(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの正規化値を決定することが、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値及び少なくとも1つの定量化された外部刺激値を少なくとも1つの正規化関係に入力することを含む、請求項1に記載の方法。
少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナル値を決定することが、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値を少なくとも1つの正規化値で割ることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
少なくとも1つの分析物濃度を決定することが、少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナル値を少なくとも1つの分析物濃度に変換する少なくとも1つの正規化された参照相関を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
少なくとも1つの正規化値を決定することが、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値及び少なくとも1つの定量化された外部刺激値を少なくとも1つの正規化関係に入力することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
正規化関係を決定することが、単一の選択された分析物濃度における少なくとも2つの分析物応答性出力シグナル及び少なくとも2つの定量化された外部刺激値に正規化関係回帰法を適用することを含み、そして、少なくとも1つの正規化された参照相関を決定することが、少なくとも2つの正規化された分析物応答性出力シグナル及び少なくとも1つの参照試料分析物濃度に正規化された参照相関回帰法を適用することを含む、請求項8に記載の方法。
第二の正規化関係を決定することが、単一の選択された分析物濃度における少なくとも2つの正規化された分析物応答性出力シグナル及び少なくとも2つの第二の定量化された外部刺激値に第二の正規化関係回帰法を適用すること含み、そして、第二の正規化された参照相関を決定することが、少なくとも2つの第二の正規化された分析物応答性出力シグナル及び少なくとも1つの参照試料分析物濃度に第二の正規化された参照相関回帰法を適用することを含む、請求項10に記載の方法。
少なくとも1つの分析物濃度が糖化ヘモグロビン及びグルコースの少なくとも1つを含み、そして、試料が血液を含み、そして、少なくとも1つの外部刺激が、温度、総ヘモグロビン及びヘマトクリットの少なくとも1つを含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
基部によって形成されたリザーバーに隣接する試料インターフェースを有する試験センサーであり、ここで、試験センサーは、試料から少なくとも1つの出力シグナルを生成させることが可能である;及び
センサーインターフェースに接続されたプロセッサーを有する測定装置であり、センサーインターフェースは、試料インターフェースとの電気通信を有し、そして、プロセッサーは、記憶媒体との電気通信を有する;
を含む、試料中の分析物濃度を決定するためのバイオセンサーシステムであって、
プロセッサーが、少なくとも1つの出力シグナルから少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値を測定することが可能であり、ここで、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値は、少なくとも1つの外部刺激によって影響される;
少なくとも1つの外部刺激応答性出力シグナル値は分析物応答性出力シグナル値とは無関係であり、プロセッサーが、試料から少なくとも1つの外部刺激応答性出力シグナル値を測定することが可能であり;
プロセッサーが、少なくとも1つの外部刺激出力シグナル値に応答する少なくとも1つの定量化された外部刺激値を決定することが可能であり;
正規化関係は分析物応答性出力シグナル値と定量化された外部刺激値との間に決定された関係であり、プロセッサーが、出力シグナルを先に決定された参照試料分析物濃度に関連付ける、正規化された較正情報に含まれる少なくとも1つの正規化関係から少なくとも1つの正規化値を決定することが可能であり;
プロセッサーが、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値及び少なくとも1つの正規化値に応答する少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナル値を決定することが可能であり;そして
プロセッサーが、少なくとも1つの正規化された参照相関及び少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナルに応答する試料中の少なくとも1つの分析物濃度を決定することが可能である、バイオセンサーシステム。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によってその全体が組み入れられる、2013年3月14日に出願された「Calibration of Analyte Concentration Determinations」という表題の米国仮出願第61/782,520号の恩典を主張するものである。
【0002】
背景
バイオセンサーシステムは、血液、血清、血漿、尿、唾液、間質液又は細胞内液などの生物学的流体試料の分析を提供する。典型的には、システムは、試験センサー中に存在する試料を分析する測定装置を含む。試料は、通常、液体の形態であり、生物学的流体であることに加えて、抽出物、希釈物、濾過物又は再構成沈殿物などの生物学的流体の派生物でもあり得る。バイオセンサーシステムによって実施される分析は、生物学的流体中の、アルコール、グルコース、尿酸、ラクタート、コレステロール、ビリルビン、遊離脂肪酸、トリグリセリド、タンパク質、ケトン類、フェニルアラニン又は酵素類などの1つ以上の分析物の存在及び/又は濃度を決定する。例えば、糖尿病者は、食事及び/又は薬物治療の調整のために、バイオセンサーシステムを使用して血液中のA1c又はグルコースレベルを決定し得る。
【0003】
ヘモグロビン(Hb)を含む血液試料中で、総ヘモグロビン(THb)及び糖化ヘモグロビン(HbA1c)の存在及び/又は濃度が決定され得る。HbA1c(%−A1c)は、糖尿病患者における糖コントロールの状態を反映したものであり、試験前の3か月間の平均糖コントロールへの見解を提供する。糖尿病個体にとって、%−A1cの正確な測定は、血糖レベルの即時測定によって提供されるよりも長期間にわたって、患者が食事及び/又は薬物治療で血糖レベルをコントロールしているかを決定するのに役立つ。即時の血糖測定としては、その測定がなされる場合以外は血糖コントロールを示さない。
【0004】
バイオセンサーシステムは、1つ以上の分析物を分析するように設計され得、異なる容量の生物学的流体を使用し得る。いくつかのシステムは、一滴の血液、例えば、容量で0.25〜15マイクロリットル(μL)を分析し得る。バイオセンサーシステムは、卓上式、可搬式及び同様の測定装置を使用して実行され得る。可搬式の測定装置は、携帯式であり得、試料中の1つ以上の分析物の同定及び/又は定量化を可能にし得る。可搬式測定システムの例は、ニューヨーク州タリタウンのBayer HealthCareのContour(登録商標)メーターを含み、一方で卓上式測定システムの例は、テキサス州オースティンのCH Instrumentsから入手可能なElectrochemical Workstationを含む。
【0005】
バイオセンサーシステムは、光学的及び/又は電気化学的方法を使用して生物学的流体を分析し得る。いくつかの光学システムでは、分析物濃度は、光で同定可能な種(分析物又は分析物と反応する化学指示薬から形成された反応物若しくは生成物など)と相互作用したか又はそれによって吸収された光を測定することによって決定される。他の光学システムでは、化学指示薬は、励起ビームによって照射された場合に、分析物に応答して蛍光を発するか又は発光する。光は、電流又は電位などの電気出力シグナルに変換され得、これが電気化学システムから出力シグナルへと同様に処理され得る。いずれの光学システムでも、システムは、光を測定してそれを試料の分析物濃度と相関させる。
【0006】
光吸収光学システムでは、化学指示薬は、光を吸収する反応生成物を生成する。テトラゾリウムなどの化学指示薬がジアホラーゼなどの酵素と一緒に使用され得る。テトラゾリウムは、通常、分析物のレドックス反応に応答してホルマザン(発色原)を形成する。光源からの入射入力ビームは、試料に向けられる。光源は、レーザー、光発光ダイオードなどであり得る。入射ビームは、反応生成物による吸収に関して選択された波長を有し得る。入射ビームが試料を通過する際に、反応生成物が入射ビームの一部を吸収し、従って入射ビームの強度を減衰又は低減する。入射ビームは、試料から反射されるか又は試料を通って検出器へと伝達され得る。検出器は、減衰された入射ビーム(出力シグナル)を収集及び測定する。反応生成物によって減衰された光の量は、試料中の分析物濃度の指標である。
【0007】
光生成光学システムでは、化学指示薬は、分析物のレドックス反応に応答して蛍光を発するか又は発光する。検出器は、生成された光(出力シグナル)を収集及び測定する。化学指示薬によって産生された光の量は、試料中の分析物濃度の指標であり、検出器からの電流又は電位として表される。
【0008】
反射率を使用する光学システムの例は、血液中のA1cヘモグロビンの濃度を決定する%−A1c層流システムである。これらのシステムは、イムノアッセイ化学を使用し、血液がバイオセンサーシステムの試験センサーに導入されて、そこで試薬と反応し、次いで試薬膜に沿って流れる。血液と接触すると、A1c抗体でコートされたカラービーズが放出され、血液と一緒に検出ゾーン1へと移動する。血液試料中のA1cと検出ゾーン1中に存在するA1cペプチドとの間のカラービーズについての競合のために、A1c抗体に結合していないカラービーズは、ゾーン1に捕捉され、従って、反射率の変化からA1cシグナルとして検出される。血液試料中の総ヘモグロビン(THb)もまた、他の血液処理試薬と反応し、下流へと移動して検出ゾーン2に入り、そこで異なる波長で測定される。血液試料中のA1cの濃度を決定するために、反射率シグナルは、A1c分析物濃度(%−A1c)と比例するが、血液のTHb含量に影響される。しかしながら、THbの測定では、ゾーン2における反射率は、血液試料のTHb(mg/mL)に反比例するが、血液のA1c含量に明らかに影響されない。
【0009】
電気化学システムでは、入力シグナルが試料に印加された場合に、分析物又は分析物濃度に応答する測定可能な種の酸化/還元又はレドックス反応によって生成された電気シグナルから、試料の分析物濃度が決定される。入力シグナルは、電位又は電流であり得、かつ一定、可変、又はACシグナルがDCシグナルオフセットと共に印加される場合のようなそれらの組み合わせであり得る。入力シグナルは、単一パルスとして、又は多重パルス、シークエンス若しくはサイクルで印加され得る。酵素又は類似の種が試料に加えられ、レドックス反応の間の分析物からの電子移動が増大され得る。酵素又は類似の種は、単一の分析物と反応し得、従って生成された出力シグナルの一部に対する特異性を提供する。酵素の酸化状態を維持するためにかつ/又は分析物から電極への電子移動を援助するために、レドックスメディエーターが測定可能な種として使用され得る。従って、レドックス反応の間、酵素又は類似の種は、分析物とレドックスメディエーターとの間で電子を移動させ得、一方でレドックスメディエーターは、それ自体と試験センサーの電極との間で電子を移動させる。
【0010】
電気化学バイオセンサーシステムは、通常、試験センサーの導電体と接続する電気接触を有する測定装置を含む。導電体は、例えば、固体金属、金属ペースト、導電性炭素、導電性炭素ペースト、導電性ポリマーなどの導電性材料から製造され得る。導電体は、作用電極及び対電極に接続しており、試験センサーの設計によっては、試料リザーバー中へと延伸している参照電極及び/又は他の電極にも接続し得る。また、1つ以上の導電体が試料リザーバー中へと延伸して、電極によって提供されない機能性を提供し得る。
【0011】
多くのバイオセンサーシステムでは、試験センサーは、生体の外部、内部、又は部分的に内部での使用に適合され得る。生体の外部で使用される場合、生物学的流体の試料が試験センサー中の試料リザーバー内に導入され得る。試験センサーは、分析用試料の導入の前、後又は間に測定装置中に配置され得る。生体の内部又は部分的に内部である場合、試験センサーは試料中に継続的に浸漬され得るか、又は試料が試験センサーに断続的に導入され得る。試験センサーは、一定容量の試料を部分的に隔離するリザーバーを含み得るか又は試料に曝露され得る。曝露されている場合、試験センサーは、生物学的流体と接触して配置される繊維又は他の構造物の形態をとり得る。同様に、試料は、分析のために、例えば連続モニタリングのために試験センサーの中を連続的に流れるか、又は例えば断続モニタリングのために中断され得る。
【0012】
電気化学バイオセンサーシステムの測定装置は、電気接触を介して入力シグナルを試験センサーの導電体に印加する。導電体は、電極を介して入力シグナルを試料リザーバー中に存在する試料に伝える。分析物のレドックス反応は、入力シグナルに応答して電気出力シグナルを生成させる。試験センサーからの電気出力シグナルは、電流(アンペロメトリー又はボルタンメトリーによって生成されるような)、電位(ポテンシオメトリー/ガルバノメトリーによって生成されるような)、又は蓄積電荷(クーロメトリーによって生成されるような)であり得る。測定装置は、出力シグナルを測定して試料中の1つ以上の分析物の存在及び/又は濃度と相関させる、処理能力を有し得る。
【0013】
クーロメトリーでは、試料に電位を印加して、分析物を完全に酸化又は還元する。クーロメトリーを使用するバイオセンサーシステムは、米国特許第6,120,676号に記載されている。アンペロメトリーでは、定電位(電圧)の電気シグナルが試験センサーの導電体に印加される一方、測定される出力シグナルは電流である。アンペロメトリーを使用するバイオセンサーシステムは、米国特許第5,620,579号;第5,653,863号;第6,153,069号;及び第6,413,411号に記載されている。ボルタンメトリーでは、可変電位の電気シグナルが生物学的流体の試料に印加される一方、測定される出力は電流である。ゲートアンペロメトリー及びゲートボルタンメトリーでは、それぞれ国際公開公報第2007/013915号及び国際公開公報第2007/040913号に記載されているようにパルス入力が使用される。
【0014】
一次出力シグナルは、試料の分析物濃度に応答し、分析入力シグナルから得られる。試料の分析物濃度に応答するシグナルとは実質的に無関係である出力シグナルは、温度に応答するシグナル及び干渉物質(例えば、分析物がグルコースである場合の、血液試料のヘマトクリット又はアセトアミノフェン含量など)に実質的に応答するシグナルを含む。分析物濃度に実質的に応答しない出力シグナルは、これらが、分析物若しくは分析物応答性指示薬による光の変化、分析物の電気化学レドックス反応、又は分析物応答性レドックスメディエーターの電気化学レドックス反応に応答する一次出力シグナルではないので、二次出力シグナルと称され得る。二次出力シグナルは、生物学的試料の物理的特性又は環境的特性に応答する。二次出力シグナルは、試料から又は他の供給源(試料の環境的特性の推定値を提供する熱電対など)から生じ得る。従って、二次出力シグナルは、分析入力シグナルから又は別の入力シグナルから決定され得る。
【0015】
試料から生じる場合、二次出力シグナルは、試料の分析物濃度を決定するために使用される電極から又は追加の電極から決定され得る。追加の電極は、試料の分析物濃度を決定するために使用される電極と同じ試薬組成物、異なる試薬組成物を含むか、又は試薬組成物を含み得ない。例えば、試料の1つ以上の物理的特性(全血ヘマトクリットなど)を研究するために、干渉物質と反応する試薬組成物が使用され得るか又は試薬組成物を欠く電極が使用され得る。
【0016】
試料の分析の間、測定装置によって分析された一次出力シグナルに影響を及ぼす2つ以上の刺激があり得る。これらの刺激は、試料の分析物濃度、試料の物理的特性、試料の環境側面、試験センサーのロット間の製造変動などを含む。分析の第一の目的が試料中の分析物の存在及び/又は濃度を決定することであるので、試料の分析物濃度は、一次刺激と称される。出力シグナルに影響を及ぼす全ての他の刺激は、外部刺激と称される。従って、一次出力シグナルは、一次刺激(試料の分析物濃度)からの主要効果を含むが、また、1つ以上の外部刺激からのいくつかの効果も含む。対照的に、二次出力シグナルは、1つ以上の外部刺激からの主要効果を含み、一次刺激からの主要効果を含んでも含まなくてもよい。
【0017】
バイオセンサーシステムの測定性能は、正確度(accuracy)及び精度(precision)の観点から定義される。正確度は、系統誤差成分とランダム誤差成分の複合効果を反映する。系統誤差、又は忠実度は、バイオセンサーシステムから決定された平均値と生物学的流体の分析物濃度についての1つ以上の許容参照値との間の差である。忠実度は、平均バイアスの観点から表現され得、より大きい平均バイアス値はより低い忠実度を表し、それによって、より小さい正確度に寄与する。精度は、平均に関する複数の分析物読み取り値の中での一致の近接度である。分析中の1つ以上の誤差は、バイオセンサーシステムによって決定される分析物濃度のバイアス及び/又は不正確度に寄与する。それ故、バイオセンサーシステムの分析誤差の減少は、正確度及び/又は精度の増加、従って測定性能の改善へと導く。
【0018】
バイアスは、「絶対バイアス」又は「バイアス率」の観点から表現され得る。絶対バイアスは、決定された濃度と参照濃度との間の差であり、mg/dLなどの測定単位で表現され得るが、一方でバイアス率は、参照濃度に対する絶対バイアス値の百分率として表現され得るか、又は試料のカットオフ濃度値若しくは参照濃度のいずれかに対する絶対バイアスの百分率として表現され得る。例えば、カットオフ濃度値が100mg/dLであるならば、100mg/dL未満のグルコース濃度については、バイアス率は、(100mg/dLに対する絶対バイアス)
*100として定義され;100mg/dL以上のグルコース濃度については、バイアス率は、分析物濃度の許容参照値に対する絶対バイアス
*100として定義される。
【0019】
血液試料中の分析物グルコースについての許容参照値は、好ましくは、オハイオ州イエロースプリングスのYSI Inc.から入手可能なYSI 2300 STAT PLUS(商標)などの基準計器を用いて得られる。他の分析物には、バイアス率を決定する他の基準計器及び方法も使用され得る。%−A1c測定については、誤差は、4〜12%の治療範囲について、%−A1c参照値に対する絶対バイアス又はバイアス率のいずれかとして表現され得る。血液試料中の%−A1cについての許容参照値は、日本のTosoh Corpから入手可能なTosoh G7計器などの基準計器を用いて得られ得る。
【0020】
ヘマトクリットバイアスは、基準計器を用いて得られた参照グルコース濃度と、異なるヘマトクリットレベルを含有する試料についてバイオセンサーシステムの測定装置及び試験センサーから得られた実験によるグルコース読み取り値との間の平均差(系統誤差)を指す。参照値とバイオセンサーシステムから得られた値との間のその差は、特定の血液試料間のヘマトクリットレベルの変化から生じ、一般に、以下のような百分率として表現され得る:%Hct−バイアス=100%×(G
m−G
ref)/G
ref(式中、G
mは、特定のヘマトクリットレベルにおける決定されたグルコース濃度であり、そして、G
refは、試料ヘマトクリットレベルにおける参照グルコース濃度である)。%Hct−バイアスの絶対値が大きいほど、試料のヘマトクリットレベル(%Hct、赤血球体積/試料体積の百分率として表現される)は、バイオセンサーシステムから決定されたグルコース濃度の正確度をより低下させる。
【0021】
例えば、同一のグルコース濃度を含有するが、20、40及び60%のヘマトクリットレベルを有する、異なる血液試料が分析されるならば、3つの異なるグルコース濃度が1セットの較正定数(例として、40%ヘマトクリット含有血液試料の傾斜及び切片)に基づいてバイオセンサーシステムによって報告されるだろう。従って、異なる血液試料のグルコース濃度が同じであっても、システムは、20%ヘマトクリット試料が40%ヘマトクリット試料よりも多くのグルコースを含有すること、及び60%ヘマトクリット試料が40%ヘマトクリット試料よりも少ないグルコースを含有することを報告するだろう。「ヘマトクリット感度」は、試料のヘマトクリットレベルの変化がバイオセンサーシステムを用いて実施される分析についてのバイアス値に影響を及ぼす程度を表すものある。ヘマトクリット感度は、ヘマトクリット率あたりのバイアス率の数値、従って%Hctあたりのバイアス/%−バイアスとして定義され得る。
【0022】
バイオセンサーシステムは、複数の誤差源からの誤差を含む、生物学的流体の分析の間に出力シグナルを提供し得る。これらの誤差源は総誤差に寄与し、これは、1つ以上の部分又は全体の出力シグナルが試料の分析物濃度に非応答であるか又は不適切に応答する場合のような異常な出力シグナルに反映され得る。
【0023】
出力シグナル中の総誤差は、例えば、試料の物理的特性、試料の環境側面、システムの動作条件、試験センサーのロット間の製造変動などの、1つ以上の誤差寄与因子に由来し得る。試料の物理的特性は、ヘマトクリット(赤血球)濃度、脂質及びタンパク質などの干渉物質などを含む。グルコース分析に対する干渉物質はまた、アスコルビン酸、尿酸、アセトアミノフェンなども含み得る。試料の環境側面は、温度、大気の酸素含量などを含む。システムの動作条件は、試料サイズが十分に大きくない場合の過少充填条件、試料による試験センサーの充填遅延、試料と試験センサーの1つ以上の電極との間の断続的電気接触、試験センサーが製造された後の分析物と相互作用する試薬の分解などを含む。試験センサーのロット間の製造変動は、試薬の量及び/又は活性の変化、電極面積及び/又は間隔の変化、導電体及び電極の電気伝導度の変化などを含む。試験センサーのロットは、好ましくは、ロット間の製造変動が実質的に低下又は排除される単一の製造運転で製造される。分析中に誤差を引き起こす他の寄与因子又は誤差寄与因子の組み合わせがあり得る。
【0024】
バイアス率、平均バイアス率、バイアス率標準偏差(SD)、変動係数率(%−CV)及びヘマトクリット感度は、バイオセンサーシステムの測定性能を表現するための独立した方法である。バイオセンサーシステムの測定性能を表現するために追加の方法も使用され得る。
【0025】
バイアス率は、参照分析物濃度に関連したバイオセンサーシステムの正確度を表すものであり、一方でバイアス率標準偏差は、試料の物理的特性、試料の環境側面、システムの動作条件及び試験センサー間の製造変動から生じる誤差に関して、複数の分析の正確度を反映する。従って、バイアス率標準偏差の減少は、複数の分析にわたるバイオセンサーシステムの測定性能の増加を表す。変動係数率は、100%
*(1セットの試料のSD)/(同じセットの試料から取得された複数の読み取り値の平均)として表現され得、複数の分析の精度を反映する。従って、バイアス率標準偏差の減少は、複数の分析にわたるバイオセンサーシステムの測定性能の増加を表す。
【0026】
これら又は他の供給源からの誤差を減少させることによってバイオセンサーシステムの測定性能を増加させることは、バイオセンサーシステムによって決定された分析物濃度のより多くが、例えば、血糖がモニタリングされている場合の患者によって、正確な治療のために使用され得ることを意味する。加えて、患者が試験センサーを廃棄しかつ分析を繰り返す必要性もまた減少され得る。
【0027】
バイオセンサーシステムは、電気化学システムの対電極及び作用電極などの、分析物のレドックス反応又は光ベース反応に応答する非補償出力シグナルの単一供給源を有し得る。バイオセンサーシステムはまた、1つ以上の熱電対又は他の手段を用いるなどの、温度を決定又は推定する任意の能力も有し得る。これらのシステムに加えて、バイオセンサーシステムはまた、分析物からの又は分析物に応答するメディエーターからの出力シグナルの外部の二次出力シグナルを生成する能力も有し得る。例えば、電気化学試験センサーでは、1つ以上の導電体がまた、試料リザーバー中へと延伸して、作用電極及び対電極によって提供されない機能性を提供し得る。そのような導電体は、作用電極試薬(メディエーターなど)の1つ以上を欠き得、従って、作用電極シグナルからのバックグラウンド干渉シグナルの減算を可能にする。
【0028】
多くのバイオセンサーシステムは、分析に関連する誤差を補償し、従ってバイオセンサーシステムの測定性能を改善しようと試みる、1つ以上の方法を含む。補償法は、バイオセンサーシステムに分析中の誤差を補償する能力を提供すること、従ってシステムから得られた濃度値の正確度及び/又は精度を増加させることによって、バイオセンサーシステムの測定性能を増加させ得る。物理的及び環境的な誤差寄与因子についての従来の誤差補償法は、これらのタイプの誤差が制御された環境中で再現され得るため、実験室において伝統的に開発されている。
【0029】
バイオセンサーシステムの測定装置がどのように実験室で較正されるかが、使用されているシステムの測定性能に影響を及ぼす。従って、測定装置を較正する状況において継続中の懸念は、使用中の測定装置の測定性能に影響し得る誤差パラメーターの全ての懸念であり、その誤差パラメーターは、測定装置が試料の分析物濃度を分析するために使用される前に実験室で較正されるべきである。
【0030】
誤差パラメーターは変数であり、一次出力シグナルから、又は分析物応答性出力シグナルとは無関係の二次出力シグナル、例えば、熱電対、追加電極などからの中間シグナルなどのその値は、分析から決定される。誤差パラメーターは、出力シグナル中の1つ以上の誤差に応答する任意の変数であり得る。従って、それらの離散値を有するこれらの変数は、一次出力シグナルから、又は二次出力シグナル、例えば熱電対電流若しくは電圧、追加電極電流若しくは電圧などからの中間シグナルから測定される電流若しくは電位であり得る。これらの又は他の一次出力シグナル若しくは二次出力シグナルから他の誤差パラメーターも決定され得る。
【0031】
収穫逓減の点(point of diminishing returns)又はさらに低い測定性能が、非常に多くの又は最適でない誤差パラメーターについて測定装置が較正される場合に生じ得る。さらに、較正において考慮されるパラメーターが多くなれば、分析の間に決定された誤差パラメーターからの後の分析の補償のための、測定装置中に記憶された較正情報の有用性がより低くなり得る。実施されている分析が分析物濃度応答性シグナル(一次出力シグナル)及び/又は非分析物応答性シグナル(二次出力シグナル)を含む複数の出力シグナルを含む場合に、これらの較正の課題はさらにより複雑になる。本発明は、従来の較正法を使用した測定装置の欠点の少なくともいくつかを回避又は向上させる。
【0032】
概要
1つの態様において、本発明は、試料中の分析物濃度を決定するための方法であって、試料から少なくとも1つの出力シグナルを生成させること;少なくとも1つの出力シグナルから少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値を測定すること(ここで、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値は、少なくとも1つの外部刺激によって影響される);試料から少なくとも1つの外部刺激応答性出力シグナルを測定すること;少なくとも1つの外部刺激出力シグナルに応答する少なくとも1つの定量化された外部刺激値を決定すること;少なくとも1つの正規化関係から少なくとも1つの正規化値を決定すること;少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値及び少なくとも1つの正規化値に応答する少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナル値を決定すること;並びに少なくとも1つの正規化された参照相関及び少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナルに応答する試料中の少なくとも1つの分析物濃度を決定することを含む方法を提供する。
【0033】
本発明の別の態様において、バイオセンサーシステムの測定装置を較正するための方法であって、試料から少なくとも2つの分析物応答性出力シグナルを測定すること(ここで、分析物応答性出力シグナルは、少なくとも1つの外部刺激によって影響される);少なくとも1つの参照試料分析物濃度と少なくとも2つの分析物応答性出力シグナルとの間の参照相関を決定すること;試料から少なくとも1つの外部刺激応答性出力シグナルを測定すること;少なくとも1つの外部刺激応答性出力シグナルから少なくとも2つの定量化された外部刺激値を決定すること;少なくとも2つの分析物応答性出力シグナルと少なくとも2つの定量化された外部刺激値との間の正規化関係を決定すること;正規化関係及び少なくとも2つの定量化された外部刺激値から正規化値を決定すること;少なくとも2つの分析物応答性出力シグナル及び正規化値から少なくとも2つの正規化された分析物応答性出力シグナルを決定すること;並びに少なくとも2つの正規化された分析物応答性出力シグナルと少なくとも1つの参照試料分析物濃度との間の正規化された参照相関を決定することを含む方法がある。
【0034】
本発明の別の態様において、センサーインターフェースに接続された電気回路を含む分析物測定装置であって、電気回路が、シグナル生成器及び記憶媒体に接続されたプロセッサーを含み;プロセッサーが、試料から少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値を測定することが可能であり(ここで、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値は、少なくとも1つの外部刺激によって影響される);プロセッサーが、試料から少なくとも1つの外部刺激応答性出力シグナルを測定することが可能であり;プロセッサーが、少なくとも1つの外部刺激出力シグナルに応答する少なくとも1つの定量化された外部刺激値を決定することが可能であり;プロセッサーが、少なくとも1つの正規化関係から少なくとも1つの正規化値を決定することが可能であり;プロセッサーが、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値及び少なくとも1つの正規化値に応答する少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナル値を決定することが可能であり;そして、プロセッサーが、少なくとも1つの正規化された参照相関及び少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナルに応答する試料中の少なくとも1つの分析物濃度を決定することが可能である、測定装置がある。
【0035】
本発明の別の態様において、基部によって形成されたリザーバーに隣接する試料インターフェースを有する試験センサー(ここで、試験センサーは、試料から少なくとも1つの出力シグナルを生成させることが可能である);及びセンサーインターフェースに接続されたプロセッサーを有する測定装置(センサーインターフェースは、試料インターフェースとの電気通信を有し、そして、プロセッサーは、記憶媒体との電気通信を有する)を含む、試料中の分析物濃度を決定するためのバイオセンサーシステムであって;プロセッサーが、少なくとも1つの出力シグナルから少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値を測定することが可能であり(ここで、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値は、少なくとも1つの外部刺激によって影響される);プロセッサーが、試料から少なくとも1つの外部刺激応答性出力シグナルを測定することが可能であり;プロセッサーが、少なくとも1つの外部刺激出力シグナルに応答する少なくとも1つの定量化された外部刺激値を決定することが可能であり;プロセッサーが、少なくとも1つの正規化関係から少なくとも1つの正規化値を決定することが可能であり;プロセッサーが、少なくとも1つの分析物応答性出力シグナル値及び少なくとも1つの正規化値に応答する少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナル値を決定することが可能であり;そして、プロセッサーが、少なくとも1つの正規化された参照相関及び少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナルに応答する試料中の少なくとも1つの分析物濃度を決定することが可能である、バイオセンサーシステムがある。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明は、以下の図面及び説明を参照してより良く理解され得る。図中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、むしろ本発明の原理を例示することに重点が置かれる。
【
図A】外部刺激効果が低下された測定装置に組み入れるための較正情報を決定する較正法を表す。
【
図B】較正情報と共に第二の外部刺激も考慮した任意の較正法を表す。
【
図C】正規化された参照相関を使用して、外部刺激効果が低下された試料の分析物濃度を決定する分析法を表す。
【
図1A】4つのTHb(総ヘモグロビン)濃度(85mg/mL、125mg/mL、175mg/mL及び230mg/mL)における測定装置のゾーン1検出器から記録されたA1c反射率シグナル対参照試料分析物濃度(%−A1c)を示す。
【
図1B】測定装置のゾーン2検出器から決定されるような、THb参照試料濃度の4つのレベル(85mg/mL、125mg/mL、175mg/mL及び230mg/mL)における比較的一定のTHb出力シグナルを示す。
【
図1C】血液試料中の4つの異なるTHb濃度について分離された、測定装置のゾーン1検出器から記録された個々のA1c反射率シグナルを示す。
【
図1D】単一A1c濃度における合成された外部刺激応答性出力シグナルと試料THb濃度に応答する二次出力シグナルとの間の相関を確立する、正規化関係140を決定する例をまた提供する。
【
図1E】正規化値からの正規化された分析物応答性出力シグナルの決定の例を提供する。
【
図1F】
図1Eの正規化された分析物応答性出力シグナル値を組み合わせることからの正規化された参照相関の決定の例を提供する。
【
図1G】
図1Eの正規化された分析物応答性出力シグナル値からの正規化された参照相関の決定の別の例を提供する。
【
図1H】正規化された分析物応答性出力シグナル値を曲線上に重ね合わせることによって、正規化された分析物応答性出力シグナルを、
図1Gからの正規化された較正曲線の形式の正規化された参照相関と比較する。
【
図2A】2つの検出チャネルを有するA1c測定装置の両方のチャネルについての正規化関係を表す。
【
図2B】A1c測定装置のCh1及びCh3についての個々の正規化された較正曲線を表す。
【
図2C】参照試料についての2つの個々のチャネル(Ch1&Ch3)からの正規化されたA1c反射率シグナルを示す。
【
図2D】測定装置のCh1及びCh3からのA1c反射率出力シグナルを最初に平均化することによって決定された正規化関係を示す。
【
図2E】測定装置のCh1及びCh3からの平均化されたA1c反射率シグナルについて決定された正規化された較正曲線の形式の正規化された参照相関を示す。
【
図3A】異なる温度及び40%Hctにおけるグルコースについて、測定装置から得られた電流対参照試料分析物濃度をプロットする。
【
図3B】これらの一次出力シグナル電流をこれらが記録された温度で分離する。
【
図3C】正規化関係を決定するための、100及び500mg/dLの2つの別々の単一グルコース濃度で得られた合成された外部刺激応答性出力シグナル対定量化された外部刺激(温度)との間の相関を示す。
【
図3D】100mg/dLにおける正規化値からの正規化された分析物応答性出力シグナルの決定の例を提供する。
【
図3E】
図3Dの正規化された分析物応答性出力シグナル値からの正規化された参照相関の決定の例を提供する。
【
図3F】正規化の前後の異なる温度(6.0℃、10.9℃、15.9℃、22.0℃、30.4℃、35.1℃及び40.0℃)に起因する%−バイアスをプロットする。
【
図4A】試験した温度(6.0℃、10.9℃、15.9℃、22.0℃、30.4℃、35.1℃及び40.0℃)及び試験したHct参照試料濃度(0%、20%、40%、55%、70%)についての公知のグルコース濃度を含む参照試料についての測定装置からの出力シグナル電流を示す。
【
図4B】血液試料中の40%Hct並びに100及び500mg/dLの2つの別々の単一グルコース濃度における温度正規化関係を表し、同じ温度刺激低下が実施されているように、
図3Cにおいて先に表されたものと同じである。
【
図4C】
図4からの温度正規化された分析物応答性出力シグナル値対この例で試験されたHct参照試料濃度におけるグルコースについての参照試料分析物濃度をプロットする。
【
図4D】試料のヘマトクリット濃度に応答する二次出力シグナルから決定された合成されたシグナル対40%ヘマトクリット濃度を含む参照試料についての温度をプロットする。
【
図4E】参照試料%Hct濃度が温度正規化されたHct電極出力電流に対してプロットされた、Hctについての温度正規化された参照相関を示す。
【
図4F】得られた温度正規化された分析物応答性出力シグナルと参照試料%−Hct値(第二の外部刺激)との間で決定された第二の正規化関係を表す。
【
図4G】100mg/dLの選択されたグルコース濃度における温度及びHct正規化された分析物応答性出力シグナル値の使用を介して提供された、
図4Cに表されるようなヘマトクリットの外部刺激によって導入された誤差の低下を図で表す。
【
図4H】
図4Gの温度及びヘマトクリット正規化された分析物応答性出力シグナル値を組み合わせることからの正規化された参照相関の決定の例を提供する。
【
図4I】は、従来の参照相関(%バイアス_raw)、温度正規化された参照相関(%バイアス_T)、並びに温度及びHct正規化された参照相関(%バイアス_T/Hct)を使用して、測定装置によって決定された分析物濃度の%−バイアスを図で表す。
【
図5】生物学的流体の試料中の分析物濃度を決定するバイオセンサーシステムの概略図を描写する。
【0037】
詳細な説明
試料中の分析物の存在及び/又は濃度を決定するために使用されるバイオセンサーシステム中の測定装置は、試料の分析物濃度に応答して装置が生成する1つ以上の出力シグナルを先に決定された参照試料分析物濃度に関連付ける、正規化された較正情報を含む。測定装置は、この正規化された較正情報を使用して、試料の電気化学又は光学分析からの1つ以上の出力シグナルを試料中の1つ以上の分析物の存在及び/又は濃度に関連付ける。
【0038】
本出願は、分析物濃度の試料分析において使用するための、工場、実験室又は類似の状況で正規化された較正情報を決定する方法、試料の分析の間に使用するためにバイオセンサーシステムの測定装置中に記憶される正規化された較正情報を使用して試料の分析物濃度を決定する方法、並びに正規化された較正情報を使用して試料中の分析物の存在及び/又は濃度を決定するバイオセンサーシステムを開示する。正規化された較正情報は、測定された出力シグナルから正規化された出力シグナルを決定するために使用される正規化関係、及び分析の間に決定された正規化された出力シグナルを参照試料分析物濃度に関連付ける正規化された参照相関を含む。正規化された較正情報は、分析物に応答する少なくとも1つの一次出力シグナルを生成するが少なくとも1つの外部刺激からの誤差を含むか又はそれに影響されるバイオセンサーシステム、及び少なくとも1つの外部刺激に応答する少なくとも1つの二次出力シグナルを生成するバイオセンサーシステムにおいて有用である。
【0039】
試料の分析の間、一次刺激及び1つ以上の外部刺激は、測定装置によって分析された1つ以上の出力シグナルに影響を及ぼす。一次刺激は、試料の分析物濃度である。外部刺激は、例えば、試料の物理的特性、試料の環境側面、試験センサーのロット間の製造変動などの、出力シグナルに影響を及ぼす全ての他の刺激(分析物濃度を除く)を含む。測定装置によって分析された1つ以上の出力シグナルは、一次出力シグナル及び二次出力シグナルを含み得る。一次出力シグナルは、一次刺激(試料の分析物濃度)からの主要効果を含むが、また、1つ以上の外部刺激からのいくつかの効果も含む。対照的に、二次出力シグナルは、外部刺激からの主要効果を含み、一次刺激からの主要効果を含んでも含まなくてもよい。好ましくは、二次出力シグナルは、1つ以上の外部刺激に単に応答する。
【0040】
血液試料中の%−A1c、従って血液試料の総ヘモグロビン(THb)含量中の糖化ヘモグロビンの濃度(%−A1c又はA1c)の測定は、層流分析を使用したイムノアッセイ法によって達成され得る。従来、層流分析では、A1cについての一次出力シグナル及びTHbについての二次出力シグナルの2つの独立したシグナルが測定される。このタイプのA1cシステムでは、ゾーン1検出器は一次出力シグナルを提供するが、一方でゾーン2検出器は二次出力シグナルを提供する。ゾーン1検出器からの一次出力シグナルは試料のA1c濃度に依存するが、また試料のTHb濃度にも依存する。ゾーン2検出器からの二次出力シグナルは試料のTHb濃度に依存するが、試料のA1c濃度とは実質的に独立している。
【0041】
これらのシステム中の従来の較正は、参照試料の公知の%−A1c値、これらの試料がバイオセンサーシステムによって分析される場合のA1cに応答する測定装置のゾーン1検出器から決定された反射率一次出力シグナル、そして、これらの試料がバイオセンサーシステムによって分析される場合の試料のTHb含量に応答する測定装置のゾーン2検出器から決定された二次出力反射率シグナルとの間の関係を確立することに焦点を当てている。従って、後で分析の間に使用するために測定装置中に記憶される、較正情報の決定において潜在的に考慮される3つの刺激(参照試料分析物濃度、測定装置からの一次出力シグナル及び測定装置からの二次出力シグナル)がある。
【0042】
そのような従来法とは対照的に、A1cバイオセンサーシステムにおける本明細書で開示される較正法の大きな利点は、刺激の2つ(参照試料分析物濃度(%−A1c、一次刺激)及び二次THb出力シグナル(外部刺激))が1つ(%−A1cについての参照試料分析物濃度)に減少する場合に、実験室で決定された較正情報を後の補償技法において使用する能力から生じる。この刺激の減少を達成する1つの方法は、記載される正規化法を介する。
【0043】
正規化法は、測定装置によって決定されたA1c応答性反射率値から正規化された出力シグナルを生成することによって、THb試料濃度に対する測定装置からの一次出力A1cシグナルの依存性を低下させる。次いで、正規化された参照相関は、生成された正規化された出力シグナルと参照試料分析物濃度との間で決定される。正規化された出力シグナルを決定するために使用される正規化関係及び正規化された参照相関は、測定装置中に記憶される。使用において、記載された正規化手順によって正規化されるような測定装置のゾーン1検出器から測定された一次出力シグナルは、A1cに応答性のままであるが、試料の総ヘモグロビン含量(THb)に応答するゾーン2検出器から測定された二次出力シグナルとは実質的に独立することとなる。
【0044】
グルコース分析システムでは、較正は、一般に、グルコースについての公知の参照試料分析物濃度、試料から決定された電気又は光学一次出力シグナル、そして、試料の温度及び/又はヘマトクリット(Hct)含量に応答する二次出力シグナルとの間の関係を確立することに焦点を当てている。これらの二次出力シグナルは、サーミスタ、専用のHct電極などから、又は一次出力シグナルに由来するこれらの値の1つ以上の推定値から決定され得る。
【0045】
これらのグルコース分析システムでは、試料のグルコース濃度に応答する電気又は光学一次出力シグナルはまた、試料の温度及び/又は試料のHct含量にも依存する。測定装置の二次出力シグナルによって提供される温度及びHct情報は、試料のグルコース濃度とは実質的に独立している。従って、参照試料分析物濃度に加えて、後で分析の間に使用するために測定装置中に記憶される、較正情報の決定のために考慮される少なくとも2つ(グルコース及び温度応答性シグナル)又は3つ(グルコース、温度及びHct応答性シグナル)の刺激がある。
【0046】
グルコースシステムにおけるこの較正に対応する従来法の例は、公知の温度及び/又はヘマトクリット濃度における、グルコースについての複数の参照試料分析物濃度と測定装置の対応する出力シグナルとの間の参照相関を表す直線又は曲線を生成することである。この参照相関は、後で分析の間に使用するために測定装置中に記憶される。光学検出器が光を電圧及び/又はアンペア数に変換するため、このプロセスは、光学又は電気化学バイオセンサーシステムと類似している。従って、参照相関は、例えば、20℃及び40%試料Hctにおける公知の参照試料分析物濃度について決定され、測定装置中に記憶され得る。このプロセスは、例えば、選択された温度で複数のHct試料濃度について繰り返され、これらの参照相関はまた測定装置中に記憶され得る。しかしながら、この従来技術では、分析の間に、測定装置は、特定の分析について使用する又はその間に挿入する複数の参照相関の中から選択しなければならない。従って、測定装置は、これらの中で最良の参照相関を選択しようとし、実際の分析−潜在的な課題を伴うプロセスに適合しなければならない。バイオセンサーシステムによる試料の後の分析の目的は、装置中に記憶された先に決定された1つ以上の参照相関を使用して、測定装置によって決定された出力シグナルを試料の分析物濃度に変換することである。
【0047】
参照相関による出力シグナルの濃度への従来の直接変換とは対照的に、本明細書で開示される較正法の大きな利点は、これらの刺激の少なくとも2つ(グルコースについての参照試料分析物濃度及び二次温度出力シグナル)が1つ(グルコースについての参照試料分析物濃度)に減少する場合に、測定装置中に記憶された実験室で決定された較正情報を後の補償技法において使用する能力から生じる。例えば、温度に対する参照相関の温度依存性は、記載される正規化法を介して低下又は好ましくは除去され、単位のない参照相関が作製され得る。同様に、参照相関のHct依存性もまた、記載される正規化法を介して低下又は好ましくは除去され得る。
【0048】
正規化法は、測定装置によって決定されたグルコース応答性電流値から正規化された出力シグナルを生成することによって、温度又は温度及び試料%−Hctに対する測定装置からの一次出力グルコースシグナルの依存性を低下させる。次いで、正規化された参照相関は、生成された正規化された出力シグナルと参照試料分析物濃度との間で決定される。正規化された出力シグナルを決定するために使用される正規化関係及び正規化された参照相関は、測定装置中に記憶される。使用において、記載された正規化手順によって正規化されるように測定装置によって測定されるようなグルコースに応答する一次出力シグナルは、グルコースに応答性のままであるが、温度又は温度及び試料%−Hctに応答する二次出力シグナルとは実質的に独立することとなる。
【0049】
いずれかの分析タイプについて、正規化法は、以下の式によって表され得る:正規化された出力シグナル=(1つの一次刺激及び少なくとも1つの外部刺激の効果を含む分析物応答性シグナル)/(少なくとも1つの外部刺激シグナル)(式中、一次刺激の効果は、測定装置が検出及び/又は定量化しようとする効果である)。従って、2つ以上の要因が分析の成果に影響を及ぼす中で、1つ以上の要因が正規化されて、分析の成果に影響を及ぼす要因が1つに減少する。分析物応答性一次出力シグナルは、A1c分析システムのゾーン1検出器から出力された反射率であり得るか、又は例えば電気化学分析システムにおけるグルコース若しくはグルコース濃度応答性メディエーターの電気化学レドックス反応に応答する電流出力であり得る。他のタイプの分析からの一次出力シグナルもまた、正規化法と共に使用され得る。外部刺激は、例えば、A1c分析システムにおけるTHb、又は例えばグルコース分析システムにおける温度及び/若しくはヘマトクリットであり得る。従って、外部刺激は、分析の二次出力シグナルから生じる。
【0050】
図Aは、刺激効果が低下されたバイオセンサーシステムの測定装置に組み入れるための、正規化された較正情報を決定する較正法100を表す。好ましくは、較正法100は、測定装置の工場較正の間に実施される。較正法100はまた、実験室又は類似の状況で実施され得る。較正法は、測定装置、コンピューターなどの1つ以上の分析装置、又は測定装置と分析装置の組み合わせによって実施され得る。
【0051】
分析物応答性出力シグナル測定110では、分析物応答性出力シグナルが参照試料から測定され、ここで、分析物応答性出力シグナルは、分析物応答性出力シグナルに組み入れられる、物理的特性、環境側面及び/又は製造変動誤差から生じる少なくとも1つの外部刺激に影響される。少なくとも2つの分析物応答性出力シグナルが測定される。好ましくは、少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも6つの分析物応答性出力シグナルが参照試料から測定される。光学及び/又は電気化学法が参照試料を分析するために使用され得る。
図1Aは、以下にさらに取り上げるように、A1c分析システムにおける分析物応答性出力シグナル測定110の例を提供する。
図3Aは、以下にさらに取り上げるように、、グルコース分析システムにおける分析物応答性出力シグナル測定110の例を提供する。
【0052】
参照相関の決定120では、参照相関122が、1つ以上の参照試料分析物濃度124と1つ以上の出力シグナルとの間で決定される。参照相関122は、参照試料分析物濃度124を測定装置126によって決定されるような出力シグナルに関連付ける。参照試料の参照試料分析物濃度は、基準計器を使用して、公知の試料分析物濃度を混合又は変更するなどして決定され得る。
【0053】
外部刺激定量化130では、1つ以上の外部刺激応答性出力シグナルが参照試料から測定され、その外部刺激が定量化されて少なくとも2つの定量化された外部刺激値132が決定される。刺激応答性出力シグナルは、分析物応答性出力シグナルと同時に又は異なる時間で測定され得る。好ましくは、刺激応答性出力シグナルは、分析物応答性出力シグナルと同時に測定される。
図1Bは、以下にさらに取り上げるように、A1c分析システムにおける外部刺激定量化130の例を提供する。グルコースシステムでは、例えば表3に表されるように、温度が外部刺激である場合、複数の分析がターゲット温度で実施され、各分析についての実際の温度が平均化される。
【0054】
外部刺激シグナルは、光学検出器又は電極が特定の電圧及び/又はアンペア数を出力する場合などに、直接定量化され得る。外部刺激シグナルは、例えば、サーミスタがセルシウス温度として報告される特定の電圧及び/又はアンペア数を提供する場合などに、間接的に定量化され得る。外部刺激シグナルはまた、例えば、試料のHct濃度がHct電極から測定された特定の電圧及び/又はアンペア数から決定される場合などに、間接的に定量化され得る。外部刺激シグナルは、直接又は間接的に定量化された外部刺激値が濃度に変換される場合などに、直接又は間接的に定量化され、次いで、定量化された外部刺激値132を提供するように修飾され得る。定量化された外部刺激値132は、同じターゲット温度で記録された複数の温度読み取り値などの、複数の値を平均化することによって決定され得る。外部刺激は、他の技法を介しても定量化され得る。例えば、以下にさらに記載されるような分析法200は、外部刺激定量化の例を提供する。
【0055】
正規化関係の決定140では、正規化関係142は、選択された1つ以上の参照試料分析物濃度の分析物濃度についての、分析物応答性出力シグナルと定量化された外部刺激値132との間で決定される。好ましくは、分析物応答性出力シグナル及び定量化された外部刺激値132に回帰法が適用され、単一の選択された分析物濃度における正規化関係が決定される。
図1Cは、以下にさらに取り上げるように、どのように単一の分析物濃度がA1c分析システムにおいて選択され、これを使用して、THbについての定量化された外部刺激シグナルに応答する合成された外部刺激応答性出力シグナルが決定されるかの例を提供する。
図3Bは、以下にさらに取り上げるように、どのようにグルコース分析システムにおいて2つの分析物濃度の1つが選択され、これを使用して、温度についての定量化された外部刺激シグナルに応答する合成された外部刺激応答性出力シグナルが決定されるかの例を提供する。従って、合成された外部刺激応答性出力シグナルは、単一の選択された試料分析物濃度における一次出力シグナルから決定された。合成された外部刺激応答性出力シグナルは、測定装置からの組み合された一次出力シグナルから抽出された外部刺激応答性出力シグナルであると考えられ得、これは、一次及び外部刺激の両方を含む。同様に、正規化関係142は、外部刺激についての参照相関であると考えられ得る。
【0056】
図1Dは、以下にさらに取り上げるように、合成された外部刺激応答性出力シグナル値を使用して、A1c分析システムにおいてどのように正規化関係の決定140が実行され得るかの例を提供する。A1c分析システムについて決定されるような例示的な正規化関係もまた
図1Dに示される。
図3Cは、以下にさらに取り上げるように、合成された外部刺激応答性一次出力シグナルを使用して、グルコース分析システムにおいてどのように正規化関係の決定140が実行され得るかの例を提供する。グルコース分析システムについて決定されるような例示的な正規化関係もまた
図3Cに示される。
【0057】
正規化関係142を決定するために、線形又は非線形(例えば、多項式)回帰法が使用され得る。線形又は非線形回帰法は、MINITAB(登録商標)バージョン14又はバージョン16統計パッケージ(MINTAB, INC., State College, PA)、Microsoft Excel、又は回帰法を提供する他の統計分析パッケージにおいて利用可能なものを含む。好ましくは、多項式回帰が正規化関係142を決定するために使用される。例えば、MS Excelバージョン2010では、Trendline Layout Chart Toolを介してアクセス可能なLinear Trendline Optionが線形回帰を実施するために選択され得、一方でPolynomial Trendline Optionが非線形多項式回帰を実施するために選択され得る。正規化関係142を決定するために他の回帰法も使用され得る。正規化関係142は、好ましくは、較正情報の一部として測定装置中に記憶される。
【0058】
線形回帰が使用される場合、正規化関係142は、Y=mX+b(式中、mは、傾斜であり、そして、bは、回帰直線の切片である)の形式であるだろう。非線形回帰が使用される場合、正規化関係142は、Y=b
2*X
2+b
1*X+b
0(式中、b
2、b
1及びb
0は、多項式の係数である)などの形式であるだろう。線形回帰方程式又は多項式回帰方程式の両方において、Yは、単一の選択された分析物濃度における一次出力シグナルの外部刺激部分に応答する算出された合成された外部刺激応答性出力シグナルであり、そして、Xは、定量化された外部刺激シグナル/値である。Xの値(定量化された外部刺激シグナル値)が関係(線形方程式又は多項式方程式)のいずれか1つに入れられる場合、正規化値(NV)を表す出力値Yは、正規化関係から生成される。
【0059】
第二の外部刺激が、分析物応答性出力シグナルに悪影響を及ぼし、そして、較正情報によって対応されるならば、正規化関係の決定140は、第二の外部刺激について繰り返される。どのように第二の正規化関係が決定され、第二の外部刺激に対応し得るかの例は、以下にさらに取り上げるように、
図4に関して見いだされる。
【0060】
正規化値の決定150では、正規化値152が、正規化関係142から、定量化された外部刺激値132を正規化関係142に入力し、正規化値152を求めることによって、決定される。
【0061】
正規化された出力シグナルの決定160では、1つ以上の正規化された分析物応答性出力シグナルが1つ以上の分析物応答性出力シグナル及び正規化値から決定される。好ましくは、分析物応答性出力シグナルは、正規化値152で割られ、正規化された分析物応答性出力シグナル162が提供される。これは、好ましくは、分析物応答性出力シグナルに対する外部刺激の効果を低下させる。
図1Eは、以下にさらに取り上げるように、A1c分析システムにおける正規化された出力シグナルの決定160の例を提供する。
図3Dは、以下にさらに取り上げるように、単一の選択された試料分析物濃度(100mg/dL)でのグルコース分析システムにおける正規化された出力シグナルの決定160の例を提供する。
【0062】
正規化された参照相関の決定170では、正規化された参照相関172は、正規化された分析物応答性出力シグナル162と参照試料分析物濃度124との間で決定される。好ましくは、正規化された分析物応答性出力シグナル162及び参照試料分析物濃度124に回帰法が適用され、正規化された参照相関172が決定される。MINITAB(登録商標)バージョン14又はバージョン16統計パッケージ(MINTAB, INC., State College, PA)、Microsoft Excel、又は回帰法を提供する別の統計分析パッケージにおいて利用可能なものなどの、線形又は非線形(例えば、多項式)回帰法が使用され得る。好ましくは、多項式回帰が正規化された参照相関172を決定するために使用される。
【0063】
例えば、MS Excelバージョン2010では、Trendline Layout Chart Toolを介してアクセス可能なLinear Trendline Optionが線形分析を実施するために選択され得、一方でPolynomial Trendline Optionが非線形多項式分析を実施するために選択され得る。正規化された参照相関172を決定するために他の回帰法も使用される。
図1Fは、以下にさらに取り上げるように、A1c分析システムにおける正規化された参照相関の決定170の例を提供する。
図1Gは、正規化された較正曲線として表現される決定された正規化された参照相関172を表す。
図3Eは、以下にさらに取り上げるように、グルコース分析システムにおける正規化された参照相関の決定170の例を提供する。
【0064】
線形回帰が使用される場合、正規化された参照相関172は、Y=mX+b(式中、mは、傾斜であり、そして、bは、回帰直線の切片である)の形式であるだろう。多項式回帰などの非線形回帰が使用される場合、正規化された関係172は、Y=b
2*X
2+b
1*X+b
0(式中、b
2、b
1及びb
0は、多項式の係数である)などの形式であるだろう。正規化された参照相関172は、好ましくは、後で試料の分析の間に使用するために較正情報の一部として測定装置中に記憶される。測定装置において、Yは、分析の間に決定された正規化された分析物応答性出力シグナル値であり、そして、Xは、正規化された参照相関172から決定されるような試料の分析物濃度である。以下にさらに考察されるように、線形の正規化された参照相関について、X値(試料分析物濃度)は、Y値(正規化された出力シグナルの値)を方程式に入力する場合に求められ得る。二次多項式の形式の正規化された参照相関について、正規化された参照相関172は、X=c
2*Y
2+c
1*Y+c
0(式中、c
2、c
1及びc
0は、方程式についての係数である)として、正規化された較正曲線の形式で表され得る。この関係への正規化された出力シグナルの入力は、分析物濃度を生成するだろう。
【0065】
図Bは、正規化された較正情報と共に第二の外部刺激を考慮する、任意の較正法102を表す。較正法102は、刺激効果が低下されたバイオセンサーシステムの測定装置に組み入れるための第二の外部刺激からの正規化された較正情報を提供する。好ましくは、較正法102はまた、測定装置の工場較正の間にも実施される。較正法102はまた、実験室又は類似の状況で実施され得る。較正法は、測定装置、コンピューターなどの1つ以上の分析装置、又は測定装置と分析装置の組み合わせによって実施され得る。較正法102は、較正法100と組み合わされ、第一の外部刺激及び第二の外部刺激からの正規化された較正情報が提供される。従って、
図A及び
図Bは、バイオセンサーシステムの測定装置についての較正情報を決定する場合に組み合され得る。
【0066】
分析物応答性出力シグナルに悪影響を及ぼす第二の外部刺激(第一の外部刺激が温度である場合の試料のヘマトクリット濃度など)が考慮されるならば、少なくとも2つの第二の定量化された外部刺激値134が、外部刺激定量化130に従って決定され得る。
図4D及び
図4Eは、以下にさらに取り上げるように、グルコース分析システムにおける第二の定量化された外部刺激値134の決定の例を提供する。
【0067】
次いで、第二の正規化関係147が正規化関係の決定140に従って決定され得るが、ここで、第二の正規化関係147は、単一の選択された試料分析物濃度における正規化された分析物応答性出力シグナル162と第二の定量化された外部刺激値134との間で決定される。第二の正規化関係147は、好ましくは、較正情報の一部として測定装置中に記憶される。
図4Fは、以下にさらに取り上げるように、グルコース分析システムにおける第二の正規化関係147の決定の例を提供する。
【0068】
第二の外部刺激の場合、第二の正規化値の決定155が実施される。第二の正規化値157は、第二の正規化関係147から、第二の定量化された外部刺激値134を第二の正規化関係147に入力し、第二の正規化値157を求めることによって決定される。
【0069】
第二の外部刺激の場合、第二の正規化された出力シグナルの決定165が実施される。第二の正規化された分析物応答性出力シグナル167は、正規化された分析物応答性出力シグナル162を第二の正規化値157で割ることによって決定される。
図4Gは、以下にさらに取り上げるように、グルコース分析システムにおける第二の正規化された分析物応答性出力シグナル167を決定する例を提供する。
【0070】
第二の外部刺激の場合、第二の正規化された参照相関の決定175が実施される。第二の正規化された参照相関177は、先に記載したように、回帰法によって、第二の正規化された分析物応答性出力シグナル167と参照試料分析物濃度124との間で決定される。
図4Hは、以下にさらに取り上げるように、グルコース分析システムにおける第二の正規化された参照相関177を決定する例を提供する。
【0071】
第二の正規化された参照相関177は、好ましくは、較正情報の一部として測定装置中に記憶される。この場合、正規化された参照相関172は、測定装置中に記憶される必要なく、好ましくは分析の間に使用されない。同様に、3つ以上の外部刺激が較正情報によって考慮され得、ここで、各外部刺激は、個々の正規化関係によって表される組み合された外部刺激について作製された単一の正規化された参照相関に加えて、測定装置中に記憶された個々の正規化関係によっても表される。
【0072】
図Cは、正規化された参照相関を使用して、外部刺激効果が低下された試料の分析物濃度を決定する分析法200を表す。分析法200は、好ましくは、ユーザーが血液などの試料を分析するためにバイオセンサーシステムの測定装置を作動させる場合に実施される。好ましくは、試料は、赤血球を含む血液である。試料を分析するために光学及び/又は電気化学法が使用され得る。
【0073】
分析分析物応答性出力シグナルの測定220では、1つ以上の分析物応答性出力シグナル値222が試料から測定され、ここで、分析物応答性出力シグナル値は、分析物応答性出力シグナル値に組み入れられる誤差をもたらす、物理的特性、環境側面及び/又は製造変動などの1つ以上の外部刺激に影響される。分析物応答性出力シグナル値222は、例えばゲートアンペロメトリー、ゲートボルタンメトリーなどの、光学及び/又は電気化学法を使用して試料から生成された1つ以上の出力シグナルから測定される。
【0074】
分析外部刺激定量化230では、1つ以上の外部刺激応答性出力シグナルが測定される。外部刺激応答性出力シグナルに応答する、1つ以上の定量化された外部刺激値が決定される。方法100から、第一の外部刺激に応答する、単一の又は第一の定量化された外部刺激値232が決定され得る。方法100及び102が組み合わされて、第一の外部刺激に応答する第一の定量化された外部刺激値232及び第二の外部刺激に応答する第二の定量化された外部刺激値234が決定され得る。他の定量化された外部刺激値も決定され得る。従って、定量化された外部刺激値は、較正情報によって対応される各外部刺激について決定される。定量化された外部刺激応答性出力シグナルは、例えばゲートアンペロメトリー、ゲートボルタンメトリーなどの、光学及び/又は電気化学法を使用して試料から生成された1つ以上の出力シグナルから測定される。
【0075】
分析正規化値の決定250では、1つ以上の先に決定された正規化関係が1つ以上の正規化値を決定するために使用される。先に決定された正規化関係の例は、先に記載された正規化関係142及び先に記載された第二の正規化関係147である。例えば、分析物応答性出力シグナル値222及び定量化された外部刺激値232の1つ以上が正規化関係142に入力される。同様に、分析物応答性出力シグナル値222及び定量化された外部刺激値234の1つ以上が第二の正規化関係147に入力される。このように、外部刺激値232又は234が正規化関係142又は147に入力され、正規化値が決定され得る。従って、1つ以上の分析物応答性出力シグナル値及び1つ以上の定量化された外部刺激値が1つ以上の正規化関係に入力され、1つ以上の正規化値が決定される。
【0076】
正規化された分析物応答性出力シグナルの決定260では、1つ以上の分析物応答性出力シグナル値及び1つ以上の正規化値に応答する、少なくとも1つの正規化された分析物応答性出力シグナル値が決定される。1つ以上の分析物応答性出力シグナル値222は、正規化値で割られ、1つ以上の正規化された分析物応答性出力シグナル値262(1つの外部刺激の場合)又は267(2つの外部刺激の場合)が決定される。好ましくは、1つの分析物応答性出力シグナル値が使用され、1つの正規化された分析物応答性出力シグナル値が決定される。
【0077】
分析分析物濃度の決定280では、1つ以上の正規化された参照相関及び1つ以上の正規化された分析物応答性出力シグナルに応答する、試料中の1つ以上の分析物濃度が決定される。好ましくは、先に記載された正規化された参照相関172又は177などの、先に決定された正規化された参照相関は、1つ以上の正規化された分析物応答性出力シグナル値262又は267を試料の分析物濃度282に変換する。好ましくは、先に記載された正規化された参照相関172又は177は、1つの正規化された分析物応答性出力シグナル値を試料の分析物濃度に変換する。試料の2つ以上の分析物濃度が決定される場合、分析物濃度が平均化され、試料の平均分析物濃度が提供され得る。
【0078】
290では、試料の分析物濃度282が、表示され、今後の参照のために記憶され、補償され、かつ/又は追加の算出のために使用され得る。
【0079】
従って、分析法200では、正規化された参照相関172又は177が測定装置に組み入れられ、従来の参照相関が一次出力シグナル値を決定された試料の分析物濃度に転換するために使用される方法と同様に使用される。分析法200の場合を除き、一次出力シグナル値が参照相関122によって変換される代わりに、正規化された分析物応答性出力シグナル値262又は267が、それぞれ正規化された参照相関172又は177によって変換され、1つ以上の外部刺激からの効果が低下された試料の分析物濃度が提供される。
【0080】
較正のためのこの正規化プロセスを使用して、測定装置に組み入れるための外部刺激効果が低下された較正情報を決定するための較正法100の例が、A1c分析システムについて
図1において示される。この例では、試料は、血液であり;試料分析物は、血液試料中のA1cであり、そして、試料分析物濃度は、試料%−Alcである。A1cは、一次刺激であるが、一方でTHbは、外部刺激である。
図1を通して算出された数値は、異なる分析システム又はさらに異なるA1c分析システムでも異なるだろう。この方法は、
図1B〜
図1Hにおいてプロットを用いて表される。
【0081】
図1Aは、4つのTHb濃度(85mg/mL、125mg/mL、175mg/mL及び230mg/mL)における、測定装置のゾーン1検出器から記録されたA1c反射率シグナル対参照試料分析物濃度(%−A1c)を示す。%−A1c測定は、公知の濃度のA1cを含む血液の各参照試料について2回繰り返された。測定装置のゾーン1検出器から測定されたA1c反射率シグナルがTHb依存的であるので、A1c反射率シグナルは同じ%−A1c参照試料分析物濃度について拡散される。従って、実際のA1c濃度が1セットの参照試料について同一であっても、その参照試料セットについてゾーン1検出器から測定された、測定されたA1c反射率シグナルはTHb外部刺激に起因して異なっていた。図に示される方程式は、この分析についての従来の参照相関を表し、ここで、測定装置からの出力シグナルは、この方程式によって分析物濃度に直接転換される。決定された参照相関(Y=−0.0006x
2+0.0263x+0.2239)と参照試料からの出力シグナルとの間の0.6272の比較的低いR
2相関に留意されたい。
【0082】
図1Bは、測定装置のゾーン2検出器から決定されるような、4つのTHb参照試料濃度(85mg/mL、125mg/mL、175mg/mL及び230mg/mL)における比較的一定のTHb出力シグナルを示す。従って、各THb濃度について、外部刺激THbの平均シグナル値が決定された。例えば、
図1Bから、85mg/mLTHb試料濃度において、平均化することによって、約0.76の定量化された外部刺激シグナル値が決定された。二次出力シグナルから外部刺激を定量化するために、平均化以外の方法も使用され得る。
【0083】
図1Cは、血液試料中の4つの異なるTHb濃度について分離された、測定装置のゾーン1検出器から記録された個々のA1c反射率シグナルを示す。これは、単一の試料分析物濃度が選択されることを可能にし、それから合成された外部刺激応答性出力シグナル値が一次出力シグナルから決定され得る。この例では、線形回帰線が、一般的な関係(R
A1c=Slope
*%−A1c+Int、式中、R
A1cは、測定装置からの出力シグナルであり、Slope及びIntは、それぞれ、各THb試料濃度における線形回帰線の傾斜及び切片であり、そして、%−A1cは、試料分析物濃度である)を使用して、4つのTHb試料濃度の各々で決定された。他の回帰法も使用され得る。
【0084】
85mg/mLTHb及び230mg/mLTHbにおいて決定された回帰方程式が図に示されるが、127及び175mg/mLTHbにおける回帰方程式も決定された。この例では、9%−A1cの単一の選択された試料分析物濃度が選択され、一次出力シグナルから合成された外部刺激応答性出力シグナル値が決定された。従って、この例では、9%の参照試料分析物濃度は、85mg/mLTHb回帰線から85mg/mLTHb試料について、約0.36のA1cの合成された外部刺激応答性出力シグナル値を、230mg/mLTHb回帰線から230mg/mLTHb試料について、約0.44のA1cの合成された外部刺激応答性出力シグナル値を提供した。
【0085】
合成された外部刺激応答性出力シグナル値は、回帰線を決定して、選択された参照試料分析物濃度から一次出力シグナル値を「逆決定する」以外の方法で決定され得る。例えば、合成された外部刺激応答性出力シグナル値は、4つのTHbレベルの全てについての1つの参照試料%−A1c濃度における測定された一次出力シグナル値から選択され得る。同時に測定された単一のTHb反射率シグナルをA1c反射率シグナルとペアにして、A1c及びTHbデータの4つのペアを形成し、A1c反射率対THb反射率のプロットを構成して、これはまた、正規化関係へと導くだろう。
【0086】
9%−A1cの単一の選択された試料分析物濃度が
図1Cにおいて選択されたが、好ましくは6〜11%−A1cの参照試料分析物濃度もまた選択され得る。従って、合成された外部刺激応答性出力シグナル値を決定するための単一の選択された試料分析物濃度は、分析システムに対して所望の測定性能を提供するために、好ましくは参照試料分析物濃度の範囲の中央に近いが、中央のいずれか一方にあってもよい。
【0087】
以下の表Aは、同じレベルのTHbにおけるTHbシグナルを平均化することから収集されたデータペア及び
図1Cと同様に上の一般回帰関係(R
A1c=Slope
*%−A1c+Int)を介して単一の%−A1c濃度(この例では、9%A1c)で算出された対応する合成されたTHb応答性出力シグナルを示す。
【0088】
【表1】
*試料は、検出器に適切なシグナルを得るために希釈された。
【0089】
図1Dは、これらの4つのペアのデータの相関プロットであり、ここで、Y軸中のA1c出力シグナルから抽出された合成された外部刺激応答性出力シグナルは、外部刺激であるX軸中のTHbシグナル(二次出力シグナル)に対してプロットされる。
図1Dはまた、単一のA1c濃度における合成された外部刺激応答性出力シグナルと試料THb濃度に応答する二次出力シグナルとの間の相関を確立する、正規化関係140を決定する例を提供する。
【0090】
次いで、回帰法、この場合、多項式回帰法(a
2*THb
2+a
1*THb+a
0、式中、a
2、a
1及びa
0は、曲線適合からの二次多項式正規化関数の係数であり、そして、THbは、THbについての定量化された外部刺激値である)が使用され、単一の選択された試料分析物濃度における合成された外部刺激応答性出力シグナルと定量化された外部刺激シグナルとの間の正規化関係142が決定された。この例からのA1c分析データについての特定の正規化関係は、
図1DにY=−3.34X
2+3.85X−0.63として示され、従って、この例についての特定の二次多項式係数を示しており、式中、Yは、単一の選択された分析物濃度における外部刺激に応答する算出された合成された外部刺激応答性出力シグナルであり、そして、Xは、定量化された外部刺激シグナル/値である。異なる分析は、異なる回帰係数を有するだろう。Xの値(定量化された外部刺激シグナル値)が二次多項式に入れられる場合、正規化値(NV)であるYの値は、この正規化関係を介して生成される。
【0091】
図1Eは、正規化値を使用した、正規化された分析物応答性出力シグナル162の決定の例を提供する。従って、
図1CからのA1c反射率シグナルは、
図1Dの正規化関係及び正規化値を使用して、正規化された一次出力シグナル値に変換される。正規化関係及び正規化値からの正規化された分析物応答性出力シグナルの決定は、関係NR
A1c=R
A1c/NV
A1c(式中、NR
A1cは、THb正規化された分析物応答性出力シグナルであり、R
A1cは、測定装置からのA1c反射率シグナルであり、そして、NV
A1cは、正規化値である)によって表され得る。
【0092】
好ましくは、正規化された分析物応答性出力シグナルの決定は、分析物応答性出力シグナルの全て又は大部分について実施され、較正情報が決定される。しかしながら、分析物応答性出力シグナルのサブセットも分析システムに依存して使用され得る。従って、
図1Eでは、
図1Cからの分析物応答性出力シグナル値は、
図1Fからの正規化値を使用して、
図1Dで決定された正規化関係を介して、対応する正規化値で割ることによって正規化され、
図1Eに示される正規化された分析物応答性出力シグナル値が提供され、次いで、これが
図1Fに組み合わされる。
【0093】
図1Fは、
図1Eの正規化された分析物応答性出力シグナルからの正規化された参照相関の決定の例を提供する。NR
A1cは、参照試料分析物濃度(%−A1c)に対してプロットされ、回帰法によって曲線適合されて、正規化された参照相関が提供された。回帰法、この場合、二次多項式回帰法(a
2*%−A1c
2+a
1*%−A1c+a
0、式中、a
2、a
1及びa
0は、多項式の係数であり、そして、%−A1cは、参照試料の分析物濃度である)が使用され、正規化された参照相関が決定された。
【0094】
この例からのA1c分析データについての特定の正規化された参照相関は、
図1Fにy=−0.1119X
2+0.0697X+0.538として示され、従って、この例についての特定の二次多項式係数を示す。異なる分析は、異なる係数を有するだろう。また、R
2=0.9663も
図1Fに示されるが、これは、正規化された一次出力シグナルと%−A1cについての参照試料分析物濃度との間の優れた一致を示す。この正規化された参照相関の決定では、正規化された一次出力シグナルは回帰に対して従属変数であったが、一方で%−A1cについての参照試料分析物濃度は独立変数であった。従って、この正規化された参照相関は、%−A1cについての参照試料分析物濃度からの正規化された分析物応答性出力シグナル値の出力と考えられ得る。
【0095】
図1Gは、
図1Eの正規化された分析物応答性出力シグナル値からの正規化された参照相関の決定の別の例を提供する。
図1Gでは、正規化された分析物応答性出力シグナルは回帰に対して独立変数であったが、一方で%−A1cについての参照試料分析物濃度は従属変数であった。従って、横x軸対縦y軸は反転される。この例では、決定された正規化された参照相関は、y=28.26X
2−28.996X+0.522であり、そして、R
2相関は0.962であり、これも正規化された分析物応答性出力シグナルと%−A1cについての参照試料分析物濃度との間の優れた一致を示した。異なる分析は、異なる回帰係数を有するだろう。従って、この正規化された参照相関は、正規化された分析物応答性出力シグナル値からの%−A1cについての参照試料分析物濃度の出力と考えられ得る。
【0096】
このように表現された正規化された参照相関は、「正規化された較正曲線」と考慮され得る。試料分析物濃度を提供するそのような正規化された較正曲線は、バイオセンサーシステムが一次出力シグナルから分析物濃度を決定するので、分析200の間に使用するために測定装置中に記憶されるのが好ましく、そして、
図1Fの正規化された参照相関から得られるような反転はない。従って、Xの値(正規化された出力シグナル)が二次多項方程式に入れられる場合、Yの値(分析物濃度)が得られる。
【0097】
図1Hは、正規化された分析物応答性出力シグナル値を曲線上に重ね合わせることによって、正規化された分析物応答性出力シグナルを、
図1Gからの正規化された較正曲線の形式の正規化された参照相関と比較する。別の興味深い点は、従来の参照相関について
図1Aにおいて決定された0.6272のR
2相関値と正規化された参照相関について
図1Fにおいて決定された0.9663のR
2相関値の比較である。正規化された参照相関のおよそ54%(0.9663−0.6272/0.6272
*100)の改善は、従来の測定された出力シグナル値/参照相関と比較して、分析物試料濃度を決定する上での正規化された出力シグナル値/正規化された参照相関の優位性を確立する。
【0098】
正規化関係及び正規化された参照相関を含む得られた較正情報は、ルックアップテーブル、1つ以上の方程式などの形態で測定装置中に記憶され得る。他の関係もまた測定装置中に記憶され得る。較正情報は、試料の分析の間に測定装置のプロセッサーによって使用され、試料の分析物濃度が決定される。
【0099】
1つの一次出力シグナルを有する測定装置では、1つの一次出力シグナルについての較正情報を決定するために上の技法が使用され得る。しかしながら、2つ以上の一次出力シグナルを有する測定装置では、較正情報が各一次出力シグナルについて決定され、組み合された異なる較正情報から分析物濃度が決定され得る。例えば、一次刺激を決定するためのゾーン1についての2つ以上の検出器を有するA1c測定装置では、較正情報が各検出器チャネルについて決定され、次いで、各検出器チャネルから決定された初期分析物濃度を平均化することによって最終分析物濃度が決定され得る。
【0100】
代替的に、同じ一次刺激の2つ以上の一次出力シグナルを有する測定装置では、出力シグナルが最初に組み合わされて、組み合わされたシグナルについての較正情報が決定され得る。次いで、組み合わされた較正情報を使用して独立した出力シグナルが分析物濃度に変換され、初期分析物濃度が提供され、次いで、これが組み合わされて試料の分析物濃度が提供され得るか、又は組み合わされたシグナルについて決定された較正情報によって組み合わされた出力シグナルが変換され、試料の分析物濃度が提供され得る。例えば、ゾーン1についての2つ以上の検出器を有するA1c測定装置では、両方の検出器からの出力シグナルが平均化され、両方の検出器からの平均化された出力シグナルについて較正情報が決定され得る。次いで、平均化された出力シグナルは、平均化された出力シグナルから決定された較正情報によって試料の分析物濃度に変換されるか、又は平均化された出力シグナルから決定された較正情報によって両方のチャネルからの出力シグナルが変換されて、2つの初期分析物濃度が提供され、次いで、これが平均化されて、試料の最終分析物濃度が提供され得る。
【0101】
図2に関して記載された例は、測定装置の2つの個々の検出器チャネルの各々について独立した較正情報を決定する利点を示しており、ここで、2つの出力シグナルチャネルの各々は、A1c応答性情報とTHb応答性情報の両方を含む。
図2を通して算出された数値は、異なる分析システム又はさらに異なるA1c分析システムでも異なるだろう。
【0102】
図2Aは、2つの検出チャネルを有するA1c測定装置の両方のチャネルについての正規化関係を表す。従って、この例については、
図2Aは、ゾーン1チャネル1検出器(Ch1)からの一次出力シグナル及びゾーン2チャネル2検出器(Ch2)からの二次出力シグナルについての;並びにゾーン1チャネル3検出器(Ch3)からの一次出力シグナル及びゾーン2チャネル4検出器(Ch4)からの二次出力シグナルについての2つの別々の正規化関係を示す。従って、Ch1及びCh3は、A1c応答性出力シグナルを提供し、一方でCh2及びCh4は、THb応答性出力シグナルを提供する。
【0103】
図2Bは、A1c測定装置のCh1及びCh3についての個々の正規化された較正曲線を表す。また、Ch1/Ch2から決定された正規化された出力シグナル、Ch3/Ch4から決定された正規化された出力シグナル、及びこれらの正規化された出力シグナルの平均も図上にプロットされる。先に記載したように、多項式回帰法が使用され、正規化された較正曲線の形態の正規化された参照相関が決定された。
【0104】
図2Cは、参照試料についての2つの個々のチャネル(Ch1&Ch3)からの正規化されたA1c反射率シグナルを示す。平均化は、2つの初期%−A1c濃度について実施され、最終A1c濃度が提供され得る。以下の表1及び表2中の平均及びバイアス率標準偏差(SD)値は、それぞれ、別々の個々のチャネルの結果、並びに較正及び測定装置試料分析についての平均A1cの結果を示す。参照試料を使用した較正、及び較正情報を使用して測定装置で実施された分析の両方について、平均化された決定された分析物濃度が個々のチャネルの結果よりも改善される。表2から、Ch1バイアス標準偏差は、平均に対して、ほぼ9パーセント(8.8%)(5.58−5.09/5.58
*100)減少し、一方でCh2バイアス標準偏差は、18%超(18.3%)(6.23−5.09/6.23
*100)減少した。従って、バイアス標準偏差は、平均化された決定された分析物濃度に対して、平均で10%超(13.5%)(8.8+18.3/2)減少した。
【0105】
【表2】
【0106】
【表3】
【0107】
各チャネルについての較正情報を決定し、次いで、各チャネルについて決定された中間試料濃度を組み合わせることに加えて、各チャネルからの出力シグナルが最初に組み合され、次いで、これを使用して組み合されたシグナルについての較正情報が決定され得る。
図2Dは、測定装置のCh1及びCh3からのA1c反射率出力シグナルを最初に平均化することによって決定された正規化関係を示す。従って、
図2Aに表される2つの正規化関係を決定するために使用される同じ出力シグナルが最初に平均化された。
図2Eは、平均化された測定装置のCh1及びCh3からのA1c反射率シグナルについて決定された正規化された較正曲線の形式の正規化された参照相関を示す。次いで、測定装置の各チャネルからの出力シグナルが、この較正情報を用いて初期分析物濃度に変換され、初期分析物濃度が平均化されて、最終試料分析物濃度が決定され得る。
【0108】
電気化学グルコース分析システムからの一次出力シグナルに対する温度についての外部刺激効果が低下された較正情報を決定するための較正法100の例が
図3に示される。この例では、試料は、血液であり、そして、試料分析物は、グルコース(一次刺激)である。試料分析物濃度は、試料グルコース濃度であり、そして、外部刺激は、温度及びヘマトクリットである。
【0109】
温度効果について、40%Hct(出力電流と参照試料分析物濃度とを関連付ける従来の参照相関が決定された%−Hct)及び異なる温度における参照試料から測定装置によって測定された電流が正規化された。このタイプのグルコースシステムでは、作用電極及び対電極は一次出力シグナルを提供するが、一方で温度センサーは二次出力シグナルを提供する。このプロセスは、
図3A〜
図3Fにおいてプロットで表される。
図3を通して算出された数値は、異なる分析システム又はさらに異なるグルコース分析システムでも異なるだろう。
【0110】
図3Aは、異なる温度及び40%Hctにおけるグルコースについて、測定装置から得られた電流対参照試料分析物濃度をプロットする。より高い試料グルコース濃度における温度変化に起因して、電流はより広範囲に拡散するようになる。血液中約80mg/dLのグルコースを含む参照試料から測定装置によって決定された電流は約75nAあたりに密接して集まったが、約320mg/dL及び約580mg/dLのグルコースを含む参照試料から測定装置によって決定された電流は広範囲に広がった。実際に、
図3Aに示すように、これらの電流から決定された線形回帰線は、わずか0.6のR
2相関を示した。この図は、
図1Cで先に観察されたように、分析物応答性出力シグナルに対する外部刺激の効果を示すと考えられ得る。
図1Cでは、外部刺激は試料THbであったが、一方で
図3Aでは、それは温度であった。
【0111】
図3Bは、これらの一次出力シグナル電流をこれらが記録された温度で分離する。従って、温度は、参照試料の分析物濃度が各温度において同一であっても、測定装置からの分析物応答性出力シグナル電流に悪影響を及ぼす外部刺激である。この例では、一般的な関係i
G=Slope
*G
Ref+Int(式中、i
Gは、測定装置からのグルコース応答性電流であり、そして、G
Refは、合成された外部刺激応答性出力シグナル値を決定するためのグルコースについての参照試料分析物濃度である)を使用して5つの温度の各々で線形回帰線が決定された。合成された外部刺激応答性出力シグナル値を決定するために、他の技法も使用され得る。
【0112】
図3Bでは、100及び500mg/dLの2つの試料グルコース濃度が、それらの対応する温度における合成された外部刺激応答性出力シグナル値を決定するために選択された。従って、9%の単一の選択された試料分析物濃度が選択されたA1cシステムとは異なり、この例は、合成された外部刺激応答性出力シグナル値が、2つ以上の単一の選択された試料分析物濃度において決定され得ることを示す。100及び500mg/dL以外の単一の選択された試料分析物濃度も使用され得る。
【0113】
以下の表3は、A1cの例に関して先に記載されたもの(i
G=Slope
*G
Ref+Int)と類似の回帰方程式を使用することによって、個々の回帰線から100及び500mg/dLグルコース試料分析物濃度における各温度について得られた合成された外部刺激応答性出力シグナル値を提供する。表中の温度値は、ターゲット温度において参照試料の分析を実施する場合の全ての測定された温度からの平均である。従って、表3は、100又は500mg/dLの選択された単一のグルコース濃度において2セットのペアを形成し、各セットは出力シグナル−温度データの7つのペアを含有する。
【0114】
【表4】
【0115】
従って、
図3Bは、測定装置からの出力電流を、
図1Cにおいて記載されたようにTHb試料濃度ではなく温度によって分離する。プロットに集中することがないように、試験された7つの温度のうち5つについて、5つの相関線だけがプロットされた。
【0116】
図3Cは、正規化関係を決定するための、100及び500mg/dLの2つの別々の単一グルコース濃度で得られた合成された外部刺激応答性出力シグナル対定量化された外部刺激(温度)との間の相関を示す。
図3Cはまた、分析物応答性出力シグナルの正規化のために温度を考慮する、正規化関係140を決定する例を提供する。
図3Cの縦Y軸は、
図3Bの回帰線から合成されかつ5つの温度について100及び500mg/dLグルコースの単一の選択された試料分析物濃度において決定されるような、外部刺激応答性値を示す。
図3Cの横X軸は、外部刺激温度についての各ターゲット温度において決定された平均値を示す。
【0117】
次いで、回帰法、この場合、多項式回帰法(a
2*T
2+a
1*T+a
0、式中、a
2、a
1及びa
0は、曲線適合からの二次多項式正規化関数の係数であり、そして、Tは、温度について定量化された外部刺激値である)が使用され、単一の選択された試料分析物濃度における合成された外部刺激応答性出力シグナルと定量化された外部刺激シグナルとの間の正規化関係142が決定された。この例からの100及び500mg/dLグルコース分析データについての特定の正規化関係は、
図3Cにy=0.0104X
2+3.0646x+22.366(100mg/dL)及びy=0.05214X
2+15.3228x+111.832(500mg/dL)として示され、従って、この例についての特定の二次多項式係数を示しており、式中、Yは、単一の選択された分析物濃度における外部刺激シグナルに応答する、算出された合成された外部応答性出力シグナルであり、そして、Xは、定量化された外部刺激シグナル/値である。異なる分析は、異なる係数を有するだろう。Xの値(定量化された外部刺激シグナル値)が二次多項式に入れられる場合、正規化値(NV)であるYの値は、この正規化関係を介して生成される。この図は、
図1Dと同様であると考えられ得るが;しかしながら、この例では、正規化値は、2つの参照試料分析物濃度において決定され得る。
【0118】
図3Dは、100mg/dLにおける正規化値からの正規化された分析物応答性出力シグナル162の決定の例を提供する。従って、
図3Bの縦y軸からの分析物応答性出力シグナルは、分析物応答性出力シグナルを
図3Cの正規化関係から得られたそれらの対応する正規化値で割ることによって、正規化された一次出力シグナル値に変換された。正規化関係及び正規化値からの正規化された分析物応答性出力シグナルの決定は、関係Ni
G=i
measured/NIV
Temp(式中、Ni
Gは、温度正規化された分析物応答性出力シグナルであり、i
measuredは、測定装置からのグルコース応答性電流であり、そして、NV
Tempは、温度正規化から決定された正規化値である)によって表され得る。従って、異なる温度についての
図3Bの5つの個々の線は、
図3Dに表されるような密に詰まった線の一群と化した。先に考察したように、好ましくは、正規化された分析物応答性出力シグナルの決定は、分析物応答性出力シグナルの全て又は大部分について実施され、較正情報が決定される。
【0119】
図3Eは、
図3Dの正規化された分析物応答性出力シグナル値からの正規化された参照相関の決定の例を提供する。Ni
Gは、参照試料分析物濃度に対してプロットされ、回帰法によって曲線適合されて、正規化された参照相関が提供された。回帰法、この場合、線形回帰法(Y=Slope
*X+Int)が使用され、正規化された参照相関が決定されたが、ここで、分析200の間、Yは、測定装置によって決定された正規化された一次出力シグナルであり、そして、Xは、試料の参照分析物濃度である。従って、Y値(正規化された出力シグナル)が線形回帰方程式に入れられる場合、X値(分析物濃度)は方程式を解くことによって得られる。
【0120】
この例からのグルコース分析データについての特定の正規化された参照相関は、
図3EにY=0.01033X−0.14082として示され、従って、この例についての特定の線形係数を示す。異なる分析は、異なる係数を有するだろう。また、
図3EにおいてR
2=0.9946が示されるが、これは、正規化された一次出力シグナルと参照試料分析物濃度との間の優れた一致を示している。従って、この正規化された参照相関は、正規化された分析物応答性出力シグナル値からのグルコースについての決定された試料分析物濃度を提供すると考えられ得る。
【0121】
測定された温度(6.0℃、10.9℃、15.9℃、22.0℃、30.4℃、35.1℃及び40.0℃)について、100mg/dLグルコース参照試料分析物濃度における、平均温度、従来の参照相関を使用して各温度において得られた回帰傾斜、及び正規化された参照相関を使用して各温度において得られた回帰傾斜が、以下の表4に集計される。
【0122】
【表5】
【0123】
測定性能の改善は、平均応答傾斜及び正規化の前後の傾斜の%−CVを見ることによって良好であることが認められ得る。測定装置からの一次出力シグナル及び従来の参照相関を用いて決定された応答傾斜の%−CVは、45.6%であった。対照的に、記載の正規化された一次出力シグナル及び正規化された参照相関を用いて決定された応答傾斜の%−CVは、2.3%に低下し、およそ95%の低下(45.6−2.3/45.6*100)であった。この低下は、正規化された出力シグナル電流が
図3Eの正規化された参照相関を用いて試料分析物濃度に変換された場合を、測定装置からの基底電流が
図3Aの従来の参照相関によって変換された場合と比較して図で表される。
【0124】
図3Fは、正規化の前後の異なる温度(6.0℃、10.9℃、15.9℃、22.0℃、30.4℃、35.1℃及び40.0℃)に起因する決定されたグルコース濃度の%−バイアスをプロットする。測定された電流は、従来の参照相関によって変換された場合におよそ±60の%−バイアスの広がりを示したが、一方で正規化された電流は、およそ±20の%−バイアスの広がりを示した。従って、温度刺激の正規化低下を欠く従来法によって提供された較正情報を含む測定装置を用いて決定された試料分析物濃度と比較して、本方法に従う較正情報を含む測定装置を含むバイオセンサーシステムを用いて決定された試料分析物濃度について、およそ3倍の%−バイアスの低下が期待されるだろう。
【0125】
温度の効果が低下すると、2工程正規化プロセス、従って
図A及び
図Bの組み合わせを使用して、試料ヘマトクリットなどの第二の外部刺激の効果もまた実質的に低下され得る。このタイプのグルコースシステムでは、作用電極及び対電極は、一次出力シグナルを提供するが、一方で温度センサーは、好ましくは二次出力シグナルを提供し、そして、ヘマトクリット電極は、好ましくは追加の二次出力シグナルを提供する。温度及びヘマトクリットに応答する二次出力シグナルは、先に考察したように他の方法でも生じ得る。温度、次いで、試料ヘマトクリットによる段階的正規化は、一般に、複数の温度(上で記載したような)における測定装置からの出力電流を正規化し、次いで、ヘマトクリット正規化関係を使用して、得られた温度正規化された出力シグナル電流を複数のHct試料濃度について正規化することによって実施された。
【0126】
電気化学グルコース分析システムからの一次出力シグナルに対するヘマトクリットについての二次外部刺激効果が低下された、較正情報を決定するための較正法102の例が
図4に示される。この例では、試料分析物はグルコース(一次刺激)であり、そして、試料分析物濃度は血液の試料中のグルコース濃度である。血液試料中のヘマトクリット濃度は、第一の外部刺激である温度以外の第二の外部刺激である。この方法は、
図4A〜
図4Iにおいてプロットで表される。
図4を通して算出された数値は、異なる分析システム又はさらに異なるグルコース分析システムでも異なるだろう。
【0127】
図4Aは、試験した温度(6.0℃、10.9℃、15.9℃、22.0℃、30.4℃、35.1℃及び40.0℃)及び試験したHct参照試料濃度(0%、20%、40%、55%、70%)についての公知のグルコース濃度を含む参照試料についての測定装置からの出力シグナル電流を示す。ヘマトクリット電極から得られた二次出力シグナルが使用され、公知のヘマトクリット濃度を有する参照試料からHct応答性出力電流が得られた。期待されるように、約80mg/dLグルコース分析物濃度を含む参照試料から測定装置によって決定された電流は約75nAあたりに密接して集まったが、一方で約320mg/dL及び約580mg/dLグルコース分析物濃度を含む参照試料から測定装置によって決定された電流は広く広がった。
【0128】
図4Bは、血液試料中の40%Hct並びに100及び500mg/dLの2つの別々の単一グルコース濃度における温度正規化関係を表し、そして、同じ温度刺激低下が実施されているように、
図3Cにおいて先に表されたものと同じである。温度正規化は、同じ温度刺激低下が実施されたように、温度からの外部刺激の効果を低下させるためのこの例で行われた第一工程であった。
図4Bから、先に記載したように、温度刺激の効果の低下を伴う正規化された分析物応答性出力シグナルが決定された。
【0129】
図4Cは、
図4からの温度正規化された分析物応答性出力シグナル値対この例で試験されたHct参照試料濃度におけるグルコースについての参照試料分析物濃度をプロットする。期待されるように、基底の試料分析物濃度が同じであっても、異なるHct濃度でより高いグルコース濃度において、正規化された電流の有意な拡散が観察される。
図4Cは
図3Bと同様であると考えられ得るが、温度ではなくヘマトクリットの第二の外部刺激の効果を示している。
【0130】
誤差パラメーター又は外部刺激としての温度は、好ましくは一次刺激と同時に測定され、その値は他の要因とは独立している。血液試料中のヘマトクリット濃度はグルコース濃度と一緒に提供されるが、ヘマトクリット応答性二次出力シグナルは温度依存性である。それ故、温度はまた、Hct応答性出力シグナルに対する外部刺激でもあり、温度の効果は、好ましくは正規化によって低減される。その含まれる手順は、最初に単一の選択されたHct濃度における温度に対するHct応答性電流プロットを構築することである。次いで、後で使用するための、温度正規化されたHct出力シグナルから算出された%−Hct値を提供する、Hct正規化された較正曲線が決定される。
【0131】
図1C及び
図3Bに関して、それぞれA1c及びグルコースについて先に記載したように、合成されたHct出力シグナル値が同様に生成された。この決定では、図に示していないが、各参照試料ヘマトクリット濃度における参照試料についてのHct電極から記録された電流が縦y軸上にプロットされ、一方で公知の参照試料ヘマトクリット濃度が横x軸上にプロットされた。回帰線が各温度(6.0℃、10.9℃、15.9℃、22.0℃、30.4℃、35.1℃及び40.0℃)についてプロットされ、各温度についての40%試料ヘマトクリット濃度における合成されたHct出力シグナル値が決定された。
【0132】
図4Dは、試料のヘマトクリット濃度に応答する二次出力シグナルから決定された合成されたシグナル対40%ヘマトクリット濃度を含む参照試料についての温度をプロットする。上の操作から、参照試料が分析された40%の単一の選択されたHct濃度からの合成されたHct出力シグナル及び温度の7つのペアが得られ、プロットされた。次いで、回帰法、この場合、図に示されるような、しかし一般形式NV
Hct=(b
2*T
2+b
1*T+b
0、式中、b
2、b
1及びb
0は、曲線適合からの二次多項式正規化関数の係数であり、そして、Tは、温度である)を有する、多項式回帰法が使用され、Hctについての特定の正規化関係が決定された。Hct正規化値が決定され、正規化されたHct電極電流が一般的な関係Ni_
Hct=i_
Hct/NV
Hct(式中、Ni_
Hctは、温度正規化されたHct電極電流であり、i_
Hctは、Hct電極からのHct応答性電流であり、そして、NV
Hctは、Hct正規化値である)を用いて決定された。
【0133】
図4Eは、参照試料%Hct濃度が温度正規化されたHct電極出力電流に対してプロットされた、Hctについての温度正規化された参照相関を示す。バイオセンサーシステムが他の干渉物質に応答する二次出力シグナルを提供するのであれば、他の干渉物質も同様に処理され得る。
【0134】
図4Fは、得られた温度正規化された分析物応答性出力シグナルと参照試料%−Hct値(第二の外部刺激)との間で決定された第二の正規化関係を表す。
図4Fは、温度正規化された出力シグナルと試料%−Hct濃度との間の相関を確立した。すなわち、100又は500mg/dLのいずれかの単一の選択されたグルコース濃度において、温度正規化された出力シグナルは、Hct濃度(第二の外部刺激)に実質的に応答性である。
【0135】
次いで、回帰法、この場合、多項式回帰法(c
2*Hct
2+c
1*Hct+c
0、式中、c
2、c
1及びc
0は、曲線適合からの二次多項式正規化関数の係数であり、そして、Hctは、Hctについての第二の定量化された外部刺激値である)が使用され、単一の選択された試料分析物濃度における合成された第二の外部刺激応答性出力シグナルと定量化された第二の外部刺激値(0%、20%、40%、55%及び70%の参照試料ヘマトクリット濃度)との間の正規化関係が決定された。この例からの100及び500mg/dLグルコース分析データについての特定の正規化関係は、
図4Fにy=−0.00008X
2−0.00456X+1.31152(100mg/dL)及びy=−0.0004X
2−0.0228X+6.5577(500mg/dL)として示され、従って、この例についての特定の二次多項式係数を示しており、式中、Yは、単一の選択された分析物濃度における、第二の外部刺激(Hct)に応答する算出された合成された第二の外部刺激応答性出力シグナルであり、そして、Xは、定量化された第二の外部刺激値である。異なる分析は、異なる係数を有するだろう。Xの値(定量化された第二の外部刺激シグナル値)が二次多項式に入れられる場合、正規化値(NV)であるYの値は、この正規化関係を介して生成される。
【0136】
次いで、100mg/dLにおける正規化値から第二の正規化された分析物応答性出力シグナル167が決定された。従って、次いで、
図4Cの縦Y軸からの温度正規化された出力シグナルが、それらの対応する正規化値と共に
図4Fの正規化関係を使用して、第二の正規化された一次シグナル値に変換された。正規化値からの正規化された分析物応答性シグナルの決定は、関係Ni
G=i
measured/NV
Temp−Hct(式中、Ni
Gは、温度及びヘマトクリット正規化された分析物応答性シグナルであり、i
measuredは、測定装置からのグルコース応答性電流であり、そして、NV
Temp−Hctは、温度及びヘマトクリット正規化から決定された正規化値である)によって表され得る。
【0137】
図4Gは、100mg/dLの選択されたグルコース濃度における温度及びHct正規化された分析物応答性出力シグナル値の使用を介して提供された、
図4Cに表されるようなヘマトクリットの外部刺激によって導入された誤差の低下を図で表す。従って、この図は、
図3Cと同様であると考えられ得るが;しかしながら、この例では、温度及びヘマトクリット正規化された電流の両方が使用される。回帰方程式が下限(0%)及び上限(70%)Hct濃度について示される。
図4Cと比較して、下限Hctとより上限Hctとの間の差は、約600mg/dLにおいて、およそ4の正規化された出力シグナル単位(
図4C)からおよそ0.25の出力シグナル単位(
図4G)へと低下しており、これは回帰線間の差でおよそ93%の低下(4−0.25/4
*100)である。
【0138】
図4Hは、
図4Gの温度及びヘマトクリット正規化された分析物応答性出力シグナル値を組み合わせることからの正規化された参照相関の決定の例を提供する。温度及びヘマトクリット正規化されたシグナルをグルコースについての参照試料分析物濃度に対して縦Y軸上にプロットし、回帰法によって曲線適合させて、正規化された参照相関を提供した。回帰法、この場合、線形回帰法(Y=Slope
*X+Int)が使用され、正規化された参照相関が決定されたが、ここで、分析200の間、Yは、測定装置によって決定された正規化された一次出力シグナル値であり、そして、Xは、決定された試料の分析物濃度である。
【0139】
この例からのグルコース分析データについての特定の正規化された参照相関は、
図4HにY=0.0104X−0.1339として示され、従って、この例についての特定の線形係数を示す。異なる分析は、異なる係数を有するだろう。また、R
2=0.9828も
図4Hに示されるが、これは、正規化された一次出力シグナルとグルコースについての参照試料分析物濃度との間の優れた一致を示す。従って、正規化された参照相関は、正規化された出力シグナルと試料分析物濃度を関連付ける。正規化された出力シグナルが正規化された参照相関に入力される場合、試料分析物濃度が生成される。
図4Hは、温度とHctの正規化の両方を較正情報に組み入れること以外は、
図3Eと同様であると考えられ得る。
【0140】
血液試料から提供されたヘマトクリット濃度(0%、20%、40%、55%及び70%)について、温度及び温度/ヘマトクリット正規化を用いた参照相関の傾斜が表5に集計され、ここで、Slope/Tは、温度正規化された参照相関からの傾斜であり、そして、Slope/T/Hは、温度及びヘマトクリット正規化された参照相関からの傾斜である。
【0141】
【表6】
【0142】
測定性能の改善は、平均応答傾斜並びに温度正規化単独及び温度とヘマトクリットの両方の正規化後についての傾斜の%−CVを見ることによって良好であることが認められ得る。この例では、温度正規化された参照相関を用いて決定された応答傾斜の%−CVは、30.7%であった。対照的に、記載の温度及びヘマトクリット正規化された参照相関を用いて決定された応答傾斜の%−CVは、2.3%まで低下し、およそ92%の%−CVの低下(30.7−2.3/30.7*100)であったが、これは、バイオセンサーシステムに対する測定性能の実質的な増加を提供する。
【0143】
図4Iは、従来の参照相関(%バイアス_raw)、温度正規化された参照相関(%バイアス_T)、並びに温度及びHct正規化された参照相関(%バイアス_T/Hct)を使用して、バイオセンサーシステムの測定装置によって決定された分析物(グルコース)濃度の%−バイアスを図で表す。図は、温度及びヘマトクリット刺激を組み合わせで含む出力電流が、従来の参照相関を用いて試料分析物濃度に直接変換された場合に、ほぼ±100%の%−バイアスを示すことを確立する。較正情報からの温度刺激の除去は、測定装置がおよそ±50%の%−バイアスで分析物濃度を決定することを可能にする一方で、Hct刺激のさらなる除去は%−バイアスをおよそ±30%まで低下させる。従って、従来の較正情報と比較して、記載の正規化された較正情報を用いておよそ70%の%−バイアスの低下が観察された。これは、バイオセンサーシステムの測定性能に関して、従来のシステムと比較して実質的改善であり、追加補償なしで較正情報から提供され得る。
【0144】
図5は、生物学的流体の試料中の分析物濃度を決定する、バイオセンサーシステム500の概略図を描写する。バイオセンサーシステム500は、測定装置502及び試験センサー504を含む。測定装置502は、卓上式装置、可搬式又は携帯式装置などを含む分析機器で実行され得る。好ましくは、測定装置502は、携帯式装置で実行される。測定装置502及び試験センサー504は、電気化学センサーシステム、光学センサーシステム、それらの組み合わせなどを実行するように適合され得る。
【0145】
バイオセンサーシステム500は、先に記載された正規化法に従って作成されかつ測定装置502中に記憶された較正情報を使用して、試料の分析物濃度を決定する。較正法100及び102の一方又は両方からの較正情報が、測定装置502中に記憶され得る。較正情報は、1つ以上の正規化関係及び1つ以上の正規化された参照相関を含む。較正法100及び102の一方又は両方が測定装置502中に記憶され得るので、それで正規化された較正情報が測定装置502によって決定され得る。分析法200は、バイオセンサーシステム500による実行のために測定装置中に記憶され得る。測定装置較正の方法は、試料の分析物濃度の決定におけるバイオセンサーシステム500の測定性能を改善し得る。バイオセンサーシステム500は、グルコース、A1c、尿酸、ラクタート、コレステロール、ビリルビンなどの分析物濃度を含む、分析物濃度を決定するために利用され得る。特定の構成が示されるが、バイオセンサーシステム500は、追加の成分を有する構成を含む、他の構成も有し得る。
【0146】
試験センサー504は、リザーバー508及び開口部512を備えたチャネル510を形成する基部506を有する。リザーバー508及びチャネル510は、通気口を備えた蓋によって被覆され得る。リザーバー508は、部分的に密閉された容積を規定する。リザーバー508は、水膨潤性ポリマー又は多孔質ポリマーマトリックスなどの、液体試料の保持に役立つ組成物を含有し得る。試薬は、リザーバー508及び/又はチャネル510中に置かれ得る。試薬は、1つ以上の酵素、結合剤、メディエーター及び類似種を含み得る。試薬は、光学システム用の化学指示薬を含み得る。試験センサー504は、リザーバー508に隣接する試料インターフェース514を有する。試験センサー504は、他の構成も有し得る。
【0147】
光学センサーシステムでは、試料インターフェース514は、試料を見るための光学ポータル又は間隙(aperture)を有する。光学ポータルは、本質的に透明な材料によって被覆され得る。試料インターフェース514は、リザーバー508の反対側に光学ポータルを有し得る。
【0148】
電気化学システムでは、試料インターフェース514は、作用電極532及び対電極534に接続された導電体を有し、そこから分析出力シグナルが測定され得る。試料インターフェース514はまた、1つ以上の追加の電極536に接続された導電体を含み得、そこから二次出力シグナルが測定され得る。電極は、実質的に同じ面又は2つ以上の面にあり得る。電極は、リザーバー508を形成する基部506の表面上に配置され得る。電極は、リザーバー508中へ延伸又は突出し得る。誘電層が導電体及び/又は電極を部分的に被覆し得る。試料インターフェース514は、他の電極及び導電体も有し得る。
【0149】
測定装置502は、センサーインターフェース518及び任意のディスプレイ520に接続された電気回路516を含む。電気回路516は、シグナル生成器524、任意の温度センサー526及び記憶媒体528に接続されたプロセッサー522を含む。
【0150】
シグナル生成器524は、プロセッサー522に応答してセンサーインターフェース518に電気入力シグナルを提供することが可能である。光学システムでは、電気入力シグナルが、センサーインターフェース518中の検出器及び光源を作動又は制御するために使用され得る。電気化学システムでは、電気入力シグナルが、センサーインターフェース518によって試料インターフェース514へ伝達され、電気入力シグナルが生物学的流体の試料に印加され得る。電気入力シグナルは、電位又は電流であり得、かつ一定、可変、又はACシグナルがDCシグナルオフセットと共に印加される場合のようなそれらの組み合わせであり得る、電気入力シグナルは、連側的に、又は複数の励起、シークエンス若しくはサイクルとして印加され得る。シグナル生成器524はまた、生成器−記録計としてセンサーインターフェースからの出力シグナルを記録することが可能であり得る。
【0151】
任意の温度センサー526は、測定装置502の周囲温度を決定することが可能である。試料の温度は、測定装置502の周囲温度から推定されるか、出力シグナルから算出されるか、又は測定装置502の周囲温度と同じ若しくは類似すると推定され得る。温度は、サーミスタ、温度計又は他の温度感知装置を使用して測定され得る。試料温度を決定するために他の技術も使用され得る。
【0152】
記憶媒体528は、磁気、光学、又は半導体メモリー、別の記憶装置などであり得る。記憶媒体528は、固定式メモリー装置、遠隔アクセスされる可動式メモリー装置、例えばメモリーカードなどであり得る。
【0153】
プロセッサー522は、記憶媒体528中に記憶されたコンピューターで読み取り可能なソフトウェアコード及び較正情報を使用して、分析物分析法を実行することが可能である。プロセッサー522は、センサーインターフェース518における試験センサー504の存在に応答して、試験センサー504への試料の適用で、ユーザー入力に応答などして分析物分析を開始し得る。プロセッサー522は、センサーインターフェース518に電気入力シグナルを提供するようにシグナル生成器524に指示することが可能である。プロセッサー522は、温度センサー526から試料温度を受け取ることが可能である。プロセッサー522は、センサーインターフェース518から出力シグナルを受け取ることが可能である。
【0154】
電気化学システムでは、試料中の分析物の反応に応答して、作用電極及び対電極532、534から分析物応答性一次出力シグナルが生成される。また、二次出力シグナルも追加の電極536から生成され得る。光学システムでは、センサーインターフェース518の1つ以上の検出器は、一次及び任意の二次出力シグナルを受け取る。出力シグナルは、光学システム、電気化学システムなどを使用して生成され得る。プロセッサー522は、記憶媒体528中に記憶された較正情報を使用して、出力シグナルから分析物濃度を決定することが可能である。分析物分析の結果は、ディスプレイ520、遠隔受信機(示さず)に出力され得、かつ/又は記憶媒体528中に記憶され得る。
【0155】
参照試料分析物濃度と測定装置502からの出力シグナルとを関連付ける較正情報は、図表を用いて、数学的に、それらの組み合わせなどで表され得る。較正情報は、好ましくは、記憶媒体528中に記憶されるプログラム番号(PNA)テーブル、別のルックアップテーブルなどによって表され得る、相関方程式として表される。
【0156】
分析物分析の実行に関する指令はまた、記憶媒体528中に記憶されたコンピューターで読み取り可能なソフトウェアコードによって提供され得る。コードは、記載された機能性を記載又は制御する、オブジェクトコード又は任意の他のコードであり得る。分析物分析からのデータは、プロセッサー522中の減衰率、K定数、比率、関数などの決定を含む、1つ以上のデータ処理に供され得る。
【0157】
電気化学システムでは、センサーインターフェース518は、試験センサー504の試料インターフェース514中の導電体と接続又は電気的に通信する接点を有する。センサーインターフェース518は、シグナル生成器524からの電気入力シグナルを、接点を通って、試料インターフェース514中のコネクターに伝えることが可能である。センサーインターフェース518はまた、試料からの出力シグナルを、接点を通って、プロセッサー522及び/又はシグナル生成器524に伝えることが可能である。
【0158】
光吸収及び光生成光学システムでは、センサーインターフェース518は、光を収集及び測定する検出器を含む。検出器は、試料インターフェース514中の光学ポータルを通って試験センサー504から光を受け取る。光吸収光学システムでは、センサーインターフェース518はまた、レーザー、光発光ダイオードなどの光源を含む。入射ビームは、反応生成物による吸収に関して選択された波長を有し得る。センサーインターフェース518は、光源からの入射ビームが試料インターフェース514中の光学ポータルを通過するように指示する。検出器は、試料から反射された光を受け取るように、光学ポータルに対して45°などの角度に位置付けられ得る。検出器は、試料を通って伝えられた光を受け取るように、光源から試料の反対側にある光学ポータルに隣接して位置付けられ得る。検出器は、反射及び/又は伝達された光を受け取るように、別の位置に位置付けられ得る。
【0159】
任意のディスプレイ520は、アナログ又はデジタルであり得る。ディスプレイ520は、LCD、LED、OLED、真空蛍光ディスプレイ(VFD)、又は数値読み取りを示すように適合された他のディスプレイを含み得る。他のディスプレイ技術も使用され得る。ディスプレイ520は、プロセッサー522と電気的に通信する。ディスプレイ520は、プロセッサー522と無線通信している場合などに、測定装置502から分離され得る。代替的に、ディスプレイ520は、測定装置502が遠隔計算装置、薬物投与ポンプなどと電気的に通信している場合などに、測定装置502から取り外され得る。
【0160】
使用において、分析用の液体試料は、開口部512に液体を導入することによって、リザーバー508中に移される。液体試料は、チャネル510を通って流れ、先に含有されていた空気を追い出しながらリザーバー508を満たす。液体試料は、チャネル510及び/又はリザーバー508中に置かれた試薬と化学的に反応する。
【0161】
試験センサー502は、試料インターフェース514がセンサーインターフェース518と電気及び/又は光学的に通信するように、測定装置502と関連して配置される。電気通信は、センサーインターフェース518中の接点と試料インターフェース514中の導電体との間の入力及び/又は出力シグナルの移動を含む。光学的通信は、試料インターフェース514中の光学ポータルとセンサーインターフェース518中の検出器との間の光の移動を含む。光学的通信はまた、試料インターフェース514中の光学ポータルとセンサーインターフェース518中の光源との間の光の移動を含む。
【0162】
プロセッサー522は、入力シグナルを試験センサー504のセンサーインターフェース518に提供するようにシグナル生成器524に指示することが可能である。光学システムでは、センサーインターフェース518は、入力シグナルに応答して検出器及び光源を作動させることが可能である。電気化学システムでは、センサーインターフェース518は、試料インターフェース514を通して入力シグナルを試料に提供することが可能である。試験センサー504は、入力シグナルに応答して1つ以上の出力シグナルを生成させることが可能である。プロセッサー522は、先に考察したように、試料中の分析物のレドックス反応に応答して生成された出力シグナルを受け取ることが可能である。
【0163】
プロセッサー522は、分析法及び記憶媒体528中に記憶された較正情報を使用して出力シグナルを変換して、試料の初期分析物濃度を決定することが可能である。次いで、プロセッサー522は、この初期分析物濃度を試料の最終分析物濃度として報告し得る。代替的に、プロセッサー522は、補償システムを使用して、この試料の初期分析物濃度をさらに処理し得る。また、2つ以上の補償及び/又は他の機能もプロセッサー522によって実行され得る。
【0164】
本出願の明細書及び特許請求の範囲の明確かつより一貫した理解を提供するために、以下の定義が提供される。
【0165】
「平均」又は「平均化された」又は「平均化する」は、平均の可変部を形成する2つ以上の可変部の組み合わせを含む。可変部は、数値、代数又は科学方程式などであり得る。例えば、平均化することは、可変部を加えて、その合計を可変部の数で割ることによって実施され得る;例えば、方程式AVG=(a+b+c)/3(式中、AVGは、平均の可変部であり、そして、a、b及びcは、可変部である)。別の例では、平均化することは、平均係数によって各可変部を修飾し、次いで、修飾された可変部を加えて、加重平均を形成することを含む;例えば、方程式W
AVG=0.2
*a+0.4
*b+0.4
*c(式中、W
AVGは、加重平均であり、0.2、0.4及び0.4は、平均係数であり、そして、a、b及びcは、可変部である)。平均係数は、0〜1の間の数値であり;そして加える場合、1又は実質的に1の合計を提供するだろう。他の平均化法も使用され得る。
【0166】
「測定可能な種」は、バイオセンサーシステムが試料中のその存在及び/又は濃度を決定するように設計された種に対応し、関心対象の分析物又は試料中のその濃度が関心対象の分析物の濃度に応答するメディエーターであり得る。
【0167】
本発明の様々な実施態様が記載されているが、他の実施態様及び実行が本発明の範囲内で可能であることが当業者にとって明らかであろう。