(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための一実施形態を添付図面を参照しながら詳述する。
なお、以下の実施形態は本出願の特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
以下の説明において遊技機1の各部の左右方向は、その遊技機1の正面に対面する者にとっての左右方向に合わせて説明する。
【0011】
(遊技機1の全体構造)
図1に示すように、遊技機1は、遊技場の島設備に設置される矩形枠状の外枠2と、当該外枠2の左枠部に図示略の蝶番により垂直軸回りに開閉自在に取り付けられる内枠3と、当該内枠3に装着され、各種要素が組み付けられる
図2、3に示す遊技盤4と、当該遊技盤4の前側にあって、内枠3の左枠部に上下の蝶番5、5により垂直軸回りに開閉自在に取り付けられ、遊技盤4の前面を遊技者が透視し得るガラス板61を嵌め込んだガラス枠6と、遊技盤4の後側に設けられ賞球や貸球等の遊技球を払出可能な図示略の払出装置と、ガラス枠6の下部に設けられ、払出装置から払い出される遊技球を貯留するための上受皿部7と、ガラス枠6の下部裏側に設けられ上受皿部7に貯留されている遊技球を導入して遊技盤4の前面に形成される遊技領域401へ向けて発射するための図示略の発射装置と、上受皿部7に遊技球が満杯になった際、溢れ球を導入可能な下受皿部8と、ガラス枠6の前面右下部に設けられ上受皿部7に貯留された遊技球を遊技領域401へ打ち出す際に操作される発射ハンドル9と、ガラス枠6の上部に設けられ遊技状況に応じた効果音を出力するスピーカ10L、10Rと、ガラス枠6に設けられ遊技状況に応じて点灯、消灯及び点滅する照明演出を行う電飾装置11と、遊技盤4の後側に設置される表示装置12(
図2、3に点線で表示)と、遊技盤1の裏側に設置され、遊技進行及び遊技演出を制御するためのマイクロコンピュータにより構成され、遊技全体を統括的に制御する図示略の主制御部及び主制御部からの指令に基づいて演出対象物を制御する演出制御部を含む制御装置と、遊技盤4の裏側に設置され各電装部品に電力を供給するための電源装置等を備える。なお、本実施形態における演出対象物は、スピーカ10L、10R、電飾装置11、表示装置12及び後述の演出役物ユニット21等を含む。
【0012】
図2、3に点線で示す表示装置12は、例えば液晶ディスプレイから構成され、遊技盤4の略中央部にガラス枠6のガラス板61を透して遊技者が視認可能な遊技に係わる情報である各種キャラクタや左列、中列、右列の3列の数字等で構成される図示略の演出図柄を変動、停止表示すると共に、そのときの遊技進行に応じた動画を表示することによって遊技の盛り上げ演出を行う。
【0013】
(遊技盤4及びそれに関連する構造)
図2、3に示すように、遊技盤4は、アクリル樹脂等の透明合成樹脂板により正面視ほぼ方形に形成されると共に、前面に、内外のガイドレール402、403によって包囲される円形(楕円形を含む)の遊技領域401を形成する。上受皿部7に貯留された遊技球は、発射ハンドル9が回転操作されることにより、発射装置から発射されて、内外のガイドレール402、403により左斜め上方へ誘導されて遊技領域401内に導入されて流下する。
【0014】
遊技領域401の略中央部には、遊技盤4の後側に設置される表示装置12に表示される演出図柄を視認し得るように、表示装置12の周縁を前側から包囲する各種模様が施された正面視で枠状の装飾枠13が固定される。
【0015】
さらに、遊技領域401には、遊技領域401に打ち込まれた遊技球の流下方向を変化させる多数の釘14及び単一の風車15と、表示装置12の下方にあって、遊技領域401の左領域(装飾枠13の左側の領域)を流下する遊技球のうち装飾枠13の左部に設けられたワープ孔131に進入したワープ球を導入し、当該ワープ球を左右及び前後方向へ転動させ得るステージ16と、当該ステージ16の下方にあって、遊技領域401を流下する遊技球及びステージ16の前側から落下したワープ球が入賞可能な始動入賞口17と、遊技領域401の右領域(装飾枠13の右側の領域)にあって、遊技球が通過可能なスルーチャッカ18及び入賞可能なアタッカー19と、発射装置から勢いよく発射された遊技球を遊技領域401の右領域へ誘導するための右打ち通路404と、遊技領域401に打ち込まれた遊技球のうち始動入賞口17、アタッカー19等の入賞装置に入賞しなかったアウト球を遊技盤4の裏面側に排出するアウト口20等が設けられる。
【0016】
遊技盤4の裏面と表示装置12の前面の間には、遊技状態が所定の特別遊技状態、例えば「リーチ」または「大当り」になったとき「リーチアクション」または「大当りアクション」の演出動作を行う演出役物ユニット21が設けられる。
【0017】
始動入賞口17に遊技球が入賞した際の検出信号は、制御装置に送信される。制御装置は、検出信号に基づいて内部で発生させた乱数に応じて、「リーチ」、「大当たり」、「外れ」等の判定を行うと共に、所定の確率で実行される抽選の結果に基づいて、表示装置12を含む演出対象物を制御する。
【0018】
なお、本明細書で使用する「リーチ」とは、例えば、表示装置12に表示される左、中、右3列の演出図柄のうち2列の図柄列を先に停止させ、既に停止表示された2列の表示結果が同一の図柄の組み合わせとなって最終停止図柄の停止に期待をもたせる演出のことである。「リーチアクション」とは、「リーチ」時の一連の演出のことである。なお、「通常遊技」とは、「大当り」、「リーチ」等が発生していない遊技状態を指す。
【0019】
(遊技の概要)
遊技状態が「通常遊技」の場合には、上受皿部7に貯留された遊技球を遊技領域401の左領域に流下させるように、発射ハンドル9の回転操作により発射装置の発射力を調節する。
【0020】
遊技球が始動入賞口17に入賞すると、これを契機に、制御装置により実行される抽選の結果、所定の変動パターンに基づいて、表示装置12に演出図柄が所定時間所定の演出態様で表示演出される。そして、抽選の結果、「リーチ」が発生した場合には、
図2に実線で示す状態から演出役物ユニット21が上昇して
図2に2点鎖線で示すように表示装置12の前側に出現する「リーチアクション」が行われる。
【0021】
そして、「リーチアクション」が発展した場合には、演出役物ユニット21における印籠を模した後述の第1、2外殻演出部材24、25が回転したり、第1、2外殻演出部材24、25の表面が光輝したり、開放する等の演出が行われると共に、演出図柄が左、中、右列に同一の図柄が揃って確定表示された場合には、制御装置は、遊技状態を「大当り」に移行させるように制御する。なお、
図3は、演出役物ユニット21の第1、2外殻演出部材24、25が開放した状態に示している。
【0022】
遊技状態が「大当り」に移行した場合には、遊技球を右打ちとなるように、発射ハンドル9を回転操作して発射装置の発射力が最大力となるように調整する。
【0023】
右打ちされた遊技球は、右打ち通路404を通過して遊技領域401の右領域に導かれ、開放状態にあるアタッカー19に容易に入賞する。
【0024】
アタッカー19は、内部に設けた図示略のアタッカーセンサが遊技球を10個入賞したことを検知するか、または開放してから30秒が経過すると閉鎖し、閉鎖後に再度開放する。これを最大15回まで繰返す。これにより、「大当り」が発生した場合には、アタッカー19に多数の遊技球が入賞可能となり、図示略の賞球払出装置から賞球として大量の遊技球が短時間に上受皿部7に払い出される。
【0025】
(演出役物ユニット21の構造)
図4は、演出役物ユニット21の分解斜視図、
図5は、初期状態にあるときの演出役物ユニット21の正面図、
図6は、回動状態にあるときの演出役物ユニット21の正面図、
図7は、回動状態で半開き状態にあるときの演出役物ユニット21の正面図、
図8は、回動状態で開放状態にあるときの演出役物ユニット21の正面図をそれぞれ示す。
【0026】
なお、以下の説明で使用する演出役物ユニット21における方位は、演出役物ユニット21が
図5に示す初期状態にあるときの方位を指し、回動状態とは、演出役物ユニット21における第1、2外殻演出部材24、25が初期状態から略90度回転した状態を指す。
【0027】
図4に示すように、演出役物ユニット21は、主な要素として、遊技盤4の後側に設置される図示略の昇降機構により上下方向へ昇降可能に支持されるベース部材22と、ベース部材22に上下方向の軸部231、232により回転可能に枢支される支持部材23と、支持部材23と共に回転可能で、かつ支持部材23に対して上下方向の軸35、37によりそれぞれ所定角度揺動可能に枢支される外観形状が印籠を模した前後一対の第1、2外殻演出部材24、25と、支持部材23及び第1、2外殻演出部材24、25を軸部231、232を中心に回転させるための動力を出力する第1駆動機構部26と、第1、2外殻演出部材24、25内に固定される第1、2光源基板27、28と、第1、2外殻演出部材24、25内に可動可能に設置され家紋を模した第1、2内側演出部材29、30と、第1、2外殻演出部材24、25及び第1、2内側演出部材29、30を作動させる動力を出力する第2駆動機構部32と、第2駆動機構部32の動力を第1、2外殻演出部材24、25及び第1、2内側演出部材29、30に伝達可能なリンク機構部31と、第1、2光源基板27、28に電力や信号を伝達可能なスリップリング33とを有する。
【0028】
なお、本発明に係る回転体は、支持部材23、第1、2外殻演出部材24、25及び第1、2内側演出部材29、30の少なくとも一つを含むものである。
【0029】
また、演出役物ユニット21を昇降可能な構成を採用しない場合には、ベース部材22は、遊技盤4に直接固定される。
【0030】
ベース部材22は、正面視において、図示略の昇降機構を介して遊技盤4に支持される左右の取付部221、当該左右の取付部221の上端を連結し前方へ延伸する天井部222、左右の取付部221の下部を連結する下辺部223、及び左右の取付部221の間に形成される縦長の開口部224を有する。
【0031】
スリップリング33は、ベース部材22の天井部222に取り付けられ、回転側(支持部材23側)にある電極に固定側(ベース部材22側)にあるブラシを押し当てることで、支持部材23側に電源装置からの電力や制御装置からの信号を支持部材23及び第1、2外殻演出部材24、25と共に後述のように回転する第1、2光源基板27、28に実装される多色光源271、281及び単色光源272、282に伝達可能とする(
図20参照)。
【0032】
支持部材23は、正面視で略コ字形をなして、上片部233から上方へ突出した上向き軸部231をスリップリング33の軸孔331、また下片部234から下方へ突出した下向き軸部232が第1駆動機構部26のカバー261の軸孔262にそれぞれ挿入されることで、各軸部231、232、すなわち上下方向の軸を中心に回転可能に枢支される。支持部材23の下片部234には、下方へ突出する突出部235が設けられる。この突出部235は、後述のラック324に対して支持部材23の回転方向へ当接することで、支持部材23、すなわち第1、2外殻演出部材24、25の回転を阻止する機能を有する。
【0033】
第1駆動機構部26は、ベース部材22の下片部223に固定されるカバー261と、カバー261に固定される第1モータ263(動力源)と、第1モータ263の出力軸に止着され、上下方向の軸回りに回転可能な中間平歯車264と、カバー261に上下方向の軸回りに回転可能に枢支され、中間平歯車264に噛合する出力平歯車265と、各種電線が接続される複数のコネクタ266とを有し、出力平歯車265の中心孔265aに支持部材23の下向き軸部232を嵌合固定することによって、第1モータ263の回転を支持部材23に伝達して、軸部231、232を中心に、第1、2外殻演出部材24、25を回転させる機能を有する。
【0034】
第1、2外殻演出部材24、25は、右部が上下方向の軸35、37により支持部材23にそれぞれ枢支され、第1駆動機構部26の動力により、初期状態(
図5、11に示すように、それぞれの合わせ面243、253が互いに接触した状態で左側を向き、かつ第1外殻演出部材24の表面部241が前側を向き、第2外殻演出部材25の表面部251が後側を向く状態)から回動状態(
図6に示すように、それぞれの合わせ面242、253が前側を向き、かつ第1外殻演出部材24の表面部241が右側を向き、第2外殻演出部材25の表面部251が左側を向く状態)に回転したり、第2駆動機構部32の動力により、回動状態にあるとき、閉鎖状態(
図6に示す状態)から開放状態(
図8に示す状態)に変化したりする演出を行う。また、第1、2外殻演出部材24、25が
図8、12に示すように、開放状態に変化した場合には、第1、2外殻演出部材24、25の内部から第1、2内側演出部材29、30が出現する演出も同時に行われる。
なお、第1、2外殻演出部材24、25の合わせ面243、253は、回動状態で、かつ閉鎖状態にあるとき、軸35、37の反対側、すなわち前側にあって、互いに接触する上下方向の面を指す。
【0035】
第1、2外殻演出部材24、25の閉鎖状態から開放状態への変化は、第1、2外殻演出部材24、25が回動状態に回動したときにのみ行われる。
【0036】
初期状態にあるとき前側に位置する第1外殻演出部材24は、第2外殻演出部材25に対向する側(
図4において後側)が開口する箱状をなして、その表面部241の裏側である裏面に第1透明プレート34を固定すると共に、当該プレート34の右部を上下方向の軸35により支持部材23の上片部233と下片部234に枢支することで、第2駆動機構部32の動力をもって、表面部241が前側を向く初期状態(
図5、11に示す状態)から表面部241が右側を向く回動状態(
図6に示す位置)へ回動可能である。第1外殻演出部材24の表面部241には、その裏面側から後述のフルカラー(多色)のLEDにより構成される複数の多色光源271の光に照射されることで表面が光輝する所定の図柄を模した光透過部のレンズ部242が形成される。
【0037】
初期状態にあるとき後側に位置する第2外殻演出部材25は、第1外殻演出部材24に対向する側(
図4において前側)が開口する箱状をなして、表面部251(
図4において後側を向く面)の裏側(前側)である裏面に第2透明プレート36を固定すると共に、当該プレート36の右部を上下方向の軸37により支持部材23の上片部233と下片部234に枢支することで、第2駆動機構部32の動力をもって、表面部251が後側を向く初期状態(
図5、11に示す状態)から表面部251が左側を向く回動状態(
図6に示す状態)へ回動可能である。第2外殻演出部材25の表面部251には、その裏面側から後述のフルカラー(多色)のLEDにより構成される複数の多色光源281の光に照射されることで表面が光輝する所定の図柄を模した光透過部のレンズ部252が形成される。
【0038】
第1、2外殻演出部材24、25の内面には、磁石39、40が固定される。磁石39、40は、
図13に示すように、支持部材23の両側面に設けられる金属片236、236に吸着することにより、第1、2外殻演出部材24、24を閉鎖状態に保持するための保持部材を構成する。
【0039】
なお、第1、2外殻演出部材24、25を閉鎖状態に保持するための保持部材は、磁石39、40に限定されるものでなく、他の保持手段、例えば、係止片に係合する弾性爪、バネ等に変更可能である。
【0040】
第1光源基板27は、第1外殻演出部材24における表面部241の裏面と第1透明プレート34間に固定され、表面(第1外殻演出部材24の表面部241の裏面に対向する面)に複数の多色(赤色、緑色、青色)光源271を実装し、裏面に複数の単色(白色)光源272を実装する。
【0041】
第2光源基板28は、第2外殻演出部材25における表面部251の裏面と第2透明プレート36間に固定され、表面(第2外殻演出部材25の表面部251の裏面に対向する面)に複数の多色光源281を実装し、裏面に単色の複数の単色光源282を実装する。
【0042】
多色光源271、281は、第1、2外殻演出部材24、25が初期状態、初期状態から180度回転した状態及び回動状態にあるとき、第1、2外殻演出部材24、25の内側からレンズ部242、252を照射することで、レンズ部242、252を色々な色で光輝させる電飾演出を行う。
【0043】
単色光源272、282は、第1、2外殻演出部材24、25が回動状態で、開放状態にあるとき、第1、2内側演出部材29、30を裏面側から照射することで、第1、2内側演出部材29、30に形成した光透過部である各レンズ部291、301を白色に光輝させる電飾演出を行う。
なお、単色光源272、282は、第1、2外殻演出部材24、25の内部に設けられる内側演出物を構成するものである。
【0044】
第1、2光源基板27、28に実装された多色光源271、281及び単色光源272、282の配線は、
図20に示すようにして行われる。
すなわち、スリップリング33には、図示略のコモン線以外に、3系統のR配線33R、G配線33G、B配線33Bを有する。R配線33Rは、多色光源271、281の赤色(R)の端子、複数の単色光源272のうち最上部の単色光源272a、及び複数の単色光源282のうち最下部の単色光源282aにそれぞれ並列配線される。G配線33Gは、多色光源271、281の緑色(G)の端子、複数の単色光源272のうち真ん中の単色光源272b、及び複数の単色光源282のうち真ん中の単色光源282bにそれぞれ並列配線される。また、B配線33Bは、多色光源271、281の青色(B)の端子、複数の単色光源272のうち最下部の単色光源272c、及び複数の単色光源282のうち最上部の単色光源282cにそれぞれ並列配線される。
【0045】
電源装置から供給される電力や制御装置から出力される信号は、スリップリング33のブラシ、各配線33R、33G、33Bを通って多色光源271、281の各色部及び単色光源272、282に伝達される。
【0046】
例えば、多色光源271、281が遊技状況に応じた色で発光するような演出を行うと、多色光源271、281の各色の端子にそれぞれ並列に配線された複数の単色光源272、282も同時に発光することとなる。また、単色光源272、282を遊技状態に応じた順番で点滅制御して、単色光源272、282が恰も回転しているような演出を行うと、多色光源271、281も同時に発光することとなる。
【0047】
しかし、本実施形態においては、
図18に示すように、第1、2外殻演出部材24、25が閉鎖状態にある場合、第1、2光源基板27、28の表面に実装された多色光源271、281は、第1、2外殻演出部材24、25の内部で発光し、かつ遊技者から見える面であるレンズ部242、252を光輝させる演出を行うのに対し、第1、2光源基板27、28の裏面に実装された単色光源272、282は、第1、2外殻演出部材24、25内に格納された状態、すなわち遊技者から実質的に見えない状態で発光するだけで演出に何ら使用するものでないため、単色光源272、282はどのような形態で発光しても遊技の演出に影響を与えるものではない。
【0048】
また、
図19に示すように、第1、2外殻演出部材24、25が開放状態にある場合、単色光源272、282は、第1、2内側演出部材29、30の後側で発光し、かつ遊技者から見える面であるレンズ部291、301を光輝させる演出を行うのに対し、多色光源271、281の光は、第1、2外殻演出部材24、25の後側に向いたレンズ部242、252、すなわち遊技者から実質的に見えない面を光輝させるだけで演出に何ら使用するものでないため、多色光源271、281の光はどのように発光しても遊技の演出に影響を与えるものではない。よって、多色光源271、281と単色光源272、282が互いに同期して発光しても、遊技者を惑わすような演出が行われない。
【0049】
また、一枚の第1光源基板27(または第2光源基板28)の表面に実装した第1光源を構成する多色光源271(または多色光源281)により第1外殻演出部材24(または第2外殻演出部材25)の光透過部を構成するレンズ部242(またはレンズ部252)を光輝させ、同じく裏面に実装した第2光源を構成する単色光源272(または単色光源282)により第1内側演出部材29の光透過部を構成するレンズ部291(または第2内側演出部材30のレンズ部301)を光輝させるため、異なる場所の光透過部をそれぞれ光輝させつつ、光源基板の使用枚数を削減してコストの低減を図ることができる。
【0050】
上述により、スリップリング33をコモンラインを除いた3極(合計4極)の小型のものを使用しても、多色光源271、281及び単色光源272、282を用いて、そのときの状況に応じて多彩な演出を行うことができる。
【0051】
なお、本発明に係る、多色光源271、281の発光により光輝する回転体(第1、2外殻演出部材24、25、第1、2内側演出部材29、30)の一方の面は、本実施形態の第1、2外殻演出部材24、25のレンズ部242、252または第1、2内側演出部材29、30のレンズ部291、301のいずれかの面を指し、また、単色光源272、282の発光により光輝する回転体の他方の面は、本実施形態の第1、2外殻演出部材24、25のレンズ部242、252または第1、2内側演出部材29、30のレンズ部291、301のうち前記のいずれか面以外の面を指す。
【0052】
また、多色光源271、281を第1、2光源基板27、28の表面に実装し、単色光源272、282を第1、2光源基板27、28の裏面に実装することに代えて、多色光源271、281を第1、2光源基板27、28の裏面に実装し、単色光源272、282を第1、2光源基板27、28の表面に実装しても良い。
【0053】
第1、2内側演出部材29、30は、単色光源272、282と共に第1、2外殻演出部材24、25の内部に設けられる内側演出物を構成するものであって、略半円状をなして、各左端部が上下方向の軸38により支持部材23の左部に枢支されると共に、第2駆動部32の動力によって、第1、2外殻演出部材24、25内で折り畳まれた収容状態(
図11に示す状態)から軸38を中心に略90度回転した展開状態(
図12に示す状態)に変化可能である。
【0054】
第2駆動機構部32は、ベース部材22の下片部223に固定される第2モータ321(動力源)と、第2モータ321の出力軸に止着され前後方向の軸回りに回転可能な中間平歯車322と、ベース部材22の下片部223に前後方向の軸回りに回動可能に枢支され中間平歯車322に噛合する出力平歯車323と、ベース部材22の下片部223に上下方向へ摺動可能に支持されると共に、出力平歯車323に噛合する作動部材を構成するラック324と、ラック324の前側に固定され、ラック324と一体となって上下動可能な楔部325とを有する。
なお、作動部材は、本実施形態のラック324に代えて、第2モータ321の動力により上下動するリンクとしても良い。
【0055】
ラック324は、支持部材23の突出部325に対して支持部材23の回転方向に当接可能なストッパ部324aと、リンク機構部31の後述のリンク311の下端部311aを押し上げ可能な押上げ部324bと、出力平歯車323に噛合する歯部324cとを有し、第2モータ321の動力により、
図14に示す下限位置にある初期状態(位置)から上昇し
図15に示すストッパ状態(位置)を経由して
図16に示す開放状態(位置)、及びその逆へ移動可能である。
【0056】
図14に示すように、ラック324が初期状態にある場合、ストッパ部324aは、支持部材23の突出部235の移動軌跡よりも下方に退避して支持部材23の回転を自由にする。これにより、第1、2外殻演出部材24、25は、第1モータ263の動力により回転することができる。
【0057】
図15に示すように、ラック324が初期状態からストッパ状態に上昇移動した場合には、ストッパ部324aは、突出部235の移動軌跡内に進入して突出部235に対して支持部材23の回転方向に当接することで、第1、2外殻演出部材24、25を初期状態から90度回転した回動状態に停止させる。これにより、第1、2外殻演出部材24、25は、回転動作から回動状態に確実に停止することができる。
【0058】
ラック324がストッパ状態から上昇すると、楔部325は、
図17に示すように、上部に設けた尖端部325aが第1、2外殻演出部材24、25における下部の合わせ面に設けた間隙部41に下方から進入することで、第1、2外殻演出部材24、25を強制的に僅かに開放させる。これにより、磁石39、40の吸着力により閉鎖状態に保持されている第1、2外殻演出部材24、25を楔部325の楔作用をもって、磁石39、40の吸着力に抗して、第1、2外殻演出部材24、25を軽い力で僅かに開動作させることができる。
【0059】
ラック324がさらに上昇して
図16に示す開放状態に移動すると、押上げ部324bは、リンク機構部31におけるレバー311の下端部311aを押し上げることで、後述のように、レバー311を回動させ、第1、2外殻演出部材24、25を大きく開放動作させて、第1、2内側演出部材29、30を折畳み状態から展開状態に変化させる。なお、この状態においては、突出部235は、ラック324におけるストッパ部324aと押上げ部324bとの間の凹部324dに回転方向へ当接して第1、2外殻演出部材24、25の回転を阻止している。これにより、第1、2外殻演出部材24、25を回動状態に停止させたまま、確実に開放状態に変化させることができる。
【0060】
リンク機構部31は、支持部材23の下片部234に前後方向を向く軸312により枢支されるレバー311と、レバー311の上端部に前後方向を向く連結軸314により連結される移動部材313と、右端部が移動部材313に上下方向の軸315により枢支され、左端部が第1外殻演出部材24の内側面に上下方向を向く軸部3161aにより回動可能に連結される第1外殻リンク316aと、右端部が軸315により枢支され、左端部が第2内側演出部材30の裏面側に上下方向を向く軸部3161bにより回動可能に連結される第2内側リンク316bと、右端部が軸315により枢支され、左端部が第1内側演出部材29の裏面側に上下方向を向く軸部3161cにより回動可能に連結される第1内側リンク316cと、右端部が軸315により枢支され、左端部が第2外殻演出部材25の裏面側に上下方向を向く軸部3161dにより回動可能に連結される第2外殻リンク316dと、レバー311を時計方向へ付勢するスプリング317とを有する。
【0061】
レバー311は、
図9に示すように、スプリング317の付勢力により上部が略直立姿勢の初期状態に保持されると共に、第1、2外殻演出部材24、25の下部隙間から右斜め下方へ向けて突出する下端部311aを有し、下端部311aが前述のように第2駆動機構部32のラック324により押し上げられることにより、スプリング317の付勢力に抗して、初期状態から
図9において反時計方向へ所定角度回動した
図10に示す開放状態に回動する。
【0062】
移動部材313は、
図9に示すように、レバー311が初期状態にあるときには第1、2外殻演出部材24、25内の右端に位置する初期状態にあり、レバー311が開方向へ回動すると、これに伴って
図9において左方へ移動する。
【0063】
各リンク316a〜316dは、
図11に示すように、移動部材313が初期状態にあるときには、第1、2外殻演出部材24、25を閉鎖状態、第1、2内側演出部材29、30を折畳み状態に保持し、移動部材313が開放状態に移動すると、これに伴って互いに外側へ向けて拡開するように回動することで、第1,2外殻演出部材24、25を開放状態、第1、2内側演出部材29、30を展開状態にそれぞれ回動させる。
【0064】
(演出役物ユニット21の動作説明)
遊技状態が通常遊技状態にある場合には、
図2、5に示すように、第1外殻演出部材24の表面部241は前側を向き、第2外殻演出部材25の表面部251は後側を向く初期状態にある。
【0065】
遊技状態がリーチ状態に移行した場合には、第1、2外殻演出部材24、25は、閉鎖状態のまま上昇移動し、
図2に2点鎖線で示すように、表示装置12の前側に出現する。
なお、第1、2外殻演出部材24、25は、閉鎖状態のまま上昇移動する例を説明したが、演出によっては回転しながら出現するようにしてもよい。
【0066】
続いて、第1、2外殻演出部材24、25を閉鎖状態に停止させたまま、第1、2外殻演出部材24、25内の多色光源271、281を遊技状態に応じた色で発光させて第1、2外殻演出部材24、25における表面部241,251のレンズ部242、252を光輝させ、出現を視覚的に強調させる。続いて、第1駆動機構部26の第1モータ263を起動させ、第1、2外殻演出部材24、25を閉鎖状態のまま支持部材23と共に軸部231、232を中心に回転演出させる。
【0067】
続いて、第2駆動機構部32の第2モータ321を起動させ、ラック324が
図14に示す初期状態から上昇移動して
図15に示すストッパ状態で一旦停止するように、第2モータ321を制御する。これにより、ラック324のストッパ部324aが支持部材23の突出部235の移動軌跡内に進入することで、第1、2外殻演出部材24、25は、
図6に示すように、第1外殻演出部材24の表面部241が右側を向き、第2外殻演出部材25の表面部251が左側を向く回動状態に停止する。
【0068】
続いて、第1、2外殻演出部材24、25が回動状態に停止した状態で、さらにリーチアクションが発展すると、第2モータ321を再び起動させ、ラック324をストッパ状態から上昇移動させる。これにより、先ず、ラック324と一体になって上昇移動する楔部325の尖端部325aが、
図13及び
図17に示すように、第1、2外殻演出部材24、25の間隙部41に下方から進入することで、第1、2外殻演出部材24、25は、永久磁石39、40の吸着力に抗して、閉鎖位置から
図7に示すように、前側が僅かに開放する。
【0069】
そして、大当りが確定した場合には、さらに、ラック324が上昇して
図16に示す開放状態に移動して、ラック324の押上げ部324bがレバー311の下端部311aを押し上げる。これにより、レバー311は、
図9に示す初期状態から、スプリング317の付勢力に抗して、軸312を中心に
図9において反時計方向へ回動し、
図10に示す開放状態に移動して移動部材313を前方へ移動させる。各リンク316a〜316dは、外側へ向けて拡開作動することで、第1、2外殻演出部材24、25を開放状態に変化させ、第1、2内側演出部材29、30を展開状態に変化させる。
【0070】
これにより、
図3、8、12に示すように、第1、2外殻演出部材24、25が開放状態に変化すると、第1、2内側演出部材29、30は、レンズ部291、301が前側を向く展開状態となって、第1、2外殻演出部材24、25から出現する。そして、さらに、演出を盛り上げて遊技を高揚させるため、第1、2光源基板27、28の裏面に実装された単色光源272、282が遊技状況に応じた順番で発光するように制御される。単色光源272、282の光は、第1、2内側演出部材29、30のレンズ部291、301を裏面側から照射して、レンズ部291、301の表面を光輝させる。なお、この場合、単色光源272、282をそのときの遊技状況に応じた順番で点滅制御すると、これに同期して、多色光源271、281が何ら意味を持たないで色で発光することとなる。しかし、このときの多色光源271、281の光は、後ろ向きにある第1、2外殻演出部材24、25のレンズ部241、251を光輝させて、遊技者に対して視覚演出を与えるものでないから、その光はどのような色で発光しても遊技の演出に影響を与えるものではない。
【0071】
リーチアクションまたは大当りアクションが終了すると、第2モータ321が反転し、ラック324が初期状態に戻る。これにより、第1、2外殻演出部材24、25は、スプリング317の付勢力により閉鎖状態となり、第1、2内側演出部材29、30は、第1、2外殻演出部材24、25内に格納される。