(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305496
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】旋回式ダイナミックシミュレーション装置及びそれを使用した視聴設備
(51)【国際特許分類】
A63G 31/02 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
A63G31/02
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-222614(P2016-222614)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2017-121471(P2017-121471A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2016年11月15日
(31)【優先権主張番号】105200137
(32)【優先日】2016年1月6日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516343734
【氏名又は名称】智▲ウェイ▼資訊科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 登鴻
(72)【発明者】
【氏名】簡 閣成
(72)【発明者】
【氏名】▲黄▼ 証淋
【審査官】
吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0258810(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103212205(CN,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2012−0118997(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2011−0114199(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラック上に設置される旋回式ダイナミックシミュレーション装置であって、前記ラックに、鑑賞者の乗り込み位置である第1位置と、前記第1位置に対して水平方向逆側の鑑賞位置である第2位置が設けられ、前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置は、
アームが縦方向に設置された固定台と、
前記アーム上に設置され、複数の自由度を備え、固定板、可動板、前記固定板と可動板を連結する複数の伸縮棒を含む運動機構と、
鑑賞者の乗載に供される乗載空間を備え、かつ前記可動板が前記乗載空間の背面側に固定されたキャリングシートと、
前記ラックに設置され、前記固定台を旋回させて前記キャリングシートを前記第1位置と前記第2位置間で旋回移動させる旋回機構と、
を含むことを特徴とする、旋回式ダイナミックシミュレーション装置。
【請求項2】
前記旋回機構にブレーキ装置が設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の旋回式ダイナミックシミュレーション装置。
【請求項3】
前記ブレーキ装置が、前記旋回機構と前記固定台の間にそれぞれ設置された作動部材とブレーキ部材を含むことを特徴とする、請求項2に記載の旋回式ダイナミックシミュレーション装置。
【請求項4】
前記旋回機構が、前記固定台の旋回を制御する駆動ユニットを備えたことを特徴とする、請求項3に記載の旋回式ダイナミックシミュレーション装置。
【請求項5】
前記駆動ユニットが、伝動ホイールアセンブリにより前記固定台の旋回範囲を制御することを特徴とする、請求項4に記載の旋回式ダイナミックシミュレーション装置。
【請求項6】
前記伝動ホイールアセンブリが、固定台1に連結された第1伝動ホイールと、前記第1伝動ホイールと相互に噛み合わされ、かつ前記駆動ユニットにより動かされる第2伝動ホイールを含むことを特徴とする、請求項5に記載の旋回式ダイナミックシミュレーション装置。
【請求項7】
旋回式ダイナミックシミュレーション装置を備えた視聴設備であって、ラックとスクリーンを含み、
前記ラックに少なくとも1つの請求項1乃至6のいずれかに記載の前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置が設置され、かつ前記ラックが第1位置及び第2位置を備え、前記ラックの第1位置が前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置の第1位置に対応し、前記ラックの第2位置が前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置の第2位置に対応し、
前記スクリーンが前記第2位置に相対して設置されたことを特徴とする、旋回式ダイナミックシミュレーション装置を備えた視聴設備。
【請求項8】
前記ラックが下板を含み、かつ前記下板の第1位置に対応する箇所に昇降プラットフォームが設置されたことを特徴とする、請求項7に記載の旋回式ダイナミックシミュレーション装置を備えた視聴設備。
【請求項9】
前記旋回機構が前記下板上に設置され、かつ前記固定台の下方に位置することを特徴とする、請求項7に記載の旋回式ダイナミックシミュレーション装置を備えた視聴設備。
【請求項10】
前記ラックが上板を含み、前記旋回機構が前記上板の下に設置され、前記固定台の上方に位置することを特徴とする、請求項7に記載の旋回式ダイナミックシミュレーション装置を備えた視聴設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミューズメント設備において、スチュワートプラットフォーム(Stewart Platform)を利用して6つの自由度の運動を行う旋回式ダイナミックシミュレーション装置及びそれを使用した視聴設備に関する。
【背景技術】
【0002】
スチュワートプラットフォーム(Stewart Platform)とは、一種のパラレル(parallel)の工作プラットフォームで、6本のリニアアクチュエーター(linear actuator)、上下それぞれ6つのユニバーサルジョイント、プラットフォーム(platform)、ベース(base)を接続して構成され、6本のリニアアクチュエーターの長さを変化させることで、ユニバーサルジョイントを相互に牽引し、上方のプラットフォームを異なる位置及び角度にして作業上のニーズに対応させることができる。
【0003】
スチュワートプラットフォームを応用したエンターテイメント設備は、観賞者によりリアルな興奮と臨場感を与えるために、通常、観賞者のシートが一定の高さに懸吊される。しかしながら、観賞者が座るときの利便性と安全等を考慮して、シートは観賞者が座るまで地面等の上になければならない。このため、全体的機構には相当の空間が必要であり、シートが地面から懸吊される位置まで平らに移動できるようにしなければならず、複数の人が使用するこのような大型アミューズメント設備も相対してより多くの面積と空間を占用する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、観賞者が着席した位置から観賞位置まで移動するのに必要な空間を縮小した、旋回式ダイナミックシミュレーション装置及びそれを使用した視聴設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ラック上に設置される旋回式ダイナミックシミュレーション装置に関し、前記ラックに、鑑賞者の乗り込み位置である第1位置と、前記第1位置に対して水平方向逆側の鑑賞位置である第2位置が設けられ、旋回式ダイナミックシミュレーション装置は、アームが縦方向に設置された固定台と、前記アーム上に設置され、複数の自由度を備え、固定板、可動板、前記固定板と可動板を連結する複数の伸縮棒を含む運動機構と、鑑賞者の乗載に供される乗載空間を備え、かつ前記可動板が前記乗載空間の背面側に固定されたキャリングシートと、前記ラックに設置され、前記固定台を旋回させて前記キャリングシートを前記第1位置と前記第2位置間で旋回移動させる旋回機構とを含む。
【0006】
前記旋回機構にブレーキ装置を設けることが望ましい。
この場合、前記ブレーキ装置が、前記旋回機構と前記固定台の間にそれぞれ設置された作動部材とブレーキ部材を含むことがある。
前記旋回機構が、前記固定台の旋回を制御する駆動ユニットを備えるとよい。
前記駆動ユニットが、伝動ホイールアセンブリにより前記固定台の旋回範囲を制御することがある。
前記伝動ホイールアセンブリが、固定台1に連結された第1伝動ホイールと、前記第1伝動ホイールと相互に噛み合わされ、かつ前記駆動ユニットにより動かされる第2伝動ホイールを含んでもよい。
【0007】
本発明の旋回式ダイナミックシミュレーション装置を備えた視聴設備は、ラックとスクリーンを含み、前記ラックに少なくとも1つの前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置が設置され、かつ前記ラックが
第1位置及び第2位置を備え、前記ラックの第1位置が前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置の第1位置に対応し、前記ラックの第2位置が前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置の第2位置に対応し、前記スクリーンが前記第2位置に相対して設置される。
前記ラックが下板を含み、かつ前記下板の第1位置に対応する箇所に昇降プラットフォームが設置されるとよい。
前記旋回機構が前記下板上に設置され、かつ前記固定台の下方に位置することがある。
或いは、前記ラックが上板を含み、前記旋回機構が前記上板の下に設置され、前記固定台の上方に位置してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、固定台を旋回させるだけで、キャリングシートを鑑賞者の乗り込み位置から鑑賞位置へ移動させることができるので、移動に要する空間が狭くて済むだけでなく、装置の機構も簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例を示す旋回式ダイナミックシミュレーション装置の斜視図である。
【
図2】本発明の実施例に係る旋回式ダイナミックシミュレーション装置の旋回機構の斜視図である。
【
図3】本発明の実施例を示す旋回式ダイナミックシミュレーション装置のキャリングシートが第1位置にあるときの側面図である。
【
図4】本発明の実施例を示す旋回式ダイナミックシミュレーション装置のキャリングシートが第2位置にあるときの側面図である。
【
図5】本発明の他の実施例を示す旋回式ダイナミックシミュレーション装置の使用状態における側面図である。
【
図6】本発明の実施例を示す視聴設備の斜視図である。
【
図7】本考案の他の実施例を示す視聴設備の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1、
図3、
図4は、それぞれ本発明の旋回式ダイナミックシミュレーション装置の斜視図、キャリングシートが第1位置にあるときの側面図、キャリングシートが第2位置にあるときの側面図である。
旋回式ダイナミックシミュレーション装置は視聴設備のラック5(
図6または
図7参照)上に設置される。
ラック5には、第1位置P1と、第1位置P1に相対する第2位置P2とがある。第1位置P1は観賞者が旋回式ダイナミックシミュレーション装置に座るために乗り込む位置であり、第2位置P2は観賞者を実際の体験に送る観賞位置である。すなわち、観賞者が第1位置P1から前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置内に乗り込み、前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置が観賞者を第2位置P2へと送る。
【0011】
前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置は固定台1、運動機構2、キャリングシート3、旋回機構4を含む。
固定台1は前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置を前記視聴設備のラック5上に取り付けて固定するために用いられ、かつアーム10が縦方向に設置され、運動機構2の配置に供される。
運動機構2は、6つの自由度の運動機構であり、主に、固定板20、可動板21、固定板20と可動板21とを連結する複数の伸縮棒22を含み、スチュワートプラットフォーム(Stewart Platform)のような、複数の自由度を備えた運動機構を構成する。運動機構2の構造は従来周知なので、ここでは説明を省略する。
【0012】
キャリングシート3は人体(即ち観賞者)が乗って座るために用いられ、かつキャリングシート3上には人体が乗って座るための乗載空間30が形成される。乗載空間30の背面側の任意の位置が運動機構2の可動板21に固定され、運動機構2の固定板20が固定台1に立設されたアーム10に固定される。これにより、キャリングシート3が運動機構2により固定されて懸置状態を呈することができ、同時に運動機構2がキャリングシート3前側の視野に影響することがない。かつ、キャリングシート3がアーム10から側面方向へ張り出して設置されることによって、全体が占用する高さ空間が減少され、視聴情景及び周辺環境のレイアウトと設置に有利である。
【0013】
図2に示すように、旋回機構4をラック5上に設置し、かつ旋回機構4で固定台1を動かしてその平面を旋回させ、
図3と
図4に示すように、キャリングシート3を動かしてラック5の第1位置P1と第2位置P2間で旋回移動させることができる。
より詳細に説明すると、ラック5は、下板50、上板51、及び上板51を下板50上に支持する立柱52を含む。
下板50の第1位置P1に対応する箇所には昇降プラットフォーム53が設置され、第2位置P2が下板50外の中空に位置する。
【0014】
旋回機構4は下板50上に設置され、かつ、固定台1の下方に設置される。
また、旋回機構4は駆動ユニット40を備える。駆動ユニット40は制御モーターとすることができ、伝動ホイールアセンブリ400を介して旋回機構4を制御し、固定台1を一定角度または範囲内で旋回させることができる。
伝動ホイールアセンブリ400は、固定台1に連結された第1伝動ホイール401と、第1伝動ホイール401と相互に噛み合わされ、かつ駆動ユニット40により動かされる第2伝動ホイール402を含むことができる。第1伝動ホイール401は大型歯車または大型摩擦車とすることができ、第2伝動ホイール402は相対的に小さい小型歯車または小型摩擦車とすることができる。
さらに、旋回機構4にはブレーキ装置41を設置してもよい。ブレーキ装置41は、旋回機構4と固定台1の間にそれぞれ設置された作動部材410とブレーキ部材411を含み、旋回機構4が固定台1を定位置(第1位置P1または第2位置P2)まで旋回させるとき、ブレーキの効果を提供し、旋回機構4が揺動または旋回移動を継続して観賞者の安全性に影響する等を防止するとともに、突発的状況が発生した場合、旋回機構4に直ちにブレーキをかけてその旋回を停止させることができる。
【0015】
なお、
図5に示すように、旋回機構4はラック5の上板51の下面に設置してもよい。即ち、旋回機構4は固定台1の上方に設置され、旋回式ダイナミックシミュレーション装置全体が吊り下げられた形態でラック5内に配置される。
【0016】
図6は、旋回式ダイナミックシミュレーション装置を備えた視聴設備を示す。
前記視聴設備は、ラック5と、スクリーン6を含む。
ラック5上に少なくとも1つの前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置が設置される。前記旋回式ダイナミックシミュレーション装置の構造は前述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
ラック5はさらに複数の層に区分することができ、かつ各層間に複数の旋回式ダイナミックシミュレーション装置を横並びに配置して、より多くの旋回式ダイナミックシミュレーション装置をラック5上に設置し、より多くの観賞者が同時に使用できるようにしてもよい。このため、
図7に示すように、ラック5は各旋回式ダイナミックシミュレーション装置に対応する位置に、いずれも第1位置P1と、第1位置P1に相対する第2位置P2を備える。同時に、ラック5も複数増設し、相互に背を向けて設置してもよい。
【0017】
スクリーン6は観賞者に対して画面の表示、または(および)サウンド等の再生、あるいはバーチャルリアリティの表示を行うことができ、かつラック5の第2位置P2に相対して配置される。
このほか、
図7に示すように、スクリーン6はラック5が複数のとき、それに合わせて同じ数量を設置することもできる。
【0018】
以上は本発明の実施例の説明であり、これによって本発明の権利範囲が限定されることはなく、特許請求の範囲を逸脱しない変更は本発明の権利範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0019】
1 固定台
10 アーム
2 運動機構
20 固定板
21 可動板
22 伸縮棒
3 キャリングシート
30 乗載空間
4 旋回機構
40 駆動ユニット
400 伝動ホイールアセンブリ
401 第1伝動ホイール
402 第2伝動ホイール
41 ブレーキ装置
410 作動部材
411 ブレーキ部材
5 ラック
50 下板
51 上板
52 立柱
53 昇降プラットフォーム
6 スクリーン
P1 第1位置
P2 第2位置