特許第6305940号(P6305940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305940
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】自己作動する洪水防水壁
(51)【国際特許分類】
   E02B 3/06 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
   E02B3/06 301
【請求項の数】47
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-556589(P2014-556589)
(86)(22)【出願日】2013年2月4日
(65)【公表番号】特表2015-513323(P2015-513323A)
(43)【公表日】2015年5月7日
(86)【国際出願番号】US2013024579
(87)【国際公開番号】WO2013119491
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2016年1月5日
(31)【優先権主張番号】61/596,293
(32)【優先日】2012年2月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514197968
【氏名又は名称】ウォーターズ,ルイス,エー,ジュニア
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100133983
【弁理士】
【氏名又は名称】永坂 均
(72)【発明者】
【氏名】ウォーターズ,ルイス,エー,ジュニア
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−153468(JP,A)
【文献】 特開2006−241806(JP,A)
【文献】 米国特許第4377352(US,A)
【文献】 英国特許出願公開第2399375(GB,A)
【文献】 独国特許出願公開第10162568(DE,A1)
【文献】 英国特許出願公開第2457463(GB,A)
【文献】 国際公開第2006/120410(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 3/06、7/20−7/50
E06B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汀線に対して垂直な一対の壁の間の、水体のための場所に隣接する汀線に沿う据付けのための自己作動する洪水防水壁ユニットであって、
a.可撓な弾性のパネルと、該パネルに接続される複数の剛性の取付部材とを含み、前記パネルは、当該洪水防水壁ユニットに浮力を与える大きさ及び配置の1つ又はそれよりも多くの水密チャンバを含む、パネル組立体と、
b.汀線に隣接する定着のための静止部材と、前記パネル組立体の下方部分の上で前記剛性の取付部材に接続される可動部材とを含み、該可動部材は、前記静止部材に移動可能に接合され、前記水体の上昇からの水浮力及び静水圧の下で、前記汀線に沿う軸について、前記可撓な弾性パネルの普段は水平な配置から上向きに旋回的に回転可能である、旋回部材と、
c.一方の端で、前記パネル組立体が水平に配置されるときに当該洪水防水壁ユニットよりも低いアンカに接続され、他方の端で、当該洪水防水壁ユニットの上向きの回転を所定の程度に限定するのに効果的な前記パネル組立体上の位置で前記剛性の取付部材に接続される、43とを含む、
洪水防水壁ユニット。
【請求項2】
前記剛性の取付部材は、前記軸に対して垂直方向に少なくとも1つの細長い剛性の取付部材を含む、請求項1に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項3】
前記少なくとも1つの細長い剛性の取付部材は、前記可撓なパネルの側面で固定される細長いハードポイントである、請求項2に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項4】
前記壁に隣接する請求項3に記載の洪水防水壁ユニットであって、
他の洪水防水壁ユニットに接続されない側面の細長いハードポイントに、前記ハードポイントに取り付けられるガスケットを含み、該ガスケットは、水平からの前記パネル組立体の上昇後に前記壁をワイプするよう位置付けられ、前記パネル組立体が前記軸上で上向きに旋回するときに、前記パネル組立体と前記壁との間の水の通路を抑制するよう位置付けられる、
洪水防水壁ユニット。
【請求項5】
前記可撓な弾性パネルは、2つの前記細長い剛性の取付部材の間に支持される、請求項2に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項6】
前記可撓な弾性パネルは、2つの細長い剛性の取付部材に対して垂直に配置され且つ前記2つの細長い剛性の取付部材に接続する複数の弾性的な可撓なストリンガによって、前記2つの細長い剛性の取付部材の間に支持される可撓なパネルである、請求項5に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項7】
前記弾性的に可撓なストリンガは、繊維強化ポリマ複合材又はバネ鋼である、請求項6に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項8】
前記可撓なパネルを支持する前記2つの細長い剛性の取付部材の他のそのような部材と協働する細長い剛性の取付部材は、前記隣接する洪水防水壁ユニットの前記可撓なパネルを支持するよう、前記隣接する洪水防水壁ユニットの他のそのような部材と協働する請求項6の横方向に隣接する洪水防水壁ユニットの複数の弾性的な可撓ストリンガにも付着する、請求項6に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項9】
前記細長い剛性の取付部材は、前記可撓パネルの側面に固定される細長いハードポイントである、請求項8に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項10】
洪水防水壁組立体を形成するよう、前記側面の細長いハードポイントで並んで接続される、複数の請求項9に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項11】
前記一対の壁に隣接する請求項10に記載の洪水防水壁ユニットであって、
他の洪水防水壁ユニットに接続されない側面の細長いハードポイントで、該ハードポイントに取り付けられるガスケットを含み、該ガスケットは、水平からの前記パネル組立体の上昇後に前記壁をワイプするように位置付けられ、且つ前記パネル組立体が前記軸上で上向きに旋回するときに、前記パネル組立体と前記壁との間の水の通過を抑制するように位置付けられる、
洪水防水壁ユニット。
【請求項12】
前記汀線に対して垂直な前記一対の壁は、第1の端壁及び第2の端壁であり、少なくとも1つの追加的な壁が、前記汀線に対して垂直であり、且つ前記第1の端壁と前記第2の端壁の間に配置され、第1のそのような組立体が前記第1の端壁と隣の隣接する追加的な壁との間に配置され、第2のそのような組立体が前記第2の端壁と隣の隣接する追加的な壁との間に配置される、請求項10に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項13】
前記パネル組立体は、普段は水平に配置されるときに水体の上に浮かぶよう配置される、請求項10に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項14】
前記パネル組立体は、普段は水平に配置される手隠線に沿って岸にある凹部内に存するよう配置される、請求項10に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項15】
前記可撓な弾性パネルは、弾性的に伸縮的に変形可能である、請求項5に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項16】
前記可撓な弾性的に伸縮的に変形可能なパネルは、水を通さない熱可塑性エラストマ、ゴム組成物又は伸縮性積層材料、或いはそれらの2つ又はそれよりも多くの組み合わせ又は組成物を含む、請求項15に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項17】
前記可撓な弾性的に伸縮的に変形可能なパネルは、パネル回転の前記軸と概ね平行に配置される、複数の閉塞端の、結合された、伸縮性の長手のチューブを含む、請求項15に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項18】
前記可撓な弾性的に伸縮的な変形可能なパネルは、複数の水密チャンバに区画化され且つ防水材料の封止された外被内に入れられる浮き袋を含む、請求項15に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項19】
前記可撓な弾性的に伸縮的な変形可能なパネルは、前記細長い剛性の取付部材に対して垂直に配置され且つ前記細長い剛性の取付部材に接続する複数の弾性的な可撓ストリンガによって、前記2つの細長い剛性の取付部材の間に支持される、請求項15に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項20】
前記弾性的に可撓なストリンガは、繊維強化ポリマ複合材又はバネ鋼である、請求項19に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項21】
前記弾性的に可撓なストリンガは、前記可撓な弾性的に伸縮的に変形可能なパネル内に埋設される、請求項19に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項22】
前記弾性的に可撓なストリンガは、前記可撓な伸縮的に変形可能なパネル内に作られるスリーブ内に嵌入される、請求項19に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項23】
前記可撓なパネルを支持する前記2つの細長い剛性の取付部材の他のそのような部材と協働する細長い剛性の取付部材も、前記隣接する洪水防水壁ユニットの前記可撓なパネルを支持するよう、前記隣接する洪水防水壁ユニットの端のそのような部材と協働する請求項19の横方向に隣接する洪水防水壁ユニットの複数の弾性的に可撓なストリンガに付着する、請求項19に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項24】
前記細長い剛性の付着部材は、前記可撓なパネルの側面で固定される細長いハードポイントである、請求項23に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項25】
洪水防水壁組立体を形成するために、前記側面の細長いハードポイントで並んで接続される、請求項24に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項26】
前記一対の壁の壁に隣接する請求項25に記載の洪水防水壁ユニットであって、
他の洪水防水壁ユニットに接続されない側面の細長いハードポイントで、該ハードポイントに取り付けられるガスケットを含み、該ガスケットは、水平からの前記パネル組立体の上昇後に前記壁を拭うように位置付けられ、前記パネル組立体が前記軸上で上向きに旋回するときに、前記パネル組立体と前記壁との間の水の通過を抑制するように位置付けられる、
洪水防水壁ユニット。
【請求項27】
前記汀線に対して垂直な前記一対の壁は、第1の端壁及び第2の端壁であり、少なくとも1つの追加的な壁が前記汀線に対して垂直であり、且つ前記第1の端壁と前記第2の端壁の間に配置され、第1のそのような組立体が前記第1の端壁と隣の隣接する追加的な壁との間に配置され、第2のそのような組立体が前記第2の端壁と隣の隣接する追加的な壁との間に配置される、請求項25に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項28】
前記パネル組立体は、普段は水平に配置されるときに水体の上に浮かぶように配置される、請求項25に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項29】
前記パネル組立体は、普段は水平に配置される前記汀線に沿う岸にある凹部内に存する、請求項25に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項30】
前記剛性の取付部材は、前記パネルの側面で固定される前記細長いハードポイントでなく、前記可撓なパネル内のハードポイントを含み、前記張力部材は、前記パネルの側面で固定される前記細長いハードポイントでなく、前記可撓なパネルの上方部分内のハードポイントに接続され、前記移動可能な旋回部材は、前記パネルの側面で固定される前記少なくとも1つの細長いハードポイントでない前記可撓パネルの下方部分内のハードポイントに接続される、請求項5に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項31】
前記可撓なパネルは、弾性的に伸縮的に変形可能である、請求項30に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項32】
前記可撓な弾性的に伸縮的に変形可能なパネルは、水を通さない熱可塑性エラストマ、ゴム組成物又は伸縮性積層材料、或いはそれらの1つ又はそれよりも多くの組み合わせ又は組成物である、請求項31に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項33】
前記可撓な弾性的に伸縮的に変形可能なパネルは、前記軸と概ね平行に配置される、複数の閉塞端の、一体的に組み合わせられた、伸縮性の長手のチューブを含む、請求項31に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項34】
前記可撓な弾性的に伸縮的に変形可能なパネルは、複数の水密チャンバに区画化され且つ防水材料の外被内に入れられる浮き袋を含む、請求項31に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項35】
前記少なくとも1つの細長い剛性の取付部材は、前記可撓なパネルの側面で固定される細長いハードポイントである、請求項30に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項36】
洪水防水壁組立体を形成するよう、前記側面の細長いハードポイントで並んで接続される、請求項35に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項37】
前記壁に隣接する請求項36に記載の洪水防水壁ユニットであって、
他の洪水防水壁ユニットに接続されない側面の細長いハードポイントで、該ハードポイント上に取り付けられるガスケットを含み、該ガスケットは、水平からの前記パネル組立体の上昇後に前記壁を拭うように位置付けられ、前記パネル組立体が前記軸上で上向きに旋回するときに、前記パネル組立体と前記壁との間の水の通過を抑制するように位置付けられる、
洪水防水壁ユニット。
【請求項38】
前記汀線に対して垂直な前記一対の壁は、第1の端壁及び第2の端壁であり、少なくとも1つの追加的な壁が前記汀線に対して垂直であり、且つ前記第1の端壁及び前記第2の端壁の間に配置され、第1のそのような組立体が前記第1の端壁と隣の隣接する追加的な壁との間に配置され、第2のそのような組立体が第2の端壁と隣の追加的な壁との間に配置される、請求項36に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項39】
前記パネル組立体は、普段は水平に配置されるときに水体の上に浮かぶように配置される、請求項36に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項40】
前記パネル組立体は、普段は水平に配置される前記汀線に沿う岸にある凹部内に存するよう配置される、請求項36に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項41】
前記1つ又はそれよりも多くのチャンバのうちの1つ又はそれよりも多くは区画化される、請求項1に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項42】
前記細長い剛性の取付部材のうちの1つ又はそれよりも多くは、それらの内に、1つ又はそれよりも多くの水密チャンバを含む、請求項2に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項43】
前記1つ又はそれよりも多くのチャンバのうちの1つ又はそれよりも多くは区画化される、請求項42に記載の洪水防水壁ユニット。
【請求項44】
洪水から水体のための場所に隣接する岸を保護するための方法であって、
a.前記岸の汀線に対して垂直に一対の壁の間に横方向に接続される洪水防水壁ユニットを提供することを含み、該洪水防水壁ユニットの各々は、パネル組立体を含み、該パネル組立体は、1つ又はそれよりも多くの水密チャンバを有する可撓な弾性のパネルであって、該パネルに浮力を与えるような大きさ及び配置のパネルと、該パネルに接続される複数の剛性の取付部材とを含み、前記パネル組立体は、前記パネル組立体の下方部分に接続される移動可能な旋回部材に移動可能に接合される静止的な旋回部材によって前記汀線に沿う構築物に取り付けられ、前記パネル組立体は、前記水体の上昇からの浮力及び静水圧の影響の下で、前記構築物と長手の前記旋回部材の軸について上向きに回転可能であり、
b.前記パネル組立体の一部に接続され且つ前記パネルの回転を所定の程度に制限するのに効果的であるよう前記パネル組立体に対して作用するように位置付けられる可撓な張力部材を提供することを含む、
方法。
【請求項45】
前記可撓なパネルは、2つの細長い剛性の取付部材に対して垂直に配置され且つ前記2つの細長い剛性の取付部材に接続する複数の弾性的な可撓ストリンガによって、前記2つの細長い剛性の取付部材の間で支持される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記可撓な弾性パネルは、弾性的に伸縮的に変形可能である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記可撓な弾性的に伸縮的に変形可能なパネルは、2つの細長い剛性の取付部材に対して垂直に配置され且つ前記2つの細長い剛性の取付部材に接続する複数の弾性的な可撓ストリンガによって、前記2つの細長い剛性の取付部材の間で支持される、請求項46に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載)
該当しない。
【0002】
(関連出願の参照)
この出願は2012年2月8日に出願された米国仮特許出願第61/596,293号の出願日の利益を主張し、その全文をここに参照として援用する。
【0003】
この発明は、洪水の水、特に波作用を起こし易い洪水の水から汀線を保護するための障壁に関する。
【背景技術】
【0004】
洪水の水は資産損害の主要な原因である。洪水の水はハリケーン主導の高潮のような上昇する水体から来たり、雪溶け又は豪雨から洪水位より上に上昇する増水した川から来たり、或いは排水システムを凌駕する持続性の雨の故に地表に蓄積して上昇する水から来たりする。改良された海岸地域、潮汐地域、川地域は、上昇する水からの洪水による水辺地区資産の破壊を防止するために、防護壁、防潮堤、岩脈、又は土手のような、汀線防水壁を頻繁に利用する。水体のための場所の海岸にある建造物は、防水壁を越流する風主導の洪水の水の攻撃に対して特に脆弱である。
【0005】
防水壁の上に恒久的に据え付けられる鋼又はコンクリートの壁は、上昇する水及び風主導の波が防水壁を越流して水辺地区資産を損傷し或いは破壊するのを防止するための潜在的な解決策を提供する。しかしながら、越流する水を遮断し且つ打ち続ける水作用に耐えるのに十分な程に高い汀線に沿う恒久的な壁は、水辺風景の眺めを覆い隠し、しばしば美しい汀線地域及び川地域の景観を損なわせ、海浜及び汀線のレクリエーションのための使用を妨げ得る。
【0006】
防護壁、防潮壁、土手、岩脈、又は他の汀線防水壁構成によって一線を画される水体のための場所の水辺風景の眺めを恒久的に遮断しない解決策が提案されている。例えば、米国特許第6,338,594号(地下チャンバから垂直に上がる浮揚壁であり、浮揚壁を上向きに浮かせるために地下チャンバ内に水が注入される浮揚壁)、第5,725,326号及び第7,744,310号(地下チャンバを充填し且つ壁を垂直に上向きに岩脈又は防護壁の上に浮かせるための上昇する洪水の水の使用)、第7,033,122号(作業者によって所定の場所において展開されて係止され得る岩脈内の収容空間内に位置付けられる折畳み金属壁)を参照のこと。しかしながら、これらの解決策はポンプを運転するための利用可能な労働力又は電力に依存し、或いは表面材料の付着物からの汚れの影響を受け易い地下構造に依存する。被覆用材によって相互接続される自動上昇スタンチョンによって一線に並ばされる自然の川岸(即ち、防護壁化されていない川岸)が米国特許第4,377,352号に記載されている。ここに記載する発明の可能な実施態様の発明者は、自己作動する水浮揚剛性防潮壁パネルによる水の進入からドア又は他の平面開口を防護するシステムを米国特許第6,623,209号に開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
アルミニウム合金は、特に海洋環境において、自己作動する水浮揚する防潮壁用の剛性パネルとしての使用に適している。何故ならば、アルミニウム合金は比較的軽量であり、耐食性を有し、容易に入手可能であり、且つ費用効果的であるからであり、自己作動ゲートが車両交通又は歩行者交通のための荷重ベアリングでなければならない、選択の材料であるからである。自己作動する水浮揚式の防潮壁の上昇パネルは、上昇パネルに押し付ける上昇水の静水圧によって直立に保持され、曲げ応力、即ち、パネルの平面に対して垂直な応力にされされ、曲げ応力は、パネルをパネルの中心に向かって曲げる傾向を有する。水の水準上昇は、パネルに対して作用する静水圧からパネルに着実にますます応力を加える。水位の漸進的な上昇は、技術的に優れたアルミニウム合金に関する耐久性の問題を殆ど提示しない。しかしながら、アルミニウム合金の構造的限界は、それらの疲労強度及び疲労限度である。疲労強度は、破損が所与の回数の周期に亘って起こる応力である。疲労限度は、材料が晒されるその限界よりも下の負荷の周期の数に拘わらず、それよりも下では材料が破損しない負荷限界である。アルミニウム合金は明確な疲労限度がなく、それは、如何なる時でも極めて小さい繰り返し荷重の下で、合金の等級に依存して、疲労破損が多くの周期の後で最終的には起こることを意味する。しかしながら、上昇した水位の上のパネルに断続的に到達してパネルの上で砕ける洪水の水の高潮は、甚だしく大きい荷重を上昇パネルに対して急激に且つ周期的に伝え、よりゆっくりした変化レベルの上昇する或いは落下する水から適用される比較的安定した力よりも強くパネルの応力を急激に増大させる。時間の経過と共に並びに暴風雨を通じて剛性アルミニウムパネルの上で反復的に砕ける高潮からの周期的な圧力スパイクは、特に腐食性の海洋環境において、アルミニウム合金及び自己作動する水浮揚式の防潮壁としての使用に適した材料で形成される他の同様な剛性パネルの最終的な疲労及び破損の可能性を早める。これは防潮壁の修理又は交換を必要とする。この状況における改良が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
例示的な実施態様の以下の詳細な記載では、添付の図面が参照される。添付の図面は本明細書の一部を形成し、図面中には本発明を実施し得る例示的な実施態様の実施態様が例示によって示される。図面及び記載において、同等の又は対応する部分は明細書及び図面を通じて同じ参照番号で印される。図面は必ずしも原寸でない。本発明の特定の機能は誇張した縮尺で或いは幾分概略的な又は図形的な形態で示され、従来的な要素の一部の詳細は明瞭性及び簡潔性の観点から示されないことがある。図面を参照すれば、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】洪水防水壁として組み立てられ、且つ水体の汀線に沿う防護壁の形態の防水壁構造に隣接して据え付けられる、本発明の洪水防水壁ユニットから作られた洪水防水壁モジュールの例示的な実施態様を示す正面図である。この図面において、洪水防水壁は防護壁の水側で水体の上で浮揚している。図1中の概略的な家は、図1の洪水防水壁によって防護される陸上改良を示している。
【0010】
図2図1におけるように配置される図1の例示的な実施態様を示す頂面図である。
【0011】
図3】組み立てられた図1の洪水防水壁実施態様の一部の下側(水に面する側)、即ち、洪水防水壁が水の上で浮揚する普段は水平の配置にあるときに又は洪水防水壁がこの図面におけるように洪水を防止するよう直立位置まで上昇するときに図1中の水体と接する側を示す正面図である。
【0012】
図4図3の上昇した洪水防水壁を示す「鳥瞰」頂面図である。
【0013】
図5図3と同じ正面図であり、図3の実施態様の変形を描写している。
【0014】
図6図5の洪水防水壁を示す「鳥瞰」頂面図である。
【0015】
図7図3と同じ正面図であり、図3及び5の実施態様の代替である例示的な実施態様を描写している。
【0016】
図8図7の洪水防水壁の「鳥瞰」頂面図である。
【0017】
図9】ワイパ壁と接するよう適合される実施態様における洪水防水壁のパネルの端の概略的な縦断面図であり、そこでは、細長いハードポイントが可撓なパネルの側面に固定されている。
【0018】
図10】洪水防水壁ユニットの隣接するパネルを並んで接続するためのコネクタを概略的に示す縦断面図であり、そこでは、細長いハードポイントが可撓なパネルの側面に固定されている。
【0019】
図11図3又は5におけるような洪水防水壁モジュールの洪水防水壁ユニットの水浮揚性の可撓な弾性パネルの例示的な実施態様を概略的に示す斜視図であり、そこでは、横方向に配置される弾性的な可撓ストリンガが、浮揚性の可撓で弾性的な伸縮性の変形可能なパネルとして結合される複数の可撓で弾性的な伸縮性の長手のチューブ内に埋設されている。
【0020】
図12a図11の水浮揚性の可撓な弾性パネルを半ば概略的に示す斜視図であり、図11の可撓で弾性的な伸縮性の長手のチューブの切欠きを示し、図11の弾性的な可撓ストリンガの挿入のためのスリーブを示している。
【0021】
図12b図12aのパネルのスリーブを有さない水浮揚性の可撓な弾性パネルを半ば概略的示す図12aと同じ斜視図である。
【0022】
図13】パネルを半ば概略的に示す断面図であり、パネルは図12aのパネルと同じであるが、提供されるスリーブ内に弾性的な可撓ストリンガを備える。
【0023】
図14図15及び16に示される洪水防水壁ユニットの水浮揚性パネルの例示的な実施態様の構成における構成部品を示す断面図である。
【0024】
図15】洪水防水壁ユニットの水浮揚性パネルの他の例示的な実施態様を示す断面図である。
【0025】
図16】洪水防水壁ユニットの水浮揚性パネルの他の例示的な実施態様を示す断面図である。
【0026】
図17】防潮壁よりも上の水体の上昇によって引き起こされるような、陸上に上昇位置において据え付けられる本発明の例示的な実施態様を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
要約に述べられるものを含めて、ここに記載される特別な詳細は、あらゆる場合において、本発明の着想を実施し得る具体的な方法を提示する実施態様の非限定的な記載及び例示である。これはそれらの着想と一致する実質的に如何なる詳細なシステム、構造、又は様式において本発明を利用することを当業者に教示する働きをする。この明細書を通じた「例示的な実施態様」への言及は、その実施態様に関連して記載される特定の機能、構造、又は特徴が本発明の少なくとも1つの例示的な実施態様に含まれれることを意味する。よって、この明細書を通じた様々の場所における「例示的な実施態様において」という句の出現は、必ずしも全て同じ実施態様を指していない。更に、特定の機能、構造、又は特徴を1つ又はそれよりも多くの実施態様において任意の適切な方法において組み合わせ得る。特定の記載される実施態様及びそれらの詳細に対する様々の変更及び代替を本発明の範囲内で行い得ることが分かるであろう。図面に描写される要素の1つ又はそれよりも多くをより別個の又は一体的な様式において実施し得ること或いは特定の用途に従って有用であるような特定の場合には図面に描写される要素の1つ又はそれよりも多くを取り除くか動作不能とさせし得ることが理解されよう。ここに記載され発明的な着想の範囲内で並びに且つここに詳述される例示的な実施態様内で多くの様々の異なる実施態様を行い得るので、ここにおける詳細は例示的であるとして解釈されるべきであり、本発明をここに例示され且つ記載されるものに限定するものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。
【0028】
例示的な実施態様の詳細な記載において使用される「上方」、「頂部」、「下方」、「底部」、「背面」、「正面」、「横断方向」、「直交」、「垂直」、「法線方向」、「水平」、「長さ」、「幅」、「横方向」等のような様々な方向は、図面と一緒のより容易な説明のためにのみ行われる。本発明の着想を具現するここに詳細される例示的な実施態様と同じ機能を遂行し且つ同じ結果を達成しながら、構成部品を異なる方向に向け得る。そのような用語はそれらの実施態様が例示する着想を限定するものと理解されてはならない。
【0029】
ここにおいて使用されるとき、請求項及び/又は明細書中の「含む」(又は同義語の「有する」又は「包含する」という用語と共に使用されるときの単数形の使用は「1つ」を意味し得るが、それは「少なくとも1つ」及び「1つ又は1つよりも多く」の意味とも一致する。
【0030】
加えて、ここにおいて使用されるとき、「接続され」という句は、直接的に或いは中間的な構成部品を通じて、接合され或いは連絡するよう配置されることを意味する。「地面」という用語は、改良物が構築される表面又は特定の床を意味する。「水体」は、例えば、小川、運河、川、池、湖、緩流河川、潟、河口、湾、又は海であり得る。「水体のための場所」は、水体が占める或いは通常占め得る場所を指し、水体によって通常占められる汀線付近の既述の水体のいずれかの底に加えて、潮汐流に従って周期的に沈水させられる潮汐平底又は干潟も含む。「構成物」は、地上に或いは地中に構築される任意の改良物であり得る。ここに記載される一部の実施態様において、例示的な構成物は、非限定的に、構造、例えば、水体のための場所の汀線と一線に並ぶ防護壁であり、構造の通常露出される部分は防護壁の海側で地中から離間して防護壁の海側の地中に固定され、その潜在的に露出されない部分は地面より下にあるか或いは(おそらく低い潮汐を除き、潮位水であるならば)水体の通常水位によって通常浸される。ここに開示される他の実施態様において、構築物は、土手又は防潮壁のような、汀線に沿って上昇させられる構造である。
【0031】
この発明によれば、剛性パネル又は浮揚式でない単に可撓なパネルの代わりに、浮揚式の可撓な弾性パネルが自己作動式の洪水防水壁ユニット内で利用される。自己作動式の洪水防水壁ユニットは、汀線に対して横方向の一対の壁の間で、水体のための場所に隣接する汀線に沿う据付けのために適合される。
【0032】
弾性は、材料が伸縮的に変形させられるときに応力をを吸収し、次に負荷を取り除いた後にこのエネルギを回復させる、材料の特性である。記載される本発明の例示的な実施態様におけるような、可撓で弾性的なパネルの使用は、特に海洋環境において、さもなければ自己作動する洪水防水壁における使用に適する剛性パネルと同じ程度に或いは疲労及び破損を伴うことなく、長期間に亘って波作用又はうねりからのスパイク応力負荷周期により十分に耐える自己作動する浮揚式の防水壁を可能にする。自己作動する防水壁が汀線にある静止的な防水壁構築物に打ち寄せる波作用に晒される汀線に隣接する車両交通又は歩行者交通のための荷重ベアリングである必要がない場合、この発明に従った可撓で弾性的なパネルは、運用費用の削減という利点を有する。
【0033】
この発明によれば、浮揚性の可撓なパネルの材料がパネルを可撓(flexible)にするが、弾性的に(resiliently)伸縮的に(elastically)変形可能(deformable)にしないならば、パネルの外側端で或いはパネルの外側端に隣接して細長い剛性の取付部材に対して横方向に配置され且つ細長い剛性の取付部材に接続するパネルを支持する弾性的な可撓ストリンガを含めることによって、パネルに弾性をもたらし得る。ストリンガを浮揚性の可撓なパネルの材料中に埋設させ得るし、或いはパネルの材料内に形成されるスリーブ内に嵌入させ得る。例示的な実施態様において、弾性的に可撓なストリンガ(stringer)は、繊維強化ポリマ複合材又はバネ鋼であり得る。繊維強化ポリマ複合材は、ガラス繊維、パラ−アラミド合成繊維、アルミニウム繊維、カーボン繊維、又はそれらの組み合わせを含み得る。複合材のポリマは、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、ナイロン、又は他の適切なポリマ樹脂であり得る。繊維強化ポリマ複合材は強力且つ軽量であり、所望の程度の弾性的な可撓性のために繊維強化ポリマ複合材を調整し得る。
【0034】
代替的に、パネルの材料は可撓であり且つ弾性的に伸縮的に変形可能であってよく、パネルは弾性的な可撓ストリンガを有さなくてよい。例示的な実施態様において、洪水防水壁ユニットの浮揚性の可撓な弾性パネルは、弾性的に伸縮的に変形可能な材料で形成される。例示的な実施態様として、浮揚性の可撓な弾性的に伸縮的に変形可能なパネルは、比較的水を通さないエラストマ(例えば、ポリエステルエラストマ樹脂)、ゴム組成物、伸縮性積層材料、又はそれらの2つ又はそれよりも多くの組み合わせ又は組成物を含み得る。所望の特性は、可撓性、弾性、及び高い曲げ係数(曲げ変形における歪みに対する応力の比、即ち、材料が曲がる傾向)を備える機械的強度である。
【0035】
或いは、浮揚性の可撓な弾性パネルの弾性を、パネルの材料の性質及びパネルを支持する複数の弾性的な可撓ストリンガの両方からもたらし得る。
【0036】
この発明の例示的な実施態様において、自動作動する洪水防水壁ユニットは、パネル組立体を含み、パネル組立体は、可撓な弾性パネルと、パネルに接続される複数の剛性の取付部材とを含む。パネルは、洪水防水壁ユニットに水浮力を与える大きさ(size)及び配置(arrangement)の1つ又はそれよりも多くの水密チャンバを含む。ここでは、時折、可撓な弾性的なチャンバ付きパネルを「浮揚式の可撓な弾性パネル」と呼ぶ。例示的な実施態様では、チャンバの水密性が妥協される場合に浮力を維持するために、それらのチャンバのうちの1つ又はそれよりも多くを区画化し得る。
【0037】
弾性的な可撓なストリンガは、如何なる特定の形状にも制約されず、例えば、ロッド、ストリップ(条片)、バンド(帯)であり得るし、断面において円形、楕円形、直線多角形、多面、対称的、又は非対称的であり得るし、その長さに沿って均一又はテーパ状であったり中央においてよりも両端でより厚くあったりし得るし、或いは、それが長手であり、その長さに沿って横方向に曲げ力を分配するビームの機能を果たし、且つ可撓で弾性的である限り、如何なる数の端桶以上及び寸法をも有し得る。組成、形状及び寸法の選択を、浮揚性のパネルのために用いられる特定の可撓な或いは可撓で弾性的に伸縮的に変形可能な材料の寸法及び材料に合わせて調整し得る。
【0038】
そのようなパネル組立体を含む自己作動する洪水防水壁ユニットの例示的な実施態様は、旋回部材を含み、旋回部材は、汀線に隣接するアンカのための静止部材と、パネル組立体の下方部分の上で既述の剛性の取付部材に接続される可動部材とを含み、可動部材は、静止部材に移動可能に接合され、水体の上昇からの水浮力及び静水圧の影響の下で、汀線と長手に軸について可撓な弾性パネルの普段は水平な配置から上向きに旋回的に回転可能である。以下、時折、この軸を「旋回軸」と呼ぶ。
【0039】
そのようなパネル組立体を含む自己作動式の洪水防水壁ユニットの例示的な実施態様は、少なくとも1つの可撓な張力部材を更に含み、張力部材は、一方の端で、パネル組立体が水平に配置されるときに洪水防水壁ユニットよりも低いアンカに接続され、他方の端で、洪水防水壁ユニットの上向きの回転を所定の程度に限定するのに効果的なパネル組立体上の部分で剛性の取付部材に接続される。この程度は、特定の現場での特定の据付けのために決定される。通常、可撓な張力部材は、パネル回転が垂直を越えるのを防止するよう働くが、異なる程度を示唆する現場変動があり得る。
【0040】
そのようなパネル組立体を含む自己作動する洪水防水壁ユニットの例示的な実施態様において、パネル組立体の剛性の取付部材は、旋回軸に対して横方向に少なくとも1つの細長い剛性の取付部材を含み、浮揚式の可撓な弾性パネルは、旋回軸について上向きに回転する。
【0041】
例示的な実施態様において、可撓な弾性パネルは、2つの細長い剛性の取付部材の間に支持される。例示的な実施態様において、可撓なパネルは、細長い剛性の取付部材に対して横方向に配置され且つ細長い剛性の取付部材に接続する複数の弾性的な可撓ストリンガによって、2つの細長い剛性の取付部材の間に支持される。例示的な実施態様において、可撓なパネルを支持する2つの部材の他のそのような部材と協働する細長い剛性の取付部材も、側面の隣接する同様な洪水防水壁ユニットの複数の弾性的な可撓ストリンガに付着し、そうすることにおいて、その隣接する同様の洪水防水壁ユニットの可撓パネルを支持するよう、その隣接する同様の洪水防水壁ユニットの細長い剛性の取付部材と協働する。複数の細長い剛性の取付部材の間に複数の可撓なパネルを支持するために、他の隣接するそのような部材と協働する複数の細長い剛性の取付部材によって、この配置(複数の弾性的な可撓ストリンガを付着する側面の隣接する可撓なパネルの細長い剛性の取付部材)を反復し得る。上述のように、弾性ストリンガは、必要とされる弾性を可撓パネルにもたらし得るし、或いは可撓に弾性的に伸縮的に変形可能なパネル内でストリンガを用い得る。
【0042】
例示的な実施態様において、1つ又はそれよりも多くの細長い剛性の取付部材は、上述の旋回部材の可動部材の取付けに役立つ。上向きの回転のために旋回部材の可動部材が付着する細長い剛性の取付部材は、追加的な水浮力を洪水防水壁ユニットに付与するのに効果的な大きさ及び配置の水密チャンバも有し得る。これらの水密チャンバを区画化し得る。よって、例示的な実施態様において、洪水防水壁ユニットの上向き回転のために旋回部材の可動部材が付着する細長い剛性の部材は中空であり得るし、据付けの特定の現場で(より短い又はより長いパネルのような)トレードオフ(妥協)に合わせて調整される浮揚性の程度に寄与するよう、細長い剛性の部材をパネルの幅及び重量に対する大きさとし得る。
【0043】
例示的な実施態様において、旋回部材の可動部材の取付に役立たない他の細長い剛性の取付部材は、隣接する洪水防水壁ユニットを並んで接続するためのコネクタの取付けのための浮揚性の可撓な弾性パネルの側面で固定される細長いハードポイント(硬い地点)(hardpoint)であり得る。細長いハードポイントと言うときには、それらがパネル組立体内に含められる剛性の取付部材内に含められることが理解されよう。
【0044】
そのような側面の(横方向の)細長いハードポイントは、そのように固定される細長いハードポイントと汀線に対して横方向である隣接する壁との間の間隙をワイプシール(拭い封止)する(wipe sealing)ためのガスケットを取り付け得る。よって、例示的な実施態様において、浮揚式の可撓な弾性パネルを含む洪水防水壁ユニットは、他の洪水防水壁ユニットに接続されない側面の細長いハードポイントで、ハードポイントに取り付けられるガスケットを含み、ガスケットは、水平からの洪水防水壁ユニットのパネルの上昇時に上昇の旋回軸に対して横方向の隣接する壁をワイプシールするよう位置付けられ、且つ洪水防水壁ユニットが旋回軸上で上向きに旋回するときに洪水防水壁ユニットと壁との間の水の通過を抑制するよう位置付けられる。
【0045】
側面の細長い例示的なハードポイントは、ハードポイントでない細長い剛性の取付部材と協働して、複数の弾性的な可撓ストリンガも取り付け得る。
【0046】
他の例示的な実施態様において、パネル組立体の剛性の取付部材は、パネルの側面で固定される細長いハードポイントでない浮揚性の可撓な弾性パネルにおけるハードポイントを含み得る。パネルの側面で固定される細長いハードポイントでない浮揚性の可撓な弾性パネルにおけるこれらのハードポイントの一部は、浮揚性の可撓な弾性パネルの回転を制限する可撓な張力部材の取付けに役立ち、一部は旋回部材の可動部材の取付けに役立つ。
【0047】
浮揚性の可撓な弾性パネルは、パネル部材間の水の流れを許容しないよう結合される幾つかの可撓で弾性的なパネル部材の複合物であり得る。例示的な実施態様において、洪水防水壁ユニットのパネルは、パネルの回転の旋回軸と概ね平行に配置され且つチューブ間の水の通過を許容しないよう結合される、複数の閉塞端の、長手の伸縮的なチューブを含む。例示的な実施態様において、洪水防水壁ユニットの弾性的に伸縮的に変形可能なパネルのチャンバを区画化し得る。例示的な実施態様では、弾性的な可撓ストリンガをパネルの弾性的に伸縮的に変形可能な材料内に埋設し得るし、或いは弾性的に伸縮的に変形可能な材料中に作られるスリーブ内に嵌入し得る。
【0048】
他の例示的な実施態様において、洪水防水壁ユニットの可撓な弾性パネルは、破壊を防止するために、複数の水密チャンバに区画化され且つ耐久性のあるKevlar(登録商標)メッシュのような防水性材料の封止された外被内に入れられる浮き袋を含み、Kevlar(登録商標)メッシュの場合には、幾分防水性でもある。例示的な実施態様では、弾性的に可撓なストリンガを浮き袋内に埋設し得るし、或いは外被中に作られるスリーブ内に嵌入し得る。
【0049】
汀線に対して横方向の端壁又は中間壁の間の据付けのために、所望の長さの洪水防水壁ユニットを構築するよう、洪水防水壁ユニットを並んで組み立て得る。可撓パネルの側面で固定される細長いハードポイントで洪水防水壁ユニットを並べて接続することによって、洪水防水壁ユニットを組み立て得る。或いは、洪水防水壁ユニットの浮揚性の可撓な弾性パネルは長手に長くあり得る。よって、より長い洪水防水壁ユニットを形成する洪水防水壁ユニットの並んだ組立体は、特定の据付けのためには不要であり得る。浮揚性の可撓な弾性パネルを含む洪水防水壁ユニットの基本構造及び性質は、据付けのための特定の現場の要求への洪水防水壁ユニットの構造の適合を可能にする工学的ツールを提供する。
【0050】
水の洪水上昇に起因する水体のための場所に隣接する汀線に沿う岸の洪水を防止するための据付けの例示的な実施態様は、汀線に対して横方向の一対の壁と、一対の壁の間の洪水防水壁ユニットとを含み、洪水防水壁ユニットは、パネル組立体と、旋回部材と、可撓な張力部材とを含む。この脈絡において、「洪水防水壁ユニット」という用語中の不定冠詞は、「少なくとも1つ」と均等であり、よって、単数及び複数を含む。従って、「洪水防水壁ユニット」は、複数のそのようなユニットを含んでよく、例示的な実施態様では、側面に(横方向に)隣接する可撓な或いは可撓で弾性的なパネルの弾性的な可撓ストリンガに付着する細長い剛性の取付部材を備えて、そのような部材の間でパネルを支持し、複数の洪水防水壁ユニットは集結してモジュールを形成し、モジュールを他のモジュールに接続させることができ、そして、潜在的には特定の現場での要求に従って、そのモジュールを他のモジュールに接続させるなどして、汀線に対して横方向の一対の壁の間の据付けのための洪水防水壁ユニットをもたらす、接続されるモジュールの組立体を形成する。「洪水防水壁ユニット」という用語は、単数のユニット、例示的な実施態様では、それ自体が他のそのようなモジュールと接続され得るモジュールとして機能する長手方向に長いユニットを含み、そして、潜在的には特定の現場での要求に従って、そのモジュールを他のモジュールに接続させるなどして、接続されるモジュールの組立体を形成して、汀線に対して横方向の一対の壁の間の据付けのための洪水防水壁ユニットを提供するよう、そのようなモジュールの組立体を形成する。ここでは、時折、接続されるモジュールの組立体を、1つの洪水防水壁ユニットで形成されようが或いは複数の洪水防水壁ユニットで形成されようが、簡潔性のために、「洪水防水壁組立体」と呼ぶ。
【0051】
洪水防水壁ユニットを使用する据付けの例示的な実施態様において、据付けは、洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体が水体の通常水位で水体の上に実質的に水平に配置されて浮かぶように配置されるものであり得る。例えば、潮汐水の場合、通常水位は、満潮と干潮との間の平均潮汐レベルであり得るし、高さにおいて潮汐の波動に晒されない水に関して、通常水位は、典型的な非洪水段階レベルであり得る。
【0052】
洪水防水壁ユニットを使用する据付けの他の例示的な実施態様では、汀線に沿い且つ汀線に隣接する岸の上の構造中の凹部内に通常は(非洪水状況において)水平に配置されて陸上に存するよう、洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体を配置し得る。
【0053】
いずれの種類の据付けにおいても、陸上であろうが或いは水上であろうが、一対の端壁の1つの壁は、洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体に第1の端壁を提供する。一対の端壁の他の壁は、洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体に第2の端壁を提供する。一対の端壁の主要な目的は、上昇させられる洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体によって創り出される防水壁の両端の周りの洪水の水の通過を防止し、それによって、潜在的な洪水の水を上昇させられる防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体の前方に収容された状態に維持することである。よって、−洪水防水壁ユニット又は接続されたそのような洪水防水壁ユニットの完全に直立した高さと同じ高さに上昇させられた−洪水の水が、直立した洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体の側面の上方部分の周りを流れるのを防止するために、2つの端壁は、直立した洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体の高さと少なくとも同じぐらいの高さを有する。
【0054】
端壁の間には、汀線に対して横方向に1つ又はそれよりも多くの追加的な壁があり得る。これらの追加的な壁は、両側に洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体を有する。第1の洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体を第1の端壁と隣の隣接する追加的な壁との間に配置し得るし、第2の洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体を第2の端壁と隣の隣接する追加的な壁との間に配置し得る。よって、追加的な壁又は追加的な複数の壁は、究極的な端壁の「中間」にある。中間壁の戦略的な配置は、洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体が増分式に回転し且つ汀線の方向における変化に従うことを可能にする。追加的に、特に、洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体が陸上に(例えば、土手、川堤、又は防潮壁構造に沿って)配置される据付けのために、中間壁の使用は、排水を行うために洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体を上昇させること或いは洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体より下の凹部内の他の構造を上昇させることが過度に困難になる程には洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体が長くならない、従って、重くならないことを可能にする。
【0055】
本発明は水体のための場所に隣接する岸を洪水から保護するための方法も想定する。例示的な実施態様において、その方法は、岸の汀線に対して横方向の一対の壁の間に、洪水防水壁ユニット又は洪水防水壁組立体を提供することを含む。洪水防水壁ユニット又はそのようなユニットを含む洪水防水壁組立体は、パネル組立体を含み、パネル組立体は、パネルの水浮揚性(水浮力)を与える大きさ及び配置の1つ又はそれよりも多くの水密チャンバを有する可撓な弾性パネルと、パネルに接続される複数の剛性の取付部材とを含む。洪水防水壁ユニットは、パネル組立体に接続される可動旋回部材に移動可能に接合される静止旋回部材によって汀線に沿う構築物に取り付けられる。パネル組立体は、水体の上昇からの浮力及び静水圧の影響の下で、構築物と長手の旋回部材の軸について上向きに回転可能である。その方法は、パネル組立体に接続され且つパネルの回転を所定の程度に制限するようパネル組立体に対して作用するよう位置付けられる可撓な張力部材を更に含む。
【0056】
その方法における浮揚性の可撓な弾性パネルは、2つの細長い剛性の取付部材に対して横方向に配置され且つ2つの細長い剛性の取付部材に接続する複数の弾性的な可撓ストリンガによって、2つの細長い剛性の取付部材の間に支持される。代替的に、可撓な弾性パネルは、2つの細長い剛性の取付部材の間に支持される弾性的に伸縮的に変形可能なパネルであり得るし、2つの細長い剛性の取付部材に対して横方向に配置され且つ2つの細長い剛性の取付部材に接続する複数の弾性的な可撓ストリンガによって2つの細長い剛性の取付部材の間に支持されても支持されなくてもよい。
【0057】
図面を参照すると、本発明の例示的な実施態様の詳細な記載が提供されている。図1−27は、据付けのための実施態様を例示しており、そこでは、洪水防水壁ユニットの長手の並んでいる組立体が水体の上に位置している。図17は、陸上据付けのための実施態様を例示している。これらの据付けのための例示的な実施態様は、水体「W」のための場所の汀線で岸「S」と一線に並ぶ、構築物「C」、例えば、壁「C」(図1及び2では、防護壁であり、図17では、防潮壁である)で据え付けられる。
【0058】
図1−8を参照すると、洪水モジュール20,20の自己作動する洪水防水壁ユニット22が、汀線に対して横方向の一対の壁の間で、水体「W」のための場所に隣接して汀線に沿って据え付けられる、洪水防水壁組立体30の一部である。一対の壁の一方、即ち、壁26のみが図面中に例示されているが、他の壁(便宜のために、壁24と呼ぶことがある)は、壁26と同様であると理解されるべきである。上で説明したように、壁24,26は、端壁、端壁と中間壁、又は一対の中間壁であり得る。自己作動する洪水防水壁ユニット(図3−8)は、近位側又は端21に基部を有し、遠位側又は端23に頂部を有する。
【0059】
洪水防水壁組立体30は、水「W」の上で浮遊する。水位「W」が落ちると、モジュール20の洪水防水壁ユニット22の遠位頂端23は落ち得る。それはぶら下がり得て依然として機能し、水が地面「G」から上昇して洪水防水壁組立体30のモジュール20の頂端23に達すると上向きに浮揚する。水体のための隣接する場所から上昇する水に対する護岸に加えて、十分な水位を伴って汀線に据え付けられる洪水防水壁組立体30は、休止しているときに2つの機能をもたらし得る。即ち、それらは、洪水防水壁ユニット22のパネルの弾性のために選択される手段に少なくとも部分的に依存して、釣り及び運転プラットフォームを成し得る。
【0060】
特に図1及び2を参照すると、第1の垂直壁24が、例えば、壁の1つの端に取り付けられ且つ構築物「C」の垂直ポスト55に締め付けられるフランジ26Lによって、構築物に接続されるために適合される。同様に、第2の垂直境界壁24が、壁24の端に取り付けられる同様なフランジ24L(図示しないが、フランジ26Lを真似たものである)によって、構築物「C」に接続されるために適合される。壁24は少なくとも洪水防水壁の幅と同じ幅の距離だけ第1の壁26から適切に離間し、例示的な実施態様では、洪水防水壁モジュール20の端部洪水防水壁ユニット22の各側面と隣接する境界壁24,26との間に間隙をもたらすのに十分な程に洪水防水壁の幅よりも広く、既述の間隙を封止するための(以下に記載するような)可撓なリップシールガスケット28の収容するのに十分である。
【0061】
図3,4、5,6を参照すると、基本的な洪水防水壁ユニット22は、細長い剛性部材29b、29cのような一対の細長い剛性部材によって支持される、パネル27bのような可撓な弾性パネルを含む。例示的な実施態様において、洪水防水壁モジュール20は、並んで配置される複数の洪水防水壁ユニット22を含んでよく、図2,3及び5,6に例示されるように、複数の可撓な弾性パネル27a,27b,27c,27dを含む。各パネルは、細長い剛性部材の間に長手に支持される。可撓な弾性パネル27bは、細長い剛性部材29b、29bの間に長手に支持される。可撓な弾性パネル27cは、細長い剛性部材29c,29cの間に長手に支持される。端の可撓な弾性パネル27aは、細長い剛性部材29bと外側端の細長いハードポイントコネクタ部材29aとの間に長手に支持される。端の可撓な弾性パネル27dは、細長い剛性部材29dと外側端の細長いハードポイント取付部材29eとの間に長手に支持される。外側端の細長いハードポイント取付部材29eは、以下に更に記載するシールガスケット28を取り付ける。外側端の細長いハードポイントコネクタ部材29aは、横方向に隣接する洪水防水壁モジュール20’を洪水防水壁モジュール20に接続するための接続構造31の一部である。図4及び6において、パネル27(27a,27b等)は僅かに曲がって示されているが、これはパネルが実際に曲げられる必要があることを示しているのではなく、弓形パネルの僅かな凹面によって示される方向における水圧力のための弾性的変形のためにパネルが可撓であり且つ弾性的であることを示す概略的技巧であるに過ぎない。
【0062】
図5,6を参照すると、例示的な実施態様において、洪水防水壁ユニット22の剛性部材29の一部、例えば、剛性部材29b,29c,29dは、中空であり、パネル27によって寄与される浮力上昇を助けるよう、パネル27の幅及び重量に対する大きさとされる。各々のパネル27及び剛性部材29は浮揚性があり、据付けの特定の現場で(より短い又はより長いパネルのような)トレードオフ(妥協点)に合わせられた浮力の程度に寄与する。例示的な実施態様において、パネルの伸長方向に対して横方向の内部気密壁によって中空の剛性部材29を区画化し得る。
【0063】
図7,8を参照すると、図3−6と同じ図面が提示されているが、これらの例示的な実施態様において、パネルの剛性取付部材は、パネル27の側面で固定されるハードポイント29a又は29cではない浮揚性の可撓な弾性パネル27において、ハードポイント25(例えば、25a,25b,25c)及び37(例えば、37a,37b,37c,37d)を含む。ハードポイント25は、浮揚性の可撓な弾性パネル組立体の回転を制限する可撓な張力部材40の取付けに役立ち、ハードポイント37は、旋回部材32,34の移動可能な部材34の取付けに役立つ。図7,8において、例示的なハードポイント25,37は、パネル27を横断してボルト締めされる金属プレートを含む剛性取付部材である。当業者は、ハードポイントが金属である必要はなく、より弾性的な可撓なポリマ内に形成されるより高密度でより硬い成形ポリマであり得ることを理解するであろう。例示的な実施態様において、モジュール20は、取付けのためにハードポイント25,37を用い、長手に長く、可撓に弾性的で、弾性的に変形可能なチャンバ付きパネル構造27を含み、パネル構造27は、弾性のために弾性的な可撓なストリンガを用いない。
【0064】
例示的な実施態様において、(図3−6におけるような)モジュール20又は(図7,8におけるような)モジュール20の1つの洪水防水壁ユニット22は、端壁又は中間壁26(又は24)に隣接し、他の洪水防水壁モジュール20’と接合させられない側面に沿って、外側端の細長いハードポイント取付部材29cと、水平からの洪水防水壁20の上昇後に壁をワイプする(拭う)よう位置付けられるガスケット28とを含み、それによって、洪水防水壁20が旋回軸の上で上向きに旋回するときに洪水防水壁20と壁26(又は24)との間の水の通過を制約する。向きに関して特に図3−8を参照し、より詳細に関して図9を参照すると、可撓なリップシールガスケット28は、洪水防水壁モジュール20の外側の長さに沿って、モジュール20の側面と壁26との間の間隙を封止するために壁26を封止的にワイプするのに十分な幅を有する。図3−6の実施態様を参照すると、壁26に隣接する洪水防水壁ユニット22の概略的に表現されるパネル27dは、側面35で細長いハードポイント取付具29eによって支持される。締結具75によって、そして、ハードポイント取付具29eが金属であるならば、適切に溶接物によって、穿孔付き構造的なアングル部材57を細長いハードポイント取付具29eに取り付け得る。圧力プレート59を押さえ付け且つ圧力プレート59を通過してアングル部材57に至るボルト58によって固定されるのは、圧力プレート59の下でガスケット61によって裏打ちされたリップシール60である。リップシール60及びガスケット61は、リップシールガスケット28を共に含み、旋回軸に沿う上向きの洪水防水壁モジュール20の移動中に汀線に対して横方向に壁26と封止的に接し、洪水防水壁モジュール20が直立であるときにシールを保持する。
【0065】
図3−8及び9に描写される実施態様はリップシールガスケット28を含むが、それらを省略し得る。端モジュール20で上昇させられた洪水防水壁組立体30において、境界壁24,26を拭い且つ封止するガスケット28が存在しなければ、洪水防水壁組立体30の全面に亘って拒絶される極めて大きな水平方向の質量の水に対して、僅かな垂直スライスの水が洪水防水壁組立体30の各外側縁に存在する。洪水防水壁組立体30の全体的な幅に依存して、岸への水の流れの減少は、境界壁に近接する洪水防水壁組立体30の縁で縁沿い部分を通じて流れる水の小さいスライスよりも大きい大きさのオーダである。汀線の保護のために、洪水防水壁組立体30の縁沿い部分での「漏れ」は、洪水防水壁組立体30によって遮断される水の大きな質量に対して得られる保護に比べて取るに足らないものである。よって、リップシールが時間の経過と共に劣化するならば、或いはたとえそもそも存在しないとしても、洪水防水壁組立体30によって防護される殆どの改良物は十分に保護される。
【0066】
向きに関して図1−8を参照し、詳細に関して図10を参照すると、隣接する洪水防水壁モジュール20,20’を剛的に接続するための接続部材31の例示的な実施態様が描写されている。図9におけるように、パネル27が概略的に描写されている。洪水防水壁モジュール20のパネル27の左外側35は細長いハードポイント取付具29aによって支持され、洪水防水壁モジュール20’のパネル27’の右外側35’は細長いハードポイント取付具29a’によって支持されている。穿孔付き且つテーパ付きの構造的なアングル部材48,48’が、締結具76,76’によって取付具29a,29a’にそれぞれ取り付けられている。アングル部材48,48’を裏打ちする圧力プレート49が、皿ボルト50,50’によってアングル部材48,48’に締結されている。アングル部材48,48’は、上側圧力プレート52をアングル部材48,48’に保持するボルト51,51’を受け入れるよう、取付具29,29’から遠位にも穿孔される。ガスケット53が、上側圧力プレート52と上側圧力プレート52及びボルト51,51’によって固定されるアングル部材48,48’との間に挟装されている。
【0067】
図2,3,5,7を特に参照すると、洪水防水壁ユニット22は、旋回部材を更に含み、旋回部材は、構築物「C」での汀線に隣接した定着のための静止部材32と、洪水防水壁ユニット22に接続される可動部材34とを含む。静止旋回部材32は、構築物「C」に接続され、可動部材34は、端壁又は中間壁24,26に対して放線方向の水平旋回軸(例示中では見えない)で静止部材32に移動可能に接合される。可動部材34は、細長い剛性取付部材27の下方部分において洪水防水壁ユニット22の近位側21に或いはハードポイント35に接続され、既述の旋回軸について旋回可能である。パネル組立体が普段は水「W」上で横臥する据付けのために、接続され且つ接合される旋回部材32,34は、高さ「E」より上への水「W」の上昇後にモジュールの遠位端23を上向きに揺動させる洪水防水壁モジュール20の旋回のために、洪水防水壁モジュール20の近位側21を普通な浸されている地面「G」から離間した選択的な高さ「E」に位置付ける(図1を参照)。
【0068】
図1、3、5、及び7を参照すると、可撓な条片ガスケット38(ストリップガスケット)が、旋回部材32,34に亘って広がる洪水防水壁モジュール20の近位側21で洪水防水壁モジュール20の幅に沿って走っている。条片ガスケット38は、構築物「C」と洪水防水壁モジュール20の近位側21との間の水の通過を防止する。ネジ山付き締結具が条片ガスケット38の上に保持帯50,54を締め付けて、条片ガスケット38を洪水防水壁ユニット22に固定する。
【0069】
図11−13を次に参照すると、例示的な実施態様において、洪水防水壁ユニット20の弾性的で可撓な弾性パネル27は、複数の閉塞端と、長手の伸縮性(エラストマ)チューブ64a,64b,64c,64d,64eとを含み、伸縮性チューブは、それらの上方シーム及び下方シーム(例えば、62,63)で結合させられて、チューブ64a,64b,64c,64d,64eの間でシームを通じる水の流れを許さない。例えば、チューブ64b,64c,64d,64e内の中空部のような、チューブ64a内の中空部67a,67b,67cの各々は、閉塞端とされ、チューブ64a内に別個の又は区画化された水密チャンバをもたらし、他のチューブ64b,64c,64d,64e内の中空部にも同じことが当て嵌まる。浮揚性のために設けられる水密チャンバを区画化することによって、パネル27を含む洪水防水壁ユニットは、1つのチャンバが水密性を喪失しても、その水浮力を維持する。弾性的に可撓なストリンガ65がチューブ64a,64b,64c,64d,64eの伸縮的に変形可能な材料内に埋設される。
【0070】
図」14−16を参照すると、他の例示的な実施態様において、洪水防水壁ユニット22の可撓な弾性パネル27は、複数の水密チャンバに、図15では、チャンバ73a,73b,73d,73eに、図16では、チャンバ74a,74b,74c,74d,74eに区画化された可撓な浮き袋66を含み、各実施態様において、チャンバは、次いで、可撓な水を通さない材料の封止された外被68内に包まれる。弾性的に可撓なストリンガ69は、図15に示されるように浮き袋66内に埋設され、或いは図16に示されるように外被68内に作られるスリーブ70内に嵌入される。
【0071】
図15の実施態様は、弾性的に可撓なストリンガ69を浮き袋66内に押し込み、例えば71で、浮き袋66の内表面の材料を(例えば、熱溶解によって)押し付けられた弾性的に可撓なストリンガ69を覆って浮き袋66の隣接する内表面に溶接し、例えば72で、ストリンガ69の下で浮き袋66の対向する外表面を付着させ、水密チャンバ73a,73b,73c,73d,73eを形成することによって形成される。
【0072】
図16の実施態様は、外被68内にスリーブ70を作り、例えば71で、浮き袋66の内表面の材料を浮き袋66の隣接する内表面に(例えば、熱溶解によって)溶接して区画化された水密チャンバ74a,74b,74c,74d,74eを形成し、72で、図15におけるようにストリンガ69の下ではないが図15におけると同様に浮き袋66の対向する外表面に付着させ、区画化された空気袋66を外被68内に封止的に包み、弾性的な可撓なストリンガ69を外被68のスリーブ70,780b等内に挿入することによって形成される。
【0073】
ここで用いられるとき、基本的な洪水防水壁ユニット22の構造又は作用への言及は、洪水防水壁モジュール20にも、同じ構造又は作用が基本的な洪水防水壁ユニット22の反復に過ぎない基本的な洪水防水壁モジュール20の組立体を含む洪水防水壁30にも当て嵌まることが理解されよう。
【0074】
洪水防水壁モジュール20は、洪水防水壁ユニット22又は洪水防水壁モジュール20の上向きの回転を所定の程度に制限するために洪水防水壁ユニット22に作用するよう位置付けられる可撓な張力部材を更に含む。図1、4、6、及び8を特に参照すると、水体「W」のための場所の岸「S」の汀線に隣接する構築物「C」での据付け(及び据え付けられて示される据付け)のために適合される実施態様の場合において、洪水防水壁ユニット22及び洪水防水壁モジュール20に対して作用する可撓な張力部材又は抑制体40は、洪水防水壁モジュール20が高さ「E」よりも上に上向きに回転的に上昇させられるときに、洪水防水壁モジュール20が所定の程度よりも多く旋回軸について回転することを防止する。図1、4、6及び8に示される実施態様において、図1においてチェーン又はケーブルとして例示されている可撓な張力部材40は、例えば、U字形金具33で(例えば、図4、6及び8)、洪水防水壁ユニット2のハードポイント又は細長い剛性部材29に適切に接続され且つ、例えば、杭材「A」によって、水体「W」のための場所の浸された地面「G」に固着される図1)。図示の実施態様において、所定の程度は垂直であるが、一部の据付けでは垂直よりも多く又は少ないのも許容可能であり得る。可撓な張力部材40は、細長い剛性部材29又はハードポイント25(硬い地点)(hardpoint)を迅速に保持し、可撓で弾性的なパネルが周期的な波作用の曲がりを吸収するのを可能にする。可撓な張力部材40は、洪水防水壁組立体30が普段は水平な位置において横たわるときに汀線付近の陸上観察者による水体の眺めと干渉しない或いは水体の眺めを乱さないという利点をももたらす。
【0075】
洪水防水壁モジュール20又は洪水防水壁30を高さ「E」よりも上に浮かばせるのに十分な水「W」の上昇後、接続される洪水防水壁モジュール20によって形成され且つ洪水防水壁ユニット22を含む洪水防水壁30は浮揚させられ、そして、上昇する水の力(静水圧)によって、旋回部材32,34の旋回軸について上向きに回転させられる。洪水防水壁モジュール20が約45度を越えて回転する前に、静水圧のより多くは水防水壁モジュール20を「持ち上げる」。約45度の後、静水圧のより多くは洪水防水壁モジュール20の水側面を押して、洪水防水壁モジュール20を上昇させる。その結果は連続的な曲線の力であり、連続的な曲線の力は、先ず、洪水防水壁モジュール20を旋回軸に押し付ける重力に対して部分的に上昇させられた位置において洪水防水壁モジュール20を均衡させ、然る後、最終的に洪水防水壁モジュール20の重力に勝ち、張力部材40によって制約される回転の程度まで洪水防水壁モジュール20を完全に上昇させる。洪水防水壁モジュール20の総重量、変位、及び大きさは、力の曲線の上又は下で「回転地点」を移動させる。水位が沈降し、そして、重力の力が支配して洪水防水壁モジュール20を下げるまで、完全な高さにある洪水防水壁モジュール20が静水圧の印可によって維持される。
【0076】
次に図17を参照すると、この発明の洪水防水壁ユニット22の実施態様の陸上据付けが例示されている。図17は、洪水防水壁ユニット22の断面図である。その描写は洪水防水壁モジュール20にも同様に当て嵌まることが理解されなければならない。何故ならば、この図面は洪水防水壁モジュール20又は洪水防水壁30を形成するよう他の洪水防水壁モジュール20と接続される洪水防水壁モジュール20を形成するよう組み立てられる洪水防水壁ユニット22を示していないからである。
【0077】
図17において、洪水防水壁ユニット22は、構築物C内に凹まされたパン120(鍋部)内に収容される。パン120は端壁24,26の間にある(この断面図では壁26のみが見える)。パン120はコンクリート製の土台に定着させられ、土台は、防潮壁112の岸側の地面G中の第1の下方の注入シールスラブ117と、第2の注入スラブ118とを含む。水平な水路116Aがパン120の底に固定される垂直フランジ116Bから手配されている。水路116Aはコンクリートで充填され且つ第2の注入内の上方スラブ118内に埋設されて、旋回軸に対して法線方向に走るアンカ116をもたらす。旋回軸は上述されている。この軸は汀線と平行である。上方スラブ118内で硬くされるよう硬化される水路116Aは、アンカボルト119によって下方の第1の注入スラブ117に更に定着させられる。
【0078】
洪水防水壁ユニット22は、直立時に、洪水の水の質量からの全静水圧に抗し、全静水圧は、洪水防水壁ユニット22に対して作用して、洪水の水の流れの方向において地面からパン120を梃子で動かす傾向を有する。洪水防水壁ユニット22を襲う洪水の水の予期される方向の平行に走る第2のスラブ118内のアンカ116A,116Bは、旋回軸と平行に走る同じアンカがもたらすよりも大きいそれらの梃子の力に対するより大きな抵抗をもたらす。洪水防水壁ユニット22は、可撓な(ヒンジピン上で折り畳み可能である意味において可撓な)張力部材又は保持アーム140によって、洪水の水に対して垂直に維持される。保持アーム140はパン120の底に定着され、パン120は、パン120の底に固定される保持アームアンカパン取付部から下方シール注入コンクリートスラブ117内に延びるアンカボルト119’によって、洪水の水の梃子の作用に対して追加的に定着される。適切には、地面G内の下方シールスラブ118は、ドエル(だぼ)のような周知の手段によって、防潮壁112内に結ばれる。パン120が地面Gに固定される具体的な方法は現場によって異なり、図示の方法は例示的であり且つ非限定的である。洪水防水壁ユニット22が直立の垂直位置を越えて上昇するのを抑制するために利用される可撓な張力部材又は保持アーム140を用いるならば、パン120を定着させる方法は、その直立位置において洪水防水壁ユニット22に対して押し付ける洪水の水の力に打ち勝つのに十分な程に頑強でなければならない。
【0079】
依然として図17を参照すると、パン120は、パン排水システムを含み、パン排水システムは、1つ又はそれよりも多くの水平な樋126を含み、防潮壁112の海側にある出口129への1つ又はそれよりも多くの通路128への接続のための1つ又はそれよりも多くの開口127内に排水する。出口129の高さはパン120内の入口127よりも低い。通常、出口129は防潮壁112の海側での通常の高い潮汐よりも高い。この例示的な実施態様において、樋126は以下に記載する旋回軸と実質的に平行である。樋126、開口127、通路128、及び出口129の目的は、洪水の水が引いて防潮壁112の海側の水位が出口129よりも低くなった後に、水を排水して防潮壁112の海側に戻すことである。洪水防水壁ユニット22の水側面に対する水が引くと、洪水防水壁ユニット22を垂直に保持する力は減少させられ、重力の力のモーメントが洪水防水壁ユニット22の岸側面に対して法線方向の方向において成長し始める。最終的にゲートが凹部内でその水平位置を取るまで、静水圧は重力に抗する浮揚力に負ける。
【0080】
樋126、開口127、通路128、及び出口129の他の目的は、防潮壁112に叩き付ける越流波の収集及び貯水の結果として洪水防水壁ユニット22の高さの効果を助長するようパン排水システムを予荷重することである。波のピークが防潮壁112に押し寄せるハリケーン又は熱帯暴風のような激しい暴風の間、押し寄せる波の谷が出口129よりも高いならば、出口129よりも上の波の谷(波底)の相対的な高さに依存して、水は開口129から上向きに通路128を通じて進み、そして、潜在的にパン120に至り得る。これはパン120から開口127及び通路128を通じて防潮壁112の海側への水の排水を防止し、洪水防水壁ユニット22の上昇に呼び水を差すようパン120を荷重する。特定の場所において望まれ得るよりも早く洪水防水壁ユニット22を上昇させないようパン120内の水の上昇を微調整するために、それらの中の及びそれらを通じる水の通過を増大させ或いは抑制するよう、特定の構築物Cのために開口127、通路128、及び出口129の断面積を調節し得る。排水を促進するために、パン120を防潮壁112に向かって僅かに傾斜させ得る。
【0081】
複数の支持パンビーム125が、後方から前方に樋126に亘って広がってパン120の底を横断する。洪水防水壁ユニット22がパン120内に水平に配置されるときに、パンビーム125は浮揚式洪水防水壁ユニット22の支持に寄与する。休止中の洪水防水壁ユニット22は、パン120の前端での部分を除き、支持パンビーム125の間の隙間空間より上でパン120を占める。前端部分は上向きに開き、防潮壁に押し寄せる洪水の水がパン120内に入るのを許す入口をもたらす。この入口は入口の頂上の格子139によって防護される。格子139を通じて入口内に入ることが許される水は、支持パンビーム125の間の隙間空間の占有されていない部分に流れ込む。
【0082】
洪水防水壁モジュール20又は洪水防水壁30を高さ「E」よりも上に浮かばせるのに十分な水「W」の上昇後、組み立てられた洪水防水壁ユニット22で構成される洪水防水壁モジュール25を接続することによって形成される洪水防水壁30は、パン120内に入ることが許され且つパン120内で上昇し、次にパン120より上に上昇する水によって上向きに浮揚させられ、旋回部材32,34の軸について上向きに回転させられる。洪水防水壁モジュール20が約45度を越えて回転する前に、静水圧のより多くは洪水防水壁モジュール20を「持ち上げる」。約45度の後、静水圧のより多くは洪水防水壁モジュール20の水側面を押し、洪水防水壁モジュール20を更に上昇させる。その結果は連続的な曲線の力であり、連続的な曲線の力は、先ず、洪水防水壁モジュール20を旋回軸に押し付ける重力に対して部分的に上昇させられた位置において洪水防水壁モジュール20を均衡させ、然る後、最終的に洪水防水壁モジュール20の重力に勝ち、張力部材140によって制約される回転の程度まで洪水防水壁モジュール20を完全に上昇させる。洪水防水壁モジュール20の総重量、変位、及び大きさは、力の曲線の上又は下で「回転地点」を移動させる。水位が沈降し、そして、重力の力が支配して洪水防水壁モジュール20を下げるまで、完全な高さにある洪水防水壁モジュール20は静水圧の印可によってそこに維持される。
【0083】
上記で開示される主題は例示的であると考えられるべきであり、制限的であると考えられるべきではない。付属の請求項は、本発明の真正な範囲に入る全ての変更、強化、及び他の実施態様をカバーすることを意図する。法律によって許容される最大の程度まで、本発明は以下の請求項及びそれらの均等物の最大の許容可能な解釈によって決定されるべきであり、本発明の例示的な実施態様の前述の詳細な記載によって制約されず或いは限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12a
図12b
図13
図14
図15
図16
図17