【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の開示)
本発明は、用具がロール、ピッチおよびヨーにおいて一切の特異点を有さないように、
ピッチおよびヨー回転を提供するリスト機構を有する用具の代替的実施形態に向けられている。リスト機構はフレキシブルチューブまたはバネもしくは同様のフレキシブル構成要素に接続される一連のディスクにより形成され得る、フレキシブルチューブ状構造を有する。作動ケーブルまたはフレキシブルワイヤー(例えば、ニチノールによって構成される)が、リスト機構を通って延び、ピッチおよびヨー回転においてフレキシブルリストを屈折させるのに使用される。ロールの回転は、リスト機構が取り付けられる用具シャフトを回転させることにより提供される。
【0010】
本発明の1つの態様によると、低侵襲手術器具は、作業端部と近接端部と、この作業端部と近接端部との間のシャフト軸とを有する細長いシャフトと、エンドエフェクタとを含む。リスト部材は、細長いシャフトの作業端部に接続される近接部分とエンドエフェクタに接続される遠位端部分とを含む、フレキシブルチューブと内バネとを有する。内バネはフレキシブルチューブの内部空洞内に配置され、フレキシブルチューブの軸に平行な軸を有する。複数の作動ケーブル(またはワイヤー)は、エンドエフェクタに接続される遠位端部分を有し、遠位端部分からリスト部材を通って細長いシャフトに向かって、ピッチ回転およびヨー回転でリスト部材を屈折させるように作動可能な近接部分まで延びる。作動ワイヤーが使用される場合、作動ワイヤーはまたエンドエフェクタを支持するのを助け得る。
【0011】
いくつかの実施形態では、作動ケーブルは内バネの中空内部に配置される。少なくとも3本の作動ケーブルがエンドエフェクタに接続される。作動ケーブルの近接部分は、作動ケーブルを作動するように構成されるジンバルプレートに接続され、ジンバルプレートは細長いシャフトの近接端部に近接して配置される。作動ケーブルは内バネとフレキシブルチューブとの間に配置され得る。フレキシブルチューブは、作動ケーブルを受けるための内腔を形成するように内バネの外面により閉じられる内部軸スロットを含み得る。フレキシブルチューブは、フレキシブルチューブの軸に対して概ね横断する複数の横切込みを含み得る。
【0012】
本発明の別の態様によると、低侵襲手術器具は、作業端部と近接端部と、この作業端部と近接端部との間のシャフト軸とを有する細長いシャフトと、エンドエフェクタとを含む。リスト部材は、壁に囲まれた内部を通って延びる軸を含むフレキシブルチューブを有する。フレキシブルチューブの壁は、フレキシブルチューブの軸に概ね平行するように方向付けられた複数の内腔を含む。リスト部材は、細長いシャフトの作業端部に接続される近接部分とエンドエフェクタに接続される遠位端部分とを有する。複数の作動ケーブルはエンドエフェクタに接続される遠位端部分を有し、遠位端部分からリスト部材の壁の内腔を通って細長いシャフトに向かって、ピッチ回転およびヨー回転でリスト部材を屈折させるように作動可能な近接部分まで延びる。
【0013】
いくつかの実施形態では、フレキシブルチューブの壁は12個の内腔を含む。各作動ケーブルは、2つの隣接する内腔を通って延びるように、フレキシブルチューブの壁の遠位部分の周りで輪にされる。フレキシブルチューブは、フレキシブルチューブの軸に対して概ね横断する複数の横切込みを含む。外側カバーがフレキシブルチューブの外面の周囲に巻かれる。横切込みは、各々が互いに対向して配置される1対の切込みを有する切込みの交互の層を含む。各層の切込みは、隣接する層の切込みから約90度ずつ離間される方向に向けられる。横切込みは、リブの上下のディスク部分の間でリブを接続したままにする。概ねフレキシブルチューブの軸に沿って、ディスク部分内に延びるスリットがリブの両側に設けられ得る。
【0014】
特定の実施形態では、フレキシブルチューブは、フレキシブルチューブの軸に概ね平行するように方向付けられた複数のスロットを有する内側チューブと、スロットで内腔を形
成するように内側チューブの周囲に巻かれた外側カバーとを含む。外側カバーは外バネを含む。フレキシブルチューブは、各々が複数のスロットの1つの周囲に配置される複数のバネを含む。内バネはフレキシブルチューブの内部の周囲に配置され得る。編組カバーがフレキシブルチューブの外面上に形成され得る。編組カバーは、フレキシブルチューブの近接端部と遠位端部との間で時計回りの方向に巻かれる第1のセットのワイヤーと、フレキシブルチューブの近接端部と遠位端部との間で反時計回りの方向に巻かれ、第1のセットのワイヤーとともに織り込まれる第2のセットのワイヤーとを有する。
【0015】
いくつかの実施形態において、フレキシブルチューブは、フレキシブルチューブの軸に概ね平行に、軸接続部により摺動可能に互いに接続される複数の軸方向摺動部材を含む。軸接続部はタングおよび溝接続部を含む。各軸方向摺動部材は、別のバージョンにおいて作動ケーブルの1つを受けるための内腔を含む。フレキシブルチューブは、互いに連結される、フレキシブルチューブの円周の周りに配置される複数の軸バネを含む。各軸バネは、作動ケーブルの1つを受けるための内腔の1つを提供するように隣接する軸バネのコイルと重なり合うコイルを有する。フレキシブルチューブは、フレキシブルチューブの軸に沿って連続して接続される高点および低点を含む複数の波形バネセグメントを有する波形バネを含み得る。1つの波形バネセグメントの高点は、隣接する波形バネセグメントの低点に接続される。
【0016】
本発明の別の態様によると、低侵襲手術器具は、作業端部と近接端部と、この作業端部と近接端部との間のシャフト軸とを有する細長いシャフトと、エンドエフェクタとを含む。リスト部材は、細長いシャフトの作業端部に接続される近接部分とエンドエフェクタに接続される遠位端部分とを含む内バネを有する。リスト部材は内バネの軸に沿って分布される複数の環状ディスクを有する。環状ディスクはそれぞれ、内バネと接続される内縁を有する。複数の作動ケーブルは、エンドエフェクタに接続される遠位端部分を有し、遠位端部分からリスト部材を通って細長いシャフトに向かって、ピッチ回転およびヨー回転でリスト部材を屈折させるように作動可能な近接部分まで延びる。
【0017】
いくつかの実施形態では、ディスクは、作動ケーブルがその中を通って延びる複数の穴を含む。ディスクはそれぞれ、互いに対向して配置される、内縁から内バネのコイル間の間隙に延びる1対の内側タブを含む。隣接するディスクは、隣接するディスクの内側タブから約90度離間して配置される、一方のディスクの内側タブで方向付けられる。ディスクはそれぞれ、隣接するディスク間を合わせるための外側合わせ面と内側合わせ面とを含み、一方のディスクの外側合わせ面は、隣接するディスクの内側合わせ面と合わさる。外側合わせ面と内側合わせ面の形状は概ね球面である。複数のエラストマー部材はそれぞれ、隣接するディスク間に配置され、接続される。リストカバーが、内バネと環状ディスクの外側に配置される。リストカバーは非導電体材料の平らな螺旋を含む。平らな螺旋は、螺旋の隣接する層間で重なり合う、丸められた縁を含む。平らの螺旋は、内バネの軸に概ね平行するように方向付けられた溝を含む。
【0018】
本発明は、例えば以下を提供する。
(項目1)
作業端部と近接端部と、該作業端部と該近接端部との間のシャフト軸とを有する細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
細長いシャフトの作業端部に接続される近接部分とエンドエフェクタに接続される遠位端部分とを含む、フレキシブルチューブと内バネとを有するリスト部材であって、該内バネはフレキシブルチューブの内部空洞内に配置され、該内バネはフレキシブルチューブの軸に平行な軸を有するリスト部材と、
エンドエフェクタに接続される遠位端部分を有し、該遠位端部分からリスト部材を通っ
て細長いシャフトに向かって近接部分まで延びており、ピッチ回転およびヨー回転でリスト部材を屈折させるように作動可能な複数の作動ケーブルと、
を含む低侵襲手術器具。
(項目2)
前記作動ケーブルは前記内バネの中空内部に配置される、項目1に記載の器具。
(項目3)
少なくとも3本の作動ケーブルが前記エンドエフェクタに接続される、項目1に記載の器具。
(項目4)
前記作動ケーブルの近接部分は、作動ケーブルを作動するように構成されるジンバルプレートに接続され、該ジンバルプレートは細長いシャフトの近接端部に近接して配置される、項目1に記載の器具。
(項目5)
作動ケーブルは内バネとフレキシブルチューブとの間に配置される、項目1に記載の器具。
(項目6)
前記フレキシブルチューブは、作動ケーブルを受けるための内腔を形成するように、内バネの外面により閉じられる内部軸スロットを含む、項目5に記載の器具。
(項目7)
前記フレキシブルチューブは、フレキシブルチューブの軸に対して概ね横断する複数の横切込みを含む、項目1に記載の器具。
(項目8)
作業端部と近接端部と、該作業端部と該近接端部との間のシャフト軸とを有する細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
壁に囲まれた内部を通って延びる軸を含むフレキシブルチューブを有するリスト部材であって、フレキシブルチューブの壁はフレキシブルチューブの軸に概ね平行するように方向付けられた複数の内腔を含み、リスト部材は細長いシャフトの作業端部に接続される近接部分とエンドエフェクタに接続される遠位端部分とを有するリスト部材と、
エンドエフェクタに接続される遠位端部分を有し、該遠位端部分からリスト部材の壁の内腔を通って細長いシャフトに向かって近接部分まで延びており、ピッチ回転およびヨー回転でリスト部材を屈折させるように作動可能な複数の作動ケーブルと、
を含む低侵襲手術器具。
(項目9)
前記フレキシブルチューブの壁は12個の内腔を含む、項目8に記載の器具。
(項目10)
各作動ケーブルは、2つの隣接する内腔を通って延びるように、フレキシブルチューブの壁の遠位端部分の周りで輪状にされる、項目8に記載の器具。
(項目11)
前記フレキシブルチューブは、フレキシブルチューブの軸に対して概ね横断する複数の横切込みを含む、項目8に記載の器具。
(項目12)
フレキシブルチューブの外面の周囲に巻かれた外側カバーをさらに含む、項目11に記載の器具。
(項目13)
前記横切込みは、各々が互いに対向して配置される1対の切込みを有する切込みの交互の層を含み、各層の切込みは、隣接する層の切込みから約90度ずつ離間される方向に向けられた、項目11に記載の器具。
(項目14)
前記横切込みは、リブの上下のディスク部分の間でリブを接続したままにして、概ねフ
レキシブルチューブの軸に沿って、ディスク部分内に延びるスリットがリブの両側に設けられる、項目13に記載の器具。
(項目15)
前記フレキシブルチューブは、フレキシブルチューブの軸に概ね平行するように方向付けられた複数のスロットを有する内側チューブと、スロットで内腔を形成するように内側チューブの周囲に巻かれた外側カバーとを含む、項目8に記載の器具。
(項目16)
前記外側カバーは外バネを含む、項目15に記載の器具。
(項目17)
前記フレキシブルチューブは、各々が複数のスロットの1つの周囲に配置される複数のバネを含む、項目8に記載の器具。
(項目18)
前記フレキシブルチューブの内部の周囲に配置される内バネをさらに含む、項目8に記載の器具。
(項目19)
フレキシブルチューブの外面上に編組カバーをさらに含み、該編組カバーはフレキシブルチューブの近接端部と遠位端部との間で時計回りの方向に巻かれる第1のセットのワイヤーと、フレキシブルチューブの近接端部と遠位端部との間で反時計回りの方向に巻かれ、第1のセットのワイヤーとともに織り込まれる第2のセットのワイヤーとを有する、項目8に記載の器具。
(項目20)
前記フレキシブルチューブの壁は、フレキシブルチューブの軸に概ね平行に、軸接続部により摺動可能に互いに接続される複数の軸方向摺動部材を含む、項目8に記載の器具。(項目21)
前記軸接続部はタングおよび溝接続部を含む、項目20に記載の器具。
(項目22)
各軸方向摺動部材は作動ケーブルの1つを受けるための内腔を含む、項目20に記載の器具。
(項目23)
各軸方向摺動部材は、一体化された摺動要素として作動ケーブルの1つと一体的に形成される、項目20に記載の器具。
(項目24)
前記フレキシブルチューブは、互いに連結される、フレキシブルチューブの円周の周りに配置される複数の軸バネを含み、各軸バネは、作動ケーブルの1つを受けるための内腔の1つを提供するように隣接する軸バネのコイルと重なり合うコイルを有する、項目8に記載の器具。
(項目25)
前記フレキシブルチューブは、フレキシブルチューブの軸に沿って連続して接続される高点と低点とを含む複数の波形バネセグメントを有する波形バネを含み、1つの波形バネセグメントの高点は隣接する波形バネセグメントの低点に接続される、項目8に記載の器具。
(項目26)
前記リストは、フレキシブルチューブの遠位端部に接続される遠位終端ディスクを含み、前記遠位終端ディスクはフレキシブルチューブより実質的に堅い、項目8に記載の器具。
(項目27)
作業端部と近接端部と、該作業端部と該近接端部との間のシャフト軸とを有する細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
細長いシャフトの作業端部に接続される近接部分とエンドエフェクタに接続される遠位
端部分とを含む内バネを有するリスト部材であって、リスト部材は内バネの軸に沿って分布される複数の環状ディスクを有し、該環状ディスクはそれぞれ、内バネと接続される内縁を有するリスト部材と、
エンドエフェクタに接続される遠位端部分を有し、該遠位端部分からリスト部材を通って細長いシャフトに向かって近接部分まで延びており、ピッチ回転およびヨー回転でリスト部材を屈折させるように作動可能な複数の作動ケーブルと、
を含む低侵襲手術器具。
(項目28)
前記ディスクは、作動ケーブルがその中を通って延びる複数の穴を含む、項目27に記載の器具。
(項目29)
前記ディスクはそれぞれ、互いに対向して配置される、内縁から内バネのコイル間の間隙に延びる1対の内側タブを含む、項目27に記載の器具。
(項目30)
隣接するディスクは、隣接するディスクの内側タブから約90度離間して配置される、一方のディスクの内側タブで方向付けられる、項目28に記載の器具。
(項目31)
前記ディスクはそれぞれ、隣接するディスク間を合わせるための外側合わせ面と内側合わせ面とを含み、一方のディスクの外側合わせ面は、隣接するディスクの内側合わせ面と合わさる、項目27に記載の器具。
(項目32)
前記外側合わせ面と内側合わせ面の形状は概ね球面である、項目31に記載の器具。
(項目33)
各々が隣接するディスク間に配置され接続される、複数のエラストマー部材をさらに含む、項目27に記載の器具。
(項目34)
内バネと環状ディスクの外側に配置されるリストカバーをさらに含む、項目27に記載の器具。
(項目35)
前記リストカバーは非導電体材料の平らな螺旋を含む、項目34に記載の器具。
(項目36)
前記平らな螺旋は、該螺旋の隣接する層間で重なり合う、湾曲した縁を含む、項目35に記載の器具。
(項目37)
前記平らな螺旋は、内バネの軸に概ね平行するように方向付けられた溝を含む、項目35に記載の器具。