特許第6305870号(P6305870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305870
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】電源切替回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   H02M3/28 K
   H02M3/28 W
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-168301(P2014-168301)
(22)【出願日】2014年8月21日
(65)【公開番号】特開2016-46881(P2016-46881A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】▲高橋▼ 正吾
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−130839(JP,A)
【文献】 特開平08−223916(JP,A)
【文献】 特開2001−103740(JP,A)
【文献】 特開2003−259631(JP,A)
【文献】 特開2002−320338(JP,A)
【文献】 特開2005−287170(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧の高い第1の電源と電圧の低い第2の電源を選択的に切り替えて出力端子から選択された電圧を出力させる電源切替回路であって、
前記各電源からの入力端子を前記出力端子に対して接続切り替えするスイッチ手段と、
前記第1の電源側の入力端子に接続されて、前記第1の電源の電圧を検出し、規定値を超えたときに前記スイッチ手段のスイッチ切り替えを指示する電圧判定回路と、
前記電圧判定回路からの前記スイッチ切り替えの指示によって前記スイッチ手段を前記第2の電源の側から前記第1の電源の側に切り替えるスイッチ駆動手段とを備え
さらに、前記第2の電源側の入力端子と前記出力端子との間で前記スイッチ手段をバイパス接続するシリーズレギュレータを備えたことを特徴とする電源切替回路。
【請求項2】
前記スイッチ手段は、前記各電源からの入力端子を前記出力端子に対して接続切り替えするトランスファ接点と、前記電圧判定回路からの前記スイッチ切り替えの指示によって前記トランスファ接点を前記第2の電源の側から前記第1の電源の側に切り替える駆動コイルとを備えた機械式リレーであ請求項1に記載の電源切替回路。
【請求項3】
前記スイッチ手段は、無接点型の半導体リレーである請求項1に記載の電源切替回路。
【請求項4】
前記電圧判定回路は、
前記第1の電源側の入力端子とグランドラインとの間にバイアス用の抵抗素子を介して接続された定電圧素子と、
前記定電圧素子と前記バイアス用の抵抗素子との接続点に制御端子が接続され、ハイサイド端子が前記スイッチ手段の駆動側に接続され、ローサイド端子が前記グランドラインに接続されたリレー駆動用のスイッチング素子とを備えて構成されている請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の電源切替回路。
【請求項5】
前記シリーズレギュレータは、
前記第2の電源側の入力端子と出力端子との間にハイサイド端子とローサイド端子がバイパス的に接続された降圧用のスイッチング素子と、
前記降圧用のスイッチング素子のハイサイド端子と制御端子との間に接続されたバイアス用の抵抗素子と、
前記降圧用のスイッチング素子の制御端子とグランドラインとの間に接続された定電圧素子とを備えて構成されている請求項に記載の電源切替回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧の高い第1の電源と電圧の低い第2の電源を選択的に切り替えるための電源切替回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は従来例の電源切替回路の回路図を示す。図6において、31は電圧の高い第1の電源(メインの電源)、32はバッテリ(蓄電池)E31などの電圧の低い第2の電源(サブの電源)である。第1の電源31としては例えば交流系統電源(商用電源)を電力変換した直流電源が考えられる。第1の電源31は、トランスT31の二次巻線N32の両端間に接続されたダイオードD31と平滑コンデンサ(電解コンデンサ)C31の直列回路からなる整流平滑回路で構成されている。第1の電源31と第2の電源32を選択的に切り替える電源切替回路40として、2つのダイオードD41,D42が用いられている。高電圧供給側のダイオードD41は、そのアノードが第1の電源31からの入力端子41に接続されている。低電圧供給側のダイオードD42は、そのアノードが第2の電源32からの入力端子42に接続されている。43はグランドラインにおける入力端子である。高電圧供給側のダイオードD41のカソードと低電圧供給側のダイオードD42のカソードが並列的に接続され、その接続点がハイサイドの出力端子44に接続されている。45はグランドラインの出力端子であり、両出力端子44,45間に負荷回路33が接続されている。
【0003】
メインの電源である第1の電源31が停止状態にあるとき、サブの電源である第2の電源32から負荷回路33に対して給電が行われる。このとき、低電圧供給側のダイオードD42は導通状態にあり、高電圧供給側のダイオードD41は非導通状態となっている。
【0004】
第1の電源31が起動されると、平滑コンデンサC31に対する充電が開始され、第1の電源31の電圧V31が次第に上昇していく。この第1の電源31の電圧V31が第2の電源32の電圧V32を上回ると、低電圧供給側のダイオードD42の導通遮断と高電圧供給側のダイオードD41の導通開始とが同時に起きる。つまり、電圧の低い第2の電源32からの給電が停止し、それに代わって電圧の高い第1の電源31からの給電が開始される(給電電源の自動的切り替え)。
【0005】
再び第1の電源31が停止すると、高電圧供給側のダイオードD41の導通遮断と低電圧供給側のダイオードD42の導通開始とが同時に起きる。つまり、電圧の高い第1の電源31からの給電が停止し、それに代わって電圧の低い第2の電源32からの給電が開始される(給電電源の自動的切り替え)。
【0006】
なお、図6に示す従来例に類似するものとして、特許文献1,2に開示の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−151942号公報
【特許文献2】特開2012−177621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記で説明した従来例の電源切替回路40において、第2の電源32からの給電状態にあっては低電圧供給側のダイオードD42に電流が流れることによる電力消費があり、また、第1の電源31からの給電状態にあっても高電圧供給側のダイオードD41に電流が流れることによる電力消費がある。ダイオードD42,D41の順方向電圧をそれぞれVfとすると、いずれの場合も〔出力電流×Vf〕の損失が生じ、トータルで大きな損失を招く事態になっている。
【0009】
特に電圧の低いサブの第2の電源32がバッテリE31であるときは、次のような問題がある。バッテリは電圧精度が相対的に低く、場合によっては、電圧の高いメインの第1の電源31の電圧V31よりも高い電圧出力状態になることがある。しかし、負荷回路33に対して第1の電源31から電源供給を行う必要があって第1の電源31を起動した場合に、もしも不測に第1の電源31よりも第2の電源32の方が電圧が高くなっているとすれば、第1の電源31からの給電が行えない事態が発生する。それは、2つのダイオードD41,D42を出力端子44に対して並列に接続しているためである。第2の電源32の電圧V32が不測に第1の電源31の電圧V31より高くなっているとき、ダイオードD42は遮断状態に切り替わらず、ダイオードD41は導通することができないからである。これは、例えば、負荷回路33がDC−DCコンバータであって、バッテリである第2の電源32からではなく、第1の電源31から給電を行う必要がある場合に支障となる。
【0010】
そして、この問題に対処するために、サブの電源である第2の電源に降圧回路を追加することが考えられるが、効果の割に装備が大掛かりで、小型化する面でもコストの面でも課題が残る。
【0011】
本発明はこのような事情に鑑みて創作したものであり、電圧の高い第1の電源と電圧の低い第2の電源を選択的に切り替える電源切替回路に関して、損失の低減を図る。特に、サブの電源である第2の電源が相対的に電圧精度の悪いバッテリであって、メインの電源である第1の電源よりも高い電圧を出力する事態が発生するとしても、大掛かりな降圧回路を用いることなく対応し得るようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、次の手段を講じることにより上記の課題を解決する。
【0013】
本発明による電源切替回路は、
電圧の高い第1の電源と電圧の低い第2の電源を選択的に切り替えて出力端子から選択された電圧を出力させる電源切替回路であって、
前記各電源からの入力端子を前記出力端子に対して接続切り替えするスイッチ手段と、
前記第1の電源側の入力端子に接続されて、前記第1の電源の電圧を検出し、規定値を超えたときに前記スイッチ手段のスイッチ切り替えを指示する電圧判定回路と、
前記電圧判定回路からの前記スイッチ切り替えの指示によって前記スイッチ手段を前記第2の電源の側から前記第1の電源の側に切り替えるスイッチ駆動手段とを備え
さらに、前記第2の電源側の入力端子と前記出力端子との間で前記スイッチ手段をバイパス接続するシリーズレギュレータを備えたことを特徴とするものである。
【0014】
上記のように構成された本発明の電源切替回路においては、電圧の高い第1の電源が停止状態にあるとき、電圧判定回路はスイッチ切り替えを指示せず、スイッチ手段が不動作であるので、スイッチ手段は電圧の低い第2の電源を出力端子につなぐ状態になっている。すなわち、負荷回路に対しては電圧の低い第2の電源から給電が行われる。
【0015】
次に、第1の電源が起動されると、第1の電源の電圧が次第に上昇する。電圧判定回路は第1の電源の電圧の上昇過程を監視し、規定値を超えるに至ったときにスイッチ切り替えを指示する。その結果、スイッチ駆動手段が活性化してスイッチ手段が動作し、それまで第2の電源の側に繋がっていたスイッチ手段を第1の電源の側に切り替える動作を行う。
【0016】
このスイッチ手段の切り替えの動作については、電圧判定回路における判定動作で、第1の電源の電圧が規定値を超えるに至ったと判定しさえすれば、その切り替えが確実に実行される。第2の電源がバッテリであるなどの理由から電圧精度が悪いために、不測に第2の電源の電圧が第1の電源よりも高くなっているとしても、そのことには関係なく、スイッチ手段の切り替えが行われる。つまり、2つのダイオードのカソードを出力端子に対して並列接続した従来例とは異なり、第2の電源の電圧状態の如何にかかわりなく、第2の電源の給電状態から第1の電源の給電状態へと確実に切り替えることが可能である。
【0017】
以上において、第1の電源あるいは第2の電源と出力端子とを結ぶ線路に挿入されるのはスイッチ手段であり、これは従来例の場合のダイオードと比べると抵抗値が実質的にゼロかきわめて小さいから、電源切替回路での電力損失は大幅に低減される。加えて、給電主体を第2の電源から第1の電源に切り替える条件として、電圧判定回路による第1の電源の電圧が規定値を超えることとしているので、第2の電源の電圧状態からは影響を受けない。すなわち、第2の電源が相対的に電圧精度の悪いバッテリであって、不測に第1の電源よりも高い電圧を出力してしまうような事態が発生するとしても、第2の電源から第1の電源への確実な切り替えのために大掛かりで面積面、コスト面で不利な降圧回路を用いることなく対応することが可能である。
シリーズレギュレータは、電源と出力端子(負荷回路)を結ぶ線路にトランジスタなどの電圧制御素子が直列に接続された、降圧のみ可能な連続電流の定電圧直流電源回路である。高過ぎる電圧の分だけシリーズレギュレータにおいて電力を消費して電圧降下を起こさせることで、負荷回路に一定の電圧がかかるよう調整する機能を有している。
スイッチ手段の第2の電源側から第1の電源側への切り替えの途中であるニュートラル状態においては、短時間のことではあるが、スイッチ手段は一時的に第1および第2のいずれの電源とも繋がっていないために給電中断が発生する可能性があるという新たな問題が生起する。しかし、シリーズレギュレータは電圧の低い第2の電源の電圧をさらに下げた一定電圧状態で、出力端子に出力する。つまり、ニュートラル状態が生じるが、電圧が急降下して給電停止ないし給電劣化が発生するといったことは避けられ、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、出力端子に対する給電の状態は継続されることになる。
一方、再び第1の電源を停止させると、第1の電源の電圧が次第に降下し、規定値を下回るようになって、電圧判定回路がリレー駆動の指示(スイッチ切り替えの指示)を停止する。すると、反転動作して、それまで第1の電源の側に繋がっていたスイッチ手段を第2の電源の側に切り替える動作を行う。この切り替え動作中においても上記同様のニュートラル状態が生じるが、シリーズレギュレータの働きにより、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、出力端子に対する給電の状態は継続されることになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電圧の高い第1の電源と電圧の低い第2の電源を選択的に切り替える電源切替回路に関して、電力損失の低減を図ることができる。さらに、第2の電源が相対的に電圧精度の悪いバッテリであるために不測に第1の電源よりも高い電圧を出力する事態が起こるとしても、大掛かりで小型化、コスト面で不利な降圧回路を用いることなく、第2の電源から第1の電源への確実な切り替えを実現できる。
さらに、次の効果が発揮される。すなわち、損失低減のために、本発明にあっては、従来例の並列接続した2つのダイオードに代えて、切り替え駆動されるスイッチ手段を採用する。しかし、スイッチ手段の2つの端子間での切り替え途中のニュートラル状態のために給電中断が発生する可能性があるという新たな問題が生起する。そこで、シリーズレギュレータを追加して給電を継続するようにしたので、ニュートラル状態での給電中断の問題は生じないことになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例の電源切替回路の構成を示す回路図
図2】本発明の実施例の電源切替回路の動作を示すタイミングチャート
図3】本発明の別の実施例の電源切替回路の構成を示す回路図
図4】本発明の別の実施例におけるフォトMOSリレーの回路構成図(消灯状態)
図5】本発明の別の実施例におけるフォトMOSリレーの回路構成図(点灯状態)
図6】従来例の電源切替回路の構成を示す回路図
【発明を実施するための形態】
【0020】
上記構成の本発明の電源切替回路には、次のようないくつかの好ましい態様がある。
【0021】
前記のスイッチ手段については、各電源からの入力端子を出力端子に対して接続切り替えするトランスファ接点と、電圧判定回路からのスイッチ切り替えの指示によってトランスファ接点を第2の電源の側から第1の電源の側に切り替える駆動コイルとを備えた機械式リレーを備えている構成である。
【0022】
ここで、トランスファ接点とは、a接点(常開接点)とb接点(常閉接点)の2接点を有するスイッチ手段で、その動作態様は、常時はa接点がオフでb接点がオンであり、リレー駆動の指示(スイッチ切り替えの指示)によりb接点がターンオフし、a接点がターンオンするものである。この場合に、接点の切り替えのタイミングで、2つの接点がともに非導通となるニュートラルの状態が生じるが、そのニュートラルの期間を経て接続状態が切り替わるようになっている。
【0026】
損失低減のために、本発明にあっては、従来例の並列接続した2つのダイオードに代えて、切り替え駆動されるスイッチ手段を採用する。しかし、トランスファ接点の2つの接点間での切り替え途中のニュートラル状態のために給電中断が発生する可能性があるという新たな問題が生起する。そこで、シリーズレギュレータを追加して給電を継続するようにしたので、ニュートラル状態での給電中断の問題は生じないことになる。
【0027】
前記のスイッチ手段としては、機械式リレーのほか、無接点型の半導体リレーとしてもよい。無接点型の半導体リレーの場合は、機械式リレーに比べて、より信頼性が高く、切り換えの高速動作が期待できる。
【0028】
前記の電圧判定回路については、定電圧素子とバイアス用の抵抗素子とリレー駆動用のスイッチング素子から次のように構成したものが好ましい。すなわち、定電圧素子(ツェナーダイオード)を第1の電源側の入力端子とグランドラインとの間でバイアス用の抵抗素子を介して接続する。リレー駆動用のスイッチング素子(トランジスタ)は、その制御端子を定電圧素子(ツェナーダイオード)とバイアス用の抵抗素子との接続点に接続し、ハイサイド端子をリレーの駆動コイルに接続し、ローサイド端子をグランドラインに接続する。
【0029】
また、前記のシリーズレギュレータについては、降圧用のスイッチング素子とバイアス用の抵抗素子と定電圧素子から次のように構成したものが好ましい。すなわち、降圧用のスイッチング素子(トランジスタ)のハイサイド端子とローサイド端子を第2の電源側の入力端子と出力端子との間にバイパス的に接続し、バイアス用の抵抗素子を降圧用のスイッチング素子(トランジスタ)のハイサイド端子と制御端子との間に接続し、定電圧素子(ツェナーダイオード)を降圧用のスイッチング素子(トランジスタ)の制御端子とグランドラインとの間に接続する。
【実施例】
【0030】
以下、上記構成の本発明の電源切替回路につき、その実施の形態を具体的な実施例のレベルで詳しく説明する。図1は本発明の実施例の電源切替回路の構成を示す回路図、図2は本発明の実施例の電源切替回路の動作を示すタイミングチャートである。
【0031】
図1において、Aは電源切替回路、11は電圧が高いメインの第1の電源、12は電圧が低いサブの第2の電源、13は負荷回路、14は電圧判定回路、15は機械式リレー、16はシリーズレギュレータである。21はハイサイドの電源供給ラインLHにおける電源切替回路Aの入力端子であり、これに第1の電源11の出力端子(平滑コンデンサC11の正極端子)が接続されている。22はローサイドの電源供給ラインLLにおける入力端子であり、これに第2の電源12の出力端子が接続されている。23はグランドライン(コモンライン)LGにおける入力端子、24はハイサイドの出力端子、25はグランドラインの出力端子である。
【0032】
第1の電源11は、トランスT11の二次巻線N12の両端間に接続されたダイオードD11と平滑コンデンサ(電解コンデンサ)C11の直列回路からなる整流平滑回路で構成されている。トランスT11の一次巻線N11の前段には例えば電力変換回路(図示せず)が接続されている。第2の電源12は、典型的にはバッテリ(蓄電池)E11で構成されている。負荷回路13は、例えばDC/DCコンバータである。電源切替回路Aは、第1の電源11と第2の電源12を選択的に切り替えるものであり、電圧判定回路14と機械式リレー15とシリーズレギュレータ16で構成されている。
【0033】
機械式リレー15は、各電源11,12からの入力端子21,22を出力端子24に対して接続切り替えするスイッチ手段の一例である。この機械式リレー15は、駆動コイル15aとトランスファ接点15bから構成されている。駆動コイル15aはスイッチ駆動手段の一例である。トランスファ接点15bは、平常時にアクティブとなるb接点がローサイドの電源供給ラインLLに接続され、駆動時にアクティブとなるa接点がハイサイドの電源供給ラインLHに接続され、c接点がハイサイドの出力端子24に接続されている。機械式リレー15におけるトランスファ接点15bは、第1の電源11側の入力端子21に接続されるa接点と、第2の電源12側の入力端子22に接続されるb接点と、ハイサイドの出力端子24に接続されるc接点と、c接点に設けられた切り替え動作の作動子dを有している。作動子dは常時はb接点に接触して、第2の電源12をハイサイドの出力端子24に接続する状態を形成し、駆動コイル15aが通電励磁されると、a接点側に切り替えられて、第1の電源11をハイサイドの出力端子24に接続する状態を形成するようになっている。本実施例ではc接点数が1つであるが、この形式のトランスファ接点は「1c接点」とも呼ばれる。
【0034】
電圧判定回路14は、バイアス用の抵抗素子R11,R12と定電圧素子としてのツェナーダイオードZD11とリレー駆動用のスイッチング素子としてのNPN型のトランジスタQ11で構成されている。第1の電源11側の入力端子21にバイアス用の抵抗素子R11を介してツェナーダイオードZD11のカソード(ハイサイド端子)が接続されている。ツェナーダイオードZD11のアノード(ローサイド端子)はバイアス用の抵抗素子R12を介してグランドラインLGに接続されている。リレー駆動用のトランジスタQ11は、そのベース(制御端子)がツェナーダイオードZD11のアノードとバイアス用の抵抗素子R12との接続点に接続され、そのエミッタ(ローサイド端子)がグランドラインLGに接続され、そのコレクタ(ハイサイド端子)が機械式リレー15における駆動コイル15aの一端に接続されている。駆動コイル15aの他端は第1の電源11側の入力端子21に接続されている。
【0035】
シリーズレギュレータ16は、降圧用のスイッチング素子としてのNPN型のトランジスタQ12とバイアス用の抵抗素子R13と定電圧素子としてのツェナーダイオードZD12で構成されている。降圧用のトランジスタQ12は、そのコレクタ(ハイサイド端子)がローサイドの電源供給ラインLL(b接点)に接続され、そのエミッタ(ローサイド端子)がハイサイドの出力端子24(c接点)に接続されている。バイアス用の抵抗素子R13は、降圧用のトランジスタQ12のベース(制御端子)とコレクタ(ハイサイド端子)との間に接続されている。ツェナーダイオードZD12は、そのカソード(ハイサイド端子)がトランジスタQ12のベース(制御端子)に接続され、そのアノード(ローサイド端子)がグランドラインLGに接続されている。このシリーズレギュレータ16においては、降圧用のトランジスタQ12がトランスファ接点15bのb接点とc接点との間にバイパス的に接続されている。
【0036】
次に、上記のように構成された本発明実施例の電源切替回路Aの動作を図2のタイミングチャートを用いて説明する。図2(a)は第1の電源11の電圧V11の変化を第2の電源12の電圧V12やシリーズレギュレータ16による一定電圧V12′や電圧判定回路4の判定基準の規定値Vthと比較して示すタイミングチャート、図2(b)はハイサイドの出力端子24に現れる出力電圧Vout の変化を示すタイミングチャートである。図2(a)と図2(b)のタイミングは同期して表示されている。
【0037】
いま、タイミング的にt0より前の時間帯であって、電圧の高い第1の電源11が停止状態にあり、電圧V11はゼロレベルになっているとする。このとき、電圧判定回路14は動作せず、機械式リレー15も不動作である。トランスファ接点15bはb接点に接触し、電圧の低い第2の電源12から負荷回路13に対して給電が行われている。
【0038】
次に、タイミングt0において第1の電源11が起動されたとする。このとき、トランスT11において、その一次巻線N11から誘起されて二次巻線N12に生じた電力はダイオードD11によって半波整流され、平滑コンデンサC11に対して充電が開始される。平滑コンデンサC11の正極端子に現れる電圧V11は電圧判定回路14に印加され、次第に上昇していく(タイミングt0〜t3の期間)。この電圧V11が規定値Vthを上回るに至ったタイミングt1において、電圧判定回路14はリレー駆動信号を機械式リレー15に対して出力する。すなわち、平滑コンデンサC11に現れる電圧V11が次第に増加して、ツェナーダイオードZD11のカソード印加電圧がツェナー電圧を超えるまでに電圧V11が上昇すると、ツェナーダイオードZD11が導通するに至る。その結果、リレー駆動用のトランジスタQ11のベースにバイアス用の抵抗素子R12における電圧降下による電圧が印加されてリレー駆動用のトランジスタQ11が導通する。そして、リレーの駆動コイル15aに電流が流れ、駆動コイル15aが励磁され、トランスファ接点15bの切り替わり動作が始まる。すなわち、それまでb接点に接触していた作動子dがタイミングt1においてb接点から離れ、次いで微小時間が過ぎたタイミングt2においてa接点に接触する状態へと遷移する。機械式リレー15の駆動には第1の電源11の電圧V11が用いられる。
【0039】
この場合に重要なことは、第2の電源12がバッテリE11であって電圧精度が悪いために電圧V12が第1の電源11の電圧V11よりも高くなっているか否かには関係なく、トランスファ接点15bの切り替えが確実に行われるということである。すなわち、第1の電源11の電圧V11を監視し、規定値Vthを超えるに至ると、リレー駆動を指示する電圧判定回路14の機能が働くからである。電圧判定回路14の動作条件は、もっぱら第1の電源11の電圧V11のレベルであって、第2の電源12の電圧V12の状態には関係しないからである。よって、第1の電源11を起動して、その電圧V11が規定値Vthに達し、そのことを電圧判定回路14が検出しさえすれば、第2の電源12の給電状態から第1の電源11の給電状態へと確実に切り替えることができる。つまり、2つのダイオードのカソードを出力端子に対して並列接続した従来例とは異なり、第2の電源12の電圧V12の状態の如何にかかわりなく、第2の電源12から第1の電源11への給電切り替えを確実なものにすることができる。
【0040】
特に、負荷回路13がDC−DCコンバータである場合には、異常出力状態のバッテリからの過剰に高い電圧(第1の電源11の電圧V11よりも高い電圧)が印加されるような事態は避けなければならない。しかし、本発明実施例によれば、バッテリの過剰高電圧を下げるための大掛かりな降圧回路については、これを必要としないですむ。
【0041】
このトランスファ接点15bの第2の電源12側から第1の電源11側への切り替えの途中(タイミングt1〜t2の移行期間T1)では、短時間のことではあるが、トランスファ接点15bは一時的に第1および第2のいずれの電源11,12とも繋がっていないニュートラルな状態となる。すると、シリーズレギュレータ16が電圧の低い第2の電源12の電圧V12をさらに下げた電圧V12′の状態で、出力端子24に出力する状態が生じる。つまり、ニュートラル状態が生じるとしても、出力電圧Vout が急降下して給電停止ないし給電劣化が発生するといったことは避けられ、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、負荷回路13に対する給電の状態は継続されることになる。これがシリーズレギュレータ16による効果である。
【0042】
タイミングt2において、トランスファ接点15bがb接点に接触するに至り、トランスファ接点15bのc接点には電圧の高い第1の電源11の電圧V11が印加されるようになり、これよりやや遅れたタイミングt3において電圧V11は平滑コンデンサC11の満充電時の定格電圧V11max で安定化する(タイミングt3〜t4の定常期間T2)。定格電圧V11max の大きさは図2(a),(b)において上向き矢印で表されている。
【0043】
次に、タイミングt4において、再度、第1の電源11を停止させると、第1の電源11の電圧V11が次第に降下し、タイミングt5において規定値Vthを下回るようになって、ツェナーダイオードZD11が導通状態から非導通状態へと遷移し、バイアス用の抵抗素子R12の両端電圧が消失する結果、リレー駆動用のトランジスタQ11がターンオフする。すると、駆動コイル15aへの通電がなくなり、機械式リレー15が反転動作して、それまで第1の電源11側のa接点に繋がっていたトランスファ接点15bを第2の電源12側のb接点に切り替える動作を開始する。この切り替え動作中においても上記同様のニュートラル状態が生じるが、シリーズレギュレータ16の働きにより、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、出力端子24に対する給電の状態は継続されることになる(タイミングt5〜t6の移行期間T3)。タイミングt6ではトランスファ接点15bがb接点に接触し、シリーズレギュレータ16の電圧V12′に代わって、第2の電源12の電圧V12が出力される。
【0044】
シリーズレギュレータ16が動作するのは、タイミングt1〜t2の移行期間T1とタイミングt5〜t6の移行期間T3のみである。すなわち、トランスファ接点15bが切り替わり途上のニュートラル状態となっている期間のみである。
【0045】
以上において、第1の電源11あるいは第2の電源12と出力端子24とを結ぶ線路に挿入されるのはトランスファ接点15bであり、これは従来例の場合のダイオードと比べると抵抗値が実質的にゼロか極めて小さいものであるから、電源切替回路Aでの電力損失は大幅に低減される。加えて、給電主体を第2の電源12から第1の電源11に切り替える条件として、電圧判定回路14による第1の電源11の電圧V11が規定値Vthを超えることであるので、第2の電源12の電圧V12の状態からは影響を受けないで済む。すなわち、第2の電源12が相対的に電圧精度の悪いバッテリであって、第1の電源11よりも高い電圧を出力する事態に対しても、第2の電源12から第1の電源11への確実な切り替えのために、小型化、コスト面で不利な降圧回路を用いる必要がなく、簡易に対応することが可能である。
【0046】
さらに、シリーズレギュレータ16を設けてあるので、スイッチ手段としてニュートラル状態が生じる機械式リレー15を採用しても、出力電圧Vout が急降下して給電停止ないし給電劣化が発生することを防止し、負荷回路13に対して安定的に給電することができる。
【0047】
なお、スイッチ手段として機械式リレー15に代えて可動部分を持たない無接点型の半導体リレーを用いてもよく、機械式リレーよりも高信頼性で高速切り換えが期待できる。その一例として、半導体リレー(フォトMOSリレー)を挙げることができる。
【0048】
図3はスイッチ手段としてフォトMOSリレーを用いた場合の別の実施例の電源切替回路の構成を示す回路図である。図3において、先の実施例の図1で用いたのと同一符号は同一の構成要素を指すものとし、詳しい説明は省略する。本実施例で特徴ある部分はフォトMOSリレー26である。このフォトMOSリレー26は、ノーマリクローズ型のフォトMOSリレー26aとノーマリオープン型のフォトMOSリレー26bとで構成されている。ノーマリクローズ型のフォトMOSリレー26aは、そのフォトMOSスイッチQ21が発光ダイオードLED1の消灯状態で導通し、点灯状態で遮断する。ノーマリオープン型のフォトMOSリレー26bは、そのフォトMOSスイッチQ22が発光ダイオードLED2の消灯状態で遮断し、点灯状態で導通する。2つの発光ダイオードLED1,LED2は直列に接続され、発光ダイオードLED1のアノードは電圧判定回路14における抵抗素子R11に接続され(ノードN1)、発光ダイオードLED2のカソードは電圧判定回路14におけるトランジスタQ11のコレクタに接続されている(ノードN2)。フォトMOSスイッチQ21は、その高電位側端子が第2の電源12側の入力端子22に接続され(ノードN3)、その低電位側端子がハイサイドの出力端子24に接続されている(ノードN4)。フォトMOSスイッチQ22は、その高電位側端子が第1の電源11側の入力端子21に接続され(ノードN1)、その低電位側端子がハイサイドの出力端子24に接続されている(ノードN4)。フォトMOSスイッチQ21の低電位側端子とフォトMOSスイッチQ22の低電位側端子とはハイサイドの出力端子24に対して並列に接続されている。
【0049】
図4図5はノーマリクローズ型のフォトMOSリレー26aとノーマリオープン型のフォトMOSリレー26bの詳しい回路構成と動作態様を示す。図4は消灯状態を表し、図5は点灯状態を表す。ノードN1〜N4は、図3図4図5とで対応している。フォトMOSスイッチQ21,Q22のそれぞれは、ゲートどうしが共通接続された2つのMOS‐FET Q21a,Q21b(Q22a,Q22b)と、各MOS‐FETのソース‐ドレイン間のボディダイオードD21a,D21b(D22a,D22b)と、光電変換素子としての光電池SC21,SC22と、放電経路を形成するダイオードD21c,D22cやサイリスタTH21,TH22などを備えている。
【0050】
次に、図3の実施例の電源切替回路の動作を説明する。
【0051】
図2のタイミングt0以前で、電圧の高い第1の電源11が停止状態にあるとき、電圧判定回路14は動作せず、フォトMOSリレー26では両発光ダイオードLED1,LED2は消灯しており、ノーマリクローズ型のフォトMOS‐FET Q21は導通状態にあり、ノーマリオープン型のMOS‐FET Q22は非導通状態となっている。したがって、電圧の低い第2の電源12から負荷回路13に対して給電が行われている。図4では、光電池SC21,SC22は不動作で、サイリスタTH21,TH22は導通状態であり、ノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21のゲートとノーマリオープン型のMOS‐FET Q22のゲートはともにバイアスがない状態となっている。
【0052】
次に、タイミングt0において第1の電源11が起動され、平滑コンデンサC11に現れる電圧V11が次第に増加して、ツェナーダイオードZD11のカソード印加電圧がツェナー電圧を超えるまでに電圧V11が上昇すると、ツェナーダイオードZD11が導通するに至る。その結果、リレー駆動用のトランジスタQ11が導通する。そして、図5に示すように、両発光ダイオードLED1,LED2が点灯し、ノーマリクローズ型のフォトMOS‐FET Q21は非導通状態に反転し、ノーマリオープン型のフォトMOS‐FET Q22が導通状態に反転する。図5では、光電池SC21,SC22が動作し、サイリスタTH21,TH22は転流オフし、ノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21のゲートは逆バイアスで“L”レベルとなり、ノーマリオープン型のMOS‐FET Q22のゲートは順バイアスで“H”レベルとなる。
【0053】
この切り替えの途中(タイミングt1〜t2の移行期間T1)では、短時間のことではあるが、フォトMOSリレー26における2つのフォトMOS‐FET Q21,Q22は一時的に第1および第2のいずれの電源11,12とも繋がっていないニュートラルな状態となる。すると、先の実施例と同様に、シリーズレギュレータ16が電圧の低い第2の電源12の電圧V12をさらに下げた電圧V12′の状態で、出力端子24に出力する状態が生じる。つまり、ニュートラル状態が生じ、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、負荷回路13に対する給電の状態は継続されることになる。
【0054】
タイミングt2において、ノーマリオープン型のMOS‐FET Q22が導通するに至り(図5参照)、出力端子24には電圧の高い第1の電源11の電圧V11が印加されるようになり、やや遅れたタイミングt3において電圧V11は平滑コンデンサC11の満充電時の定格電圧V11max で安定化する(タイミングt3〜t4の定常期間T2)。
【0055】
次に、タイミングt4において、再度、第1の電源11を停止させると、第1の電源11の電圧V11が次第に降下し、タイミングt5において規定値Vthを下回るようになって、ツェナーダイオードZD11が導通状態から非導通状態へと遷移し、リレー駆動用のトランジスタQ11がターンオフする。すると、両発光ダイオードLED1,LED2への通電がなくなり、ノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21は導通状態に反転し、ノーマリオープン型のMOS‐FET Q22が非導通状態に反転する(図4参照)。この切り替え動作中においても上記同様のニュートラル状態が生じるが、シリーズレギュレータ16の働きにより、電圧レベルの少しの低下は見られるものの、出力端子24に対する給電の状態は継続されることになる(タイミングt5〜t6の移行期間T3)。タイミングt6ではノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21のターンオンが完了し、シリーズレギュレータ16の電圧V12′に代わって、第2の電源12の電圧V12が出力される。
【0056】
以上のように、半導体リレー(フォトMOSリレー)の場合にあっても、ノーマリクローズ型のMOS‐FET Q21とノーマリオープン型のMOS‐FET Q22とがともにオープンとなるニュートラル状態が生じ得るので、シリーズレギュレータ16の存在は有意義なものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、電圧の高い第1の電源と電圧の低い第2の電源を選択的に切り替えるための電源切替回路において、電力損失の低減を図るとともに、電圧精度が悪化した第2の電源の電圧が不測に第1の電源の電圧よりも高くなってしまったとしても、小型化、コスト面で不利な降圧回路を用いることなく、第2の電源から第1の電源への切り替えを確実に実現する技術として有用である。
【符号の説明】
【0058】
11 第1の電源
12 第2の電源
14 電圧判定回路
15 機械式リレー(スイッチ手段)
15a 駆動コイル(スイッチ駆動手段)
15b トランスファ接点
16 シリーズレギュレータ
21 第1の電源からの入力端子
22 第2の電源からの入力端子
24 出力端子
A 電源切替回路
LH ハイサイドライン
LL ローサイドライン
LG グランドライン
Q11 リレー駆動用のスイッチング素子(トランジスタ)
Q12 降圧用のスイッチング素子(トランジスタ)
R12 電圧判定回路におけるバイアス用の抵抗素子
R13 シリーズレギュレータにおけるバイアス用の抵抗素子
ZD11 電圧判定回路における定電圧素子(ツェナーダイオード)
ZD12 シリーズレギュレータにおける定電圧素子(ツェナーダイオード)
図1
図2
図3
図4
図5
図6