【課題を解決するための手段】
【0007】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の錠ケース11の構造は、扉15の木口39に前板部と後板部43が平行となり、前記扉15の表裏面45に一対の側板部47,49が平行となって前記扉15の内方に固定される錠ケース11と、
少なくとも一方の前記側板部を前記前板部から前記後板部43に渡ってケース外側からケース内側に向け凹ませて形成した溝状凹部17と、
操作部材の外筒部57において軸線方向一端側となる後端部59で直径方向両端側に突出する一対の凸部19と、
前記溝状凹部17に形成され、前記外筒部57の前記各凸部19を進入させるために溝状凹部内壁69の両側を切り欠いた一対の凸部進入切欠21と、
前記溝状凹部内壁69のケース内側となる溝状凹部内壁背面23と、
前記溝状凹部内壁背面23の延長上で前記前板部に穿設されるピン挿入穴25と、
前記凸部進入切欠21に挿入される前記凸部19に穿設され、前記ピン挿入穴25に挿入されて前記溝状凹部内壁背面23に沿うピン71が貫通するピン貫通固定穴27と、
を具備することを特徴とする。
【0008】
この錠ケース11の構造では、錠ケース11の一対の側板部47,49に、前板部から後板部43に渡ってケース外側からケース内側に向け凹む溝状凹部17が形成される。このため、錠ケース11は、折り曲げや歪みに対する剛性が高まる。
外筒部57は、凸部進入切欠21に進入させた凸部19に、溝状凹部内壁背面23に沿わして挿入したピン71が貫通する。凸部19のピン貫通固定穴27を貫通したピン71は、ケース内側より、溝状凹部内壁背面23および側板部ケース内側面によって強固に支持される。これにより、操作部材は、錠ケース11からの高い引き抜き強度が得られる。
また、一対のピン71は、ケース内側で溝状凹部内壁背面23に沿って凸部19のピン貫通固定穴27に通される。一対のピン71は、ケース内側で、溝状凹部17と平行となってこの溝状凹部17を挟む補強材として働く。これにより、錠ケース11は、溝状凹部17とピン71とが一体の構造体となって、側板部47,49の強度がさらに高められることになる。
しかも、錠ケース11は、溝状凹部17、凸部進入切欠21がプレス加工によって形成される。このため、錠ケース11は、操作部材を固定するために、ピン以外の別部材を必要とせず、溶接等、作業工数を増大させずに形成できる。
【0009】
本発明の請求項2記載の錠ケース11の構造は、請求項1記載の錠ケース11の構造であって、
前記溝状凹部内壁69を切り起こして形成され、前記溝状凹部内壁背面23とで前記ピン71を挟むピンガイド片29と、
【0010】
この錠ケース11の構造では、溝状凹部内壁背面23に沿わして挿入したピン71が、ピンガイド片29と溝状凹部内壁背面23とに挟まれ、そして、凸部19のピン貫通固定穴27を貫通する。ピン71は、ケース内側にて溝状凹部内壁背面23および側板部ケース内側面によって支持され、操作部材が取り付けられる。錠ケース11は、ピンガイド片29もプレス加工によって形成でき、錠ケース11は、操作部材を固定するために、ピン以外の別部材を必要とせず、溶接等、作業工数を増大させずに形成できる。
【0011】
本発明の請求項3記載の錠ケース11の構造は、請求項1または2記載の錠ケース11の構造であって、
一対の前記溝状凹部内壁背面23のそれぞれに沿って挿入された一対の前記ピン71の先端部77を相互に離反方向に撓める乗り上げ段部75が、前記ケース内側における前記後板部43側に設けられることを特徴とする。
【0012】
この錠ケース11の構造では、一対のピン挿入穴25のそれぞれから挿入されたピン71は、凸部19のピン貫通固定穴27を貫通した後、後板部43側に設けられる乗り上げ段部75に当たる。乗り上げ段部75に当たった一対のピン71は、さらに挿入されると、先端が乗り上げ段部75に乗り上げ、先端同士が互いに離れる方向に撓められ、拡開される。これにより、ピン71とピン貫通固定穴27との間に遊びがなくなり、接触状態となって凸部19ががたつき無くピン71に固定される。また、乗り上げ段部75に乗り上げたピン71は、弾性復元力によって生じる摩擦力で、軸線に沿う方向の移動やがたつきが規制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る請求項1記載の錠ケースの構造によれば、少ない部品数で操作部材を錠ケースに固定することができ、且つ製造が容易であり、しかも、高い強度が得られる。
【0014】
本発明に係る請求項2記載の錠ケースの構造によれば、ピンガイド片と溝状凹部内壁背面とに挟まれてピンを支持することができる。また、このピンガイド片もプレス加工によって形成することができる。
【0015】
本発明に係る請求項3記載の錠ケースの構造によれば、真直なピンをピン貫通固定穴を貫通後に撓ませることによって操作部材をがたつきなく錠ケースに固定できる。