(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305518
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】部分プログラムの変更時にCAMシステムに通知をする数値制御装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/4097 20060101AFI20180326BHJP
G05B 19/4093 20060101ALI20180326BHJP
B23Q 15/00 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
G05B19/4097 C
G05B19/4093 H
B23Q15/00 301Z
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-509312(P2016-509312)
(86)(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公表番号】特表2016-517117(P2016-517117A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】EP2013067663
(87)【国際公開番号】WO2014173470
(87)【国際公開日】20141030
【審査請求日】2016年3月7日
(31)【優先権主張番号】13164874.3
(32)【優先日】2013年4月23日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】ズィン、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】シュピールマン、ラルフ
【審査官】
松田 長親
(56)【参考文献】
【文献】
特開平7−261818(JP,A)
【文献】
特開2004−145716(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0023341(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18−19/416;19/42−19/427
B23Q 15/00−15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値制御装置(7)が、前記数値制御装置(7)により実行可能である部分プログラム(TP)へのアクセスが可能であり、
前記数値制御装置(7)が、前記部分プログラム(TP)を実行することにより、生産機械(11)の制御が可能であり、
使用者インターフェース(12)を介して、使用者(10)から前記数値制御装置(7)に選択指令(SEL)が予め与えられ、前記選択指令(SEL)により前記部分プログラム(TP)の少なくとも1つのプログラム命令が選択され、
前記数値制御装置(7)が、少なくとも1つの選択されたプログラム命令のパラメータ記述(13)、又は少なくとも1つの選択されたプログラム命令を含むプログラム命令シーケンスのパラメータ記述(13)を、前記使用者インターフェース(12)を介して前記数値制御装置(7)の前記使用者(10)に対して出力し、
前記数値制御装置(7)が、使用者(10)から前記パラメータ記述(13)の変更を受け取り、
前記数値制御装置(7)が、変更されたパラメータ記述(13)に対応する修正された部分プログラム(TP’)を記憶し、
前記数値制御装置(7)が、前記修正された部分プログラム(TP’)の記憶と共に、強制的に、自動的に評価可能な形式で少なくとも元の部分プログラム(TP)と行われた変更とを識別するメッセージ(16)を、前記メッセージ(16)固有の、予め定めたアドレス(17)に送信することにより、前記部分プログラム(TP)の生成に使用されたCAMシステム(4)が、前記メッセージ(16)に基づいて自主的かつ自動的に元の部分プログラム(TP)を基礎とするデータセット(20)を確認するとともに、行われた変更にしたがって前記データセット(20)を修正し、
前記予め定められたアドレス(17)が、前記部分プログラム(TP)の作成に使用された前記CAMシステム(4)に特有であることを特徴とする数値制御装置(7)の動作方法。
【請求項2】
前記数値制御装置(7)が、前記使用者(10)が行った変更に関係なく、前記メッセージ(16)を前記予め定められたアドレス(17)に送信することを特徴とする請求項1記載の動作方法。
【請求項3】
前記メッセージ(16)が、自動的に評価可能な形式で前記数値制御装置(7)の識別データ(21)を含むことを特徴とする請求項1又は2記載の動作方法。
【請求項4】
前記メッセージ(16)の送信前に、前記数値制御装置(7)が、前記数値制御装置(7)の前記使用者(10)に、フリーテキスト(23)およびデータファイル(24)の少なくとも一方を前記メッセージ(16)に付加する機会を与えることを特徴とする請求項1から3の1つに記載の動作方法。
【請求項5】
前記メッセージ(16)がEメールであることを特徴とする請求項1から4の1つに記載の動作方法。
【請求項6】
前記数値制御装置(7)が、前記部分プログラム(TP)のヘッダー(15)に基づいて、予め定められたアドレス(17)を自動的に決定することを特徴とする請求項1から5の1つに記載の動作方法。
【請求項7】
数値制御装置(7)によって直接的に実行可能である機械コード(9)を含み、前記数値制御装置(7)による前記機械コード(9)の実行により、前記数値制御装置(7)が請求項1から6の1つに記載の動作方法を実施する、コンピュータプログラム。
【請求項8】
前記数値制御装置によって実行可能な請求項7記載のコンピュータプログラム(8)が記憶されている数値制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
数値制御装置が、数値制御装置により実行可能である部分プログラムへのアクセスが可能であり、
数値制御装置により部分プログラムを実行することによって生産機械の制御が可能であり、
数値制御装置に使用者により使用者インターフェースを介して選択指令が予め与えられ、その選択指令により部分プログラムの少なくとも1つのプログラム命令が選択され、
数値制御装置が、少なくとも1つの選択されたプログラム命令のパラメータ記述、又は少なくとも1つの選択されたプログラム命令を含むプログラム命令シーケンスのパラメータ記述を、使用者インターフェースを介して数値制御装置の使用者に対して出力し、
数値制御装置が、使用者から前記パラメータ記述の変更を受け取り、
数値制御装置が、変更されたパラメータ記述に対応する修正された部分プログラムを記憶する、
数値制御装置のための動作方法に関する。
【0002】
さらに、本発明は、コンピュータプログラムが数値制御装置によって直接的に実行可能である機械コードを含み、数値制御装置によるその機械コードの実行が、数値制御装置がこの種の動作方法を実施することをもたらす、コンピュータプログラムに関する。
【0003】
さらに、本発明は、数値制御装置によって実行可能なこの種のコンピュータプログラムが記憶されている数値制御装置に関する。
【背景技術】
【0004】
数値制御装置は、動作時に一般に所謂部分プログラムを実行する。部分プログラムは、生産機械(特に、工作機械)の位置および回転数調節される軸をどのように制御するかを決定する。理論的には数値制御装置の使用者インターフェースを介して直接的に部分プログラムを生成することができる。しかし、数値制御装置の使用者インターフェースを介しては、個々の制御命令を逐次相前後して設定できる可能性を提供することしかできない。従って、実際には部分プログラムは、CADシステムにより生成されたデータに基づいてCAMシステムにより生成される。CAMシステムは、所謂ポストプロセッサも一緒に含んでいてよい。
【0005】
部分プログラムを生成する際にCAMシステムを用いてCAMシステムの使用者により一連のプログラム命令シーケンスが生成される。各プログラム命令シーケンスについて、CAMシステムの使用者は、CAMシステムに対して、各加工のパラメータ記述を設定する。例えば、金型製作におけるフライス加工の際に、CAMシステムの使用者は、仕上げ削りのために、どの工具を使用すべきか、どのくらいの送り深さにすべきか、何をジオメトリ基準とするか等を設定することができる。CAMシステムの使用者は、例えばフライスが移動されるべき経路も設定することができる。それに続いてプログラム命令シーケンスのパラメータ記述に基づいてCAMシステムが部分プログラムを生成する。その部分プログラムが数値制御装置に伝送される。一般に、その部分プログラムは、もはやパラメータ記述自体を含んでおらず、生産機械の位置および回転数調節される軸のための個々の制御命令の列だけを含んでいる。個々の制御命令の列は非常に長くてよい(一部では、数百万個のデータセット)。制御命令の列を決定する基礎となった基準は、もはや制御命令の列から取り出すことができない。この種の基準の例として、ライン間隔、工具ジオメトリ、加工戦略、衝突回避計算の結果、技術的な例えば工具位置調整のような諸値等が挙げられる。
【0006】
CAMシステムの使用者は、一般に数値制御装置の使用者とは異なる者である。多くの場合に、CAMシステムの使用者には、部分プログラムにより制御されるべき生産機械の技術的な特性データが不足している。このことは、数値制御装置による部分プログラムの実行が不適切に製作された加工物をもたらす結果になり得る。このような場合に、個々の具体的なケースに応じて、再度、基礎から新しく部分プログラムを決定する必要がある。しかし、多くの場合において、適切な加工物の製作を可能にするためにどのパラメータ記述のどのパラメータを変更すればよいかは、数値制御装置の使用者にとって、生産機械およびそれの技術データの知識に基づいて明らかである。
【0007】
従来技術において、数値制御装置の使用者は、部分プログラムの変更すべき部分が数値制御装置内にパラメータ形式で存在する場合にのみ、部分プログラムの変更を行うことができる。そういうケースに当たるのは、一般に、部分プログラム全体の僅かな部分でしかない。従来技術では、その他の全ての部分において、数値制御装置の使用者は、CAMシステムの使用者と連係しなければならず、CAMシステムの使用者に、どのパラメータ記述におけるどのパラメータを変更したいかを伝えなければならない。それに従って、CAMシステムの使用者は、CAMシステムを呼び出して、該当するパラメータ記述を手動で変更し、それから部分プログラムを新たに作成する。相応に修正された部分プログラムが数値制御装置に伝送される。最近では、数値制御装置の使用者に、次の可能性を提供する努力もなれている。すなわち、部分プログラムの、数値制御装置内に始めからパラメータ形式で存在していない部分も、数値制御装置の使用者が変更することができる可能性である。
【0008】
数値制御装置の使用者が部分プログラムを変更した際に、このことが、必然的に、CAMシステムの使用者によって作成された部分プログラムと、数値制御装置によって処理されて修正された部分プログラムとの間に矛盾をもたらす。従来技術において、再び整合性をもたらすために、CAMシステムの使用者は、数値制御装置の使用者が行った変更と同じ変更を行わなければならない。変更のこの種の更新作業は、誤りやすく、面倒で時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、CAMシステムに格納されている部分プログラムを、数値制御装置によって処理された部分プログラムに対して矛盾のないように維持し得る可能性を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、本発明によれば請求項1記載の特徴事項を有する動作方法により解決される。本発明による動作方法の有利な実施形態は、従属請求項2から7に記載されている。
【0011】
本発明によれば、冒頭に述べた如き動作方法が次によって構成されている。すなわち、数値制御装置が、修正された部分プログラムの記憶と共に、強制的に、自動的に評価可能な形式で少なくとも元の部分プログラムおよび予め行われた変更を識別するメッセージを、予め定められたアドレスに送信することにより、部分プログラムの生成に使用されたCADシステムが、そのメッセージに基づいて自主的かつ自動的に、元の部分プログラムの基礎をなすデータセットを確認し、そのデータセットを、行われた変更に応じて修正することを可能にする。「強制的に」という概念は、メッセージの送信を数値制御装置の使用者によって抑制することができないことを意味する。
【0012】
CAMシステムの部分プログラムの更新をCAMシステムが完全に自主的かつ自動的に行うことは必要ではなく、多くの場合それどころか望ましくない。一般的にはむしろ半自動的な方法が好ましい。この半自動的な方法の場合、使用者によってCAMシステムに相応のメッセージが与えられ、CAMシステムは、それらのメッセージに基づいて、CAMシステム内に存在する部分プログラムの更新を行う。しかし、メッセージは、自主的かつ自動的な更新が可能であるように構成されていなければならない。
【0013】
数値制御装置が、使用者が行った変更に関係なく、メッセージを予め定められたアドレスに送信することが好ましい。
【0014】
メッセージが送信される予め定められたアドレスは、適宜決定されていてよい。そのアドレスは、部分プログラムの作成に使用されたCAMシステムに特有であることが好ましい。
【0015】
メッセージが、部分プログラムおよび行われた変更に関するデータに加えて、自動的に評価可能な形式で数値制御装置の識別データを含んでいることが好ましい。
【0016】
数値制御装置が、メッセージの送信前に、フリーテキストおよび/又はデータファイルをメッセージに付加することができる可能性を数値制御装置の使用者に与えるとよい。それによって、例えばCAMシステムの使用者は、なぜ数値制御装置の使用者が部分プログラの当該変更を行ったかの理由を、多くの場合に簡単に理解することができる。
【0017】
さらに、メッセージは、要求に応じて決定されていてよい。例えば、メッセージはEメールであってよい。
【0018】
本発明による動作方法の適切な動作のためには、数値制御装置にとって予め定められたアドレスが既知であることが必要である。予め定められたアドレスが数値制御装置内に固定的に格納されていてよい。しかし、数値制御装置が、部分プログラのヘッダーに基づいて、予め定められたアドレスを自動的に確認することが好ましい。
【0019】
前記課題は、さらに請求項8の特徴事項を有するコンピュータプログラムによって解決される。本発明によれば、冒頭に述べた如きコンピュータプログラムが次のように構成されている。すなわち、数値制御装置によって機械コードを実行することにより、数値制御装置が本発明による動作方法を実施する。
【0020】
前記課題は、さらに請求項9によれば、数値制御装置によって実行可能な本発明によるコンピュータプログラムが記憶されている数値制御装置によって解決される。
【0021】
以下において、本発明の上述の特性、特徴および利点、ならびにこれらをどのようにして達成するかの方法を、図面に示す実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は複数の装置の複合システムを概略図で示す
【
図2】
図2は部分プログラムのメインプログラムを概略図で示す。
【
図3】
図3は部分プログラムのサブプログラムを概略図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下において、
図1を参照しながら、先ず本発明の基礎をなす従来技術の典型的な方法を説明する。
【0024】
図1によれば、先ずCADシステム1により作製すべき加工物2が指定される。加工物2の(純粋に幾何学的な)描画3がCAMシステム4に転送される。CAMシステム4は一般にCAMプロセッサ4aおよびポストプロセッサ4bを含む。CAMシステム4により部分プログラムTPが生成される。CAMプロセッサ4aが移動パターンを生成する。一般に、CAMプロセッサ4aは、加工物2の面に割り当てられたパラメータ化されたマスクに基づいて、一連の工具経路を生成する。さらに、それらの工具経路は一般に制御と関係なく定義されている。ポストプロセッサ4bは、それらの工具経路を制御に特有の列(=部分プログラムTP)に変換する。部分プログラムTPは、例えばデータ媒体5又はコンピュータ−コンピュータ接続6を介して、数値制御装置7に伝送される。それによって数値制御装置7は部分プログラムTPへアクセスすることが可能である。データ媒体5をUSBメモリスティックとして図示しているが、これは単なる例示に過ぎない。コンピュータ−コンピュータ接続6は、個々の具体的なケースに応じて、LANとして、WANとして、又はWWWとして構成することができる。
【0025】
数値制御装置7は、コンピュータプログラム8によりプログラミングされている。コンピュータプログラム8は、数値制御装置7の内部に記憶されており、例えばEEPROM内に、又はフラッシュEPROM内に記憶されている。コンピュータプログラム8は、数値制御装置7によって直接的に実行可能である機械コード9を含んでいる。コンピュータプログラム8は、一般に数値制御装置7の製造元によって数値制御装置7に格納される。
【0026】
数値制御装置7により機械コード9を実行することによって、先ず、使用者10による適切な制御命令の設定後に、数値制御装置7が部分プログラムTPを実行する。部分プログラムTPの実行により、数値制御装置7によって生産機械11が制御される。生産機械11は、特に工作機械として、例えば1、2、3、4、5、…の位置調節される軸A1〜A5を有する工作機械として構成することができる。部分プログラムTPの実行(および生産機械11の相応の制御)によって、加工物2が製作される。
【0027】
部分プログラムTPのメインプログラムは、
図2によれば、一般にサブプログラム呼出しSR1,SR2,・・・,SRNを含む。それどころかメインプログラムは、サブプログラム呼出しSR1,SR2,・・・,SRNのシーケンスのみから構成されていてよい。
【0028】
サブプログラム呼出しSR1,SR2,・・・,SRNの幾つかがパラメータ化されており、
図2よればサブプログラム呼出しSR1およびSR4がパラメータ化されている。この場合に、付属のサブプログラムは、部分プログラムTPに関係なく数値制御装置7内に格納されている。数値制御装置7において、パラメータ化されたサブプログラム呼出しSR1,SR4は、付属のサブプログラムにより、生産機械11の位置調節される軸A1〜A5の個々の移動運動の列に変換される。数値制御装置7は、位置調節される軸A1〜A5の移動運動への変換時に、当該サブプログラム呼出しSR1,SR4のパラメータa,b,cを考慮する。従って、部分プログラムTPのこれらの部分は、数値制御装置7にパラメータ形式で予め与えることができる。
【0029】
サブプログラム呼出しSR1,SR2,・・・,SRNのうちのその他(
図2によればサブプログラム呼出しSR2およびSR3)は、パラメータ化されていない。この場合には、付属のサブプログラムは部分プログラムTPの構成要素である。付属のサブプログラムは、
図3によれば、一般に位置調節される軸A1〜A5の個々の移動運動の(非常に長い)列から成る。個々の移動運動のそれぞれについて、位置調節される軸A1〜A5ごとに、それぞれの位置値p11〜p51,p1N〜p5Nが設定されている。さらに、通常は、位置調節される軸A1〜A5ごとに、それぞれの速度値v11〜v51,v1N〜v5Nが設定されている。さらに、通常は、少なくとも1つの回転数調節される軸A6に対して、回転数n1〜nNが設定されている。
【0030】
パラメータ化されていないサブプログラム呼出しSR2,SR3自体を取りやめ、その代わりに、位置調節される軸A1〜A5の個々の移動運動の列が、場合によっては回転数調節される軸A6の移動運動の列も、部分プログラムTPのメインプログラム内に含まれているようにしてよい。
【0031】
数値制御装置7をプログラミングしているコンピュータプログラム8は、部分プログラムTPを実行するだけでなく、使用者10が使用者インターフェース12を介して数値制御装置7と通信することを可能にし、数値制御装置7がこの後に構成した動作を実行することを生じさせる。以下において、
図4を参照して本発明の対象である相応の動作方法をさらに詳細に説明する。
【0032】
図4によれば、数値制御装置7の使用者10が使用者インターフェース12を介して選択指令SELを予め与える。その選択指令SELにより、部分プログラムTPのプログラム命令シーケンスの少なくとも1つのプログラム命令が選択される。例えば、使用者10は、
図2に破線矢印で示されているように、1つのサブプログラム呼出しSR1,SR4を選択することができる。そのサブプログラム呼出しSR1,SR4は、数値制御装置7にパラメータ形式で設定されており、従って、そのサブプログラム呼出しSR1,SR4に付属するサブプログラムは、数値制御装置7内に部分プログラムTPに関係なく格納されている。あるいは、使用者10は、
図3に破線矢印で示されているように、選択指令SELにより、1つのプログラム命令シーケンスの1つの個別のプログラム命令、又はそのプログラム命令シーケンスの相前後する複数のプログラム命令のグループを選択することができる。例えば、後者の場合には、使用者10が、選択すべきグループの最初のプログラム命令と最後のプログラム命令とを選択するとよい。該当するプログラム命令シーケンスは、部分プログラムTPにも数値制御装置7にもパラメータ形式で存在しなくてよい。しかし代わりに、使用者10は、
図2に実線矢印で示されているように、選択指令SELにより、数値制御装置7にも部分プログラムTPにもパラメータ形式で存在していないサブプログラム呼出しSR2を選択することができる。このケースでは、選択指令SELによって(間接的に)該当するサブプログラムの移動運動の列の全体が選択される。
【0033】
次にさらに説明する動作方法は、使用者10が特定のプログラム命令を選択するときにのみ、実行するとよい。例えば、次にさらに説明する動作方法は、使用者10が数値制御装置7内にパラメータ形式で存在するプログラム命令を選択するときにのみ、実行するとよい。しかし、次にさらに説明する動作方法は、常に実行すること、従って使用者10がどの1つの又は複数のプログラム命令を選択するかに関係なく実行することが好ましい。従って、使用者10が、本発明による動作方法に関するかぎり、プログラム命令シーケンスの任意の1つのプログラム命令又は相前後した複数のプログラム命令の任意のグループを選択できることが好ましい。特に、使用者10によって選択されるプログラム命令が少なくとも1つのプログラム命令を含み、その少なくとも1つのプログラム命令に基づいて加工物2が1つの面において加工され、その1つの面が当該面の少なくとも1つの点で互いに直交する2つの方向に湾曲していることが望ましい。このことは、互いに直交する2つの方向がどのように選ばれているかに関係なく当てはまる。換言するならば、その面の当該点ではその面が湾曲していない方向は存在しない。
【0034】
選択指令SELに基づいて、数値制御装置7が、使用者インターフェース12を介して数値制御装置7の使用者10に対して、選択されたプログラム命令のパラメータ記述13又は少なくとも1つの選択されたプログラム命令を含むプログラム命令シーケンスのパラメータ記述13を出力する。
図5は1つの相応の出力マスク14を単に例として示す。
【0035】
パラメータ記述が数値制御装置7および部分プログラムTPに含まれていないときにも、本発明による動作方法が実施される場合には、数値制御装置7にとって、どのCAMシステム4により部分プログラムTPが生成されたかが既知でなければならない。相応の情報は、数値制御装置7に、例えば使用者10によって予め与えられるとよい。相応の情報は、数値制御装置7内に固定的に格納されていてもよい。しかし、
図2に従って、部分プログラムTPが、相応の情報を格納したヘッダー15を有するのが好ましい。この場合に数値制御装置7は自分自身でヘッダー15に基づいて該当するCAMシステム4を確認することができる。その情報自体は任意の種類であってよい。例えばURL(universal resource locator)形式で格納されているとよい。
【0036】
数値制御装置の使用者10が、部分プログラムTP内および数値制御装置7内にパラメータ形式で存在していないプログラム命令を選択した場合に、数値制御装置7は、
図4に従って、コンピュータ−コンピュータ接続6を介して直接的又は間接的に、部分プログラムTPの作成に使用されたCAMシステム4に、情報identを伝送する。情報identは、少なくとも1つの選択されたプログラム命令を識別する。例えば、相応の情報identが、部分プログラムTPのメインプログラムの行番号、又は対応するサブプログラムのラベルおよびそこでの行番号を含んでいるとよい。その情報identは、CAMシステム4によって自動処理される。特に、CAMシステム4は、選択されたプログラム命令の該当するパラメータ記述13、又は少なくとも1つの選択されたプログラム命令を含むプログラム命令シーケンスのパラメータ記述13を確認する。CAMシステム4は、確認したパラメータ記述13を、コンピュータ−コンピュータ接続6を介して数値制御装置7に伝送する。数値制御装置7は、パラメータ記述13を受け取ってそれを使用者10に対して出力する。
【0037】
パラメータ記述13が数値制御装置7内又は部分プログラムTP内に存在するか否か、又はパラメータ記述13がCAMシステム4から数値制御装置7に伝送されるか否かに関係なく、パラメータ記述13は、複数のパラメータPAR1〜PARNを含む。パラメータPAR1〜PARNは、使用者10によって変更することができる。ここで使用者10がパラメータPAR1〜PARNの1つ、例えばパラメータPARnを変更するならば、修正された部分プログラムTP’が作成される。
【0038】
選択された1つ又は複数のプログラム命令のパラメータ記述13が数値制御装置7内に記憶されている場合には、数値制御装置7自体が修正された部分プログラムTP’を確認することができる。従って、これに関しては、数値制御装置7とCAMシステム4との間の通信が必要でないことは自明である。その通信は可能ではあるが、しかし必要でない。これに対して、パラメータ記述13が数値制御装置7内に記憶されていない場合には、数値制御装置7は、(使用者10によって相応の要求が与えられた後に)コンピュータ−コンピュータ接続6を介して、変更されたパラメータPARn(又は変更されたパラメータPARnを含む全てのパラメータPAR1〜PARN)をCAMシステム4に伝送する。それにしたがって、CAMシステム4は、修正された部分プログラムTP’を確定する。修正された部分プログラムTP’は、使用者10によって変更されたパラメータ記述13に対応する。修正された部分プログラムTP’は、必要とされる限り、CAMシステム4によって自動的に数値制御装置7に伝送される。数値制御装置7は、修正された部分プログラムTP’を受け取る。それによって、使用者10は、その後、元の部分プログラムTPの代わりに、修正された部分プログラムTP’を呼び出して数値制御装置7によって実行させることができる。
【0039】
修正された部分プログラムTP’が、数値制御装置7とCAMシステム4との通信により確認されたか、又はその通信なしに確認されたかには関係なく、修正された部分プログラムTP’は、今や数値制御装置7において使用可能である。従って、数値制御装置7の使用者10は、例えば1つ又はほんの僅かの加工物2の試験製作後に、修正された部分プログラムTP’が適切であることを判断することができる。この場合に、数値制御装置7の使用者10は、数値制御装置7に対して承認応答OKを出力する。その承認応答OKに基づいて、数値制御装置7は、変更されたパラメータ記述13に対応する修正された部分プログラムTP’を内部に保存する。さらに、数値制御装置7は、直ちに又は時間的に遅れて、強制的にメッセージ16を予め定められたアドレス17に送信する。従って、その予め定められたメッセージ16は、数値制御装置7によって、修正された部分プログラムTP’の記憶と共に送信される。
【0040】
メッセージ16は、
図6によれば、予め定められたフォーマットで元の部分プログラムTPついての一義的な識別データ18を含んでいる。メッセージ16は、さらに、予め定められたフォーマットで、数値制御装置7の使用者10によって行われた変更についての一義的な識別データ19を含んでいる。識別データ18,19は、それらが元の部分プログラムTPと行われた変更とを明確に識別するという事情により、自動的に評価可能である。従って、原理的に、(元の)部分プログラムTPの生成に使用されたCAMシステム4は、メッセージ16に基づいて、特に識別データ18に基づいて、自主的かつ自動的に、元の部分プログラムTPの基礎をなすデータセット20を確認することができる。さらにCAMシステム4は、メッセージ16に基づいて、行われた変更(識別データ19によって記述されている)に従って、そのデータセット20を修正することができる。さらに、メッセージ16は、自動的に評価可能な形式で、数値制御装置7の識別データ21を含んでいることが好ましい。
【0041】
既に述べたように、数値制御装置7が、修正された部分プログラムTP’の記憶と共に即座にメッセージ16を送信しないのがよい。しかし、数値制御装置7のプログラミングをしているコンピュータプログラム8は、強制的にメッセージ16を送信するように構成されている。例えば、承認応答OKが与えられてからメッセージ16が送信されるまでは、修正された部分プログラムTP’の実行が阻止されるとよい。
【0042】
メッセージ16が時間をずらされて送信される場合に、数値制御装置7は、例えば使用者インターフェース12の画面上にウィンドウ22を開き、このウィンドウ22を介して数値制御装置7の使用者10がフリーテキスト23を入力することができる。その代替又は追加として、数値制御装置7の使用者10はメッセージ16に1つのデータファイル24を添付することができる(又は、場合によっては複数のデータファイル24を添付してもよい)。フリーテキスト23および1つのデータファイル24(又は複数のデータファイル24)は、この場合にはメッセージ16と一緒に予め定められたアドレス17に送信される。
【0043】
使用者10が部分プログラムTPの特定の変更を行った場合にのみ、数値制御装置7がメッセージ16を送信するとよい。例えば、パラメータ記述13が数値制御装置7又は部分プログラムTP内に存在する場合にのみ、数値制御装置7がメッセージ16を送信するとよい。というのは、この場合、事情によってはCAMシステム4との通信を必要とすることなしに使用者10によって変更を行うことができるからである。これに対して、パラメータ記述13がCAMシステム4から数値制御装置7に伝送された場合には、部分プログラムTPが変更されかつ何の変更が行われたかがCAMシステム4の側で既知である。この場合には、例えばCAMシステム4の側で直接的に対応するメッセージを生成することができる。しかし、使用者10が何の変更を行ったかに関係なく、数値制御装置7がメッセージ16を送信することが好ましい。
【0044】
予め定められたアドレス17は、数値制御装置7にとって既知でなければならない。そのアドレス17は、CAMシステム4を関する情報と同様に、数値制御装置7内に固定的に格納されているとよい。しかし、予め定められたアドレス17はヘッダー15に格納されているとよい。この場合に、数値制御装置7は予め与えられたアドレス17をヘッダー15に基づいて確認することができる。
【0045】
予め与えられたアドレス17自体は、任意のアドレスであってよい。例えば、そのアドレス17は、URL又はEメールアドレスの形式で格納することができる。予め与えられたアドレス17の種類に関係なく、予め与えられたアドレス17は、例えば部分プログラムTPの作成に使用されたCAMシステム4に特有であるとよい。その代わりとして、予め与えられたアドレス17は、例えばCAMシステム4の予め定められた使用者のEメールアドレスであってよい。
【0046】
本発明は多くの利点を有する。特に、CAMシステム4の使用者は、簡単に次のことができる。すなわち、数値制御装置7がアクセス可能な部分プログラムTPにおいて数値制御装置7の使用者10が変更を行ったとしても、CAMシステム4の使用者によって作成された部分プログラムTPを、数値制御装置7がアクセス可能な部分プログラムTPと矛盾しないように維持することができる。例えば、CAMシステム4の使用者は、相応のメッセージ16を自動的な表示により得ることができ、又は(例えばEメールの場合には)Eメールボックスにおいて呼び出すことができる。CAMシステム4の使用者が変更を行いたい場合には、CAMシステム4の使用者がさらに変更の権限を与えるか、又は変更を有効にするだけでよく、これは個別の承認応答により行われるとよい。CAMシステム4内に格納されているデータセット20および対応する部分プログラムTPの他の更新は、自動的に行うことができる。
【0047】
本発明を細部にわたって好ましい実施例によって詳しく図示して説明したが、本発明は開示した例によって限定されることはなく、本発明の保護範囲を逸脱することなく、それから他の変形を当業者によって導き出すことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 CADシステム
2 加工物
3 描画
4 CAMシステム
4a CAMプロセッサ
4b ポストプロセッサ
5 データ媒体
6 コンピュータ−コンピュータ接続
7 数値制御装置
8 コンピュータプログラム
9 機械コード
10 使用者
11 生産機械
12 使用者インターフェース
13 パラメータ記述
14 出力マスク
15 ヘッダー
16 メッセージ
17 アドレス
18 識別データ
19 識別データ
20 データセット
21 識別データ
A1〜A5 位置調節される軸
A6 回転数調節される軸
ident 情報
OK 承認応答
PAR1〜PARN パラメータ
PARn 変更されたパラメータ
SR1〜SRN サブプログラム呼出し
TP 部分プログラム
TP’ 修正された部分プログラム