から流出し、右側に配置された加熱コイルユニット7を冷却し、その後、下枠15Aの開口151に向かって流れる。開口151は、左右方向において送風機8とは反対側の開口面積の方が大きい。すなわち本実施の形態の例では、右側に送風機8が配置されており、開口151の開口面積は、左側の方が右側よりも大きい。このため、第1流出口171から出た冷却風は、左背面側に向かって本体筐体1内を対角線状に流れる過程において、左側の加熱コイルユニット7を冷却する。また、左側の加熱コイルユニット7の下には、基板ケース17からの冷却風が吹き出される第2流出口172が設けられており、左側の加熱コイルユニット7は第2流出口172からの冷却風によっても冷却される。第2流出口172からの冷却風は、背面側の開口151に向かって流れる。
【0116】
図28は、実施の形態3に係る加熱調理器100の、後枠13が取り外された状態のトッププレート2及びその付帯部品の背面側分解斜視図である。本実施の形態では、3つの下枠15A、15B、15Cが別部材として設けられている。下枠15Aは後枠13に対向するように配置され、下枠15Bは左枠11の下に、下枠15Cは右枠12の下に、それぞれ配置される。トッププレート2の前辺は、操作部4を有する前枠10で覆われる。トッププレート2の後辺は、下枠15Aに取り付けられる。トッププレート2の左側の端部は、左枠11と下枠15Bとで上下から挟み込まれ、トッププレート2の右側の端部は、右枠12と下枠15Cとで上下から挟み込まれる。このようにトッププレート2の上下を2つの枠で挟み込むことで、強度を増している。さらに本実施の形態では、左枠11と下枠15B、右枠12と下枠15Cとの間には、両者の接合のための接合部材31が別部材として設けられており、この接合部材31を介して締結部材あるいは係合構造によって枠同士が接合されるので、組立性がよい。トッププレート2の上面の外周端部は、前枠10、左枠11、右枠12及び下枠15Aに覆われ、両者はシリコーン等の接着材で接合される。
【0117】
本実施の形態の左枠11、右枠12及び下枠15A〜15Cは、プレス加工で成形しやすい形状である。このため、各枠の素材として、鉄及びステンレスを用いることもできるので、材料に係るコストを低減することができる。
【0118】
図29は、実施の形態3に係る加熱調理器100のトッププレート2及び後枠13が取り外された状態の平面図である。下枠15Aに形成された複数の開口151は、図に示す例では、複数のスリット状の長穴である。各開口151の開口面積及び形状は、食材等の異物の侵入しにくさと、圧力損失とを考慮して決定することができる。例えば図に示すように開口151をスリット状の長穴にすることで、複数の略円形の穴を並べて配置した場合よりも開口率を高くできるので、圧力損失を低減させることができる。また、清掃等のメンテナンスを行う場合にも、長穴のように直線的な形状の開口151は拭き掃除が行いやすいので、清掃性を高めることができる。
【0119】
図30は、実施の形態3に係る加熱調理器100の前後方向の断面図である。
図30は、加熱調理器100がキッチンキャビネット200に取り付けられた状態の、開口151を通る断面を示している。
図31は、
図30の第1排気口14近傍の拡大図である。下枠15Aは、本実施の形態では、トッププレート2の上面に接続されている。下枠15Aの上に設けられた後枠13の後側の側壁132の下端部と、キッチン天板201との間には、第1排気口14が形成されている。また、後枠13の上壁131の下側には、下枠15Aの上面との間に、第1排気風路20が形成される。第1排気風路20は、本体筐体1内と第1排気口14とを連通する風路である。
【0120】
本実施の形態では、実施の形態1、2とは異なり、本体筐体1の後壁に吸気口6が設けられている。送風機8の吸気口は、吸気口6と対向する位置に設けられており、送風機8が動作すると、キッチンキャビネット200の格納部202内の空気が送風機8に吸引され、前方に向かって冷却風が吹き出される。送風機8からの冷却風は、本体筐体1内を流れる過程において加熱コイルユニット7等の部品を冷却しつつ、下枠15Aの開口151に向かって流れる。本体筐体1内からの排気は、下枠15Aの開口151から上方に向かって流出し、後枠13の下側に形成される第1排気風路20を通り、後枠13の側壁132とキッチン天板201との間の隙間である第1排気口14から流出する。
【0121】
下枠15Aの後側、すなわち第1排気口14に近い側には、階段状に起立する第1遮蔽部153が設けられている。本実施の形態の第1遮蔽部153は、実施の形態1、2で示した板状の第1遮蔽部153とは形状は異なるが、実施の形態1、2と同様に液体等の浸入を抑制する。すなわち、第1排気口14から浸入した煮汁等の液体は、下枠15Aの第1遮蔽部153でせき止められ、開口151から本体筐体1内への液体の浸入を抑制することができる。また、第1遮蔽部153の上端部は、第1排気口14を形成する後枠13の側壁132の下端部よりも高い位置に設けられているのが望ましい。このようにすることで、背面から本体筐体1内が遮蔽されてユーザーに視認されないので、意匠性を高めることができる。また、第1排気口14にナイフやフォーク等が差し込まれても、本体筐体1内にそれらの異物が入り込むのを抑制できることから、損傷や不具合を軽減できる。
【0122】
下枠15Aの下面には、キッチン天板201との間にシール材18が設けられている。シール材18を設けることで、下枠15Aの下面とキッチン天板201とが概ね水密状態に密着する。このため、第1排気口14の内側に液体が浸入したとしても、下枠15Aよりも内側には入りこみにくく、キッチンキャビネット200の格納部202に液体が流入するのを抑制することができる。
【0123】
本実施の形態では、下枠15Aのキッチン天板201の上に重ねるようにして配置される背面側の端部には、下枠15Aを構成する板材をU字状に折り返して曲げ加工された曲げ部159が形成されている。清掃等のメンテナンスの際に後枠13が取り外されると、下枠15Aが露出し、ユーザーや清掃用具の布等が下枠15Aに接触しうる。下枠15Aに曲げ部159を形成することで、下枠15Aの端部にユーザーが触れても不快に感じにくく、また、布等が引っかかりにくくなる。例えば、単にプレス成型した下枠15Aに曲げ部159を設けなかった場合には、バリやカエリ等が生じて布の繊維が引っかかって清掃性を阻害し、また直接触ったユーザーが不快に感じうるが、本実施の形態であればそのような不都合が生じにくい。
【0124】
図32は、実施の形態3に係る加熱調理器100の操作口25近傍の前後方向の断面図である。固定部材30は、後端に上方に突出する鉤状の係合部が設けられた概ね板状の部材であり、鋼等の剛性の材料で構成される。固定部材30は、本体筐体1の後壁に設けられた穴からその一部が本体筐体1外へ突出している。固定部材30には、ボルト32が挿入されており、このボルト32は本体筐体1の一部に締結される。操作口カバー26が取り外された状態の操作口25からドライバー等の工具が挿入され、ボルト32の締結状態を調整することで、固定部材30の本体筐体1の外に出ている鉤状の係合部が、キッチン天板201の裏面に接触し、固定部材30と下枠15Aとの間にキッチン天板201が挟み込まれる。このようにして、加熱調理器100はキッチンキャビネット200に固定される。
【0125】
上述した固定部材30の操作及び調整は、施工業者等によって行われ、通常の使用状態ではユーザーはそのような操作及び調整を行うことはない。このため、操作口25には、これを閉塞する操作口カバー26が設けられている。操作口カバー26を設けることで、操作口25への異物の侵入や、誤操作によって固定部材30による固定の解除が抑制される。操作口カバー26は、ゴムや軟質樹脂等の弾性体を有する材料で構成することができる。なお、このような材料の中には、比較的耐熱温度が低く、調理時に加熱された鍋やフライパン等の調理器具が直接接触すると変形及び損傷する可能性もあるが、操作口カバー26は通常は後枠13で覆われており、調理器具等が操作口カバー26に直接接触しにくい構成である。
【0126】
また、操作口カバー26は、その上面の一部が後枠13の下面に接触するように設けられており、後枠13を下方から支持する支持台としても機能する。操作口カバー26が後枠13を下方から支持することにより、後枠13に上から荷重がかかったとしても、変形や傾きが生じ難いので、第1排気風路20及び第1排気口14の狭小化を抑制することができる。このため、第1排気風路20及び第1排気口14が狭小化することによる圧力損失の上昇を抑制でき、排気流量の減少による本体筐体1内の温度上昇に伴う加熱コイルユニット7や回路基板16等の部品の劣化及び損傷を抑制できる。操作口カバー26は、後枠13の左右方向の中央を含む位置に配置されるのが好ましい。このようにすることで、後枠13の上に調理容器や調味料容器等が載置されたとしても、後枠13の撓みを抑制できるので、載置された調理容器や調味料容器の位置ずれや転倒を抑制できる。操作口カバー26の材料として、ゴムや軟質樹脂等の弾性体を有する素材が用いることで、後枠13と接触したり擦れたりしたとしても、不快な金属音が発生せず、ユーザーの調理作業の快適性を低下させにくい。
【0127】
図33は、実施の形態3に係る後枠13の変形例を示す後枠13近傍の前後方向の断面図である。
図33に示す例では、後枠13の側壁132の下端部は、U字状に上下に折り曲げられて曲げ部132aが形成されている。このように加熱調理器100の後面において露出し、第1排気口14を形成する側壁132の下端部に曲げ部132aを形成することで、当該部分に清掃用具の布の繊維等が引っかかることによる清掃性の阻害を抑制できる。また、ユーザーが側壁132に触れた場合でも、不快感を生じさせにくい。
【0128】
図34は、実施の形態3に係る後枠13の変形例を示す後枠13近傍の前後方向の断面図である。後枠13の側壁132の下端部は、内側にむけてL字状に折り曲げられて曲げ部132bが形成されている。L字状の曲げ部132bを設けた場合でも、
図33に示したU字状の曲げ部132aを設けた場合と同様の効果を得ることができる。また、L字状の曲げ部132bの内側の端部を、U字状に曲げてもよい。
【0129】
さらに
図34の例では、下枠15Aの開口151の縁に沿って、水切り部152が設けられている。開口151に水切り部152を設けることで、本体筐体1内へ滴下する液体の滴下位置をコントロールすることができるので、液体がトッププレート2へ伝わったり、回路基板16等の本体筐体1内の部品に接触したりするのを抑制することができる。なお、この水切り部152は、
図33及び
図31で示した開口151に設けてもよい。
【0130】
なお、本実施の形態における後枠13は本発明の第1枠部材に相当し、下枠15Aは第2枠部材に相当する。