(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305511
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】2,3‐ブタンジオールの生成能が増強された組換え微生物およびこれを用いた2,3‐ブタンジオールの生産方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/21 20060101AFI20180326BHJP
C12P 7/18 20060101ALI20180326BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20180326BHJP
C12R 1/22 20060101ALN20180326BHJP
【FI】
C12N1/21
C12P7/18
!C12N15/00 AZNA
C12N1/21
C12R1:22
【請求項の数】16
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-504227(P2016-504227)
(86)(22)【出願日】2014年3月7日
(65)【公表番号】特表2016-516414(P2016-516414A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】KR2014001920
(87)【国際公開番号】WO2014148754
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年10月19日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0028884
(32)【優先日】2013年3月18日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0114791
(32)【優先日】2013年9月26日
(33)【優先権主張国】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513132586
【氏名又は名称】ジーエス カルテックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョンミョン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ヒョハク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,テクホ
【審査官】
小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0112655(US,A1)
【文献】
中国特許第101348775(CN,B)
【文献】
Biotechnol. J., 2010, Vol.5, p.274-284
【文献】
Bioresour. Technol., 2009, Vol.100, p.3410-3414
【文献】
J. Biotechnol., 1997, Vol.56, p.135-142
【文献】
Appl. Microbiol. Biotechnol., 2007, Vol.73, p.1017-1024
【文献】
Biotechnol. Bioeng., 2009, Vol.104, No.5, p.965-972
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00− 7/08;15/00−15/90
C12P 1/00−41/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
DWPI(Thomson Innovation)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセチルCoAおよび乳酸生合成経路を有する微生物であって、
前記微生物はクレブシエラであり、
ピルビン酸をアセチルCoAに転換する経路、ピルビン酸をギ酸に転換する経路およびピルビン酸を乳酸に転換する経路が抑制されており、
野生型のクレブシエラよりも乳酸、コハク酸およびエタノールの生成量が少ない、
2,3‐ブタンジオールの生成能が増加した組換え微生物。
【請求項2】
ピルビン酸‐ギ酸リアーゼが抑制されることにより、ピルビン酸をアセチルCoAに転換する経路およびピルビン酸をギ酸に転換する経路が抑制されることを特徴とする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項3】
乳酸脱水素酵素が抑制されることにより、ピルビン酸を乳酸に転換する経路が抑制されることを特徴とする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項4】
ピルビン酸‐ギ酸リアーゼをコードする遺伝子であるpflBおよび乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子であるldhAのいずれもが欠損または抑制されることを特徴とする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項5】
アセチルCoAをエタノールに転換する酵素をコードする遺伝子が欠損されていないことを特徴とする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項6】
ギ酸または酢酸の生成能が抑制されていることを特徴とする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項7】
回分式培養を基準として2,3‐ブタンジオールの選択度が70%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項8】
回分式培養を基準として2,3‐ブタンジオールの収率が0.35g/g以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項9】
流加式培養を基準として2,3‐ブタンジオールの選択度が70%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項10】
流加式培養を基準として2,3‐ブタンジオールの選択度が80%以上であることを特徴とする、請求項1に記載の組換え微生物。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の組換え微生物を培養する段階と、
前記培養液から2,3‐ブタンジオールを回収する段階と、を含む、2,3‐ブタンジオールの生産方法。
【請求項12】
好気条件で培養することを特徴とする、請求項11に記載の生産方法。
【請求項13】
450rpm以下の攪拌速度で撹拌を行いながら培養することを特徴とする、請求項11に記載の生産方法。
【請求項14】
前記培養は、撹拌を行いながら行われ、
培養途中にアセトインの濃度が5g/L以上に増加する場合に撹拌速度を減少させることを特徴とする、請求項11に記載の生産方法。
【請求項15】
前記培養は、酸素供給量を調節することにより、2,3‐ブタンジオールの生産性を調節することを特徴とする、請求項11に記載の生産方法。
【請求項16】
前記培養は、撹拌を行いながら行われ、
前記培養は、撹拌速度を調節することにより、2,3‐ブタンジオールの生産性を調節することを特徴とする、請求項11に記載の生産方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2,3‐ブタンジオールの生成能が増強された組換え微生物およびこれを用いた2,3‐ブタンジオールの生産方法に関する。
【背景技術】
【0002】
四つの炭素と二つのヒドロキシ基(−OH)を有するアルコールの一つ(CH
3CHOHCHOHCH
3)である2,3‐ブタンジオールは、合成ゴムの製造工程における原料物質である1,3‐ブタジエン(1,3‐Butadiene)と燃料添加剤および溶媒として使用されるメチルエチルケトン(Methyl ethyl ketone、MEK)に化学的触媒転換が可能である(Ji et al.,Biotechnol.Adv.,29:351,2011)。また、2,3‐ブタンジオールは、ガソリン(Gasoline)と混合してoctane boosterとして適用することができ、産業的に非常に重要な中間体である(Celinska et al.,Biotechnol.Adv.,27:715,2009)。
【0003】
2,3‐ブタンジオールは、化学的合成工程と微生物醗酵工程により生産することができる。しかし、前記工程による2,3‐ブタンジオールの生産価格が非常に高いことから商業的規模への2,3‐ブタンジオールの生産は行われていない。一方、最近、微生物醗酵工程による2,3‐ブタンジオール生産技術の飛躍的な発展とともに、化石原料物質の急激な価格上昇と国際的な環境汚染に対する規制が強化されるに伴い、微生物醗酵によるバイオベースの2,3‐ブタンジオール生産への関心と研究開発の重要性が増大している。
【0004】
バイオベースの2,3‐ブタンジオールの生産方法は、2,3‐ブタンジオール生産能を保有した微生物の醗酵により、再生可能なバイオ原料物質(Biomass)を2,3‐ブタンジオールに転換するものである。2,3‐ブタンジオールは、クレブシエラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、バチルス(Bacillus)、セラチア(Serratia)種(Species)など、各種の微生物によって生産される(Maddox IS、Biotechnol.,6:269,1996)。特に、クレブシエラニューモニエ(K.pneumoniae)、クレブシエラオキシトカ(K.oxytoca)、パエニバチルスポリミキサ(Paenibacillus polymyxa)が相対的に多量の2,3‐ブタンジオールを生産し、特に、クレブシエラニューモニエとクレブシエラオキシトカは、培養が容易で、生長速度が速く、木質系由来のペントースを含む各種のバイオ原料物質から2,3‐ブタンジオールを生産することができるという利点がある(Ji et al.,Biotechnol.Adv.,29:351,2011;Chandel et al.,Sustainable Biotechnol.,63,2010;Jansen et al.,Biotechnol.Bioeng.,26:362,1984;Jansen et al.,Adv.Biochem.Eng.,27:85,1983)。
【0005】
微生物醗酵工程によるバイオベースの2,3‐ブタンジオールの生産研究は、醗酵工程最適化(温度、pH、溶存酸素など)と微生物開発(微生物発見、生理学的特性把握、突然変異、遺伝子操作など)分野に分けて行われている。醗酵工程最適化の面においては、2,3‐ブタンジオールを効率的に生産することができる温度、pH、溶存酸素濃度など、様々な条件が明らかになった(Ji et al.,Bioresour.Technol.,100:3410,2009;Nakashimada et al.,J.Biosci.Bioeng.,90:661,2000;Nakashimada et al.,Biotechnol.Lett.,20:1133,1998)。しかし、前記条件での微生物醗酵工程による2,3‐ブタンジオールの生産は、依然として生産性(Productivity)および収率(Yield)が低くて、商業工程に直接適用し難いという問題がある。また、醗酵過程で2,3‐ブタンジオールとともに乳酸を含む有機酸(Organic acids)とエタノールを含むアルコール(Alcohols)など、様々な副産物(By‐products)が生成されるという欠点がある。副産物の生成は、バイオ原料物質に対する2,3‐ブタンジオールの収率を低減するだけでなく、培養液から2,3‐ブタンジオール回収過程で莫大な分離および精製費用が求められる。
【0006】
そのため、2,3‐ブタンジオールの生産に関する微生物開発研究は、主に副産物を減少させる方向に行われてきた。代表的に、Jiなどは野生型クレブシエラオキシトカ菌株に物理/化学的突然変異方法の一種であるUVを露出させて副産物である有機酸の生成を一部抑制させることに成功した(Ji et al.,Biotechnol.Lett.,30:731,2008)。その他、イオン走査(Ion beam)方式をクレブシエラニューモニエ菌株に適用してバイオマスの消耗速度を増加させることで、2,3‐ブタンジオールの生産を向上させようとした(Ma et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,82:49,2009)。しかし、前記の開発された菌株は、2,3‐ブタンジオール生産性、最終濃度(Concentration)および収率の面において商業工程に直接適用するには依然として足りないという問題がある。
【0007】
したがって、本発明者らは、2,3‐ブタンジオールの生産性、濃度および収率が高いとともに、2,3‐ブタンジオールの選択度が高くて、副産物の生成が少ない組換え微生物について鋭意研究を重ねた結果、特定の遺伝子を欠損させた組換え微生物が、2,3‐ブタンジオールの選択度および生産性が高いとともに副産物の生成が少ないことを見出し、発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、2,3‐ブタンジオールの生成能が増強された組換え微生物およびこれを用いた2,3‐ブタンジオールの生産方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために本発明は、アセチルCoAおよび乳酸生合成経路を有する微生物であって、ピルビン酸をアセチルCoAに転換する経路、ピルビン酸をギ酸に転換する経路またはピルビン酸を乳酸に転換する経路が抑制されている2,3‐ブタンジオールの生成能が増加した組換え微生物を提供する。
【0010】
また、本発明は、本発明の組換え微生物を培養する段階と、前記培養液から2,3‐ブタンジオールを回収する段階と、を含む2,3‐ブタンジオールの生産方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の組換え微生物は、2,3‐ブタンジオールを高い選択度および濃度で生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】クレブシエラ菌株で2,3‐ブタンジオールが合成される経路を示す模式図である。
【
図2】乳酸生成に関する乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase)の遺伝子であるldhAが除去されたことを確認するために、PCR増幅後、電気泳動して撮影したAgarose gelの写真である。
【
図3】ギ酸生成に関するピルビン酸‐ギ酸リアーゼ(pyruvate‐formate lyase)の遺伝子であるpflBが除去されたことを確認するために、PCR増幅後、電気泳動して撮影したAgarose gelの写真である。
【
図4】比較例1のクレブシエラオキシトカ菌株の醗酵結果を示す図である。
【
図5】比較例2の組換えクレブシエラオキシトカ菌株の醗酵結果を示す図である。
【
図6】実施例1の組換えクレブシエラオキシトカ菌株の醗酵結果を示す図である。
【
図7】撹拌速度(150rpm)に対する実施例1の組換えクレブシエラオキシトカ菌株の回分式醗酵結果を示す図である。
【
図8】撹拌速度(250rpm)に対する実施例1の組換えクレブシエラオキシトカ菌株の回分式醗酵結果を示す図である。
【
図9】撹拌速度(350rpm)に対する実施例1の組換えクレブシエラオキシトカ菌株の回分式醗酵結果を示す図である。
【
図10】撹拌速度(450rpm)に対する実施例1の組換えクレブシエラオキシトカ菌株の回分式醗酵結果を示す図である。
【
図11】撹拌速度に対する1時間当りの2,3‐ブタンジオールの濃度を示す図である。
【
図12】撹拌速度を450rpmに維持し、好気条件下で実施例1の組換えクレブシエラオキシトカ菌株の流加式醗酵結果を示す図である。
【
図13】撹拌速度を調節して行った実施例1の組換えクレブシエラオキシトカ菌株の流加式醗酵結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、アセチルCoAおよび乳酸生合成経路を有する微生物であって、ピルビン酸をアセチルCoAに転換する経路、ピルビン酸をギ酸に転換する経路またはピルビン酸を乳酸に転換する経路が抑制されている2,3‐ブタンジオールの生成能が増加した組換え微生物に関するものである。
【0014】
また、本発明は、本発明の組換え微生物を培養する段階と、前記培養液から2,3‐ブタンジオールを回収する段階と、を含む2,3‐ブタンジオールの生産方法に関するものである。
【0016】
<2,3‐ブタンジオールの生成能が増加した組換え微生物>
本発明の組換え微生物は、アセチルCoAおよび乳酸生合成経路を有する微生物であって、ピルビン酸をアセチルCoAに転換する経路、ピルビン酸をギ酸に転換する経路またはピルビン酸を乳酸に転換する経路が抑制されている2,3‐ブタンジオールの生成能が増加した組換え微生物である。
【0017】
また、本発明の組換え微生物は、アルコール脱水素酵素(アルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼ)をコードする遺伝子、すなわち、adhEが欠損されていないものである。
【0018】
好ましくは、本発明の組換え微生物は、
図1のように、アセチルCoAおよび乳酸生合成経路を有しており、ピルビン酸をアセチルCoAに転換する経路、ピルビン酸をギ酸に転換する経路およびピルビン酸を乳酸に転換する経路が抑制された組換え微生物である。
【0019】
また、本発明の組換え微生物は、2,3‐ブタンジオールの選択度、収率、濃度および生産性が高い。すなわち、本発明の組換え微生物は、回分式培養または流加式培養を基準として、2,3‐ブタンジオールの選択度が70%以上であり、好ましくは、80%以上であり、2,3‐ブタンジオールの収率が0.35g/g以上である。また、本発明の組換え微生物は、前記組換えにより、野生型微生物よりギ酸、酢酸またはエタノールの生成能が抑制されたものである。
【0020】
<アセチルCoA生合成経路>
本発明のアセチルCoA(Acetyl‐CoA)生合成経路は、微生物内の特定の代謝産物からアセチルCoAが合成される経路を意味する。本発明のアセチルCoA生合成経路は、ピルビン酸(pyruvate)からアセチルCoAが合成される経路などであってもよい。
【0021】
<乳酸生合成経路>
本発明の乳酸(lactate)生合成経路は、微生物内の特定の代謝産物から乳酸が合成される経路を意味する。本発明の乳酸生合成経路は、ピルビン酸(pyruvate)から乳酸が合成される経路などであってもよい。
【0022】
<アセチルCoAおよび乳酸生合成経路を有する微生物>
本発明のアセチルCoA生合成経路および乳酸生合成経路を有する微生物は、上述の前記生合成経路を有する微生物であればよく、特に限定されない。また、本発明の微生物は、アセチルCoA生合成経路および乳酸生合成経路を野生型として有している微生物または遺伝子組換えにより有するようになる組換え微生物であってもよい。例えば、本発明の微生物は、クレブシエラ(Klebsiella)属、バチルス(Bacillus)属、セラチア(Serratia)属またはエンテロバクター(Enterobacter)属の微生物であってもよく、好ましくは、クレブシエラオキシトカ(K.oxytoca)、クレブシエラニューモニエ(K.pneumoniae)等であり、最も好ましくは、クレブシエラオキシトカ(K.oxytoca)である。
【0023】
<ピルビン酸をアセチルCoAに転換する経路の抑制>
ピルビン酸‐ギ酸リアーゼ(pyruvate‐formate lyase)は、ピルビン酸のアセチルCoAへの転換を調節する。前記ピルビン酸‐ギ酸リアーゼを抑制することにより、ピルビン酸をアセチルCoAに転換する経路が抑制されることができる。前記ピルビン酸‐ギ酸リアーゼの抑制は、ピルビン酸‐ギ酸リアーゼの発現抑制、ピルビン酸‐ギ酸リアーゼの酵素活性の抑制などにより行われることができる。例えば、ピルビン酸‐ギ酸リアーゼをコードする遺伝子であるpflBを欠損させたり、前記遺伝子に突然変異(一部の塩基を変異、置換または削除したり、一部の塩基を導入して正常な遺伝子の発現を抑制させるなどの突然変異)を起こしたり、転写過程または翻訳過程での遺伝子発現調節など、当業者は適切な方法を選択して、ピルビン酸‐ギ酸リアーゼを抑制することができる。
【0024】
<ピルビン酸をギ酸に転換する経路の抑制>
ピルビン酸‐ギ酸リアーゼ(pyruvate‐formate lyase)は、ピルビン酸のギ酸への転換を調節する。前記ピルビン酸‐ギ酸リアーゼを抑制することにより、ピルビン酸をギ酸に転換する経路が抑制されることができる。前記ピルビン酸‐ギ酸リアーゼの抑制は、ピルビン酸‐ギ酸リアーゼの発現抑制、ピルビン酸‐ギ酸リアーゼの酵素活性抑制などにより行われることができる。例えば、ピルビン酸‐ギ酸リアーゼをコードする遺伝子であるpflBを欠損させたり、前記遺伝子に突然変異(一部の塩基を変異、置換または削除したり、一部の塩基を導入して正常な遺伝子の発現を抑制させるなどの突然変異)を起こしたり、転写過程または翻訳過程での遺伝子発現調節など、当業者は適切な方法を選択して、ピルビン酸‐ギ酸リアーゼを抑制することができる。
【0025】
<ピルビン酸を乳酸に転換する経路の抑制>
乳酸脱水素酵素(lactate dehydrogenase)は、ピルビン酸の乳酸への転換を調節する。前記乳酸脱水素酵素を抑制することにより、ピルビン酸を乳酸に転換する経路が抑制されることができる。前記乳酸脱水素酵素の抑制は、乳酸脱水素酵素の発現抑制、乳酸脱水素酵素の酵素活性抑制などにより行われることができる。例えば、乳酸脱水素酵素をコードする遺伝子であるldhAを欠損させたり、前記遺伝子に突然変異(一部の塩基を変異、置換または削除したり、一部の塩基を導入して正常な遺伝子の発現を抑制させるなどの突然変異)を起こしたり、転写過程または翻訳過程での遺伝子発現調節など、当業者は適切な方法を選択して、乳酸脱水素酵素を抑制することができる。
【0026】
<アルコール脱水素酵素>
アルコール脱水素酵素(アルデヒド/アルコール脱水素酵素)は、アセチルCoAをエタノールに転換する経路を調節する。そのため、アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子であるadhEを欠損させてエタノール生産を阻害することにより、2,3‐ブタンジオールの生産の増加を図る場合もある(Ji et al.,Appl.Microbiol.Biotechnol.,85:1751,2010)。しかしながら、本発明の組換え微生物の場合、adhEが追加に欠損される場合、2,3‐ブタンジオールの生産量、選択度および生産性が著しく低下する問題がある。そのため、本発明では、アルコール脱水素酵素をコードする遺伝子であるadhEを欠損させない。
【0027】
<2,3‐ブタンジオールの生産方法>
本発明の2,3‐ブタンジオールの生産方法は、本発明の組換え微生物を培養する段階と、前記培養液から2,3‐ブタンジオールを回収する段階と、を含む。
【0028】
前記培養は、好気条件で行われ、好ましくは、微好気的条件(microaerobic condition)で行われる。例えば、前記培養は、培養の際に酸素、すなわち空気を供給しながら行われ、具体例として、これは、撹拌により行われることができる。好ましくは、前記培養は、450rpm以下で撹拌を行いながら行われ、より好ましくは、50〜450rpmで撹拌を行い、さらに好ましくは150〜450rpmで行う。
【0029】
好ましくは、前記培養は、酸素供給量を調節することにより2,3‐ブタンジオールの生産性を調節することができる。本発明の培養の際に酸素供給量を調節する方法として、例えば、本発明の培養は、撹拌を行いながら行われ、培養途中に撹拌速度を調節することにより、2,3‐ブタンジオールの生産性を調節することができる。例えば、アセトインの濃度が5g/L以上、好ましくは10g/L以上に増加する際に、撹拌速度を減少させて行うことが、2,3‐ブタンジオールの濃度および生産性を増加させ、副産物の生成を阻害するために好ましい。
【0030】
発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる様々な形態に具現され、ただし、本実施例は本発明の開示を完全にし、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。
【0031】
<材料および方法>
‐2,3‐ブタンジオールの濃度(g/L):単位体積当たり生産される2,3‐ブタンジオールの量
‐2,3‐ブタンジオールの収率(g/g):2,3‐ブタンジオール生産量(g)/炭素源(g)×100
‐2,3‐ブタンジオールの生産性(g/L/h):単位時間、単位体積当たり生産される2,3‐ブタンジオールの量
‐2,3‐ブタンジオールの選択度(%):2,3‐ブタンジオール生産量(g)/(2,3‐ブタンジオール、エタノール、アセトイン、こはく酸、乳酸、ギ酸および酢酸の生産量)(g)×100
【0032】
<実験例1>組換え微生物の製造
標的遺伝子の相同部位を含むDNA断片で作製されたクレブシエラオキシトカの標的遺伝子を不活性化させるためにバクテリアの組換えメカニズムを用いており、除去しようとする遺伝子の相同部位(homologous region)をPCRで増幅した。その後、相同部位を含む当該DNA断片をバクテリアに伝達した後、DNA断片に存在する遺伝子の相同部位とクレブシエラオキシトカの染色体に存在する遺伝子の間にリコンビナーゼ(recombinase)による組換えメカニズムで標的遺伝子を除去することになる。
【0033】
先ず、クレブシエラオキシトカの乳酸脱水素酵素をクローニングするために標的遺伝子であるldhA(配列番号1)の相同部位1(配列番号2)を配列番号3および4のプライマーを用いてPCRで増幅した。また、相同部位2(配列番号5)を配列番号6および7のプライマーを用いてPCRで増幅した。その後、相同部位1と2を同時に鋳型としてPCRで増幅し、相同部位1と2が含まれたDNA断片(配列番号8)を完成した。
【0034】
一方、クレブシエラオキシトカのピルビン酸ギ酸リアーゼの相同部位をクローニングするために標的遺伝子であるpflB(配列番号9)の相同部位1(配列番号10)を配列番号11および12のプライマーを用いてPCRで増幅した。また、相同部位2(配列番号13)を配列番号14および15のプライマーを用いてPCRで増幅した。その後、相同部位1と2を同時に鋳型としてPCRで増幅し、相同部位1と2がDNA断片(配列番号16)を完成した(表1)。標的遺伝子の組換え確率を高めるために前記完成されたDNA断片は抗生剤耐性遺伝子などを含むことができ、染色体内に組換えされた抗生剤耐性遺伝子を除去するためにレバンスクラーゼ酵素をコードするsacB遺伝子を含むことができる。
【0035】
【表1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0036】
<組換え微生物の作製>
前記作製されたDNA断片を電気穿孔法(electroporation、25μF、200Ω、18kV/cm)を用いてクレブシエラオキシトカに伝達し、微生物の組換えメカニズムを用いて標的遺伝子を除去することができた。
【0037】
クレブシエラオキシトカ野生型にldhA遺伝子の相同部位を含むDNA断片を伝達してldhA遺伝子を除去した組換えクレブシエラオキシトカを製造した(比較例2)。一方、クレブシエラオキシトカ野生型でldhA遺伝子を除去した後、pflB遺伝子の相同部位を含むDNA断片を伝達してldhA遺伝子に追加でpflB遺伝子が除去されたクレブシエラオキシトカを製造した(実施例1)。
【0038】
電気穿孔法を行った後、前記組換え微生物を30℃で1時間培養して安定化させた後、抗生剤(カナマイシンまたはクロラムフェニコールなど)が入っているLB複合固体培地に37℃にそれぞれスプレード(spreading)して培養した。
【0039】
その後、固体培地で育ったコロニーでコロニーPCRを行い、前記コロニーで当該遺伝子が除去されたことを確認した(それぞれ
図2および
図3)。この際、ldhA遺伝子が除去されたことを確認するために配列番号17および18のプライマーを用いてPCRを行い、pflB遺伝子が除去されたことを確認するために配列番号19および20のプライマーを用いてPCRを行った(表2)。
【0041】
この後、試験では、クレブシエラオキシトカ野生型を比較例1として使用した。一方、ldhAが除去された比較例2の組換えクレブシエラオキシトカにエタノール生産に直接関与するアルコール脱水素酵素(アルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼ)をコードする遺伝子であるadhEを追加に欠損させて、ldhAおよびadhEが欠損された組換えクレブシエラオキシトカを製造し、これを比較例3として試験を行った。前記ldhAやpflB遺伝子の除去方法と同様にしてadhE遺伝子を除去した。ldhAが除去されたクレブシエラオキシトカにadhE遺伝子の相同部位を含んでいるDNA断片を伝達してldhA遺伝子に追加にadhE遺伝子が除去されたクレブシエラオキシトカを製造した。
【0042】
<実験例2>
実験例1で準備した実施例1、比較例1および比較例2の微生物を用いて回分式培養を行った。先ず、前記クレブシエラ菌株を9g/Lブドウ糖(50mM、glucose)を含む250mlの複合培地に接種して37℃で16時間培養した後、この培養液を3L複合培地に接種して培養した。この際、醗酵条件は、微好気条件(micro‐aerobic condition;好気速度1vvm、撹拌速度150rpm)、90g/L初期ブドウ糖濃度、pH6.8、培養温度37℃とした。醗酵中にpHの調整のために5N NH
4OHを使用した。前記クレブシエラ菌株に対して醗酵中にサンプルを採取し、採取された試料のOD600(optical density)を測定して生長速度を測定し、採取された試料は13,000rpmで10分間遠心分離した後、上澄み液の代謝産物および2,3‐ブタンジオール濃度を液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
【0043】
その結果、比較例2の場合、2,3‐ブタンジオール生産量は29.91g/Lであり、2,3‐ブタンジオール生産収率(2,3‐ブタンジオールg/ブドウ糖g)は0.32であった。また、比較例2の菌株の2,3‐ブタンジオール生産性(g/L/h)は1.07であり、選択度は59%であった。野生型クレブシエラオキシトカである比較例1と比較したとき、比較例2の組換え菌株は、乳酸生産が減少し、2,3‐ブタンジオールの生産能が良好になり、2,3‐ブタンジオールの生産濃度、生産収率、生産性および選択度がいずれも改善することが確認された。しかし、比較例2の組換えクレブシエラオキシトカは、依然として副産物であるギ酸およびエタノールを過量で生成し、これは、比較例2の2,3‐ブタンジオールの生産濃度、生産収率、選択度などを阻害する要因として判断された(
図4:比較例1、
図5:比較例2)。
【0044】
一方、比較例2(クレブシエラオキシトカΔldhA、2,3‐BDO29.91g/L)と比較すると、実施例1の組換え菌株は、2,3‐ブタンジオール生産量が39.17±1.51g/Lに増加した。また、実施例1の組換え菌株は、ギ酸は90%以上、エタノールは73%以上生成量が減少し、2,3‐ブタンジオール生産収率(2,3‐ブタンジオールg/ブドウ糖g)もまた0.32から0.45に大幅に増加したことが確認された。2,3‐ブタンジオールの理論収率(クレブシエラオキシトカに供給したグルコースがいずれも2,3‐ブタンジオールに転換されると仮定する場合の収率)が0.5ということを考慮すると、実施例1の収率(理論収率の90%)は相当高いものである。
【0045】
そのため、ldhAおよびpflB遺伝子の除去によりギ酸、エタノールなどの副産物を同時に除去することで、副産物生成は著しく減少し、2,3‐ブタンジオールを高い純度で生産するということを確認することができた。これにより、クレブシエラの乳酸脱水素酵素(乳酸デヒドロゲナーゼ)をコードする遺伝子(ldhA)およびピルビン酸‐ギ酸分解酵素(ピルビン酸‐ギ酸リアーゼ)をコードする遺伝子(pflB)の除去は、2,3‐ブタンジオール生産経路の様々な段階において、2,3‐ブタンジオールの生産に非常に重要であるということを確認することができた(
図6)(表3)。
【0047】
<実験例3>
2,3‐ブタンジオール生産微生物で2,3‐ブタンジオール生合成と競争して副産物の生産に関与する遺伝子を除去する場合、2,3‐ブタンジオールの生産能が改善するか否かを試験した。adhEは2,3‐ブタンジオール生産において副産物であるエタノールの生産に直接関与するアルコール脱水素酵素(アルデヒド/アルコールデヒドロゲナーゼ)をコードする遺伝子である。そのため、ldhAおよびadhEが除去された比較例3の組換えクレブシエラオキシトカを培養して、実施例1と比較した。この際、比較例3の組換え微生物の培養条件は、前記実験例2と同様に行った。
【0048】
その結果、クレブシエラオキシトカでldhAとadhEが同時に除去された比較例3の場合、比較例2(クレブシエラオキシトカΔldhA、2,3‐BDO29.91g/L)と比較の際に2,3‐ブタンジオール生産量が25.96g/Lとむしろ減少することが示された。また、比較例3の2,3‐ブタンジオール生産収率は、比較例2の0.32から0.27に減少し、選択度は比較例2の59%から55%に減少し、生産性(g/L/h)は比較に2の1.07から0.36に著しく減少した。また、比較例2と比較すると、比較例3のエタノール生産量は減少したが、2,3‐ブタンジオールの生産能力はむしろ悪化した。
【0049】
また、実施例1と比較してみても、比較例3の2,3‐ブタンジオール生産能力が著しく低いことが分かった(表4)。そのため、副産物の生産に関与する遺伝子を除去するとしても、常に2,3‐ブタンジオールの生産に有利ではないということを確認することができた。
【0051】
<実験例4>酸素供給量の変化による2,3‐ブタンジオールの生産変化
実施例1の組換えクレブシエラオキシトカを用いて、培養の際に撹拌速度による培地の溶存酸素量の変化が、2,3‐ブタンジオールの生産収率、生産性および選択度に及ぼす影響を評価した。
【0052】
先ず、実施例1の組換え微生物を9g/Lブドウ糖(50mM、glucose)を含む250mlの複合培地に接種して37℃で16時間培養した後、この培養液を3L複合培地に接種して回分式醗酵を行った。醗酵条件は、微好気条件(micro‐aerobic condition;好気速度1vvm)、90g/L初期ブドウ糖濃度、pH6.8、培養温度37℃とし、撹拌速度はそれぞれ150、250、350、450rpmと異なるようにした。醗酵中にpHの調整のために5N NH
4OHを使用した。前記組換えクレブシエラに対して醗酵中にサンプルを採取し、採取された試料のOD600(optical density)を測定して生長速度を測定し、採取された試料は、13,000rpmで10分間遠心分離した後、上澄み液の代謝産物および2,3‐BDO濃度を液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
【0053】
その結果、実施例1の組換えクレブシエラオキシトカは、撹拌速度の変化に応じて2,3‐ブタンジオールの生産性(g/L/h)が大幅に変化することで示された。すなわち、150rpmで撹拌するときより、450rpmで撹拌する場合、2,3‐ブタンジオールの生産性が5倍以上増加したことを確認することができた(表5、
図7〜11)。これにより撹拌速度による酸素供給量変化により実施例1の生産性を改善することができることを確認することができた。
【0055】
<実験例5>好気条件(450rpm撹拌)下の流加式醗酵による2,3‐ブタンジオールの生産
実験例4の結果に基づき生産性が最も改善した450rpmに撹拌速度を維持して2,3‐ブタンジオール生産のための流加式醗酵を実施例1の菌株を用いて行った。
【0056】
実施例1の組換えクレブシエラ菌株を9g/Lブドウ糖(50mM、glucose)を含む250mlの複合培地に接種して37℃で16時間培養した後、この培養液を3L複合培地に接種して流加式培養を行った。この際、醗酵条件は、微好気条件(micro‐aerobic condition;好気速度1vvm)、90g/L初期ブドウ糖濃度、pH6.8、培養温度37℃とした。撹拌速度は450rpmに維持し続けた。醗酵中にpHの調整のために5N NH
4OHを使用した。醗酵中にブドウ糖濃度が10g/L以下に低減すると700g/L以上のブドウ糖溶液をフィード(feeding)した。前記組換えクレブシエラに対して醗酵中にサンプルを採取し、採取された試料のOD600(optical density)を測定して生長速度を測定し、採取された試料は13,000rpmで10分間遠心分離した後、上澄み液の代謝産物および2,3‐ブタンジオール濃度を液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
【0057】
その結果、撹拌速度を450rpmに維持し続けた時には2,3‐ブタンジオール生産能力が維持され続けないことを確認した(表6)。特に、アセトイン濃度が10g/Lを超える時、2,3‐ブタンジオール生産能力が著しく低下することを確認することができた(
図12)。450rpm撹拌速度に維持した流加式培養結果に基づき撹拌速度の調節による流加式培養をしなければならないということが分かり、蓄積されるアセトイン濃度に基づき撹拌速度調節時点を決定しなければならないということが分かった。
【0059】
<実験例6>流加式醗酵による2,3‐ブタンジオールの生産
実施例1の組換えクレブシエラ菌株を9g/Lブドウ糖(50mM、glucose)を含む250mlの複合培地に接種して37℃で16時間培養した後、この培養液を3L複合培地に接種して流加式培養を行った。この際、醗酵条件は、微好気条件(micro‐aerobic condition;好気速度1vvm)、90g/L初期ブドウ糖濃度、pH6.8、培養温度37℃、撹拌速度450rpmとした。醗酵中にpHの調整のために5N NH
4OHを使用した。醗酵中にブドウ糖濃度が10g/L以下に低下すると、700g/L以上のブドウ糖溶液をフィード(feeding)した。また、副産物の一つであるアセトイン(acetoin)の濃度が7g/Lになる時点で撹拌速度を450rpmから350rpmに転換して醗酵を行った。前記組換えクレブシエラに対して醗酵中にサンプルを採取し、採取された試料のOD600(optical density)を測定して生長速度を測定した、採取された試料は13,000rpmで10分間遠心分離した後、上澄み液の代謝産物および2,3‐ブタンジオール濃度を液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。
【0060】
その結果、実験例5で450rpmで撹拌速度を一定に維持して流加式培養を行った場合よりも2,3‐ブタンジオールの濃度は74.5%、生産性は29.7%、収率は55.2%、選択度は27.0%に大幅に増加した。したがって、実施例1の組換え菌株を用いた2,3‐ブタンジオールの生産には撹拌速度による溶存酸素量の調節が大きい影響を及ぼすことを確認することができた。そのため、撹拌速度の調節によって培地内の溶存酸素量を調節することで、2,3‐ブタンジオールの生産性を改善することができると判断された(表7、
図13)。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、アセチルCoAおよび乳酸生合成経路を有する微生物であって、ピルビン酸をアセチルCoAに転換する経路、ピルビン酸をギ酸に転換する経路またはピルビン酸を乳酸に転換する経路が抑制されている2,3‐ブタンジオールの生成能が増加した組換え微生物に関するものである。本発明の組換え微生物は、2,3‐ブタンジオールを高い選択度および濃度で生産することができる。
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]