特許第6305529号(P6305529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6305529車両内のペダル運動を検出するセンサ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305529
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】車両内のペダル運動を検出するセンサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20180326BHJP
   B60T 7/02 20060101ALI20180326BHJP
   B60T 11/16 20060101ALI20180326BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20180326BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20180326BHJP
【FI】
   G01B7/00 101E
   B60T7/02 D
   B60T11/16 Z
   G05G1/30 E
   G05G1/38
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-524078(P2016-524078)
(86)(22)【出願日】2014年9月22日
(65)【公表番号】特表2016-536581(P2016-536581A)
(43)【公表日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】EP2014070108
(87)【国際公開番号】WO2015055383
(87)【国際公開日】20150423
【審査請求日】2016年6月15日
(31)【優先権主張番号】102013220755.7
(32)【優先日】2013年10月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーロン トロースト
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ツェー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス アールト
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】レミギウス ハース
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−517987(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2028451(EP,A2)
【文献】 特開2008−256693(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1688709(EP,A2)
【文献】 特表2004−526611(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第1231122(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00− 7/34
G01D 5/00− 5/252
G01D 5/39− 5/62
G05G 1/30− 1/50
B60T 7/00− 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内のペダル運動を検出するセンサ装置であって、
ペダル運動によって直線運動するピストン(34,44)に配置された測定値発生器(20A,20B,20C,20D)と、
前記ピストン(34,44)の運動領域内に定置状態で配置された測定値ピックアップ(10A,10B,10C,10D)と
を備え、
前記測定値ピックアップ(10A,10B,10C,10D)は、前記測定値発生器(20A,20B,20C,20D)に接続されて、前記ペダル運動を表す信号を形成する、センサ装置において、
前記測定値発生器(20A,20B,20C,20D)及び前記測定値ピックアップ(10A,10B,10C,10D)は、誘導性センサとして構成されており、
前記測定値発生器(20A,20B,20C,20D)は、少なくとも1つの検出領域(24)を有しており、前記測定値ピックアップ(10A,10B,10C,10D)は、少なくとも1つの検出コイル(14)を有しており、
前記測定値発生器(20A,20B,20C,20D)の前記少なくとも1つの検出領域(24)が前記少なくとも1つの検出コイル(14)のインダクタンスに作用することにより、前記測定値ピックアップ(10A,10B,10C,10D)の前記少なくとも1つの検出コイル(14)の変化するインダクタンスを前記ペダル運動の尺度量として評価可能であり、
前記ピストン(34,44)の直線運動(T)を前記測定値発生器(20C)の回転運動(R)へ変換する運動変換器(50)が設けられており、
前記回転運動を前記ペダル運動の尺度量として評価可能である、
ことを特徴とするセンサ装置。
【請求項2】
前記測定値ピックアップ(10A,10B,10C,10D)は回路支持体(12)を備えており、該回路支持体(12)上に前記少なくとも1つの検出コイル(14)が配置されている、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの検出コイル(14)は、複数の層に分散されて前記回路支持体(12)に配置されている、
請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記回路支持体(12)は、前記直線運動するピストン(34,44)の通過位置の領域において、ブレーキブースタ(30)又はブレーキマスタシリンダ(40)のハウジング(32,42)の外側に配置されている、
請求項2又は3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの検出コイル(14)は、ブレーキマスタシリンダ(40)のハウジング(42)の内壁に配置されている、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記回路支持体(12)は、回路板、及び/又は、可撓性シート、及び/又は、多層の配線案内部若しくは積載構造部を有するプラスチック射出成形部材として構成されている、
請求項2乃至5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記測定値発生器(20A,20B,20C,20D)はリング状のベースボディ(22)を有しており、該ベースボディ(22)は前記直線運動するピストン(34,44)上に載置されており、その表面に前記少なくとも1つの検出領域(24)が位置している、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つの検出領域(24)は、導電性材料及び/又は強磁性材料から形成されている、
請求項7に記載のセンサ装置。
【請求項9】
複数の検出領域(24)が前記ベースボディ(22)の表面に位置しており、
隣り合う各検出領域は、それぞれ絶縁材料から成る分離領域によって相互に分離されている、
請求項7又は8に記載のセンサ装置。
【請求項10】
前記測定値発生器(20C)は、前記測定値ピックアップ(10C)に対して設定された軸方向距離を置いて配置されており、かつ、前記運動変換器(50)を介して回動可能に前記ピストン(34,44)に結合されている、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
本発明は、独立請求項1の上位概念に記載の車両内のペダル運動を検出するセンサ装置に関する。
【0002】
従来技術から、複数のセンサ装置によって、ブレーキペダルの運動を検出及び評価することにより運転者の制動要求を識別する、車両の制動装置が公知である。ハイブリッド車両及び電気車両における回生制動過程を制御するためにも、運転者の制動要求を識別することが必要である。このために、例えば、ブレーキペダルの運動が測定される。この目的で現在使用されているセンサは、ペダル角度又は制動装置内のピストンの直線運動を測定するものである。測定方式として、例えば、磁界を検出することのできるホール効果が利用されている。測定される磁界は、ピストンに機械的に結合された1つ又は複数の磁石によって形成される。直線運動センサでは、磁石は制動装置のアルミニウムハウジング内に存在している。このため、今のところ、他の非接触の測定方法は排除されている。
【0003】
発明の開示
これに対して、独立請求項1に記載の特徴を有する、本発明に係る車両内のペダル運動を検出するセンサ装置は、磁性部品なしで実現可能な誘導性センサによってブレーキペダル距離を測定できるという利点を有する。従って、本発明に係るセンサ装置の各実施形態は、格段に低コストに、また、磁石の材料価格の変動に関係なく、製造可能である。さらに、センサ装置の一部、即ち、測定値ピックアップの少なくとも1つの検出コイルを、評価回路の各部品を担持する回路支持体に組み込むこともできる。本発明に係るセンサ装置を実現するために、組み込み位置が相応に選択される。その理由は、従来のセンサ装置の公知の組み込み位置は、金属製の遮閉部のために、誘導性センサには通常、適さないからである。
【0004】
こうした誘導性センサは、例えば、検出コイルによって誘導される渦電流が各検出コイルのインダクタンスを減衰させるという効果を利用した渦電流センサとして構成可能である。当該渦電流は、測定値発生器の検出面から測定値ピックアップの検出コイルまでの距離に依存して、測定値発生器の導電性材料に誘導される。よって、インダクタンスが検出コイルから検出面までの距離の尺度量となる。反対の効果、即ち、検出面が検出コイルに近づく際にインダクタンスが上昇する効果は、強磁性材料から成る検出面によって達成可能である。ブレーキブースタ又はブレーキマスタシリンダの導電性のアルミニウムハウジングの影響を回避するには、ペダル路における直線運動を検出する誘導性センサに対して、現在のセンサ方式での組み込み位置とは異なる組み込み位置を見出さなければならない。従って、少なくとも1つの検出コイルを含む測定値ピックアップ、及び、少なくとも1つの検出面を含む測定値発生器は、コンタクトを容易にするために、かつ、センサを媒体、例えばブレーキフルードに曝さないために、ハウジングの同じ側、好ましくはハウジングの外側に配置される。
【0005】
本発明の実施形態により、車両内のペダル運動を検出するセンサ装置が提供される。当該センサ装置は、ペダル運動によって直線運動するピストンに配置された測定値発生器と、ピストンの運動領域内に定置状態で配置された測定値ピックアップとを備える。測定値ピックアップは、測定値発生器に接続されて、ペダル運動を表す信号を形成する。本発明によれば、測定値発生器及び測定値ピックアップは誘導性センサとして構成されている。ここで、測定値発生器は少なくとも1つの検出領域を有しており、測定値ピックアップは少なくとも1つの検出コイルを有しており、測定値発生器の少なくとも1つの検出領域が少なくとも1つの検出コイルのインダクタンスに作用することにより、測定値ピックアップの少なくとも1つの検出コイルの変化するインダクタンスがペダル運動の尺度量として評価可能となる。
【0006】
従属請求項に記載された手段及び実施形態により、独立請求項1に記載された車両内のペダル運動を検出するセンサ装置の有利な改善が可能となる。
【0007】
特に有利には、測定値ピックアップが回路支持体を備え、この回路支持体上に少なくとも1つの検出コイルが配置される。さらに、少なくとも1つの検出コイルを、複数の層に分散して回路支持体に配置することができる。これにより、有利には、より高い感度、即ち、複数の層にわたって直列接続されたより大きなコイルインダクタンスを得ることができる。回路支持体は、好ましくは、直線運動するピストンの通過位置の領域において、ブレーキブースタ又はブレーキマスタシリンダのハウジングの外側に配置可能である。
【0008】
本発明に係るセンサ装置の有利な代替実施形態によれば、少なくとも1つの検出コイルは、ブレーキマスタシリンダのハウジングの内壁に配置される。これにより、ブレーキ操作によって生じるピストンの直線運動を有利にブレーキマスタシリンダ内で検出することができる。
【0009】
本発明に係るセンサ装置の別の有利な実施形態では、回路支持体が、例えば、回路板、及び/又は、可撓性シート、及び/又は、多層の配線案内部若しくは積載構造部を有するプラスチック射出成形部材として構成される。これにより、本発明に係るセンサ装置を種々の組み込み条件に適合させることができる。
【0010】
本発明に係るセンサ装置の別の有利な実施形態では、測定値発生器がリング状のベースボディを有し、このベースボディが直線運動するピストン上に載置され、その表面に少なくとも1つの検出領域が位置する。少なくとも1つの検出領域は、例えば、導電性材料及び/又は強磁性材料から形成することができる。好ましくは、複数の検出領域がベースボディの表面に配置され、隣り合う各検出領域がそれぞれ絶縁材料から成る分離領域によって相互に分離される。
【0011】
本発明に係るセンサ装置の別の有利な実施形態では、ピストンの直線運動を測定値発生器の回転運動へ変換する運動変換器が設けられ、当該回転運動がペダル運動の尺度量として評価可能となる。これにより、ペダル運動の検出に必要な構造空間を有利に低減することができる。測定値発生器は、測定値ピックアップに対して設定された軸方向距離を置いて配置可能であり、かつ、運動変換器を介して回動可能にピストンに結合可能である。
【0012】
本発明の各実施形態を図示し、以下に詳細に説明する。図中、同一又は類似の機能を有する部品又は要素に同じ参照番号を付してある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置の第1の実施形態の概略的なブロック図である。
図2】本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置の第2の実施形態の概略的なブロック図である。
図3】本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置の第3の実施形態の概略的なブロック図である。
図4図3の本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置の測定値発生器の第1の構成例の概略図である。
図5図3の本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置の測定値発生器の第2の構成例の概略図である。
図6図3の本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置の測定値発生器の第3の構成例の概略的な斜視図である。
図7図6の測定値発生器を備えた図3の本発明に係るセンサ装置の運動変換器の概略的な斜視図である。
図8図7の運動変換器の概略的な斜視断面図である。
図9図3のペダル運動を検出するセンサ装置の測定値ピックアップの概略図である。
図10】本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置の第4の実施形態の概略的な斜視断面図である。
【0014】
図1乃至図10から明らかなように、本発明に係る車両内のペダル運動を検出するセンサ装置7A,7B,7Dの図示の各実施形態は、それぞれ、ペダル運動によって直線運動するピストン34,44に配置された測定値発生器20A,20B,20C,20Dと、ピストン34,44の運動領域に定置状態で配置された測定値ピックアップ10A,10B,10C,10Dとを含み、ここで、測定値ピックアップ10A,10B,10C,10Dは、測定値発生器20A,20B,20C,20Dに接続されて、ペダル運動を表す信号を形成する。本発明によれば、測定値発生器20A,20B,20C,20D及び測定値ピックアップ10A,10B,10C,10Dは、誘導性センサとして構成されている。この場合、測定値発生器20A,20B,20C,20Dは少なくとも1つの検出領域24を有し、測定値ピックアップ10A,10B,10C,10Dは少なくとも1つの検出コイル14を有する。ここで、測定値発生器20A,20B,20C,20Dの少なくとも1つの検出領域24が少なくとも1つの検出コイル14のインダクタンスに作用することにより、測定値ピックアップ10A,10B,10C,10Dの少なくとも1つの検出コイル14の変化するインダクタンスがペダル運動の尺度量として評価可能となる。
【0015】
本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置7A,7B,7Dは、好ましくは、運転者が制動装置1A,1Bを駆動しようとする制動要求を識別するために使用される。また、本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置7A,7B,7Dは、ハイブリッド車両及び/又は電気車両の回生制動装置においても使用可能である。これに関して、本発明に係るセンサ装置7A,7B,7Dは、ブレーキペダル3の運動の測定に用いられる。ブレーキペダル3は、図示の各実施形態では、カップリングエレメント5を介して、ブレーキブースタ30の可動のピストン34に接続されている。ブレーキブースタ30は、別のカップリングエレメント36を介して、ブレーキマスタシリンダ40の可動のピストン44に接続されている。
【0016】
本発明の各実施形態により、ブレーキペダル距離を、磁性部品無しで構成可能な低コストの誘導性センサによって測定することができる。好ましくは、測定値ピックアップ10A,10B,10C,10Dは回路支持体12を有し、この回路支持体12上に少なくとも1つの検出コイル14が配置されている。少なくとも1つの検出コイル14は、より高い感度、即ち、複数の層にわたって直列接続されたより大きなコイルインダクタンスを達成するために、回路支持体12において複数の層に分散可能である。回路支持体12は、例えば、回路板、及び/又は、可撓性シート、及び/又は、多層の配線案内部若しくは積載構造部を有するプラスチック射出成形部材として構成される。測定値発生器20A,20B,20C,20Dはリング状のベースボディ22を有しており、このベースボディ22は直線運動するピストン34,44上に載置されており、その表面に少なくとも1つの検出領域24が位置している。少なくとも1つの検出領域24は、導電性材料及び/又は強磁性材料から形成されている。通常、複数の検出領域24がベースボディ22の表面に位置しており、隣り合う各検出領域がそれぞれ絶縁材料から成る分離領域によって相互に分離されている。渦電流センサとして構成される誘導性センサは、検出コイル14によって誘導される渦電流が各検出コイル14のインダクタンスを減衰させるという効果を利用している。当該渦電流は、少なくとも1つの検出コイル14までの距離に依存して、測定値発生器20A,20B,20C,20Dの、導電性材料から成る少なくとも1つの検出領域24に誘導される。よって、検出コイル14のインダクタンスは、検出コイル14から測定値発生器20A,20B,20C,20Dの検出領域24までの距離を表す尺度量となる。反対の効果、即ち、測定値発生器20A,20B,20C,20Dの少なくとも1つの検出領域24が検出コイル14に近づく際にインダクタンスが上昇する効果は、誘導性センサの少なくとも1つの検出領域24を強磁性材料から製造することによって達成することができる。
【0017】
図1乃至図3からさらに明らかなように、本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置7A,7Bの図示の実施形態での回路支持体12は、直線運動するピストン34,44の通過位置の領域において、ブレーキブースタ30又はブレーキマスタシリンダ40のハウジング32,42の外側に配置されている。
【0018】
図1からさらに明らかなように、測定値ピックアップ10Aと測定値発生器20Aとから形成される渦電流センサは、本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置7Aの図示の第1の実施形態では、車両の客室IR内で制動装置1Aに組み込まれている。回路板として構成され、少なくとも1つの検出コイル14を備える回路支持体12は、ピストン34がブレーキブースタ30に進入する位置の周囲でこのブレーキブースタ30のハウジング32に固定されており、図示されていないプラスチックハウジングによって包囲されている。測定値発生器20Aはピストン34の端部に固定され、ピストン34とともに運動する。これにより、少なくとも1つの検出コイル14のインダクタンスは、ピストン34がブレーキブースタ30に進入することによって変化する。
【0019】
測定値ピックアップ10B及び測定値発生器20Bから構成される誘導性センサのための別の組み込み位置が図2に示されている。車両の機関室MR内の、ブレーキブースタ30とブレーキマスタシリンダ40との間の移行部は、車両の客室IR内のブレーキペダル3とブレーキブースタ30との間の移行部と同様の前提条件を有している。図2からさらに明らかなように、測定値ピックアップ10Bと測定値発生器20Bとから形成される誘導性センサは、本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置7Bの図示の第2の実施形態では、車両の機関室MR内で制動装置1Bに組み込まれている。回路板として構成され、少なくとも1つの検出コイル14を備える回路支持体12は、ピストン44がブレーキマスタシリンダ40に進入する位置の周囲でブレーキマスタシリンダ40のハウジング42に固定されており、図示されていないプラスチックハウジングによって包囲されている。第1の実施形態と同様に、測定値発生器20Bもピストン44の端部に固定され、ピストン44とともに運動する。これにより、少なくとも1つの検出コイル14のインダクタンスは、ピストン44がブレーキマスタシリンダ40に進入することによって変化する。
【0020】
また、図3乃至図9から明らかなように、構造空間を低減するために、ピストン34,44の直線運動Tを、この目的で構成されている測定値発生器20Cの回転Rへ移行させることができる。ピストン34,44の直線運動Tを測定値発生器20Cの回転運動Rへ移行させるために、ピストン34,44に溝52又はレール54を設けることができる。測定値発生器20Cのベースボディ22の形状は、溝52又はレール54を備えたピストン34,44の構成に適合化されている。
【0021】
図4からさらに明らかなように、図示の構成例のディスク状のベースボディ22Aは、その内周に、ピストン34,44のレール54と協働するガイド路22.1を備えており、これにより、ピストン34,44が直線運動Tする際に測定値発生器20Cが回転運動Rへ移行される。測定値発生器20Cが回路板12に対して一定の間隔で固定されていることにより、ピストン34,44の直線運動Tが必然的にベースボディ22Bを回転Rさせる。
【0022】
図5からさらに明らかなように、図示の構成例のディスク状のベースボディ22Bは、その内周に、ピストン34,44の溝52と協働するウェブ22.2を備えており、これにより、ピストン34,44が直線運動Tする際に測定値発生器20Cが回転運動Rへ移行される。この構成例においても、測定値発生器20Cが回路板12に対して一定の間隔で固定されているため、ピストン34,44の直線運動Tが必然的にベースボディ22Bを回転Rさせる。
【0023】
図6から図8には、直線運動Tを回転Rへ変換する別の手段が示されている。ここでは、溝52又はレール54に代えて、測定値発生器20Cがベースボディ22Cを通過する際にこれを回転Rさせる複数の突起56がピストン34,44に配置される。図6から図8からさらに明らかなように、ベースボディ22Cは複数のガイド路22.1及びウェブ22.2も有する。
【0024】
測定値ピックアップ10Cのインダクタンスに作用する測定値発生器20Cの構成は、導電性材料から成る複数の検出面24を設け、その間に非導電性材料から成る複数の面を配置し、これにより、測定値ピックアップ10Cの複数の検出コイル14によって回転を検出可能にすることで行われる。図9には、回路支持体12上に配置された8つの検出コイル14を備えた測定値ピックアップ20Cの可能な実施形態が示されている。矢印方向Rで回転する相応の測定値発生器20Cは、破線で示した、導電性材料から成る3つの検出面24を有するディスク状のベースボディ22を含む。もちろん、少なくとも1つの検出コイル14及び少なくとも1つの検出面24の他の適切な複数の配置形態も使用可能である。運動変換器50を使用することによる構造空間の低減は、ブレーキブースタ30での組み込みの際にもブレーキマスタシリンダ40での組み込みの際にも可能である。
【0025】
また、図10から明らかなように、本発明に係るペダル運動を検出するセンサ装置7Dの図示の第3の実施形態では、測定値ピックアップ10Dと測定値発生器20Dとから形成される誘導性センサがブレーキマスタシリンダ40の内部に組み込まれている。
【0026】
少なくとも1つの検出コイル14を有する、例えば可撓性の回路板として構成された回路支持体12が、ブレーキマスタシリンダ40のハウジング42の内壁に配置される。ピストン44には複数の検出面24を有する測定値発生器20Dのベースボディ22が配置され、これがピストン44とともに運動する。これにより、少なくとも1つの検出コイル14のインダクタンスが変化する。可撓性の回路板として構成された回路支持体12上の少なくとも1つの検出コイル14の巻線は冗長的に設けることもできる。可撓性の回路板としての手段に代えて、ハウジング42が例えば多層の配線案内部又は積載構造部パターンを有するプラスチック射出成形部材として構成される場合、回路支持体をブレーキマスタシリンダ40のハウジング42に組み込んでもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10