【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された(1)の手法では、移動体が向かっていく地域を予測するためにナビゲーション装置が必要になり、装置規模が大きくなって製品自体が高価になる。このため、安価にデジタルテレビを視聴したいと考える利用者向けの製品としては採用が難しい。
【0005】
一方、特許文献1に開示された(2)の手法では、県境を跨いで移動体が隣接県に進入する場合に、移動前の県に対して移動後の県の系列局が減少するような場合であってこのような系列局を受信中に受信状態が悪化すると、スキャン動作の実施回数が多くなって、放送波の受信が中断したり受信品質が低下するという問題があった。
【0006】
例えば、茨城県を走行中の車両が県境を越えて福島県に入る場合に、リモコン番号7にプリセットされている関東広域放送の「テレビ東京」の番組を地上デジタル放送受信機で受信している場合を考える。この状態で車両が福島県に向けて走行すると「テレビ東京」の番組の受信状態が次第に悪化して自動的に放送局のスキャン動作が実施されると、7以外のリモコン番号に対応して、関東広域放送の各放送局に対応する福島県内の系列局が検出されて各リモコン番号にプリセット登録される。しかし、リモコン番号「7」に登録された関東広域放送の「テレビ東京」については福島県内に対応する系列局がないため、受信状態が多少悪化しても同じ「テレビ東京」が登録される。
【0007】
その後、「テレビ東京」の番組受信を継続しながらさらに福島県内に深く進入すると番組の受信状態がさらに悪化して番組受信が困難になると再度自動的に放送局のスキャン動作が実施されることになる。このスキャン動作では、7以外のリモコン番号に対応して、福島県内の放送局が検出されて各リモコン番号にプリセット登録される。この登録内容自体は、先に実施されたスキャン動作に対応してプリセット登録された内容と同じとなる。また、リモコン番号「7」については、該当する放送局がないため未登録となる。
【0008】
このように、福島県内の受信可能な放送局を検出してプリセット登録するためにスキャン動作を2回繰り返すことになり、スキャン動作中は番組の受信が中断して受信品質が低下することになる。複数のチューナ部が備わっている場合にはその一部を用いてバックグラウンド処理にてサーチ動作を行うことも考えられるが、この場合であっても、残りのチューナ部を用いて番組受信を継続することになるため、ダイバーシティ受信を解除したり、ダイバーシティ受信を行うチューナ部の数を減らす必要があり、番組の受信品質が低下することに変わりはない。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、移動に伴って受信可能な放送局が変化する場合の受信品質の低下を抑制することができるデジタル放送受信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明のデジタル放送受信装置は、受信可能な複数の放送局をそれぞれの地域識別情報とともに登録する放送局登録手段と、放送局登録手段によって登録された一の放送局の番組情報を受信する番組受信手段と、番組受信手段によって受信中の放送局の受信状態が悪化したときに、この放送局に対応する地域識別情報が、放送局登録手段によって登録された複数の放送局のそれぞれに対応する地域識別情報の中で多数派か否かを判定する地域識別判定手段と、地域識別判定手段によって多数派である旨の判定が行われたときに、番組受信手段による受信中に受信状態が悪化した放送局の系列局を検索するサーチ動作、または、所定の受信周波数範囲について放送局を検索するスキャン動作を行う放送局検索手段とを備えている。
【0011】
移動に伴って受信中の放送局の受信状態が悪化したときにこの放送局の地域識別情報が多数派の場合に放送局(あるいは系列局)を検索するスキャン動作やサーチ動作を行っている。このため、受信状態が悪化した放送局の地域識別情報が少数派の場合にスキャン動作やサーチ動作を省略することが可能になり、この放送局の受信を継続した場合に複数回のスキャン動作やサーチ動作が繰り返されることを回避でき、頻繁にスキャン動作やサーチ動作が繰り返されることによる受信品質の低下を抑制することが可能となる。
【0012】
また、上述した地域識別判定手段によって多数派である旨の判定が行われなかったときに、多数派となった地域識別情報に対応する放送局の受信状態を調査する多数派放送局調査手段をさらに備え、放送局検索手段は、多数派放送局調査手段による調査によって得られた放送局の受信状態も悪化している場合にサーチ動作またはスキャン動作を行うことが望ましい。受信中の放送波の地域識別情報が少数派に属する場合であっても、多数派に属する地域識別情報を有する他の放送局の受信状態も同時に悪化している場合には放送局のサーチ動作やスキャン動作が行われるため、移動に伴って各放送局の受信環境全体が悪化した場合に、その場所で良好な受信が可能な放送局に入れ替えることが可能となる。
【0013】
また、上述した放送局登録手段は、多数派放送局調査手段による調査によって得られた多数派の放送局の受信状態が悪化していない場合に、番組受信手段による受信中に受信状態が悪化した放送局について、利用者によって削除指示がなされたときに登録を削除することが望ましい。これにより、サーチ動作やスキャン動作の無駄な繰り返しを回避しつつ、不必要な登録情報の削除が可能となる。
【0014】
また、上述した番組受信手段によって受信中の放送局の受信状態が悪化したときに、この放送局の番組と同じ内容の番組を放送する中継局であって、受信状態が悪化した放送局よりも受信状態が良好な中継局を検索する中継局検索手段をさらに備え、放送局検索手段は、中継局検索手段による検索によって該当する中継局が検出できなかったときにサーチ動作またはスキャン動作を行うことが望ましい。受信状態が良好な中継局が存在する場合には受信状態が悪化した放送局をこの中継局と入れ替えることが可能なり、無駄なサーチ動作を回避することができる。
【0015】
また、上述した地域識別判定手段は、地域識別情報の中で多数派であるか否かを、地域識別情報の中で過半数を占めるか否かで判定することが望ましい。また、上述した番組受信手段は、地上デジタル放送によって配信される放送波を受信することが望ましい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した一実施形態の地上デジタル放送受信機について、図面を参照しながら説明する。
図1は、一実施形態の地上デジタル放送受信機の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の地上デジタル放送受信機100は、4つのチューナ部10、12、14、16、2つのOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)復調部30、32、MPEGデコーダ40、デジタル−アナログ変換器(D/A)42、スピーカ44、表示処理部46、表示装置48、制御部50、プリセット情報格納部60を含んで構成されている。
【0018】
チューナ部10、12、14、16のそれぞれは、指定された放送局に対応する受信周波数の放送波をアンテナを介して受信する。OFDM復調部30、32のそれぞれは、複数のチューナ部から入力される放送信号(IF信号)に対してOFDM復調処理を行い、TS(トランスポートストリーム)信号を出力する。本実施形態では、複数のチューナ部から入力される放送信号を用い、これらの放送信号の位相を調整した後に合成して受信する合成ダイバーシティ構成が採用され、使用するチューナ部の数が多い程C/Nを向上させることができる。
【0019】
また、本実施形態では、4つのチューナ部10、12、14、16から出力される4つのIF信号を合成してOFDM復調処理を行う4合成ダイバーの動作がOFDM復調部30によって行われる。この4合成ダイバーの動作を行う際には、一方のOFDM復調部32の出力信号が他方のOFDM復調部30に入力されて、このOFDM復調部30によってIF信号の合成およびOFDM復調処理が行われる。
【0020】
MPEGデコーダ40は、OFDM復調部30、32から出力されるTS信号に含まれる受信番組の音声および映像のMPEG信号をデコードし、音声データおよび映像データを出力する。なお、実際には、OFDM復調部30、32から出力されるTS信号はデマルチプレクサに入力されて、利用者が視聴を希望している番組に対応する音声および映像のMPEG信号が分離されるが、このような番組の受信動作自体は従来手法と同じであって、
図1では概略構成のみが図示されている。
【0021】
デジタル−アナログ変換器42は、MPEGデコーダ40から出力される音声データをアナログ音声信号に変換し、スピーカ44から出力する。表示処理部46は、MPEGデコーダ40から出力される映像データを表示に適した形式(例えば、NTSC形式)の映像信号に変換して表示装置48に表示する。
【0022】
制御部50は、地上デジタル放送受信機100の番組受信動作と中継局や系列局を含む放送局のスキャン動作やサーチ動作を含む全体を制御する。この制御部50は、受信状態判定部51、受信周波数設定部52、中継局検索部53、地域識別判定部54、多数派放送局調査部55、放送局検索処理部56、手動設定部57、放送局登録部58を備えている。
【0023】
放送局登録部58は、プリセット番号(リモコン番号)毎に、受信可能な複数の放送局とそれぞれの地域識別情報とが少なくとも含まれるプリセット情報をプリセット情報格納部60に格納(登録)する。
【0024】
図2は、茨城県を走行中に登録されたプリセット情報の一例を示す図である。
図2に示す例では、プリセット番号1〜2、4〜8のそれぞれに対応して、地域識別が「関東広域」となる7つの放送局が設定されている。
【0025】
図3は、茨城県から福島県に進入した直後の県境付近において登録されたプリセット情報の一例を示す図である。県境付近では、地域識別が「関東広域」となっている放送局の受信状態が悪化するため、その時点で受信可能な放送局を検索すると、プリセット番号1〜6、8については地域識別が「関東広域」となる放送局に代えて、これらの放送局の系列局が検出されて登録される。しかし、プリセット番号7の「テレビ東京」の系列局が福島県にはないため、このプリセット番号7については、受信状態が悪化した「テレビ東京」が再び検出されて登録される場合がある(
図3)。なお、受信状態が悪化した「テレビ東京」が検出されず、登録から外れた場合には、
図4に示すプリセット情報となる。この
図4に示す例では、プリセット番号7については「テレビ東京」が登録されずに空欄になっている。
【0026】
受信状態判定部51は、4つのチューナ部10〜16(あるいはその一部)を用いて受信した放送波の受信状態を判定する。受信周波数設定部52は、4つのチューナ部10〜16のそれぞれにおいて放送波を受信する周波数を設定する。
【0027】
中継局検索部53は、その時点で受信中の放送局に対応する中継局であって、それまで受信していた放送局よりも受信状態が良好な中継局を検索する。具体的には、中継局検索部53は、チューナ部10〜16に指示を送ってそれぞれの受信周波数を順番に切り替えながら、各受信周波数の放送波を送信する放送局が、受信周波数切替前に受信していた放送局の同じ番組内容の中継局であるか否かを判定する。中継局の場合には、この中継局の受信状態が受信周波数切り替え前の放送局の受信状態(受信状態の判定自体は受信状態判定部51によって行われる)よりも良好か否かを判定する。
【0028】
地域識別判定部54は、受信中の放送局の受信状態が悪化(例えば、受信不可)したときに、この放送局に対応する地域識別情報が、放送局登録部58によって登録された複数の放送局のそれぞれに対応する地域識別情報の中で多数派か否かを判定する。
図3に示す例では、受信中の放送局が「福島放送」の場合にはこの放送局の地域識別情報「福島」は多数派に属することになる。また、受信中の放送局が「テレビ東京」の場合にはこの放送局の地域識別情報「関東広域」は少数派であって多数派には属しないことになる。なお、多数派か否かの判定に代えて、過半数を占めるか否かの判定を行うようにしてもよい。
【0029】
多数派放送局調査部55は、受信中の放送局の受信状態が悪化した場合であって、この放送局の地域識別情報について、地域識別判定部54によって多数派である旨の判定が行われなかったとき(少数派の場合)に、多数派となった地域識別情報に対応する放送局の受信状態を調査する。
図3に示す例では、受信中の放送局が「テレビ東京」(地域識別情報が少数派の「関東広域」)の場合に、地域識別情報が多数派の「福島」に対応する他の7つの放送局の受信状態が調査される。
【0030】
放送局検索処理部56は、受信中の放送局の受信状態が悪化した場合であって、この放送局の地域識別情報について、地域識別判定部54によって多数派である旨の判定が行われたときに、4つのチューナ部10〜16(あるいはその一部)に対して受信周波数を一方向に変化させる指示を行い、所定の受信周波数範囲(受信帯域内の全ての受信周波数範囲)について放送局を検索するスキャン動作や、受信中に受信状態が悪化した放送局の系列局を検索するサーチ動作を行う。
【0031】
手動設定部57は、利用者の手動操作(例えば、図示しない操作部を用いて行われる)に応じて、各プリセット番号に対応する放送局の登録処理や、登録済みの放送局の削除処理を行って、プリセット情報格納部60の登録内容を更新する。
【0032】
上述した放送局登録部58、プリセット情報格納部60が放送局登録手段に、4つのチューナ部10〜16が番組受信手段に、地域識別判定部54が地域識別判定手段に、放送局検索処理部56が放送局検索手段に、多数派放送局調査部55が多数派放送局調査手段に、中継局検索部53が中継局検索手段にそれぞれ対応する。
【0033】
本実施形態の地上デジタル放送受信機100はこのような構成を有しており、次に、受信状態が悪化したときに中継局やその他の放送局を検索してプリセット情報を登録する動作について説明する。
【0034】
地上デジタル放送ではMPEG2−TS(Transport Stream)規格に準拠した構造を有する放送波が配信される。MPEG2−TSは、TSヘッダ部と、ペイロード部(データ本体)とを有する。TSヘッダ部とペイロード部とで188バイトのトランスポート・パケットが構成されている。また、このMPEG2−TSで伝送されるデータには、PAT(Program Association Table)、PMT、NIT(Network Information Table)、BIT(Broadcaster Information Table)などがある。
【0035】
PAT:番組(プログラム)番号ごとにその番組構成を記述しているテーブル(PMT)を伝送しているトランスポート・パケットのPID(Packet Identification、パケット識別情報)が記述されている。PAT自身のPIDは、固定値(0x0000)を有する。このPATは、所定時間以内に1回受信される。
【0036】
PMT:このトランスポート・パケットのペイロード部に、1つの番組を構成するビデオ、オーディオなどの個別ストリームが伝送されているトランスポート・パケットのPIDのリストや付属情報(サービス識別等)が記述されている。
【0037】
図5は、PMTのデータ構造を示す図である。この中で、Aで示された「program_number」は16ビットのサービス識別を示す。
図6は、サービス識別の詳細なビット配列を示す図である。この中で、6ビットの地域識別によって、関東広域、近畿広域、中京広域、福島等の地域を特定することができる。なお、この6ビットの地域識別と4ビットの地域事業者識別を組み合わせることで、このPMTを含む放送波を送信している事業者を特定することができる。
【0038】
NIT:このトランスポート・パケットのペイロード部に、放送局のネットワーク情報が記述されている。
【0039】
BIT:このトランスポート・パケットのペイロード部に系列局情報が含まれる。BITのPIDは、固定値(0x0024)を有する。
【0040】
図7は、現在受信中の放送局の受信状態が悪化したときにプリセット情報を更新する動作手順を示す流れ図である。例えば、4つのチューナ部10〜16を用いた4ダイバー構成のダイバーシティ受信が行われ、利用者が指定したフルセグメントデジタル放送の受信番組の音声がスピーカ44から出力され、映像が表示装置48の画面に表示されている(ステップ100)。このような受信動作と並行して、受信状態判定部51は、受信状態が悪化したか否かを判定する(ステップ102)。受信状態が良好な場合には否定判断が行われ、ステップ100の受信動作とこの判定動作が繰り返される。
【0041】
一方、受信状態が悪化するとステップ102の判定において肯定判断が行われ、次に、中継局検索部53は、受信状態が悪化した放送局と同じ内容の番組を放送する中継局であって受信状態が良好な中継局を検索し(ステップ104)、該当する中継局があるか否かを判定する(ステップ106)。該当する中継局が検出された場合には肯定判断が行われ、受信周波数設定部52は、チューナー部10〜16の受信周波数をこの検出された中継局に合わせて放送局の切り替えを行う(ステップ108)。また、放送局登録部58は、検出された中継局に関してプリセット情報の更新を行う(ステップ110)。
【0042】
また、中継局がない場合にはステップ106の判定において否定判断が行われる。次に、地域識別判定部54は、受信状態が悪化した放送局に対応する地域識別情報が、放送局登録部58によって登録されている他の放送局のそれぞれに対応する地域識別情報の中で多数派か否かを判定する(ステップ112)。多数派の場合には肯定判断が行われる。
図3に示す例では、プリセット番号1〜6、8のいずれかの放送局を受信中に受信状態が悪化した場合がこれに当たる。この場合には、放送局検索処理部56は、4つのチューナ部10〜16に対して受信周波数を一方向に変化させる指示を行って放送局を検索するスキャン動作を行う(ステップ114)。また、放送局登録部58は、検出された放送局に関してプリセット情報の更新を行う(ステップ116)。
【0043】
また、受信状態が悪化した放送局に対応する地域識別情報が多数派でない場合にはステップ112の判定において否定判断が行われる。
図3に示す例では、プリセット番号7の「テレビ東京」を受信中に受信状態が悪化した場合がこれに当たる。
【0044】
次に、多数派放送局調査部55は、その時点で多数派となった地域識別情報に対応する放送局の受信状態を調査し(ステップ118)、多数派の地域識別情報を有する各放送局の受信状態が悪いか否かを判定する(ステップ120)。これらの各放送局の受信状態も悪い場合、すなわち、少数派および多数派の地域識別情報を有する放送局の受信状態がともに悪い場合には肯定判断が行われ、ステップ114に移行してその時点で受信可能な放送局のスキャン動作が行われる。
【0045】
また、多数派の地域識別情報を有する各放送局については受信状態が悪くない場合、受信中の少数派の地域識別情報を有する放送局の受信状態のみが悪い場合にはステップ120の判定において否定判断が行われる。次に、手動設定部57は、受信状態が悪化した放送局のプリセット情報について、利用者によって削除が指示されたか否かを判定する(ステップ122)。削除が指示された場合には肯定判断が行われ、手動設定部57は、該当する放送局のプリセット情報を削除する(ステップ124)。例えば、
図4に示す例では、プリセット番号7の「テレビ東京」の受信状態が悪化し、プリセット番号1〜6、8の他の放送局の受信状態が良好な場合に、「テレビ東京」の削除が指示されると、プリセット番号7の登録内容の削除が行われる。なお、利用者によって削除が指示されない場合にはステップ122の判定において否定判断が行われ、プリセット情報の削除は実施されずにその内容が維持される。
【0046】
このように、本実施形態の地上デジタル放送受信機100では、車両の移動に伴って受信中の放送局の受信状態が悪化したときにこの放送局の地域識別情報が多数派の場合に放送局を検索するスキャン動作を行っている。このため、受信状態が悪化した放送局の地域識別情報が少数派の場合にスキャン動作を省略することが可能になり、この放送局の受信を継続した場合に複数回のスキャン動作が繰り返されることを回避でき、頻繁にスキャン動作が繰り返されることによる受信品質の低下を抑制することが可能となる。
【0047】
具体的には、本実施形態では、
図3に示すプリセット情報を登録するために行われるスキャン動作を行った後に、
図3の内容とほぼ一致する
図4に示すプリセット情報を登録するために行われるスキャン動作を省略することができる。
【0048】
また、受信中の放送波の地域識別情報が少数派に属する場合であっても、多数派に属する地域識別情報を有する他の放送局の受信状態も同時に悪化している場合には放送局のスキャン動作が行われるため、移動に伴って各放送局の受信環境全体が悪化した場合に、その場所で良好な受信が可能な放送局に入れ替えることが可能となる。
【0049】
また、特に、多数派の放送局の受信状態が悪化していない場合に、受信中に受信状態が悪化した放送局について、利用者によって削除指示がなされたときにプリセット情報の登録を削除しており、スキャン動作の無駄な繰り返しを回避しつつ、不必要な登録情報の削除が可能となる。
【0050】
また、受信中の放送局の受信状態が悪化した場合であっても、受信状態が良好な中継局が存在する場合には、受信状態が悪化した放送局をこの中継局と入れ替えることにより、無駄なスキャン動作を回避することができる。
【0051】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、中継局やその他の放送局を検索するスキャン動作が行われるが、これらのスキャン動作は、4つのチューナ部10〜16を用いて行うようにしてもよい(この場合には、受信中の放送局の番組内容の表示が中断される)が、一部のチューナ部を用いて番組内容の表示を継続し、残りのチューナ部を用いてバックグラウンドでスキャン動作を並行して行うようにしてもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、
図7のステップ114において周波数帯域内の全ての放送局を対象にしたスキャン動作を行ったが、このステップ114を、受信中に受信状態が悪化した放送局の系列局を周波数帯域内で検索するサーチ動作を行うステップ114Aに置き換えるようにしてもよい。例えば、系列局を検索するサーチ動作は、次のようにして行うことができる。
(1)周波数帯域内の全周波数を対象に順番に周波数を切り替える。
(2)順番に切り替えた周波数において、BIT(系列局情報)を取得して、拡張ブロードキャスト記述子に含まれるaffiliation#id(系列局ID)が、受信状態が悪化した放送局の系列局IDと同じ場合にはサーチ動作を停止する。
【0053】
図8は、BITのデータ構造を示す図である。この中で、Bで示された拡張ブロードキャスタ記述子(詳細は
図9)には、affiliation_id(系列局識別)が含まれている。
【0054】
また、上述した実施形態では、車両に搭載された地上デジタル放送受信機について説明したが、携帯可能な地上デジタル放送受信機を、車両や電車等に登場した利用者が携帯するような場合についても本発明を適用することができる。