(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
添付した図面を参照して、本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限られない。
【0024】
図面において、種々の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。明細書の全体にわたって類似する部分に対しては同一の図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるというとき、これは他の部分の「すぐ上」にある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も含む。一方、ある部分が他の部分の「すぐ上」にあるというときには、中間に他の部分がないことを意味する。
【0025】
次に、本発明の実施形態による表示装置について、
図1を参照して詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態による表示装置の平面図である。
【0027】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態による表示パネル100は、画像を表示する表示領域300、表示領域300のゲート線にゲート電圧を印加するゲート駆動部500を含む。一方、表示領域300のデータ線は、表示パネル100に付着されたフレキシブルプリント回路膜(FPC;flexible printed circuit film)450などのフィルムの上に形成されたデータドライバIC460からデータ電圧が印加される。一方、ゲート駆動部500及びデータドライバIC460は信号制御部600によって制御される。フレキシブルプリント回路膜450などのフィルムの外側にはプリント回路基板(PCB;printed circuit board)が形成されて、信号制御部600からの信号をデータドライバIC460及びゲート駆動部500に伝達する。信号制御部600から提供される信号としては、第1クロック信号CKV、第2クロック信号CKVB、及びスキャン開示信号STVPなどの信号と、特定レベルの低電圧Vss1、Vss2を提供する信号を含む。実施形態によっては低電圧を一種類だけ有してもよい。
【0028】
表示領域300は、液晶表示パネルである場合には、薄膜トランジスタTrsw、液晶キャパシタClc、及び維持キャパシタCstなどを含み、
図1においては液晶表示パネルを例として挙げている。一方、有機発光表示パネルにおいては薄膜トランジスタ、及び有機発光ダイオードを含み、その他の表示パネルにおいては薄膜トランジスタなどの素子を含んで表示領域300を形成する。本発明は液晶表示パネルに限定されないが、明確に説明するために、以下では液晶表示パネルを例として挙げて説明する。
【0029】
表示領域300には、多数のゲート線G1〜Gn及び多数のデータ線D1〜Dmを含み、多数のゲート線G1〜Gn及び多数のデータ線D1〜Dmは絶縁して交差している。
【0030】
各画素PXには、薄膜トランジスタTrsw、液晶キャパシタClc、及び維持キャパシタCstを含む。薄膜トランジスタTrswの制御端子は一つのゲート線に接続され、薄膜トランジスタTrswの入力端子は一つのデータ線に接続され、薄膜トランジスタTrswの出力端子は液晶キャパシタClcの一側端子及び維持キャパシタCstの一側端子に接続される。液晶キャパシタClcの他側端子は共通電極に接続され、維持キャパシタCstの他側端子は信号制御部600から印加される維持電圧Vcstが印加される。液晶表示パネルの画素PXの構造も多様な実施形態が存在し、
図1に示した画素PXの基本構造から追加構成を有する画素PXも本発明を適用することができる。
【0031】
多数のデータ線D1〜Dmは、データドライバIC460からデータ電圧が印加され、多数のゲート線G1〜Gnは、ゲート駆動部500からゲート電圧が印加される。
【0032】
データドライバIC460は、表示パネル100の上側または下側に形成されて、縦方向に延長されたデータ線D1〜Dmと接続しているが、
図1においては、データドライバIC460が表示パネル100の上側に位置する実施形態を示している。
【0033】
ゲート駆動部500は、クロック信号CKV、CKVB、スキャン開示信号STVP、及びゲートオフ電圧に準ずる第1低電圧Vss1と、ゲートオフ電圧より低い第2低電圧Vss2の印加を受け、ゲート電圧(ゲートオン電圧及びゲートオフ電圧)を生成して、ゲート線G1〜Gnに順次にゲートオン電圧を印加する。
【0034】
ゲート駆動部500に印加されるクロック信号CKV、CKVB、スキャン開示信号STVP、第1低電圧Vss1、及び第2低電圧Vss2は、
図1に示したようにデータドライバIC460が位置するフレキシブルプリント回路膜450のうち、最もゲート駆動部500と近いフレキシブルプリント回路膜450を通じてゲート駆動部500に印加される。このような信号は、外部または信号制御部600からプリント回路基板400を通じてフレキシブルプリント回路膜450などのフイルムに伝達される。
【0035】
以上、表示装置の全体的な構造について説明した。
【0036】
以下、本発明と関するゲート駆動部500及びゲート線G1〜Gnを中心に説明する。
【0037】
図2は、
図1のゲート駆動部及びゲート線を具体化して示したブロック図である。
【0038】
図2においては、ゲート駆動部500をブロック化して詳細に示している。
【0039】
図2において、表示領域300を抵抗RpとキャパシタンスCpに示した。これは、ゲート線G1〜Gn、液晶キャパシタClc、及び維持キャパシタCstは、それぞれ抵抗値及びキャパシタンスを有し、これらを全て合わせて一つの抵抗Rp及び一つのキャパシタンスCpに示したものである。つまり、ゲート線は、
図2に示したように、回路的には抵抗RpとキャパシタンスCpを有するものと示すことができる。これら値は、一つのゲート線が全体的に有する値であり、表示領域300の構造及び特性によって他の値を有することができる。ステージSRから出力されたゲート電圧はゲート線に伝達される。各ステージSRnに対応してそれぞれゲート線Gnが接続されている。
【0040】
以下、ゲート駆動部500について説明する。
【0041】
ゲート駆動部500は、互いに従属的に接続された多数のステージSR1、SR2、SR3、SR4を含む。各ステージSR1、SR2、SR3、SR4、...は、三個の入力端子IN1、IN2、IN3、一つのクロック入力端子CK、二つの電圧入力端子Vin1、Vin2、ゲート電圧を出力するゲート電圧出力端子OUT、伝達信号出力端子CRout、及びインバータ信号出力端子IVToutを含む。
【0042】
先ず、第1入力端子IN1は、前段ステージの伝達信号出力端子CRoutに接続して、以前段の伝達信号CRの印加を受けるが、最初のステージは前段ステージが存在しないので、第1入力端子IN1にスキャン開示信号STVPが印加される。
【0043】
第2入力端子IN2は、次段ステージの伝達信号出力端子CRoutに接続して、次段の伝達信号CRの印加を受ける。
【0044】
n−1番目ゲート線Gn−1に接続されたステージSRn−1(図示せず)、及びn番目ゲート線Gnに接続されたステージSRn(図示せず)は、次段及び次の次段ステージから伝達信号CRを受信するために、ダミーステージを二つ形成してもよい。ダミーステージSRn+1、SRn+2(図示せず)は、他のステージSR1〜SRnとは異なり、ダミーゲート電圧を生成して出力するステージである。つまり、他のステージSR1−SRnから出力されたゲート電圧は、ゲート線を通じて伝達されながら画素にデータ電圧が印加されて画像を表示する。しかし、ダミーステージSRn+1、SRn+2は、ゲート線に接続していなくてもよく、ゲート線と接続しても画像を表示しないダミー画素(図示せず)のゲート線と接続していて、画像を表示するのに用いられなくてもよい。
【0045】
一方、第3入力端子IN3は、前段ステージのインバータ信号出力端子IVToutに接続して、以前段のインバータ信号IVTが印加されるが、最初のステージは前段ステージが存在しないので、これに対応する信号を別途に生成して入力させるか、またはダミーステージSRn+1、SRn+2(図示せず)でこれとタイミングの適した信号を生成するようにして、これを受信してもよい。即ち、当該ステージにおいてゲートオン電圧が印加される1H区間では、低電圧Vss1またはVss2が印加されるタイミングを有する信号を出力制御信号OCSという。
【0046】
クロック入力端子CKにはクロック信号が印加されるが、多数のステージのうち奇数番目ステージのクロック入力端子CKには第1クロック信号CKVが印加され、偶数番目ステージのクロック入力端子CKには第2クロック信号CKVBが印加される。第1クロック信号CKVと第2クロック信号CKVBは、互いに位相が反対になるクロック信号である。
【0047】
第1電圧入力端子Vin1にはゲートオフ電圧に該当する第1低電圧Vss1が印加され、第2電圧入力端子Vin2には第1低電圧Vss1より低い第2低電圧Vss2が印加される。第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2の電圧値は実施形態によって多様でありうるが、本実施形態においては、第1低電圧Vss1値として−6Vを使用しており、第2低電圧Vss2値として−10Vを使用している。つまり、第2低電圧Vss2が第1低電圧Vss1よりさらに低い電圧を使用する。
【0048】
次に、ゲート駆動部500の動作について説明する。
【0049】
先ず、第1ステージSR1は、クロック入力端子CKを通じて外部から提供される第1クロック信号CKVを、第1入力端子IN1を通じてスキャン開示信号STVPを、第1 電圧入力端子Vin1及び第2電圧入力端子Vin2に第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2を、第2入力端子IN2を通じて第2ステージSR2から提供される伝達信号CRを、そして第3入力端子IN3を通じて出力制御信号を受信して、第1ゲートラインにゲート電圧出力端子OUTを通じてゲートオン電圧を出力する。また、伝達信号出力端子CRoutでは伝達信号CRを出力して第2ステージSR2の第1入力端子IN1に伝達し、インバータ信号出力端子IVToutではインバータ信号IVTを第2ステージSR2の第3入力端子IN3に伝達する。
【0050】
第2ステージSR2は、クロック入力端子CKを通じて外部から提供される第2クロック信号CKVBを、第1入力端子IN1を通じて第1ステージSR1の伝達信号CRを、第1電圧入力端子Vin1及び第2電圧入力端子Vin2に第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2を、第2入力端子IN2を通じて第3ステージSR3からそれぞれ提供される伝達信号CRを、そして第3入力端子IN3を通じて第1ステージSR1から提供されるインバータ信号IVTを受信して、第2ゲートラインにゲート電圧出力端子OUTを通じてゲートオン電圧を出力する。また、伝達信号出力端子CRoutでは伝達信号CRを出力して、第3ステージSR3の第1入力端子IN1及び第1ステージSR1の第2入力端子IN2に伝達し、インバータ信号出力端子IVToutではインバータ信号IVTを第3ステージSR3の第3入力端子IN3に伝達する。
【0051】
一方、第3ステージSR3は、クロック入力端子CKを通じて外部から提供される第1クロック信号CKVを、第1入力端子IN1を通じて第2ステージSR2の伝達信号CRを、第1電圧入力端子Vin1及び第2電圧入力端子Vin2に第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2を、第2入力端子IN2を通じて第4ステージSR4から提供される伝達信号CRを、そして第3入力端子IN3を通じて第2ステージSR2から提供されるインバータ信号IVTを受信して、第3ゲートラインにゲート電圧出力端子OUTを通じてゲートオン電圧を出力する。また、伝達信号出力端子CRoutでは伝達信号CRを出力して、第4ステージSR4の第1入力端子IN1及び第2ステージSR2の第2入力端子IN2に伝達し、インバータ信号出力端子IVToutではインバータ信号IVTを第4ステージSR4の第3入力端子IN3に伝達する。
【0052】
上記と同様の方法により、n番目ステージSRnは、クロック入力端子CKを通じて外部から提供される第2クロック信号CKVBを、第1入力端子IN1を通じて第n−1ステージSR2の伝達信号CRを、第1電圧入力端子Vin1及び第2電圧入力端子Vin2に第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2を、第2入力端子IN2及び第3入力端子IN3を通じて第n+1ステージSRn+1(ダミーステージ)からそれぞれ提供される伝達信号CRを、そして第3入力端子IN3を通じて第n−1ステージSRn−1から提供されるインバータ信号IVTを受信して、n番目ゲートラインにゲート電圧出力端子OUTを通じてゲートオン電圧を出力する。また、伝達信号出力端子CRoutでは伝達信号CRを出力して、第n+1ステージSRn+1(ダミーステージ)の第1入力端子IN1及び第n−1ステージSRn−1の第2入力端子IN2に伝達し、インバータ信号出力端子IVToutではインバータ信号IVTを第n+1ステージSRn+1(ダミーステージ)に伝達する。
【0053】
図2を参照して、全体的なゲート駆動部500のステージSRの接続構造について説明した。以下では、
図3を参照して、一つのゲート線に接続されたゲート駆動部のステージSRの構造についてさらに詳細に説明する。
【0054】
図3は、本発明の実施形態によるゲート駆動部のうちの一つのステージを拡大して示した回路図である。
【0055】
本実施形態によるゲート駆動部500の各ステージSRは、入力部511、インバータ部512、伝達信号生成部513、出力部514、ノイズ除去部515、及びプルダウン部516を含む。
【0056】
先ず、入力部511は、一つのトランジスタ(第4トランジスタTr4)を含み、第4トランジスタTr4の入力端子及び制御端子は、第1入力端子IN1に共通接続(ダイオード接続)されており、出力端子は、Q接続点(以下、第1ノードともいう)と接続されている。入力部511は、第1入力端子IN1にハイ電圧が印加される場合、これをQ接続点に伝達する役割を果たす。
【0057】
インバータ部512は、4個のトランジスタ(第12トランジスタTr12、第7トランジスタTr7、第8トランジスタTr8、及び第13トランジスタTr13)を含む。先ず、第12トランジスタTr12は、ダイオード接続して制御端子が接続された一端(入力端)はクロック入力端子CKと接続されており、他端(出力端)は第7トランジスタTr7の制御端子及び第13トランジスタTr13の入力端子と接続されている。第7トランジスタTr7は、制御端子が第12トランジスタTr12の出力端と接続され、入力端子はクロック入力端子CKと接続され、出力端子はI接続点(インバータノードまたは第2ノードともいう)と接続されている。第8トランジスタTr8は、制御端子は本段ステージの伝達信号出力端子CRoutと接続され、入力端子はI接続点と接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。第13トランジスタTr13は、入力端子が第12トランジスタTr12の出力端と接続され、制御端子は本段ステージの伝達信号出力端子CRoutと接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。以上のような接続によってクロック信号にハイ信号が印加されると、第12トランジスタTr12及び第7トランジスタTr7によってそれぞれ第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13の入力端子に伝達されて、I接続点がハイ電圧を有し、伝達されたハイ信号は、本段ステージの伝達信号出力端子CRoutから伝達信号CRが出力されると、I接続点の電圧を第2低電圧Vss2に低くする。その結果、インバータ部512のI接続点は、本段ステージの伝達信号CR及びゲートオン電圧と反対の電圧レベルを有する。
【0058】
伝達信号生成部513は、一つのトランジスタ(第15トランジスタTr15)を含む。第15トランジスタTr15の入力端子にはクロック入力端子CKが接続して、第1クロック信号CKVまたは第2クロック信号CKVBが入力され、制御端子は前記入力部511の出力、即ち、Q接続点に接続され、出力端子は伝達信号CRを出力する伝達信号出力端子CRoutに接続されている。ここで、制御端子と出力端子の間には寄生キャパシタ(図示せず)が形成されていてもよい。第15トランジスタTr15の出力端子は、伝達信号出力端子CRoutだけでなく、ノイズ除去部515及びプルダウン部516と接続して、第2低電圧Vss2の印加を受ける。その結果、伝達信号CRがロー(low)のときの電圧値は、第2低電圧Vss2値を有する。
【0059】
出力部514は、一つのトランジスタ(第1トランジスタTr1)及び一つのキャパシタ(第1キャパシタC1)を含む。第1トランジスタTr1の制御端子はQ接続点に接続され、入力端子はクロック入力端子CKを通じて第1クロック信号CKVまたは第2クロック信号CKVBの入力を受け、制御端子と出力端子の間には第1キャパシタC1が形成され、出力端子はゲート電圧出力端子OUTと接続されている。また、出力端子はノイズ除去部515及びプルダウン部516と接続されており、ノイズ除去部515及びプルダウン部516を通じて第1電圧入力端子Vin1と接続されている。その結果、ゲートオフ電圧の電圧値は第1低電圧Vss1値を有する。このような出力部514は、Q接続点における電圧及び前記第1クロック信号CKVによってゲート電圧を出力する。Q接続点の電圧によって第1トランジスタTr1の制御端子と出力端子の間に電圧差が発生し、この電圧差が第1キャパシタC1に保存された後、クロック信号によってハイ電圧が印加されると、充電された電圧がブーストアップされて高い電圧がゲートオン電圧に出力される。
【0060】
ノイズ除去部515は、I接続点の出力によって制御される部分であって、5個のトランジスタ(第3トランジスタTr3、第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1、第11トランジスタTr11及び第11−1トランジスタTr11−1)を含む。第3トランジスタTr3の制御端子はI接続点と接続され、入力端子はゲート電圧出力端子OUTと接続され、出力端子は第1電圧入力端子Vin1と接続されている。第3トランジスタTr3は、I接続点の電圧によってゲート電圧出力端子OUTの電圧を第1低電圧Vss1に変更させる。第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は、入力端子と出力端子を互いに接続し、制御端子が同一の端子に接続(以下、これを略して追加接続という)された一対のトランジスタであって、制御端子は全てI接続点に接続され、一対のトランジスタの入力端子はQ接続点に接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は、I接続点の電圧によってQ接続点の電圧を第2低電圧Vss2に変更させる。一対の追加接続されたトランジスタを使用することによって、二つのトランジスタが第2低電圧とI接続点の間の電圧差を分けて印加を受けるようにして、Q接続点における漏洩電流の発生を少なくする。実施形態によって第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は、3個以上の薄膜トランジスタが追加接続された構造に形成してもよい。このとき、追加形成されるトランジスタも入力端子と出力端子を互いに接続し、制御端子が同一のI接続点に接続していてもよい。第11トランジスタTr11は、制御端子がI接続点と接続され、入力端子は伝達信号出力端子CRoutと接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。つまり、第11トランジスタTr11は、I接続点の電圧によって伝達信号出力端子CRoutの電圧を第2低電圧Vss2に変更させる。第11−1トランジスタTr11−1は、制御端子が第3入力端子IN3を通じて前段ステージのI接続点と接続され、入力端子はゲート電圧出力端子OUTと接続され、出力端子は第1電圧入力端子Vin1と接続されている。第11−1トランジスタTr11−1は、前段ステージのI接続点(インバータ出力)の電圧によってゲート電圧出力端子OUTの電圧を第1低電圧Vss1に変更させる。ここで、第3トランジスタTr3は、本段ステージのインバータ出力によってゲート電圧出力端子OUTを第1低電圧Vss1に変更させる動作を行い、第11−1トランジスタTr11−1は、前段ステージのインバータ出力によってゲート電圧出力端子OUTを第1低電圧Vss1に変更させる動作を行う。
【0061】
プルダウン部516は、次段の伝達信号CRによって制御される部分で、4個のトランジスタ(第2トランジスタTr2、第9トランジスタTr9、第9−1トランジスタTr9−1、第17トランジスタTr17)を含む。第2トランジスタTr2は、制御端子は第2入力端子IN2に接続され、入力端子はゲート電圧出力端子OUTと接続され、出力端子は第1電圧入力端子Vin1と接続されている。第2トランジスタTr2は、次段の伝達信号CRによってゲート電圧出力端子OUTの電圧を第1低電圧Vss1に変更させる。第9トランジスタTr9及び第9−1トランジスタTr9−1は、入力端子と出力端子を互いに接続し、制御端子が同一の端子に接続、即ち、追加接続された一対のトランジスタであって、制御端子は全て第2入力端子IN2に接続され、一対のトランジスタの入力端子はQ接続点に接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。以上のように、一対の追加接続されたトランジスタを使用することによって、二つのトランジスタが第2低電圧と次段のキャリー信号間の電圧(特に、低電圧での電圧)差を分けて印加を受けるようにして、Q接続点における漏洩電流の発生を少なくする。実施形態によって第9トランジスタTr9及び第9−1トランジスタTr9−1は、3個以上の薄膜トランジスタが追加接続された構造に形成してもよい。このとき、追加形成されるトランジスタも入力端子と出力端子を互いに接続し、制御端子が同一の第2入力端子IN2に接続していてもよい。第17トランジスタTr17は、制御端子は第2入力端子IN2に接続され、入力端子は伝達信号出力端子CRoutに接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2に接続されている。
【0062】
ゲート電圧及び伝達信号CRは多様な電圧値を有してもよいが、本実施形態においては、ゲートオン電圧は25V、ゲートオフ電圧及び第1低電圧Vss1は−5Vを有し、伝達信号CRのハイ(high)電圧は25V、ロー(low)電圧及び第2低電圧Vss2は−10Vを有する。以下、上述の電圧レベルに基づいて動作を説明する。
【0063】
まとめると、一つのステージSRは、Q接続点における電圧によって伝達信号生成部513、出力部514が動作して、伝達信号CRのハイ(high)電圧及びゲートオン電圧を出力し、前段及び次段の伝達信号CRによって、伝達信号CRはハイ(high)電圧から第2低電圧Vss2に低くなり、ゲートオン電圧は第1低電圧Vss1に低くなって、ゲートオフ電圧となる。
【0064】
以上のような構造は、次のような特徴を有する。
【0065】
先ず、インバータ部512の第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13は、出力端子が第2低電圧Vss2と接続されている。その結果、I接続点の低い電圧値で第2低電圧Vss2値を有するようにする。これは、インバータの出力であるI接続点の電圧を制御端子に受けるノイズ除去部515のトランジスタに影響を与える。例えば、第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は、制御端子の電圧(I接続点電圧)のうち低い電圧(第2低電圧Vss2)と、出力端子の電圧(第2低電圧Vss2)との間の電圧レベル差がなくなって、薄膜トランジスタのソースとゲート電極間の電圧差がゼロとなり、漏洩電流が発生しない。このような点は、薄膜トランジスタのチャネル層を酸化物半導体で使用した場合にも維持される。一般に、酸化物半導体を使用する薄膜トランジスタは、非晶質シリコンを使用した薄膜トランジスタに比べ、漏洩電流が10倍以上発生するため、酸化物半導体を使用する場合、漏洩電流を減らす必要がある。3種類の酸化物半導体を使用した薄膜トランジスタの特性は、
図4のグラフに示している。
【0066】
図4は、酸化物半導体を含む薄膜トランジスタの電圧による電流グラフであり、横軸はゲート電極とソース電極間の電圧差であり、縦軸はソース電極とドレイン電極間の電流(漏洩電流)を示す。
図4では、3種類の酸化物半導体を使用した薄膜トランジスタのそれぞれの特性が、実線、破線、一点鎖線で表されている。
図4に示したように、酸化物半導体を使用する薄膜トランジスタは、電圧の変化に敏感に漏洩電流が急減することを確認でき、ゲート電極とソース電極間の電圧差を減らすのが漏洩電流による問題を除去する方法である。
【0067】
図3の第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13とは異なり、Tr8及びTr13の出力端子が第1低電圧Vss1に接続された場合には、I接続点の低電圧が−5V値を有するようになるが、この場合、第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は第2低電圧Vss2の−10Vと、制御端子には−5Vの低電圧が印加されるので、5Vの電圧差が発生する。これについて
図4を参照すれば、電流がオフである場合の電流量に比べ5Vである場合の電流量が約10の4乗倍の電流が流れることが分かり、漏洩電流が相対的に大きいということが分かる。したがって、
図3に示したように、第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13の出力端子が第2低電圧Vss2に接続されることで、ノイズ除去部515に含まれているトランジスタの漏洩電流を減らすことができ、Q接続点の電流漏れによってゲートオン電圧が十分な電圧値を有しないことを防止する。
【0068】
Q接続点の電流の漏れを減らすために、
図3の実施形態においては、一対の薄膜トランジスタを追加接続(入力端子と出力端子を互いに接続し、制御端子が同一の端子に接続)した構造を有する。第9トランジスタ及び第9−1トランジスタと、第10トランジスタ及び第10−1トランジスタである。二対のトランジスタは、全てQ接続点の電圧を第2低電圧Vss2に低くする動作を行い、第9トランジスタTr9及び第9−1トランジスタTr9−1は、次段ステージの伝達信号CRによって動作し、第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は、インバータ出力(I接続点の電圧)によって動作する。これらトランジスタをこのように追加接続した構造の一対のトランジスタに形成したことは、一つのトランジスタに形成したときに比べ、漏洩電流を減らすことができるためである。つまり、制御端子に印加される電圧と第2低電圧間の電圧差によって、トランジスタがターンオフの状態でも漏洩電流が発生するが、二つのトランジスタを追加接続すれば、二つのトランジスタがこれら電圧差を分けて有するようになるので、トランジスタを通じて漏洩電流が減少するようになる。特に、酸化物半導体を使用する薄膜トランジスタの場合、
図4に示したように、電圧が増加することによって幾何級数的に漏洩電流が高くなるが、電圧が半分に落ちると、漏洩電流も半分以上減るので、漏洩電流を減らすことができる。
【0069】
また、
図3の実施形態においては、第11−1トランジスタTr11−1によって、前段ステージのI接続点の電圧(インバータ出力)を利用して本段ステージでフローティングされる区間をフローティングされないようにし、ゲート電圧を安定化させる。これにより、クロック信号が反転しながら発生するノイズに対しても、ゲート電圧を低電圧に維持させることができる。
【0070】
また、
図3の実施形態においては、第17トランジスタTr17を使用して、クロック信号の遅延によって伝達信号CRの出力端から発生するノイズ(Glitch noise)を、次のステージの伝達信号CRに基づいて除去するようにする。
【0071】
また、
図3の実施形態においては、次の次段ステージの信号(例えば、伝達信号CR)を利用して、本段ステージを安定化させるトランジスタ及び配線を削除した。実施形態によってはこのようなトランジスタを使用した本段ステージのQ接続点またはI接続点の電圧を安定化させることができるが、
図3の実施形態においては、これを削除してステージ間の配線接続を簡略化し、ステージからもトランジスタを一つ削除して、そのサイズを小さくした。その結果、表示装置で画像を表示する表示領域以外の周辺領域に含まれているゲート駆動部のサイズを小さくして、狭いベゼル(bezel)を有するようにすることができる。
【0072】
また、
図3の実施形態においては、第9トランジスタ及び第9−1トランジスタの出力端子が第2低電圧Vss2と接続するように形成している。これは、Q接続点から発生するディレイ現象によってゲート電圧が下がる時間が遅れることを改善する。つまり、さらに低い電圧でQ接続点の電圧を下げて、ゲート電圧も急速に低電圧に低くなるようにする。その結果、第2トランジスタTr2のようにゲート電圧出力端子OUTの電圧をプルダウンさせるトランジスタのサイズを小さくすることができる。このように、ステージに含まれているトランジスタのサイズが減れば、各ステージのサイズが減って、狭いベゼルを有する表示装置を実現することができる。
【0073】
以上のような特徴を有する
図3の実施形態と、以上のような特徴を有していない比較例について、
図5乃至
図7を参照して比較する。
【0074】
図5乃至
図7は、本発明の実施形態によるゲート駆動部の動作特性を示したタイミング図である。
【0075】
図5乃至
図7において、実線グラフは
図3の実施形態を示し、点線は比較例を示しており、酸化物半導体を使用した薄膜トランジスタを基準として実験した。
【0076】
図5の最初のグラフによれば、比較例と
図3の実施形態はブーストアップされた電圧値は同一であるが、
図3の実施形態は、電流漏れが少なくて電圧値が維持されるのに対し、比較例は、Q接続点(Q−node)における電流漏れによって電圧値が下がることを確認できる。
【0077】
また、ゲートオン電圧がゲートオフ電圧に低くなるときにも、
図3の実施形態は、若干の遅延と共に正確に下がるが、比較例は、一定のレベルの電圧を1H程度の期間の間に維持することを確認できる。これは、Q接続点における電圧降下が速かに起こるようにするためである。
【0078】
図5の2番目グラフにおいては、伝達信号CRの出力において、比較例ではクロック信号によってノイズ(Glitch noise;拡大された図面部分を参照)が発生することが分かる。しかし、
図3の実施形態ではノイズが除去されたことを確認できる。
【0079】
図5の3番目グラフにおいては、ゲートオン電圧の出力を示したもので、比較例と
図3の実施形態は差がないことが分かる。つまり、比較例でもゲートオン電圧は適切に生成しているが、Q接続点の電圧と伝達信号CRで問題があって、長時間使用するとき誤動作の問題が発生するおそれが大きい。
【0080】
図5の実施形態は、60Hzの駆動で
図3の実施形態と比較例を実験した結果であるが、
図6においては、それよりも低周波数である30Hz及び10Hzでの結果値を示している。低周波数の駆動になるほど、比較例では問題点がさらに明確に現れるのが見られるが、
図3の実施形態では60Hzと差がない動作を行うことが分かる。その結果、消費電力を減らすために、停止画像を表示するとき駆動周波数を低くしても、
図3の実施形態ではゲート駆動部の出力による表示品質の低下が発生しないことが分かる。
【0081】
一方、
図7においては、ノイズ(Glitch noise)による問題点を明確に観察するために、クロック信号CKVに負荷(load)を大きく印加して、それによる結果波形をみた。
【0082】
先ず、一般的な負荷のサイズに6倍をした場合(
図7の上部グラフ)をみると、
図7の2番目グラフに示したように、
図3の実施形態及び比較例のいずれも
図5及び
図6に比べてノイズ(Glitch noise)が大きく発生しているが、Q接続点の電圧及びゲート出力は、
図3の実施形態では依然として問題ないことを確認できる。しかし、比較例ではQ接続点の電圧が低電圧に下がるのに遅延が発生することが分かる。
【0083】
また、負荷を10倍した場合(
図7の下部グラフ)においては、
図3の実施形態及び比較例のいずれもノイズ(Glitch noise)が大きく発生しているが、
図3の実施形態はQ接続点の電圧やゲート出力は問題がなく、比較例はQ接続点の電圧が低電圧に下がるのに遅延が発生している。
【0084】
以上のように、
図3の実施形態においては、ゲート電圧、Q接続点の電圧、及び伝達信号において良好な特性を提供することを確認できる。
【0085】
図3の実施形態について変形された実施形態も良好な出力を有する。以下、これについて説明する。
【0086】
先ず、
図8乃至
図12について説明する。
【0087】
図8乃至
図12は、本発明の他の実施形態によるゲート駆動部のうちの一つのステージを拡大して示した回路図である。
【0088】
図8の実施形態は、
図3と異なり、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続している点で差がある。
【0089】
その結果、追加接続された一対のトランジスタTr9、Tr9−1により、次段ステージの伝達信号CRによって本段ステージのQ接続点の電圧が第1低電圧Vss1に低くなる。
【0090】
図8の実施形態によって第9トランジスタTr9及び第9−1トランジスタTr9−1により、Q接続点の電圧がさらに低い第2低電圧Vss2に下がらないようにして、Q接続点の電圧が低電圧に下がるのに遅延が発生しうるが、プルダウン部516の他のトランジスタによって動作には問題がない。また、
図5乃至
図7から見られるように、比較例もゲートオン電圧の出力には変化がなくて、本実施形態を使用するのに問題はない。
【0091】
一方、
図9の実施形態は、
図3の実施形態と比較するとき、第17トランジスタTr17が除去されている。
【0092】
図3の実施形態において、第17トランジスタTr17は、次段ステージの伝達信号CRによって本段の伝達信号CRを第2低電圧Vss2に低くする役割を果たす。しかし、インバータの出力(I接続点の電圧)によって伝達信号CRを第2低電圧に下げる第11トランジスタTr11が存在するので、第17トランジスタTr17がない
図9の実施形態も使用可能である。
【0093】
図9の実施形態は、
図8の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続されている変形も可能である。
【0094】
一方、
図10の実施形態は、
図3の実施形態と比較するとき、第11−1薄膜トランジスタTr11−1が除去されている。
【0095】
第11−1トランジスタTr11−1は、前段ステージのI接続点(インバータ出力)の電圧によってゲート電圧出力端子OUTの電圧を第1低電圧Vss1に変更させる動作を行うトランジスタであって、反転クロックによって生成された前段ステージのインバータ出力によってゲート電圧を低電圧に下げる。しかし、ゲート電圧出力を第1低電圧に下げるトランジスタは、第2トランジスタTr2及び第3トランジスタTr3も存在するので、削除されても動作するのに問題がない。
【0096】
図10の実施形態は、
図8の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続しているか、または
図9の実施形態と同様に、第17トランジスタTr17が除去される変形も可能である。
【0097】
一方、
図11の実施形態は、
図3の実施形態と比較するとき、第9−1トランジスタTr9−1及び第10−1トランジスタTr10−1が除去されている。
【0098】
つまり、
図3の実施形態において追加接続されている一対のトランジスタを、一つのトランジスタに変更した構造である。
図3においては、漏洩電流を減らすために一対のトランジスタTr9、Tr9−1、Tr10、Tr10−1を使用しているが、必ず一対のトランジスタを要することではなく、一つのトランジスタのチャネルの幅及び長さを利用して、薄膜トランジスタを大きく形成してもよい。一方、実施形態によっては第9−1薄膜トランジスタ及び第10−1薄膜トランジスタのうちの一つだけを除去してもよい。
【0099】
図11の実施形態は、
図8の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続しているか、または
図9の実施形態と同様に、第17トランジスタTr17が除去されているか、または
図10の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1または第10−1トランジスタTr10−1が除去されている変形も可能である。
【0100】
一方、
図12の実施形態は、
図3の実施形態と比較するとき、インバータ部512が第2低電圧Vss2と接続されておらず、第1低電圧Vss1と接続されている。つまり、インバータ部512の第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13の出力端子が第2電圧入力端子Vin2と接続されている。
図12の実施形態においては、I接続点の電圧を第1低電圧Vss1に低くするようになるので、I接続点の電圧を制御端子に印加を受けるトランジスタが影響を受けることがある。つまり、第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1のトランジスタの制御端子及び出力端子間の電圧差が発生し、漏洩電流が発生しうるが、酸化物半導体を使用しない場合には漏洩電流の問題がなく、酸化物半導体を使用しても薄膜トランジスタの漏洩電流特性を良好に形成することもでき、
図3に示したように追加接続された一対のトランジスタを通じて漏洩電流を減らすことも可能である。したがって、
図12の実施形態も使用するのに問題はない。
【0101】
図12の実施形態は、
図8の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続しているか、または
図9の実施形態と同様に、第17トランジスタTr17が除去されているか、または
図10の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1または第10−1トランジスタTr10−1が除去されているか、または
図11の実施形態と同様に、第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13の出力端子が第2電圧入力端子Vin2と接続されている変形も可能である。
【0102】
以上のような
図8乃至
図12の実施形態とは異なり、各ステージでは次の次段ステージの伝達信号CRを受信して動作するトランジスタを含んでもよい。
【0104】
図13は、他の実施形態によるゲート駆動部及びゲート線を具体化して示したブロック図であり、
図14は、
図13の実施形態によるゲート駆動部のうちの一つのステージを拡大して示した回路図である。
【0105】
図13に示したゲート駆動部500を参照すると、次の通りである。
【0106】
ゲート駆動部500は、互いに従属的に接続された多数のステージSR1、SR2、SR3、SR4を含む。各ステージSR1、SR2、SR3、SR4、...は、四つの入力端子IN1、IN2、IN3、IN4、一つのクロック入力端子CK、二つの電圧入力端子Vin1、Vin2、ゲート電圧を出力するゲート電圧出力端子OUT、伝達信号出力端子CRout、及びインバータ信号出力端子IVToutを含む。
【0107】
先ず、第1入力端子IN1は、前段ステージの伝達信号出力端子CRoutに接続されて、以前段の伝達信号CRが印加されるが、最初のステージは、前段ステージが存在しないので、第1入力端子IN1にスキャン開示信号STVPが印加される。
【0108】
第2入力端子IN2は、次段ステージの伝達信号出力端子CRoutに接続されて、次段の伝達信号CRが印加される。また、第4入力端子IN4は、次の次段ステージの伝達信号出力端子CRoutに接続されて、次の次段伝達信号CRが印加される。
【0109】
n−1番目ゲート線Gn−1に接続されたステージSRn−1(図示せず)、及びn番目ゲート線Gnに接続されたステージSRn(図示せず)は、次段及び次の次段ステージから伝達信号CRを受信するために、ダミーステージを二つ形成してもよい。ダミーステージSRn+1、SRn+2(図示せず)は、他のステージSR1−SRnとは異なり、ダミーゲート電圧を生成して出力するステージである。つまり、他のステージSR1−SRnから出力されたゲート電圧はゲート線を通じて伝達されながら、画素にデータ電圧が印加されて画像を表示する。しかし、ダミーステージSRn+1、SRn+2はゲート線に接続していなくてもよく、ゲート線と接続しても画像を表示しないダミー画素(図示せず)のゲート線と接続していて、画像を表示するのに使用されなくてもよい。
【0110】
一方、第3入力端子IN3は、前段ステージのインバータ信号出力端子IVToutに接続して、以前段のインバータ信号IVTが印加されるが、最初のステージは前段ステージが存在しないので、これに対応する信号を別途に生成して入力させるか、またはダミーステージSRn+1、SRn+2(図示せず)でこれとタイミングが適した信号を生成するようにして、これを受信してもよい。ここで、最初のステージの第3入力端子IN3に入力される信号は、第1ゲート線G1にゲートオン電圧が印加される1H区間では第2低電圧Vss2が印加され、その後1H区間では伝達信号CRの高電圧(実施形態によって多様でありうるが、本実施形態では20Vの電圧が印加される必要がある。以上のように、当該ステージにおいてゲートオン電圧が印加される1H区間では、低電圧Vss1またはVss2が印加されるタイミングを有する信号を、以下、出力制御信号OCSといい、出力制御信号OCSは、実施形態によってゲートオン電圧が印加された後の1Hで高電圧(伝達信号CRの高電圧またはゲートオン電圧)が印加されるタイミングを有してもよい。以下では、出力制御信号OCSの特性を有する信号として前段ステージまたは本段ステージのインバータ信号IVTを使用する実施形態を中心に説明されている。しかし、必ずこれに限定されることではない。
【0111】
クロック入力端子CKにはクロック信号が印加されるが、多数のステージのうち奇数番目ステージのクロック入力端子CKには第1クロック信号CKVが印加され、偶数番目ステージのクロック入力端子CKには第2クロック信号CKVBが印加される。第1クロック信号CKVと第2クロック信号CKVBは互いに位相が反対になるクロック信号である。
【0112】
第1電圧入力端子Vin1にはゲートオフ電圧に該当する第1低電圧Vss1が印加され、第2電圧入力端子Vin2には第1低電圧Vss1より低い第2低電圧Vss2が印加される。第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2の電圧値は、実施形態によって多様でありうるが、本実施形態においては、第1低電圧Vss1値として−6Vを使用し、第2低電圧Vss2値として−10Vを使用する。つまり、第2低電圧Vss2が第1低電圧Vss1よりもさらに低い電圧を使用する。
【0113】
ゲート駆動部500の動作について説明すると、次の通りである。
【0114】
先ず、第1ステージSR1は、クロック入力端子CKを通じて外部から提供される第1クロック信号CKVを、第1入力端子IN1を通じてスキャン開示信号STVPを、第1電圧入力端子Vin1及び第2電圧入力端子Vin2に第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2を、第2入力端子IN2及び第4入力端子IN4を通じて第2ステージSR2及び第3ステージSR3からそれぞれ提供される伝達信号CRを、そして第3入力端子IN3を通じて出力制御信号を受信して、第1ゲートラインにゲート電圧出力端子OUTを通じてゲートオン電圧を出力する。また、伝達信号出力端子CRoutでは伝達信号CRを出力して第2ステージSR2の第1入力端子IN1に伝達し、インバータ信号出力端子IVToutではインバータ信号IVTを第2ステージSR2の第3入力端子IN3に伝達する。
【0115】
第2ステージSR2は、クロック入力端子CKを通じて外部から提供される第2クロック信号CKVBを、第1入力端子IN1を通じて第1ステージSR1の伝達信号CRを、第1電圧入力端子Vin1及び第2電圧入力端子Vin2に第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2を、第2入力端子IN2及び第4入力端子IN4を通じて第3ステージSR3及び第4ステージSR4からそれぞれ提供される伝達信号CRを、そして第3入力端子IN3を通じて第1ステージSR1から提供されるインバータ信号IVTを受信して、第2ゲートラインにゲート電圧出力端子OUTを通じてゲートオン電圧を出力する。また、伝達信号出力端子CRoutでは伝達信号CRを出力して、第3ステージSR3の第1入力端子IN1及び第1ステージSR1の第2入力端子IN2に伝達し、インバータ信号出力端子IVToutではインバータ信号IVTを第3ステージSR3の第3入力端子IN3に伝達する。
【0116】
一方、第3ステージSR3は、クロック入力端子CKを通じて外部から提供される第1クロック信号CKVを、第1入力端子IN1を通じて第2ステージSR2の伝達信号CRを、第1電圧入力端子Vin1及び第2電圧入力端子Vin2に第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2を、第2入力端子IN2及び第4入力端子IN4を通じて第4ステージSR4及び第5ステージSR5からそれぞれ提供される伝達信号CRを、そして第3入力端子IN3を通じて第2ステージSR2から提供されるインバータ信号IVTを受信して、第3ゲートラインにゲート電圧出力端子OUTを通じてゲートオン電圧を出力する。また、伝達信号出力端子CRoutでは伝達信号CRを出力して、第4ステージSR4の第1入力端子IN1、第1ステージSR1の第4入力端子IN4、及び第2ステージSR2の第2入力端子IN2に伝達し、インバータ信号出力端子IVToutではインバータ信号IVTを第4ステージSR4の第3入力端子IN3に伝達する。
【0117】
上記と同様の方法により、n番目ステージSRnはクロック入力端子CKを通じて外部から提供される第2クロック信号CKVBを、第1入力端子IN1を通じて第n−1ステージSR2の伝達信号CRを、第1電圧入力端子Vin1及び第2電圧入力端子Vin2に第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2を、第2入力端子IN2及び第4入力端子IN4を通じて第n+1ステージSRn+1(ダミーステージ)及び第n+2ステージSRn+2(ダミーステージ)からそれぞれ提供される伝達信号CRを、そして第3入力端子IN3を通じて第n−1ステージSRn−1から提供されるインバータ信号IVTを受信して、n番目ゲートラインにゲート電圧出力端子OUTを通じてゲートオン電圧を出力する。また、伝達信号出力端子CRoutでは伝達信号CRを出力して、第n+1ステージSRn+1(ダミーステージ)の第1入力端子IN1、第n−2ステージSRn−2の第4入力端子IN4、及び第n−1ステージSRn−1の第2入力端子IN2に伝達し、インバータ信号出力端子IVToutではインバータ信号IVTを第n+1ステージSRn+1(ダミーステージ)に伝達する。
【0118】
以上のように、
図13を参照して、全体的なゲート駆動部500のステージSRの接続構造について説明した。以下では、
図14を参照して、一つのゲート線に接続されたゲート駆動部のステージSRの構造について、さらに詳細に説明する。
【0119】
図14の実施形態は、
図3とは異なり、第6トランジスタTr6が追加形成されている。第6トランジスタTr6は第4入力端子IN4と制御端子が接続され、入力端子はQ接続点と接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されて第2低電圧Vss2に接続されている。その結果、二番目の次段ステージの伝達信号CRによって、Q接続点の電圧を第2低電圧Vss2に低くする動作を行う。第6トランジスタTr6はプルダウン部516に含まれる。
【0120】
図14の実施形態によるゲート駆動部500の各ステージSRは、入力部511、インバータ部512、伝達信号生成部513、出力部514、ノイズ除去部515、及びプルダウン部516を含む。
【0121】
先ず、入力部511は、一つのトランジスタ(第4トランジスタTr4)を含み、第4トランジスタTr4の入力端子及び制御端子は第1入力端子IN1に共通接続(ダイオード接続)され、出力端子はQ接続点(以下、第1ノードとも言う)と接続されている。入力部511は、第1入力端子IN1にハイ電圧が印加される場合、これをQ接続点に伝達する役割を果たす。
【0122】
インバータ部512は、4個のトランジスタ(第12トランジスタTr12、第7トランジスタTr7、第8トランジスタTr8、及び第13トランジスタTr13)を含む。先ず、第12トランジスタTr12は、ダイオード接続して制御端子が接続された一端(入力端)はクロック入力端子CKと接続されており、他端(出力端)は第7トランジスタTr7の制御端子及び第13トランジスタTr13の入力端子と接続されている。第7トランジスタTr7は、制御端子が第12トランジスタTr12の出力端と接続され、入力端子はクロック入力端子CKと接続され、出力端子はI接続点(インバータノードまたは第2ノードともいう)と接続されている。第8トランジスタTr8は、制御端子は本段ステージの伝達信号出力端子CRoutと接続され、入力端子はI接続点と接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。第13トランジスタTr13は、入力端子が第12トランジスタTr12の出力端と接続され、制御端子は本段ステージの伝達信号出力端子CRoutと接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。以上のような接続により、クロック信号にハイ信号が印加されると、第12トランジスタTr12及び第7トランジスタTr7によってそれぞれ第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13の入力端子に伝達されて、I接続点がハイ電圧を有し、伝達されたハイ信号は、本段ステージの伝達信号出力端子CRoutから伝達信号CRが出力されると、I接続点の電圧を第2低電圧Vss2に低くする。その結果、インバータ部512のI接続点は、本段ステージの伝達信号CR及びゲートオン電圧と反対の電圧レベルを有する。
【0123】
伝達信号生成部513は、一つのトランジスタ(第15トランジスタTr15)を含む。第15トランジスタTr15の入力端子にはクロック入力端子CKが接続されて、第1クロック信号CKVまたは第2クロック信号CKVBが入力され、制御端子は前記入力部511の出力、即ち、Q接続点に接続され、出力端子は伝達信号CRを出力する伝達信号出力端子CRoutと接続されている。ここで、制御端子と出力端子の間には寄生キャパシタ(図示せず)が形成されていてもよい。第15トランジスタTr15の出力端子は伝達信号出力端子CRoutだけでなく、ノイズ除去部515及びプルダウン部516と接続されて、第2低電圧Vss2が印加される。その結果、伝達信号CRがロー(low)のときの電圧値は、第2低電圧Vss2値を有する。
【0124】
出力部514は、一つのトランジスタ(第1トランジスタTr1)及び一つのキャパシタ(第1キャパシタC1)を含む。第1トランジスタTr1の制御端子はQ接続点に接続され、入力端子はクロック入力端子CKを通じて第1クロック信号CKVまたは第2クロック信号CKVBを受信し、制御端子と出力端子の間には第1キャパシタC1が形成され、出力端子はゲート電圧出力端子OUTと接続されている。また、出力端子はノイズ除去部515及びプルダウン部516と接続され、ノイズ除去部515及びプルダウン部516を通じて第1電圧入力端子Vin1と接続されている。その結果、ゲートオフ電圧の電圧値は第1低電圧Vss1値を有する。このような出力部514は、Q接続点における電圧及び前記第1クロック信号CKVによってゲート電圧を出力する。Q接続点の電圧によって第1トランジスタTr1の制御端子と出力端子の間に電圧差が発生し、この電圧差が第1キャパシタC1に保存された後、クロック信号によってハイ電圧が印加されると、充電された電圧がブーストアップされながら高い電圧がゲートオン電圧に出力される。
【0125】
ノイズ除去部515は、I接続点の出力によって制御される部分であって、5個のトランジスタ(第3トランジスタTr3、第10トランジスタTr10、第10−1トランジスタTr10−1、第11トランジスタTr11、及び第11−1トランジスタTr11−1)を含む。第3トランジスタTr3の制御端子はI接続点と接続され、入力端子はゲート電圧出力端子OUTと接続され、出力端子は第1電圧入力端子Vin1と接続されている。第3トランジスタTr3は、I接続点の電圧によってゲート電圧出力端子OUTの電圧を第1低電圧Vss1に変更させる。第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は、入力端子と出力端子を互いに接続して、制御端子が同一の端子に接続(以下、これを略して追加接続という)された一対のトランジスタであって、制御端子は全てI接続点に接続され、一対のトランジスタの入力端子はQ接続点に接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は、I接続点の電圧によってQ接続点の電圧を第2低電圧Vss2に変更させる。一対の追加接続されたトランジスタを使用することにより、二つのトランジスタが第2低電圧とI接続点の間の電圧差を分けて印加を受けるようにして、Q接続点における漏洩電流の発生を少なくする。第11トランジスタTr11は、制御端子がI接続点と接続され、入力端子は伝達信号出力端子CRoutと接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。つまり、第11トランジスタTr11は、I接続点の電圧によって伝達信号出力端子CRoutの電圧を第2低電圧Vss2に変更させる。第11−1トランジスタTr11−1は、制御端子が第3入力端子IN3を通じて前段ステージのI接続点と接続され、入力端子はゲート電圧出力端子OUTと接続され、出力端子は第1電圧入力端子Vin1と接続されている。第11−1トランジスタTr11−1は、前段ステージのI接続点(インバータ出力)の電圧によってゲート電圧出力端子OUTの電圧を第1低電圧Vss1に変更させる。ここで、第3トランジスタTr3は、本段ステージのインバータ出力でゲート電圧出力端子OUTを第1低電圧Vss1に変更させ、第11−1トランジスタTr11−1は、前段ステージのインバータ出力でゲート電圧出力端子OUTを第1低電圧Vss1に変更させる。
【0126】
プルダウン部516は、次段の伝達信号CRによって制御される部分であって、5個のトランジスタ(第2トランジスタTr2、第6トランジスタTr6、第9トランジスタTr9、第9−1トランジスタTr9−1、及び第17トランジスタTr17)を含む。第2トランジスタTr2は、制御端子は第2入力端子IN2に接続され、入力端子はゲート電圧出力端子OUTと接続され、出力端子は第1電圧入力端子Vin1と接続されている。第2トランジスタTr2は、次段の伝達信号CRによってゲート電圧出力端子OUTの電圧を第1低電圧Vss1に変更させる。第6トランジスタTr6は、
図3実施形態と差がある部分であって、制御端子は第4入力端子IN4と接続され、入力端子はQ接続点と接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されて第2低電圧Vss2に接続されている。その結果、次の次段ステージの伝達信号CRによって、Q接続点の電圧を第2低電圧Vss2に低くする動作を行う。第9トランジスタTr9及び第9−1トランジスタTr9−1は、入力端子と出力端子を互いに接続し、制御端子が同一の端子に接続、即ち、追加接続された一対のトランジスタであって、制御端子は全て第2入力端子IN2に接続され、一対のトランジスタの入力端子はQ接続点に接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。以上のように、一対の追加接続されたトランジスタを使用することにより、二つのトランジスタが第2低電圧と次段のキャリー信号間の電圧(特に、低電圧における電圧)差を分けて印加を受けるようにして、Q接続点における漏洩電流の発生を少なくする。第17トランジスタTr17は、制御端子は第2入力端子IN2に接続され、入力端子は伝達信号出力端子CRoutと接続され、出力端子は第2電圧入力端子Vin2と接続されている。
【0127】
まとめると、一つのステージSRは、Q接続点における電圧によって伝達信号生成部513、出力部514が動作して、伝達信号CRのハイ(high)電圧及びゲートオン電圧を出力し、前段及び次段の伝達信号CRによって、伝達信号CRはハイ(high)電圧から第2低電圧Vss2に低くなり、ゲートオン電圧は第1低電圧Vss1に低くなって、ゲートオフ電圧となる。
【0128】
以上のような構造は、次のような特徴を有する。
【0129】
先ず、インバータ部512の第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13は、出力端子が第2低電圧Vss2と接続されている。その結果、I接続点の低い電圧値で第2低電圧Vss2値を有するようにする。これは、インバータの出力のI接続点の電圧を制御端子に受けるノイズ除去部515のトランジスタに影響を与える。例えば、第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は、制御端子の電圧(I接続点の電圧)のうちの低い電圧(第2低電圧Vss2)と出力端子の電圧(第2低電圧Vss2)間の電圧レベル差がなくなって、薄膜トランジスタのソースとゲート電極間の電圧差がゼロになり、漏洩電流が発生しない。このような点は、薄膜トランジスタのチャネル層を酸化物半導体で使用した場合にも維持される。一般に、酸化物半導体を使用する薄膜トランジスタは、非晶質シリコンを使用した薄膜トランジスタに比べ、漏洩電流が10倍以上発生するので、酸化物半導体を使用する場合、漏洩電流を減らす必要がある。酸化物半導体を使用した薄膜トランジスタの特性は、前述の
図4のグラフに示している。
【0130】
図4は、酸化物半導体を含む薄膜トランジスタの電圧による電流グラフであり、横軸はゲート電極とソース電極の間の電圧差であり、縦軸はソース電極とドレイン電極の間の電流(漏洩電流)を示す。
【0131】
図4に示したように、酸化物半導体を使用する薄膜トランジスタは、電圧の変化に敏感に漏洩電流が急減することを確認でき、ゲート電極とソース電極間の電圧差を減らすのがが、漏洩電流による問題を除去する方法である。
【0132】
図3(
図14)の第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13とは異なり、Tr8及びTr13の出力端子が第1低電圧Vss1に接続された場合には、I接続点の低電圧が−5V値を有するようになるが、この場合、第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1は、第2低電圧Vss2である−10Vと、制御端子には−5Vの低電圧が印加されるので、5Vの電圧差が発生する。これについて
図4を参照すれば、約10の4乗倍の電流が流れることが分かり、漏洩電流が相対的に大きいということが分かる。したがって、
図3(
図14)と同様に、第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13の出力端子が第2低電圧Vss2に接続されて、ノイズ除去部515に含まれているトランジスタの漏洩電流を減らすことができ、Q接続点の電流漏れによってゲートオン電圧が十分な電圧値を有しないことを防止する。
【0133】
Q接続点の電流漏れを減らすために、
図3(
図14)の実施形態においては、一対の薄膜トランジスタを追加接続(入力端子と出力端子を互いに接続し、制御端子が同一の端子に接続)した構造を有する。第9トランジスタ及び第9−1トランジスタと、第10トランジスタ及び第10−1トランジスタである。二対のトランジスタは、全てQ接続点の電圧を第2低電圧Vss2に低くする動作を行い、第9トランジスタTr9及び第9−1トランジスタTr9−1は次段ステージの伝達信号CRによって動作し、第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1はインバータ出力(I接続点の電圧)によって動作する。これらトランジスタをこのように追加接続した構造の一対のトランジスタに形成したことは、一つのトランジスタに形成したときに比べ、漏洩電流を減らすことができるためである。つまり、制御端子に印加される電圧と第2低電圧の間の電圧差によって、トランジスタがターンオフの状態でも漏洩電流が発生するが、二つのトランジスタを追加接続すれば、二つのトランジスタがこれら電圧差を分けて有するようになるので、トランジスタを通じて漏洩電流が減少する。特に、酸化物半導体を使用する薄膜トランジスタの場合、
図4に示したように、電圧が増加することによって幾何級数的に漏洩電流が高くなるが、電圧が半分に下がると、漏洩電流も半分以上減るので、漏洩電流を減らすことができる。
【0134】
また、
図3(
図14)の実施形態においては、第11−1トランジスタTr11−1によって前段ステージのI接続点の電圧(インバータ出力)を利用して、本段ステージでフローティングされる区間をフローティングされないようにして、ゲート電圧を安定化させる。これによってクロック信号が反転しながら発生するノイズに対しても、ゲート電圧を低電圧に維持させることができる。
【0135】
また、
図3(
図14)の実施形態においては、第17トランジスタTr17を使用して、クロック信号の遅延によって伝達信号CRの出力端で発生するノイズ(Glitch noise)を、次のステージの伝達信号CRに基づいて除去するようにする。
【0136】
また、
図3(
図14)の実施形態においては、次の次段ステージの信号(例えば、伝達信号CR)を利用して、本段ステージを安定化させるトランジスタ及び配線を削除した。実施形態によっては、このようなトランジスタを使用して本段ステージのQ接続点またはI接続点の電圧を安定化させることができるが、
図3(
図14)の実施形態ではこれを削除してステージ間の配線接続を簡略化しており、ステージからもトランジスタを一つ削除して、そのサイズを小さくした。その結果、表示装置で画像を表示する表示領域以外の周辺領域に含まれているゲート駆動部のサイズを小さくして、狭いベゼル(bezel)を有するようにすることができる。
【0137】
また、
図3(
図14)の実施形態においては、第9トランジスタ及び第9−1トランジスタの出力端子が第2低電圧Vss2と接続するように形成している。これは、Q接続点から発生するディレイ現象によって、ゲート電圧が下がる時間が遅れることを改善する。つまり、さらに低い電圧でQ接続点の電圧を下げて、ゲート電圧も速やかに低電圧に低くなるようにする。その結果、第2トランジスタTr2のようにゲート電圧出力端子OUTの電圧をプルダウンさせるトランジスタのサイズを小さくすることができる。このように、ステージに含まれているトランジスタのサイズが減少すれと、各ステージのサイズが減少して、狭いベゼルを有する表示装置を実現することができる。
【0138】
それだけでなく、第6トランジスタTr6により、次の次段の伝達信号CRによってQ接続点の電圧が第2低電圧Vss2に低くなるので、Q接続点の電圧がさらに安定化される。但し、
図2及び
図13を比較してみれば分かるように、次の次段ステージで信号が入力されなければならないので、ゲート駆動部500が形成される領域が広くなる面がある。
【0139】
以上のような特徴を有する
図14の実施形態においても、
図5乃至
図7に示している
図3の実施形態の結果値と類似する結果値を有することと類推される。その理由は、差異点が第6トランジスタTr6以外にはなく、第6トランジスタTr6はプルダウン部516を補完する役割を果たすためである。
【0140】
以下、
図14の変形された実施形態について、
図15乃至
図19を参照して説明する。
【0141】
図15乃至
図19は、本発明の他の実施形態によるゲート駆動部のうちの一つのステージを拡大して示した回路図である。
【0142】
図15の実施形態は、
図14とは異なり、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続している点で差がある。
【0143】
その結果、追加接続された一対のトランジスタTr9、Tr9−1により、次段ステージの伝達信号CRによって本段ステージのQ接続点の電圧が第1低電圧Vss1に低くなる。
【0144】
図15の実施形態により、第9トランジスタTr9及び第9−1トランジスタTr9−1によってQ接続点の電圧がさらに低い第2低電圧Vss2に下がらないようにして、Q接続点の電圧が低電圧に下がるのに遅延が発生しうるが、プルダウン部516の他のトランジスタによって動作には問題がない。また、
図5乃至
図7から見られるように、比較例もゲートオン電圧の出力には変化がなく、本実施形態を使用するのに問題はない。
【0145】
一方、
図16の実施形態は、
図14の実施形態と比較するとき、第17トランジスタTr17が除去されている。
【0146】
図14の実施形態において、第17トランジスタTr17は、次段ステージの伝達信号CRによって本段の伝達信号CRを第2低電圧Vss2に低くする役割を果たす。しかし、インバータの出力(I接続点の電圧)によって伝達信号CRを第2低電圧に下げる第11トランジスタTr11が存在するので、第17トランジスタTr17がない
図16の実施形態も使用可能である。
【0147】
図16の実施形態は、
図15の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続されている変形も可能である。
【0148】
一方、
図17の実施形態は、
図14の実施形態と比較するとき、第11−1薄膜トランジスタTr11−1が除去されている。
【0149】
第11−1トランジスタTr11−1は、前段ステージのI接続点(インバータ出力)の電圧によって、ゲート電圧出力端子OUTの電圧を第1低電圧Vss1に変更させる動作を行うトランジスタであって、反転クロックによって生成された前段ステージのインバータ出力でゲート電圧を低電圧に下げる。しかし、ゲート電圧出力を第1低電圧に下げるトランジスタは第2トランジスタTr2及び第3トランジスタTr3も存在するので、削除されても動作するのに問題がない。
【0150】
図17の実施形態は、
図15の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続されているか、または
図16の実施形態と同様に、第17トランジスタTr17が除去される変形も可能である。
【0151】
一方、
図18の実施形態は、
図14の実施形態と比較するとき、第9−1トランジスタTr9−1及び第10−1トランジスタTr10−1が除去されている。
【0152】
つまり、
図14の実施形態において追加接続されている一対のトランジスタを一つのトランジスタに変更した構造である。
図14においては、漏洩電流を減らすために一対のトランジスタTr9、Tr9−1、Tr10、Tr10−1を使用したが、必ず一対のトランジスタを要することではなく、一つのトランジスタのチャネルの幅及び長さを利用して、薄膜トランジスタを大きく形成することもできる。一方、実施形態によっては第9−1薄膜トランジスタ及び第10−1薄膜トランジスタのうちの一つだけが除去されてもよい。
【0153】
図18の実施形態は、
図15の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続されているか、または
図16の実施形態と同様に、第17トランジスタTr17が除去されているか、または
図17の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1または第10−1トランジスタTr10−1が除去されている変形も可能である。
【0154】
一方、
図19の実施形態は、
図14の実施形態と比較するとき、インバータ部512が第2低電圧Vss2と接続されておらず、第1低電圧Vss1と接続されている。つまり、インバータ部512の第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13の出力端子が第2電圧入力端子Vin2と接続されている。
図19の実施形態においては、I接続点の電圧を第1低電圧Vss1に低くするようになるので、I接続点の電圧を制御端子に印加を受けるトランジスタが影響を受けることがある。つまり、第10トランジスタTr10及び第10−1トランジスタTr10−1のトランジスタの制御端子及び出力端子間の電圧差が発生し、漏洩電流が発生しうるが、酸化物半導体を使用しない場合には、漏洩電流の問題がなく、酸化物半導体を使用しても薄膜トランジスタの漏洩電流特性を良好に形成することもでき、
図14に示したように、追加接続された一対のトランジスタを通じて漏洩電流を減らすことも可能である。したがって、
図19の実施形態も使用するのに問題はない。
【0155】
図19の実施形態は、
図15の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1の出力端子が第1電圧入力端子Vin1と接続しているか、または
図16の実施形態と同様に、第17トランジスタTr17が除去されているか、または
図17の実施形態と同様に、第9−1トランジスタTr9−1または第10−1トランジスタTr10−1が除去されているか、または
図18の実施形態と同様に、第8トランジスタTr8及び第13トランジスタTr13の出力端子が第2電圧入力端子Vin2と接続されている変形も可能である。
【0156】
以上のトランジスタは、酸化物半導体を含むか、または非晶質シリコンまたは多結晶シリコンを含んでもよい。
【0157】
一方、以上では2個のクロック信号CKV、CKVBを使用する表示装置を基準に説明した。
【0158】
しかし、4個のクロック信号(即ち、二対のクロック信号)を使用してもよく、それ以上の個数のクロック信号を使用する表示装置を形成することも可能である。
【0159】
以下、
図20及び
図21を参照して、4個のクロック信号(つまり、二対のクロック信号)を使用する表示装置について説明する。
【0160】
図20は、本発明の他の実施形態による表示装置の平面図であり、
図21は、
図20の実施形態で使用されたクロック信号の波形図である。
【0161】
図20を参照すれば、本発明の実施形態による表示パネル100は、画像を表示する表示領域300、及び表示領域300のゲート線にゲート電圧を印加する一対のゲート駆動部500−1、500−2を含む。一方、表示領域300のデータ線は、表示パネル100に付着されたフレキシブルプリント回路膜(FPC;flexible printed circuit film)450などのフィルムの上に形成されたデータドライバIC460からデータ電圧が印加される。一方、ゲート駆動部500−1、500−2及びデータドライバIC460は信号制御部600によって制御される。フレキシブルプリント回路膜450などのフィルムの外側には、プリント回路基板(PCB;printed circuit board)が形成されて、信号制御部600からの信号をデータドライバIC460及びゲート駆動部500−1、500−2に伝達する。信号制御部600から提供される信号として、第1クロック信号CKV1、第2クロック信号CKVB1、第3クロック信号CKV2、第4クロック信号CKVB2、スキャン開示信号STVP1、STVP2などの信号と、特定レベルの低電圧Vss1、Vss2を提供する信号を含む。実施形態によっては低電圧を一種類だけ有してもよい。ここで、第1クロック信号CKV1、第2クロック信号CKVB1、第3クロック信号CKV2、及び第4クロック信号CKVB2の関係は、
図21に示したような位相差を有してもよい。
【0162】
表示領域300は、液晶表示パネルである場合には、薄膜トランジスタTrsw、液晶キャパシタClc、及び維持キャパシタCstなどを含み、
図20では液晶表示パネルを例として挙げて示している。一方、有機発光表示パネルでは薄膜トランジスタ、及び有機発光ダイオードを含み、その他の表示パネルでは薄膜トランジスタなどの素子を含んで表示領域300を形成する。本発明は、液晶表示パネルに限定されないが、明確に説明するために、以下では液晶表示パネルを例として挙げて説明する。
【0163】
表示領域300には、多数のゲート線G1〜Gn及び多数のデータ線D1〜Dmを含み、多数のゲート線G1〜Gn及び多数のデータ線D1〜Dmは絶縁して交差している。
【0164】
各画素PXには、薄膜トランジスタTrsw、液晶キャパシタClc、及び維持キャパシタCstを含む。薄膜トランジスタTrswの制御端子は一つのゲート線に接続され、薄膜トランジスタTrswの入力端子は一つのデータ線に接続され、薄膜トランジスタTrswの出力端子は液晶キャパシタClcの一側端子及び維持キャパシタCstの一側端子に接続される。液晶キャパシタClcの他側端子は共通電極に接続され、維持キャパシタCstの他側端子は信号制御部600から印加される維持電圧Vcstが印加される。液晶表示パネルの画素PXの構造も多様な実施形態が存在し、
図20に示した画素PXの基本構造から追加構成を有する画素PXも本発明を適用することができる。
【0165】
多数のデータ線D1〜Dmは、データドライバIC460からデータ電圧が印加され、多数のゲート線G1〜Gnは、ゲート駆動部500−1、500−2からゲート電圧が印加される。つまり、多数のゲート線G1〜Gnは、奇数行のゲート線と偶数行のゲート線に区分され、奇数行のゲート線は第1ゲート駆動部500−1に接続され、偶数行のゲート線は第2ゲート駆動部500−2に接続されている。
【0166】
データドライバIC460は、表示パネル100の上側または下側に形成されて、縦方向に延長されたデータ線D1〜Dmと接続しているので、
図20の実施形態においては、データドライバIC460が表示パネル100の上側に位置する実施形態を示している。
【0167】
第1ゲート駆動部500−1は、第1クロック信号CKV1、第2クロック信号CKVB1、第1スキャン開示信号STVP1、及びゲートオフ電圧に準ずる第1低電圧Vss1と、ゲートオフ電圧より低い第2低電圧Vss2の印加を受けて、ゲート電圧(ゲートオン電圧及びゲートオフ電圧)を生成し、奇数行のゲート線に順次にゲートオン電圧を印加する。
【0168】
第2ゲート駆動部500−2は、第3クロック信号CKV2、第4クロック信号CKVB2、第2スキャン開示信号STVP2、及びゲートオフ電圧に準ずる第1低電圧Vss1と、ゲートオフ電圧より低い第2低電圧Vss2の印加を受けて、ゲート電圧(ゲートオン電圧及びゲートオフ電圧)を生成し、偶数行のゲート線に順次にゲートオン電圧を印加する。
【0169】
図21に示したように、本実施形態において、第1クロック信号CKV1と第2クロック信号CKVB1は位相差が180度であり、第3クロック信号CKV2と第4クロック信号CKVB2は位相差が180度である。また、第1クロック信号CKV1と第3クロック信号CKV2との位相差(
図21のTd)は、実施形態によって多様でありうるが、本実施形態では90度の位相差を有する。
【0170】
図21に示しているように、第1ないし第4クロック信号の位相関係においては、奇数行のゲート線と偶数行のゲート線のうち互いに隣接するゲート線間にはゲートオン電圧が印加される区間が一部重なってもよい。このとき、データ電圧が、隣接する二行の画素に全て印加されてもよいが、当該データ電圧は、二行の画素のうち一行の画素(前段行の画素)に印加される電圧であり、それ以外の行の画素(後端行の画素)はプリーチャージ(pre−charge)されてもよい。
【0171】
ゲート駆動部500−1、500−2に印加されるクロック信号CKV1、CKVB1、CKV2、CKVB2、スキャン開示信号STVP1、STVP2、第1低電圧Vss1及び第2低電圧Vss2は、
図20に示したように、データドライバIC460が位置するフレキシブルプリント回路膜450のうち、ゲート駆動部500−1、500−2と最も近いフレキシブルプリント回路膜450を通じてゲート駆動部500−1、500−2にそれぞれ印加される。このような信号は、外部または信号制御部600からプリント回路基板400を通じてフレキシブルプリント回路膜450などのフイルムに伝達される。
【0172】
以上、表示装置の全体的な構造について説明した。
【0173】
図20で使用されている第1ゲート駆動部500−1及び第2ゲート駆動部500−2の構造は、
図2または
図13の構造を有してもよいが、各ステージは、
図3、
図8乃至
図12、及び
図14乃至
図19の構造を有してもよい。また、その他の本発明に対応する構造を有してもよい。
【0174】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されることではなく、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の種々の変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属するものである。