(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも一方の前記差し込み部は、前記連結部材の差し込み方向に伸びている筒状であり、且つ前記少なくとも一方の前記差し込み部の径が変化するように弾性変形可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の配管系の熱伝導被覆体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被覆ブロックは、それぞれが円筒の半分の形状を有する2つの部材で構成されている(ここでは、この部材を「ブロック半体」と称する)。この2つのブロック半体が合体することで円筒状の被覆ブロックが構成される。2つのブロック半体の合体には、被覆ブロックの外側を取り囲むリングや螺子などの固定具が利用される。ところが、このような固定具を利用する構造では、被覆ブロックの取り付けや取り外しの作業性が良くない。
【0005】
本発明の目的の一つは、取り付けや取り外しの作業性を向上できる熱伝導被覆体、加熱装置、熱伝導被覆体の製造方法及びその取付方法、並びに、加熱装置の製造方法及びその取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための熱伝導被覆体は、金属で形成され、第1の穴が形成されている第1の面を有している、配管系を覆うための第1熱伝導部材と、金属で形成され、第1の面と向き合い且つ第2の穴が形成されている第2の面を有している、前記第1熱伝導部材と合体して前記配管系を覆うための第2熱伝導部材と、前記第1の穴に差し込まれる第1差し込み部と前記第2の穴に差し込まれる第2差し込み部とを有し、前記第1熱伝導部材と前記第2熱伝導部材とを合体させる連結部材とを有している。前記第1差し込み部と前記第2差し込み部の少なくとも一方の差し込み部は、前記連結部材の差し込み方向に対して直交する方向に弾性変形可能である。この熱伝導被覆体によれば、熱伝導部材の取り付けや取り外しの作業性を向上できる。
【0007】
上記課題を解決するための加熱装置は、前記熱伝導被覆体と、前記熱伝導被覆体を覆い且つ前記熱伝導被覆体を通して前記配管系を加熱するヒータとを有している。この加熱装置によれば、熱伝導部材の取り付けや取り外しの作業性を向上できる。
【0008】
上記課題を解決するための熱伝導被覆体の製造方法及びその取付方法は、次の通りである。これらの方法に係る熱伝導被覆体は、金属で形成され、第1の穴が形成されている第1の面を有している、配管系を覆うための第1熱伝導部材と、金属で形成され、第1の面と向き合い且つ第2の穴が形成されている第2の面を有している、前記第1熱伝導部材と合体して前記配管系を覆うための第2熱伝導部材と、前記第1の穴に差し込まれる第1差し込み部と前記第2の穴に差し込まれる第2差し込み部とを有する連結部材と、を備える。
前記熱伝導被覆体の製造方法は、前記第1差し込み部を前記第1の穴に差し込むことによって、前記第1差し込み部の差し込み方向に対して直交する方向に弾性変形可能な第2の差し込み部が前記第1の面から突出するように前記連結部材を前記第1熱伝達部材に取り付ける工程を有する。
前記熱伝導被覆体の取付方法は、前記第1差し込み部が前記第1の穴に差し込まれて、前記第1差し込み部の差し込み方向に対して直交する方向に弾性変形可能である前記第2差し込み部が前記第1の面から突出するように前記連結部材が前記第1熱伝導部材に取り付けられている状態で、前記第1熱伝導部材と前記第2熱伝導部材が前記配管系を覆うようにそれらを合体させるために、前記第2差し込み部を前記第2熱伝導部材の前記第2の穴に差し込む工程を有する。
【0009】
上記課題を解決するための加熱装置の製造方法及びその取付方法は、次の通りである。これらの方法に係る加熱装置は、金属で形成され、第1の穴が形成されている第1の面を有している、配管系を覆うための第1熱伝導部材と、金属で形成され、第1の面と向き合い且つ第2の穴が形成されている第2の面を有している、前記第1熱伝導部材と合体して前記配管系を覆うための第2熱伝導部材と、前記第1の穴に差し込まれる第1差し込み部と前記第2の穴に差し込まれる第2差し込み部とを有する連結部材と、前記熱伝導被覆体を覆い、前記熱伝導被覆体を通して前記配管系を加熱するためのヒータとを備える。
前記加熱装置の製造方法は、前記第1差し込み部を前記第1の穴に差し込むことによって、前記第1差し込み部の差し込み方向に対して直交する方向に弾性変形可能な第2の差し込み部が前記第1の面から突出するように前記連結部材を前記第1熱伝達部材に取り付ける工程を有する。
前記加熱装置の取付方法は、前記第1差し込み部が前記第1の穴に差し込まれて、前記第1差し込み部の差し込み方向に対して直交する方向に弾性変形可能である前記第2差し込み部が前記第1の面から突出するように前記連結部材が前記第1熱伝導部材に取り付けられている状態で、前記第1熱伝導部材と前記第2熱伝導部材が前記配管系を覆うようにそれらを合体させるために、前記第2差し込み部を前記第2熱伝導部材の前記第2の穴に差し込む工程を有する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態の一例である加熱装置1を示す斜視図である。
図1では、ヒータ20が開かれている様子が示されている。
図2は加熱装置1が備えている熱伝導被覆体10の分解斜視図である。
図3は加熱装置1の断面図であり、その切断面の位置は
図1のIII−III線で示されている。
図3では、
図1とは異なり、ヒータ20が熱伝導被覆体10の外側を覆っている様子が示されている。
図4は
図3の拡大図である。
図5は
図4のV−V線で示す切断面で得られる断面図である。
【0012】
加熱装置1は配管系の外側を覆う熱伝導被覆体と、熱伝導被覆体の外側を覆い配管系を加熱するためのヒータとを有している。ここで配管系とは、配管や、配管に接続されているバルブ、配管の継手、エルボなどを含む。
図1に示すように、本実施形態では、加熱装置1は直線状に伸びている配管100を覆う熱伝導被覆体10を有している。また、加熱装置1は熱伝導被覆体10の外側を覆うヒータ20を有している。配管100は、例えば1/8インチ配管や、1/4インチ配管、3/8インチ配管、1/2インチ配管など径が比較的小さい配管である。
【0013】
図1に示すように、熱伝導被覆体10は筒状であり、その内側に配管100が配置されている。熱伝導被覆体10は全体として、例えば略円形の断面を有する筒状である。熱伝導被覆体10は略四角形の断面を有する筒状でもよい。熱伝導被覆体10は第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とを有している。各熱伝導部材11、12は、熱伝導被覆体10の軸線C1を中心とする円弧状の断面を有する部材である。言い換えれば、熱伝導部材11、12のそれぞれは、円筒の略半分の形状を有している。熱伝導部材11、12は軸線C1に直交する方向で合体して、円筒状の熱伝導被覆体10を構成している。換言すれば、熱伝導被覆体10は、配管系を挟持又は覆うことができるように熱伝導部材11、12同士が合体してなる。
【0014】
熱伝導部材11、12は比較的高い熱伝導率を有する金属で形成されている。熱伝導部材11、12は例えばアルミニウムで形成される。熱伝導部材11、12は例えば銅で形成されてもよい。熱伝導部材11、12のそれぞれは金属によって一体的に形成されている。例えば、熱伝導部材11、12は、軸線C1の方向に材料を押し出す押し出し成形や、鋳造によって一体的に形成される。後述するように、熱伝導部材11、12には穴11c、12cがそれぞれ形成されている。これら穴11c、12cは、成型品に切削加工を施すことによって形成される。
【0015】
図3に示すように、熱伝導部材11、12は互いに向き合う面11a、12aをそれぞれ有している(面11a、12aを「対向面」と称する)。第1熱伝導部材11の対向面11aには溝11bが形成され、第2熱伝導部材12の対向面12aには溝12bが形成されている(
図2参照)。溝11b、12bの内側に配管100が配置されている。好ましくは、溝11b、12bの内面は配管100の外面に合わせて湾曲し、配管100の外面に密着する。すなわち、溝11b、12bの内面の全体が配管100の外面に接する。これによって、配管100を均一に加熱することができる。熱伝導部材11、12の構造は熱伝導被覆体10の例に限られない。例えば、熱伝導部材11、12の一方にだけ溝が形成され、その溝に配管100が配置されてもよい。
【0016】
図3に示すように、第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12との間に配管100が配置されている状態で、対向面11a、12aの間には隙間G1が設けられている。これによると、溝11b、12bの内面と配管100の外面との密着性が確保し易くなる。また配管100から第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とを取り外す際には、隙間G1に指をかけて第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とを互いに離間させることができるので作業効率(具体的には取外し効率又は解体効率)が良い。なお、このような隙間G1は必ずしも設けられていなくてもよい。
【0017】
図3に示すように、第1熱伝導部材11の対向面11aには穴11cが形成されている。また、第2熱伝導部材12の対向面12aには穴12bが形成されている(以下ではこれらの穴11c、12cを「連結穴」と称する)。連結穴11c、12cは互いに対応する位置に形成され、軸線C1に直交する方向において互いに向き合っている。熱伝導被覆体10は熱伝導部材11、12とは別個に形成された連結部材13を有している。連結部材13は連結穴11c、12cに差し込まれて熱伝導部材11、12を合体させる。熱伝導被覆体10の例では、連結部材13はその差し込み方向に細長いピン状である。
【0018】
第1熱伝導部材11の対向面11aには複数の連結穴11cが形成されている。第2熱伝導部材12の対向面12aにも複数の連結穴12cが形成されている。詳細には、第1熱伝導部材11の対向面11aは、溝11bの一方側と、溝11bを挟んで反対側とに連結穴11cを有している(
図3参照)。また、対向面11aは、熱伝導被覆体10の軸線C1に沿った方向(配管100の延伸方向)において並ぶ複数の連結穴11cを有している。熱伝導被覆体10の一例では、第1熱伝導部材11の両端部に2つの連結穴11cが形成されている。第1熱伝導部材11と同様に、第2熱伝導部材12の対向面12aは、溝12bの一方側と、溝12bを挟んで反対側とに連結穴12cを有している(
図3参照)。また、対向面12aは、熱伝導被覆体10の軸線C1に沿った方向(配管100の延伸方向)において並ぶ複数の連結穴12cを有している。連結穴11c、12cの数や位置は、熱伝導被覆体10の例に限られない。例えば、熱伝導部材11、12のそれぞれは軸線C1に沿った方向に並ぶ3つの連結穴11c、12cを有してもよい。
【0019】
図3に示すように、連結部材13は第1熱伝導部材11の連結穴11cに差し込まれる部分13aと、第2熱伝導部材12の連結穴12cに差し込まれる部分13bとを有している(以下では、部分13aを「第1差し込み部」と称し、部分13bを「第2差し込み部」と称する)。連結部材13は、差し込み部13a、13bが連結部材13の差し込み方向に対して直交する方向、すなわち連結穴11c、12cの径方向に弾性変形可能となるように構成されている。言い換えると、第1差し込み部13aは第1熱伝導部材11の連結穴11cのサイズに合わせて弾性変形可能である。第2差し込み部13bは第2熱伝導部材12の連結穴12cのサイズに合わせて弾性変形可能である。熱伝導被覆体10のこの構造によると、螺子や熱伝導部材11、12の外周を囲むリング状の固定具を利用して熱伝導部材11、12を合体させる構造に比べて、熱伝導部材11、12の取り付けや取り外しの作業性を向上できる。
【0020】
連結部材13は金属によって形成されている。例えば、連結部材13はステンレス、鋼などの鉄合金、アルミニウムなどで形成される。連結部材13の材料はこれに限られない。例えば連結部材13は樹脂で形成されてもよい。
【0021】
図3及び
図5に示すように、熱伝導被覆体10の例では、連結部材13は、連結部材13の差し込み方向に伸びている筒状であり、連結部材13には、連結部材13の延伸方向に沿ったスリット13cが形成されている。連結部材13は所謂スプリングピンである。スリット13cは第1差し込み部13aと第2差し込み部13bとに亘って形成されている。詳細には、スリット13cは連結部材13の一方の端部(
図3において上端)から連結部材13の他方の端部(
図3において下端)まで続いている。スリット13cの幅W1(
図5参照)が変化することによって、連結部材13の径は変化する。言い換えれば、連結部材13はその径が変化するように弾性変形可能である。熱伝導被覆体10の例では、スリット13cは連結部材13の延伸方向に伸びている波形状を有している。しかしながら、スリット13cは直線状でもよい。
【0022】
連結部材13(第1差し込み部13aと第2差し込み部13b)の自由状態の外径は、連結穴11c、12cの径以上になっている(「自由状態」は連結部材13が連結穴11c、12cに差し込まれていない状態である)。また連結部材13が連結穴11c、12cに差し込まれている状態では、連結部材13の自由状態よりも、スリット13cの幅は小さくなっている。したがって、連結部材13が連結穴11c、12cに差し込まれている状態では、連結部材13の外面はその弾性力によって連結穴11c、12cの内面に押しつけられている。これによって、連結部材13の外面と連結穴11c、12cの内面との間に摩擦が生じ、連結部材13の差し込み部13a、13bは連結穴11c、12cにそれぞれ固定されている。
【0023】
連結部材13の形状・構造は、熱伝導被覆体10の例に限られない。例えば、第1差し込み部13aと第2差し込み部13bのうち一方の差し込み部だけが、その径が変化するように弾性変形可能であってもよい。すなわち、一方の差し込み部だけにスリット13cが形成されてもよい。この場合、他方の差し込み部は連結穴に圧入されてもよい。さらに他の例では、連結部材13は2つの連結穴11c、12cに差し込まれる板ばねを有してもよい。この場合、板ばねの一方の端部は連結穴11cの内面に押しつけられ、板ばねの一方の端部は連結穴12cの内面に押しつけられてもよい。連結部材13は複数の板ばねで構成されてもよい。
【0024】
熱伝導被覆体10の例では、連結部材13は円形の断面を有する筒状である(
図5参照)。連結穴11c、12cは平面視で円形の穴である。この構造によれば、
図5に示されるように、連結部材13の外面が広い範囲に亘って連結穴11c、12cの内面に接する。そのため、熱伝導部材11、12の合体強度が確保し易くなる。また、熱伝導被覆体10が有している円筒状の連結部材13によれば、連結部材13の製造が容易となる。例えば、連結部材13は小さな板状部材を円筒状に丸めることによって形成できる。
【0025】
連結部材13は、その自由状態において、一方の端部から他方の端部に亘って同じ外径を有している(上述したように、「自由状態」とは連結部材13が連結穴11c、12cに差し込まれていない状態である)。一方、第2熱伝導部材12の連結穴12cの少なくとも一部は、第1熱伝導部材11の連結穴11cの径よりも大きな径を有している。具体的には、
図4に示すように、連結穴12cの開口端寄りの部分12dは、連結穴11cの径よりも大きな径を有している(この部分12dを、以下では「大径部」と称する)。より具体的には、連結穴12cの縁は面取りされている。それによって、連結穴11cに向かって(すなわち、連結穴12cの開口端に向かって)連結穴12cの径が徐々に大きくなるように、大径部12dに斜面が形成されている。連結部材13を連結穴12cに差し込むときに、連結部材13の先端がこの斜面によってガイドされるので、作業性を向上できる。第1熱伝導部材11の連結穴11cにはそのような面取りはなされていない。そのため、連結部材13の第1差し込み部13aが連結穴11cに固定されている力は、第2差し込み部13bが連結穴12cに固定されている力よりも大きい。この構造によると、
図2に示すように、第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とを分離するとき、連結部材13が第1熱伝導部材11に固定されている状態が維持される。これによって、熱伝導被覆体10の取り外しの作業性を向上できる。また、面取りを利用する上述の構造によれば、煩雑な作業を要することなく第2熱伝導部材12を形成できる。
【0026】
上述したように、熱伝導部材11、12には複数の連結穴11c、12cが形成されている。全ての連結穴12cは連結穴11cよりも大きな径を有する大径部12dを有している。そのため、
図2に示すように、第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とを分離するとき、全ての連結部材13が第1熱伝導部材11に固定されている状態が維持される。このことによって、熱伝導被覆体10の取り外しの作業性や、その後の取り付けの作業性をさらに向上できる。連結穴12cの大径部12dに形成されるのは必ずしも斜面(面取り)でなくてもよい。すなわち、大径部12dの径は連結穴12cの深さ方向において一定でもよい。
【0027】
熱伝導被覆体10の例では、連結穴12cの径は連結穴11cの径よりも大きい(連結穴12cの径は、例えば連結穴11cの径の1.1倍以下、1.3倍以下、1.5倍以下、又は1.7倍以下で構成することができる)。これによって、連結部材13の第1差し込み部13aが連結穴11cに固定されている力が、第2差し込み部13bが連結穴12cに固定されている力よりも大きくなる。その結果、第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とを分離するとき、連結部材13が第1熱伝導部材11に固定されている状態が維持される。これによって、熱伝導被覆体10の取り外しの作業性を向上できる。他の例では、第1差し込み部13aの連結穴11cへの固定力(摩擦力)が、第2差し込み部13bの連結穴12cへの固定力(摩擦力)よりも大きくなるように、連結部材13が形成されてもよい。具体的には、第1差し込み部13aの外径が第2差し込み部13bの外径よりも大きくてもよい。この場合、第1熱伝導部材11の連結穴11cの径は第2熱伝導部材12の連結穴12cの径と等しくてもよい。その他の例として、第1差し込み部13aの長さと第2差し込み部13bの長さについて一方が他方より長くなるように構成して、連結穴11c、12cへの固定力(摩擦力)を異ならせることも可能である。
【0028】
図3に示すように、熱伝導被覆体10の例では、連結穴11cは第1熱伝導部材11を貫通していない。すなわち、連結穴11cは底部を有している。そのため、第1熱伝導部材11の外周面11e(ヒータ20が接する面、
図1参照)には、連結穴11cは表れていない。同様に、連結穴12cは第2熱伝導部材12を貫通していない。そのため、第2熱伝導部材12の外周面12e(ヒータ20が接する面、
図1参照)には、連結穴12cは表れていない。その結果、
図1に示すように、熱伝導部材11、12が合体している状態で、連結部材13は熱伝導被覆体10の外面に表れない。この構造によると、熱伝導被覆体10の外周面にヒータ20に接しない部分が生じるのを防ぐことができる。
【0029】
熱伝導被覆体10の例に換えて、連結穴11cは第1熱伝導部材11を貫通してもよい。同様に、連結穴12cは第2熱伝導部材12を貫通してもよい。この場合でも、連結部材13は、その端部が第1熱伝導部材11の外周面11eと第2熱伝導部材12の外周面12eとから突出しない長さを有するのが望ましい。
【0030】
連結部材13の長さは、好ましくは、連結部材13が熱伝導部材11、12を
図4に示すように合体している状態で連結部材13の少なくとも一方の端部が連結穴11c、12cの底部(最も深い部分)に当たらないように、設定される。こうすることによって、熱伝導部材11、12間の隙間G1が確実に確保できる。連結部材13の直径Dと長さLとの比(L/D)は、例えば1.8から12.5の範囲である。また、連結部材13の直径Dと厚さtとの比(t/D)は、例えば0.09から0.19の範囲である。例えば、連結部材13の直径Dは約2mm(具体的には2.15mmから2.25mm)である。この場合、連結部材13の長さLは例えば約4mmから約20mmであり、連結部材13の厚さtは例えば約0.2mmから約0.4mmとすることができる。連結部材13の寸法は、これに限られない。例えば、連結部材13の直径Dは2mmより小さくてもよいし、2mmより大きくてもよい。例えば、連結部材13の寸法は、直径Dが約1.6mmから2.75mmの範囲、長さLが約3mmから20mmの範囲、厚さtが約0.15mmから0.5mmの範囲で構成してもよい。
【0031】
図4に示すように、第1差し込み部13aの長さL1は第1差し込み部13aの直径D1よりも大きいのが好ましい。同様に、第2差し込み部13bの長さL2は第2差し込み部13bの直径D2よりも大きいのが好ましい。こうすることによって、差し込み部13a、13bの連結穴11c、12cへの固定力を十分に確保することが容易となる。差し込み部13a、13bの直径D1、D2(即ち連結部材13の直径D)は、上述したように、例えば約2mmである。この場合、差し込み部13a、13bのそれぞれの長さは、2mm以上であるのが好ましい。
【0032】
上述したように、加熱装置1はヒータ20を有している。
図3に示すように、ヒータ20は熱伝導被覆体10の外側を全周に亘って覆う。ヒータ20は、例えば熱伝導被覆体10の外側を覆うように丸めたり、熱伝導被覆体10を露出するように広げたりできる柔軟性を有する。この場合、ヒータ20は、熱伝導被覆体10の外側を覆うように丸められた状態で固定される。例えば、ヒータ20の外側にベルト(不図示)が巻かれたり、ヒータ20の縁に面ファスナー(不図示)が設けられる。
【0033】
ヒータ20の構造は、ここで説明する加熱装置1の例に限られない。例えば、ヒータ20は必ずしも柔軟性を有するものでなくてもよい。この場合、ヒータ20はそれぞれが円弧状の断面を有する複数のパーツで構成されてもよい。そして、それらが組み合わされることで、ヒータ20は熱伝導被覆体10の外側を全周に亘って覆ってもよい。
【0034】
図1に示すように、加熱装置1の例では、ヒータ20は電気を受けて発熱する電熱線21を有している。電熱線21は例えばニクロム線やスレンレス線である。また、ヒータ20は電熱線21を収容する収容部22を有している。収容部22は、例えば袋22a(
図3参照)と、熱伝導性を有する繊維や粒子で構成され、袋22aの内側に充填される熱伝導部22b(
図3参照)とを有する。
【0035】
上述したように、熱伝導被覆体10は、連結穴11cが形成されている対向面11aを有している第1熱伝導部材11と、連結穴12cが形成されている対向面12aを有している第2熱伝導部材12と、連結穴11cに差し込まれる第1差し込み部13aと連結穴12cに差し込まれる第2差し込み部13bとを有し、第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とを合体させる連結部材13と、を有している。第1差し込み部13aと第2差し込み部13bは、連結部材13の差し込み方向に対して直交する方向に弾性変形可能である。この熱伝導被覆体10によれば、配管100への熱伝導部材11、12の取り付けの作業性や、熱伝導部材11、12の取り外しの作業性を向上できる。
【0036】
熱伝導被覆体10及び加熱装置1の製造過程では、連結部材13の第1差し込み部13aが第1熱伝導部材11の連結穴11cに差し込まれる。複数の連結穴11cが第1熱伝導部材11に形成されている場合には、各連結穴11cに第1差し込み部13aを差し込む。このことによって、第2差し込み部13bが第1熱伝導部材11の対向面11aから突出するように連結部材13が第1熱伝達部材11に取り付けられる。熱伝導被覆体10及び加熱装置1の配管系への取付過程においては、第2差し込み部13bが第1熱伝導部材11の対向面11aから突出している状態で、第2差し込み部13bが第2熱伝導部材12の連結穴12cに差し込まれる。このことによって、第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12が合体し、配管系を覆う。その後、ヒータ20で熱伝導被覆体10を覆う。
【0037】
なお、本発明は以上説明した実施形態に限られず、種々の変更が可能である。
【0038】
例えば、配管100は屈曲部を有してもよい。この場合、2つの熱伝導部材11、12の一方又は双方に、屈曲部との干渉を避けるための切り欠きが形成されてもよい。
【0039】
また、加熱装置1は、配管100の延伸方向に並ぶ複数の熱伝導部材を有してもよい。この場合、連結穴は熱伝導部材の端面(例えば、
図2の符号11f、12f参照)に形成され、連結部材13は配管100の延伸方向に並ぶ2つの熱伝導部材の合体に利用されてもよい。
【0040】
熱伝導被覆体10は配管系に設けられるバルブを覆ってもよい。この場合、熱伝導被覆体10は複数の板状の熱伝導部材を有してもよい。そして、それら複数の熱伝導部材が合体することによってバルブを取り囲む箱状の熱伝導被覆体10を形成してもよい。この場合、板状の熱伝導部材の表面や端面に連結穴が形成され、その連結穴に連結部材13が差し込まれてもよい。
【0041】
図6A、
図6B、
図7、および
図8は箱状の熱伝導被覆体の一例である熱伝導被覆体110を示す図である。
図6A及び
図6Bはそれぞれ、バルブユニット120A、120Bに取り付けられている熱伝導被覆体110の平面図及び正面図である。
図7は熱伝導被覆体110の斜視図である。
図8は
図7に示すVIII−VIII線での熱伝導被覆体110の断面図である。
【0042】
図6A及び
図6Bの例では、配管系はバルブユニット120A、120Bと連結管121とを有している。各バルブユニット120A、120Bはバルブを収容している本体120aと、本体120aに取り付けられているアクチュエータ120bとを有している。連結管121は2つのバルブユニット120A、120Bの本体120aを連結している。
【0043】
熱伝導被覆体110は複数の板状の熱伝導部材で構成され、それらが互いに合体することによって箱状となっている。
図7に示すように、熱伝導被覆体110は熱伝導部材として、例えば、底プレート111、サイドプレート112、上部プレート113、及び仕切プレート114を有する。バルブユニット120A、120Bの本体120aは底プレート111の前部に配置され、底プレート111に取り付けられている。底プレート111の後部の右側及び左側にサイドプレート112が配置され、サイドプレート112の上側に上部プレート113が配置されている。底プレート111、サイドプレート112、及び上部プレート113は箱状であり、連結管121を取り囲んでいる。2つのバルブユニット120A、120Bの間に仕切プレート114が配置されている。プレート111〜114は、上述した熱伝導部材11、12と同様に、例えばアルミニウムで形成される。プレート111〜114は例えば銅で形成されてもよい。
【0044】
互いに隣り合う2枚のプレートは、上述した連結部材13によって合体している。
図8に示すように、例えば、底プレート111は、連結穴111cが形成されている対向面111aを有している。サイドプレート112は、連結穴112cが形成されている対向面112aを有している。連結部材13は、連結穴111cに差し込まれる第1差し込み部13aと連結穴112cに差し込まれる第2差し込み部13bとを有している。上述したように、第1差し込み部13aと第2差し込み部13bは、連結部材13の差し込み方向に対して直交する方向に弾性変形可能である。上部プレート113とサイドプレート112との合体、及び仕切プレート114と底プレート111との合体にも連結部材13が使用されている。この熱伝導被覆体110によれば、配管系へのプレート111〜114の取り付けの作業性や、プレート111〜114の取り外しの作業性を向上できる。互いに隣り合う2枚のプレートの合体には複数の連結部材13が利用されてもよい。また、熱伝導被覆体110はヒータ20によって覆われてもよい。
【0045】
なお、バルブユニット120A、120Bや連結管121の構造は、
図6A、
図6Bの例に限られず、適宜変更されてよい。また、熱伝導被覆体110の構造も、バルブユニット120A、120Bや連結管121の構造に合わせて変更されてよい。例えば、熱伝導被覆体110は1つのバルブユニットの本体を取り囲む箱状に形成されてもよい。
【0046】
さらに他の例として、熱伝導被覆体10は配管系に設けられるエルボを覆ってもよい。この場合、熱伝導被覆体10の熱伝導部材11、12には、上述した直線的に伸びる溝11b、12bに換えて、エルボに合わせて湾曲する溝が形成されてもよい。
【0047】
熱伝導部材11、12のうちの一方には、温度センサの検知部が差し込まれる穴が形成されてもよい。この穴は、例えば、熱伝導部材11、12の外周面11e、12eに形成される。
【0048】
熱伝導被覆体10は、第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とが連結部材13により連結(合体)した連結状態から第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とを分離(離間)させて連結解除するための連結解除溝を有してもよい。連結解除溝は例えば、熱伝導部材11、12のうちの少なくとも一方において、ドライバー等の棒状工具の先端部側が差し込まれる溝(切欠部)として形成されてもよい。この溝は、例えば、熱伝導部材11、12の外周面11e、12e及び/又は端面11f、12fかつ対向面11a、12aに形成される。かかる連結解除溝に棒状工具を差し込んでてこの原理を利用することにより、連結部材13により連結状態にある第1熱伝導部材11と第2熱伝導部材12とを容易に分離して連結解除でき、熱伝導被覆体10の取り外しの作業性をより一層向上できる。
取り付けや取り外しの作業性を向上できる熱伝導被覆体を提供する。熱伝導被覆体(10)は連結穴(11c)が形成されている第1熱伝導部材(11)と連結穴(12c)が形成されている第2熱伝導部材(12)とを有している。さらに熱伝導被覆体(10)は、連結穴(11c)に差し込まれる第1差し込み部(13a)と連結穴(12c)に差し込まれる第2差し込み部(13b)とを有している連結部材(13)を有している。差し込み部(13a)、(13b)のうち少なくとも一方は連結部材(13)の差し込み方向に対して直交する方向に弾性変形可能である。