(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光電変換素子に蓄積された電荷量に応じて、前記画素出力ノードに出力される電圧の範囲が最小電圧と最大電圧の範囲で変化する場合に、前記プリチャージ電圧は、前記最小電圧である、請求項1記載の半導体装置。
前記光電変換素子に蓄積された電荷量に応じて、前記画素出力ノードに出力される電圧の範囲が最小電圧と最大電圧の範囲で変化する場合に、前記プリチャージ電圧は、前記最小電圧から、前記最大電圧と前記最小電圧の差の1/4だけ高い電圧である、請求項1記載の半導体装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態の半導体装置の構成を表わす図である。
【0014】
この半導体装置600は、画素アレイ500と、画素信号読出し線505と、第1の画素電流源502と、第2の画素電流源503と、スイッチ504とを有する。
【0015】
画素アレイ500は、受光量に応じた量の電荷を蓄積する複数の画素501を含む。
画素信号読出し線505は、画素501と接続される。
【0016】
第1の画素電流源502および第2の画素電流源503は、画素信号読出し線505上の画素出力ノードNDと接地電圧VSSとの間に並列に接続される。
【0017】
スイッチ504は、画素出力ノードNDと、第2の画素電流源503と、接地電圧VSSとを結ぶ配線経路上に設けられる。
【0018】
本実施の形態によれば、スイッチ504がオンのときに、画素501から出力される電流が、第1の画素電流源502と第2の画素電流源503の2つを介して、グランドに引き抜かれるので、画素出力ノードNDを高速に整定することができる。
【0019】
[第2の実施形態]
図2は、第2の実施形態の半導体装置の構成を表わす図である。
【0020】
この半導体装置10は、単一の半導体チップで構成されており、画素アレイ13、垂直走査回路11、画素信号読出し線VEL、電流源回路群15、A/D変換器群16、水平走査回路17、デジタル信号処理器14、タイミング発生回路12と、およびバイアス電圧生成回路18とを含む。
【0021】
画素アレイ13は、行列状に配置された複数の画素1を備える。画素1は、受光量に応じた量の電荷を蓄積する。画素信号読出し線19は、垂直方向に配線され、画素1と接続される。
【0022】
電流源回路群15は、列ごとに、画素1と接続される電流源回路2を含む。
タイミング発生回路12は、画素アレイ13および電流源回路群15内の回路の動作タイミングを制御する各種のタイミング信号を生成し、垂直走査回路を介して、画素アレイ13および電流源回路群15へ出力する。
【0023】
バイアス電圧生成回路18は、各種のバイアス電圧を生成して、電流源回路群15へ供給する。
【0024】
垂直走査回路11によって選択された行の画素から読み出された電圧信号は、A/D変換器群16内のA/D変換器によってデジタル変換される。水平走査回路17が列毎に配置されたA/D変換器を順次選択することで、デジタル変換された画素信号はデジタル信号処理器14に読み出され、その後、半導体装置10から出力される。デジタル変換された画素信号は非常に高速に読み出すことが可能である。一方、画素から読み出された電圧信号は、アナログ信号であり、読み出し速度の高速化が求められており、本実施の形態は、この高速化を実現する。
【0025】
図3は、第2の実施形態の画素と電流源回路の構成を示す図である。
図3では、画素アレイ13におけるn行目の1つの列の画素1が示されている。
【0026】
画素1は、フォドダイオードPD、転送トランジスタMT、リセットトランジスタMR、増幅トランジスタMA、および選択トランジスタMSとを含む。
【0027】
フォトダイオードPDは、入射光の光量に応じた量の電荷(ここでは電子)に光電変換して記憶する光電変換素子である。
【0028】
フローティングディフュージョンFDは、フォトダイオードPDに蓄積された電荷に対応する電圧を生成する。転送トランジスタMTは、フォトダイオードPDとフローティングディフュージョンFDとの間に接続される。
【0029】
転送トランジスタMTは、NチャネルMOSトランジスタで構成される。転送トランジスタMTのゲートは、転送制御線TCLおよび垂直走査回路11を通じて、転送制御信号TXを受ける(n行目の転送トランジスタMTは、タイミング発生回路12の指示の下、垂直走査回路11から出力される転送制御信号TX[n]を受ける)。転送トランジスタMTは、転送制御信号TXがハイレベルになるとフォトダイオードPDに蓄積された電荷がフローティングディフュージョンFDに転送される。
【0030】
リセットトランジスタMRは、NチャネルMOSトランジスタで構成される。リセットトランジスタMRは、電圧VDDを伝送する電源ラインLVDDとフローティングディフュージョンFDとの間に接続される。リセットトランジスタMRのゲートは、リセット制御線RSLおよび垂直走査回路11を通じて、リセット信号RSTを受ける(n行目のリセットトランジスタMRは、タイミング発生回路12の指示の下、垂直走査回路11から出力されるリセット信号RST[n]を受ける)。リセットトランジスタMRは、リセット信号RSTがハイレベルになると、フローティングディフュージョンFDの電圧を電源ラインLVDDの電圧VDDにリセットする。
【0031】
増幅トランジスタMAは、NチャネルMOSトランジスタで構成される。増幅トランジスタMAは、フローティングディフュージョンFDに接続されるゲートと、電源ラインLVDDに接続されるドレインと、ソースとを有する。
【0032】
選択トランジスタMSは、NチャネルMOSトランジスタで構成される。選択トランジスタMSは、増幅トランジスタMAのソースと、画素信号読出し線VELの間に接続される。選択トランジスタMSのゲートは、選択信号線SLを通じて選択信号SELを受ける(n行目の選択トランジスタMSは、タイミング発生回路12の指示の下、垂直走査回路11から出力される選択信号SEL[n]を受ける)。
【0033】
電流源回路2は、画素電流源トランジスタMBと、画素電流源トランジスタMB1と、スイッチ用トランジスタMB2とを含む。画素電流源トランジスタMBと、画素電流源トランジスタMB1と、スイッチ用トランジスタMB2は、NチャネルMOSトランジスタで構成される。
【0034】
画素電流源トランジスタMBおよび画素電流源トランジスタMB1は、画素信号読出し線VEL上の画素出力ノードPIXOUTと接地電圧VSSとの間に並列に接続される。画素電流源トランジスタMBおよび画素電流源トランジスタMB1のゲートは、バイアス電圧生成回路18から供給されるバイアス電圧VBIASを受ける。
【0035】
スイッチ用トランジスタMB3は、画素出力ノードPIXOUTと、画素電流源トランジスタMB1と、接地電圧VSSとを結ぶ配線経路上に設けられる。スイッチ用トランジスタMB3のゲートは、タイミング発生回路12から出力される制御信号φBSTを受ける。
【0036】
スイッチ用トランジスタMB2がオフのときには、増幅トランジスタMAと画素電流源トランジスタMBによって、ソースフォロファ型のアンプが構成される。スイッチ用トランジスタMB2がオンのときには、増幅トランジスタMAと画素電流源トランジスタMBおよび画素電流源トランジスタMB1によるソースフォロファ型のアンプが構成される。
【0037】
ここで、画素の光感度を高くするためにフォトダイオードPDの面積を大きくする必要があるため、増幅トランジスタMAを含む各トランジスタは小さいサイズで実装されるため、駆動力が小さい。一方、ソースフォロア型アンプの画素信号読出し線VELは数10mmもの非常に長い配線になるため、配線の寄生容量による負荷容量が大きくなる。本実施の形態では、画素電流源トランジスタを2つ設けることによって、大きな負荷容量を駆動し、画素信号の読み出し応答速度を向上させる。
【0038】
図4は、第2の実施形態におけるn行目の画素の読み出しの概要を表わす図である。
タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、選択信号SEL[n]がハイレベルに立ち上がる。
【0039】
タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、リセット信号RST[n]が立ち上ると、フローティングディフュージョンFDのノードがリセットトランジスタMRによって、電源ラインLVDDの電圧VDDにリセットされる。
【0040】
次に、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、リセット信号RST[n]が立ち下がると、リセットトランジスタMRのゲートからのチャージインジェクションによって、フローティングディフュージョンFDの電位が数100mV程度低下する。
【0041】
選択信号SEL[n]がハイレベルに設定されているので、選択トランジスタMSがオンとなり、n行目の増幅トランジスタMAと画素電流源トランジスタMBとによってソースフォロファ型のアンプが構成される。このソースフォロファ型のアンプが、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた電位を、画素信号読出し線VELに出力し、画素出力ノードPIXOUTの電圧が変化する。このときに、画素電流源トランジスタMBを通じて電流が流れる。このときの画素出力ノードPIXOUTの電位を第1の電位V1とする。
【0042】
次に、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、転送制御信号TX[n]が一定時間立ち上り、転送トランジスタMTが一定時間オンとなる。転送トランジスタMTがオンとなると、フォトダイオードPDに保持されていた電荷がフローティングディフュージョンFDに転送され、フローティングディフュージョンFDの電位が光強度に応じて、最大1V程度低下する。
【0043】
増幅トランジスタMAと画素電流源トランジスタMBとによって構成されるソースフォロファ型のアンプが、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた電位を、画素信号読出し線VELに出力し、画素出力ノードPIXOUTの電圧が変化する。このときに、画素電流源トランジスタMBを通じて電流が流れる。しかしながら、画素信号読出し線VELの長さが長いため、画素電流源トランジスタMBを通じてのみ電流が流れるだけでは、画素出力ノードPIXOUTの変化する速度が遅く、整定時間が長くなる。
【0044】
そこで、本実施の形態では、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、転送制御信号TX[n]が立ち上るタイミングと同じタイミングで、タイミング発生回路12によって制御信号φBSTがハイレベルに立ち上る。これによって、スイッチ用トランジスタMB3がオンとなり、画素電流源トランジスタMB2を通じても電流が流れるため、スルーレットが増加して、画素出力ノードPIXOUTの電圧の整定が高速に行なわれる。
【0045】
タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、転送制御信号TX[n]がロウレベルに立ち下がった後、画素1から出力される電圧が小信号応答によって支配されるまでに、タイミング発生回路12によって、制御信号φBSTをロウレベルに立ち下げることによって、画素電流源トランジスタMB1に電流が流れないようにする。これによって、低消費電力化を図る。このときの画素出力ノードPIXOUTの電位を第2の電位V2とする。
【0046】
第1の電位V1と第2の電位V2とが後段の回路(AD/変換器およびデジタル信号処理器)に送られて、第1の電位V1と第2の電位V2の差分をとることによって、画素1に記録された信号が読み出される。
【0047】
以上のように、本実施の形態によれば、画素電流源トランジスタを2つ設けることによって、画素出力の応答の高速化を容易に実現することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、画素電流源トランジスタMBおよびMB2のゲートに供給されるバイアス電圧VBIASは常時一定電圧に維持されるため、画素出力ノードPIXOUTの電圧のゆれを少なくすることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、制御信号TXと同時に制御信号φBSTをハイレベルにした後、画素1から出力される電圧が小信号応答によって支配されるまでに、制御信号φBSTをロウレベルに立ち下げることによって、画素電流源トランジスタMB1をオフにして低消費電力化を図ることにしたが、これに限定するものではない。画素の転送特性に応じてφBSTの制御信号の立ち上りタイミング、立ち下がりタイミングを変更しても良い。
【0050】
また、本実施の形態のバイアス電圧VBIASは、複数列で共有することとしてもよい。
【0051】
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、第2の実施形態と同様に、画素1からの電圧の画素信号読出し線VELへの出力時にグランド(接地電圧VSS)に引き抜く電流を増加させることによって、画素出力ノードPIXOUTの電圧の整定時間を短縮させる。第2の実施形態では、グランドに電流を引き抜く経路を画素電流源トランジスタMB以外に設けることによって、グランドに引き抜く電流を増加させた。これに対して、本実施の形態では、経路は増加させないが、画素電流源トランジスタMBに流れる電流を増加させることによって、グランドに引き抜く電流を増加させる。
【0052】
図5は、第3の実施形態の画素と電流源回路の構成を示す図である。
図5では、画素アレイ13におけるn行目の1つの列の画素1が示されている。
【0053】
画素1は、
図3の第2の実施形態の画素1と同様である。
電流源回路22は、画素電流源トランジスタMBと、スイッチ81とを備える。スイッチ81は、スイッチ用トランジスタMC2と、スイッチ用トランジスタMC3とを含む。画素電流源トランジスタMBと、スイッチ用トランジスタMC2,MC3とは、NチャネルMOSトランジスタで構成される。
【0054】
画素電流源トランジスタMBは、画素信号読出し線VEL上の画素出力ノードPIXOUTと接地電圧VSSとの間に設けられる。画素電流源トランジスタMBのゲートは、バイアス電圧VBIASと、バイアス電圧VBIASよりも高い高バイアス電圧VBIAS_HIGHのいずれかを受ける。
【0055】
スイッチ用トランジスタMC3は、バイアス電圧生成回路18から供給されるバイアス電圧VBIASを伝送する電圧線と、画素電流源トランジスタMBのゲートとの間に設けられる。
【0056】
スイッチ用トランジスタMC2は、バイアス電圧生成回路18から供給される高バイアス電圧VBIAS_HIGHを伝送する電圧線と、画素電流源トランジスタMBのゲートとの間に設けられる。
【0057】
スイッチ用トランジスタMC2のゲートは、タイミング発生回路12から制御信号φBSTを受ける。スイッチ用トランジスタMC3のゲートは、タイミング発生回路12から制御信号/φBSTを受ける。
【0058】
増幅トランジスタMAと画素電流源トランジスタMBによって形成されるソースフォロファ型のアンプによって選択された行の画素信号が読み出される。本実施の形態では、画素電流源トランジスタMBのゲートに高い電圧を与えることによって、画素電流源トランジスタMBを経由してグランドに流れる電流を増加させることによって、画素信号の読み出し応答速度を向上させる。
【0059】
次に、第2の実施形態で用いた同じ
図4を用いて、本実施の形態のn行目の画素の読み出しの概要を表わす図である。
【0060】
タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、選択信号SEL[n]がハイレベルに立ち上がる。
【0061】
タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、リセット信号RST[n]が立ち上ると、フローティングディフュージョンFDのノードがリセットトランジスタMRによって、電源ラインLVDDの電圧VDDにリセットされる。
【0062】
次に、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、リセット信号RST[n]が立ち下がると、リセットトランジスタMRのゲートからのチャージインジェクションによって、フローティングディフュージョンFDの電位が数100mV程度低下する。
【0063】
選択信号SEL[n]がハイレベルに設定されているので、選択トランジスタMSがオンとなり、n行目の増幅トランジスタMAと画素電流源トランジスタMBとによってソースフォロファ型のアンプが構成される。このソースフォロファ型のアンプが、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた電位を、画素信号読出し線VELに出力し、画素出力ノードPIXOUTの電圧が変化する。このときに、画素電流源トランジスタMBを通じて電流が流れる。制御信号φBSTがロウレベルのため、スイッチ用トランジスタMC2がオフで、スイッチ用トランジスタMC3がオンの状態であるため、画素電流源トランジスタMBのゲートに与えられる電圧は、低い側のバイアス電圧VBIASである。このときの画素出力ノードPIXOUTの電位を第1の電位V1とする。
【0064】
次に、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、転送制御信号TX[n]が一定時間立ち上り、転送トランジスタMTが一定時間オンとなる。転送トランジスタMTがオンとなると、フォトダイオードPDに保持されていた電荷がフローティングディフュージョンFDに転送され、フローティングディフュージョンFDの電位が光強度に応じて、最大1V程度低下する。
【0065】
増幅トランジスタMAと画素電流源トランジスタMBとによって構成されるソースフォロファ型のアンプが、フローティングディフュージョンFDの電位に応じた電位を、画素信号読出し線VELに出力し、画素出力ノードPIXOUTの電圧が変化する。
【0066】
本実施の形態では、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、転送制御信号TX[n]が立ち上るタイミングと同じタイミングで、タイミング発生回路12によって制御信号φBSTがハイレベルに立ち上る。これによって、スイッチ用トランジスタMC2がオンで、スイッチ用トランジスタMC3がオフとなり、画素電流源トランジスタMBのゲートに与えられる電圧は、高い側のバイアス電圧VBIAS_HIGHとなる。その結果、画素電流源トランジスタMBを通じて流れる電流が増加するため、スルーレットが増加して、画素出力ノードPIXOUTの電圧の整定が高速に行なわれる。
【0067】
タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、転送制御信号TX[n]がロウレベルに立ち下がった後、画素1から出力される電圧が小信号応答によって支配されるまでに、タイミング発生回路12によって、制御信号φBSTをロウレベルに立ち下げることによって、画素電流源トランジスタMBに低い側のバイアス電圧VBIASが供給されるようにすることによって、低消費電力化を図る。このときの画素出力ノードPIXOUTの電位を第2の電位V2とする。
【0068】
第1の電位V1と第2の電位V2とが後段の回路(AD/変換器およびデジタル信号処理器)に送られて、第1の電位V1と第2の電位V2の差分をとることによって、画素1に記録された信号が読み出される。
【0069】
以上のように、本実施の形態によれば、画素電流源トランジスタのゲートに与える電圧を大きな電圧に切り替えることによって、画素出力の応答の高速化を容易に実現することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、高インピーダンスである画素電流源トランジスタMBのゲートに接続される電圧を切り替えることよって、瞬時電流の発生を抑え、画素1などへの回り込みノイズを低減することができる。
【0071】
なお、本実施の形態では、制御信号TXと同時に制御信号φBSTをハイレベルにした後、画素1から出力される電圧が小信号応答によって支配されるまでに、制御信号φBSTをロウレベルに立ち下げることによって、画素電流源トランジスタMBにバイアス電圧VBIASが供給されるようにすることにして低消費電力化を図ることにしたが、これに限定するものではない。画素の転送特性に応じてφBSTの制御信号の立ち上りタイミング、立ち下がりタイミングを変更しても良い。
【0072】
なお、本実施の形態のバイアス電圧VBIAS、VBIAS_HIGHは、複数列で共有することとしてもよい。
【0073】
[第4の実施形態]
図6は、第4の実施形態の画素と画素電流源の構成を示す図である。
【0074】
電流源回路32は、画素電流源トランジスタMBと、スイッチ用トランジスタMCとを含む。画素電流源トランジスタMBと、スイッチ用トランジスタMCは、NチャネルMOSトランジスタで構成される。
【0075】
画素電流源トランジスタMBは、画素信号読出し線VEL上の画素出力ノードPIXOUTと接地電圧VSSとの間に設けられる。画素電流源トランジスタMBのゲートは、バイアス電圧VBIASを受ける。
【0076】
スイッチ用トランジスタMCは、画素出力ノードPIXOUTと、プリチャージ電圧VPREを伝送する電圧線との間に設けられる。スイッチ用トランジスタMCのゲートは、タイミング発生回路12から制御信号φPCを受ける。
【0077】
本実施の形態では、フォトダイオードPDに蓄積された電荷量に応じて、画素出力ノードPIXOUTに出力される電圧の範囲が最小電圧VMINと最大電圧VMAXの範囲で変化する場合に、プリチャージ電圧VPRSは、最小電圧VMINとする。
【0078】
図7は、バイアス電圧生成回路18の構成を表わす図である。
図7を参照して、バイアス電圧生成回路18は、DAC(Digital to Analog Converter)93と、画素ダミー91と、オペアンプ92と、定電流源94とを含む。
【0079】
DAC93は、デジタル信号codeをアナログ信号に変換して画素ダミー91へ出力する。
【0080】
画素ダミー91は、画素1と同様に、電源電圧VDDと、グランドとの間に設けられるトランジスタMAと、トランジスタMSを含む。トランジスタMAおよびトランジスタMSは、画素1に含まれる増幅トランジスタMAおよび選択トランジスタMSと同じ素子である。
【0081】
トランジスタMAのゲートは、DAC93の出力を受ける。トランジスタMSのゲートは、電源電圧VDDを受ける。
【0082】
画素ダミー91から出力される電流は、定電流源94を介してグランドへ流れる。
オペアンプ92は、画素ダミー91の出力を増幅して、プリチャージ電圧VPRSを出力する。
【0083】
このバイアス電圧生成回路18では、DAC93の入力コードcodeを制御することによって、プリチャージ電圧VPRSの大きさの制御が可能となる。また、画素ダミー91を用いることで、入力トランジスタMAのチップ間での閾値バラツキをキャンセルすることができ、チップ間のバラツキによらずに、最大電圧VMAXおよび最小電圧VMINに対してプリチャージ電圧VPRSの大きさを適切に設定することができる。
【0084】
図8は、第4の実施形態におけるn行目の画素の読み出しの概要を表わす図である。
タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、選択信号SEL[n]がハイレベルに立ち上がる。
【0085】
タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、リセット信号RST[n]が立ち上ると、フローティングディフュージョンFDのノードがリセットトランジスタMRによって、電源ラインLVDDの電圧VDDにリセットされる。
【0086】
次に、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、リセット信号RST[n]が立ち下がると、リセットトランジスタMRのゲートからのチャージインジェクションによって、フローティングディフュージョンFDの電位が数100mV程度低下する。
【0087】
選択信号SEL[n]がハイレベルに設定されているので、選択トランジスタMSがオンとなり、n行目の増幅トランジスタMAと画素電流源トランジスタMBとによってソースフォロファ型のアンプが構成される。ソースフォロファ型のアンプが、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅して、画素信号読出し線VELに出力し、ノードPIXOUTの電圧が変化する。このときに、画素電流源トランジスタMBを通じて電流が流れる。このときの画素出力ノードPIXOUTの電位を第1の電位V1とする。
【0088】
次に、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、転送制御信号TX[n]が一定時間立ち上り、転送トランジスタMTが一定時間オンとなる。転送トランジスタMTがオンとなると、フォトダイオードPDに保持されていた電荷がフローティングディフュージョンFDに転送され、フローティングディフュージョンFDの電位が光強度に応じて、最大1V程度低下する。
【0089】
ソースフォロファ型のアンプが、フローティングディフュージョンFDの電位を増幅して、画素信号読出し線VELに出力し、画素出力ノードPIXOUTの電圧が変化する。
【0090】
本実施の形態では、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、転送制御信号TX[n]が立ち上るタイミングと同じタイミングで、タイミング発生回路12によって制御信号φPCがハイレベルに立ち上る。これによって、スイッチ用トランジスタMCがオンとなり、画素信号読出し線VELおよび画素出力ノードPIXOUTの電圧を一旦、低い電圧VPRSにチャージする。
【0091】
その後、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、転送制御信号TX[n]が立ち下がるタイミングよりも前に、タイミング発生回路12によって制御信号φPCがロウレベルに変化する。これにより、画素信号読出し線VELおよび画素出力ノードPIXOUTの電圧は、プリチャージ電圧VPRSを初期値として、フローティングディフュージョンFDの電圧に応じた電圧レベルに変化する。
【0092】
このように画素出力ノードPIXOUTの電圧を一旦プリチャージ電圧VPRSに下げてから増加させたのは、以下の理由によるものである。ソースフォロファ型アンプは、立下り応答時には画素電流源トランジスタMBを流れるバイアス電流でスルーレートが制限されるため動作速度が遅いが、立ち上がり応答時には、増幅トランジスタMAのゲート・ソース間電圧に応じた電流で画素電流源トランジスタMBが駆動されるため動作速度が速いという特性があるからである。
【0093】
また、フローティングディフュージョンFDの電圧によって画素出力ノードPIXOUTの電圧が最小電圧VMIN〜最大電圧VMAXまで変化する場合、プリチャージ電圧VPRSを最小電圧VMINに設定することによって、転送制御信号TX[n]が立ち下がった後には、画素出力ノードPIXOUTの電圧は必ず増加する。これによって、画素出力ノードPIXOUTの電圧の整定を高速化することができる。
【0094】
以上のように、本実施の形態によれば、スイッチ用トランジスタMCを追加するだけで、非常に小面積で画素出力の応答の高速化が可能となる。
【0095】
なお、本実施の形態では、転送制御信号TX[n]が立ち上るタイミングと同じタイミングで制御信号φPCがハイレベルに立ち上げ、転送制御信号TX[n]が立ち下がるタイミングよりも前に、制御信号φPCがロウレベルに変化させた。つまり、転送トランジスタMTがオンの期間の一部の期間にスイッチ用トランジスタMCがオンとなったが、これに限定するものではない。
【0096】
たとえば、制御信号φPCがハイレベルに立ち上がるタイミングは、第1の電位V1が整定された後であれば、転送制御信号TX[n]が立ち上るタイミングよりも早いタイミングでもよい。さらに、制御信号φPCがロウレベルに立ち下げるタイミングも、転送制御信号TX[n]が立ち上がるタイミングよりも早いタイミングでもよい。つまり、この場合には、転送トランジスタMTがオンとなる前の期間にスイッチ用トランジスタMCがオンとなる。
【0097】
また、本実施の形態では、転送トランジスタMTがオンした際の整定の高速化について説明したが、リセットトランジスタMRがオンした際の整定の高速化に対しても同様に適応できる。
【0098】
[第4の実施形態の変形例]
本変形例では、プリチャージ電圧VPRSを、最大電圧VMAXと最小電圧VMINの中間値よりやや低い電圧、例えば、プリチャージ電圧VPRSを最小電圧MINから、最大電圧MAXと最小電圧MINの差の1/4だけ高い電圧にする。
【0099】
この場合、画素出力ノードPIXOUTの電圧の最終値が最大電圧VMAXの時、(VMAX−VIN)の75%の振幅を整定する必要があるが、画素出力は立ち上がり応答のため、高速に応答する。
【0100】
一方、画素出力ノードPIXOUTの電圧の最終値が最小電圧VMINの時、画素出力は立下り応答のため応答速度は低いが、整定が必要な振幅は(VMAX−VMIN)の1/4と小さいため整定時間は短くなる。
【0101】
[第5の実施形態]
第4の実施形態において、タイミング発生回路12によって制御信号φPCをハイレベルにして、スイッチ用トランジスタMCをオンに設定して、画素信号読出し線VELおよび画素出力ノードPIXOUTをプリチャージしているときに、オン状態の選択トランジスタMSを通じて画素1へ貫通電流が流れることにより、画素出力ノードPIXOUTの電圧にノイズが生じる場合がある。
【0102】
本実施の形態は、
図9に示すように、タイミング発生回路12によって制御信号φPCをハイレベルにして、スイッチ用トランジスタMCをオンに設定して、画素信号読出し線VELおよび画素出力ノードPIXOUTの電圧をプリチャージ電圧VPRSにプリチャージしているときには、タイミング発生回路12および垂直走査回路11によって、選択信号SELをロウレベルに設定して選択トランジスタMSをオフにする。
【0103】
これによって、電源電圧VDDとプリチャージ電圧VPRS間のパスが開放されるため、制御信号φPCがオンしている間に発生する貫通電流を回避することができる。
【0104】
[第6の実施形態]
第6の実施形態は、画素出力ノードPIXOUTの電圧が整定されたかどうかを自動的に検知する。
【0105】
図10は、第6の実施形態の画素と画素電流源の構成を示す図である。
画素電流源52は、画素電流源トランジスタMBと、検出ダイオードDXと、オペアンプ51とを含む。画素電流源トランジスタMBは、NチャネルMOSトランジスタで構成される。
【0106】
画素電流源トランジスタMBは、画素信号読出し線VEL上の画素出力ノードPIXOUTと接地電圧VSSとの間に設けられる。画素電流源トランジスタMBのゲートは、バイアス電圧VBIASを受ける。
【0107】
検出ダイオードDXは、増幅トランジスタMAのドレインノードと、電源電圧VDDとの間に設けられる。検出ダイオードDXのソースを検出ノードVxとする。
【0108】
オペアンプ51の一方の入力端子は検出ノードVxと接続し、オペアンプ51の他方の入力端子は基準電圧VD_REFを受ける。オペアンプ51の出力端子は、画素電流源トランジスタMBのゲートに接続する。検出ノードVxの電圧をオペアンプ51で検出して、画素1からの出力が整定していないことを検知した場合には、過渡的に大きなバイアス電流を流すことで、画素出力の応答を高速化させる。
【0109】
転送トランジスタMTがオンして、フローティングディフュージョンFDの電位が大きく低下した直後に、画素出力ノードPIXOUTが応答していない場合、増幅トランジスタMAのゲート・ソース間電圧が低下し、増幅トランジスタMAを流れる電流がオフする。増幅トランジスタMAの電流がオフするため、検出ダイオードDXから供給される電流によって検出ノードVxの電位が上昇する。検出ノードVxの電位の上昇をオペアンプ51で検出および増幅する。その結果、画素電流源トランジスタMBのゲートに高い電圧が供給されるので、画素電流源トランジスタMBに流れる電流が増加し、ソースフォロファ型アンプの立下り応答を高速化する。
【0110】
画素出力ノードPIXOUTが十分に応答すると、増幅トランジスタMAに電流が流れ始め、検出ノードVxが低下し、画素電流源トランジスタMBのゲートに供給される電圧が下がるため、画素電流源トランジスタMBの電流がオフする。オペアンプ51のコモンモード電圧をバイアス電圧VBIASとすることで、検出ノードVxの電圧が基準電圧VD_REFに一致するまで低下したときの画素電流源トランジスタMBのゲート電位はVBIASとなり、定常電流が流れる。
【0111】
ここで、検出ダイオードDXは、画素1内の増幅トランジスタMAに対して十分に大きな素子を配置することで、検出ノードVxが、画素出力ノードPIXOUTよりも十分に高速に応答する。
【0112】
以上のように、本実施の形態によれば、画素からの出力の応答不足を自動検知することによって、制御信号を追加することなく、画素からの信号を高速に読出すことができる。
【0113】
なお、基準電圧VD_REFは複数列で共有することで、各列には配線のみを追加するようにすることもできる。
【0114】
[第7の実施形態]
図11は、第7の実施形態の画素と電流源回路の構成を示す図である。
【0115】
図11では、画素アレイ13におけるn行目の1つの列の画素61が示されている。
画素61は、リセットトランジスタMR、増幅トランジスタMA、選択トランジスタMS、2つの転送トランジスタMT1,MT2を2つのフォトダイオードPD1,PD2で共有する構成(2.5トランジスタ構成)である。
【0116】
画素61は、フォドダイオードPD1,PD2、転送トランジスタMT1,MT2、リセットトランジスタMR、増幅トランジスタMA、および選択トランジスタMSとを含む。
リセットトランジスタMR、増幅トランジスタMA、および選択トランジスタMSについては、第2の実施形態で説明したものと同様なので、説明を繰り返さない。
【0117】
フォトダイオードPD1,PD2は、入射光の光量に応じた量の電荷(ここでは電子)に光電変換して記憶する光電変換素子である。
【0118】
転送トランジスタMT1は、NチャネルMOSトランジスタで構成される。転送トランジスタMT1のゲートは、転送制御線TCL1を通じて、垂直走査回路11から出力される転送制御信号TX1を受ける((2n−1)行目の転送トランジスタMT1は、転送制御信号TX1[n]を受ける)。転送トランジスタMT1は、転送制御信号TX1がハイレベルになるとフォトダイオードPD1に蓄積された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0119】
転送トランジスタMT2は、NチャネルMOSトランジスタで構成される。転送トランジスタMT2ゲートは、転送制御線TCL2を通じて、垂直走査回路11から出力される転送制御信号TX2受ける(2n行目の転送トランジスタMT2は、転送制御信号TX2[n]を受ける)。転送トランジスタMT2は、転送制御信号TX2がハイレベルになるとフォトダイオードPD2に蓄積された電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0120】
電流源回路32は、第4の実施形態で説明したものと同様なので説明を繰り返さない。
図12は、第7の実施形態におけるn行目の画素の読み出しの概要を表わす図である。
【0121】
図12に示すように、(2n−1)行目の転送制御信号TX1[n]信号と2n行目の転送制御信号TX2のそれぞれに合わせて、制御信号φPCをオンさせることで、各行の画素信号の読出しを高速化させることが可能である。その他の動作は、第4の実施形態で説明した動作と同じのため、説明を繰り返さない。
【0122】
本実施の形態では、第4の実施形態の方法を用いた2.5トランジスタ構成の画素の高速読出しについて説明したが、これに限定されるものではない。第1〜第3、第5、第6の実施形態の方法を用いて、2.5トランジスタ構成の画素の読出しの高速化を図ることもできる。
【0123】
また、リセットトランジスタMR、増幅トランジスタMA、選択トランジスタMS、および4つの転送トランジスタを4つのフォトダイオードで共有する構成(1.75トランジスタ構成)についても、第1〜第6の実施形態の方法を用いて、高速読出しを実現することができる。
【0124】
なお、本実施の形態において、トランジスタMB,MB1,MB2,MC,MC2,MC3は、NチャネルMOSトランジスタで構成されるとして説明したが、PチャネルMOSトランジスタで構成されるものとしてもよい。また、スイッチとして用いられるトランジスタMB1,MC,MC2,MC3は、トランスファゲートで構成されるものとしてもよい。
【0125】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。