【文献】
村松 茂樹 ほか,加速度データからの作業場所への移動の検出に関する一検討,電子情報通信学会2010年総合大会講演論文集 通信2,日本,社団法人電子情報通信学会,2010年 3月 2日,p.617,ISSN 1349-1369
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、申告者である作業員が実際に作業を行なったかどうかを確認することは、管理者が作業現場に行って作業のチェックを行うなど余計な管理作業を行う必要が生じてくる。
【0005】
例えば、入退管理システム等から作業員の入退室に関する情報を取得して、作業場所(部屋)と作業実施時間(入退室時刻)により作業の状況を確認しようとしても、その室内で作業が実際に行われたかどうかまでは確認できない。
【0006】
本発明は、歩数計を利用して作業員の移動を伴う作業の実施状況を容易に評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る作業管理装置は、移動を伴う作業を行う作業員の作業実績を管理する作業管理装置において、前記作業員が作業を行う空間に入るときの、前記作業員が携帯する歩数計により数えられた歩数及び前記作業員が作業を終えて前記空間から出るときの前記歩数計により数えられた歩数をそれぞれ取得する歩数取得手段と、
前記作業員が作業を行う空間に入るときの時間情報及び前記作業員が作業を終えて前記空間から出るときの時間情報をそれぞれ取得する時間情報取得手段と、前記歩数取得手段により得られた各歩数に基づき算出される前記空間内での作業に要した歩数及び前記空間内での作業に要する標準的な歩数
を比較した結果、及び前記時間情報取得手段により得られた各時間情報に基づき算出される前記空間内の滞在時間及び前記空間内での標準的な作業所要時間を比較した結果に基づき前記作業員の前記空間内での作業を評価する評価手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
また
、前記作業員を特定する識別情報に、前記歩数取得手段により得られた当該作業員に対応する各歩数と、前記時間情報取得手段により取得された当該作業員に対応する時間情報と、を対応付けして作業実績情報を生成し、作業実績情報記憶手段に蓄積させる作業実績情報生成手
段を有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係るプログラムは、コンピュータを、移動を伴う作業を行う作業員が作業を行う空間に入るときの、前記作業員が携帯する歩数計により数えられた歩数及び前記作業員が作業を終えて前記空間から出るときの前記歩数計により数えられた歩数をそれぞれ取得する歩数取得手段、
前記作業員が作業を行う空間に入るときの時間情報及び前記作業員が作業を終えて前記空間から出るときの時間情報をそれぞれ取得する時間情報取得手段、前記歩数取得手段により得られた各歩数に基づき算出される前記空間内での作業に要した歩数及び前記空間内での作業に要する標準的な歩数
を比較した結果、及び前記時間情報取得手段により得られた各時間情報に基づき算出される前記空間内の滞在時間及び前記空間内での標準的な作業所要時間を比較した結果に基づき前記作業員の前記空間内での作業を評価する評価手段、として機能させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、歩数計を利用して作業員の移動を伴う作業の実施状況を容易に評価することができる。
【0013】
また、作業員が作業を行う空間を出入りするときの時間を更に考慮して、作業員の移動を伴う作業の実施状況を容易に評価することができる。
【0014】
また、作業員が空間内で作業を行ったときの歩数を作業の実施状況の履歴として残しておくことができる。
【0015】
また、作業員が空間内で作業を行ったときの歩数及び時間を作業の実施状況の履歴として残しておくことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面に基づいて、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明に係る作業管理装置の一実施の形態を示したブロック構成と、作業管理装置を利用するシステムの全体構成を示した図である。
図1には、施設内に設けられた複数の部屋1が示されている。各部屋1の出入口2近傍には、カードリーダ(CR)3と歩数計リーダ(PR)4とが設置されている。カードリーダ3は入退システム5に、歩数計リーダ4は作業管理装置10に、それぞれ接続されている。
【0019】
作業員は、空間としての各部屋1において清掃等移動を伴う作業を行う。作業員は、施設を移動するときにはICカード6と歩数計7を常時携帯している。入退システム5は、施設の入退館及び施設内の各部屋1の入退室を管理するためのシステムである。作業員は、各部屋1に入室及び退室する際に、ICカード6をカードリーダ3に読み取らせるが、入退システム5は、この作業員のICカード6の読取り操作に基づき当該作業員の入退室を監視する。入退システム5は、従前から設置されている設備をそのまま利用してよい。更に、作業員は、各部屋1に入室及び退室する際に、歩数計7を歩数計リーダ4に読み取らせるが、作業管理装置10は、この作業員の歩数計7の読取り操作に基づき読み取った当該作業員の歩数を歩数計リーダ4から取得する。作業管理装置10は、歩数計リーダ4から取得した歩数情報及び入退システム5から取得した入退情報に基づき作業員の作業実績を管理する。本実施の形態でいう作業実績の管理には、各作業員の作業実績の記録と、各作業員が各部屋1において作業を適切に実施しているかの評価と、が含まれる。
【0020】
図2は、本実施の形態における作業管理装置10を形成するコンピュータのハードウェア構成図である。本実施の形態において作業管理装置10を形成するコンピュータは、従前から存在する汎用的なパーソナルコンピュータ(PC)等のハードウェア構成で実現できる。すなわち、コンピュータは、
図2に示したようにCPU31、ROM32、RAM33、ハードディスクドライブ(HDD)34、入力手段として設けられたマウス35とキーボード36、及び表示装置として設けられたディスプレイ37をそれぞれ接続する入出力コントローラ38、通信手段として設けられたネットワークコントローラ39を内部バス40に接続して構成される。
【0021】
図1に戻り、本実施の形態における作業管理装置10は、歩数情報取得部11、入退情報取得部12、作業実績情報生成部13及び作業評価処理部14を有している。更に、作業管理装置10は、記憶手段としてスケジュール情報記憶部21、作業評価情報記憶部22、部屋情報記憶部23、歩数情報保持部24、入退情報保持部25、作業実績情報蓄積部26及び警告情報記憶部27を有している。歩数情報取得部11は、歩数取得手段として設けられ、作業員が作業を行う部屋1に入るときの歩数計7により数えられた歩数及び作業員が作業を終えて部屋1から出るときの歩数計7により数えられた歩数をそれぞれ含む歩数情報を歩数計リーダ4から取得する。入退情報取得部12は、時間情報取得手段として設けられ、入退システム5から入退情報を取得する。詳細は追って説明するが、入退情報には、作業員が作業を行う部屋1に入るときの時間情報及び作業員が作業を終えて部屋1から出るときの時間情報がそれぞれ含まれている。作業実績情報生成部13は、作業実績情報生成手段として設けられ、詳細は後述するように歩数情報取得部11及び入退情報取得部12から取得した情報に基づき作業実績情報を生成し、作業実績情報蓄積部26に蓄積させる。作業評価処理部14は、評価手段として設けられ、作業実績情報等に基づき作業員の部屋1内での作業を評価する。
【0022】
図3は、本実施の形態におけるスケジュール情報記憶部21に予め設定されたスケジュール情報の内容例を示した図である。スケジュール情報には、作業員がいつどこで何の作業を行うかが設定される。具体的には、
図3に例示したように作業を行う作業員を特定する識別情報としての作業員IDと、作業を行う日(作業日)、その作業日におけるスケジュールとして作業を行う作業時間、当該作業を行う場所及び当該作業の内容が対応付けして設定される。なお、
図3には、ある日の一作業員のスケジュール情報のみを示している。本実施の形態では、作業場所として施設内の部屋1を想定しているので作業場所を特定する情報を部屋IDで設定するが、例えば洗面所、廊下等でもよい。この場合、作業場所が特定できるように廊下等の場所にも識別情報を割り振る必要がある。
【0023】
本実施の形態では、後述するように部屋1内の移動量を歩数計7が数える歩数にて測定することになるが、その歩数は、作業内容によって異なってくると想定される。従って、作業内容には、当該作業の種別(内容)を特定しうるような情報が設定される。例えば、清掃、警備(巡回)、保守点検等が設定される。また、
図3に例示したように同じ清掃でも、掃除機がけやゴミ回収等の作業が別個に存在する場合には、その詳細な情報を付加して設定する。このスケジェール情報に設定された内容は、作業指示書としてプリントアウトして配布したり、ディスプレイ37に表示したりするなどして、作業員に知らせるようにする。
【0024】
図4は、本実施の形態における作業評価情報記憶部22に予め設定された作業評価情報のデータ構成例を示した図である。作業評価情報には、ある部屋1において決められた作業を行うに当たり、標準的にどれくらいの移動量を要し、また作業時間を要するかという作業員による作業の評価基準となる情報が設定される。本実施の形態における作業評価情報には、作業を行う部屋1を示す部屋IDに、当該部屋1において行うべき作業内容と、作業員の標準的な移動量を示す標準歩数及び当該作業を行うのに要する標準的な作業時間(標準作業所要時間)とが対応付けして設定される。標準歩数及び標準作業所要時間は、過去の作業実績を参照したり、作業を典型的な動作により実際に行うなどのシミュレーションを行ったりして設定すればよい。
【0025】
あるいは、作業評価情報として、
図4に例示したように部屋毎1に標準値(標準歩数及び標準作業所要時間)を予め設定しておかず、例えば作業場所の仕様に応じた標準値(標準歩数及び標準作業所要時間)を予め設定しておき、後述する部屋情報を参照し、所定の計算式を利用した計算により、各部屋1の標準値を求めるようにしてもよい。例えば、100m
2の部屋の清掃(掃除機)の標準歩数を400歩、200m
2の部屋の清掃(掃除機)の標準歩数を800歩などと設定しておく。そして、実際に掃除機を用いて清掃する部屋1が150m
2の場合、当該部屋1の清掃(掃除機)の標準歩数は、(400+800)/2=600歩などのように算出してもよい。
【0026】
図5は、本実施の形態における部屋情報記憶部23に予め設定された部屋情報の内容例を示した図である。各部屋1に設定すべき標準歩数及び標準作業所要時間は、部屋1の広さ等作業場所(部屋)の仕様によって異なってくる。部屋情報には、各部屋1の標準歩数及び標準作業所要時間を求めるために必要な部屋の仕様等に関する情報が部屋毎に設定される。なお、
図5には、1つの部屋1の情報のみを示している。
図5には、部屋1を特定する部屋IDに、部屋仕様情報が対応付けして設定されるが、各部屋1の仕様として、広さ、窓の数等を例示している。部屋1の広さ(面積)、窓数、座席数等は、掃除機かけ、窓拭き、ゴミ収集等清掃の標準値を決める要因となり得る仕様である。また、出入口数は警備の標準値を決める要因となり得る仕様である。また、空調機や照明器具の設置台数は、保守点検の標準値を決める要因となり得る仕様である。以上の作業内容と部屋の仕様との対応付けは一例であって、これに限定されるものではない。例えば、部屋1の広さを警備の標準値を決める仕様としても用いてもよい。作業管理者は、これらの部屋情報を参照して作業評価情報を予め設定してもよい。なお、本実施の形態では、作業評価情報と部屋情報とを別個の設定するようにしたが、統合して情報を生成してもよい。
【0027】
歩数情報保持部24、入退情報保持部25、作業実績情報蓄積部26及び警告情報記憶部27は、後述する作業評価処理の過程において生成される記憶手段であることから作業評価処理の説明と共に説明することにする。
【0028】
作業管理装置10における各構成要素11〜14は、作業管理装置10を形成するコンピュータと、コンピュータに搭載されたCPU31で動作するプログラムとの協調動作により実現される。また、各記憶手段21〜27は、作業管理装置10に搭載されたHDD34にて実現される。あるいは、RAM33又は外部にある記憶手段をネットワーク経由で利用してもよい。
【0029】
また、本実施の形態で用いるプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、CD−ROMやUSBメモリ等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して提供することも可能である。通信手段や記録媒体から提供されたプログラムはコンピュータにインストールされ、コンピュータのCPUがプログラムを順次実行することで各種処理が実現される。
【0030】
次に、本実施の形態における動作について説明する。
【0031】
まず、作業員は、作業を行う際にICカード6及び歩数計7を携帯する。ICカード6には、カードIDや自己の作業員ID等自己の識別情報が記録されている。本実施の形態では、作業員IDが記録されているものとして説明する。なお、作業開始前に歩数計7の歩数を初期化しておくのが好適であるが、本実施の形態を実施する上で必須ではない。本実施の形態は、複数の作業員に対する作業管理を行うことになるが、各作業員に対し同等の処理を行うことになるので、本実施の形態では、1人の作業員に着目して説明する。
【0032】
作業員は、スケジュール情報に従い、作業を行うべき部屋1まで移動し、その部屋1に入室する。このとき、作業員は、携帯しているICカード6をカードリーダ3にかざす。カードリーダ3がICカード6から作業員IDを読み取ると、入退システム5は、カードリーダ3から作業員ID、ICカード6の読取日時及びカードリーダ3が設置された部屋の部屋IDを受信し、読取日時、作業員ID、部屋ID及び入室であることを示す情報を組にして内部に保存すると共に入退情報として作業管理装置10へ送信する。更に、作業員は、歩数計7を歩数計リーダ4にかざす。この操作により、歩数計7を検出すると、歩数計リーダ4は、その歩数計7から歩数を読み取り、その読取日時、歩数及び歩数計リーダ4が設置された部屋の部屋IDを組にして歩数情報として作業管理装置10へ送信する。
【0033】
作業員は、入室後、実際に指定された内容の作業を行う。そして作業を終え退室する際、作業員は、入室時と同様にICカード6をカードリーダ3にかざす。カードリーダ3がICカード6から作業員IDを読み取ると、入退システム5は、カードリーダ3から作業員ID、ICカード6の読取日時及びカードリーダ3が設置された部屋の部屋IDを受信し、読取日時、作業員ID、部屋ID及び退室であることを示す情報を組にして内部に保存すると共に入退情報として作業管理装置10へ送信する。更に、作業員は、歩数計7を歩数計リーダ4にかざす。この操作により、歩数計7を検出すると、歩数計リーダ4は、その歩数計7から歩数を読み取り、その読取日時、歩数及び歩数計リーダ4が設置された部屋の部屋IDを組にして歩数情報として作業管理装置10へ送信する。
【0034】
作業員は、以上のように作業を行うために部屋1に入室するとき、また作業を終えて退室するとき、ICカード6をカードリーダ3に、歩数計7を歩数計リーダ4に、それぞれかざすことで作業の履歴を残すようにする。
【0035】
なお、本実施の形態では、ICカード6をかざすカードリーダ3を入室用と退室用とで共用したが別個に設けてもよい。歩数計リーダ4においても同様である。
【0036】
続いて、作業管理装置10における本実施の形態の作業評価処理について
図6に示したフローチャートを用いて説明する。
【0037】
常時受信待ちの状態にある入退情報取得部12は、前述したように入退システム5から送信されてくる入退情報を取得すると、入退情報を入退情報保持部25に書き込み保存する(ステップ101)。また、常時受信待ちの状態にある歩数情報取得部11は、前述したように歩数計リーダ4から歩数情報が送信されてくると、歩数情報を歩数情報保持部24に書き込み保存する(ステップ102)。なお、ステップ101とステップ102は逆の順番で処理されてもよい。
【0038】
なお、本実施の形態では、説明の簡略のために、歩数計リーダ4において当該歩数計リーダ4が設置されている部屋の部屋IDを歩数情報に含めて送信するようにしたが、歩数計リーダ4が部屋IDではなく自己の識別情報を含めて歩数情報を送信する場合、歩数情報取得部11において歩数計リーダ4の識別情報と部屋IDとの対応テーブルを参照して、歩数計リーダ4の識別情報を部屋IDに変換してから歩数情報を歩数情報保持部24に書き込むようにしてもよい。また、歩数計リーダ4から送られてくる歩数情報に読取日時が含まれていない場合、歩数情報取得部11における歩数情報の受信日時を、歩数の読取日時とみなして歩数情報を生成してもよい。
【0039】
作業実績情報生成部13は、入退情報保持部25及び歩数情報保持部24を参照して作業実績情報を生成することになるが、この処理の説明の前に作業実績情報蓄積部26に蓄積される作業実績情報のデータ構成について
図7を用いて説明する。
【0040】
作業実績情報は、作業員、作業場所、入室日時、退室日時、入室時歩数及び退室時歩数が対応付けして構成される。作業員には作業場所(部屋)に入室した作業員の作業員IDが登録される。作業場所には作業を行った場所、本実施の形態では部屋1で作業を行うのでその部屋1の部屋IDが登録される。入室日時には作業場所である部屋1に入室した日時が登録される。退室日時には作業場所である部屋1から退室した日時が登録される。入室時歩数には作業場所である部屋1に入室したときに歩数計7から読み取った歩数が登録される。退室時歩数には作業場所である部屋1から退室したときに歩数計7から読み取った歩数が登録される。
【0041】
図6に戻り、作業実績情報生成部13は、歩数情報保持部24に保持された歩数情報及び入退情報保持部25に保持された入退情報を参照し、各情報に含まれる部屋IDと読取日時とを照合することで、作業員が入室時に、カードリーダ3にICカード6を読み取らせたことに応じて生成された入退情報と、歩数計リーダ4に歩数計7を読み取らせたことに応じて生成された歩数情報とを対応付ける。入退情報の読取日時と歩数情報の読取日時とは合致しない可能性もあるが、その時間差はわずかであり、また入退情報と歩数情報の部屋IDは一致しているので、問題なく対応付けできる。そして、対応付けた入退情報の読取日時、作業員ID、部屋IDをそれぞれ作業実績情報の入室日時、作業員ID及び作業場所に、また対応付けた歩数情報の歩数を同じ作業実績情報の入室時歩数に、それぞれ設定することで作業実績情報を生成し、作業実績情報蓄積部26に登録する(ステップ103)。なお、登録が終了すると、取り出した各情報を歩数情報保持部24及び入退情報保持部25それぞれから削除するのが都合よい。
【0042】
作業員は、作業を行うべき部屋1に入室し、指定の内容の作業を行い、作業を終えると、その部屋1から退室することになるが、退室の際、前述したようにICカード6をカードリーダ3にかざすことに応じて入退情報が作業管理装置10へ送信される。また、歩数計7を歩数計リーダ4にかざすことに応じて歩数情報が作業管理装置10へ送信される。
【0043】
入退情報取得部12は、入退システム5から送信されてくる入退情報を取得すると、入退情報を入退情報保持部25に書き込み保存する(ステップ104)。また、歩数情報取得部11は、歩数計リーダ4から歩数情報が送信されてくると、歩数情報を歩数情報保持部24に書き込み保存する(ステップ105)。なお、ステップ104とステップ105は逆の順番で処理されてもよい。
【0044】
作業実績情報生成部13は、歩数情報保持部24に保持された歩数情報及び入退情報保持部25に保持された入退情報を参照し、各情報に含まれる部屋IDと読取日時とを照合することで、作業員が退室時に、カードリーダ3にICカード6を読み取らせたことに応じて生成された入退情報と、歩数計リーダ4に歩数計7を読み取らせたことに応じて生成された歩数情報とを対応付ける。そして、作業実績情報蓄積部26に登録されている作業実績情報のうち、退室日時及び退室時歩数が設定されていない当該作業員の作業実績情報の退室日時に、対応付けた入退情報の読取日時を、当該作業実績情報の退室時歩数に、対応付けた歩数情報の歩数をそれぞれ設定することで作業実績情報蓄積部26に登録されている作業実績情報を更新する(ステップ106)。
【0045】
以上のようにして、作業員が作業を行うために部屋1に入退室した作業実績が記録されることになる。つまり、作業員は、いつどの作業場所(部屋1)で作業を行ったかをチェックシートに記入などしなくても電子データ化された作業実績が作業実績情報蓄積部26に蓄積されることになり、作業履歴を残せることになる。
【0046】
続いて、作業評価処理部14は、作業実績情報等を参照して、各作業員の作業の実施状況を次のようにして評価する。すなわち、作業評価処理部14は、作業実績情報蓄積部26に作業実績情報が新たに書き込まれると、その作業実績情報を取り出す。なお、取り出すのはステップ106において退室時における情報が設定されている作業実績情報である。そして、作業実績情報に含まれる退室日時から入室日時の差分を当該作業員の当該部屋1における作業実績時間として求める。更に、作業評価処理部14は、作業実績情報に含まれる退室時歩数から入室時歩数を減算して当該作業員の当該部屋1における作業実績歩数として求める(ステップ107)。続いて、作業評価処理部14は、作業実績情報に含まれる作業場所(部屋ID)に対応する標準作業所要時間及び標準歩数を作業評価情報記憶部22から読み出し取得する(ステップ108)。なお、ステップ107とステップ108は逆の順番で処理されてもよい。そして、次のようにして作業の評価を行う。
【0047】
部屋1に入室した後、作業員は、スケジュールに従い所定の作業を行い、そして従来では作業の終了をチェックシートを記入するなどして自己申告する。ただ、作業を管理者等が監視していないため実際には部屋1にも行かずに作業していない可能性もあり得る。ただ、入退システム5と連携し、入退室を確認することでこれを回避することは可能である。しかしながら、在室時間があまりにも短すぎると作業を適切に行っていない可能性がある。そのため、本実施の形態では、入室日時と退室日時を取得し、在室時間を確認するようにした。ただ、作業に要する程度の時間、単に部屋に留まっているだけで、作業員が作業を実際に行ったかどうかは依然として不明である。
【0048】
そこで、本実施の形態では、歩数計7を作業員に携帯させて室内における作業中の移動量を歩数によって測定するようにした。厳密には、作業の種類によっては室内での移動が全て作業中の移動に該当するとは限らないが、これは標準歩数の設定を調整することによって対応可能である。もちろん、作業をせずに室内を単に歩き回ったり歩数計7を振り回すなどしたりするなどの悪質な行為まで対応しかねるが、標準歩数の設定値を知らなければどれくらい歩けばよいのかはわからないので、このような悪質な行為を見逃す可能性は低くなる。
【0049】
作業実績時間及び作業実績歩数を「実績値」と、標準作業所要時間及び標準歩数を「標準値」と、それぞれ総称することにすると、以上の観点から基本的には、実績値が標準値に近ければ、作業は適切に行われたと判断できる。ただ、実績値が標準値と一致する可能性は低いため、作業員が作業を適切にしたと判断するためには標準的な歩数や作業所要時間に幅を持たせるのが都合よい。例えば、ステップ107で求めた作業実績時間及び作業実績歩数をそれぞれAT,AS、ステップ108で取得した標準作業所要時間及び標準歩数をそれぞれST,SSとすると、AT,ASがそれぞれST(1−α)≦AT≦ST(1+α)及びSS(1−α)≦AS≦SS(1+α)という標準範囲内にある場合に作業員が作業を適切にしたと判断する。もちろん、双方を満たした場合に限る必要はなく、歩数のみが上記式を満たす場合に作業員が作業を適切にしたと判断してもよい。
【0050】
範囲を規定するα(0<α<1)の値は、作業実績を参照したり、あるいはシミュレーションを行うなどして決めればよい。なお、αの値は、時間と歩数とで別個に設定してもよいし、同じ時間又は歩数でも作業内容によって個々に設定してもよい。また、αを用いずに、
図4に示した作業評価情報に含まれる標準作業所要時間及び標準歩数の各項目に範囲を直接設定してもよい。
【0051】
また、範囲を指定した場合、歩きすぎた場合、多大な時間をかけて作業をした場合も適切でないと判断される。これを適切でないと判断したくない場合、範囲を指定せずに、例えば、ST(1−α)やSS(1−α)など標準値を予め低めに設定しておき、標準値に達しなかった場合のみを適切に作業が行われなかったと判断するようにしてもよい。つまり、標準作業所要時間及び標準歩数には閾値を設定することになる。
【0052】
以上のように、作業評価処理部14、実績値と標準値(実際は標準値から得られる標準範囲)とを比較した結果(ステップ109)、実績値が標準範囲内であれば(ステップ110でY)、その作業は適切に行われたと判断する。一方、実績値が標準範囲外の場合(ステップ110でN)、作業評価処理部14は、その作業は適切に行われなかったと判断し、警告情報を生成し、警告情報記憶部27に登録する(ステップ111)。
【0053】
図8は、警告情報記憶部27に登録される警告情報のデータ構成例を示した図である。警告情報には、作業日、作業員、作業場所、標準との歩数差、標準との時間差及びコメントが対応付けして設定される。作業日には、警告対象となった作業が行われた日が設定される。日付だけでなく時間も含めるようにしてもよい。作業員には、当該作業を行った作業員の作業員IDが設定される。作業場所には、当該作業が行われた場所、本実施の形態では部屋の部屋IDが設定される。標準との歩数差には、標準歩数と作業実績歩数との差が設定される。標準との時間差には、標準作業所要時間と作業実績時間との差が設定される。時間差が負の場合は、標準に対して作業実績が足りていないことを意味する。コメントには、警告と判断された具体的な理由がメッセージにより設定される。
図8に例示した警告情報における“70%”はα(=0.3)であることを示している。
【0054】
作業管理者は、都合の良いときに警告情報記憶部27に登録された警告情報を参照することで、適切に作業を行わない作業員を把握できる。もちろん、警告情報を記憶手段に登録せずに、作業管理者が使用する端末等にメッセージ表示させるようにしてもよい。ただ、警告情報を警告情報記憶部27に蓄積していけば、適切に作業を行わない傾向にある作業員の特定も容易になる。
【0055】
以上説明したように、本実施の形態においては、作業員が、携帯しているICカード6及び歩数計7を部屋1を入退室する際に読み取らせることで、作業実績情報蓄積部26に各作業員の作業実績を登録できるようにしたので、作業員は作業の実施を報告する作業を行う必要がなくなる。作業管理者側からしてみれば、作業実績情報蓄積部26に蓄積された作業実績情報を参照することで、各作業員の作業の実施状況を把握することができる。また、作業実績情報は、作業員によって改ざんされる余地はないので、信頼性のある作業実績を得ることができる。
【0056】
特に、本実施の形態によれば、作業員が作業を適切に行っていない可能性がある場合には警告情報を生成するようにしたので、作業管理者は、作業員が作業を適切に行っていないことを容易に見つけ出すことができる。
【0057】
ところで、本実施の形態では、標準値(標準作業所要時間及び標準歩数)を部屋1の仕様や作業内容に基づき設定するようにした。ただ、作業の内容によっては作業員によって個人差が生じてくる場合もあり得る。従って、作業の内容によっては、あるいは作業の内容にかかわらず、体格、性別、年齢、熟練度等、作業員の特性を考慮して標準値を設定するようにしてもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、
図6に示したように、作業の評価を行うために用いる情報を収集する処理(ステップ101〜106)と、種々の情報に基づき作業の評価を行う処理(ステップ107〜111)と、を一連の処理として説明した。ただ、情報の収集処理と、評価する処理とを別途に処理するようにしてもよい。例えば、情報の収集はリアルタイムに行い、作業の評価は、1日における全ての作業が終了した時点で、作業管理者が所定の評価用プログラムを起動して実行するようにしてもよい。
【0059】
また、本実施の形態では、ICカード6の読取手段としてカードリーダ3を、歩数計7の読取手段として歩数計リーダ4を、それぞれ別個に設けたが、例えばカードリーダ3に歩数計7の歩数の読取機能を持たせ、カードリーダ3と歩数計リーダ4とを一体化して構成してもよい。
【0060】
また、本実施の形態では、歩数計7の読取手段として歩数計リーダ4を部屋1の出入口に設け、作業員が入退室する際に歩数計7を読み取らせるようにした。これは、歩数計7の近距離通信機能を利用することを想定している。ただ、歩数計7の歩数の読取りは、他の手段を用いてもよい。例えば、読取手段としてカメラを設置し、歩数計7の表示部を撮像して画像処理を実施して歩数を得るようにしてもよい。
【0061】
また、近年の歩数計7は、メモリ機能、USB接続機能等種々な機能が搭載された機種が存在するので、これらの機能を有効利用してもよい。例えば、メモリ内蔵の歩数計7を使用する場合、部屋1を出入りする時点の歩数を歩数計7の内部に記憶させ、1日の作業終了後に歩数計7を作業員から回収して歩数情報を生成するようにしてもよい。あるいは、部屋1の出入口にリーダライタを設け、作業員が入退室するときに入退室の日時を歩数計7に書き込むようにしてもよい。こうすれば、入退システム5と連携させなくてもすむ。この場合、歩数情報取得部11は、歩数を歩数計リーダ4からではなく歩数計7から直接収集することになる。
【0062】
また、歩数計7は、必ずしも歩数計である必要はない。例えば、近年では、スマートフォンにアプリを搭載することで、スマートフォンを歩数計として機能させることが可能である。このように、アプリケーションを搭載することで歩数計の機能を有することになる機器を、前述した歩数計7として利用してもよい。このような機器を使用すると、前述したICカード6と歩数計7とを同一機器にて実現することも可能になる。
【0063】
また、本実施の形態では、作業を行う空間として建物内の部屋1を例にして説明したが、建物外の空間における作業にも適用してもよい。例えば、アミューズメントパーク等の広大な施設内にカードリーダ3及び歩数計リーダ4の組を散在配置して施設(敷地)内の清掃や警備(巡回)の作業の管理を行うようにしてもよい。