特許第6305767号(P6305767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305767
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】搬送コンベヤ及び計量装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 21/10 20060101AFI20180326BHJP
   B65G 21/00 20060101ALI20180326BHJP
   B65G 39/12 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   B65G21/10
   B65G21/00 Z
   B65G39/12
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-2151(P2014-2151)
(22)【出願日】2014年1月9日
(65)【公開番号】特開2015-129046(P2015-129046A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2016年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】川野 良二
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−037073(JP,A)
【文献】 特開平07−019235(JP,A)
【文献】 特開2002−179240(JP,A)
【文献】 実開昭55−142720(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 21/00−21/22
B65G 13/00−13/12,39/00−39/20
F16C 13/00−15/00
F16B 9/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送方向に沿ってその両側に位置する一対のプーリと、前記一対のプーリが取り付けられるコンベヤフレームと、前記一対のプーリに亘って巻回される搬送ベルトとを備える搬送コンベヤであって、
前記一対のプーリの内の一方のプーリは、支軸と、該支軸に回転自在に支持された筒軸状のプーリ本体とを備え、前記支軸の前記プーリ本体の両端から突出した両突出部に、外周に扁平係合面を有する係合軸端部を形成し、
前記コンベヤフレームにおける搬送方向一端側の両側部に設けた両軸支部に、前記一方のプーリの前記支軸の前記扁平係合面に係合する扁平係合面を有する係合凹部を形成し、
前記支軸における一方の係合軸端部の扁平係合面とこれに係合する一方の係合凹部の扁平係合面との係合方向と、前記支軸における他方の係合軸端部の扁平係合面とこれに係合する他方の係合凹部の扁平係合面との係合方向とに角度差がある、
ことを特徴とする搬送コンベヤ。
【請求項2】
前記一対のプーリが、搬送方向に沿って一方側に位置する駆動プーリと、他方側に位置する従動プーリとからなり、前記一方のプーリが、前記駆動プーリである、
請求項1に記載の搬送コンベヤ。
【請求項3】
前記両軸支部における一方の係合凹部の前記扁平係合面の係合方向と、他方の係合凹部の前記扁平係合面の係合方向とを同方向とし、
前記支軸における一方の係合軸端部の前記扁平係合面の係合方向と、他方の係合軸端部の前記扁平係合面の係合方向とに角度差がある、
請求項1または2に記載の搬送コンベヤ。
【請求項4】
前記支軸における一方の係合軸端部の前記扁平係合面の係合方向と、他方の係合軸端部の前記扁平係合面の係合方向とを同方向とし、
前記両軸支部における一方の前記係合凹部の前記扁平係合面の係合方向と、他方の前記係合凹部の前記扁平係合面の係合方向とに角度差がある、
請求項1または2に記載の搬送コンベヤ。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の搬送コンベヤと、この搬送コンベヤによって搬送される被計量物の重量を計量する計量手段とを備える、
ことを特徴とする計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送コンベヤ及びこれを備える計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
計量装置に用いられる搬送コンベヤとしては、例えば特許文献1に示されているように、ローラ状に形成された駆動プーリと従動プーリとに亘って幅広のコンベヤベルトを巻き掛け、駆動プーリの支軸の両端部を、コンベヤフレームの両側壁の搬送方向の下流側の端部にそれぞれ形成した溝状の係合凹部に、その開口端から嵌め込み支持するようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−37073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
計量装置は、様々な用途に用いられるのであり、例えば、食品の計量用途で用いられる場合には、衛生管理のため、計量装置の搬送コンベヤを、頻繁に洗浄する必要がある。この場合、コンベヤベルトを取り外すことがあり、この際、上記特許文献1のように、駆動プーリの支軸の両端部を、コンベヤフレームの両側壁の搬送方向に端部に設けた溝状の係合凹部に挿入支持する軸支構造とすることで、工具などを用いることなく駆動プーリを容易に着脱できるものとなり、取扱い性の点で有利となる。
【0005】
しかし、駆動プーリの支軸の両端をコンベヤフレームの係合凹部に単に挿入して支持するだけであると、コンベヤベルトを取り外した状態で不用意にコンベヤフレームを傾けた際に、駆動プーリが自重で係合凹部から脱落してしまう虞がある。特に、駆動プーリがステンレス鋼で製作されて重量が大きい場合には一層脱落しやすくなる。
【0006】
また、計量装置の計量コンベヤとして用いられる搬送コンベヤにおいては、駆動プーリは、予めその動的バランスが調整されており、係合凹部から脱落した駆動プーリが床面などに落ちてしまうと、その衝撃で変形や傷が発生して動的バランスが崩れてしまい、重量計測に悪影響を及ぼすことになる。更に、コンベヤフレームに装着された状態の駆動プーリは、駆動振動や駆動騒音の発生を防止するためにしっかりと固定されていることも必要である。
【0007】
そこで、上記特許文献1では、駆動プーリの支軸の両端部を挿入支持する係合凹部の入口側の内面に微小な隆起部を形成し、この隆起部を乗り越えて支軸端部を係合凹部に挿入して嵌め込むことで、駆動プーリの不用意な脱落を未然に防止するようにしている。
【0008】
しかしながら、上記隆起部は、駆動プーリの支軸の端部に当接することで脱落を抑止するものであるので、隆起部の加工精度によっては支軸の端部と隆起部との間に微細な隙間が発生して駆動振動や駆動騒音が生じるなどの不具合がある。このため、隆起部を高い精度で形成する必要があり、隆起部を形成するための加工コストが上昇するといった課題がある。
【0009】
また、当初は支軸の端部と隆起部が適正に接触していても、繰り返し駆動プーリが脱着されることで隆起部が摩滅し、支軸端部と隆起部との間に隙間が発生するのみならず、駆動プーリの脱落抑止機能自体も低下することになり、必ずしも所期の機能を長期間維持することができないものであった。
【0010】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、プーリをコンベヤフレームに容易に着脱できるものでありながら、プーリが不用意にコンベヤフレームから外れて落下することを抑止する機能を長期間維持することができる搬送コンベヤ及びこれを備えた計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、次のように構成している。
【0012】
(1)本発明の搬送コンベヤは、搬送方向に沿ってその両側に位置する一対のプーリと、前記一対のプーリが取り付けられるコンベヤフレームと、前記一対のプーリに亘って巻回される搬送ベルトとを備える搬送コンベヤであって、
前記一対のプーリの内の一方のプーリは、支軸と、該支軸に回転自在に支持された筒軸状のプーリ本体とを備え、前記支軸の前記プーリ本体の両端から突出した両突出部に、外周に扁平係合面を有する係合軸端部を形成し、
前記コンベヤフレームにおける搬送方向一端側の両側部に設けた両軸支部に、前記一方のプーリの前記支軸の前記扁平係合面に係合する扁平係合面を有する係合凹部を形成し、
前記支軸における一方の係合軸端部の扁平係合面とこれに係合する一方の係合凹部の扁平係合面との係合方向と、前記支軸における他方の係合軸端部の扁平係合面とこれに係合する他方の係合凹部の扁平係合面との係合方向とに角度差があることを特徴とする。
【0013】
本発明によると、一方のプーリの支軸の両端の係合軸端部を、コンベヤフレームの両軸支部の係合凹部に挿入支持するに際には、支軸両端における係合部位の係合方向の角度がずれるために、両軸支部を歪ませながら両係合軸端部をそれぞれ両係合凹部に圧入することになる。このようにして圧入された状態では、歪み変形した軸支部の弾性復元力によって支軸にねじり応力が作用し、両係合凹部における各扁平係合面と、両係合軸端部の各扁平係合面とがそれぞれ強制的に圧接された状態となる。
【0014】
このように両係合凹部における扁平係合面と、両係合軸端部における扁平係合面とが強制圧接されることで圧接部位に摩擦抵抗がもたらされ、支軸が係合凹部から抜け出すことが抑制される。従って、搬送ベルトを取り外した状態のコンベヤフレームが取り外される際に、コンベヤフレームが、不用意に一方のプーリ側が下方となるように多少傾けられても、一方のプーリが自重によって軸支部から抜け外れるようなことが防止される。
【0015】
また、係合軸端部の扁平係合面と係合凹部の扁平係合面とによる面摩擦によって駆動プーリの自重脱落を阻止する摩擦抵抗がもたらされるので、駆動プーリが繰り返し着脱されても摩擦発生箇所である係合面での摩耗はほとんど無く、長期間に亘って脱落抑止機能が発揮される。
【0016】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記一対のプーリが、搬送方向に沿って一方側に位置する駆動プーリと、他方側に位置する従動プーリとからなり、前記一方のプーリが、前記駆動プーリである。
【0017】
この実施態様によると、駆動プーリをコンベヤフレームに容易に着脱できる一方、従動プーリの位置調節によって搬送ベルトの張力を調整するといったことが可能となる。
【0018】
(3)本発明の他の実施態様では、前記両軸支部における一方の係合凹部の前記扁平係合面の係合方向と、他方の係合凹部の前記扁平係合面の係合方向とを同方向とし、前記支軸における一方の係合軸端部の前記扁平係合面の係合方向と、他方の係合軸端部の前記扁平係合面の係合方向とに角度差がある。
【0019】
この実施態様によると、支軸の両端部に切削加工を施して扁平係合面を有する係合軸端部を形成する工程において、一方の係合軸端部を加工した後、支軸を所定角度だけ回動して他方の係合軸端部を加工することで、抜け止め機能を発揮する所望の係合軸端部を支軸の両端に形成することができる。
【0020】
(4)本発明の更に他の実施態様では、前記支軸における一方の係合軸端部の前記扁平係合面の係合方向と、他方の係合軸端部の前記扁平係合面の係合方向とを同方向とし、前記両軸支部における一方の前記係合凹部の前記扁平係合面の係合方向と、他方の前記係合凹部の前記扁平係合面の係合方向とに角度差がある。
【0021】
この実施態様によると、支軸の両端に同じ切削加工を施して同仕様の係合軸端部をそれぞれ形成し、コンベヤフレーム側の軸支部だけを僅かに改造すればよい。
【0022】
(5)本発明の計量装置は、本発明の搬送コンベヤと、この搬送コンベヤによって搬送される被計量物の重量を計量する計量手段とを備える。
【0023】
本発明によると、計量コンベヤである搬送コンベヤの取り扱い性が向上し、清掃作業などのメンテナンス性を高めることができる。
【発明の効果】
【0024】
このように、本発明によれば、一方のプーリを工具なしでコンベヤフレームに容易に着脱することができるものでありながら、前記プーリが不用意にコンベヤフレームから外れて落下するような事態を未然に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明の一実施形態の計量装置の全体斜視図である。
図2図2は計量コンベヤの平面図である。
図3図3は計量コンベヤのベルト取外し状態を示す斜視図である。
図4図4は(a)駆動プーリの横断平面図と、(b)従動プーリの一部を切欠いた平面図である。
図5図5は(a)駆動プーリ、(b)従動プーリの斜視図である。
図6図6は駆動プーリにおける軸支部位の横断平面図である。
図7図7は駆動プーリの軸支部位を対比説明する側面図である。
図8図8は従動プーリの支持構造を示す平面図である。
図9図9は従動プーリの支持を解除した状態の平面図である。
図10図10図8におけるA-A断面図である。
図11図11は従動プーリの支持構造を上方に移動させた状態の縦断側面図である。
図12図12は従動プーリの支持構造の斜視図である。
図13図13は従動プーリの支持構造の斜視図である。
図14図14は駆動プーリにおける軸支部位の別実施形態を対比説明する側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1に、本発明の一実施形態に係る計量装置の全体が示されている。この実施形態では、計量装置として重量選別機に適用して説明する。この重量選別機は、例えば、被計量物搬送ラインの途中などに設置して使用するものであり、搬送コンベヤである計量コンベヤ1、この計量コンベヤ1に被計量物を搬入する搬入コンベヤ2、ロードセル等の荷重センサを備える計量手段としての荷重計測部3、及び、重量選別のための境界重量値などの各種の設定を行う共に、計量結果等を表示する操作設定表示器4、などを、床置き設置した基台5に装備して構成されている。計量コンベヤ1は、駆動プーリ7と従動プーリ8との一対のプーリを備え、両プーリ7,8に亘って搬送ベルト9が巻回されている。
【0028】
この重量選別機では、搬入コンベヤ2に供給されてきた被計量物を計量コンベヤ1に移載して搬送し、この搬送の間に被計量物を含む計量コンベヤ1全体の重量を荷重計測部3で計量することで、被計量物の重量を算出し、被計量物重量が、例えば、「軽量」、「適量」、又は、「過量」のいずれかであるかを判別し、後段の振分け装置(図示せず)で振分け選別する。
【0029】
計量コンベヤ1と搬入コンベヤ2とは、基本的に同一の構造に構成されており、以下、計量コンベヤ1についてのみ、その構造を詳細に説明する。
【0030】
図2に、計量コンベヤ1の平面図が示されている。この計量コンベヤ1は、ステンレス鋼板からなるコンベヤフレーム6の後側(図2の右側)である搬送方向の下手側に水平に支持されたローラ状の駆動プーリ7と、コンベヤフレーム6の前側である搬送方向の上手側に水平に支持されたローラ状の従動プーリ8とに亘って幅広の搬送ベルト9を巻回張設して構成されており、計量コンベヤ1全体が、図1に示される荷重計測部3の可動枠3aに対して着脱自在に構成され、左右の受け金具10aによって可動枠3aのバックル型掛け金具10に連結固定できるようになっている。
【0031】
図2図3に示すように、コンベヤフレーム6は、例えばステンレス鋼板で構成されており、搬送ベルト9を摺接案内する天板部6aと、その左右側辺に沿って下向きに屈折された左右一対の側板部6bとが備えられている。そして、側板部6bの後端部に、図2に示すように一方のプーリとしての駆動プーリ7が、駆動回転可能に水平に支持されると共に、側板部6bの前端部に従動プーリ8が、遊転自在に水平に支持されている。また、左右の側板部6bの外面に、荷重計測部3の可動枠3aに備えられたバックル型掛け金具10に対する上記の受け金具10aが備えられている。
【0032】
コンベヤフレーム6における後側の横一側部(図2では右側上方部)に設けた延出部6cの下方に、駆動モータ(図示せず)が配備され、この駆動モータと駆動プーリ7の一端部に備えた歯付きプーリ11とが、歯付きベルト12を介してスリップ無く巻き掛け連動されるようになっている。
【0033】
図2中に示すように、搬送ベルト9の内周面には、ベルト周方向に沿う環状の突条9aが、ベルト全周に亘って一体形成されており、駆動プーリ7および従動プーリ8の外周面に形成した案内溝13,14に前記突条9aが係合されることによって、回動する搬送ベルト9の左右蛇行が防止されるようになっている。なお、突条9a及び案内溝13,14は、駆動プーリ7及び従動プーリ8の長手方向中心から偏った一箇所に設けられており、予め重量バランスが調整された駆動プーリ7、従動プーリ8、及び、搬送ベルト9が左右一定の向きで組付けられるようになっている。
【0034】
また、コンベヤフレーム6は、左右に分割されるとともに、搬送方向の複数箇所において横向きの縦リブ6dで連結されており、左右の天板部6aの対向する内向き端辺の間に、搬送ベルト9の突条9aが移動する走行溝15が形成されている。
【0035】
図4(a),(b)に、駆動プーリ7の横断平面図、及び、従動プーリ8の一部を横断した平面図が、また、図5(a),(b)に、駆動プーリ7及び従動プーリ8の外観斜視図がそれぞれ示されている。
【0036】
駆動プーリ7は、筒状のローラ本体16、これに挿通される支軸17、ローラ本体16と支軸17の間に嵌合装着される左右一対の軸受け18、ローラ本体16の一端に内嵌されて連結固定される軸受け押さえ兼用のキャップ19、及び、ローラ本体16の他端に内嵌されて連結固定される軸受け押さえ兼用の前記歯付きプーリ11とで構成されている。
【0037】
従動プーリ8も同様に、筒状のローラ本体21、これに挿通される支軸22、ローラ本体21と支軸22との間に嵌合装着される左右一対の軸受け23、及び、ローラ本体21の両端に内嵌連結される軸受け押さえ兼用のキャップ24とで構成されている。
【0038】
駆動プーリ7の支軸17は、コンベヤフレーム6における左右の側板部6bの後端に備えた左右一対の軸支部25a,25bに亘って以下のようにして左右水平に回転不能に支持される。
【0039】
図6に示すように、軸支部25a,25bは、コンベヤフレーム6における側板部6bの後端部から平面視でクランク状に屈折延出された縦板状の後向き片持ち部位に形成されており、各軸支部25a,25bの上下中間に、後向きに開口して係合凹部26a、26bが形成されている。
【0040】
駆動プーリ7の両端から突出された支軸17の両端には、一対の扁平係合面sが平行に所定の間隔をもって対向するように切削されて、断面形状が小判形の係合軸端部17a,17bが形成されている。そして、コンベヤフレーム6における左右の軸支部25a,25bに備えられた係合凹部26a,26bには、一対の前記扁平係合面sの対向間隔に等しい上下間隔をもって上下一対の扁平係合面fが形成されている。
【0041】
従って、図3に示すように、駆動プーリ7を後方から軸支部25a,25bに接近させて、左右の係合軸端部17a,17bにおける上下の扁平係合面sが、左右の係合凹部26a,26bにおいて上下に対向する扁平係合面fにそれぞれ係合するように、係合軸端部17a,17bを、係合凹部26a,26bの奥端まで挿入することで、駆動プーリ7が左右の軸支部25a,25bに亘って所定の水平姿勢で、かつ、左右に位置決めして支持される。
【0042】
なお、各軸支部25a,25bの中間クランク部25cは、その板厚を搬送方向(前後方向)に向けて横向きに屈折されており、この中間クランク部25cの後ろ向き外面が、各係合凹部26a、26bの実質的な奥端となっている。従って、係合凹部26a、26bに挿入された各係合軸端部17a,17bの円形外周面が、中間クランク部25cの後ろ向き外面で軸心方向に長い接触線を介して当接支持される。
【0043】
ここで、図7に示すように、左右の両軸支部25a,25bにおける各係合凹部26a,26bの係合方向(開口方向)がそれぞれ同じ前後水平となるように形成されているのに対して、支軸17における一方の係合軸端部17aの扁平係合面sの係合方向と、他方の係合軸端部17bの扁平係合面sの係合方向とに僅かな角度差α(例えば0.5〜1.0度程度)が与えられている。なお、図7中の角度差αは拡大誇張して示されている。
【0044】
従って、駆動プーリ7を左右の軸支部25a,25bに挿入支持する際には、左右の係合部位における係合方向が上記角度差αだけずれるために、左右の軸支部25a,25bを僅かに歪ませながら左右の係合軸端部17a,17bをそれぞれ左右の係合凹部26a,26bに圧入することになる。このようにして圧入された状態では、歪み変形した軸支部25a,25bの弾性復元力によって支軸17にねじり応力が作用し、左右の係合凹部26a,26bにおける各扁平係合面fと、左右の係合軸端部17a,17bの各扁平係合面sとがそれぞれ強制的に圧接された状態となる。
【0045】
このように、左右の係合凹部26a,26bにおける扁平係合面fと、左右の係合軸端部17a,17bにおける扁平係合面sとが強制圧接されることで圧接部位に大きい摩擦抵抗がもたらされ、支軸17が係合凹部26a,26bから抜け出すことが抑制される。従って、搬送ベルト9を取り外した状態のコンベヤフレーム6が荷重計測部3から取り外された際に、コンベヤフレーム6が、不用意に後端側(駆動プーリ側)が下方となるように多少傾けられても、駆動プーリ7が自重によって軸支部25a,25bから抜け外れるようなことが防止される。
【0046】
また、係合軸端部17a,17bの一対ずつの扁平係合面sと係合凹部26a,26bの一対ずつの扁平係合面fとの4箇所の係合による摩擦によって全体として大きい摩擦抵抗がもたらされるので、個々の係合箇所における圧接は特に強くなくてもよい。その結果、駆動プーリ7が繰り返し脱着されても係合箇所での摩耗はほとんど無く、長期間に亘って駆動プーリ7の脱落抑止機能が発揮される。
【0047】
なお、清掃やメンテナンスの際には、計量コンベヤ1を荷重計測部3から取り外した後、後述のように、従動プーリ8を駆動プーリ7に接近移動させて搬送ベルト9を緩め、緩めた搬送ベルト9を横側方に抜き出し、左右の軸支部25a,25bに支架された駆動プーリ7を後方に強くて引くだけで簡単に抜き外すことができる。
【0048】
図8は従動プーリ8の支持構造を、図9はその支持を解除した状態をそれぞれ示す平面図であり、図10図8におけるA-A断面図であり、図11は従動プーリ8の支持構造を上方に移動させた状態の縦断側面図であり、図12及び図13は従動プーリ8の支持構造における要部の斜視図である。
【0049】
これらの図に基づいて、従動プーリ8を左右両端で支持する構造を説明する。
【0050】
従動プーリ8の両端から突出された支軸22の左右端部には、小判形の断面形状に切削された係合軸端部22aが形成されており、この係合軸端部22aが、コンベヤフレーム6の側板部6bに装着された支持部材31に回転不能に支持される。
【0051】
支持部材31はステンレス鋼の板材からなり、その後部が側板部6bの内側に沿う縦姿勢で配備され、側板部6bと支持部材31とに亘って頭部付きの連結軸32が、外側方から挿通される。連結軸32の挿通端側には、コイルバネ33が挿嵌されてナット34で抜け止め支持されており、コイルバネ33の弾力によって支持部材31が、側板部6bの内側に沿った姿勢に押圧支持される。また、ナット34を調節してコイルバネ33の圧縮量を加減することで、支持部材31を側板部6bに押圧支持する力を調節することができる。
【0052】
支持部材31の前部には、前後に長い角形の係合孔35が形成されており、この係合孔35に従動プーリ8における支軸22の係合軸端部22aが回転不能、かつ、前後移動可能に挿通支持される。そして、左右の支持部材31が支軸22の両係合軸端部22aに係合することで、支軸22の左右移動が阻止され、従動プーリ8の軸心方向での位置決めがなされる。
【0053】
支持部材31の上下には、案内片31a,31bが内向きに屈折連設されると共に、各案内片31a,31bの前端には、外れ止め爪31c,31dが屈折連設される。この案内片31a,31bで上下に位置決めされ、外れ止め爪31c,31dで内方への外れを阻止された押圧部材36が、支持部材31の内面に沿って前後移動可能、かつ、外れ止め爪31c,31dで前方一定位置以上の前方移動が制限規制された状態で装着される。
【0054】
押圧部材36もステンレス鋼の板材からなり、その後部を内向きに屈折して、平面視でL形に形成されている。そして、押圧部材36の前端部には、支軸22の円形周部に係合する前向きU形の開口37が設けられると共に、押圧部材36の後部に設けた屈折片36aの後面には、バネ受け部材38がネジ連結されている。
【0055】
他方、支持部材31の後部にも内向きに突出する屈折31eが設けられ、この屈折片31eに、前後方向にねじ込み挿通されてロックナット39で締め込み固定されるネジ軸40が装着されている。このネジ軸40の前端には、バネ受け部材41が係合支持されており、押圧部材36のバネ受け部38と支持部材31のバネ受け部材41に亘って大径のコイルバネ42が適度の圧縮状態で嵌合支持され、コイルバネ42の弾力によって押圧部材36が前方にスライド付勢され、押圧部材36に係合された支軸22が前方に押圧されることで、従動プーリ8に巻回した搬送ベルト9を前方に緊張する自動テンション構造が構成されている。
【0056】
ここで、左右の支持構造において、ネジ軸40を回動操作してバネ受け部材41を前後に位置調節することで、左右のコイルバネ42の弾力を各別に調整することができ、搬送ベルト9を所望の張力で左右均一に自動緊張することができる。
【0057】
支持部材31における屈折片31eに上端からは、コンベヤフレーム6における天板部6aの下方に入り込む舌片31fが屈折延出されている。この31f片には、上下にねじ込み貫通されてロックナット43で締め込み固定される当接部材としての当接ネジ44が装着されており、当接ネジ44の上端を天板部6aの下面に当接させることで、前端側に従動プーリ8を支持して前部が重くなっている支持部材31が、連結軸32周りに前下がり方向に回動することが阻止され、かつ、当接ネジ44の突出量を調節することで、支持部材31の連結軸32周りでの姿勢が変更されて、従動プーリ8の高さ位置が左右各別に変更調節できるようになっている。つまり、計量コンベヤ1の前端の高さ、および、左右傾斜を調節することが可能となっているのである。
【0058】
コイルバネ33によってコンベヤフレーム6における側板部6bの内面に押圧支持された支持部材31は、その前端側において横外方への大きい外力を加えると、図9に示すように、支持部材31は、側板部6bの前端との接触点pを支点として横外方に回動される。このとき、頭部32aと側板部6bの外面との当接によって内方への移動が阻止された状態で、傾斜した連結軸32に対して支持部材31の後部が側板部6bから離れて内方に傾斜移動することで、コイルバネ33が圧縮変形される。
【0059】
このように支持部材31の前部が横外方へ傾斜開放されることで、支持部31及び押圧部材36が支軸22から外され、従動プーリ8を取り外すことが可能となる。この場合、支軸22から外れて自由になった押圧部材36は、外れ止め爪31c,31dに受け止められるまで前方に付勢スライド移動することになる。
【0060】
支持部材31は、連結軸32で側板部6bに沿った姿勢に連結支持されると共に、当接ネジ44によって前下がり方向への回動が阻止されているので、図11に示すように、連結軸32を支点にして支持部材31を上方へ振り上げ回動することができる。支持部31を上方へ振り上げ回動すると、プーリ間隔が小さくなって搬送ベルト9が緩み、これに応じて押圧部材36がその緩みを吸収するように前方に付勢進出するが、押圧部材36が外れ止め爪31c,31dに受け止められる前方移動限界まで移動した後、更に支持部材31を大きく振り上げ回動することで、プーリ間隔を更に狭めて搬送ベルト9を大きく緩めることができる。これによって、搬送ベルト9を、コンベヤフレーム6の側方から容易に取外すことができる。そして、押圧部材36が前方移動限界まで移動した状態では、支軸22は押圧部材36からの前方押圧力を受けることがなく、従動プーリ8はその支軸22両端を脱落することなく左右の支持部材31に少し前後移動できる状態で係合支持された状態となり、支持部材31の前部を横外方に傾動することで、支軸22から容易に外すことができる。
【0061】
(他の実施形態)
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0062】
(1)上記実施形態では、左右の軸支部25a,25bにおける係合凹部26a,26bの扁平係合面fの方向を前後水平の同方向とし、これに対して、支軸17における一方の係合軸端部17aの扁平係合面sの方向と、他方の係合軸端部17bの扁平係合面sの方向とを僅かな角度αをもって異ならせてあるが、これとは逆に、図14に示すように、支軸17における左右の係合軸端部17a,17bの扁平係合面sの方向を同方向とし、一方の軸支部25aにおける扁平係合面fの方向と、他方の前記軸支部25bにおける扁平係合面fの方向とを僅かな角度αをもって異ならせた構造にしても上記実施形態と同等の機能をもたらすことができる。
【0063】
(2)支軸17の両端に形成する係合軸端部17a,17bの断面形状は、係合凹部26a,26bの扁平係合面fとの係合によって回動が阻止され、かつ、扁平係合面fに沿って前後にスライド移動できる非円形であるならばいかなるものでもよく、上記した小判形のみならず、例えば、外周に一つの扁平係合面sを有するD形状、あるいは、一対の扁平係合面面sを対向させた矩形にして実施することもできる。
【0064】
(3)上記実施形態では、コンベヤフレーム6の側板部6aから延出した縦板部分に軸支部25a,25bを形成して、支軸17の係合軸端部17a,17bを軸支部25a,25bの係合凹部26a,26bへ圧入した際に、軸支部25a,25bが歪み変形して支軸にねじり応力をもたらす形態を例示しているが、軸支部25a,25bを、金属ブロックを切削加工した別部品にしてコンベヤフレーム6に連結する構造とすることもできる。
【0065】
(4)上記実施形態では、駆動プーリ7に適用して説明したが、本発明は、駆動プーリに限らず、従動プーリに適用してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 搬送コンベヤ(計量コンベヤ)
3 荷重計測部
6 コンベヤフレーム
6a 天板部
6b 側板部
7 駆動プーリ
8 従動プーリ
9 搬送ベルト
16 プーリ本体
17 支軸
17a 係合軸端部
17b 係合軸端部
25a 軸支部
25b 軸支部
25c 中間クランク部
26a 係合凹部
26b 係合凹部
s 扁平係合面
f 扁平係合面
α 角度差
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14