【実施例】
【0030】
以下、上記構成の本発明の電源切替回路につき、その実施の形態を具体的な実施例のレベルで詳しく説明する。
図1は本発明の実施例の電源切替回路の構成を示す回路図、
図2は本発明の実施例の電源切替回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0031】
図1において、Aは電源切替回路、11は電圧が高いメインの第1の電源、12は電圧が低いサブの第2の電源、13は負荷回路、14は電圧判定回路、15は機械式リレー、16はシリーズレギュレータである。21はハイサイドの電源供給ラインLHにおける電源切替回路Aの入力端子であり、これに第1の電源11の出力端子(平滑コンデンサC11の正極端子)が接続されている。22はローサイドの電源供給ラインLLにおける入力端子であり、これに第2の電源12の出力端子が接続されている。23はグランドライン(コモンライン)LGにおける入力端子、24はハイサイドの出力端子、25はグランドラインの出力端子である。
【0032】
第1の電源11は、トランスT11の二次巻線N12の両端間に接続されたダイオードD11と平滑コンデンサ(電解コンデンサ)C11の直列回路からなる整流平滑回路で構成されている。トランスT11の一次巻線N11の前段には例えば電力変換回路(図示せず)が接続されている。第2の電源12は、典型的にはバッテリ(蓄電池)E11で構成されている。負荷回路13は、例えばDC/DCコンバータである。電源切替回路Aは、第1の電源11と第2の電源12を選択的に切り替えるものであり、電圧判定回路14と機械式リレー15とシリーズレギュレータ16で構成されている。
【0033】
機械式リレー15は、各電源11,12からの入力端子21,22を出力端子24に対して接続切り替えするスイッチ手段の一例である。この機械式リレー15は、駆動コイル15aとトランスファ接点15bから構成されている。駆動コイル15aはスイッチ駆動手段の一例である。トランスファ接点15bは、平常時にアクティブとなるb接点がローサイドの電源供給ラインLLに接続され、駆動時にアクティブとなるa接点がハイサイドの電源供給ラインLHに接続され、c接点がハイサイドの出力端子24に接続されている。機械式リレー15におけるトランスファ接点15bは、第1の電源11側の入力端子21に接続されるa接点と、第2の電源12側の入力端子22に接続されるb接点と、ハイサイドの出力端子24に接続されるc接点と、c接点に設けられた切り替え動作の作動子dを有している。作動子dは常時はb接点に接触して、第2の電源12をハイサイドの出力端子24に接続する状態を形成し、駆動コイル15aが通電励磁されると、a接点側に切り替えられて、第1の電源11をハイサイドの出力端子24に接続する状態を形成するようになっている。本実施例ではc接点数が1つであるが、この形式のトランスファ接点は「1c接点」とも呼ばれる。
【0034】
電圧判定回路14は、バイアス用の抵抗素子R11,R12と定電圧素子としてのツェナーダイオードZD11とリレー駆動用のスイッチング素子としてのNPN型のトランジスタQ11で構成されている。第1の電源11側の入力端子21にバイアス用の抵抗素子R11を介してツェナーダイオードZD11のカソード(ハイサイド端子)が接続されている。ツェナーダイオードZD11のアノード(ローサイド端子)はバイアス用の抵抗素子R12を介してグランドラインLGに接続されている。リレー駆動用のトランジスタQ11は、そのベース(制御端子)がツェナーダイオードZD11のアノードとバイアス用の抵抗素子R12との接続点に接続され、そのエミッタ(ローサイド端子)がグランドラインLGに接続され、そのコレクタ(ハイサイド端子)が機械式リレー15における駆動コイル15aの一端に接続されている。駆動コイル15aの他端は第1の電源11側の入力端子21に接続されている。
【0035】
シリーズレギュレータ16は、降圧用のスイッチング素子としてのNPN型のトランジスタQ12とバイアス用の抵抗素子R13と定電圧素子としてのツェナーダイオードZD12で構成されている。降圧用のトランジスタQ12は、そのコレクタ(ハイサイド端子)がローサイドの電源供給ラインLL(b接点)に接続され、そのエミッタ(ローサイド端子)がハイサイドの出力端子24(c接点)に接続されている。バイアス用の抵抗素子R13は、降圧用のトランジスタQ12のベース(制御端子)とコレクタ(ハイサイド端子)との間に接続されている。ツェナーダイオードZD12は、そのカソード(ハイサイド端子)がトランジスタQ12のベース(制御端子)に接続され、そのアノード(ローサイド端子)がグランドラインLGに接続されている。このシリーズレギュレータ16においては、降圧用のトランジスタQ12がトランスファ接点15bのb接点とc接点との間にバイパス的に接続されている。
【0036】
次に、上記のように構成された本発明実施例の電源切替回路Aの動作を
図2のタイミングチャートを用いて説明する。
図2(a)は第1の電源11の電圧V11の変化を第2の電源12の電圧V12やシリーズレギュレータ16による一定電圧V12′や電圧判定回路4の判定基準の規定値Vthと比較して示すタイミングチャート、
図2(b)はハイサイドの出力端子24に現れる出力電圧Vout の変化を示すタイミングチャートである。
図2(a)と
図2(b)のタイミングは同期して表示されている。
【0037】
いま、タイミング的にt0より前の時間帯であって、電圧の高い第1の電源11が停止状態にあり、電圧V11はゼロレベルになっているとする。このとき、電圧判定回路14は動作せず、機械式リレー15も不動作である。トランスファ接点15bはb接点に接触し、電圧の低い第2の電源12から負荷回路13に対して給電が行われている。
【0038】
次に、タイミングt0において第1の電源11が起動されたとする。このとき、トランスT11において、その一次巻線N11から誘起されて二次巻線N12に生じた電力はダイオードD11によって半波整流され、平滑コンデンサC11に対して充電が開始される。平滑コンデンサC11の正極端子に現れる電圧V11は電圧判定回路14に印加され、次第に上昇していく(タイミングt0〜t3の期間)。この電圧V11が規定値Vthを上回るに至ったタイミングt1において、電圧判定回路14はリレー駆動信号を機械式リレー15に対して出力する。すなわち、平滑コンデンサC11に現れる電圧V11が次第に増加して、ツェナーダイオードZD11のカソード印加電圧がツェナー電圧を超えるまでに電圧V11が上昇すると、ツェナーダイオードZD11が導通するに至る。その結果、リレー駆動用のトランジスタQ11のベースにバイアス用の抵抗素子R12における電圧降下による電圧が印加されてリレー駆動用のトランジスタQ11が導通する。そして、リレーの駆動コイル15aに電流が流れ、駆動コイル15aが励磁され、トランスファ接点15bの切り替わり動作が始まる。すなわち、それまでb接点に接触していた作動子dがタイミングt1においてb接点から離れ、次いで微小時間が過ぎたタイミングt2においてa接点に接触する状態へと遷移する。機械式リレー15の駆動には第1の電源11の電圧V11が用いられる。
【0039】
この場合に重要なことは、第2の電源12がバッテリE11であって電圧精度が悪いために電圧V12が第1の電源11の電圧V11よりも高くなっているか否かには関係なく、トランスファ接点15bの切り替えが確実に行われるということである。すなわち、第1の電源11の電圧V11を監視し、規定値Vthを超えるに至ると、リレー駆動を指示する電圧判定回路14の機能が働くからである。電圧判定回路14の動作条件は、もっぱら第1の電源11の電圧V11のレベルであって、第2の電源12の電圧V12の状態には関係しないからである。よって、第1の電源11を起動して、その電圧V11が規定値Vthに達し、そのことを電圧判定回路14が検出しさえすれば、第2の電源12の給電状態から第1の電源11の給電状態へと確実に切り替えることができる。つまり、2つのダイオードのカソードを出力端子に対して並列接続した従来例とは異なり、第2の電源12の電圧V12の状態の如何にかかわりなく、第2の電源12から第1の電源11への給電切り替えを確実なものにすることができる。
【0040】
特に、負荷回路13がDC−DCコンバータである場合には、異常出力状態のバッテリからの過剰に高い電圧(第1の電源11の電圧V11よりも高い電圧)が印加されるような事態は避けなければならない。しかし、本発明実施例によれば、バッテリの過剰高電圧を下げるための大掛かりな降圧回路については、これを必要としないですむ。
【0041】
このトランスファ接点15bの第2の電源12側から第1の電源11側への切り替えの途中(タイミングt1〜t2の移行期間T1)では、短時間のことではあるが、トランスファ接点15bは一時的に第1および第2のいずれの電源11,12とも繋がっていないニュートラルな状態となる。すると、シリーズレギュレータ16が電圧の低い第2の電源12の電圧V12をさらに下げた電圧V12′の状態で、出力端子24に出力する状態が生じる。つまり、ニュートラル状態が生じるとしても、出力電圧Vout が急降下して給電停止ないし給電劣化が発生するといったことは避けられ、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、負荷回路13に対する給電の状態は継続されることになる。これがシリーズレギュレータ16による効果である。
【0042】
タイミングt2において、トランスファ接点15bがb接点に接触するに至り、トランスファ接点15bのc接点には電圧の高い第1の電源11の電圧V11が印加されるようになり、これよりやや遅れたタイミングt3において電圧V11は平滑コンデンサC11の満充電時の定格電圧V11max で安定化する(タイミングt3〜t4の定常期間T2)。定格電圧V11max の大きさは
図2(a),(b)において上向き矢印で表されている。
【0043】
次に、タイミングt4において、再度、第1の電源11を停止させると、第1の電源11の電圧V11が次第に降下し、タイミングt5において規定値Vthを下回るようになって、ツェナーダイオードZD11が導通状態から非導通状態へと遷移し、バイアス用の抵抗素子R12の両端電圧が消失する結果、リレー駆動用のトランジスタQ11がターンオフする。すると、駆動コイル15aへの通電がなくなり、機械式リレー15が反転動作して、それまで第1の電源11側のa接点に繋がっていたトランスファ接点15bを第2の電源12側のb接点に切り替える動作を開始する。この切り替え動作中においても上記同様のニュートラル状態が生じるが、シリーズレギュレータ16の働きにより、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、出力端子24に対する給電の状態は継続されることになる(タイミングt5〜t6の移行期間T3)。タイミングt6ではトランスファ接点15bがb接点に接触し、シリーズレギュレータ16の電圧V12′に代わって、第2の電源12の電圧V12が出力される。
【0044】
シリーズレギュレータ16が動作するのは、タイミングt1〜t2の移行期間T1とタイミングt5〜t6の移行期間T3のみである。すなわち、トランスファ接点15bが切り替わり途上のニュートラル状態となっている期間のみである。
【0045】
以上において、第1の電源11あるいは第2の電源12と出力端子24とを結ぶ線路に挿入されるのはトランスファ接点15bであり、これは従来例の場合のダイオードと比べると抵抗値が実質的にゼロか極めて小さいものであるから、電源切替回路Aでの電力損失は大幅に低減される。加えて、給電主体を第2の電源12から第1の電源11に切り替える条件として、電圧判定回路14による第1の電源11の電圧V11が規定値Vthを超えることであるので、第2の電源12の電圧V12の状態からは影響を受けないで済む。すなわち、第2の電源12が相対的に電圧精度の悪いバッテリであって、第1の電源11よりも高い電圧を出力する事態に対しても、第2の電源12から第1の電源11への確実な切り替えのために、小型化、コスト面で不利な降圧回路を用いる必要がなく、簡易に対応することが可能である。
【0046】
さらに、シリーズレギュレータ16を設けてあるので、スイッチ手段としてニュートラル状態が生じる機械式リレー15を採用しても、出力電圧Vout が急降下して給電停止ないし給電劣化が発生することを防止し、負荷回路13に対して安定的に給電することができる。
【0047】
なお、スイッチ手段として機械式リレー15に代えて可動部分を持たない無接点型の半導体リレーを用いてもよく、機械式リレーよりも高信頼性で高速切り換えが期待できる。その一例として、半導体リレー(フォトMOSリレー)を挙げることができる。
【0048】
図3はスイッチ手段としてフォトMOSリレーを用いた場合の別の実施例の電源切替回路の構成を示す回路図である。
図3において、先の実施例の
図1で用いたのと同一符号は同一の構成要素を指すものとし、詳しい説明は省略する。本実施例で特徴ある部分はフォトMOSリレー26である。このフォトMOSリレー26は、ノーマリクローズ型のフォトMOSリレー26aとノーマリオープン型のフォトMOSリレー26bとで構成されている。ノーマリクローズ型のフォトMOSリレー26aは、そのフォトMOSスイッチQ21が発光ダイオードLED1の消灯状態で導通し、点灯状態で遮断する。ノーマリオープン型のフォトMOSリレー26bは、そのフォトMOSスイッチQ22が発光ダイオードLED2の消灯状態で遮断し、点灯状態で導通する。2つの発光ダイオードLED1,LED2は直列に接続され、発光ダイオードLED1のアノードは電圧判定回路14における抵抗素子R11に接続され(ノードN1)、発光ダイオードLED2のカソードは電圧判定回路14におけるトランジスタQ11のコレクタに接続されている(ノードN2)。フォトMOSスイッチQ21は、その高電位側端子が第2の電源12側の入力端子22に接続され(ノードN3)、その低電位側端子がハイサイドの出力端子24に接続されている(ノードN4)。フォトMOSスイッチQ22は、その高電位側端子が第1の電源11側の入力端子21に接続され(ノードN1)、その低電位側端子がハイサイドの出力端子24に接続されている(ノードN4)。フォトMOSスイッチQ21の低電位側端子とフォトMOSスイッチQ22の低電位側端子とはハイサイドの出力端子24に対して並列に接続されている。
【0049】
図4と
図5はノーマリクローズ型のフォトMOSリレー26aとノーマリオープン型のフォトMOSリレー26bの詳しい回路構成と動作態様を示す。
図4は消灯状態を表し、
図5は点灯状態を表す。ノードN1〜N4は、
図3と
図4、
図5とで対応している。フォトMOSスイッチQ21,Q22のそれぞれは、ゲートどうしが共通接続された2つのMOS‐FET Q21a,Q21b(Q22a,Q22b)と、各MOS‐FETのソース‐ドレイン間のボディダイオードD21a,D21b(D22a,D22b)と、光電変換素子としての光電池SC21,SC22と、放電経路を形成するダイオードD21c,D22cやサイリスタTH21,TH22などを備えている。
【0050】
次に、
図3の実施例の電源切替回路の動作を説明する。
【0051】
図2のタイミングt0以前で、電圧の高い第1の電源11が停止状態にあるとき、電圧判定回路14は動作せず、フォトMOSリレー26では両発光ダイオードLED1,LED2は消灯しており、ノーマリクローズ型のフォトMOS‐FET Q21は導通状態にあり、ノーマリオープン型のMOS‐FET Q22は非導通状態となっている。したがって、電圧の低い第2の電源12から負荷回路13に対して給電が行われている。
図4では、光電池SC21,SC22は不動作で、サイリスタTH21,TH22は導通状態であり、ノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21のゲートとノーマリオープン型のMOS‐FET Q22のゲートはともにバイアスがない状態となっている。
【0052】
次に、タイミングt0において第1の電源11が起動され、平滑コンデンサC11に現れる電圧V11が次第に増加して、ツェナーダイオードZD11のカソード印加電圧がツェナー電圧を超えるまでに電圧V11が上昇すると、ツェナーダイオードZD11が導通するに至る。その結果、リレー駆動用のトランジスタQ11が導通する。そして、
図5に示すように、両発光ダイオードLED1,LED2が点灯し、ノーマリクローズ型のフォトMOS‐FET Q21は非導通状態に反転し、ノーマリオープン型のフォトMOS‐FET Q22が導通状態に反転する。
図5では、光電池SC21,SC22が動作し、サイリスタTH21,TH22は転流オフし、ノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21のゲートは逆バイアスで“L”レベルとなり、ノーマリオープン型のMOS‐FET Q22のゲートは順バイアスで“H”レベルとなる。
【0053】
この切り替えの途中(タイミングt1〜t2の移行期間T1)では、短時間のことではあるが、フォトMOSリレー26における2つのフォトMOS‐FET Q21,Q22は一時的に第1および第2のいずれの電源11,12とも繋がっていないニュートラルな状態となる。すると、先の実施例と同様に、シリーズレギュレータ16が電圧の低い第2の電源12の電圧V12をさらに下げた電圧V12′の状態で、出力端子24に出力する状態が生じる。つまり、ニュートラル状態が生じ、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、負荷回路13に対する給電の状態は継続されることになる。
【0054】
タイミングt2において、ノーマリオープン型のMOS‐FET Q22が導通するに至り(
図5参照)、出力端子24には電圧の高い第1の電源11の電圧V11が印加されるようになり、やや遅れたタイミングt3において電圧V11は平滑コンデンサC11の満充電時の定格電圧V11max で安定化する(タイミングt3〜t4の定常期間T2)。
【0055】
次に、タイミングt4において、再度、第1の電源11を停止させると、第1の電源11の電圧V11が次第に降下し、タイミングt5において規定値Vthを下回るようになって、ツェナーダイオードZD11が導通状態から非導通状態へと遷移し、リレー駆動用のトランジスタQ11がターンオフする。すると、両発光ダイオードLED1,LED2への通電がなくなり、ノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21は導通状態に反転し、ノーマリオープン型のMOS‐FET Q22が非導通状態に反転する(
図4参照)。この切り替え動作中においても上記同様のニュートラル状態が生じるが、シリーズレギュレータ16の働きにより、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、出力端子24に対する給電の状態は継続されることになる(タイミングt5〜t6の移行期間T3)。タイミングt6ではノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21のターンオンが完了し、シリーズレギュレータ16の電圧V12′に代わって、第2の電源12の電圧V12が出力される。
【0056】
以上のように、半導体リレー(フォトMOSリレー)の場合にあっても、ノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21とノーマリオープン型のMOS‐FET Q22とがともにオープンとなるニュートラル状態が生じ得るので、シリーズレギュレータ16の存在は有意義なものとなる。