(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6305991
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】生検装置のための制御
(51)【国際特許分類】
A61B 10/02 20060101AFI20180326BHJP
【FI】
A61B10/02 110K
【請求項の数】19
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2015-515040(P2015-515040)
(86)(22)【出願日】2013年5月20日
(65)【公表番号】特表2015-523118(P2015-523118A)
(43)【公表日】2015年8月13日
(86)【国際出願番号】US2013041784
(87)【国際公開番号】WO2013181005
(87)【国際公開日】20131205
【審査請求日】2016年5月6日
(31)【優先権主張番号】13/483,235
(32)【優先日】2012年5月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511148271
【氏名又は名称】デビコー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Devicor Medical Products, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】メッシャー・パトリック・エイ
【審査官】
湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2010/0100112(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0012868(US,A1)
【文献】
特表平08−509397(JP,A)
【文献】
特表2005−527267(JP,A)
【文献】
特表2010−512848(JP,A)
【文献】
特開2006−095312(JP,A)
【文献】
特表2012−511970(JP,A)
【文献】
特表2005−507703(JP,A)
【文献】
特開2009−125589(JP,A)
【文献】
特開2006−198401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検装置を含む生検システムにおいて、
前記生検装置はプローブを含み、前記生検システムは、
(a)前記プローブから遠位に延びる針と、
(b)前記針に対して動くことができるカッターと、
(c)前記プローブの近位端部に取り外し可能に連結された組織標本ホルダーと、
(d)最大真空レベルと最小真空レベルとの間の所定の真空レベルで前記カッターに真空を加えるように構成された真空源と、
を含み、
前記生検システムは、前記生検装置に真空を与え、前記カッターを近位位置まで後退させ、前記カッターを前記近位位置にとどまらせ、前記カッターを遠位位置まで前進させ、前記遠位位置と中間位置との間で前記カッターを振動させるように、サイクルで動作可能であり、前記中間位置は、前記遠位位置より近位に配されており、
前記生検システムは、前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置に前進しているときに、最大レベルの真空を前記カッターに加えるようにさらに構成されている、生検システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記カッターが前記遠位位置と前記中間位置との間で振動しているときに、前記最大レベルの真空を前記カッターに加えるようにさらに構成されている、生検システム。
【請求項3】
請求項2に記載の生検システムにおいて、
センサーをさらに含み、
前記センサーは、前記真空源が供給する真空の感知されたレベルを検出するように構成され、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルを選択されたカテゴリーに選択的に分類するように動作可能である、生検システム。
【請求項4】
請求項3に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルを、低真空表示、中間真空表示、または高真空表示に相当する前記選択されたカテゴリーに選択的に分類するように動作可能であり、前記低真空表示、中間真空表示、および高真空表示は、前記真空源の前記最大真空レベルおよび最小真空レベルと相対的なものである、生検システム。
【請求項5】
請求項3に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルの前記選択されたカテゴリーに基づいて、前記生検システムの前記サイクル中に前記カッターが前記近位位置にとどまるように構成される持続時間を調節するように動作可能である、生検システム。
【請求項6】
請求項5に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルが低いと選択的に分類されたときに前記カッターが前記近位位置にとどまるように構成される持続時間を増大させるように動作可能であるか、あるいは、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルが高いと選択的に分類されたときに前記カッターが前記近位位置にとどまるように構成される持続時間を減少させるように動作可能である、生検システム。
【請求項7】
請求項3に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルの分類に基づいて、前記生検システムの前記サイクル中に前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで前進する時間を調節するように動作可能である、生検システム。
【請求項8】
請求項7に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルが低いと選択的に分類された場合に前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで前進する時間を増大させるように動作可能であるか、あるいは、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルが高いと選択的に分類された場合に前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで前進する時間を減少させるように動作可能である、生検システム。
【請求項9】
請求項3に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルの分類に基づいて、前記生検システムの前記サイクル中のカッター振動の量を調節するように動作可能である、生検システム。
【請求項10】
請求項9に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルが低いと選択的に分類された場合にカッター振動の量を増大させるように動作可能であるか、あるいは、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルが高いと選択的に分類された場合にカッター振動の量を減少させるように動作可能である、生検システム。
【請求項11】
請求項9に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルが高いと選択的に分類された場合にカッター振動の量を無視するように動作可能である、生検システム。
【請求項12】
請求項3に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムの前記サイクルは、組織標本を前記組織標本ホルダーまで運搬することをさらに含み、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルの分類に基づいて、前記生検システムの前記サイクル中に前記標本を前記組織標本ホルダーまで運搬する時間を調節するように動作可能である、生検システム。
【請求項13】
請求項12に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルが低いと選択的に分類された場合に前記標本を前記組織標本ホルダーまで運搬する時間を増大させるように動作可能であるか、あるいは、
前記生検システムは、前記真空の感知されたレベルが高いと選択的に分類された場合に前記標本を前記組織標本ホルダーまで運搬する時間を減少させるように動作可能である、生検システム。
【請求項14】
請求項1に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで並進した後で、前記生検装置に与えられる真空を増大させるように動作可能である、生検システム。
【請求項15】
請求項14に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで並進した後で、前記生検装置に与えられる真空を、最大量の真空に調節するように動作可能である、生検システム。
【請求項16】
請求項15に記載の生検装置において、
前記生検システムは、前記生検装置に与えられる真空を、真空の選択された増加または減少まで、選択的に増加または減少させるように構成されたインターフェースをさらに含み、
前記生検システムは、前記生検装置に与えられる前記真空が前記最大量の真空に調節されると、前記インターフェースによる前記真空の選択された増加または減少を無効にするように動作可能である、生検装置。
【請求項17】
生検システムを動作させる方法であって、前記生検システムは、生検装置と真空源とを含み、前記生検装置は、プローブ、前記プローブから遠位に延びる針、前記針に対して動くことができるカッター、および前記プローブの近位端部に取り外し可能に連結される組織標本ホルダーを含み、前記生検システムは、前記生検装置に真空を与えるように動作可能である、方法において、
(a)前記真空源が選択された量の真空を前記生検装置に加えることと、
(b)前記生検装置が前記カッターを近位位置まで後退させることと、
(c)前記生検装置が前記カッターを前記近位位置にとどまらせることと、
(d)前記生検装置が前記カッターを遠位位置まで前進させることと、
(e)前記真空源が、前記選択された量の真空を無効にするように、前記生検装置に最大真空を加えることと、
(f)前記生検装置が前記遠位位置と中間位置との間で前記カッターを振動させることであって、前記中間位置は、前記遠位位置と前記近位位置との間にある、ことと、
を含む、方法。
【請求項18】
生検システムを動作させる方法であって、前記生検システムは、生検装置と真空源とを含み、前記生検装置は、プローブ、前記プローブから遠位に延びる針、前記針に対して動くことができるカッター、および前記プローブの近位端部に取り外し可能に連結される組織標本ホルダーを含み、前記生検システムは、前記生検装置に真空を与えるように動作可能である、方法において、
(a)前記真空源が選択された量の真空を前記生検装置に加えることと、
(b)前記生検装置が前記カッターを近位位置まで後退させることと、
(c)前記生検装置が所定の時間にわたり、前記カッターを前記近位位置にとどまらせることと、
(d)前記真空源が、前記生検装置に最大量の真空を加えるように、前記選択された量の真空を無効にすることと、
(e)前記生検装置が前記最大量の真空を加えながら前記カッターを遠位位置まで前進させることと、
(f)前記生検装置が前記遠位位置と中間位置との間で前記カッターを振動させることであって、前記中間位置は、前記遠位位置に隣接している、ことと、
を含む、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法において、
前記生検装置が前記カッターを所定の時間にわたり振動させた後で、前記真空源が加える真空によって前記カッターを通じて前記組織標本ホルダーまで近位に組織標本を運搬することをさらに含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔背景〕
生検標本は、さまざまな装置を使用した種々の医療処置においてさまざまな方法で得られてきた。生検装置は、定位固定誘導、超音波誘導、MRI誘導、PEM誘導、BSGI誘導、またはその他の下で使用され得る。例えば、一部の生検装置は、ユーザーが片手で十分に操作可能であり、1回の挿入で、患者から1つまたは複数の生検標本を捕捉することができる。さらに、一部の生検装置は、例えば流体(例えば、加圧空気、食塩水、大気、真空など)の連通のため、電力伝達のため、および/またはコマンドなどの通信のために、真空モジュールおよび/または制御モジュールにつながれることができる。他の生検装置は、別の装置とつながれたり、別様に接続されたりせずに、完全に、または少なくとも部分的に動作可能とすることができる。
【0002】
単に例示的な生検装置が、以下に開示されている:「Method and Apparatus for Automated Biopsy and Collection of Soft Tissue」の名称で1996年6月18日に発行された米国特許第5,526,822号;「Control Apparatus for an Automated Surgical Biopsy Device」の名称で2000年7月11日に発行された米国特許第6,086,544号;「MRI Compatible Surgical Biopsy Device」の名称で2003年9月11日に発行された米国特許第6,626,849号;「Remote Thumbwheel for a Surgical Biopsy Device」の名称で2008年10月8日に発行された米国特許第7,442,171号;「Clutch and Valving System for Tetherless Biopsy Device」の名称で2010年12月1日に発行された米国特許第7,854,706号;「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号;「Biopsy Apparatus and Method」の名称で2006年4月6日に公開された米国特許出願公開第2006/0074345号;「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」の名称で2008年9月4日に公開された米国特許出願公開第2008/0214955号;「Biopsy Sample Storage」の名称で2008年9月11日に公開された米国特許出願公開第2008/0221480号;「Graphical User Interface For Biopsy System Control Module」の名称で2009年5月21日に公開された米国特許出願公開第2009/0131821号;「Icon-Based Uswer Interface On Biopsy System Control Module」の名称で2009年5月21日に公開された米国特許出願公開第2009/0131820号;「Hand Actuated Tetherless Biopsy Device with Pistol Grip」の名称で2010年6月17日に公開された米国特許出願公開第2010/0152610号;「Biopsy Device with Central Thumbwheel」の名称で2010年6月24日に公開された米国特許出願公開第2010/0160819号;「Tetherless Biopsy Device with Reusable Portion」の名称で2010年12月16日に公開された米国特許出願公開第2010/0317997号;「Handheld Biopsy Device with Needle Firing」の名称で2010年11月24日に出願された米国非仮特許出願第12/953,715号;「Biopsy Device with Motorized Needle Firing」の名称で2011年4月14日に出願された米国非仮特許出願第13/086,567号;「Needle Assembly and Blade Assembly for Biopsy Device」の名称で2011年6月1日に出願された米国非仮特許出願第13/150,950号;「Access Chamber and Markers for Biopsy Device」の名称で2011年8月8日に出願された米国非仮特許出願第13/205,189号;「Biopsy Device Tissue Sample Holder with Bulk Chamber and Pathology Chamber」の名称で2011年8月26日に出願された米国非仮特許出願第13/218,656号;「Biopsy Device With Slide-In Probe」の名称で2011年12月5日に出願された米国仮特許出願第61/566,793号。前記に列挙した米国特許、米国特許出願公開、および米国非仮特許出願それぞれの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
いくつかのシステムおよび方法が、生検標本を入手するために作られ使用されてきたが、発明者らより前に、請求項に記載する発明を行うか、または使用した者はいないと考える。
【0004】
本明細書は、このテクノロジーを具体的に指し示し明白に主張する請求項で締めくくられるが、このテクノロジーは、添付図面と共に理解される特定の実施例に関する以下の説明から、よりよく理解されると考えられる。添付図面では、同様の参照符号が、同じ要素を特定している。
【0005】
図面は、多少なりとも限定的とすることを意図しておらず、このテクノロジーのさまざまな実施形態が、図面には必ずしも描かれていないものを含め、さまざまな他の方法で実行され得ることを企図している。本明細書に組み込まれ、その一部を形成する添付図面は、本テクノロジーのいくつかの態様を示しており、説明と共に、テクノロジーの原理の説明に役立つものであるが、このテクノロジーは、図示する厳密な構成に限定されないことが理解される。
【0006】
〔詳細な説明〕
このテクノロジーの特定の実施例に関する以下の説明は、その範囲を制限するために使用されるべきではない。このテクノロジーの他の実施例、特徴、態様、実施形態、および利点が、以下の説明から当業者には明らかとなるであろう。以下の説明は、例として、このテクノロジーを実施するために企図される最良の方式のうちの1つである。認識されるであろうが、本明細書に記載されるテクノロジーは、このテクノロジーから逸脱しない、他の異なる明らかな態様が可能である。したがって、図面および説明は、例示的な性質のものとみなされるべきであり、限定的なものではない。
【0007】
I.例示的な生検システムの概観
図1は、生検装置(100)、複数の導管(400)、および制御モジュール(500)を含む、例示的な生検システム(10)を描いたものである。生検装置(100)は、ホルスター(202)およびプローブ(102)を含む。針(110)は、プローブ(102)から遠位に延びており、以下でさらに詳細に説明するように、組織標本を入手するために患者の組織に挿入される。これらの組織標本は、やはり以下でさらに詳細に説明するように、プローブ(102)の近位端部に連結される組織標本ホルダー(302)の中に堆積される。当然、針(110)および組織標本ホルダー(302)は、さまざまな範囲の場所で、プローブ(102)に連結され得る。例えば、針(110)は、プローブ(102)の上部から、プローブ(102)の側部から、プローブ(102)の底部から延びてよく、あるいは、プローブ(102)から完全に省略されてよい。組織標本ホルダー(302)は、プローブ(102)の上部に、プローブ(102)の側部に、プローブ(102)の底部に連結されてよく、あるいは、プローブ(102)から完全に省略されてよい。本実施例のプローブ(102)は、ホルスター(202)から分離可能であるが、これは単にオプションである。「ホルスター」という用語を本明細書で使用することは、プローブ(102)の任意の部分がホルスター(202)の任意の部分に挿入されることを必ず必要とするものとして読むべきではないことも、理解されたい。ホルスター(202)のノッチ付き上方制御ユニット(220)、およびプローブ(102)のラッチ(190)は、
図2〜
図4および
図7に示し、また以下でさらに詳細に説明するように、協働して、プローブ(102)をホルスター(202)に取り外し可能に固定するために使用されるが、さまざまな他のタイプの構造体、構成要素、特徴部など(例えば、差込ピン取付台(bayonet mounts)、突起、クランプ、クリップ、スナップフィット(snap fittings)など)を使用して、プローブ(102)とホルスター(202)との取り外し可能な連結をもたらし得ることを、理解されたい。さらに、一部の生検装置(100)では、プローブ(102)およびホルスター(202)は、一体的または統合された構造のものであってよく、これら2つの構成要素は、分離できないようになっている。ほんの一例として、プローブ(102)およびホルスター(202)が分離可能な構成要素として設けられるバージョンでは、プローブ(102)は、使い捨て構成要素として提供されてよく、ホルスター(202)は、再利用可能な構成要素として提供されてよい。プローブ(102)とホルスター(202)との間のさらに他の適切な構造的および機能的関係は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0008】
図1に示す生検システム(10)は、1つまたは複数の導管(400)を介して生検装置(100)に流体連結される制御モジュール(500)をさらに含む。本実施例では、制御モジュール(500)は、生検装置(100)に真空を提供するように動作可能な真空源(510)を含む。制御モジュール(500)は、使用者が生検装置(100)に供給される真空のレベルを調節することを可能にする、ユーザーインターフェース(526)をさらに含む。生検装置(100)によりサンプリングされるべき組織の特徴(硬さ、厚さなど)に応じて真空のレベルを使用者が調節することが望ましい場合がある。ユーザーインターフェース(526)については、以下でさらに詳細に論じる。ほんの一例として、真空源(510)は、制御モジュール(500)内部に収容され、可撓性管などの第1の導管(402)によって、プローブ(102)に流体連結される。当然、さらに、または代わりに、真空源(510)は、プローブ(102)に組み込まれ、ホルスター(202)に組み込まれ、かつ/またはまったく別個の構成要素であることができる。真空源(510)が組み込まれた、1つの単に例示的な生検装置(100)が、「Handheld Biopsy Device with Needle Firing」の名称で2010年11月24日に出願された米国非仮特許出願第12/953,715号に開示されており、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
図1に示すように、真空源(510)は、プローブ(102)と、また、以下でさらに詳細に説明するように、針(110)と、流体連通している。よって、真空源(510)は、以下でさらに詳細に説明する、針(110)の側方孔(112)に組織を引き込むように作動され得る。真空源(510)は、組織標本ホルダー(302)およびカッター(120)とも流体連通する。よって、制御モジュール(500)の真空源(510)は、カッター(120)のカッター内腔(136)を通して組織標本ホルダー(302)内へ、切断された組織標本を引き込むように作動されることもできる。当然、真空源(510)の他の適切な構成および使用は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。真空源(510)は、必要なら、単に省略されてもよいことも、理解されたい。
【0009】
いくつかのバージョンでは、真空源(510)は、「Presentation of Biopsy Sample by Biopsy Device」の名称で2008年9月4日に公開された米国特許出願公開第2008/0214955号の教示に従って設けられ、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。さらに別の単に例示的な実施例として、真空源(510)は、「Biopsy Device with Auxiliary Vacuum Source」の名称で2011年8月25日に公開された米国特許出願公開第2011/0208086号の教示に従って設けられてよく、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。真空源(510)が設けられ得る、さらに他の適切な方法は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかとなるであろう。
【0010】
A.例示的な制御モジュールおよび導管
本実施例の制御モジュール(500)は、可撓性管などの第2の導管(404)および第3の導管(406)によって生検装置(100)にさらに流体連結されるが、これらの導管の一方または両方を省略することができる。第3の導管(406)は、制御モジュール(500)により、食塩水バッグ(410)と流体連通している。食塩水バッグ(410)は、食塩水流体(saline fluid)を含むが、本明細書の教示を鑑みれば当業者に明らかとなるように、他の流体、ゲル、流体中に懸濁した固体、および/または他の流体状材料が使用され得ることを、理解されたい。当然、食塩水バッグ(410)は、第3の導管(406)および/または生検装置(100)に直接連結され得ることを、理解されたい。さらに、いくつかのバージョンでは、第3の導管(406)は、制御モジュール(500)に連結されないが、流体、薬剤、および/または他のアイテムを送達するために注射器(不図示)または他のアイテムが連結され得る、ルアーロック端部(不図示)を、代わりに含み得る。第2の導管(404)はまた、制御モジュール(500)に流体連結され、制御モジュール(500)のフィルター(不図示)により、生検装置(100)に、ろ過された大気を提供する。第3の導管(406)と同様に、いくつかのバージョンでは、第2の導管(404)は、制御モジュール(500)に連結されないが、代わりに、ルアーロック端部(不図示)またはフィルター(不図示)を含む。本実施例では、第2の導管(404)および第3の導管(406)は、プローブ(102)に連結される前にコネクタ(408)により互いに結合される。コネクタ(408)は、第2の導管(404)または第3の導管(406)のいずれかを、他方の導体(404、406)がプローブ(102)と流体連通している間にシールするために、弁を含み得る。当然、他のバージョンでは、コネクタ(408)は、第2の導管(404)および第3の導管(406)の双方がプローブ(102)に連結されることができるように、Y字型コネクタを含み得る。
【0011】
いくつかのバージョンでは、導管(400)は、使用されていないときには第1、第2および/または第3の導管(402、402、406)が制御モジュール(500)内へ後退され得るように、制御モジュール(500)の後退システム(520)に連結され得る。ほんの一例として、後退システム(520)は、1つまたは複数のばね仕掛けのスプール(522)を含んでよく、このスプールはそれぞれ、第1、第2、および/または第3の導管(402、404、406)をスプール(522)の周りに巻くようにサイズが決められている。スプール(522)は、ラチェット組立体(不図示)に連結されてよく、使用者が導管(402、404、406)を引っ張ると、ラチェット組立体は、ばね仕掛けのスプールが導管(402、404、406)を後退させるのを妨げる。後退ボタン(524)が、制御モジュール(500)のケーシングに据え付けられており、導管(402、404、406)を後退させるためにラチェット組立体を解放するように動作可能である。さらに、または、代わりに、スプール(522)は、導管(402、404、406)をスプール(522)の周りで手動により後退させるために、手回しクランク(不図示)に連結され得る。いくつかのバージョンでは、後退ボタン(524)は、例えばノッチ付き上方制御ユニット(220)のボタン(228)によって、生検装置(100)から操作され、使用者は、装置を使用している間に、導管(402、404、406)を後退させることができる。ほんの一例として、生検装置(100)のボタン(不図示)が、ラチェット組立体を解放するためにソレノイドを作動させることができる。したがって、使用者は、潜在的なもつれ(potential tangling)の量、および/または、使用者が生検装置(100)を使用している周辺の任意の余分の導管(402、404、406)を減らすことができる。さらに、または代わりに、このような遠隔での後退は、導管(402、404、406)をゆっくりと後退させるように(ブレーキまたはモーターのいずれかにより)選択的にブレーキをかけられるか、または制御されることができる。このようなゆっくりとした後退により、導管(402、404、406)が生検装置(100)を使用者の手から素早く後退させ引っ張りだすのを防ぐことができる。
【0012】
導管(402、404、406)は別々の導管として図示されているが、導管(402、404、406)が、任意の数の適切な導管へと再分割される単一のチューブとなるよう、組み合わせられ得ることを、理解されたい。いくつかのバージョンでは、導管(402、404、406)は、長さ方向に互いに融合されて、矩形の一体的な3導管チューブを形成することができる。当然、導管(402、404、406)のさらなる構成が、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかとなるであろう。一部のバージョンでは、導管(402、404、406)は、後退しなくてもよく、あるいは、導管(402、404、406)の一部のみが後退することができる。このような構成では、導管(402、404、406)は、制御モジュール(500)の1つまたは複数のソケット(不図示)に連結されるように動作可能なコネクタ(不図示)から分離可能であってよい。したがって、導管(402、404、406)が処置に使用された後、導管(402、404、406)は、コネクタから切り離されて、処分され得る。新しい導管(402、404、406)が、次の処置のためにコネクタに連結され得る。単に例示的な1つの構成では、再利用可能な導管部分が、使い捨ての導管部分に連結され得る。この実施例の再利用可能な導管部分は、後退システム(520)に連結され得る。したがって、再利用可能な導管部分は、1.52m(5フィート)など、所定のサイズを有してよく、1つまたは複数の使い捨ての導管は、再利用可能な導管部分に連結されて、処置のためにさまざまな長さの導管を提供することができる。処置が終わると、使い捨ての導管部分は、処分され、再利用可能な導管部分は、保管のため、制御モジュール(500)内に後退させられる。さらに、または、代わりに、後退システム(520)および導管(402、404、406)は、制御モジュール(500)に挿入されるか、またはこれから取り外されることのできる、選択的に挿入可能な装置として、構築され得る。ほんの一例として、このような選択的に挿入可能な後退システム(520)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号に記載された真空キャニスターと同じように構成され得る。したがって、いくつかのバージョンでは、後退システム(520)全体が使い捨てであってよく、あるいは、いくつかのバージョンでは、再利用のために再び滅菌されるよう、再生利用可能であってよい。
【0013】
本実施例では、電源コード(420)が、生検装置(100)を電気的に連結し、これに電力供給するために、真空制御ユニット(500)から延びている。電源コード(420)は、DCまたはAC電力を生検装置(100)に供給するように構成され得る。さらに、または代わりに、電源コード(420)は、制御モジュール(500)と生検装置(100)との間でデータを送信するように動作可能であることもできる。電源コード(420)は、
図2〜
図6に示す、ケーブル(290)の端部コネクタ(298)に選択的に連結されるように構成された端部コネクタ(不図示)を含む。したがって、制御モジュール(500)の電源コード(420)は、ホルスター(202)から分離可能であってよく、これらはそれぞれ、別々に保管され得るようになるが、これは単にオプションである。本実施例の電源コード(420)はまた、前述した後退システム(520)により後退され得る、ばね仕掛けのスプール(522)に連結される。電源コード(420)が連結されるスプール(522)が、導管(402、404、406)のためのスプールとは別個のスプールであってよいことを、理解されたい。さらに、電源コード(420)が連結されるスプール(522)のための後退システム(520)は、やはり別個の後退システムであってよい。例えば、制御モジュール(500)は、取り外されて処分され得る、導管(402、404、406)のための取り外し可能な後退システム(520)を有してよく、一方、永続的な後退システム(520)が電源コード(420)のために提供される。当然、生検装置(100)のいくつかのバージョンは、電源コード(420)を省略することができるように、内部で電力供給され得る。いくつかのバージョンでは、スプール(522)は、導管(402、404、406)および電源コード(420)が同時に、かつ同じ速度で後退および延出されるように、複数の別個のスプールを有する単一のスプールを含み得る。いくつかのバージョンでは、電源コード(420)は、前述した単一チューブ導管(singular tube conduit)に組み込まれてよく、流体流動のための3つの下位区分と、電力を伝送する1つの下位区分とを有する、単一のコードが、真空制御ユニット(500)から延びる。電源コード(420)、制御モジュール(500)、および/または後退システム(520)のさらなる構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかとなるであろう。
【0014】
B.例示的な生検装置の概観
本実施例の生検装置(100)は、患者に対して使用者により保持され、また、超音波撮像装置により誘導されるように構成される。当然、生検装置(100)は、代わりに、定位固定誘導、MRI誘導、PEM誘導、BSGI誘導、またはその他の下で、使用されてもよい。生検装置(100)を使用者が片手で操作することができるように生検装置(100)がサイズ決めされ構成され得ることも、理解されたい。具体的には、使用者は、生検装置(100)をつかみ、針(110)を患者の乳房に挿入し、患者の乳房内から1つまたは複数の組織標本を採取することができ、これらはすべて片手で行う。あるいは、使用者は、2つ以上の手で、かつ/または任意の所望の助けを得て、生検装置(100)をつかむことができる。一部の環境では、使用者は、針(110)を患者の乳房に1回挿入しただけで、複数の組織標本を捕捉することができる。このような組織標本は、組織標本ホルダー(302)の中に空気圧で堆積され、後で、分析のために組織標本ホルダー(302)から回収されることができる。本明細書に記載する実施例は、患者の乳房から生検標本を入手することにしばしば言及するが、生検装置(100)が、さまざまな他の目的で、また、患者の解剖学的構造のさまざまな他の部分(例えば、前立腺、甲状腺など)において、さまざまな他の処置で使用され得ることを、理解されたい。生検装置(100)のさまざまな例示的な構成要素、特徴部、構成、および操作性は、以下でさらに詳細に説明するが、他の適切な構成要素、特徴部、構成、および操作性は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであろう。
【0015】
本実施例の生検装置(100)は、
図2〜
図6に示すように、分離可能なプローブ(102)およびホルスター(202)を含む。本実施例では、遠位プローブ部分(120)がノッチ付き上方制御ユニット(220)の一部に入りこれに接触するまで、プローブ(102)は、最初、ホルスター(202)上へ側方にスライドするように構成されており、その後、プローブ(102)は遠位にスライドして、プローブ(102)がホルスター(202)に固定される。いったん遠位にスライドすると、プローブ(102)のラッチ(190)が、ホルスター(202)のラッチ部材(238)に係合して、プローブ(102)をホルスター(202)にしっかりと連結する。次に、組織が切断され、組織標本ホルダー(302)内へと近位に運搬され得る。生検装置(100)および組織標本ホルダー(302)は、「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号;「Biopsy Sample Storage」の名称で2008年9月11日に公開された米国特許出願公開第2008/0221480号;「Tetherless Biopsy Device with Reusable Portion」の名称で2010年12月16日に公開された米国特許出願公開第2010/0317997号;「Handheld Biopsy Device with Needle Firing」の名称で2010年11月24日に出願された米国非仮特許出願第12/953,715号;「Biopsy Device with Motorized Needle Firing」の名称で2011年4月14日に出願された米国非仮特許出願第13/086,567号;および/または「Access Chamber and Markers for Biopsy Device」の名称で2011年8月8日に出願された米国非仮特許出願第13/205,189号の教示のうち少なくともいくつかに従ってさらに構築されてよく、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。当然、生検システム(10)のさらなる構成が、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0016】
II.例示的なホルスター
ホルスター(202)は、上部ハウジングカバー(210)と、ハウジング基部(260)と、ケーブル(290)と、を含む。ケーブル(290)は、
図6に示す複数のワイヤ(292)を含み、電力および/または制御信号を、ハウジング基部(260)内部に収容されるさまざまな構成要素に与える。ケーブル(290)は、ホルスター(202)を、前述した電源コード(420)のコネクタに選択的に連結するように動作可能な端部コネクタ(298)をさらに含み、あるいは、いくつかのバージョンでは、端部コネクタ(298)は、制御モジュール(500)に直接連結可能であってよい。ハウジング基部(260)は、ポリカーボネートなど、生体適合性で剛性のプラスチック材料を含み、これは、
図2〜
図3に示す、上方に曲がる遠位弓状部分(262)を含むように成型され、ハウジング基部(260)は、使用中、患者の身体の近くに位置付けられ得る。ほんの一例として、弓状部分(262)は、胸部または患者の胸郭の他の部分といった、患者の解剖学的構造の一部が、弓状部分(262)により形成された湾曲空洞を少なくとも部分的に占めることができるようにサイズ決めされており、生検装置(100)は、患者の身体の近くに、さまざまな向きで容易に位置付けられることができる。ほんの一例として、弓状部分(262)の構成は、別様に概ね矩形または円筒形の生検装置によりもたらされ得るものと比べて、患者の乳房により多くアクセスすることを可能にし得る。弓状部分(262)は、ホルスター(202)の長さの約5分の1にわたり近位に延びているが、これは単にオプションである。いくつかのバージョンでは、弓状部分(262)は、ホルスター(202)の長さ方向長さの約半分、半分未満、または半分超にわたり、近位に延びることができる。さらに、または代わりに、弓状部分(262)は、ガーゼパッドなどのパッド付き部分(不図示)を含んで、弓状部分(262)が患者の皮膚と接触した際に弓状部分(262)の「機械的」感触を軽減し得る。弓状部分(262)のさらなる構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0017】
次に
図3〜
図4を参照すると、上部ハウジングカバー(210)も、ポリカーボネートなどの、生体適合性で剛性のプラスチック材料で形成されており、ノッチ付き上方制御ユニット(220)、ギアスロット(230)、中間レール(240)、前方レール(242)、ラッチ部材(238)、およびギア孔(250)を含む。
図3で最もよく分かるように、ホルスターギア(272)が、ギア孔(250)を通って露出されており、プローブ(102)がホルスター(202)に連結されるとプローブ(102)のプローブギア(170)と噛み合うように構成されている。したがって、ホルスターギア(272)の回転により、プローブギア(170)が回転して、以下でさらに詳細に説明する、プローブ(102)のカッター作動組立体(150)を駆動する。ギアスロット(230)は、プローブ(102)がホルスター(202)上にスライドするとプローブギア(170)をギアスロット(230)に沿って移動させるように構成された、上部ハウジングカバー(210)の陥凹部分である。ギアスロット(230)は、横方向部分(232)と、長さ方向部分(234)と、を含む。したがって、プローブ(102)がホルスター(202)に連結されると、プローブギア(170)はまず、横方向部分(232)に入り、プローブ(102)がホルスター(202)と実質的に長さ方向に整列するまで横方向スロット(232)に沿って移動する。いったんプローブ(102)がホルスター(202)と長さ方向に整列すると、プローブ(102)は、使用者により前方に押され、プローブギア(170)がホルスターギア(272)と噛み合うまでプローブギア(170)をギアスロット(230)の長さ方向部分(234)内部で移動させる。当然、ギアスロット(230)は、単にオプションであり、省略されてもよい。さらに、または代わりに、類似のギアスロット(不図示)が、プローブ(102)の底部に形成されてもよい。
【0018】
プローブ(102)が遠位にスライドすると、プローブ(102)の中間スロット(108)が上部カバー(210)の中間レール(240)上にスライドし、前方スロット(128)が、前方レール(242)上にスライドする。中間スロット(108)と、中間レール(240)と、前方スロット(128)と、前方レール(242)との組み合わせにより、プローブ(102)をホルスター(202)に連結するためのさらなる整列がもたらされる。さらに、レール(240、242)は、プローブ(102)がいったんホルスター(202)に連結されるとレール(240、242)がホルスター(202)に対するプローブ(102)の横方向の転置に抵抗するようにサイズ決めされることもできる。当然、レール(240、242)およびスロット(108、128)のさらなる構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかとなるであろう。
【0019】
ノッチ付き上方制御ユニット(220)は、上部カバー(210)の第1の表面から、最初は上方に、その後、内側へと延びることにより、張り出し部(222)を有する逆L字型構成要素を形成している。図示する実施例では、ノッチ付き上方制御ユニット(220)は、張り出し部(222)に連結された、上方に延びる部分(224)を含み、これにより、プローブ(102)をホルスター(202)に対して固定するための上方境界が形成される。したがって、生検装置(100)が逆にされるか、または任意の他の向きで位置付けられた場合であっても、張り出し部(222)は、ホルスター(202)に接触させてプローブ(102)を保持する。さらに、ノッチ付き上方制御ユニット(220)は、ホルスター(202)の高さを増大しているが、ホルスター(202)の幅が上方制御ユニット(220)を設けることにより狭まることは、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には理解されるであろう。したがって、この狭まった幅により、使用者は、鉛筆または他の細い本体を持つ物体を保持するのと同じように、ホルスター(202)および/または組立体生検装置(assembly biopsy device)(100)をつかむことができる。
【0020】
ノッチ付き上方制御ユニット(220)は、複数のボタン(228)を有するコントロールパネル(226)をさらに含む。本実施例では、ボタン(228)は、ロッカーボタン(228a)、第1のボタン(228b)、および第2のボタン(228c)を含む。本実施例では、第2のボタン(228c)は、組織の生検標本を取得するために、生検装置(100)を選択的に作動させるように動作可能である。第1のボタン(228b)は、制御モジュール(500)から生検装置(100)の1つまたは複数の部分、例えばカッター内腔(136)などへ、選択的に真空を加えるように動作可能である。ロッカーボタン(228a)は、カッター(152)を選択的に前進または後退させ、これにより、側方孔(118)を開閉するように、動作可能である。本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、ボタン(228a、228b、228c)は、当然、他の用途を有してもよい。さらに、追加の機能性を提供するために、追加のボタン(228)が設けられてもよい。例えば、前述のように、このような1つの追加のボタン(228)は、真空制御ユニット(500)内への導管(402、404、406)および/または電源コード(420)の後退を引き起こすボタンを含むことができる。さらに、または代わりに、使用者に視覚的フィードバックを提供するために、インジケータ(不図示)が、ノッチ付き上方制御ユニット(220)上に含まれてもよい。さらなる構成では、ノッチ付き上方制御ユニット(220)は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、抵抗性タッチスクリーン、容量性タッチスクリーン、圧電性タッチスクリーン、音響パルス認識、および/または任意の他のタイプのタッチスクリーンなどの、タッチパネルを含み得る。
【0021】
先に述べたように、ラッチ部材(238)は、ラッチ(190)に係合して、プローブ(102)をホルスター(202)に選択的に連結する。本実施例では、ラッチ部材(238)は、
図8に最もよく示される、プローブ(102)の間隙(192)に嵌まり、プローブ(102)がホルスター(202)上にスライドするとラッチ(190)により固定される。プローブ(102)が切り離されるべきである場合、ラッチ(190)は、ラッチ部材(238)がラッチ(190)を通り越して間隙(192)から出ることができるように、使用者により内側に押し下げられる。その後、使用者は、ホルスター(202)からプローブ(102)を切り離すことができる。
【0022】
上部カバー(210)は、近位端部(212)をさらに含み、近位端部(212)は、近位端部(212)から近位に延びる、標本ホルダー歯(214)およびペグ(216)を有する。標本ホルダー歯(214)は、以下でさらに詳細に論じるように、組織標本ホルダー(302)の回転可能なマニホールド(310)を回転させ、複数の組織標本チャンバを回転させて、カッター内腔(136)と整列させるように、動作可能である。ペグ(216)は、プローブ(102)がホルスター(202)に連結されると、パーキング歯止め(parking pawl)(不図示)を切り離すように動作可能である。標本ホルダー歯(214)、およびペグ(216)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号、および/または「Access Chamber and Markers for Biopsy Device」の名称で2011年8月8日に出願された米国非仮特許出願第13/205,189号の教示の少なくとも一部に従って、さらに構築および/または構成され得る。
【0023】
ホルスター(202)の上部カバー(210)のさらなる構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0024】
図5〜
図6は、上部カバー(210)が取り外されたホルスター(202)を描いており、ハウジング基部(260)内部に収容された構成要素(270、280、288)を示している。本実施例では、ホルスター(202)は、カッター駆動モーター(270)、標本ホルダーモーター(280)、およびコントローラ(288)を含む。本実施例では、カッター駆動モーター(270)は、ホルスターギア(272)に連結され、ホルスターギア(272)の上部は、ギア孔(250)を通って上部カバー(210)から延びている。カッター駆動モーター(270)は、以下でさらに詳細に論じるように、プローブ(102)内部でカッター作動組立体(150)に係合し、これを駆動するように動作可能である。本実施例では、カッター駆動モーター(270)は、1つまたは複数のゴムブッシュ(274)および/またはゴムガスケット(276)を備えて、カッター駆動モーター(270)から振動を隔離する。標本ホルダーモーター(280)が、標本ホルダー歯(214)に連結されており、標本ホルダー歯(214)の回転位置をコントローラ(288)に送信するように動作可能な、エンコーダ組立体(282)を含む。本実施例のコントローラ(288)は、カッター駆動モーター(270)、標本ホルダーモーター(280)、エンコーダ組立体(282)、コントロールパネル(226)、および制御モジュール(500)に電気的に連結される。コントローラ(288)は、エンコーダ組立体(282)、コントロールパネル(226)、および制御モジュール(500)からの1つまたは複数の制御信号または入力信号に応じて、カッター駆動モーター(270)および/または標本ホルダーモーター(280)に対して制御信号を出力するように動作可能である。コントローラ(288)は、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号;「Tetherless Biopsy Device with Reusable Portion」の名称で2010年12月16日に公開された米国特許出願公開第2010/0317997号;「Handheld Biopsy Device with Needle Firing」の名称で2010年11月24日に出願された米国非仮特許出願第12/953,715号;および/または「Biopsy Device with Motorized Needle Firing」の名称で2011年4月14日に出願された米国非仮特許出願第13/086,567号の教示のうちの少なくともいくつかに従ってさらに構築または構成されることができる。
【0025】
ホルスター(202)のさらなる構造および/または構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0026】
III.例示的なプローブ
図2〜
図3および
図7〜
図9は、前述したホルスター(202)に連結されるように構成された例示的なプローブ(102)を描いている。本実施例のプローブ(102)は、プローブ本体(104)、プローブ本体(104)から遠位に延びる針(110)、およびプローブ(102)の近位端部に取り外し可能に連結された組織標本ホルダー(302)を含む。本実施例のプローブ本体(104)は、シャシー部分と上部プローブカバーとに分割される、ポリカーボネートなどの、生体適合性で剛性のプラスチック材料を含むが、これは単にオプションである。実際、いくつかのバージョンでは、プローブ本体(104)は、一体的な構造のものであってよい。
図3および
図7に示すように、プローブ本体(104)は、主要部分(106)および遠位プローブ部分(120)を含む。主要部分(106)は、前述のとおり、上部カバー(210)の中間レール(240)上にスライドするように構成された中間スロット(108)を含む。本実施例のラッチ(190)は、主要部分(106)の一部として一体的に形成されるが、これは単にオプションであり、ラッチ(190)は、主要部分(106)に機械的に連結された別個の構成要素を含むことができる。
図8に最もよく示されるように、ラッチ(190)は、プローブ(102)がホルスター(202)に連結された際に間隙(192)がホルスター(202)のラッチ部材(238)を受容するように、成型される。また、第1のインジケータ(194)が、プローブ(102)をホルスター(202)に連結するために、第1の工程、プローブ(102)を側方にスライドさせること、を使用者に示すよう、主要本体(106)上に含まれている。当然、主要部分(106)および/またはラッチ(190)のさらに他の構成および/または構造は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0027】
本実施例の遠位プローブ部分(120)は、主要部分(106)から延びており、上面(122)、側面(124)、外面(126)、および前方スロット(128)を含んでいる。本実施例の上面(122)および側面(124)は、互いに実質的に垂直に形成されており、遠位プローブ部分(120)が張り出し部(222)の下で、かつ上方に延びる部分(224)に隣接して収まるように、サイズ決めされている。したがって、
図2で分かるように、側面(124)は、上方に延びる部分(224)に隣接し、上面(122)は、張り出し部(222)により囲まれる。本実施例では、上面(122)は、第2のインジケータ(123)を含み、第2のインジケータ(123)は、プローブ(102)をホルスター(202)と共に組み立てるために、第2の工程、プローブを長さ方向にスライドさせること、を使用者に指示する。本実施例の外面(126)は、プローブ(102)がホルスター(202)に連結されると、遠位プローブ部分(120)からノッチ付き上方制御ユニット(220)までの滑らかな移行を提供するように成形されるが、これは単にオプションである。
【0028】
針(110)は、
図8に示す、マニホールド(140)によりプローブ本体(104)内部に固定され、そこから遠位に延びている。針(110)は、針(110)の遠位端部(130)に連結されたブレード組立体(350)で終端している。本実施例では、針(110)は、ノッチ(114)が遠位端部に形成された卵形のチューブ(ovular tube)(112)と、インセット(116)と、を有する、卵形の2部品針(ovular two-piece needle)を含む。ノッチ(114)は、インセット(116)を受容するようなサイズであり、インセット(116)および卵形のチューブ(112)は、遠位端部(130)で同じ高さとなり、長さ方向内腔(132)および側方内腔(134)を有する、2層針(two tiered needle)を形成する。本実施例では、インセット(116)は、インセット(116)の側壁に形成された複数の開口部(119)を有する、円筒形チューブを含む。本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであるように、開口部(119)により、側方内腔(134)と長さ方向内腔(132)との間の流体連通が可能となる。針(110)は、「Needle Assembly and Blade Assembly for Biopsy Device」の名称で2011年6月1日に出願された米国非仮特許出願第13/150,950号の教示のうち少なくとも一部に従って、かつ/または、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかとなるような任意の他の構成で、さらに構築され得る。
【0029】
本実施例のマニホールド(140)は、マニホールド(140)に形成された卵形の孔の中に針(110)を受容して、針(110)を遠位プローブ部分(120)内にしっかりと固定する。本実施例は、遠位プローブ部分(120)内で針(110)を固着させるマニホールド(140)を描いているが、マニホールド(140)が、プローブ(102)内部のどこで固着されてもよいことを、理解されたい。マニホールド(140)は、マニホールド(140)を遠位プローブ部分(120)内部でしっかりと固定するために、複数の六角形タブ(142)および正方形タブ(144)をさらに含む。六角形タブ(142)は、六角形の突出部(不図示)を含み、この突出部は、六角形タブ(142)から延びており、遠位プローブ部分(120)に形成された相補的六角形状凹部に挿入されるように構成され、この六角形の突出部が延びる部分は、遠位プローブ部分(120)内部の枠組み上に載る。正方形タブ(144)は、遠位プローブ部分(120)に形成された正方形凹部に挿入される。したがって、六角形タブ(142)および正方形タブ(144)は、協働して、マニホールド(140)を遠位プローブ部分(120)内に固定する。マニホールド(140)が針(110)をプローブ本体(104)に実質的に固定し、マニホールド(140)によりもたらされる固着のため、より長い針を生検装置(100)と共に使用できることが、本実施例から理解されるべきである。当然、マニホールド(140)、六角形タブ(142)、および正方形タブ(144)は単にオプションであることを、理解されたい。ほんの一例として、六角形タブ(142)および/または正方形タブ(144)以外のタブを使用してよく、あるいは、いくつかのバージョンでは、マニホールド(140)は、遠位プローブ部分(120)と一体的に形成されてよく、タブ(142、144)は完全に省略されてよい。マニホールド(140)のさらなる構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかとなるであろう。
【0030】
図8〜
図9に示す実施例では、流体合流部材(fluid junction member)(146)が、マニホールド(140)の近位端部に連結されて、側方内腔(134)を、前述した導管(400)のうちの1つまたは複数に流体連結する。流体合流部(146)は、以下で説明するように、カッターオーバーモールド(154)の遠位シール円筒体(156)により近位端部で実質的にシールされる。カッター(152)はインセット(116)に挿入され、長さ方向内腔(132)は、カッター(152)およびカッター内腔(136)と実質的に流体連結し、これらでシールされる。したがって、インセット(116)から近位に延びる、卵形チューブ(112)の部分は、側方内腔(134)をマニホールド(140)および流体合流部材(146)に流体連結する。
図8〜
図9で分かるように、流体合流部(146)は、Y字継手を含み、Y字継手は、流体合流部(146)を入口チューブ(196)に連結し、入口チューブ(196)は、その後、前述した1つまたは複数の導管(400)に連結される。ほんの一例として、入口チューブ(196)は、側方内腔(134)を通して真空、食塩水、および/または大気を選択的に供給するために、真空源、食塩水供給源、および/または大気供給源(atmospheric source)に選択的に流体連結され得る。真空、食塩水、および/または大気のこのような選択的供給は、本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、制御モジュール(500)によって、かつ/または、他の弁組立体を通じて、制御され得る。当然、他の弁組立体および/または真空システムが、「Clutch and Valving System for Tetherless Biopsy Device」の名称で2010年12月1日に発行された米国特許第7,854,706号;「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号;および/またはその他に開示されたもののように、設けられ得る。
【0031】
前述したとおり、カッター(152)は、インセット(116)に挿入されて、カッター内腔(136)を長さ方向内腔(132)と流体連結する。カッター(152)の近位端部(168)も、以下に記載するように、組織標本ホルダーシール(180)のコネクタチューブ(182)に流体連結され、これにより、組織が長さ方向内腔(132)から組織標本ホルダー(302)内へ移動する流体通路がもたらされる。本実施例では、カッター(152)は、カッター(152)がインセット(116)内部で遠位に前進すると組織を切断するように動作可能な、磨き上げられた遠位端部を有する細長い管状部材を含む。したがって、(例えば側方内腔(134)を通して真空を与えることによって)組織が側方孔(118)内に脱出すると、カッター(152)は、カッター作動組立体(150)により前進させられて、組織を切断することができる。次に、組織標本ホルダー(302)を通して真空が加えられて、カッター内腔(136)を通して(
図2および
図7に示す)組織標本トレー(306)の標本ホルダー内へと、近位に組織を引っ張ることができる。よって、組織は、側方孔(118)に近接した場所から採取されて、組織標本ホルダー(302)内部に堆積され得る。本明細書の教示を鑑みれば当業者には明らかであるように、当然、組織は、他の場所で堆積されてもよい。
【0032】
本実施例のカッター(152)は、針(110)内部でカッター(152)を回転および並進させるように動作可能である、カッターオーバーモールド(154)を含む。本実施例では、カッターオーバーモールド(154)は、カッターオーバーモールド(154)をカッター(152)にしっかりと固定するために、カッター(152)の周りで成型されたプラスチックから形成されるが、任意の他の適切な材料を使用することができ、また、カッターオーバーモールド(154)は、任意の他の適切な構造または技術(例えば、止めねじなど)を用いて、カッター(152)に対して固定されることができる。カッターオーバーモールド(154)は、遠位シール円筒体(156)、六角形の近位端部(158)、およびこれらの間に置かれたねじ山(159)を含む。前述したとおり、遠位シール円筒体(156)は、流体合流部(146)に挿入されて、流体合流部(146)の近位端部を流体密封する。いくつかのバージョンでは、oリング(不図示)または他のガスケット(不図示)が、遠位シール円筒体(156)の周りに配されて、流体合流部(146)の近位端部を流体密封するのを助けることができる。当然、遠位シール円筒体(156)の他の構成、および/または流体合流部(146)の近位端部をシールするための構成要素は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0033】
カッターオーバーモールド(154)のねじ山(159)は、ナット部材(160)の雌ねじ(166)に係合して、これに螺入されるように構成される。本実施例では、ナット部材(160)は、プローブ(102)に対してしっかりと固定されており、カッター(152)の回転により、ねじ山(159)および雌ねじ(166)が係合されて、針(110)およびプローブ(102)に対してカッター(152)が長さ方向に前進または後退される。例えば、
図8〜
図9に示すように、ナット部材(160)は、正方形の遠位端部(162)および正方形の近位端部(164)を含み、これらはそれぞれ、ナット部材(160)をプローブ(102)に固着させ、ナット部材(160)は、プローブ(102)に対して回転または並進しない。当然、いくつかのバージョンでは、ナット部材(160)は、プローブ(102)と一体的に形成されるか、または、プローブ(102)に取り付けられてよいことを、理解されたい。ほんの一例として、ねじ山(159、166)は、2.54cm(1インチ)当たり約40〜50個のねじ山をもたらすピッチを有するように構成され得る。このようなねじ山のピッチは、組織を切断するのに理想的な、カッター(152)の回転とカッター(152)の並進との比率を提供し得る。あるいは、任意の他のねじ山ピッチを使用してもよい。ナット部材(160)のさらなる構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0034】
カッターオーバーモールド(154)はまた、プローブギア(170)を通って形成された六角形凹部(172)に挿入されてこれと係合するように構成された、六角形の近位端部(158)も含む。したがって、プローブギア(170)が回転すると、六角形の近位端部(158)が回転する。この回転により、ねじ山(159)が、ナット部材(160)の雌ねじ(166)に係合し、これにより、プローブギア(170)の回転方向に応じて近位または遠位にカッター(152)が作動される。前述したとおり、プローブギア(170)は、プローブ(102)の底部から延出しており、ホルスターギア(272)と噛み合うように構成されている。プローブ(102)がホルスター(202)に連結されると、前述したカッター駆動モーター(270)は、ねじ山(159)がナット部材(160)内部を通り抜ける際に近位または遠位に作動するようカッター(152)を駆動するように動作可能である。六角形の端部(158)は、カッター(152)およびカッターオーバーモールド(154)がプローブギア(170)に対して長さ方向に並進することができる一方で、プローブギア(170)が、カッター(152)およびカッターオーバーモールド(154)を回転させるように依然として動作可能であるように、さらに構成される。したがって、プローブギア(170)は、カッター(152)およびカッターオーバーモールド(154)が長さ方向に作動する間、ホルスターギア(272)と係合されたままである。当然、六角形の近位端部(158)および六角形凹部(172)は単にオプションであり、回転運動を伝えるために噛み合う、星状構造物(stars)、歯車(teethed gears)、正方形のもの、三角形のものなど、を含む、任意の他の相補的構成要素を含み得ることを理解されたい。
【0035】
図10に示す組織標本ホルダー(302)は、プローブ(102)の近位端部に連結され、また、カッター(152)に流体連結され、組織標本は、カッター内腔(136)を通して、組織標本トレー(306)の標本ホルダー(不図示)内へと、近位に運搬される。組織標本ホルダー(302)は、「Vacuum Timing Algorithm for Biopsy Device」の名称で2011年5月10日に発行された米国特許第7,938,786号;「Biopsy Sample Storage」の名称で2008年9月11日に公開された米国特許出願公開第2008/0221480号;「Access Chamber and Markers for Biopsy Device」の名称で2011年8月8日に出願された米国非仮特許出願第13/205,189号;「Biopsy Device Tissue Sample Holder with Bulk Chamber and Pathology Chamber」の名称で2011年8月26日に出願された米国非仮特許出願第13/218,656号;および/またはその他、の教示のうちの少なくともいくつかに従って、構築され得る。
【0036】
本実施例の組織標本ホルダー(302)は、回転可能なマニホールド(310)を収容するカバー(304)を含み、複数の組織標本トレー(306)が、回転可能なマニホールド(310)に挿入される。回転可能なマニホールド(310)は、その中を通って延び、かつ回転可能なマニホールド(310)の周りに環状に配された、複数の長さ方向チャンバを含む。したがって、各チャンバは、以下で説明するカッター(152)およびコネクタチューブ(182)と選択的に整列されることができ、組織標本は、側方孔(118)から各チャンバ内へ運搬され得る。各チャンバは、上方長さ方向トレー部分と、この上方トレー部分に平行で、かつ上方トレー部分からオフセットしている下方流体部分と、を含む。単に例示的なチャンバが、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Biopsy Sample Storage」の名称で2008年9月11日に公開された米国特許出願公開第2008/0221480号;「Access Chamber and Markers for Biopsy Device」の名称で2011年8月8日に出願された米国非仮特許出願第13/205,189号に、図示および説明されている。トレー部分は、組織標本トレー(306)の標本ホルダー(308)を受容するように構成されており、標本ホルダー(308)は、切断された組織標本をその中に受容するように構成される。組織標本トレー(306)の各標本ホルダー(308)は、組織標本を受容するように構成された空洞を形成する、床部、一対の側壁、および近位壁部、を含む。床部、側壁、および/または近位壁部は、複数の穴(不図示)を含み、流体は、各標本ホルダー(308)内から、回転可能なマニホールドに形成された対応するチャンバの下方部分へと連通され得る。下方流体部分に真空が加えられると、この真空は、標本ホルダー(308)を通り、コネクタチューブ(182)を通り、カッター(152)内へ、そして側方孔(118)へと送られる。したがって、真空が加えられると、切断された組織標本は、真空により、対応する標本ホルダー(308)内へ、近位に運搬される。当然、組織標本ホルダー(302)の他の構成は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。いくつかのバージョンでは、組織標本トレー(306)および/または標本ホルダー(308)は、組織標本の色と比べて高コントラストの色、例えば、緑、赤、青などを有し、使用者は、組織標本トレー(306)内部の組織標本の存在を視覚的に検知することができる。図示する実施例では、専用通路が、標本ホルダー(308)を受容せず、代わりに、プラグ(310)が、専用通路を選択的にシールするために設けられる。
【0037】
再び
図9を参照すると、組織標本ホルダー(302)は、組織標本ホルダーシール(180)によりカッター(152)に連結される。シール(180)は、組織標本ホルダー(302)の遠位端部をプローブ(102)の近位端部に対してシールするように構成された円筒形ディスクとして形成される近位壁部(184)を含む。ほんの一例として、近位壁部(184)は、弾性シリコンゴムディスク(resilient silicon rubber disk)を含むことができ、組織標本ホルダー(302)は、この弾性シリコンゴムディスクに押しつけられて、流体密封シールを形成することができる。いくつかのバージョンでは、近位壁部(184)は、組織標本ホルダー(302)をシール(180)に対してさらに密封するために、組織標本ホルダー(302)のリムを受容し、このリムと締まり嵌めまたは圧縮嵌め(interference or compression fit)を形成するようにサイズ決めされた環状凹部(不図示)を含み得る。本実施例の組織標本ホルダーシール(180)は、コネクタチューブ(182)も含み、コネクタチューブ(182)は、プローブ(102)内へ遠位に延びて、カッター(152)の近位端部(168)に流体連結される。コネクタチューブ(182)は、近位壁部(184)と一体的に形成され、内部通路(183)を含み、カッター(152)の近位端部(168)が、内部通路(183)に挿入される。図示する実施例では、コネクタチューブ(182)は、十分な長さ方向長さを有し、カッター(152)は、カッター作動組立体(150)により、コネクタチューブ(182)から切り離されずに、コネクタチューブ(182)内部で近位および/または遠位に作動し得る。本実施例では、コネクタチューブ(182)は、カッター(152)の近位端部(168)と流体密封するように構成される。ほんの一例として、コネクタチューブ(182)は、カッター(152)の近位端部(168)と締まり嵌めを形成するようにサイズ決めされ得る。さらに、または代わりに、コネクタチューブ(182)は、1つまたは複数の内部シール(不図示)、例えばワイパーシール、ドームシール、ドーム状ワイパーシールなど、を含んで、コネクタチューブ(182)をカッター(152)の近位端部(168)に流体連結することができる。
【0038】
シール(180)は、出口チューブ(189)に流体連結されるようにシール(180)を貫通して形成された孔(186)も含む。本実施例では、孔(186)は、コネクタチューブ(182)に平行であり、コネクタチューブ(182)からオフセットしている。孔(186)は、前述した回転可能なマニホールド(310)の対応するチャンバの下方部分と整列するように構成される。出口チューブ(198)は、第1の端部で孔(186)に挿入され、第2の端部で1つまたは複数の導管(400)に連結されて、孔(186)を1つまたは複数の導管(400)に流体連結する。例えば、出口チューブ(198)は、真空源に連結されてよく、真空は、回転可能なマニホールド(310)、カッター(152)を通って、側方孔(118)に提供される。さらに、または代わりに、出口チューブ(198)は、食塩水供給源に連結されて、カッター(152)を通じて食塩水を提供して、システムを洗い流すことができる。さらになお、出口チューブ(198)は、薬剤送達システムに連結されて、側方孔(118)から薬剤(例えば、抗炎症薬、鎮痛薬など)を供給することができる。
【0039】
また、中央開口部(187)が、シール(180)を貫通して延びており、標本ホルダーギア(188)が中央開口部(187)を通って延びることを可能にするように構成されている。いくつかのバージョンでは、中央開口部(187)は、シール(不図示)、例えば、ワイパーシール、ドームシール、ドーム状ワイパーシールなどを含んで、標本ホルダーギア(188)およびシール(180)を流体密封することができる。本実施例では、標本ホルダーギア(188)は、標本ホルダーギア(188)が回転した際に回転可能なマニホールド(310)を回転させるために、T字型の心棒などの、回転可能なマニホールド(310)の一部に係合するように構成される。前述したように、
図5〜
図6に示す標本ホルダーモーター(280)は、プローブ(102)がホルスター(202)に連結されると、標本ホルダー歯(214)と標本ホルダーギア(188)との噛み合いにより、回転可能なマニホールド(310)に係合してこれを回転させるように動作可能である。組織標本ホルダーシール(180)および/または標本ホルダーギア(188)のさらに他の構造は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0040】
IV.例示的な動作モード
前述のとおり、制御モジュール(500)のユーザーインターフェース(526)により、使用者は、いくつかの動作モードを調節して、生検装置(100)の動作を選択的に制御することができる。例示的な動作モードおよびインターフェースについては、以下でさらに詳細に説明するが、他の事柄は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。追加の例示的な動作モードおよびインターフェースは、開示が参照により本明細書に組み込まれる、「Graphical User Interface For Biopsy System Control Module」の名称で2009年5月21日に公開された米国特許出願公開第2009/0131821号、および「Icon-Based User Interface On Biopsy System Control Module」の名称で2009年5月21日に公開された米国特許出願公開第2009/0131820号に開示されている。
【0041】
図11は、選択バー(527、528、529)を含むユーザーインターフェース(526)を描いている。各選択バー(527、528、529)は、アイコン(530、534、536、540、542、546)を使用することで使用者が選択的に制御することができる、動作モードを含む。使用者は、ユーザーインターフェース(526)のスクリーンの、選択したアイコンに触れて、動作モードを調節および/または選択することができる。ユーザーインターフェース(526)上に、または遠隔的にボタンまたはスイッチを設けるといった、動作モードを調節および/または選択する、他の適切な方法は、本明細書の教示に鑑みれば、当業者には明らかであろう。選択バー(527、528、529)上のインジケータ(532、538、544)は、生検装置(100)の現在の動作モードまたは選択された動作モードを表示する。
【0042】
カッター選択バー(527)により、使用者は、カッター(120)のさまざまなシーケンスを選択することができる。カッター(120)は、最初は遠位位置にあって、側方孔(112)を閉じている。カッター(120)は、次に、近位に後退して、孔(112)の少なくとも一部を開き、組織を孔(112)内に脱出させる。組織が孔(112)に入った後、カッター(120)は、遠位位置まで前進する。カッター(120)が遠位に前進すると、カッター(120)は、孔(112)内に脱出した組織を切断し、孔(112)を閉じる。カッター(120)の動作は、使用者により変えられてよい。カッター選択バー(527)は、孔アイコン(530)、速度アイコン(534)、および孔インジケータ(532)を含む。使用者は、孔(112)が事前に選択したサイズよりも開かないように、カッター(120)で孔(112)のサイズを調節するために、孔アイコン(530)を使用することができる。比較的短い長さの組織標本を取得するため、患者の皮膚の表面に比較的近い組織標本を取得するため、または、他の目的で、カッター(120)を十分に近位に後退させないことが望ましい場合がある。使用者は、孔アイコン(530)を作動させることで、この有効な針孔(112)を調節することができる。使用者が孔アイコン(530)を作動させるたびに、生検システム(10)は、例えば制御モジュール(500)を通じて、有効な針孔(112)に対し、対応する調節を行う。このような調節は、例えば50%、75%、または100%開いた孔(112)をもたらすよう、漸増的であってよいが、他の増分も使用され得る。加えて、使用者が孔アイコン(530)を作動させるたびに、孔アイコン(530)のカッター部分が、孔アイコン(530)の針部分に対して動く。使用者に選択されるカッター(120)の最大限の近位位置を強調するために、孔アイコン(530)のカッター部分より上に、矢印が示されている。使用者に選択される有効な孔(112)のサイズをさらに示すために、テキスト表示(例えば、小さい孔(112)には「Sm」、大きい孔(112)には「Lg」、など)が含まれ得る。
【0043】
カッター(120)の速度を変えることが望ましい場合もある。使用者は、カッターが、事前に選択した速度で近位に後退し、また遠位に前進することができるように、カッター(120)の並進速度を調節するため、速度アイコン(534)を使用することができる。使用者は、速度アイコン(534)を作動させることで、カッター(120)の速度を調節することができる。使用者が速度アイコン(534)を作動させるたびに、生検システム(10)は、例えば制御モジュール(500)を通じて、カッター(120)の速度に対し、対応する調節(例えばより高い、またはより低い)を行う。このような調節は、漸増的であってよい。使用者が速度アイコン(534)を作動させるたびに、速度アイコン(534)の矢印が、ハッシュマークに対して動き、相対的なカッター(120)の速度を示すことができる。カッター(120)は、十分な量の組織が孔(112)内に脱出することができるよう、近位位置にとどまることもできる。カッター(120)が近位位置にとどまる時間は、選択されたカッター(120)の速度に基づいて調節され得る。カッター(120)の速度が増大すると、カッター(120)がとどまる時間は少なくなり得る。カッター(120)の速度が減少すると、カッター(120)がとどまる時間は増え得る。カッター(120)がとどまる時間は、使用者が速度アイコン(534)を作動させたときに、カッター(120)の速度と同時に調節されることができ、あるいは、カッター(120)がとどまる時間は、本明細書の教示に基づけば当業者に明らかとなるであろうように、異なるアイコン、ボタン、スイッチなどを使用して、カッター(120)の速度とは別に調節されることができる。
【0044】
孔インジケータ(532)は、ユーザーインターフェース(526)のスクリーン上に設けられることもできる。
図11に示すように、孔インジケータ(532)は、明るく点灯されたカッター(120)と共に針(110)の端部の表示を含む。孔インジケータ(532)は、針(110)内部におけるカッター(120)の現在位置を示すことができる。
図11に示すように、孔インジケータ(532)は、孔(112)を閉じるように完全遠位位置にあるカッター(120)を示す。カッター(120)が近位に後退すると、孔インジケータ(532)は、ユーザーインターフェース(526)上に、近位に後退しているカッター(120)を表示することができる。これにより、使用者は、実際のカッター(120)の位置およびカッター(120)の速度を見て、孔アイコン(530)および速度アイコン(534)により調節された、選択した設定が、適切に適用されていることを確実にすることができる。
【0045】
マニホールド選択バー(528)により、使用者は、組織標本ホルダー(302)についてさまざまなシーケンスを選択することができる。組織標本ホルダー(302)のマニホールド(310)は、組織標本が取得された後で回転して、使用者が次の組織標本を取得する前に見ることができるよう、その組織標本を使用者に提示するように構成され得る。単に例示的な実施例として、組織標本は、その組織標本が最初に取得されたときに12時の位置にあるマニホールド(310)のチャンバ内に引き込まれ得る。マニホールド(310)は次に、組織標本が3時の位置にくるまで回転し、これにより、使用者は、生検装置(100)の横から組織標本を容易に見ることができる。このような回転は、実質的に、組織標本がマニホールド(310)に対して引っ張られた直後に起こり得るか、または、生検システム(10)は、組織標本が取得されてからある期間(例えば2秒)以内に任意の使用者入力が行われるかどうかを確かめるために待機し、その後、使用者入力がその期間内に行われなかった場合にのみ組織標本を3時の位置まで回転させることができる。マニホールド(310)の回転位置は、何らかの他の使用者入力が提供されるまで組織標本が3時の位置に保たれるように、維持され得る。使用者は、別の組織標本を入手したいという希望を示す入力を与えることができ、生検システム(10)は、マニホールド(310)を回転させて、次の利用可能なチャンバ(例えば、直前に取得された組織標本が入っているチャンバに直接隣接したチャンバ)を整列させることができる。使用者入力を待つ代わりとして、使用者が入力を提供したかどうかにかかわらず、組織標本は、ある期間(例えば5秒間)、3時の位置に保たれてよく、マニホールド(310)は自動的に回転して、次の利用可能なチャンバをカッター(120)と整列させる。
【0046】
マニホールド選択バー(528)は、マニホールドアイコン(536)、前進アイコン(540)、およびマニホールドインジケータ(538)を含む。使用者は、取得した組織標本を見るためにマニホールド(310)の回転を調節するのにマニホールドアイコン(536)を使用することができ、マニホールド(310)は所定の位置まで回転する。生検装置(100)の使用者の向き、または、使用者が生検装置(100)に対してどこに位置するかに応じて、組織標本を見るためのさまざまな位置へマニホールド(310)を回転させるのが望ましい場合がある。使用者は、マニホールドアイコン(536)を作動させることで、標本を見るためにマニホールド(310)の回転を調節することができる。使用者がマニホールドアイコン(536)を作動させるたびに、生検システム(10)は、例えば制御モジュール(500)を通じて、マニホールド(310)の回転に対し、対応する調節を行う。このような調節は、例えば90°の増分での回転をもたらすように、漸増的であってよいが、他の増分も使用され得る。加えて、使用者がマニホールドアイコン(536)を作動させるたびに、マニホールドアイコン(536)の矢印は、マニホールド(310)を組織観察位置に位置付けるために使用者が選択した、対応する90°の増分を示すように、点灯することができる。
【0047】
取得した組織標本を運搬するための、マニホールド(310)の所定のチャンバを選択することが望ましい場合もある。使用者は、前進アイコン(540)を使用して、マニホールド(310)を、直接隣接するチャンバへと徐々に回転させることができる。使用者が前進アイコン(540)を作動させるたびに、生検システム(10)は、例えば制御モジュール(500)を通じて、マニホールド(310)の回転に、対応する調節を行う。このような調節は、マニホールド(310)の各チャンバに対応するように漸増的であってよいが、他の増分が使用されてもよい。マニホールド(310)は、例えば90°または180°の増分で、1回に(at time)2つ以上のチャンバを前進させ得る。前進アイコン(540)は、マニホールド(310)のチャンバの表示を含み、ドットが、組織標本を受容するように選択された最初のチャンバを示す。使用者が前進アイコン(540)を作動させるたびに、ドットは、時計回りまたは反時計回りに回転して、組織標本を受容するために使用者が選択したマニホールド(310)の対応するチャンバを示すことができる。
【0048】
図11に示すように、マニホールド選択バー(528)は、マニホールドインジケータ(538)を含む。マニホールドインジケータ(538)は、マニホールド(310)のチャンバの表示を含む。陰影の付いた領域は、組織標本を受容する、マニホールド(310)の現在選択されているチャンバをカバーしている。マニホールド(310)が回転すると、他のチャンバは、マニホールドインジケータ(538)上で、陰影の付いた領域の下に回転する。マニホールド(310)の各チャンバは、特定のチャンバを容易に識別できるように、マニホールド(310)上で番号を付けられてよい。したがって、組織標本を受容する、マニホールド(310)の選択されたチャンバの番号のテキスト表示は、マニホールドインジケータ(538)上で、マニホールドインジケータ(538)の中心に示され得る。
【0049】
真空選択バー(529)は、レベルアイコン(542)、除去アイコン(clear icon)(546)、およびレベルインジケータ(544)を含む。カッター(120)が遠位位置にある状態で、針(110)が患者に挿入されると、真空が、側方内腔(134)および/または長さ方向内腔(132)に加えられ得る。前述したように真空が加えられた状態で、カッター(120)は、近位に後退して孔(112)を開き、これにより、前述した真空の影響下で組織が孔(112)の中へと脱出する。カッター(120)は、組織の十分な脱出を確実にするため、ある期間にわたり後退位置にとどまることができる。カッター(120)はその後、遠位に前進してよく、カッター(120)が孔(112)を閉じ、脱出した組織は、切断され、カッター内腔(136)内部に少なくとも最初は収容される。真空が加えられ、カッター内腔(136)を通じて伝えられると、切断された組織標本は、カッター内腔(136)を通じて、マニホールド(310)の選択されたチャンバ内へと、近位に引っ張られ得る。
【0050】
サンプリングされるべき組織の特徴(堅さ、厚さなど)に応じて生検装置(100)に加えられる真空レベルを調節することが望ましい場合がある。使用者は、レベルアイコン(542)を作動させることにより、真空レベルを調節することができる。使用者がレベルアイコン(542)を作動させるたびに、生検システム(10)は、例えば制御モジュール(500)を通じて、生検装置(100)に加えられる真空の量に対し、対応する調節を行う。このような調節は、例えば、真空の量に対し、選択された量の増加もしくは減少をもたらすために、漸増的であってよいが、他の増分も使用されてよい。レベルアイコン(542)は、生検システム(10)の真空レベルを示すために、1組の上昇バー(ascending bars)を含むことができる。生検システム(10)の真空レベルを調節するため、使用者は、レベルアイコン(542)を作動させることができる。使用者がレベルアイコン(542)を作動させるたびに、生検システム(10)の真空レベルは、漸増的に増大し得る。このような漸増的な増大は、レベルアイコン(542)の1組の上昇バーの中の追加のバーを点灯させることにより、示されることができる。レベルアイコン(542)において点灯されたバーの数が、生検システム(10)の真空レベルを示すことができる。バーすべてが点灯された(例えば、これは真空レベルが最高であることを示し得る)ときに使用者がレベルアイコン(542)を作動させると、真空のレベルは、最低レベルまで大きく低減され得、1組のバーのうちの第1のバーのみが点灯される。よって、使用者は、レベルアイコン(542)を繰り返し作動させることにより、さまざまな漸増的真空レベルを繰り返すことができる。
【0051】
生検装置(100)の使用中のある時点で、生検装置(100)は、組織または他の破片でいっぱいであるというサインを示すことができる。そのようなサインは、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。そのようなとき、または他のときには、生検装置(100)の性能を改善するためにそのような組織または破片を除去できるシーケンスを開始することが望ましい場合がある。除去アイコン(546)は、そのようなシーケンスを開始するために作動され得る。使用者が除去アイコン(546)を作動させると、最大量の真空が、ある期間にわたり生検装置(100)に加えられ得る。他の適切な除去方法(例えば、カッターを前後に並進させる、食塩水を流すなど)は、本明細書の教示に基づけば、当業者には明らかであろう。
【0052】
図11に示すように、真空選択バー(529)は、レベルインジケータ(544)を含む。レベルインジケータ(544)は、生検装置(100)に加えられる実際の真空レベルを示すために、低い順になった1組のバーを含む。真空が生検装置(100)に加えられると、対応するバーが点灯されて、生検装置(100)に加えられた真空のレベルを示すことができる。各上昇バーは、真空のレベルを示しており、より高いバーの照明がより高い真空レベルに対応し、より低いバーの照明が、より低い真空レベルに対応している。したがって、実際の真空が生検装置(100)に加えられると、レベルインジケータ(544)上の1組のバーは点灯して、生検装置(100)に加えられた真空のレベルを使用者に示すことができる。他の適切な表示方法は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0053】
IV.例示的な制御
生検システム(10)を動作させるための例示的な制御が、
図12に示される。工程(700)は、生検装置(100)に真空を加えることを含む。制御モジュール(500)は、レベルアイコン(542)により事前に選択された真空レベルで側方内腔(134)および/または長さ方向内腔(132)に真空を流動的に加えるために作動され得る。工程(710)では、カッター(120)は、近位位置まで後退して、側方孔(112)の少なくとも一部を開く。カッター(120)は、速度アイコン(534)により事前選択された速度で孔アイコン(530)により事前選択された近位位置まで後退する。生検装置(100)に対し真空が生成されている間にカッター(120)は後退し得るか、または、生検装置(100)に対し所望のレベルまで真空が生成された後でカッター(120)は後退し得る。側方孔(112)が所定の位置まで開かれると、組織は、側方孔(112)内へ脱出することができる。カッター(120)は、工程(720)に示すように、近位位置にとどまり、十分な量の組織を側方孔(112)内に脱出させることができる。工程(730)は、速度アイコン(534)により事前選択された速度で、側方孔(112)を閉じるためにカッター(120)を遠位に前進させることを含む。カッター(120)が遠位に前進すると、側方孔(112)内の脱出した組織は、針(110)の内部でカッター(120)により切断される。カッター(120)は、工程(740)に示すように、組織が針(110)内部で完全に切断されるのを確実にするために、近位および遠位に振動することにより、オプションとして震える(dither)ことができる。レベルアイコン(542)により事前選択されたレベルで真空が生検装置(100)に加えられた状態で、次に、工程(750)では、切断された組織は、カッター内腔(136)を通って、側方孔(112)から組織標本ホルダー(302)まで運搬され得る。組織標本は、前進アイコン(540)によりマニホールド(310)の事前選択されたチャンバ内に堆積される。
【0054】
サイクル時間は、組織標本を採取するのに必要な時間により測定される。サイクルは、工程(700)で真空が作動されると始まり、工程(750)の後、組織標本ホルダー(302)内に組織標本が堆積すると終了する。組織標本のサイズは、組織標本を採取するサイクル時間の長さによって決まり得る。サイクル時間が長ければ、より大きな組織標本が取れ、サイクル時間が短ければ、組織標本も小さく成り得る。組織標本のサイズは、カッター(120)の並進および/または回転の速度、カッター(120)のドエルタイム、カッター(120)が実行する震えの量、生検装置(100)に加えられる真空圧力の量、側方孔(112)から組織標本ホルダー(302)まで組織を運搬する時間の長さなどといった要因による、サイクル時間によって決まり得る。他の適切な要因は、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。以下で論じるようにこのようなサイクル時間の要因を調節することで、サイクル時間および/または組織標本のサイズを最適化するのが望ましい場合がある。
【0055】
図13は、生検装置(100)に対する真空調節(vacuum regulation)の例示的な制御を描いている。
図13に示す制御は、
図13の制御が追加工程(832)を有することを除いて、
図12に示す制御と同様である。工程(832)は、カッター(120)を遠位に前進させた後で生検装置(100)に最大真空調節を適用することを含む。前述のように、使用者は、真空圧力を選択的に増大または減少させるために、制御モジュール(500)上のユーザーインターフェース(526)によって生検装置(100)への真空調節を変えることができる。使用者が、生検装置(100)への真空圧力を、利用可能な最大量の真空圧力より低く調節すると、切断された組織標本を側方孔(112)から組織標本ホルダー(302)まで運搬するのに必要な時間の長さは、生検装置(100)に加えられる真空圧力の量が低くなることに起因して、増大することができ、これによりサイクル時間が増大する。工程(832)は、カッター(120)が遠位に前進した後で生検装置(100)に最大真空圧力を加えるために、ユーザーインターフェース(526)を用いて使用者が行った真空圧力の調節を無効にする(overrides)。カッター(120)が遠位に前進した後で最大真空圧力を加えるのを待つことによって、使用者は、選択されたレベルで組織を側方孔(112)内に脱出させるために、ユーザーインターフェース(526)によって生検装置(100)への真空圧力を依然として選択的に調節することができる。工程(832)は、震える工程が実行される場合に工程(840)に示すように、カッター(120)が震えた後で実行されることもできる。
【0056】
利用可能な最大真空圧力は、制御モジュール(500)により生成され得る最大圧力と周囲圧力を比較することにより、決定され得る。周囲圧力は、制御モジュール(500)内、生検装置(100)上、または、本明細書の教示に基づけば当業者には明らかとなるような生検システム(10)上の他の適切なセンサー場所における、圧力センサーにより測定され得る。制御モジュール(500)により生成される最大圧力は、真空レベルが実質的に一定の圧力になるまで真空源(510)を十分に作動させることにより、決定され得る。制御モジュール(500)により生成される圧力も、制御モジュール(500)内、生検装置(100)上、または、当業者には明らかとなるような生検システム(10)上の他の適切な場所における、圧力センサーにより測定されることができる。圧力が所定の時間にわたり所定の範囲内に実質的にとどまる場合、圧力は実質的に一定となり得る。制御モジュール(500)により生成される圧力が実質的に一定の最大圧力に達すると、最大圧力と周囲圧力との差が、生検装置(100)に対して利用可能な最大真空圧力について決定され得る。最大真空圧力は、周囲圧力などによって変わることができる。最小量の真空圧力は、カッター内腔(136)を通して組織標本ホルダー(302)まで組織標本を運搬するのに必要な、最小量の真空圧力によって決定され得る。決定された最大真空圧力が組織標本ホルダー(302)まで組織を運搬するのに必要な最小量の真空圧力より低い場合、制御により、生検装置(100)を使用できないようにすることができる。
【0057】
生検装置(100)への真空調節の、別の例示的な制御が
図14に示される。
図14に示す制御は、
図14の制御が工程(912)に描かれるように実際の真空圧力を測定することを除いて、
図12に示す制御と同様である。実際の真空圧力は、制御モジュール(500)内、生検装置(100)上、または、本明細書の教示に基づけば当業者には明らかとなるような生検システム(10)上の他の適切なセンサー場所における、圧力センサーにより測定され得る。生検装置(100)のさまざまな要素(例えば、カッター(120)の回転および/または並進の速度、カッター(120)のドエルタイム、カッター(120)の震えの量、組織標本ホルダー(302)に組織を運搬する時間の長さなど)が、次に、測定された真空圧力に基づいて調節され得る。
【0058】
いったん真空圧力が工程(912)で測定されると、真空圧力のレベルが分類され得る。
図14に示すように、真空圧力は、相対的に低い、相対的に中間である、相対的に高いなど、3つのレベルに分類され得る。他の適切な数のレベルカテゴリー、およびカテゴリーの種類は、本明細書の教示に基づけば、当業者には明らかであろう。このカテゴリーに基づいて、生検システム(10)は、使用者が事前選択した公称設定から調節され得る。真空レベルが相対的に低いと分類された場合、工程(920)が続いて、公称時間を上回る、増大した時間にわたり、カッター(120)を休止させる(dwell)ことができる。次に、カッター(120)は、工程(930)で見られるように公称速度を下回る低い速度で、遠位に前進することができる。工程(940)は、公称サイクル量を上回る、増大したサイクル量だけ、カッター(120)を震えさせることを含む。相対的に低い真空圧力では、側方孔(112)から組織標本ホルダー(302)まで組織を運搬する時間の長さは、工程(950)に描かれるように公称運搬時間より長くなり得る。長い時間にわたりカッター(120)を休止させること、カッター(120)を低減した速度で前進させること、増大した回数だけカッター(120)を震えさせること、および、組織の運搬時間の増加を許容することにより、組織が、側方孔(112)内に十分に脱出でき、また、相対的に低い真空圧力で十分な組織標本サイズで組織ホルダー(302)に運ばれることができる。工程(920、930、940、950)のうちのいずれか1つが、相対的に低い真空圧力で所望の組織標本サイズおよびサイクル時間を最適化するために、個別に、または組み合わせて適用され得ることに注意すべきである。
【0059】
工程(912)の後で、真空圧力が相対的に公称レベルになったら、公称設定または事前選択された設定を使用することができる。カッター(120)は、工程(922)に示すように、公称時間にわたり近位位置にとどまることができる。次に、カッター(120)は、公称速度で遠位に前進し(工程(932))、公称サイクル量にわたり震える(工程(942))ことができる。組織は、公称時間内に、組織標本ホルダー(302)に運搬され得る。工程(922、932、942、952)のうちのいずれか1つが、相対的に中間の真空圧力で所望の組織標本サイズおよびサイクル時間を最適化するために、個別に、または組み合わせて適用され得ることに注目されたい。
【0060】
真空圧力が相対的に高いと分類されると、工程(924)が適用されてよく、この工程は、減少した時間にわたり、または公称カッター(120)ドエルタイムを下回る減少した時間にわたり、カッター(120)を近位位置にとどまらせることを含む。工程(934)は、公称前進速度を上回る、増大した速度で、カッター(120)を遠位に前進させることを含む。カッター(120)を震えさせるサイクルの量は、工程(944)に示すように、公称を下回って減少され得る。カッター(120)を震えさせるサイクルの量はまた、本明細書の教示に基づけば当業者には明らかとなるように、無視される(bypassed)こともできる。組織は、工程(954)で見られるように、公称を下回る、減少した時間内に側方孔(112)から組織標本ホルダー(302)まで運搬され得る。減少した時間にわたりカッター(120)を休止させること、増大した速度でカッター(120)を前進させること、カッター(120)を震えさせるサイクルを減らすこと、および、組織運搬時間の長さを減らすことにより、組織は、相対的に高い真空圧力およびより少ないサイクル時間で、十分な組織標本サイズで、側方孔(112)内に十分に脱出し、組織標本ホルダー(302)に運搬されることができる。工程(924、934、944、954)のうちのいずれか1つが、相対的に高い真空圧力で所望の組織標本サイズおよびサイクル時間を最適化するために、個別に、または組み合わせて適用され得ることに注目されたい。
【0061】
真空圧力は、工程(910)の後で、または、選択的に、
図14に示す各工程後に、測定され得る。真空圧力レベルが工程同士の間で変わる場合、真空圧力は、
図14の任意の工程後に、再分類され、各工程または選択された数の工程の後で生検装置(100)の制御を調節することができる。例示的な実施例として、真空圧力が工程(912)で測定され、相対的に高いと分類された場合、工程(924)が適用されて、増大した時間にわたり、カッター(120)を休止させることができる。工程(924)の後で真空圧力が再び測定された場合、相対的に中間であると再分類され得、工程(932)が適用されて、公称速度でカッター(120)を前進させることができる。真空圧力は、任意の選択された工程の後で測定および/または再分類され得る。他の適切なバリエーションは、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0062】
生検装置(100)の別の例示的な制御が、
図15に描かれている。
図15に示す例示的な制御は、側方孔(112)を閉じた後で最大真空調節が適用されることを除いて、
図14の例示的な制御と同様である。
図14の制御と同様に、
図15の制御では、工程(1012)で真空圧力を測定し、真空圧力のレベルを、相対的に低い、相対的に中間である、相対的に高いといった、3つのカテゴリーに分類する。他の適切な数のレベルカテゴリーおよびカテゴリーの種類が、本明細書の教示に基づけば当業者には明らかであろう。前述のとおり、真空圧力が相対的に低い場合、カッター(120)は、増大した時間にわたり、近位位置にとどまることができ(工程1020)、かつ/または、カッター(120)は、減少した速度で遠位に前進することができる(工程1030)。真空圧力が相対的に中間である場合、カッター(120)は、公称時間にわたり休止することができ(工程1022)、かつ/またはカッター(120)は、公称速度で近位に前進することができる(工程1032)。真空圧力が相対的に高い場合、カッター(120)は、減少した時間にわたり近位位置にとどまることができ(工程1024)、かつ/またはカッター(120)は、増大した速度で遠位に前進することができる(工程1034)。工程(1020、1022、1024、1030、1032、1034)のうちのいずれか1つが、所望の組織標本サイズおよびサイクル時間を最適化するために、個別に、または組み合わせて適用され得る。
【0063】
真空圧力は、工程(1010)の後、または選択的に、
図15に示す各工程の後で、測定され得る。真空圧力レベルが工程同士の間で変わる場合、真空圧力は、
図14の任意の工程の後で再分類され、各工程または選択された数の工程の後で生検装置(100)の制御を調節することができる。例示的な実施例として、真空圧力が工程(1012)で測定され、相対的に高いと分類された場合、工程(1024)が適用されて、増大した時間にわたりカッター(120)を休止させることができる。真空圧力が工程(1024)の後で再測定された場合、相対的に中間であるとして再分類され得、工程(1032)が適用されて、公称速度でカッター(120)を前進させることができる。真空圧力は、任意の選択された工程の後で測定および/または再分類され得る。他の適切なバリエーションは、本明細書の教示を鑑みれば、当業者には明らかであろう。
【0064】
いったんカッター(120)が遠位位置まで前進して側方孔(112)を閉じ、組織を切断したら、最大真空調節が、生検装置(100)に適用され得る(工程(1040))。前述のとおり、使用者は、真空圧力を選択的に増大または減少させるために制御モジュール(500)上のユーザーインターフェース(526)を調節することにより、生検装置(100)に対する真空調節を変えることができる。使用者が、生検装置(100)に対する真空圧力を、利用可能な最大量の真空圧力より低く調節した場合、切断された組織標本を側方孔(112)から組織標本ホルダー(302)まで運搬するのに必要な時間は、生検装置(100)に加えられる真空圧力の量が低減するため増大し得、よってサイクル時間が長くなる。工程(1040)は、カッター(120)が遠位に前進した後で、生検装置(100)に最大真空圧力を加えるために、ユーザーインターフェース(526)を用いて使用者が行った真空圧力調節を無効にする。最大真空圧力が生検装置(100)に加えられた状態で、カッター(120)の震えは、低減または無視され得(工程1044)、かつ/または、側方孔(112)から組織標本ホルダー(302)まで組織を運搬するための最小時間が適用され得る(工程1050)。工程(1044)および(1050)は、サイクル時間を減少させると共に、依然として所望の組織標本サイズを可能にすることができる。カッター(120)が遠位に前進した後で最大真空圧力を加えるのを待つことにより、使用者は、依然として、ユーザーインターフェース(526)により生検装置(100)に対する真空圧力を選択的に調節して、選択されたレベルで組織を側方孔(112)内に脱出させることができる。工程(1044、1050)のうちのいずれか一方が、所望の組織標本サイズおよびサイクル時間を最適化するために、個別に、または組み合わせて適用され得る。
【0065】
参照により本明細書に組み込まれると言われた任意の特許、公報、または他の開示資料は、全体として、または部分的に、組み込まれる資料が本開示に記載される既存の定義、陳述、または他の開示資料と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることが理解されるべきである。したがって、必要な範囲で、本明細書に明白に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する資料に優先する。参照により本明細書に組み込まれると言われたが、本明細書に記載される既存の定義、陳述、または他の開示資料と矛盾する、あらゆる資料またはその一部は、その組み込まれる資料と既存の開示資料との間に矛盾が生じない範囲で、組み込まれるに過ぎない。
【0066】
本発明の実施形態は、従来の内視鏡および切開手術器具(endoscopic and open surgical instrumentation)における適用、ならびにロボット支援手術における適用を有している。
【0067】
ほんの一例として、本明細書に記載した実施形態は、手術前に処理され得る。まず、新しい器具または使用済みの器具を入手し、必要であれば洗浄することができる。この器具は、次に滅菌され得る。1つの滅菌技術では、器具が、プラスチックまたはTYVEKバッグなど、閉じられ密閉された容器の中に置かれる。容器および器具は、その後、γ放射線、x線、または高エネルギー電子などの、容器を貫通できる放射線場の中に置かれ得る。放射線が、器具上および容器内の細菌を死滅させることができる。滅菌された器具は、その後、滅菌容器内に保管され得る。密閉された容器は、医療施設で開封されるまで、器具を滅菌状態に保つことができる。βもしくはγ放射線、エチレンオキシド、または蒸気を含むがこれらに限定されない、当技術分野で既知の任意の他の技術を使用して、装置を滅菌することもできる。
【0068】
本明細書に開示した装置の実施形態は、少なくとも1回使用した後で再利用のため再調整されることができる。再調整は、装置の分解ステップ、その後の、特定の部品の洗浄または置換ステップ、およびその後の再組立ステップの、任意の組み合わせを含むことができる。具体的には、本明細書に開示する装置の実施形態は、分解されてよく、装置の、任意の数の特定の部品または部分が、任意の組み合わせで、選択的に置換または除去されることができる。特定の部分が洗浄および/または置換されると、装置の実施形態は、再調整施設で、または、外科処置の直前に外科チームによって、その後使用されるように再組立され得る。当業者は、装置の再調整が、分解、洗浄/置換、および再組立のためのさまざまな技術を利用できることを認識するであろう。このような技術の利用、および結果として得られる再調整済み装置はすべて、本出願の範囲内である。
【0069】
本発明のさまざまな実施形態を図示し説明してきたが、本明細書に記載された方法およびシステムのさらなる改作物が、本発明の範囲を逸脱しない、当業者による適切な改変により達成され得る。このような潜在的な改変のいくつかには言及しており、他のものは、当業者には明らかであろう。例えば、前述した実施例、実施形態、外形、材料、寸法、比率、工程などは、例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の請求項の点で検討されるべきであり、本明細書および図面に示し説明した構造および動作の詳細に限定されないことが理解される。
【0070】
〔実施の態様〕
(1) 生検装置を含む生検システムにおいて、
前記生検装置はプローブを含み、前記プローブは、
(a)前記プローブから遠位に延びる針と、
(b)前記針に対して動くことができるカッターと、
(c)前記プローブの近位端部に取り外し可能に連結された組織標本ホルダーと、
を含み、
前記生検システムは、前記生検装置に真空を与え、前記カッターを近位位置まで後退させ、前記カッターを遠位位置まで前進させ、前記組織標本ホルダーまで標本を運搬するように、サイクルで動作可能であり、
前記生検システムは、前記生検システムの前記サイクル中に前記生検システムの前記サイクルの持続時間を調節するように構成される、生検システム。
(2) 実施態様1に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記生検装置に与えられる真空の量を測定するように動作可能である、生検システム。
(3) 実施態様2に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力を選択的に分類するように動作可能である、生検システム。
(4) 実施態様3に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力を、相対的に低い、相対的に公称である、または相対的に高いと、選択的に分類するように動作可能である、生検システム。
(5) 実施態様3に記載の生検システムにおいて、
前記カッターは、前記近位位置にとどまるように構成され、
前記生検システムは、前記カッターが測定された前記真空圧力の選択された前記カテゴリーに基づいて前記生検システムの前記サイクル中に前記近位位置にとどまるように構成される持続時間を調節するように動作可能である、生検システム。
【0071】
(6) 実施態様5に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力が相対的に低いと選択的に分類されたときに前記カッターが前記近位位置にとどまるように構成される持続時間を増大させるように動作可能であるか、あるいは、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力が相対的に高いと選択的に分類されたときに前記カッターが前記近位位置にとどまるように構成される持続時間を減少させるように動作可能である、生検システム。
(7) 実施態様3に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空圧力の選択された前記カテゴリーに基づいて、前記生検システムの前記サイクル中に前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで並進する速度を調節するように動作可能である、生検システム。
(8) 実施態様7に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力が相対的に低いと選択的に分類された場合に前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで並進する速度を低減するように動作可能であるか、あるいは、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力が相対的に高いと選択的に分類された場合に前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで並進する速度を増大させるように動作可能である、生検システム。
(9) 実施態様3に記載の生検システムにおいて、
前記カッターは、前記遠位位置まで前進した後で近位および遠位に振動するように動作可能であり、
前記生検システムは、前記真空圧力の選択された前記カテゴリーに基づいて、前記生検システムの前記サイクル中のカッター振動の量を調節するように動作可能である、生検システム。
(10) 実施態様9に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力が相対的に低いと選択的に分類された場合にカッター振動の量を増大させるように動作可能であるか、あるいは、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力が相対的に高いと選択的に分類された場合にカッター振動の量を減少させるように動作可能である、生検システム。
【0072】
(11) 実施態様9に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力が相対的に高いと選択的に分類された場合にカッター振動の量を無視するように動作可能である、生検システム。
(12) 実施態様3に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記真空圧力の選択された前記カテゴリーに基づいて、前記生検システムの前記サイクル中に前記標本を前記組織標本ホルダーまで運搬する時間を調節するように動作可能である、生検システム。
(13) 実施態様12に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力が相対的に低いと選択的に分類された場合に前記標本を前記組織標本ホルダーまで運搬する時間を増大させるように動作可能であるか、あるいは、
前記生検システムは、測定された前記真空圧力が相対的に高いと選択的に分類された場合に前記標本を前記組織標本ホルダーまで運搬する時間を減少させるように動作可能である、生検システム。
(14) 実施態様1に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで並進した後で、前記生検装置に与えられる真空の量を増大させるように動作可能である、生検システム。
(15) 実施態様14に記載の生検システムにおいて、
前記生検システムは、前記カッターが前記近位位置から前記遠位位置まで並進した後で、前記生検装置に与えられる真空の量を、最大真空量に調節するように動作可能である、生検システム。
【0073】
(16) 実施態様15に記載の生検装置において、
前記生検システムは、前記生検装置に与えられる真空を選択的に増加または減少させるように構成されたインターフェースをさらに含み、
前記生検システムは、前記真空の量が前記最大真空量に調節されると、前記インターフェースによる真空の選択された増加または減少を無効にするように動作可能である、生検装置。
(17) 生検システムを動作させる方法であって、前記生検システムは、生検装置を含み、前記生検装置は、プローブを含み、前記プローブは、前記プローブから遠位に延びる針、前記針に対して動くことができるカッター、および前記プローブの近位端部に取り外し可能に連結される組織標本ホルダーを有し、前記生検システムは、前記生検装置に真空を与えるように動作可能である、方法において、
(a)選択された量の真空を前記生検装置に加えることと、
(b)前記カッターを近位位置まで後退させることと、
(c)前記カッターを前記近位位置にとどまらせることと、
(d)前記カッターを遠位位置まで前進させることと、
(e)前記選択された量の真空を無効にするように、前記生検装置に最大真空を加えることと、
を含む、方法。
(18) 生検システムを動作させる方法であって、前記生検システムは、生検装置を含み、前記生検装置は、プローブを含み、前記プローブは、前記プローブから遠位に延びる針、前記針に対して動くことができるカッター、および前記プローブの近位端部に取り外し可能に連結される組織標本ホルダーを有し、前記生検システムは、前記生検装置に真空を与えるように動作可能である、方法において、
(a)選択された量の真空を前記生検装置に加えることと、
(b)前記カッターを近位位置まで後退させることと、
(c)前記生検装置に加えられた真空の量を測定することと、
(d)前記生検装置に加えられた真空の測定された量を分類することと、
(e)分類された前記真空の量に基づいて決定された時間にわたり、前記カッターを前記近位位置にとどまらせることと、
(f)分類された前記真空の量に基づいて決定された速度で前記カッターを遠位位置まで前進させることと、
を含む、方法。
(19) 実施態様18に記載の方法において、
前記カッターは、前記遠位位置まで前進した後で近位および遠位に振動するように構成され、
前記カッターの振動の量は、分類された前記真空の量に基づいて決定される、方法。
(20) 実施態様18に記載の方法において、
前記カッターが前記遠位位置まで前進した後で、最大量の真空を加えることをさらに含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】例示的な生検システムの概略図を描いたものである。
【
図2】例示的な生検装置の斜視図を描いたものである。
【
図3】
図2の生検装置の斜視図を描いたものであり、例示的なホルスターから切り離された例示的なプローブを示す。
【
図4】
図3のホルスターの後方斜視図を描いたものである。
【
図5】上部ハウジングカバーが省略された、
図4のホルスターの後方斜視図を描いたものである。
【
図6】
図5のホルスターの分解組立斜視図を描いたものである。
【
図7】
図3のプローブの斜視図を描いたものである。
【
図8】上部プローブカバーが省略された、
図7のプローブの上面図を描いたものである。
【
図9】
図8のプローブの分解組立斜視図を描いたものである。
【
図10】例示的な組織標本ホルダーの斜視図を描いたものである。
【
図11】
図2の生検装置のための例示的なユーザーインターフェースの正面図を描いたものである。
【
図12】
図2の生検装置のための例示的な制御のフローチャートを描いたものである。
【
図13】
図2の生検装置のための別の例示的な制御のフローチャートを描いたものである。
【
図14】
図2の生検装置のための別の例示的な制御のフローチャートを描いたものである。
【
図15】
図2の生検装置のための別の例示的な制御のフローチャートを描いたものである。