(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305551
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】サブピクセルオフセットを有する電子ズーム方法
(51)【国際特許分類】
G06T 3/40 20060101AFI20180326BHJP
H04N 7/01 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
G06T3/40 700
H04N7/01 Z
G06T3/40 755
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-549153(P2016-549153)
(86)(22)【出願日】2014年11月19日
(65)【公表番号】特表2017-509961(P2017-509961A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(86)【国際出願番号】US2014066451
(87)【国際公開番号】WO2015116307
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2016年7月28日
(31)【優先権主張番号】14/167,708
(32)【優先日】2014年1月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ゴールケ,マーク
(72)【発明者】
【氏名】ベイカー,クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブス,トレント エー.
【審査官】
石田 信行
(56)【参考文献】
【文献】
特表2007−511789(JP,A)
【文献】
特開2007−306528(JP,A)
【文献】
特開2009−055225(JP,A)
【文献】
特開平08−235352(JP,A)
【文献】
特開平10−229491(JP,A)
【文献】
特開平11−122637(JP,A)
【文献】
Sky McKinley,Cubic Spline Interpolation,Cubic Spline Interpolation,2000年,p.1-15,URL,http://web.archive.org/web/20000925180833/http://online.redwoods.cc.ca.us/instruct/darnold/laproj/Fall98/SkyMeg/Proj.PDF
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 3/40
H04N 7/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つのソースポイントのセットのうち2つの中心ソースポイント間の第1の補間ポイントにおける補間値を生成するシステムであって、前記4つのソースポイントは第1方向にアライメントされ、各ソースポイントは値を有し、前記システムは、
【数1】
として前記補間値を計算するように構成された処理ユニットを有し、
ここで、
【数2】
であり、
[外1]
は第1の画像軸に平行な第1の方向で2番目に近いソースポイントの値であり、
[外2]
は前記第1の方向で最も近いソースポイントの値であり、
[外3]
は前記第1の方向と反対であり前記第1の画像軸に平行な第2の方向で最も近いソースポイントの値であり、
[外4]
は前記第2の方向で2番目に近いソースポイントの値であり、
[外5]
は、前記第1の補間ポイントと前記第1の方向で最も近いソースポイントとの間の距離の、前記第1の方向で最も近いソースポイントと前記第2の方向で最も近いソースポイントとの間の距離に対する比率であり、
[外6]
は[外7]
と実質的に等しく、
前記4つのソースポイントは4つの仮補間ポイントであり、前記第1の補間ポイントは最終的補間ポイントであり、
前記処理ユニットは、4回補間をするように構成され、毎回4つのピクセルをソースポイントして用い、4つの仮補間値を形成し、前記4つの仮補間値から出力画像の値を構成する、
システム。
【請求項2】
前記処理ユニットは
[外8]
により
[外9]
を計算するように構成され、
[外10]
は
[外11]
と実質的に等しい、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記処理ユニットは、0とも1とも等しくない
[外12]
の各要素にベクトル
[外13]
の要素をかけることにより、
[外14]
を計算するように構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
入力画像を格納するように構成された少なくとも1つのシンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)を有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記入力画像を格納する第1のSDRAMと、出力画像を格納する第2のSDRAMとを有する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のSDRAMと前記第2のSDRAMは同じSDRAMである、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理ユニットは、画像の4本のラインを保持するように構成されたリングバッファを有し、前記処理ユニットは前記4本のラインの各々から、ソースポイントとして一度に4ピクセルを選択するように構成される、
請求項4に記載のシステム。
【請求項8】
前記リングバッファは画像の付加的な2本のラインを保持するように構成され、前記処理ユニットは、第1のメモリから、転送時にソースポイントとして使われていない前記リングバッファのラインにデータを転送するように構成されている、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記処理ユニットは、固定小数点計算を用いて前記補間値を計算するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記処理ユニットは、1符号ビット、2進小数点の左に25ビット、二進小数点の右に6ビットを含む32ビット固定小数点計算を用いて量
[外14’]
を表すように構成されている、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
処理ユニットを有するシステムにおける、4つのソースポイントのセットのうち2つの中心ソースポイント間の第1の補間ポイントにおける補間値を生成する方法であって、前記4つのソースポイントは第1方向にアライメントされ、各ソースポイントは値を有し、前記方法は、
前記処理ユニットが、前記補間値を
【数3】
として計算するステップを有し、
ここで、
【数4】
であり、
[外15]
は第1の画像軸に平行な第1の方向で2番目に近いソースポイントの値であり、
[外16]
は前記第1の方向で最も近いソースポイントの値であり、
[外17]
は前記第1の方向と反対であり前記第1の画像軸に平行な第2の方向で最も近いソースポイントの値であり、
[外18]
は前記第2の方向で2番目に近いソースポイントの値であり、
[外19]
は、前記第1の補間ポイントと前記第1の方向で最も近いソースポイントとの間の距離の、前記第1の方向で最も近いソースポイントと前記第2の方向で最も近いソースポイントとの間の距離に対する比率であり、
[外20]
は
[外21]
と実質的に等しく、
前記4つのソースポイントは4つの仮補間ポイントであり、前記第1の補間ポイントは最終的補間ポイントであり、
前記計算するステップは、4回補間を
して、毎回4つのピクセルをソースポイントして用い、4つの仮補間値を形成し、前記4つの仮補間値から出力画像の値を構成するステップを含む、
方法。
【請求項12】
[外22]
により
[外23]
を計算するステップを有し、
[外24]
は
[外25]
と実質的に等しい
、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
[外26]
を計算するステップは、0とも1とも等しくない
[外27]
の各要素にベクトル
[外28]
の要素をかけるステップを含む、
請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、国防総省の助成による契約番号(差し控え)による米国政府の支援を受けている。米国政府は本発明に一定の権利を有している。
【技術分野】
【0002】
本発明による実施形態の一以上の態様は、デジタル画像のズームおよびオフセットに関し、より具体的には、ピクセルを補間するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
デジタル画像をディスプレイなどの視覚装置で見る場合、それが画像とは異なるピクセル数を有するとき、画像がディスプレイより大きいときは、元の画像が切り取られ(cropped)、元の画像がディスプレイより小さいときは、画像がディスプレイの一部に表示され、ディスプレイの残りは原画像には使われず、例えば余白とされたり、異なる背景画像が表示されたりする。これらのアプローチはどれも見る者に対して最適な表示画像を提供せず、前者は画像の一部を見る者に隠してしまい、後者が提供する画像はディスプレイの表示画面を使い切っていない。かかる場合には、原画像をディスプレイにフィットするようにサイズ変更することが望ましい。これには、一般的に原画像(ここでは入力画像と呼ぶ)のピクセルの補間として知られる、表示される画像(ここでは出力画像と呼ぶ)を構成する、すなわちディスプレイの各ピクセルに表示される各色の適切なピクセル値を見いだすプロセスを必要とする。補間は、見る者が画像の一部にズームしたり、画像の一部しか見えていない表示を画像にわたりパン(pan)したりするのにも使える。かかるアプリケーションでは、補間は、連続範囲のズームおよびパンの設定を可能にする役に立つ。補間を繰り返し適用して、原画像から新しい画像(ここでは出力画像と呼ぶ)を構成できる。
【0004】
かかる補間は例えばデジタルフィルタを用いて実現できる。しかし、高性能フィルタは、補間する各ピクセルの周りの、画像の7×7部分を用い、中間的係数値の大きなテーブルを必要とすることがある。これらの係数は入力データフェーズに応じて変化することがある。それゆえ、この手法は画像処理システムに大きな計算負荷をかけることとなる。さらに、この手法は、予めプログラムされたズームまたはオフセット、すなわちパン設定を、限定数のみサポートできる。
【0005】
補間は、双線形補間を用いても実現できる。双線形補間は、連続的なパンおよびズームをサポートするが、生成する画質が悪いので、高性能画像化には適していない。双三次区分的多項式スプライン法は、双線形補間を上回るが、それにもかかわらず、理想的な画質を提供するものではない。よって、大きな計算負荷をかけずに良い画質を提供する補間のシステムと方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態の態様は、ズーム及びパンフィーチャ(zoom and pan features)を提供する画像のピクセル間の補間に関する。区分的三次スプラインを用いて、画像の4つの行の各々における4つの仮補間ポイントの各々の値を見いだし、同様に、区分的三次スプラインを用いて、仮補間ポイント間を補間して、出力画像中のポイントの値を見いだす。区分的三次スプラインの係数を制約するのに使う境界条件により出力画像の画質を改善する。
【0007】
本発明の一実施形態によるシステムは、4つのソースポイントのセットのうち2つの中心ソースポイント間の第1の補間ポイントにおける補間値を生成するシステムであって、前記4つのソースポイントは第1方向にアライメントされ、各ソースポイントは値を有する。前記システムは、
【0008】
【数1】
として前記補間値を計算するように構成された処理ユニットを有し、ここで、
【0009】
【数2】
であり、
[外1]
は第1の画像軸に平行な第1の方向で2番目に近いソースポイントの値であり、
[外2]
は前記第1の方向で最も近いソースポイントの値であり、
[外3]
は前記第1の方向と反対の第2の方向で最も近いソースポイントの値であり、
[外4]
は前記第2の方向で2番目に近いソースポイントの値であり、
[外5]
は、前記第1の補間ポイントと前記第1の方向で最も近いソースポイントとの間の距離の、前記第1の方向で最も近いソースポイントと前記第2の方向で最も近いソースポイントとの間の距離に対する比率であり、
[外6]
は
[外7]
と実質的に等しい。
【0010】
一実施形態では、前記4つのソースポイントは4つの仮補間ポイントであり、前記第1の補間ポイントは最終的補間ポイントである。
【0011】
一実施形態では、前記処理ユニットは
[外8]
により
[外9]
を計算するように構成され、
[外10]
は
[外11]
と実質的に等しい。
【0012】
一実施形態では、前記処理ユニットは、0とも1とも等しくない
[外12]
の各要素にベクトル
[外13]
の要素をかけることにより、
[外14]
を計算するように構成される。
【0013】
一実施形態では、前記システムは、入力画像を格納するように構成された少なくとも1つのシンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)を有する。
【0014】
一実施形態では、前記システムは、前記入力画像を格納する第1のSDRAMと、出力画像を格納する第2のSDRAMとを有する。
【0015】
一実施形態では、前記第1のSDRAMと前記第2のSDRAMは同じSDRAMである。
【0016】
一実施形態では、前記処理ユニットは、画像の4本のラインを保持するように構成されたリングバッファを有し、前記処理ユニットは前記4本のラインの各々から、ソースポイントとして一度に4ピクセルを選択するように構成される。
【0017】
一実施形態では、前記処理ユニットは、4回補間をするように構成され、毎回4つのピクセルをソースポイントして用い、4つの仮補間値を形成し、前記4つの仮補間値から出力画像の値を構成する。
【0018】
一実施形態では、前記リングバッファは画像の付加的な2本のラインを保持するように構成され、前記処理ユニットは、前記第1のメモリから、転送時にソースポイントとして使われていない前記リングバッファのラインにデータを転送するように構成されている。
【0019】
一実施形態では、前記処理ユニットは、固定小数点計算を用いて前記補間値を計算するように構成されている。
【0020】
一実施形態では、前記処理ユニットは、1符号ビット、2進小数点の左に25ビット、前記二進小数点の右に6ビットを含む32ビット固定小数点計算を用いて量
[外14’]
を表すように構成されている。
【0021】
本発明の一実施形態によるシステムは、4つのソースポイントのセットのうち2つの中心ソースポイント間の第1の補間ポイントにおける補間値を生成する方法であって、前記4つのソースポイントは第1方向にアライメントされ、各ソースポイントは値を有し、前記方法は、前記補間値を
【0022】
【数3】
として計算するステップを有し、ここで、
【0023】
【数4】
であり、
[外15]
は第1の画像軸に平行な第1の方向で2番目に近いソースポイントの値であり、
[外16]
は前記第1の方向で最も近いソースポイントの値であり、
[外17]
は前記第1の方向と反対の第2の方向で最も近いソースポイントの値であり、
[外18]
は前記第2の方向で2番目に近いソースポイントの値であり、
[外19]
は、前記第1の補間ポイントと前記第1の方向で最も近いソースポイントとの間の距離の、前記第1の方向で最も近いソースポイントと前記第2の方向で最も近いソースポイントとの間の距離に対する比率であり、
[外20]
は
[外21]
と実質的に等しい。
【0024】
一実施形態では、前記方法は、
[外22]
により
[外23]
を計算するステップを含み、
[外24]
は
[外25]
と実質的に等しい。
【0025】
一実施形態では、
[外26]
を計算するステップは、0とも1とも等しくない
[外27]
の各要素にベクトル
[外28]
の要素をかけるステップを含む。
【0026】
一実施形態では、前記4つのソースポイントは画像の4つのピクセルである。
【0027】
一実施形態では、前記4つのソースポイントは4つの仮補間ポイントである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
特徴、態様、及び実施形態を添付した図面と共に説明する。
【
図1】本発明の一実施形態による補間ポイントへの補間に用いる4つのソースポイントを示す図である。
【
図2A】本発明の一実施形態により構成される三次スプラインのプロットを、交互法(alternate method)により構成される三次スプラインのプロットと共に示す図である。
【
図2B】本発明の一実施形態により構成される三次スプラインのプロットを、交互法(alternate method)により構成される三次スプラインのプロットと共に示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による補間法を用いて構成された画像を、交互法を用いて構成された画像と共に示す図である。
【
図4】2次元配列のピクセルと、本発明の一実施形態による仮補間ポイント及び最終的補間ポイントとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
添付した図面に関して記載した詳細な説明は、本発明により提供される、サブピクセルオフセットを有する電子ズームの方法の例示としての実施形態の説明であり、本発明が構成または利用される唯一の形式を表すものではない。この説明は、例示される実施形態に関して、本発明の特徴を記載する。しかし、言うまでもなく、同一の又は等価な機能及び構造は、異なる実施形態によっても実現でき、この異なる実施形態は本発明の精神と範囲に含まれる。同じエレメント番号は同じエレメントまたはフィーチャ(features)を示す。
【0030】
処理されるデジタル画像は、四角形であってもよく、画像の水平方向を第1の軸(例えば、X軸)と関連付け、画像の垂直方向を第2の軸(例えば、Z軸)と関連付けても便利である。各ピクセルは、XーZ座標系中のピクセルの座標に対応してその座標系中の位置を有する。
【0031】
図1を参照して、本発明の一実施形態では、補間ポイント105における値を見いだす補間法は、区分的三次スプラインに基づき実装してもよい。かかる手法により、許容できる処理負荷(processing requirements)で画質を改善できる。
図1は、軸に平行な直線に沿って連続した一連の4つのソースポイント(source points)110、115、120、125を示す。ソースポイント110、115、120、125は、例えば、入力画像中のピクセルであってもよく、または一組の先行する補間動作(
図4)により形成される仮補間ポイントであってもよい。この軸は、一般性を損なわずに、X軸としてもよく、4つのソースポイント110、115、120、125は、一般性を損なわずに、それぞれX座標のー1、0、1、及び2にあると仮定してもよい。4つのソースポイント110、115、120、125の各々は、例えば赤、緑、又は青などの色の強度に対応する値を有する。補間ポイント105における対応する値を求める。他の一例では、値はモノクロ階調に対応していてもよい。例えば、各ピクセルの値がそのピクセルにおける赤の強度に対応する場合、ここに説明の補間プロセスにより、補間ポイント105における赤の補間強度(interpolated intensity)に対応する補間ポイント105における補間値(interpolated value)が求まる。ここに説明の補間プロセスを、緑や青の強度に対して繰り返して、補間ポイント105における赤、青、及び緑の補間値を生成しても良い。
【0032】
ポイント105における値は、3つの連続したピクセル間区間にわたる区分的三次関数を生成して、補間ポイント105における区分的三次関数を評価することにより補間してもよい。これらの区間のうち第1は、X=−1にあるソースポイント110とX=0にあるソースポイント115との間であり、第2は、X=0にあるソースポイント115とX=1にあるソースポイント120との間であり、第3は、X=1にあるソースポイント110とX=2にあるソースポイント125との間である。
【0033】
区分的三次スプラインを構成する対応する三次関数はそれぞれ次のようになる:
【0034】
【数5】
。4つの係数
[外29]
が一旦見つかれば、補間ポイントにおける値は
[外30]
で与えられる。
【0035】
12個の係数
[外31]
は、区分的三次スプラインが4つのソースポイント110、115、120、125において、値
[外32]
を取るように、選択される:
【0036】
【数6】
この一式の6つの制約式は、12個の係数
[外33]
を一意的に決定するには不十分であり、さらに、これらの制約式では、ソースポイントにおいてスプラインが滑らかであることを保証しない。例えば、ソースポイントにおいて一次微分が不連続であるかも知れない。ソースポイント115、120において、一次及び二次微分が連続であるという意味で、スプラインが滑らかでることを要求すると、付加的に4つの制約式が得られる:
【0037】
【数7】
第1に、付加的な2つの制約式は、スプラインがリラックス(relaxed)し、自然であるとの仮定、すなわちスプラインの両端において、すなわちソースポイント110、125において二次微分がゼロになるとの仮定:
【数8】
から得られる。
【0038】
係数
[外34]
に関して、3つの三次関数の一次及び二次微分は、微分することにより得られる:
【0039】
【数9】
3つの三次関数の値に、及びその微分に制約式を適用して、12個の係数
[外35]
に対する式が得られる。第1の三次関数に対して、これらの式は:
【0040】
【数10】
第2の三次関数に対して、係数
[外36]
の式は:
【0041】
【数11】
最後に、第3の三次関数に対して、係数
[外37]
の式は:
【0042】
【数12】
これらの式は、左辺に値
[外38]
があり、右辺に係数
[外39]
がある一組の式として書き換えることができる:
【0043】
【数13】
この一組の式は行列形式で書き換えられる:
【0045】
【数15】
4つの係数
[外40]
は補間ポイント105における三次スプラインを評価する必要がある。これらは式
[外41]
を反転して:
【0046】
【数16】
、ベクトル
[外42]
から係数
[外43]
を求めることにより得られる:
【0047】
【数17】
[外44]
の逆行列を求め、上記の行列積を計算すると、4つの係数
[外45]
に対する次の陽表現が得られる:
【0048】
【数18】
これは次のように書き換えてもよい:
【0049】
【数19】
最後に、補間ポイント105における補間値
[外46]
は、
[外47]
であるから、
[外48]
と書け、係数
[外49]
が上記のように見つかる。
【0050】
図2Aを参照して、本発明の一実施形態により構成される三次スプラインは、一組のソースポイント205bを通る曲線205aを形成し得る。代替的三次スプラインは、係数
【0051】
【数20】
を使い、曲線205cを形成してもよい。これはソースポイント205bを通るが、上記の制約式のすべては満たさず、スプラインに沿ったさまざまなポイントで異なる補間値を確定する。同様に、
図2Bにおいて、本発明の一実施形態により構成される三次スプラインは、一組のソースポイント205eを通る曲線205dを形成し、代替的な三次スプラインが曲線205fを形成してもよい。
【0052】
補間に対するさまざまなアプローチの違いは、
図3の3つの画像で分かると思われる。これら全てはズーム係数5.351で補間した画像である。
図3において、左端の画像は双線形補間を用いて形成され、中央の画像は固定双三次スプラインを用いて形成され、右端の画像は本発明の一実施形態による三次スプラインを用いて形成されたものである。
【0053】
例えば、
図3の画像において、2次元補間を行うには、
図1、2A、及び2Bを参照して上記した方法を2段階で利用できる。
図4を参照して、最終的な補間ポイント505における補間値を見いだすため、最も近い16個のピクセル、すなわち、ポイント505の右の2つのピクセル列と、ポイント505の左の2つのピクセル列と、ポイント505の上の2つの行と、ポイント505の下の2つの行とを用いる。第1段階において、本発明の一実施形態による三次スプライン補間を利用して、4つの仮補間ポイント510、515、520、525の各々において、仮補間値を見いだす。
【0054】
例えば、第1行のピクセル540、545、550、555に本方法を適用して、仮補間ポイント510における仮補間値を求める。このステップでは、補間により:(i)画像軸に平行な第1の方向(−X方向)の、仮補間ポイント510に2番目に近いピクセル、すなわちピクセル540、の値、(ii)第1の方向の、最も近いピクセル、すなわちピクセル545、の値、(iii)第1の方向と反対の第2の方向(+X方向)の、最も近いピクセル、すなわちピクセル550、の値、(iv)第2の方向の、2番目に近いピクセル、すなわちピクセル555、の値。第2、第3、及び第4行のピクセルを用いて、仮補間ポイント515、520、及び525における仮補間値をそれぞれ求めても良い。
【0055】
最後に、第2段階で、仮補間ポイント510、515、520、525における4つの仮補間値を用いて、再び本発明の一実施形態による三次スプラインを用いて、最終的な補間ポイント505における補間値を求めてもよい。この段階では、(i)画像軸に平行な第3の方向(−Z方向)の、最終的補間ポイント505に2番目に近い仮補間ポイント、すなわち仮補間ポイント525、の値、(ii)第3の方向の最も近い仮補間ポイント、すなわち仮補間ポイント520、の値、(iii)第1の方向と反対の第2の方向(+Z方向)の、最も近い仮補間ポイント、すなわち仮補間ポイント515、の値、(iv)第2の方向の2番目に近い仮補間ポイント、すなわち仮補間ポイント510、の値が用いられる。
【0056】
このように、
図1を参照して、補間ポイント105は最終的補間ポイント、すなわち出力画像ピクセルであってもよいし、または仮画像ポイントであってもよい。ソースポイントは、入力画像ピクセルであってもよく(例えば、出力画像ピクセルが入力画像の行または列とアライメントされている場合)、または仮補間ポイントであってもよい。
【0057】
本発明の実施形態は、計算量的に効率的であり(computationally efficient)、画像を基本的に任意のズーム比に補間する能力も提供する。ズーム比は画像の2つの軸方向で同じである必要はない。結果として得られる画像は実質的にアーティファクトがなく、見る者に対してより高画質の出力を提供する。
【0058】
補間は処理ユニットを含む実施形態で実行されてもよい。「処理ユニット」との用語は、ここでは、データまたはデジタル信号を処理するのに利用される、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの任意の組み合わせを含むものとして使われている。処理ユニットハードウェアは、例えば、特定用途集積回路(ASICs)、汎用または特殊用途中央処理ユニット(CPUs)、デジタル信号プロセッサ(DSPs)、グラフィックス処理ユニット(GPUs)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGAs)などのプログラマブルロジックデバイスを含んでいてもよい。
【0059】
補間を実行するとき、処理ユニットで必要となる演算数を最小化すると都合がよい。これは、例えば:
【0060】
【数21】
を評価する時に、行列
[外50]
の要素が0(この場合、積は0である)または1(この場合、積はベクトル
[外51]
の対応する要素である)であるときに、要素の乗算ステップを省略することにより、実現できる。例えば、行列
[外52]
の最終行が3つの「0」と1つの「1」であるから、
[外53]
の値は単純に
[外54]
であり、すなわち、
[外55]
は乗算を実行せずに求められる。効率を上げる為、補間に関与する計算は、固定小数点計算を用いて、例えば符号ビット付き25Q6フォーマット(すなわち、2進小数点の右に6ビットあるフォーマットであり、Q25.6と記されることもある)を用いて、行っても良い。
【0061】
補間されるポイントの、第1の方向の、最も近いソースポイントに対する、位置
[外56]
の値は、入力画像に対する出力画像のズーム及びオフセットから、(i)オフセットと、(ii)(a)第1の方向の最も近いソースポイントの原画像における位置の、(b)ズーム比に対する比率との合計の端数部分(fractional part)として、計算してもよい。ここで、ズーム比が1より大きいことは拡大に対応する。動作中、汎用コンピュータその他の処理ユニットは、オフセットと、ズーム比の逆数とを、補間を行っている処理ユニットに供給し、後者が除算を行わずに、ズーム比の逆数の乗算をすればよいようにする。一実施形態では、ズーム比の逆数は、符号なしの固定小数点数、例えば、符号無しの2Q30固定小数点数である。
【0062】
サブピクセルオフセットとズーム比の両方の2進表示における小数点位置は、利用できるズーム制御の範囲と、ズーム解像度との間のトレードとして、事例ごとに選択されてもよい。
【0063】
一実施形態では、入力画像はシンクロナスダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)に格納され、出力画像も、構成された時に、格納されてもよく、格納される場合は、同じ又は別のSDRAMに格納されてもよい。補間は特殊目的処理ユニットにより実行される。特殊目的処理ユニットはFPGAまたはASICに基づいても良い。ラインバッファがSDRAMと処理ユニットとの間で用いられ、SDRAMと処理ユニットとの間のクロックドメイン転送用の先入れ先出し(FIFO)構造として用いられる。処理ユニットは、例えば、入力画像のうち6ラインを格納するリングバッファを含み、それから4ラインをいつでも用いて、上に開示したアルゴリズムにより、出力画像の1ラインを生成する。ズーム比が1より大きいとき、幾つかの例では、出力画像の後続ラインを形成するため、入力画像の同じ4ラインを要し、幾つかの例では、入力画像の付加的ラインが必要となり、入力画像の前に用いたラインはもはや必要なくなる。リングバッファは、これらのデータ要件によく適している。出力画像のラインを構成するため、バッファ中の他の4ラインが処理されるのと同時に、新しいラインがバッファに読み込まれるからである。ズーム比が1より小さいが1/2より小さくないとき、出力画像の1ラインが構成され、処理ユニットが後続ラインを処理し始める時に、付加的に入力画像の2ラインがバッファ中に必要である。このように、一実施形態では、処理ユニットにおいて、6ラインリングバッファが用いられる。
【0064】
ここでは、サブピクセルオフセットを有する電子ズームの方法の限定された実施形態を具体的に説明および例示したが、当業者には多くの修正及び変形が明らかであろう。したがって、言うまでもなく、この発明の原理による、サブピクセルオフセットを用いる電子ズームの方法は、ここに具体的に説明した以外の実施形態で実施できる。本発明は、以下の特許請求の範囲及びその均等物により確定される。