特許第6305763号(P6305763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305763
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】放出機構を有する縫合糸通し器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   A61B17/04
【請求項の数】8
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-271869(P2013-271869)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-128677(P2014-128677A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2016年12月27日
(31)【優先権主張番号】13/731,912
(32)【優先日】2012年12月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507083478
【氏名又は名称】デピュイ・ミテック・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ビー・スペンシナー
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン・エム・ピッチリッロ
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・トロネン
【審査官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−264547(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0127915(US,A1)
【文献】 米国特許第05817112(US,A)
【文献】 特開平08−215200(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/148861(WO,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102010047487(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 − 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合糸通し機構であって、
細長い送達部材と、
前記送達部材の遠位端にある縫合糸捕捉具であって、前記縫合糸捕捉具はある長さの縫合糸を収容する陥凹部を備え、前記陥凹部は、近位壁部と、前記陥凹部の内部につながる外側開口部と、を有する、縫合糸捕捉具と、
前記外側開口部を取り囲み前記縫合糸を前記陥凹部内に保持する閉位置から前記外側開口部から離れている開位置に移動可能な間接接合つかみ具と、
前記陥凹部にある放出具であって、前記間接接合つかみ具が開位置にあるとき、前記外側開口部を通って前記陥凹部から前記縫合糸を放出するのに適した、放出具と、
を備える、縫合糸通し機構。
【請求項2】
前記放出具が、前記陥凹部を横切って前記外側開口部の方に移動可能な面を備え、それによって前記縫合糸を前記外側開口部から押し出す、請求項1に記載の縫合糸通し機構。
【請求項3】
前記放出具が、前記外側開口部に隣接した位置で終端するように取り付けられ、第1の位置において前記開口部から離間され、第2の位置において前記外側開口部に隣接して前記陥凹部内に収容される線を備える、請求項2に記載の縫合糸通し機構。
【請求項4】
前記線が前記第1の位置に付勢される、請求項3に記載の縫合糸通し機構。
【請求項5】
前記線にかけられた張力によって前記線を前記第2の位置に移動させる、請求項4に記載の縫合糸通し機構。
【請求項6】
前記線にかけられた軸圧縮によって前記線を前記第2の位置に移動させる、請求項4に記載の縫合糸通し機構。
【請求項7】
前記線にかけられた張力を取り除くことによって前記線を前記第2の位置に移動させる、請求項4に記載の縫合糸通し機構。
【請求項8】
前記線にかけられた圧縮を取り除くことによって前記線を前記第2の位置に移動させる、請求項4に記載の縫合糸通し機構。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、縫合糸通し器及び把持器に関し、より詳細には、かかる器具及びその使用方法に関するものであり、この器具は、そこから縫合糸を押し出すようになっている。
【0002】
外科手術の分野では、縫合糸が軟組織を貫通する必要があるものの、組織に直接的に接近することが不可能な場合がある(例えば、関節鏡下手術中)。通常は、この縫合糸の通過は、順方向又は逆方向のいずれかで行われる。順方向の通過では、縫合糸通し器と呼ばれる器具が縫合糸を1本把持し、強制的に軟組織を通過させる。続いて、縫合糸を糸通し器から外し、糸通し器を組織から取り出す。逆方向の通過には、空の糸通し器を軟組織に通過させ、その後、先に体内に入れた縫合糸を1本掴むように操作することを伴う。続いて、糸通し器を軟組織から取り出し、器具を用いて縫合糸を引っ張る。これら両方の場合において、縫合糸通し器の主要な欠点の1つは、糸通し器のつかみ具から縫合糸を外すのが極めて困難な場合があることである。これは順方向手技のときに特に見られ、主に糸通し器のつかみ具が極めて大きい空洞部に開口していることが理由である。外科医は、糸通し器の先端部を操作して、開いたつかみ具から十分に離して縫合糸を移動させる必要があるが、これは開いたつかみ具を閉じることによって、糸通し器に縫合糸が再度捕捉されないようにするためである。この操作手順は、縫合糸通し器までの、及びそれを含む周囲軟組織の損傷につながり、軟組織を引き裂き、縫合による治療という目的を失敗させ、外科医に患者の治療において別の再建方法を模索させる場合がある。この空洞部は、リップ部又は他の構造を伴って提供されることも多く、縫合糸の捕捉プロセスに役立つが、外科医が後に縫合糸を外そうとしたときに、このような特徴部により更に困難が増す場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明による縫合糸通過機構は、その遠位端に縫合糸捕捉具を有する細長い送達部材を備える。縫合糸捕捉具は、1本の縫合糸を収容する陥凹部を備える。陥凹部は、近位壁部及びその内部につながる外側開口部を有する。陥凹部において放出具は、陥凹部から外側開口部を通過して縫合糸を放出するのに適している。
【0004】
好ましくは、放出具は、陥凹部を横切って外側開口部の方に移動可能な面を備え、それによって縫合糸を外側開口部から押し出す。一実施形態では、放出具は、外側開口部に隣接して取り付けられる線を備える。これは陥凹部内に収容され、第1位置において開口部から離間しており、第2位置において外側開口部に隣接する。本発明の一態様では、この線は第1位置に偏っており、線にかけられる張力によって第2位置に移動する。別の方法としては、線にかけられる軸圧縮によって第2位置に移動する。線にかけられる張力を除くこと、又は線にかけられる圧縮を除くことによって、第2位置に移動することもできる。
【0005】
本発明による方法は、縫合糸を組織に貫通させる方法を提供する。この方法は、細長い送達部材の遠位端上の縫合糸捕捉具中の陥凹部内に、縫合糸を捕捉する工程と、送達部材によって組織に縫合糸を貫通させる工程と、陥凹部内の放出具によって、陥凹部内の外側開口部を通過して陥凹部から縫合糸を放出する工程と、を含む。
【0006】
本発明の一態様では、放出具の面は、陥凹部を横切って外側開口部の方に移動し、縫合糸を外側開口部から押し出す。放出具は、外側開口部に隣接して取り付けられ、陥凹部内に収容される線を備え、線が第1位置から第2位置に移動して、縫合糸を外側開口部から放出するように、第1位置において開口部から離間され、第2位置において外側開口部に隣接してよい。この方法は、線を第1位置に偏らせる工程を更に含んでよい。この方法は、線に対して張力又は圧縮をかけ、除去し、増加し、又は減少して、第2位置に移動させる工程を更に含んでよい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明による縫合糸通し器の側面図である。
図2A図1の縫合糸通し器の遠位端に放出特徴部を有する縫合糸把持機構の側面図である。
図2B図1の縫合糸通し器の遠位端に放出特徴部を有する縫合糸把持機構の側面図である。
図2C図1の縫合糸通し器の遠位端に放出特徴部を有する縫合糸把持機構の側面図である。
図3A】代替の放出特徴部を有する本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図3B】代替の放出特徴部を有する本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図3C】代替の放出特徴部を有する本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図4】代替の放出特徴部を有する本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図5】本発明による縫合糸通し器用の代替の縫合糸把持機構の側面図である。
図6A】本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図6B】本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図6C】本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図7A】本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図7B】本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図7C】本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図8A】本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図8B】本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
図8C】本発明による更なる縫合糸把持機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明による縫合糸把持器10を示す。これは概して、遠位把持機構14及び近位ハサミ状ハンドル16を有する細長いシャフト12を備える。把持機構14は、外側開口部20及び関節接合つかみ具22を有する縫合糸捕捉陥凹部18を備える。ハンドル16は、固定アーム部24と、ロッド又はワイヤ28を介して関節接合つかみ具22に連結され、アーム部26の関節接合をつかみ具22の関節接合に伝える関節接合アーム部26と、を備える。
【0009】
ここで図2A〜2Cも参照すると、シャフト12は、所望により、シャフト12の一部及び把持機構14を組織(図示せず)に通過させ、縫合糸32を掴む又は放すための、鋭い遠位先端部30で終端する。縫合糸32は、陥凹部18(図2A)に捕捉される。そして処置において、組織を通って引き戻すなどの操作を行うことができる。縫合糸32を放すために、つかみ具22は開かれる(図2B)。
【0010】
陥凹部18から縫合糸32を放出するのを助けるために、放出具ワイヤ34を開口部20に向かって外側に弓なりに曲げ、開口部20から縫合糸32を押し出す(図2C)。放出具ワイヤ34は、圧縮されると弓なりに曲がる、好ましくは可撓性であるが剛性のワイヤである。これはNITINOLなどの超弾性材料で形成できるが、本発明ではこれに限定しなくてもよい。他の好適な材料として、ナイロン、ステンレス鋼、ポリエステル、及びエラストマー材料が挙げられる。ワイヤ34は、好ましくは陥凹部18内のカップ部38内に収容されるボール部36で終端する。カップ部38は、開いて又は部分的に囲まれていてよく、ボール部36を回転可能にその内部に保持する。好ましくは、カップ部38は開口部20に向かって開き、ワイヤ34の、圧縮下におけるかかる方向への回転及び湾曲を促進する。ワイヤ34は、シャフト12に沿って延在して、ボタン部40又は別の機構内のハンドル16で終端し、ユーザーがそこに圧縮力を加えられるようにする。別の方法としては、ワイヤ34をハンドル16の関節接合アーム部26にも連結し、ユーザーによる1回の動きでつかみ具22を開き、放出具ワイヤ34を動かして縫合糸32を陥凹部18から放出させることができる。
【0011】
ワイヤ34について他の構成が可能である。ワイヤを開口部20の方向に予め曲げておき、圧縮下でその方向に弓なりに曲がるのを促してよい。この特徴部は、ボール部36及びカップ部38、又は他のワイヤ34の付属部、例えば、陥凹部18の壁部に単に溶接されているワイヤと同様に、ワイヤ34内に組み込むことができる。ボール部36で終端させるよりも、ワイヤ34を、陥凹部18に隣接する横向き穴に収容される円筒部(図示せず)で終端させ、開口部20に向かって開いた閉鎖終端スロット内でワイヤ34が可動であり、それによってワイヤ34が圧縮されると開口部に向かって円筒部及びワイヤの回転を促す状態にしてもよい。図2Aに示される陥凹部内の位置にあるとき、かけられる圧縮は、ワイヤ34上の任意の力と相対的なものである。例えば、開いたカップ部38を使用する場合、ワイヤはカップ部38方向に偏って所定の位置に保持され、その後更なる圧縮力が加えられると、ワイヤ34は開口部20に向かって外側に弓なりに曲がる。
【0012】
ここで図3A〜3Cも参照すると、放出具ワイヤ52にかけられる張力により放出動作が開始される、縫合糸把持器50の代替の実施形態が示される。把持器50は、シャフト58の遠位端56に把持機構54を備え、外側開口部62にわたって関節接合つかみ具64によって取り囲まれる開口部62を伴う陥凹部60を有する(図3A)。ワイヤ52は、陥凹部60に隣接する横向き穴68内で回転する、遠位部の横向き円筒部66内で終端する。閉鎖端部スロット70は開口部62に向かって開き、ワイヤ52に張力がかけられるとき、開口部に向かって円筒部66及びワイヤ52が回転するのを促進する。ワイヤ52は予め曲げられて、通常は開口部62から離れる方向外向きに弓なりに曲がっており、縫合糸72を収容するために陥凹部60を開いておく(図3B)。つかみ具64に隣接する陥凹部60の壁部中の溝部74により、ワイヤ52が陥凹部60をふさぐことなく、陥凹部60内への経路をたどることができる。張力がワイヤ52にかけられると、まっすぐになって開口部62方向に移動し、縫合糸72を陥凹部60から押し出す(図3C)。つかみ具64中のスロット76は、ワイヤ52が、つかみ具64によって妨害されていない配置をとることを可能にする。用語「張力」は、本明細書において、図3A及び3Bで示されるようなワイヤ52の状態と相対的に用いられ、ワイヤの圧縮がより低減され、図3Aにあったときよりも、開口部62から離れる方向外向きに弓なりに曲がることを促す。
【0013】
図4は、外側開口部84及び開口部84を取り囲む関節接合つかみ具86を備える陥凹部82を有する縫合糸把持器80の更なる実施形態を示す。陥凹部82はC字型であり、遠位リップ部88を形成する。この特徴部によって、縫合糸(図4中には図示せず)の陥凹部82内への捕捉を促進するが、縫合糸の陥凹部82からの放出能は弱まり得る。放出具ロッド92の第1末端部90は、開口部84に隣接するリップ部88に取り付けられ、リップ部88からそれに沿って部分的に延びる、陥凹部82の壁部中の溝部94内に収容される。作動ロッド又はワイヤ96は、ロッド92の第2末端部98に取り付けられ、溝部94内に収容される位置から関節接合を調節し、陥凹部82を、図4に示されるような完全に開いた位置にしておき、ここで開口部84に向かって部分的に移動して、リップ部88の突出部に橋渡しをし、それによって、リップ部88が縫合糸を陥凹部82内に閉じ込めておく力を弱める又は取り除く。縫合糸は完全に放出されないが、リップ部88によって妨害されていない陥凹部82から、より容易に出ていくことを可能になる。ロッド92は、弾力的材料から作られ、溝部94内へ弓なりに曲がるのを促すことができる。別の方法としては、先の実施形態にあるようなワイヤをロッド92の代わりにして、所望されるときに、リップ部88の影響を減じるように同様に操作されるよう方向付けることができる。もう1つの方法は、リビングヒンジ点などを有するワイヤによって効果的なリップ部を形成することである。
【0014】
図5は、本発明による縫合糸通し器100の更なる実施形態を示す。これは、細長いシャフト102を備え、そのすぐ近位の把持機構106を組織(図示せず)に貫通させるための鋭い遠位先端部104で終端する。貫通する機構106は、壁部110で形成され、遠位突出リップ部112を有する陥凹部108を備える。更に、軸118の周囲を枢動可能な関節接合つかみ具116によって橋渡しができる外側開口部114を備える。押し出しアーム120は、つかみ具116に連結し、つかみ具と同調して関節接合する。つかみ具116が閉鎖位置にあり、開口部114にわたって閉じているとき、押し出しアーム120は陥凹部108内に深く収容されている。この位置で陥凹部108がふさがれるのを最小限にする、又は排除するために、溝部(図示せず)を壁部110に提供し、押し出しアーム120を収容してよい。つかみ具116が開口部114から離れる方向外向きに枢動すると、押し出しアーム120は、陥凹部108を形成し、好ましくはリップ部112に連結される壁部110から離れる方向外向きに枢動する。縫合糸(図5では図示せず)が陥凹部108に収容されている場合、この場合は、リップ部112に捕捉されることなく陥凹部108から滑り出ることが可能になるであろう。つかみ具116及び押し出しアーム120は、この位置において縫合糸の捕捉に好適なV字型開口部を形成する。縫合糸を妨げるリップ部112を使用して捕捉を促すために、ユーザーは、開口部114がつかみ具116によって閉じられず、リップ部112が押し出しアーム120によって完全にふさがれていない中間位置に、つかみ具116及び押し出しアーム120を置くことができる。別の方法としては、つかみ具116及び押し出しアーム120は、独立した関節接合に適していてもよい。
【0015】
図6A〜6Cは、本発明による縫合糸把持器200の更なる実施形態を示す。これは、外側開口部206及び関節接合つかみ具208を有する縫合糸捕捉陥凹部204を有するシャフト202を備える。陥凹部204において放出具ワイヤ210は、縫合糸212の捕捉中に張力下で配置され、ワイヤ210を、縫合糸212の経路から外れて陥凹部204内に保持する(図6A)。つかみ具208を閉じ、縫合糸212を陥凹部204内に保持し、この間、好ましくは放出具ワイヤ210を張力下で維持する(図6B)。縫合糸212の放出が望まれるとき、関節接合つかみ具208を開き、放出具ワイヤ210の張力を解放する(図6C)。放出具ワイヤ210は、張力が解放されると陥凹部204から縫合糸212を放出する、予め形成した湾曲部214を有する。好ましくは、放出具ワイヤは超弾性材料で形成される。
【0016】
図7A〜7Cは、本発明による縫合糸把持器220の更なる実施形態を示す。これは、外側開口部226及び関節接合つかみ具228を有する縫合糸捕捉陥凹部224を有するシャフト222を備える。放出具ワイヤ230は開口部226に隣接して取り付けられ、張力がない又は低下した状態で、陥凹部224においてリップ部232を、また陥凹部224内で湾曲部234を形成する予め形成された形状を有する。縫合糸236は、リップ部232を用いて陥凹部224内に捕捉され(図7A)、その後つかみ具228を閉じることによって内部に維持される(図7B)。縫合糸236を押し出すためにつかみ具228を開くと、放出具ワイヤ230にかけられた張力がワイヤをまっすぐにし、それによって湾曲部234及びリップ部232が解消され、つまり実質的に短くなり、そのため縫合糸236が陥凹部224から押し出される。
【0017】
図8A〜8Cは、本発明による縫合糸把持器250の更なる実施形態を示す。これは、外側開口部256及び関節接合つかみ具258を有する縫合糸捕捉陥凹部254を有するシャフト252を備える。湾曲部262を有する押し出し部260は、陥凹部254内に配置される。好ましくは、これはワイヤで構成される。押し出し部260は回転可能であり、縫合糸264の捕捉中(図8A)、湾曲部262が開口部256から離れる方向にあって、縫合糸264が陥凹部254内に入るのを可能にする。続いて、つかみ具258を閉じ、縫合糸264を陥凹部254内に保持する。縫合糸264を押し出すためにつかみ具258を開くと、押し出し部が回転して湾曲部262を開口部256に揺動させ、それによって縫合糸264が陥凹部254から押し出される。
【0018】
本発明についてその特定の具体的な実施形態と関連して具体的に説明してきたが、これは、説明を目的とするためのものであって、限定を目的とするものではなく、また、添付の特許請求の範囲は、先行技術で認められるのと同程度に広義に解釈されるべきであることを理解すべきである。
【0019】
〔実施の態様〕
(1) 縫合糸通し機構であって、
細長い送達部材と、
前記送達部材の遠位端にある縫合糸捕捉具であって、前記縫合糸捕捉具はある長さの縫合糸を収容する陥凹部を備え、前記陥凹部は、近位壁部と、前記陥凹部の内部につながる外側開口部と、前記陥凹部から前記外側開口部を通過して縫合糸を放出するのに適した、前記陥凹部にある放出具と、を有する、縫合糸捕捉具と、を備える、縫合糸通し機構。
(2) 前記放出具が、前記陥凹部を横切って前記外側開口部の方に移動可能な面を備え、それによって前記縫合糸を前記外側開口部から押し出す、実施態様1に記載の縫合糸通し機構。
(3) 前記放出具が、前記外側開口部に隣接して取り付けられ、第1の位置において前記開口部から離間され、第2の位置において前記外側開口部に隣接して前記陥凹部内に収容される線を備える、実施態様2に記載の縫合糸通し機構。
(4) 前記線が前記第1の位置に付勢される、実施態様3に記載の縫合糸通し機構。
(5) 前記線にかけられた張力によって前記線を前記第2の位置に移動させる、実施態様4に記載の縫合糸通し機構。
【0020】
(6) 前記線にかけられた軸圧縮によって前記線を前記第2の位置に移動させる、実施態様4に記載の縫合糸通し機構。
(7) 前記線にかけられた張力を取り除くことによって前記線を前記第2の位置に移動させる、実施態様4に記載の縫合糸通し機構。
(8) 前記線にかけられた圧縮を取り除くことによって前記線を前記第2の位置に移動させる、実施態様4に記載の縫合糸通し機構。
(9) 縫合糸を組織に貫通させる方法であって、
細長い送達部材の遠位端上の縫合糸捕捉具中の陥凹部内に縫合糸を捕捉する工程と、
前記送達部材によって前記組織に前記縫合糸を貫通させる工程と、
前記陥凹部内の放出具によって、前記陥凹部内への外側開口部を通過して前記陥凹部から前記縫合糸を放出する工程と、を含む、方法。
(10) 前記放出具の面が、前記陥凹部を横切って前記外側開口部の方に移動され、前記縫合糸を前記外側開口部から押し出す、実施態様9に記載の方法。
【0021】
(11) 前記放出具が、前記外側開口部に隣接して取り付けられ、第1の位置において前記開口部から離間され、第2の位置において前記外側開口部に隣接して前記陥凹部内に収容される線を備え、前記線が前記第1の位置から前記第2の位置に移動され、前記縫合糸を前記外側開口部から放出する、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記線を前記第1の位置に付勢する工程を更に含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記線に対して張力をかけて前記線を前記第2の位置に移動させる工程を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記線に対して圧縮をかけて前記線を前記第2の位置に移動させる工程を更に含む、実施態様12に記載の方法。
(15) 前記線から張力を取り除いて前記線を前記第2の位置に移動させる工程を更に含む、実施態様12に記載の方法。
【0022】
(16) 前記線から圧縮を取り除いて前記線を前記第2の位置に移動させる工程を更に含む、実施態様12に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図8C