(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の情報処理装置、および情報処理方法、プログラムの実施形態について説明する。情報処理装置は、一以上のプロセッサにより実現される。情報処理装置は、端末装置から時系列の位置情報を取得し、時系列の位置情報に含まれるそれぞれの位置情報について、時系列に関して前後する位置情報との関係が所定の基準を満たしているか否かを判定し、判定結果に基づいて、その位置情報を保持するか否かを決定する。
【0010】
保持するとは、例えば、情報処理装置が管理またはアクセスする記憶部に位置情報を残すことである。時系列の位置情報は、例えば、時間的に等間隔であったり、等間隔でなかったりする。
【0011】
情報処理装置は、所定の基準を満たさない位置情報を保持せずに、所定の基準を満たす位置情報を保持することにより位置情報を適切に選別することができる。以下、情報処理装置について説明する。
【0012】
<1.第1実施形態>
第1実施形態において、所定の基準とは、前後する位置情報との間で意味のある位置情報であることを示す基準である。例えば、所定の基準は、例えば時系列に関して前後する位置情報との間の時間間隔に対する基準、前後する位置情報との間の距離に対する基準、前後する位置情報との間の時間間隔および距離に基づく移動速度に対する基準、および時系列の位置情報に含まれる着目位置情報に至る移動方向と着目位置情報から延出する移動方向とのなす角度に対する基準のうち、少なくとも1つを含む。
【0013】
<1−1.情報処理システムの構成>
図1は、端末装置10とサーバ装置50(情報処理装置の一例)のを含む情報処理システム1の構成を示す図である。情報処理システム1は、例えば、一以上の端末装置10と、サーバ装置50とを備える。これらの構成要素は、互いにネットワークNWを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、WAN(Wide Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット、専用回線、無線基地局、プロバイダなどを含む。
【0014】
<1−2.端末装置の構成>
端末装置10は、例えば、スマートフォンなどの携帯電話、タブレット端末などの可搬型装置である。端末装置10は、例えば、位置測位装置12と、センサ14と、端末制御部20と、送信制御部22と、通信部24と、記憶部30とを備える。端末制御部20、および送信制御部22は、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが、記憶部30に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの機能部は、LSI(Large Scale Integrated Circuit)や、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェア(回路部;circuitryを含む)の協働によって実現されてもよい。記憶部30は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等によって実現される。
【0015】
位置測位装置12は、GPS(Global Positioning System)受信機を含む。位置測位装置12は、GPS受信機が衛星から受信した電波に基づく測位を行って、端末装置10の位置(すなわち利用者の位置)を特定する。また、端末装置10は、通信部24が接続した無線基地局の位置から端末装置10の位置を推定してもよい。
【0016】
センサ14は、例えば三軸式の加速度センサや、ジャイロセンサ、地磁気センサ等である。
【0017】
端末制御部20は、例えば、センサ14により取得された情報に基づいて、端末装置10の移動状態を推定する。端末制御部20は、端末装置10の移動状態に応じて、位置測位装置12に端末装置10の位置情報を取得させる。例えば、端末制御部20は、端末装置10が移動している場合に位置測位装置12に位置情報を取得させ、端末装置10が移動していない場合に位置測位装置12に位置情報を取得させない。従って、端末装置10が所定の範囲内の位置に留まっている場合は、位置情報は取得されない。
【0018】
具体的に、端末制御部20は、位置測位装置12に所定の時間間隔で位置情報を取得させ、1つ前に測位された位置と今回測位した位置とが所定距離以上離れているか否かを判定し、所定距離以上離れている場合に位置情報を記憶部30に記憶させると決定してもよい。これに限らず、端末制御部20は、端末装置10の移動状態に拘わらず、所定の時間間隔ごとに測位された位置情報を記憶部30に記憶させてもよい。
【0019】
図2は、記憶部30に記憶される位置情報32の内容を示す図である。
図2に示すように、位置情報は、所定時間(例えば「+1」)を最低間隔として記憶部30に記憶される。なお、1という数字に特段の単位は対応付けられておらず、便宜的な時間である。上記では、端末装置10が移動していない場合は位置情報を記憶させないと説明したが、前回との時間間隔が十分に長い(例えば時間間隔が「+5」以上)場合は、位置情報は記憶部30に記憶されてよい。図中、時刻t+8において取得された位置情報は、時刻t+3において取得された位置情報と同じであるが、十分に時間間隔が長いため保持されている。なお、図中、位置IDは、位置情報に対して付与された識別情報である。
【0020】
送信制御部22は、例えば、通信部24を用いて、記憶部30に記憶された位置情報が、所定数溜まった場合、或いは、所定周期が到来するごとにサーバ装置50に送信する。
【0021】
<1−3.サーバ装置の構成>
サーバ装置50は、例えば、通信部52と、情報管理部54と、決定部56と、記憶部60とを備える。情報管理部54、および決定部56は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが、記憶部60に記憶されたプログラムを実行することにより実現される。これらの機能部は、LSIや、ASIC、FPGA、GPUなどのハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。記憶部60は、例えば、例えば、HDD、フラッシュメモリ、RAM等によって実現される。
【0022】
情報管理部54は、通信部52により端末装置10の通信部24から取得された位置情報32を記憶部60に記憶させる。
【0023】
決定部56は、記憶部60に記憶された位置情報(以下、位置情報62と称する)から所定の位置情報を着目位置情報として順に選択し、着目位置情報について、時系列に関して前後する位置情報との関係が所定の基準を満たしているか否かを判定し、判定結果に基づいて、着目位置情報を保持するか否かを決定する。決定部56の処理の詳細については後述する。
【0024】
<1−4.決定部の処理>
ここで、決定部56の処理について説明する。
図3は、決定部56の処理について説明するための図(その1)である。位置情報62には、位置情報(位置ID1〜5)が含まれているものとする。例えば、決定部56は、着目位置情報と、その直前にある位置情報である前位置情報、および、その直後にある後位置情報を選択する。前位置情報は、着目位置情報に対して直前でなく、二つ前、或いはそれ以上前に取得された位置情報であってもよい。後位置情報は、着目位置情報に対して直後でなく、二つ後、或いはそれ以上後に取得された位置情報であってもよい。
【0025】
決定部56は、例えば、繰り返し行う処理のうち1回目の処理において、位置ID2を着目位置情報(図中、c;current)、位置ID1を前位置情報(図中、b;befоre)、および位置ID3を後位置情報(図中、a;after)として選択する。
【0026】
例えば、1回目の処理において、着目位置情報を保持すると決定した場合、決定部56は、2回目の処理において、位置ID3を着目位置情報、位置ID2を前位置情報、および位置ID4を後位置情報として選択する。例えば、2回目の処理において、着目位置情報を保持すると決定した場合、決定部56は、3回目の処理において、位置ID4を着目位置情報、位置ID2を前位置情報、および位置ID4を後位置情報として選択する。
【0027】
図4は、決定部56の処理について説明するための図(その2)である。
図3との相違点について説明する。例えば、1回目の処理において、着目位置情報を保持しないと決定した場合、決定部56は、2回目の処理において、位置ID3を着目位置情報、位置ID1を前位置情報、および位置ID4を後位置情報として選択する。例えば、2回目の処理において、着目位置情報を保持しないと決定した場合、決定部56は、3回目の処理において、位置ID4を着目位置情報、位置ID1を前位置情報、および位置ID5を後位置情報として選択する。なお、着目位置情報が位置情報62の最初と最後の位置情報である場合は、その着目位置情報は保持される。
【0028】
このように、決定部56は、着目位置情報を保持しないと決定した場合、次の処理において、前位置情報を他の位置情報に変更しない。
【0029】
<1−5.決定部の処理の詳細>
図5は、サーバ装置50により実行される処理の流れを示すフローチャートである。また、本フローチャートの処理の順序は一例であり、処理の順序は任意に変更されてもよい。また、後述するように、各処理のうち、任意の処理が省略されてよい。
【0030】
まず、決定部56は、記憶部60に記憶された位置情報62を取得する(S100)。サーバ装置50は、以下の処理を対象の位置情報がなくなるまで繰り返す。
【0031】
決定部56は、上述したように時系列に従って前位置情報、着目位置情報、および後位置情報を設定する(S102)。次に、決定部56は、着目位置情報が時系列の位置情報のうち、最初または最後の位置情報であるか否かを判定する(S104)。最初または最後の位置情報である場合、決定部56は、着目位置情報を保持すると決定する(S106)。
【0032】
最初または最後の位置情報でない場合、決定部56は、着目位置情報から後位置情報までの時間間隔が第1の時間以上であるか否かを判定する(S108)。着目位置情報から後位置情報までの時間間隔が第1の時間以上でない場合、決定部56は、着目位置情報を保持しないと決定する(S110)。
【0033】
着目位置情報から後位置情報までの時間間隔が第1の時間以上である場合、決定部56は、着目位置情報から後位置情報までの時間間隔が第2の時間以上であるか否かを判定する(S112)。第2の時間は、例えば第1の時間よりも長い時間である。着目位置情報から後位置情報までの時間間隔が第2の時間以上である場合、ステップS106の処理に進む。
【0034】
着目位置情報から後位置情報までの時間間隔が第2の時間以上でない場合、決定部56は、前位置情報から着目位置情報までの時間間隔が第3の時間以上であるか否かを判定する(S114)。第3の時間は、例えば第1の時間よりも長い時間である。また、第3の時間は、例えば第2の時間と同じ時間であってもよい。前位置情報から着目位置情報までの時間間隔が第3の時間以上である場合、ステップS106の処理に進む。
【0035】
上記のS108、S112、またはS114のように、時系列に関して前後する位置情報の時間間隔が所定時間以上の場合は、着目位置情報は保持される。端末装置10の移動度合が所定の度合以上であると推定され、相対的に位置情報の重要度が高いためである。これに対して、時系列に関して前後する位置情報の時間間隔が所定時間未満の場合は、着目位置情報は保持されない。端末装置10の移動度合が所定の度合未満であると推定され、相対的に位置情報の重要度が高くないためである。
【0036】
前位置情報から着目位置情報までの時間間隔が第3の時間以上でない場合、決定部56は、前位置情報から着目位置情報の第1の移動速度のK倍が、着目位置情報から後位置情報の第2の移動速度よりも大きいか否かを判定する(S116)。第1の移動速度は、前位置情報と着目位置情報との間の時間間隔および距離に基づく移動速度である。第2の移動速度は、着目位置情報と後位置情報との間の時間間隔および距離に基づく移動速度である。「K」は、任意の自然数である。
【0037】
第1の移動速度のK倍が、第2の移動速度以下の場合、ステップS110の処理に進む。
【0038】
上記のS116のように、第1の移動速度に対して、第2の移動速度の変化度合が大きい場合、着目位置情報はノイズであると推定されるため、着目位置情報は保持されない。
【0039】
第1の移動速度のK倍が、第2の移動速度以よりも大きい場合、決定部56は、前位置情報と着目位置情報との間の距離のN1[m]以上であるか、または着目位置情報と後位置情報との間の距離がN2[m]以上であるか否かを判定する(S118)。「N1」および「N2」は、任意の自然数である。「N1」と「N2」とは同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。S118の処理において双方の条件を満たさない場合、S110の処理に進む。
【0040】
上記のS118のように、時系列に関して前後する位置情報の距離が所定距離以上でない場合、着目位置情報は保持されない。端末装置10の移動度合が所定の度合未満であると推定され、相対的に位置情報の重要度が低いためである。これに対して、時系列に関して前後する位置情報の間隔が所定距離間以上の場合は、着目位置情報は保持される。端末装置10の移動度合が所定の度合以上であると推定され、相対的に位置情報の重要度が高いためである。
【0041】
S118の処理において少なくとも一方の条件を満たす場合、決定部56は、詳細は後述するベクトルのなす角度がθ以上であるか否かを判定する(S120)。ベクトルのなす角度がθ以上でない場合、S110の処理に進み、ベクトルのなす角度がθ以上である場合、S106の処理に進む。そして、対象の位置情報がなくなった場合、本フローチャートの1ルーチンは終了する。
【0042】
上述したように着目位置情報を保持する否かを決定する処理が行われることにより、より精度が高く、且つ意味ある位置情報が取得される。
【0043】
ここで、
図6を用いてベクトルのなす角度について説明する。
図6(A)に示すように、S120の処理において、前位置情報から着目位置情報に向かうベクトルV1と、着目位置情報から後位置情報に向かうベクトルV2とのなす角度θ1がθ未満である場合、着目位置情報はノイズのみなすことができるため、着目位置情報は保持されない。
【0044】
これに対して、
図6(B)に示すように、S120の処理において、前位置情報から着目位置情報に向かうベクトルV1と、着目位置情報から後位置情報に向かうベクトルV2とのなす角度θ2がθ以上である場合、端末装置10が所定度合以上移動していると推定されるため、着目位置情報は保持される。
【0045】
上記の
図5で説明したフローチャートの処理(S102〜S120の処理)は、時系列の位置情報(例えば位置情報1〜N)に対して、複数回適用されてもよい。
図7は、位置ID1〜Nの位置情報に対して1〜3ルーチンの処理が行われた場合の位置情報の内容の一例を示す図である。例えば、位置ID1〜Nの位置情報に対して、1ルーチン目の処理を実行した結果、位置ID2を保持しないことが決定された場合、2ルーチン目の処理対象は、位置ID2を除いた位置情報となる。位置ID2を除いた位置情報に対して、2ルーチン目の処理を実行した結果、位置ID3を保持しないことが決定された場合、3ルーチン目の処理対象は、位置ID2に加え位置ID3を除いた位置情報となる。位置ID2および位置ID3を除いた位置情報に対して、3ルーチン目の処理を実行した結果、位置ID5を保持しないことが決定された場合、最終的に保持される位置情報は、位置ID1〜Nのうち、位置ID2および位置ID3に加え位置ID5を除いた位置情報となる。
【0046】
<1−6.ルーチンごとの判定処理の省略>
図5で説明したフローチャートの判定処理(S108、S112〜S120の処理)のうち、一部の処理は、ルーチンを繰り返すごとに省略されてもよい。また、ルーチンごとに省略する判定処理が異なっていてもよい。例えば、1巡目〜3巡目までの3回のルーチンが行われる場合に、各ルーチンの処理は以下に説明するように変更されてもよい。
【0047】
例えば、2巡目のルーチンにおいて、S116およびS118の判定処理のうち、一方または双方が省略されてもよい。また、3巡目のルーチンにおいて、例えば、S118の判定処理のみが行われてもよい。
【0048】
また、
図5のフローチャートにおいて、距離に対する判定(S118の判定)よりも時間、速度、および角度に対する判定(S108、S112〜S116、S120の判定)が先に行われてもよい。他の判定よりも速度に対する判定(S116の判定)が先に行われてもよい。
【0049】
<1−7.まとめ>
以上説明した第1の実施形態によれば、端末装置から取得された時系列の位置情報に含まれる一以上の着目位置情報について、時系列に関して前後する位置情報との関係が所定の基準を満たしているか否かを判定し、判定結果に基づいて、位置情報を保持するか否かを決定することにより、位置情報を適切に選別することができる。
【0050】
<2.第2実施形態>
第2の実施形態では、第1の実施形態の角度に対する判定の傾向が逆である。但し、位置情報の座標から所定の範囲内に所定のPOIデータが存在する場合、角度が所定の基準を満たさない場合であっても位置情報を保持する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0051】
<2−1.第2の実施形態の情報処理システムの構成>
図8は、第2の実施形態の情報処理システム1Aに含まれるサーバ装置50Aの機能構成の一例を示す図である。サーバ装置50Aは、第1の実施形態のサーバ装置50の記憶部60に代えて、記憶部60Aを備える。記憶部60Aには、地図情報64が記憶されている。地図情報64には、例えば、地上にある特定の場所(例えば、駅、レストラン、ショップ、遊園地、水族館、映画館、公園、自動販売機等)を表すPOI(Point Of Interest)データと、そのPOIデータに対応する座標とを示す情報が含まれる。特定の場所は、「既知の特定地点」の一例である。
【0052】
また、サーバ装置50Aは、サーバ装置50の機能構成に加え、更にマッチング処理部59を備える。マッチング処理部58は、記憶部60Aに記憶された位置情報に対応する座標を用いて地図情報64を検索することにより、その座標付近に所定のPOIデータが存在するか否かを判定し、判定結果を決定部56に出力する。
【0053】
決定部56は、マッチング処理部58の処理結果に基づいて、対象の位置情報を保持するか否かを決定する。
【0054】
<2−2.第2の実施形態のフローチャート>
図9は、第2の実施形態の処理の流れの一部を示すフローチャートである。
図9のフローチャートのS100〜S118は、
図5のS100〜S118と同様のため図示および説明を省略する。
【0055】
図9のフローチャートでは、
図5のフローチャートのS120に代えて、S121の処理が行われる。S121において決定部56は、ベクトルのなす角度がθ未満であるか否かを判定する(S121)。ベクトルのなす角度とは、前位置情報から着目位置情報に向かうベクトルと、着目位置情報から後位置情報に向かうベクトルとのなす角度である。S121の「θ」と、
図5のS120の「θ」とは同じ角度であってもよいし、異なっていてもよい。
【0056】
ベクトルのなす角度がθ未満である場合、決定部56は、着目位置情報を保持する(S106)。すなわち前後する位置情報の乖離が生じていないため、着目位置情報は保持される。ベクトルのなす角度がθ未満でない場合(θ以上である場合)、マッチング処理部58は、後位置情報の座標を用いて地図情報64のPOIデータを検索する(S122)。次に、マッチング処理部58は、後位置情報の座標から所定の範囲内に所定のPOIデータが存在するか否かを判定する(S124)。
【0057】
後位置情報の座標から所定の範囲内に所定のPOIデータが存在する場合、S106の処理に進む。後位置情報の座標から所定の範囲内に所定のPOIデータが存在しない場合、決定部56は、位置情報を保持しないと決定する(S111)。S111で保持しないと決定される位置情報は、前位置情報、着目位置情報、および後位置情報のうち、1つ以上の位置情報である。例えば、ベクトルのなす角度がθ以上である場合、例えば、後位置情報は、外れ値として扱われ保持されなくてもよい。これにより本フローチャートの1ルーチンは終了する。
【0058】
また、S111で保持しないと決定される位置情報は、1つ前の判定処理の内容に応じて変更されてもよい。例えば、S108またはS116において、否定的な判定がされた場合は、S111で決定部56は、着目位置情報を保持しないと決定してもよい。例えば、S124において、否定的な判定がされた場合は、S111で決定部56は、後位置情報を保持しないと決定してもよい。
【0059】
なお、上述した
図9のフローチャートでは、S108およびS116の判定において否定的な判定結果を得た場合、S111の処理に進むものとして説明したが、これに代えて、S108またはS116の判定において否定的な判定結果を得た場合、S122の処理に進めてもよい。
【0060】
<2−3.まとめ>
以上説明した第2の実施形態によれば、位置情報が所定の基準を満たしていないと判定した場合であっても、位置情報から所定の範囲内に所定のPOIデータが存在する場合は、所定の条件を満たしているとして位置情報を保持すると決定する。この結果、実際は外れ値でない位置情報を外れ値として除外してしまうことを抑制することができる。
【0061】
<3.第3実施形態>
第3の実施形態において、所定の基準は、前後する位置情報との間で乖離が生じていないことを示す基準である。また、決定部56は、位置情報が所定の基準を満たしていないと判定した場合であっても、位置情報を例外として扱う所定の条件を満たしている場合は除外しない。以下、詳細に説明する。
【0062】
<3−1.決定部の処理1>
決定部56は、着目位置情報が、前後する位置情報との間で乖離が生じていないことの一例として、時系列の位置情報から求められる参照軌跡から所定の度合以上乖離しているか否かを判定する。
【0063】
図10は、第3の実施形態の決定部56の処理について説明するための図(その1)である。決定部56は、時系列の位置情報(時刻t〜t+4の位置情報)について、例えば、最小二乗法などの回帰分析を行って求めた参照軌跡Rfを導出する。決定部56は、求めた参照軌跡Rfから位置情報が所定の度合以上乖離している場合(参照軌跡Rfから位置情報の最短距離が所定の度合以上乖離している場合)、その位置情報は所定の基準を満たさないと判定し、その位置情報を外れ値候補とする。所定の度合とは、例えば各位置情報の参照軌跡Rfからの乖離の標準偏差を求め、着目位置情報と参照軌跡との乖離が、例えばプラスマイナス2σ以上であることである。「σ」は標準偏差である。
【0064】
このとき、決定部56は、マッチング処理部58に外れ値候補から所定の範囲内に所定の場所が存在するか否かを問い合わせる。決定部56は、マッチング処理部58の処理結果を取得する。決定部56は、外れ値候補から所定の範囲内に所定の場所が存在しない場合、外れ値候補を外れ値とする。
【0065】
これに対して、決定部56は、
図10(B)に示すように、外れ値候補から所定の範囲内に所定の場所Cが存在する場合、外れ値候補を外れ値としない。外れ値候補から所定の範囲内に所定の場所が存在する場合、外れ値でなく、利用者が所定の場所に立ち寄るために移動している可能性があるためである。
【0066】
<3−2.決定部の処理2>
図11は、第3の実施形態の決定部56の処理について説明するための図(その2)である。決定部56は、例えば、ベクトルVоbに対して時間的に二つ前、一つ前、一つ後、二つ後のベクトル(V21〜V24)を選択し、それらのベクトルの平均ベクトルVaとのなす角度が予め設定された角度の範囲内である場合、そのベクトルVоbの基点にある位置情報を外れ値とする。
【0067】
ベクトルVоbは、着目位置情報(ここではt+1の位置情報)から直後の位置情報(t+2の位置情報)に向かうベクトルである。ベクトルV21は、時刻t−1の位置情報からから時刻tの位置情報に向かうベクトルであり、ベクトルV22は、時刻tの位置情報から着目位置情報に向かうベクトルである。ベクトルV23は、時刻t+2の位置情報から時刻t+3の位置情報に向かうベクトルであり、ベクトルV24は、時刻t+3の位置情報から時刻t+4の位置情報に向かうベクトルである。
【0068】
なお、決定部56は、外れ値として除外する着目位置情報から所定の範囲内に上述した所定の場所が存在する場合、その着目位置情報を外れ値でないと決定してもよい。
【0069】
<3−3.情報管理部の処理>
情報管理部54は、決定部56が複数の端末装置10により取得された時系列の位置情報に対して行った処理結果を取得する。情報管理部54は、決定部56の処理結果を解析(統計的に処理)して、異なる端末間や、異なる時刻において共通して外れ値となる位置情報を抽出する。
【0070】
情報管理部54は、抽出した共通して外れ値となる位置情報が存在することについて注意喚起を示す情報を、サーバ装置を管理する管理者が使用する不図示の管理者端末装置に送信するように通信部52を制御する。これにより、例えば管理者への注意喚起等を行うことができる。
【0071】
また、情報管理部54は、共通して外れ値となる位置情報に実際に行ったか否かを端末装置10の利用者に問い合わせるための情報を端末装置10に送信してもよい。
【0072】
情報管理部54は、端末装置10から応答を取得した場合、取得した応答情報に基づいて、抽出した共通の外れ値である位置情報が実際の外れ値であるか、または利用者が立ち寄るスポットが存在するような位置情報であるか否かを判定することができる。利用者が立ち寄るスポット(所定の場所)が存在するような位置情報である場合、決定部56は、共通して外れ値であると疑われた位置情報が、次に出現した場合、出現した位置情報は外れ値でないと判定する。これにより、決定部56は、より精度よく位置情報が外れ値であるか否かを判定することができる。
【0073】
<3−4.まとめ>
以上説明した第3の実施形態によれば、時系列に関して前後する位置情報との関係が所定の基準を満たしていない場合、位置情報を外れ値として除外することにより、位置情報を適切に選別することができる。
【0074】
なお、上述した実施形態では、サーバ装置50が、情報管理部54、決定部56、およびマッチング処理部58を備えるものとして説明したが、これらの機能部は端末装置10が備えてもよいし、これらの機能部は分散され各装置に設けられてもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、サーバ装置50が、位置情報を保持するか否かを決定する例について説明したが、サーバ装置50が、位置情報を利用する他の装置に送信するか否かを決定してもよい。この場合、他の装置は、選別された位置情報を取得することができる。
【0076】
以上説明した実施形態によれば、サーバ装置50が、端末装置10により取得された時系列の位置情報を取得する情報管理部54と、情報管理部54により取得された時系列の位置情報に含まれる一以上の着目位置情報について、時系列に関して前後する位置情報との関係が所定の基準を満たしているか否かを判定し、判定結果に基づいて、前記着目位置情報を保持するか否かを決定する決定部56とを備えることにより、位置情報を適切に選別することができる。
【0077】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【解決手段】端末装置により取得された時系列の位置情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された時系列の位置情報に含まれる一以上の着目位置情報について、時系列に関して前後する位置情報との関係が所定の基準を満たしているか否かを判定し、判定結果に基づいて、前記着目位置情報を保持するか否かを決定する決定部とを備える情報処理装置である。