(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
射出成形機の操作手順を表示する表示装置と、前記射出成形機を操作する複数の操作ボタンを設けた操作盤を有する制御装置と、を備えた射出成形機の操作を支援する射出成形機支援システムにおいて、
前記制御装置が、
前記操作ボタンの操作を操作者に求める操作要求画面と、前記射出成形機の操作に必要な成形条件データを生成するために要求される基礎情報の入力を前記操作者に要求する情報入力画面とを、前記操作手順に従って予め決められている順番に前記表示装置に前記操作手順のガイダンスとともに表示させるものであって、
前記順番で前記情報入力画面を前記表示装置に順次表示させて、前記基礎情報として入力された、使用する樹脂材料に関する樹脂材料情報と、所望の成形品に関する成形品情報と、使用する金型に関する金型情報とに基づいて、前記成形条件データを生成して設定させる成形条件設定部と、
前記操作要求画面を前記表示装置に表示させて、前記射出成形機に取り付けられた前記金型内に前記樹脂材料を射出充填するためのシリンダおよびノズルのヒータを作動させる前記操作ボタンの操作を前記操作者に促すヒータ操作支援部と、
前記ヒータによって前記シリンダおよび前記ノズルが所定温度に昇温した後に前記順番で所定の順に行われる複数のパージ段階を有するパージの前記操作要求画面を前記表示装置に順次表示させて、前記射出成形機に前記パージを各前記パージ段階の順に作動させるための前記操作ボタンの操作を前記操作者に促す色替操作支援部と、
を備えた射出成形機支援システム。
前記成形条件データは、前記樹脂材料情報に基づいて得られる前記ヒータで前記樹脂材料を加熱するときの温度条件、前記成形品情報に基づいて得られる前記金型に前記樹脂材料を充填するときの射出速度を含む充填条件と充填する前記樹脂材料を計量するための計量位置を含む計量条件、および、前記金型情報に基づいて得られる前記金型を開閉する際の該金型の位置と移動速度を含む型開閉条件を少なくとも含むことを特徴とする請求項1記載の射出成形機支援システム。
金型保護機能の使用の有無および金型保護機能の感度に関する金型保護機能情報の入力を促すメッセージを前記表示装置に表示して、前記金型を保全するための金型保護条件データを設定させる金型保護条件設定部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2記載の射出成形機支援システム。
前記パージは、スクリューパージ、プランジャクリーニング、ショートストロークパージ、および、フルストロークパージのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の射出成形機支援システム。
射出成形機の操作手順を表示する表示装置と、前記射出成形機を操作する複数の操作ボタンを設けた操作盤を有する制御装置と、を備えた射出成形機の操作を支援する射出成形機支援方法において、
前記制御装置が、
前記操作ボタンの操作を操作者に求める操作要求画面と、前記射出成形機の操作に必要な成形条件データを生成するために要求される基礎情報の入力を前記操作者に求める情報入力画面とを、前記操作手順に従って予め決められている順番に前記表示装置に前記操作手順のガイダンスとともに表示させるものであって、
前記順番で前記情報入力画面を前記表示装置に順次表示させて、前記基礎情報として入力された、使用する樹脂材料に関する樹脂材料情報と、所望の成形品に関する成形品情報と、使用する金型に関する金型情報とに基づいて、前記成形条件データを生成して設定させる成形条件設定ステップと、
前記操作要求画面を前記表示装置に表示させて、前記射出成形機に取り付けられた前記金型内に前記樹脂材料を射出充填するためのシリンダおよびノズルのヒータを作動させる前記操作ボタンの操作を前記操作者に促すヒータ操作支援ステップと、
前記ヒータによって前記シリンダおよび前記ノズルが所定温度に昇温した後に前記順番で所定の順に行われる複数のパージ段階を有するパージの前記操作要求画面を前記表示装置に順次表示させて、前記射出成形機に前記パージを各前記パージ段階の順に作動させるための前記操作ボタンの操作を前記操作者に促す色替操作支援ステップと、
を備えた射出成形機支援方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は本発明の射出成形機1の概略構成図である。本発明の射出成形機1は、機台9上に、型締装置2、射出装置3が配置され、さらに、制御装置4の本体が機台9内に設けられ、制御装置4の操作パネルユニット40が型締装置2と射出装置3の間に設けられる。また、制御装置4の本体は、操作パネルユニット40内に設けられてもよい。
【0022】
型締装置2は、金型
20を開閉させる機構を有し、金型
20に樹脂材料を充填した時に十分な圧力(型締力)をかける構造になっている。型締力をかけることで溶けた樹脂材料が金型
20に入ってくる時の圧力に負けないようにして、金型
20から樹脂材料が外に出ないようにする。一方、射出装置3は、樹脂材料を加熱しながら可塑化して溶融し、その溶融樹脂を高圧で射出して型締装置2に搭載された金型
20内のキャビティ空間に充填し、そのキャビティ空間内の溶融樹脂を冷却し固化させて成形品を得る。
【0023】
図2は、本発明の実施形態における射出成形機1の型締装置2の概略図である。
【0024】
型締装置2は、タイバ10によって連結された固定プラテン11とバックプラテン12と、それらのプラテン
11,12間で移動する可動プラテン13、そして、可動プラテン13を固定プラテン11に対して進退させて押圧する駆動装置14を機台9の上に備える。固定プラテン11には、金型20の固定側金型20aが取り付けられ、可動プラテン13には、金型20の可動側金型20bが取り付けられる。金型20の取り付けは、複数個の金型取り付け部材16によって固定プラテン11側
および可動プラテン13側に
それぞれ締め付けて固定するようにされる。駆動装置14は、可動プラテン13を可動側金型20bとともに進退させて型開閉し、押圧して型締めする装置であり、例えば油圧駆動あるいは電動油圧駆動の直圧式型締装置やトグル式型締装置などがある。成形材料を可塑化して射出する射出装置3は、型締装置2の固定プラテン11側に配置される。
【0025】
固定プラテン11と可動プラテン13は、向かい合うそれらの金型取り付け面
22a,22bが高精度な平行度を維持するように設置される。例えば、固定プラテン11に対して進退する可動プラテン13は、その可動プラテン13の四隅に備えるリニアブッシュにタイバ10を通すタイプや、機台
9上に備えるリニアガイドにその可動プラテン13を載せるタイプがある。
【0026】
固定プラテン11には、その中心位置に金型20のロケートリングをはめ込むとともに、射出装置3の射出ノズル63を通すための孔(不図示)が形成されている。また、可動プラテン13には、その中心位置あるいは所定位置に突き出し装置のエジェクタロッドを通す孔(不図示)が形成されている。
【0027】
射出装置3は、1本のインラインスクリュで樹脂材料の可塑化溶融とその溶融樹脂の射出充填とを行うインラインスクリュ式射出装置、または、可塑化スクリュ
51で樹脂材料の可塑化溶融を行う可塑化ユニット
5とその溶融樹脂を射出プランジャ
61で射出充填を行う射出ユニット
6を別設したスクリュプリプラ式射出装置に大別される。
【0028】
本実施の形態では、熱可塑性樹脂材料を射出成形するスクリュプリプラ式射出装置を一例に説明する。
図3は、本発明の実施形態における射出成形機1の射出装置3の概略図である。
【0029】
射出装置3では、樹脂材料を可塑化して溶融する可塑化ユニット5と、その溶融樹脂を金型20内のキャビティ空間21に向かって射出充填する射出ユニット6とが別設され、それらが溶融樹脂の連通路7aを有する連結部材7で接続されている。
【0030】
可塑化ユニット5は、可塑化シリンダ50と、可塑化シリンダ50内の可塑化スクリュ51と、可塑化スクリュ51を回転させる回転駆動装置52と、可塑化スクリュ51を僅かに進退させる逆止駆動装置53とを有する。ホッパ8が、可塑化シリンダ50の後端側から樹脂材料を供給するために設けられる。
【0031】
射出ユニット6は、射出シリンダ60と、射出シリンダ60の射出シリンダ孔60a内の射出プランジャ61と、射出プランジャ61を進退させる射出駆動装置64と、射出シリンダ60の前端にノズルシリンダ62を介して取り付けられる射出ノズル63とを有する。ノズルシリンダ62の射出シリンダ60側端面には、射出プランジャ61の先端面61aと略等しい形状の前壁62bが形成されている。その前壁62bと射出シリンダ60の射出シリンダ孔60aと射出プランジャ61の先端面61aとで囲まれた空間として射出室65が形成される。そして、射出室65には、連結部材7の連通路7aを介して可塑化シリンダ50内と連通する連通路62aや射出ノズル63の先端にまで連通する射出孔63aが開口している。カップリング66は、射出プランジャ61と射出駆動装置64の駆動ロッドを連結する。
【0032】
射出装置3の各種駆動装置
52,53,64は、油圧式または空圧式または電動式などで適宜構成される。可塑化シリンダ50、射出シリンダ60、ノズルシリンダ62、連結部材7、射出ノズル63などの外周には、バンドヒータ等の
加熱器(以下、単にヒータ
69という)が設けられる。例えば、各シリンダ
50,60,62は、先端部、中間部、後端部のように軸方向に複数のゾーンに分けられて、それぞれにヒータ69が巻かれる。また、射出ノズル63にもヒータ69が巻かれる。
図3は、便宜上、可塑化シリンダ50にヒータ69が巻かれた状態を示しているが、射出シリンダ60、ノズルシリンダ62、連結部材7、射出ノズル63にも巻かれる。
【0033】
図6は、本発明の実施形態における制御装置4の構成を示すブロック図である。
【0034】
制御装置4は、操作パネルユニット40が設けられ、ハードディスクなどの記憶装置(記憶部
41)、基板に配設された少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)とキャッシュメモリ(二次キャッシュ)を含む演算装置、専用のスロットに差し込まれた増設のRAM(Random Access
Memory)、各種インターフェースのような付属部品が1つの収納された筐体とで構成される。
【0035】
また、記憶
部41には、オペレーティングシステムなどの基本ソフトウェアに加え、専用ソフトウェアがインストールされ、演算装置のCPUによって実行されることにより、制御装置4が操作支援部42、制御部43として機能する。
【0036】
制御部43は、型締装置2の動作を制御する型締制御部44、射出装置3の動作を制御する射出制御部45、および、型締制御部44と射出制御部45で型締装置2と射出装置3を制御して型閉および型締め、射出、保圧、冷却、計量、型開、取出の順番で成形品の成形を行う成形制御部46が設けられる。
【0037】
型締制御部44は、可動側金型20bとともに可動プラテン13を進退させて型開閉し、さらに、型
締工程では
固定側金型20a、
可動側金型20bの密着後に所定の型締力まで昇圧するように駆動装置14を制御する。
【0038】
射出制御部45は、射出プランジャ61が移動した位置や速度を逐次検出するための位置検出装置および射出プランジャ61が射出室65内の溶融樹脂に与える圧力を逐次検出するための圧力検出装置の実際の検出値を読み込み、それら検出値と予め設定された成形条件などとを比較しながら、予め設定された成形条件や動作手順に従って動作するように指令を出して射出駆動装置64を制御する。位置検出装置としては、
図3に示すようなリニアスケール68などを用いても良いし、射出駆動装置64がモータであればロータリエンコーダで検出した回転数から算出するようにしても良い。速度の実測値は、例えば、位置検出装置から逐次検出される位置情報を、演算装置の基準クロックを参照して速度情報に変換して求めることができる。また、圧力検出装置としては、
図3に示すように射出プランジャ61後端と射出駆動装置64の駆動ロッド前端との間に
設けたロードセル67を用いても良いし、射出駆動装置64が油圧シリンダであれば射出プランジャ61を前進させる側の油室の圧力を検出するようにしても良いし、射出駆動装置64がモータであれば電流計測器やトルク計測器で検出したモータの入力電流や回転トルクから算出するようにしても良い。
【0039】
ここで、射出装置3で行われる射出工程について説明する。
図4に示すように、ホッパ8から供給された樹脂材料は、可塑化スクリュ51の回転による剪断発熱とヒータ69による加熱によって可塑化溶融されながら、可塑化スクリュ51の回転によって連通路7a、62aを通して射出室65内に向けて
送り出されるとともに、その溶融樹脂が、射出プランジャ61を後退させることによっ
て、射出プランジャ61が後退した距離に応じて溶融樹脂が計量される。このとき、逆止駆動装置53は、
送り出す溶融樹脂
の反力により可塑化スクリュ51の後退を許容して、可塑化シリンダ50側の連通路7aの開口を開く。つぎに、射出工程では、
図5に示すように、射出プランジャ61が前進して、溶融樹脂を射出ノズル63から金型20内のキャビティ空間21に向かって充填する。なお、その充填の前には、逆止駆動装置53が可塑化スクリュ51を前進させて、可塑化シリンダ50側の連通路7aの開口を閉塞して逆流防止が行われている。また、その逆流防止は、可塑化スクリュ51を後退させて可塑化シリンダ50側の連通路7aを閉じる構成としても良いし、連通路7a、62aの途中にロータリバルブなどを備えてその連通路7a、62aを閉じる構成としても良い。
【0040】
前述の射出工程は、一般的に充填工程と保圧工程に分けられる。通常、充填工程では、予め設定された充填速度条件に従って、充填速度、例えば射出プランジャ61の前進速度が優先されて制御された状態で、溶融樹脂を金型20内のキャビティ
空間21に向けて充填する。その後の保圧工程では、例えば射出プランジャ61が溶融樹脂に付与する所定の圧力が優先されて制御された状態で、その金型20内に充填された溶融樹脂の冷却にともなう熱収縮分も含め、金型20内で不足している分の溶融樹脂が充填される。さらに、保圧工程ではキャビティ空間21に隣接する金型20内のゲート部分の溶融樹脂が固化するまでキャビティ空間21内の溶融樹脂に圧力を付与
する。
【0041】
図7は、操作パネルユニット40の前面の構成図の一例である。
【0042】
操作パネルユニット40の前面には、表示ユニット(表示装置
47)、キーボード48Aおよび各種ボタン48Bを設けた操作盤48が配設される。また、表示
装置47には、画面を覆うようにタッチパネル47Aが設けられる。以下、操作盤48に配置されるキーボード48A、および、表示
装置47に設けられたタッチパネル47Aを入力部として説明する。
【0043】
さらに、
図7に示すように、制御装置4には、操作盤48の加熱ボタン48B−1、パージボタン48B−2、48B−3、成形開始ボタン48B−4,48B−5が押下された時の入力信号を受信する信号受信部49が設けられ、各信号を受信すると、加熱制御部45A、パージ制御部45B、成形制御部46がそれぞれ起動される。本実施の形態では、加熱ボタン48B−1は、操作盤48上の「加熱」ボタンを指すものとし、パージボタンは、パージの操作で使用する操作盤48上の「手動モード」ボタン48B−2と「色替」ボタン48B−3を指すものとし、成形開始ボタンは、成形開始時に使用する操作盤48上の「半自動モード」ボタン48B−4と「型閉」ボタン48B−5を指すものとして説明する。より具体的には、本実施の形態では、パージボタンの入力操作は、「手動モード」ボタン48B−2を入力操作して射出成形機1を手動モードの状態にした後に「色替」ボタン48B−3を入力操作することを指すものとし、成形開始ボタンの入力操作は、「半自動モード」ボタン48B−4を入力操作して射出成形機1を半自動モードの状態にしたあとに「型閉」ボタン48B−5を入力操作することを指すものとして説明する。ただし、具体的な各種ボタンおよびデータの入力の操作は、実施の形態に限定されない。
【0044】
加熱制御部45Aは、信号受信部49で操作盤48の加熱ボタン48B−1の信号を受信すると起動され、射出制御部45で温度調節装置を作動させて可塑化シリンダ50、射出シリンダ60、ノズルシリンダ62、連結部材7、射出ノズル63などの外周に設けられたヒータ69を作動させて加熱を開始する。
【0045】
パージ制御部45Bは、信号受信部49で操作盤48のパージボタン48B−2,48B−3の信号を受信すると起動され、射出制御部45に記憶部41に設定されたパージ条件に設定されたパージ時間、繰り返し回数、パージ速度などに従って、射出装置3の各種駆動装置52、53、64を駆動してパージを行う。
【0046】
成形制御部46は、型締制御部44で型締装置2の駆動装置14を制御して型閉および型締めを行い、射出制御部45で各種駆動装置52、53、64を制御して、射出、保圧、冷却、計量を行う。最後に、型締制御部44で、型締装置2に取り付けられた金型20の型締を開放し型開すると、冷却された成形品が取り出される。
【0047】
次に、制御装置4の操作支援部42について、
図8を用いて説明する。
【0048】
図8に示すように、操作支援部42は、条件設定部80と、ヒータ操作支援部81と、色替操作支援部82と、成形開始支援部83と、状態入力支援部86と、改善支援部87を備える。
【0049】
さらに、条件設定部80は、樹脂材料および金型20を用いて成形するための成形条件データを記憶部41に設定する成形条件設定部84と、金型保護機能の使用の有無および保護機能の感度の設定に応じて型締装置2で金型を保全するための金型保護条件データを記憶部41に設定する金型保護条件設定部85を備える。
【0050】
成形条件設定部84は、適切な射出成形を行う予め決められた操作手順に基づいて射出成形機1の操作に必要な成形条件データを生成するために要求される「基礎情報」を操作者に求める情報入力画面を予め決められている順番に表示装置
47にガイダンスとともに表示させる。具体的に、基礎情報として、使用する樹脂材料に関連する樹脂情報と、所望の成形品に関する成形品情報と、使用する金型20に関する金型情報の入力を促すメッセージを表示
装置47に表示し、入力部47A,48Aから入力された樹脂情報、成形品情報、金型情報を受け付けて、記憶部41に予め記憶された射出成形機1に応じた成形機固有データおよび計算式を用いて、入力された樹脂材料および金型20を用いて成形するための成形条件データを記憶部41に設定する。特に、金型情報に関しては、金型20が開いた位置を検出した検出位置を型締装置2から随時受信して表示
装置47に表示し、この表示された検出位置(可動プラテン13の位置)を金型情報として入力の
受付が可能な画面を提供する。
【0051】
金型保護条件設定部85は、金型保護機能の使用の有無および金型保護機能の感度に関する金型保護機能情報の入力を促すメッセージを表示
装置47に表示し、入力部47A,48Aから入力された金型保護機能情報を受け付けて、記憶部41に予め記憶された射出成形機1に応じた成形機固有データおよび計算式を用いて、金型20を保全するための金型保護条件データを記憶部41に設定する。
【0052】
ヒータ操作支援部81は、加熱ボタン48B−1の操作を促す加熱開始メッセージを表示
装置47に表示する。
【0053】
色替操作支援部82は、ヒータ操作支援部81で加熱開始メッセージを表示した後に、入力部47A,48Aから入力されたメッセージ切替操作を受け付けると、予め設定されたパージ条件を変更させるための入力を促す条件入力メッセージ、および、パージボタン48B−2、48B−3を所定の操作順で操作するように促す操作順メッセージを表示
装置47に表示する。
【0054】
パージ動作は、可塑化シリンダ50、射出シリンダ60、ノズルシリンダ62などのシリンダ内の樹脂材料を排出するために行われるが、所定の順に行なわれる複数のパージ段階がある。具体的には、パージ段階には、スクリューパージ、プランジャクリーニング、ショートストロークパージ、およびフルストロークパージがあり、この順番で行われるとよい。
【0055】
色替操作支援部82は、各パージ段階の順に、各パージ段階に応じた条件入力メッセージおよび操作順メッセージ
を表示
装置47に表示し、各表示後に入力部47A,48Aよりメッセージ切替操作を受け付ける度に、表示
装置47に次の段階の条件入力メッセージおよび操作順メッセージに表示を切り替える。また、各パージ段階で射出装置3が実施したパージ時間、パージ回数などを、射出装置3から随時受信して表示
装置47に表示するとともに、パージ時間、パージ回数などの入力の
受付が可能な画面を提供する。さらに、必要に応じて、射出装置3から
適正でない状態を受信して、
適正でない状態を回避するための操作を促す画面を表示してもよい。具体的には、射出装置3から樹脂材料の加熱が不十分であることを検出した信号を受信すると、ヒータ69の温度を上げるように促すメッセージを表示
装置47に表示するとともに、ヒータ69の温度を上昇させるための値の入力の
受付が可能な画面を提供する。樹脂材料の加熱が不十分であるかどうかは、例えば、溶融樹脂の粘度が想定よりも高いかどうかで検出することができる。
【0056】
成形開始支援部83は、色替操作支援部82で条件入力メッセージおよび操作順メッセージを表示した後に、入力部47A,48Aから入力されたメッセージ切替操作を受け付けると、成形開始ボタン48B−4,48B−5の入力を促す成形開示メッセージを表示
装置47に表示する。
【0057】
状態入力支援部86は、成形品で生じた成形不良の状態の入力を促す状態入力メッセージを表示
装置47に表示する。
【0058】
改善支援部87は、入力部より入力された成形不良の状態に応じて、成形不良を改善するための操作を表示してこの操作を促す改善操作メッセージを表示
装置47に表示する。
【0059】
以下、
図9のフローチャートと、
図7、
図10〜
図17の表示
装置47に表示されるナビゲーション画面と、
図18の通常画面とを用いて、射出成形機1の操作の支援方法について説明する。実施の形態の射出成形機1においては、予め金型20が取り付けられているものとする。金型20の取付けは、操作盤上の「段取モード」ボタンを操作して型締装置2を
段取モードに切り替えてから「型開」ボタンと「型閉」ボタンを適宜操作し可動プラテン13を固定プラテン11に対して開閉動作させて行う。
【0060】
まず、操作者は、射出成形機1の電源ボタンをONにして操作パネルユニット40の操作を開始する。
図7に示すように、操作パネルユニット40の表示
装置47の下部に「成形ナビ」と表示される。表示
装置47の「成形ナビ」が表示されている箇所を操作者がタッチすると、表示画面が
図10の射出成形機1の操作方法のナビゲーションの開始を表す開始画面(
図10)に移動する(S1)。
【0061】
図10に示すように、表示
装置47の下部の右側にある「>」の表示をタッチすると次の画面へ移動、あるいは、「<」の表示をタッチすると前の画面へ移動する。本実施の形態では、メッセージのようなガイダンスの切替操作として「>」を押して、順次、メッセージ画面を切り替えながらナビゲーションを進める。また、必要に応じて「<」を押して画面を戻すことができる。「通常画面に戻る」をタッチすると、ナビ画面を閉じて
図18に示す通常画面に戻る。通常画面には、設定されているデータの一覧が示されている。この画面からも操作者はデータの変更を行うことができるが、経験の少ない操作者にとっては、どの程度の値にすればよいのかが分からない場合が多い。そこで、ガイダンスに従って成形条件データを設定する。なお、ガイダンス切替操作は、特定の表示のタッチによる画面の切替えに限られず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で任意である。例えば、入力データの転送後に自動的に次の画面に切替えたり、「次へ」の画面表示をタッチすることによって予め決定されている順番で次の画面全体または画面の一部分を切り替えることができる。
【0062】
まず、STEP1の加工条件の設定のナビゲーションを行う。
図10の開始画面から「>」が押されると、次の画面へ進み、成形条件設定部84の樹脂材料に関連する樹脂情報の入力を促す情報入力画面(
図11(A))に移動する。
図11(A)の画面から、使用する樹脂を選択するとゾーン毎に分けられたヒータ69の各設定温度が自動的に選択される。必要に応じて、「樹脂設定温度」は、画面右側の枠内に手動で設定可能である(S2)。「樹脂設定温度」を手動で設定する場合などのように、複数のヒータ69を1つの温度設定で加熱する場合には、各シリンダ
50,60,62の各ゾーンに設けられたヒータ69は、1つの設定温度で加熱されるが、射出ノズル63のヒータ69は設定温度よりも高い温度、例えば設定温度よりも10°C高い温度で加熱されるようにするとよい。基本的には、選択された樹脂に基づきデータベースから温度条件を設定するが、基本温度データから予め用意された計算式を用いた演算により各ゾーンの温度を設定することも可能である。
【0063】
次に、「>」を押して、次の成形品に関する成形品情報(成形アイテム情報)の入力を促す画面(
図11(B))に移動する。
図11(B)の画面では、体積または重量の選択を促し、いずれかが選択された後に成形品の体積または重量の入力を
行わせる。さらに、最小肉厚および最大肉厚についても入力させる(S3)。比重は、使用樹脂材料を選択したときにデータベースから自動で決定されるため、体積(=重量×比重)を求める計算に使われる。成形品の体積または重量と、成形品の最小肉厚および最大肉厚の設定が行われた後に、自動的に射出成形の基本条件が予め用意された計算式を用いて算出される(S4)。基本条件には、樹脂材料を金型
20に充填するとき充填条件や、充填する樹脂材料を計量するための計量条件があるが、例えば、充填条件として、射出ストローク、充填時間、射出速度、VP切換位置が算出され、計量条件として、計量値(計量位置)が計算される。さらに、上限時間、初期保圧時間、初期冷却時間が基本条件として計算される。
【0064】
(i) 射出ストロークは、射出プランジャ61が前進する距離を表し、入力した体積(ショットボリューム)とプランジャ径から算出される。プランジャ径は、成形機固有データとして予め記憶部41に記憶されている。具体的には、射出ストロークは下式(1)で算出される。
射出ストローク=ショットボリューム÷
πr2 (1)
ここで、半径r=プランジャ径÷2
【0065】
(ii) 充填時間は、射出プランジャ61が前進を開始してからVP切換位置に到達するまでの時間である。上限時間は、充填動作における充填時間の上限を制限するために設定される時間である。目安の充填時間は、経験的に成形品の最小肉厚と1対1の関係があるものとして、例えば最小肉厚2mmに設定される場合は2秒に置き換えるような方法で設定する。また、上限時間は、目安の充填時間に所定の時間を加算した時間に設定される。但し、成形品の最小肉厚が1mmより小さな値は金型
20の破損のおそれがあるため、エラーメッセージを出し、ナビゲーションを終了させるようにしてもよい。また
、充填工程における圧力の上限を制限するために設定される上限圧
は、大きな設定値、例えば、個々の射出成形機固有のデータの最大射出圧力で固定とし、保圧工程における保圧は、この時点では金型20の破損を防ぐためにも、例えば、0.1MPa以下の小さな圧力、好ましくは、保圧を付与しないように実質ゼロで固定とする。
【0066】
(iii) 射出速度(
射出プランジャ
61の速度)は、射出ストロークと目安の充填時間から下式(2)で求められる。
射出速度=射出ストローク÷目安の充填時間 (2)
【0067】
(iv) VP切換位置とは、射出シリンダ60内の前壁62bからVP切換位置だけ射出プランジャ61が後退した位置をいい、例えば、固定値で10mmとする。このVP切換位置は、射出プランジャ61を前進させて金型20内に溶融樹脂を射出充填する充填工程と、射出圧力制御で金型20内の流路のうちのゲート部分が固化するまで射出プランジャ61が溶融樹脂に所定の圧力を所定の時間だけ付与する保圧工程とを切り換える位置である。
【0068】
(v) 計量値は、計量工程を行う時の射出シリンダ60内の前壁62bから測った射出プランジャ61の位置である。充填工程で金型20に充填した後に、射出プランジャ61が前壁62bから後退して溶融樹脂を射出プランジャ61内に貯留するためのVP切換位置を射出ストロークに加えた値である。つまり、下式(3)で求められる。
計量値=VP 切換位置+射出ストローク (3)
また、
可塑化スクリュ
51の回転
数は90rpmで固定とする。
【0069】
(vi)初期保圧時間は、経験的に成形品の最大肉厚の数値(ミリメートル単位)の2倍(秒単位)の関係があるとして、例えば、最大肉厚が5mmなら10秒とする。
【0070】
(vii)初期冷却時間は、経験的に成形品の最大肉厚の数値(ミリメートル単位)の7倍(秒単位)の関係があるとして、例えば、最大肉厚が5mmなら35秒とする。
【0071】
これらの算出した値が
図11(B)の左下の枠内に表示される。
【0072】
さらに、
図11(B)の画面で「>」が押されると、次の画面へ進み、金型20に関する金型情報の入力を促すメッセージ(
図12)が表示される。まず、
図12(A)の画面から金型20が2プレート型か3プレート型かを選択する。
図12(A)の画面で「>」が押されると、
図12(B)の型開閉設定画面に切り替わる。本実施の形態における型厚調整では、金型20が取り付けられている状態で、画面の説明に従って、操作盤48の「段取モード」ボタンを押して型締装置2を
段取モードに切り替えてから「自動型厚」ボタンを操作すると、可動プラテン13が固定プラテン11に向かって低速で移動して金型20が閉じた状態になると、可動プラテン13が移動しなくなったことが検出される。制御装置4は、基本的には、そのときの位置を可動プラテン13の原点位置(0.00mm)として記憶部41に記憶させる。
【0073】
図12(B)の画面のプラテン位置の枠内には、型締装置2で金型20を閉じた状態で検出した可動プラテン13の位置の検出値L0が表示されるので検出値
L0を確認する。検出値L0が0.00mmになっている場合はズレがないが、例えば、表示されている値が±0.1mm以上の場合には金型20の熱膨張または熱収縮などによってズレが生じているので、再度型厚調整を行うように促すメッセージを表示する。操作者は、
図12(B)の画面のプラテン位置の数値を確認しながら型厚調整を続ける。型厚調整が終わると「>」を押して、次の
図12(C)の画面へ移動する。
【0074】
図12(C)の画面の説明に従って、操作盤48から「型開」ボタンを使って操作して、金型20のガイドピンまたはアンギュラピンが抜けた位置L1を設定するように促すメッセージを表示する。操作者は、メッセージに従って、実際に金型20を目視しながら「型開」ボタンを操作して、金型20の各種ピンが抜けたことを確認すると、その位置L1で
図12(C)の画面上の「位置入力」を押す。プラテン位置の枠内には、型締装置2で検出された検出位置が随時表示され、「位置入力」を押した時のプラテン位置の枠内の値が設定値として記憶される。位置入力が終わると「>」を押して、次の
図12(D)の画面へ移動する。
【0075】
さらに、
図12(D)の画面の説明に従って、操作盤48から「型開」ボタンを操作して、成形品を取り出すのに必要な金型20の開き量を設定するように促すメッセージを表示する。前述と同様に、操作者が、実際に目視で確認しながら「型開」ボタンを操作し、成形品が取り出せる位置L2に金型20が型開きしたことを確認すると、その位置で「位置入力」を押す。あるいは、金型20の形状から型開きに必要な型開き量L2が分かる場合は、その値を直接入力するようにしても良い(S5)。設定値として記憶された可動プラテン13の各位置L0,L1,L2、すなわち、可動側金型20bの各位置L0,L1,L2は、本実施の形態では、位置L0を原点として、位置L0<位置L1<位置L2の関係にある。それで、本実施の形態では、可動側金型20bの各位置L0,L1,L2と記憶部41に記憶されている成形機固有データの中の最大型閉速度と最大型開速度を利用して型開閉条件の設定を行う。例えば、型閉条件は、位置L2から型閉じを開始して当該位置L2から10mm型閉じした位置Laまでの区間の型閉速度Vaを最大型閉速度に対する50%の型閉速度に設定し、位置Laから位置L1の5mm手前まで型閉じした位置Lbまでの区間の型閉速度Vbを最大型閉速度に対する50%の型閉速度に設定し、位置Lbから位置L0の5mm手前まで型閉じした位置Lcまでの区間の型閉速度Vcを最大型閉速度に対する10%の型閉速度に設定し、そして、位置Lcから位置L0までの区間の型閉速度Vdを最大型閉速度に対する10%の型閉速度に設定するなどのように設定してもよい。位置Lcから位置L0までの区間は、その他の区間に比べて型締装置2の駆動
装置14のトルクの上限が小さく設定されて、そのトルクの上限を超えてまで金型
20が閉じないようにされるとよい。また、例えば、型開条件は、位置L0から型開き開始して当該位置L0から位置L1までの区間の型開速度Veを最大型開速度に対する10%の型開速度に設定し、位置L1から位置L2の10mm手前まで型開きした位置Lfまでの区間の型開速度Vfを最大型開速度に対する50%の型開速度に設定し、そして、位置Lfから位置L2までの区間の型開速度Vgを最大型閉速度に対する50%の型開速度に設定するなどのように設定してもよい。位置Lcから位置L0までの区間は、その他の区間に比べて型締装置
2の駆動
装置14のトルクの上限が小さく設定されて、そのトルクの上限を超えてまで金型
20が閉じないようにされると良い。また、例えば、型開条件は、位置L0から型開き開始して当該位置L0から位置L1までの区間の型開速度Veを最大型開速度に対する10%の型開速度に設定し、位置L1から位置L2の10mm手前まで型開きした位置Lfまでの区間の型開速度Vfを最大型開速度に対する50%の型開速度に設定し、そして、位置Lfから位置L2までの区間の型開速度Vgを最大型閉速度に対する50%の型開速度に設定するなどのように設定してもよい。例えば、上記の型開条件は、
図18に示す通常画面の型閉位置S1が型閉位置La、型閉位置S2が型閉位置Lb、型閉位置S3が型閉位置Lc、型閉速度V1が型閉速度Va、型閉速度V2が型閉速度Vb、そして、型閉速度V3が型閉速度Vcおよび型閉速度Vdにそれぞれ相当するものとしても良い。また、例えば、上記の型閉条件は、
図18に示す通常画面の型開位置S4が型開位置L1、型開位置S5が型開位置Lf、型開限位置が型開位置L2、型開速度V4が型開速度Ve、型開速度V5が型開速度Vf、そして、型開速度V6が型開速度Vgにそれぞれ相当するものとしても良い。
【0076】
さらに、型締力の入力を行なう画面に移るが、詳細な画面は省略する。型締力の入力を促す画面に従って、型締力の入力を行う(S6)。また、続けて詳細な画面は省略するが突出設定の入力を促す画面に移るようにしてもよい。また、突出設定は金型エジェクタピン破損のリスクがあるため、通常の突出設定画面にて実動作を見ながら設定する様なメッセージを表示するようにしてもよい。
【0077】
以上のように成形条件に関する設定が終わると、
図13の確認画面を表示し、射出成形機1の成形条件に設定した値を反映させるために「条件反映」のボタンを押すと、上述のように設定および算出された成形条件データが記憶部41に記憶される(S7)。
【0078】
次にSTEP2の金型保護の設定を行う。
図13の画面から「>」が押されると、次の画面へ進み、金型保護条件設定部85の金型保護機能の使用の有無および金型保護機能の感度に関する金型保護機能情報の入力を促す画面(
図14)に移動する。
図14の画面から金型保護機能の使用の有無を選択し、金型保護機能の使用有の場合には金型保護機能の感度を「弱」「中」「強」から選択する(S8)。実際には、型開閉を行う型締装置2の駆動装置14の制御上限トルクを自動探索し、制御上限トルクより低い、型閉時の安全なトルクを監視トルクとして設定する。監視トルクを越えると型締装置2は緊急停止される。この制御上限値は、感度が「弱」「中」「強」であるかによって、適宜決定される。このようにして決定された金型保護条件データが記憶部41に記憶される(S9)。なお、金型保護条件データおよびその設定方法は、上述の実施の形態に限られるものではなく、例えば、金型保護条件データを型開閉中の所定の動作区間における型締装置2の動作時間を用いるなど、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各種条件データおよびその設定方法が適用可能である。
【0079】
さらに、
図14の画面から「>」が押されると、STEP3の
射出装置
3の色替(パージ)工程に進む。まず、ヒータ操作支援部81の操作盤48の加熱ボタン48B−1をONさせることを促す操作要求画面(
図15)に移動する。操作者が、加熱ボタン48B−1をONすると(S10)、可塑化シリンダ50と射出シリンダ60と射出ノズル63などがヒータ69によって、前述のSTEP1で設定された加工条件の温度に従った温度制御が開始される(S11)。
【0080】
加熱ボタン48B−1をONにした後、
図15の画面から「>」を押して、色替操作支援部82のパージ工程の操作を促す画面(
図16)に移動する。パージ工程はスクリューパージ、プランジャクリーニング、ショートストロークパージおよびフルストロークパージの順に行われる。
図16(A)のスクリューパージの操作を促す操作要求画面上の「スクリューパージスイッチを「入」にして、」の表示、
図16(B)のプランジャクリーニングの操作を促す操作要求画面上の表示、
図16(C)のショートストロークパージの操作を促す操作要求画面上の「ショートストロークパージを「入」にし、」の表示、および、
図16(D)のフルストロークパージの操作を促す操作要求画面上の「フルストロークパージを「入」にし、」の表示は、通常画面または操作盤48において、スクリューパージ、プランジャクリーニング、ショートストロークパージ、および、フルストロークパージのそれぞれに対して「使用する(入)」または「使用しない(切)」を個別に設定するための画面または操作盤48のボタンを有する場合、各パージを「使用する(入)」に設定することを促すための表示であって、例えば、色替操作支援部82のパージ工程の操作を促す操作要求画面を使用する際にすべてのパージが「使用する(入)」の設定に自動的に切り替えるようにする場合など、それらの表示を不要とする場合もあるので、詳しい説明を省略する。順番としては、最初に、
図16(A)のスクリューパージを行うための操作を促す操作要求画面が表示される。まず、操作盤48の手動モードがONになっているかを確認し、手動になっていない場合には、操作盤48の「手動モード」ボタン48B−2を押した上で、操作盤48の「色替」ボタン48B−3を押すようにナビゲーションする。また、パージ時間はデフォルト値がパージ時間の横にある2つの枠のうち右枠に表示されるが、必要に応じて変更することが可能である。
【0081】
操作者が、操作盤48の「手動モード」ボタン48B−2を押した上で、操作盤48の「色替」ボタン48B−3を押すと、射出装置3の
回転駆動装置52で可塑化スクリュ51を回転させながら、可塑化シリンダ50内の可塑化溶融された樹脂材料を連通路7a、62aを通して射出室65内に向けて押し出す動作が開始される。まずは、射出装置3は、可塑化スクリュ51を設定された開始時の回転数50rpmで回転させ、
回転駆動装置52の回転数が設定された回転数に到達しないでトルク負けしていることを検知
し、検知した信号を制御装置4で受信すると、さらに、色替操作支援部82は、
図16(A)の画面に「温度を上げてください」というメッセージを表示する(不図示)。この場合、操作者は「温度オフセット」の枠内に上昇させる温度を設定する。射出装置3で、設定されている回転数と実際の可塑化スクリュ51の回転が追従したと判定されると、回転数を100rpmまで上げてスクリューパージを開始する。パージ時間の横にある2つの枠のうち左枠には射出装置3で実際に経過したパージ時間が表示される。
【0082】
スクリューパージを行う時は、射出プランジャ61を前進させるが、射出プランジャ61の前方に溶融樹脂が射出ノズル63へ流れるだけの隙間のある状態で、可塑化スクリュ51を回転して可塑化溶融した溶融樹脂を射出ノズル63から流すことで、前回使っていた樹脂材料が出なくなるまでパージを続ける。操作者は射出装置3の射出ノズル63から出てくる樹脂を目視で前回使った樹脂材料が出なくなったのを確認する(S12)。
【0083】
スクリューパージが完了すると
図16(A)の画面から「>」を押して、色替操作支援部82のプラ
ンジャクリーニングを行う操作を促す画面に移動する。
図16(B)に示すように、必要な入力を行って、操作盤48の「色替」ボタン48B−3を押すようにナビゲーションする。
【0084】
操作者が、操作盤48の「手動モード」ボタン48B−2を押した上で、操作盤48の「色替」ボタン48B−3を押すと、プランジャクリーニングが開始される。プランジャクリーニングは、可塑化スクリュ51の回転を停止して、射出駆動装置64で射出プランジャ61だけを進退させる。射出プランジャ61を進退させる回数はデフォルトで5回とする。
図16(B)の「回数」の横にある2つの枠のうち右枠が設定した回数を表し、左枠に実際に射出駆動装置64で射出プランジャ61を進退させた回数が表示される(S13)。
【0085】
プランジャクリーニングが完了すると
図16(B)の画面から「>」を押して、色替操作支援部82のショートストロークパージを行う操作を促す画面に移動する。
図16(C)に示すように、必要な入力を行って、操作盤48の「色替」ボタン48B−3を押すようにナビゲーションする。ショートストロークパージでは、通常、射出プランジャ61を固定で定められた距離(ストローク)進退させる。例えば、ストローク20mm、パージ速度200mm/sec、回数30回をデフォルトとして設定しておく。必要に応じて、繰り返し回数、パージ速度を変えてもよい。
図16(C)の「回数」の横にある2つの枠のうち右枠が設定した回数を表し、左枠に実際に射出駆動装置64で射出プランジャ61を進退させた回数が表示される。
【0086】
操作者が、操作盤48の「手動モード」ボタン48B−2を押した上で、「色替」ボタン48B−3を押すと、ショートストロークパージが開始される。可塑化シリンダ50内の溶融樹脂を可塑化スクリュ51を回転させながら射出シリンダ60へ移動させ、射出プランジャ61がストローク位置まで後退すると、逆止駆動装置53で可塑化スクリュ51を前進させて連通路7aを塞ぎ、可塑化シリンダ50へ溶融樹脂が逆流しないようにして、射出駆動装置64で射出プランジャ61を進退させる一連の動作を指定された回数繰り返し行うことでショートストロークパージを行う(S14)。
【0087】
さらに、
図16(C)の画面から「>」を押して、色替操作支援部82のフルストロークパージを行う操作を促す画面に切り替える。
図16(D)に示すように、必要な入力を行って、操作盤48の「色替」ボタン48B−3を押すようにナビゲーションする。フルストロークパージでは、フルストロークで計量とパージを行う。例えば、最大後退限から前進限までのフルストロークで、パージ速度100mm/sec、回数5回をデフォルトとして設定しておく。必要に応じて、繰り返し回数、パージ速度を変えてもよい。
図16(D)の「回数」の横にある2つの枠のうち右枠が設定した回数を表し、左枠に実際に射出駆動装置64で射出プランジャ61を進退させた回数が表示される。
【0088】
操作者が、操作盤48の「手動モード」ボタン48B−2を押した上で、「色替」ボタン48B−3を押すと、フルストロークパージが開始される。射出装置3の動作は、ストローク以外はショートストロークパージと略同じであるので詳細な説明は省略する(S15)。
【0089】
最後に、
図16(D)の画面から「>」を押すと、成形開始支援部83の成形開始の操作を促す操作要求画面(
図17)に切り替える。操作者が、操作盤48の「半自動モード」ボタン48B−4を選択して、本実施の形態における成形開始ボタンとなる「型閉」ボタン48B−5を押すと、STEP1
で設定した成形条件およびSTEP2で設定した金型保護条件を用いて成形を開始する(S16)。
【0090】
射出成形機1では、まず、射出装置3の可塑化シリンダ50内の溶融樹脂を可塑化スクリュ51を回転させながら射出シリンダ60内へ移動させるとともに射出プランジャ61を後退させながら計量を行い、射出プランジャ61が射出ストロークの位置に来ると、可塑化スクリュ51を前進させて連通路7aを塞ぐ。この状態で射出プランジャ61を前進させて射出シリンダ60内の溶融樹脂を金型20のキャビティ空間21に向かって射出する。溶融樹脂が金型20内を流動している時は、射出プランジャ61を指定された射出速度で移動制御し、射出プランジャ61がVP切替位置に到達すると、溶融樹脂に圧力が付加された状態を維持するように射出プランジャ61が制御された状態で金型20内に充填された溶融樹脂が冷却される。金型20内で収縮する溶融樹脂を補うために射出プランジャ61の前方にある溶融樹脂で金型20内の溶融樹脂に圧力を付与する保圧が、初期保圧時間の間行われる。さらに、初期冷却時間の間、金型20を冷却する。
【0091】
最後に、型締制御部44で、型締装置2で金型20を型開して冷却された成形品を取り出す。このときの成形作業は、1回の成形サイクルで停止させるとよい。
【0092】
さらに、成形した成形品に成形不良であるか否かを目視で確認して、状態入力支援部86で成形不良の状態の入力を促し、入力された状態に応じて、改善支援部87で成形不良に対応する操作を促す改善操作メッセージを表示
装置47に表示する。例えば、
図19、
図20のフローチャートの順に成形不良の状態の入力と、改善操作メッセージを表示する。
【0093】
まず、状態入力支援部86で、成形品に生じた成形不良の状態の入力を促す状態入力メッセージを表示
装置47に表示する。例えば、「成形品がショートであるか?」(S20)、「成形品にバリが出るか?」(S22)を順に選択するような表示画面を表示する。
【0094】
ショートである場合には(S20-YES)、計量値を大きくしてVP位置を小さくするように促すメッセージを表示する(S21)。バリが出る場合には(S22-YES)、成形条件を見直し金型点検を促すメッセージを表示する(S23)。必要に応じて、STEP1の加工条件の設定のナビゲーションに戻るようにしてもよい。
【0095】
ショートでもバリも出ない場合は(S22-NO)、VP圧力の1/3を保圧に設定するように促すメッセージを表示する(S24)。再度、成形品を成形して「成形品にバリが出るか?」を確認するメッセージを表示する(S25)。バリが出る場合には(S25-YES)、成形条件を見直し金型点検を促すメッセージを表示する。この時、バリが出ない場合は(S25-NO)、VP切換時に射出プランジャが樹脂材料に与えている圧力の2/3を保圧に設定する(S26)。再度、成形品を成形して「成形品にバリが出るか?」を確認するメッセージを表示する(S28)。バリが出る場合には(S28-YES)、成形条件を見直し金型点検を促すメッセージを表示する(S29)。バリが出ない場合は(S28-NO)、成形品の重量を見ながら、保圧時間を延ばすように促すメッセージを表示する(S30)。
【0096】
以上のように、成形品を目視で確認して繰り返し成形条件の設定し直しを誘導するメッセージを表示する。最終的に、成形品の仕上がりが良好であるのを確認した後に、操作者は操作盤48の「全自動モード」ボタンを選択して自動運転に切り替える所定の操作を行う。
【0097】
上述では、制御装置4の操作パネルユニット40に操作支援メッセージを表示する場合について説明したが、携帯可能なタブレット端末などの制御装置4に直接接続されていない端末に
図10〜17に示すような操作支援メッセージを表示して、必要に応じて制御装置4とワイヤレスまたは有線で接続して、記憶部41にデータを記憶するようにしてもよい。
【0098】
以上、詳細に説明したように、本発明の射出成形機支援システムを用いることにより、機械の操作に不慣れな操作者でも成形が可能になり、射出成形条件データも適切な値に修正することが可能になる。