特許第6306051号(P6306051)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306051
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】足底筋膜支持システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/14 20060101AFI20180326BHJP
   A61F 5/01 20060101ALI20180326BHJP
   A61F 5/02 20060101ALI20180326BHJP
【FI】
   A61F5/14
   A61F5/01 N
   A61F5/02 N
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-551831(P2015-551831)
(86)(22)【出願日】2014年1月7日
(65)【公表番号】特表2016-501704(P2016-501704A)
(43)【公表日】2016年1月21日
(86)【国際出願番号】US2014010485
(87)【国際公開番号】WO2014110029
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2016年12月15日
(31)【優先権主張番号】61/750,278
(32)【優先日】2013年1月8日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/783,526
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100157185
【弁理士】
【氏名又は名称】吉野 亮平
(72)【発明者】
【氏名】ウィーヴァー, エドワード エル., ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】ハインズ, シェリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】グラムザ, ベス イー.
【審査官】 山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−125326(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0099317(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0283597(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/14
A61F 5/01
A61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の足底筋膜を支持するためのアセンブリであって、
着用者の足の土踏まず領域と形状適合するように付形された足底板であって、中央アーチと側方アーチとを含む波状の輪郭を有する、足底板と、
使用中に前記土踏まず領域近傍に前記足底板を保持するように適合された調節可能なストラップであって、前記足底板が収容されるポケットを含むストラップと、を含み、前記アセンブリが両足共通である、アセンブリ。
【請求項2】
前記足底板が熱可鍛性材料及び形状記憶材料の少なくとも一方を含む、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記足底板が横方向軸線を含み、前記中央アーチ及び前記側方アーチが、前記横方向軸線に沿って見たときに凸状輪郭を有し、
前記足底板が長手方向軸線を含み、前記足底板が、前記長手方向軸線に沿って見たときに凹状輪郭を有する、請求項1又は2に記載のアセンブリ。
【請求項4】
足底筋膜炎を治療するためのシステムであって、
着用者の足の土踏まず領域と形状適合するように付形された第1の足底板であって、中央アーチと側方アーチとを含む波状の輪郭を有し、かつ第1の変形抵抗性を有する、第1の足底板と、
着用者の足の前記土踏まず領域と形状適合するように付形された第2の足底板であって、中央アーチと側方アーチとを含む波状の輪郭を有し、かつ第2の変形抵抗性を有する、第2の足底板と、
着用者の足の土踏まず近傍で足底板を保持するように適合された調節可能なストラップであって、前記第1の足底板及び前記第2の足底板の少なくとも一方が収容されるポケットを含むストラップと、を含み、前記第1の抵抗性が前記第2の抵抗性よりも小さい、システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
足底筋膜炎は、足底筋膜が踵骨、つまりかかと骨の前面に付着する場所の近くで生じる、足底筋膜の炎症である。足底筋膜は、足底を長手方向に横断するように延びるにつれて幅広で薄くなり、最終的に中足骨の頭の近くで、5本の足指のそれぞれに対応する5つの突起に分かれる。体の中で最も強い靭帯である足底筋膜の目的は、足底の中でも柔軟な筋肉及び組織を損傷から保護するとともに、足の構造自体の一体性を維持するのを助けることである。筋膜が伸びる又は緊張すると、土踏まず領域に加えてかかと骨の周囲領域が柔らかくなり、腫張する。この炎症は足底筋膜炎と呼ばれ、典型的には、踵から土踏まず全体、及びアキレス腱に至る範囲の痛みを伴う。この症状を患っている患者は通常、アキレス腱緊張と呼ばれることもある比較的硬くて非可撓性の踵骨腱を有している。踵骨腱が硬いと、体重がかかっている間、足の過回内運動により足において補償が行われる。痛みは、朝起きる際及び一日の終わりに一貫してひどくなる。痛みは通常、足踵組織(heel pad)に伏在し、土踏まずの靭帯を含む場合もある。最初は痛みの兆候を無視するのが共通した傾向である。
【0002】
足底筋膜炎は、多くの場合、アキレス腱及び足底筋膜の拘縮が原因となって引き起こされ、この拘縮は、夜間睡眠時、又は日中の無活動状態のときにおこり得る。人体で最も頑強で最も厚い腱であるアキレス腱は、脚の後方側面の中央又は中央辺りで始まり、踵に向かって下方に延在し、踵骨の後面の付着点に向かって進むにつれて細くなる。個体が立っている、歩行している、走っている、又は更には足が床又は他の表面と接触している姿勢で座っているとき、当然ながら活動の性質及び激しさにもよるが、足底筋膜及びアキレス腱は共に、様々な角度に伸長される。就寝中、個体は、歩行中、起立中、又は足を床に着けた状態での着座中に標準的である位置を越えて足関節を底屈させようとする自然な傾向を有している。底屈は、足底と下腿とが90°を超える角度を形成するように足底が伸長されたとき、即ち、前足が体から離れる方向に移動したときに生じる。背屈はこれとは反対の動きであり、足が、足底と下腿とが90°未満の角度を形成する位置に動いたとき、即ち、足の甲が体に向かって移動したときに生じる。
【0003】
足底筋膜炎は体重がかかると痛みを引き起こし、踵−骨接合部の足底筋膜全体に強い圧力がかかると圧痛を引き起こす。更なる腫脹及び炎症が現れる場合がある。これらの症状は活動によって悪化する。足を伸ばす(例えば、長時間立位)又は足をバネ運動させる(例えば、ランニング及び跳躍)あらゆる活動は、症状を更に悪化させ得る。
【0004】
足底筋膜炎及びアキレス腱炎の一般的な治療法としては、夜間スプリント及び矯正インサートが挙げられる。夜間スプリントは、典型的には、患者の下腿にひもで固定されるストラップ又はブーツ状構造体、及び足関節を背屈に保持するための手段から本質的になる。そのようにすることで、足底筋膜及びアキレス腱が少しずつ伸長され、夜間に収縮できなくなる。代表的な夜間スプリントは、米国特許第5,399,155号(Strassburgら)、同第5,718,673号(Shipstead)号、及び同第7,753,864号(Beckwithら)に開示されている。
【0005】
しかしながら、名前が示唆する通り、夜間スプリントは、日中、歩行使用者が十分な動作、屈曲、又は伸長範囲を一貫して用いられないようにする。歩行使用のための第1のクラスの装置は、夜間スプリントと同様で外観はブーツ状であり、また、すねと足を90度のアラインメントに維持するか、場合によっては、足底筋膜炎を張力下に保つためにつま先を楔で留める。他の装置は、典型的には、靴の中敷きとユーザーの足との間に挿入され、ヒールパッドを提供するためにゲル及び/又は発泡体を使用して衝撃を回避し、かつ力を分散させ、足底筋膜炎に伴う痛みを意図的に緩和する。代表的な挿入可能装置は、米国特許第5,611,153号(Fisherら)及び同第6,315,786号(Smuckler)、並びに米国特許出願公開第2004/0194348(Campbellら)及び同第2010/0146816号(Cappaertら)に開示されている。更なる治療装置としては、前足と踵との間で周囲方向に適用されるパッドを有する、弾性又は非弾性の織物ラップが挙げられる。例示的なラップ装置は、米国特許第5,460,601号(Shannahan)及び同第6,886,276号(Hlavac)に開示されている。米国特許第1,538,026号(Cramer)、同第4,686,994号(Harrら)、同第8,162,868号(Llorensら)、及びCampbellらに例示されている装置のような他の装置は、足中部及び土踏まず領域に対して個別化された支持を提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に正常の覚醒時に足底筋膜炎を治療するための改善された装置に対する必要性が存在する。包括的なブーツ状の装置は、扱いにくく、嵩高であり、特定の履物との適合性がない場合がある。剛性でより嵩高な製品に関するユーザーのコンプライアンスは、それに応じて低くなる傾向がある。インサート又はラップを継続的に着用するのがユーザーにとってより容易であり得るが、そうした装置は通常、着用者が歩行する際に足底筋膜が屈曲と伸長との間で反復するのを可能にしてしまい、筋膜を張力状態下で治癒させることができない。屈曲と伸長のこの反復にさらされると、筋膜は微小断裂の悪化の影響を受けやすくなる可能性があり、場合によっては一般的な踵/足の痛みを長引かせたり又は悪化させたりすることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ユーザーに過度の不快感を引き起こすことなく足底筋膜の張力を維持する、低背の付形された足底板を提供する。足底板は両足共通(ambidextrous)であり得、左足及び右足の足底筋膜を支持するために使用され得る。本開示は更に、足底板を着用者の足に固定するためのアセンブリ、並びに足底筋膜炎及び他の踵痛の反復治療のためのシステムを提供する。前述のブーツ状製品とは異なり、本開示の足底板及び足底支持アセンブリは、履物と共に着用することができるので、コンプライアンス及び反復使用の可能性が高まる。本発明の装置/アセンブリ/システムは、典型的なゲル及び/又は発泡体製品とは異なり、的を絞ったパディング、耐衝撃性、及び筋膜の緊張を提供する。本開示の足底支持アセンブリは、足の解剖学的構造と形状適合し、かつ快適性を助長するように特に設計されているので、痛み又は不快感を和らげながら、圧力を分散し、力をより高度に分配することが可能である。本開示の支持アセンブリ及びシステムは、筋膜の短縮を防止するために屈曲を維持することによって、足底筋膜を機能的に支持する。このように姿勢を維持することにより、微小断裂及び/又は炎症が適切に治癒できるようにするのを助ける。
【0008】
足底支持システム及びアセンブリは、夜間治療用製品と併用することができ、ある特定の状況では、治療を組み合わせることで、治療の有効性を高め、着用者が足底筋膜炎に関連した痛みに苦しめられる時間枠を減少させる。
【0009】
本開示の足底支持アセンブリは、着用者の土踏まず領域の一部とぴったり合う足底板と、足底板を着用者の足底筋膜付近に保持するための調節可能なストラップと、を含む。足底板は、中央アーチサポート部曲線と側方アーチサポート部曲線とを含む波状の輪郭を有する。調節可能なストラップは、足底板を保持し、かつ着用者に更なる快適性を提供するためのポケットを含み得る。足底板は、典型的には、圧縮下において(例えば、歩行中に着用者の体重が土踏まずを圧迫する)ある程度又は一定の距離だけ変形するように設計され、体重が除去されるとその元の形状に戻るように付勢される。足底板は、全圧縮力を吸収するのではなく、土踏まずの中へと変形して戻り、足底筋膜を張力を受けた状態に維持するように設計され得る。
【0010】
本開示の足底支持システムは、調節可能なストラップと、異なる硬度及び耐荷重特性を有する2つ以上の足底板と、を含む。
【0011】
一態様では、本開示は、着用者の足底筋膜を支持するためのアセンブリであって、着用者の足の土踏まず領域と形状適合するように付形された足底板であって、中央アーチと側方アーチとを含む波状の輪郭を有する、足底板と、使用中に土踏まず領域近傍に足底板を保持するように適合された調節可能なストラップと、を含み、アセンブリが両足共通である、アセンブリを提供する。
【0012】
一態様では、本開示は、足底筋膜炎を治療するためのシステムであって、着用者の足の土踏まず近傍で足底板を保持するように適合された調節可能なストラップと、
着用者の足の土踏まず領域と形状適合するように付形された第1の足底板であって、中央アーチサポート部と側方アーチサポート部とを含む波状の輪郭を有し、かつ第1の変形抵抗性を有する、第1の足底板と、
着用者の足の土踏まず領域と形状適合するように付形された第2の足底板であって、中央アーチサポート部と側方アーチサポート部とを含む波状の輪郭を有し、かつ第2の変形抵抗性を有する、第2の足底板と、を含み、第1の抵抗性が第2の抵抗性よりも小さい、システム、を提供する。
【0013】
用語「含む(comprise)」及びこの変形は、これらの用語が現れる明細書及び請求項を制限する意図を持たない。
【0014】
用語「好ましい」及び「好ましくは」とは、特定の状況下で、特定の利益をもたらすことができる、本発明の実施形態を指す。しかしながら、同一又は他の環境下で、他の実施形態も好ましい可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の記載は、他の実施形態が有用でないことを示唆するものではなく、また、本発明の範囲から他の実施形態を排除することを意図するものでもない。
【0015】
本明細書で記載されるすべての数は、「約」なる用語によって修飾されると見なされなければならない。
【0016】
本明細書で使用するとき、「a」、「an」、「the」、「少なくとも1つの」、及び「1つ以上の」は、互換可能に使用される。したがって、例えば、「1つの(a)」突起部を含む圧力パッドは、圧力パッドが「1つ以上の」突起部を含んでいると解釈することができる。
【0017】
また本明細書において、端点による数の範囲の列挙には、その範囲内に包含される全ての数(例えば1〜5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5、など)が含まれる。
【0018】
本開示の上述の「課題を解決するための手段」は、開示された各実施形態又は本発明の全ての実施を記載しようと意図していない。以下の説明は、例示的な実施形態をより具体的に例示するものである。本出願の全体を通じていくつかの箇所で、実施例のリストによって指針が与えられるが、これらの実施例は異なる組み合わせで使用することができる。それぞれの場合において、記載されるリストはあくまで代表的な群として与えられるものであって、包括的な一覧として解釈されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本開示は図面を参照して更に説明されるが、対応する参照記号は複数の図面を通して対応する部分を示す。
図1】人の足の骨の概略を示す。
図2】本開示の一実現形態による、調節可能なストラップと足底板とを含む足底支持アセンブリの斜視図を示す。
図3図2の足底板の斜視図である。
図4図2の足底板の側面図である。
図5図2の足底板の端面図である。
図6図5の足底板の反対側の端面図である。
図7図2の足底板の平面図である。
図8】足底板を調節可能なストラップ上に保持する前の足底支持アセンブリの平面図である。
図9】着用者の足に固定された図6の支持アセンブリの断面図である。
図10】着用者の足に固定された図6の支持アセンブリの斜視図である。
図11】本開示の別の態様による足底支持アセンブリの平面図である。
図12】本開示の別の実施形態による足底板の斜視図である。
図13】種々の足底板構成の変形プロファイルのグラフ表示である。
【0020】
いくつかの描かれた実施形態にある層は、例示目的のためだけであり、いかなる要素の厚さ(相対的若しくはその他)又は位置をも絶対的に規定しようとするものではない。上で特定した図は、本発明のいくつかの実施形態を示しているが、説明において述べているように、他の実施形態も考えられる。いずれのケースでも、本開示は、限定する目的ではなく、説明する目的で本発明を提示する。本発明の原理の範囲及び趣旨に含まれる多数の他の修正及び実施形態が、当業者によって考案され得ることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、典型的な人の足24を、頚骨11の下端部と共に図解している。この図は、足の中央、つまり中央の土踏まず側の輪郭を、骨格の足の土踏まず側に見られる主な骨と共に示している。頚骨11の下にあるのは距骨13、つまり「足首の骨」である。距骨13の下方後方に位置しているのは踵骨26、つまり「かかと骨」である。距骨13の下方前方に位置しているのは、舟状骨15である。舟状骨15のすぐ後ろにあり、図1に図示していないのは、立方骨であり、この立方骨は、舟状骨15の位置と類似の位置を占めているが、足の外側にある。踵骨26と、舟状骨15及び立方骨との間の領域は、踵と足24の土踏まずとが出会う踵骨−横足根接続部28である。
【0022】
舟状骨15及び立方骨の前方には楔状骨17がある。楔状骨17から前方に延びているのは中足骨30及び指骨32である。図に示されていないが、足底筋膜は、踵骨26を、足24の土踏まず36に概ね沿って、中足骨30と指骨32との間のMTP関節34につないでいる。
【0023】
本開示の例示的な足底筋膜支持アセンブリ100が図2に示されている。支持アセンブリ100は、調節可能なストラップ110と足底板120とを含む。ストラップ110は、典型的には、着用者の足に巻き付けられて固定され得る、可撓性のベルト状装具を構成する。ストラップは、足の周囲に確実に到達するように十分に長くなくてはならず、快適な着用を可能とするために十分に幅広であることが好ましい。ストラップの幅は、加えられた力を着用者の土踏まずに沿って分配するのを助けることができ、そうすることでアセンブリは、着用者に対してしっかりとであるが快適に保持され得る。
【0024】
図の実施形態では、足ストラップ110は、足に巻き付けられて支持アセンブリを足に固定することができる、可撓性で、典型的には弾性の材料の細長い片を含む。足ストラップ110は、着用者の快適性を改善するために、可撓性かつ形状適合性であるのが好ましい。足ストラップ110は、典型的には、足に巻き付き、かつ足の背面上に固定されるのに十分なだけ長い(図8参照)。典型的な装置では、長さは約10〜約15インチ(25〜38cm)であるが、着用者の足のサイズに応じてより短い又はより長いストラップを使用できることが理解されよう。足ストラップは、典型的には、患者の足に加えられる足底板120の衝撃を和らげて不快感を回避するのに十分なだけ幅広であり、かつ十分な厚さを有する。典型的な装置では、幅は約2〜約3インチ(5〜8cm)であるが、必要に応じて、より狭い又はより広い幅を有する足ストラップを使用してもよい。足ストラップで使用するのに適した材料の例示的な例は、Rubberlite,Inc.(Huntington,West Virginia)から市販されているHypur−cel(登録商標)ファブリックである。更に好適な材料としては、ネオプレンゴム、シリコーンゴム、シリコーンフォーム、エラストマー、熱可塑性エラストマー、ポリマー材料、ウレタンフォーム、ポリエチレンテレフタレート、粘弾性材料、シリコーンゲル、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。代替実施形態では、ストラップ110は、発泡体積層体(例えば、ポリエステルの内層と、ウレタンフォームと、外部耐久性のためのナイロンジャージと、を含む、積層体)、あるいは織り木綿又はナイロンのストラップなどの、比較的非弾性の材料(例えば、張力下にて約30%以下の伸びを有する材料)を含む。
【0025】
調節可能なストラップ110は、任意の既知の閉鎖機構を用いて固定されてもよく、閉鎖機構としては、フック材料、一対にされたフックアンドループクロージャ(例えば、Velcro(登録商標)ブラントのシステム)、接着剤、バックル、スナップ式ボタン、又はスロットボタンが挙げられるが、これらに限定されない。図1に示されるように、調節可能なストラップ110は、クロージャタブ113上にフック材料を備え、このクロージャタブ113は、調節可能なストラップ110の外側表面112と解除可能に係合する。外側表面112と解除可能に係合するフック材料の使用は、フック材料を容易に着用し、容易に解除し、また、快適で効果的な着用を確実にするために支持アセンブリ100を簡単に調節することができるので、ある特定の状況では好ましい場合がある。
【0026】
調節可能なストラップ110は、ストラップ110の表面上に配設された1枚の弾性材料114によって少なくとも部分的に画定されたポケット(即ち、空洞部)115を備えている。ポケット115は、調節可能なストラップ110の内側表面111上に位置し、足底板120を受容するための開口部又はスリット115aを備えていてもよい。ポケット115は、調節可能なストラップ110上に弾性材料114を固定する、縫合、高周波溶接、又は別の方法など、様々な技術を用いて形成され得る。一実現形態では、ポケット115は、ストラップ110の内側表面111及び該内側表面と連結される1枚の弾性材料114によって画定され得る。別の実現形態では、弾性材料がポケット115を実質的に画定するように、ポケット115は取り付けられる前に作られてもよい。ポケット115の作製で使用するのに適した弾性材料としては、ネオプレンゴム、シリコーンゴム、エラストマー、熱可塑性エラストマー、ポリマー材料、ウレタン、ポリエチレンテレフタレート、粘弾性材料、シリコーンゲル、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。好適な弾性材料は、弾性、通気性であり、支持アセンブリ100が土踏まずに対して保持されたときに、着用者の快適性を向上させることができるのが好ましい。
【0027】
ポケット115は、1つ以上の足底板120を受容及び保持するように、寸法的に適合される。図1及び6に示されるように、ポケットは、足底板120と類似した幾何学的輪郭を有し、中央の外形116a及び側方の外形116bを有する。特定の実現形態では、開口部115aは、足底板120の中央アーチサポート表面(図4参照)の幅未満の幅を有する。比較的小さい開口部及び伸縮性の弾性材料は、追加の閉鎖機構を用いずに足底板120をポケット115内に保持することができるように協働し得る。
【0028】
代替実現形態では、調節可能なストラップ110はその表面上に、クリップ、レール、及び他の締結機構などの他の保持構造を備えており、この保持構造は、ストラップ110に対して足底板120を取り付ける又は実質的に取り付けるためのものである。他の実施形態では、足底板は、調節可能なストラップに接着されるか、又は織物材料で覆われて、高周波溶接(RF溶接)、縫い付け、接着剤等、及びこれらの組み合わせにより、ストラップ本体に固定されてもよい。
【0029】
調節可能なストラップは、着用者の土踏まずに対して支持アセンブリ100を位置合わせする際に着用者を支援するためのしるしを有してもよい。好適なしるしとしては、方向マーク(例えば、矢印)、色、記号、参照文字、他の表記された指示、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。しるしは、ストラップ110の内側表面111、ポケット115、又はその両方に提供され得る。例えば、ポケット115は、アセンブリが左足に着用されたときのアセンブリの所望の配向を示すための矢印及び「L」を有し得る。
【0030】
ここで図3図5を参照すると、支持アセンブリ100の足底板120は、着用者の足の一部、特に土踏まず領域の湾曲とぴったり合うように設計される。足底板120は、長手方向軸線121及び横方向軸線122を有し、長手方向軸線121は、典型的に、使用中に足の長手方向軸線(即ち、踵からつま先まで)と実質的に整列することが意図される。足底板120は、内側縁部123、近位縁部124、側方縁部125、及び遠位縁部126を含む(足底板は両足共通であり、足底板は右足又は左足の土踏まずのどちらにも着用され得るので、遠位部分及び近位部分への言及は例示のみを目的としていることに留意すべきである)。足底板120は、典型的には、(以下に記載される波状の曲線輪郭を有しているという点で)予め成形されて提供されるが、着用者の土踏まずとより緊密にぴったり合うように、本開示の特定の実現形態に従って変更することができる。
【0031】
足底板120は、着用者の土踏まずの足底面の外形に追従するように適合された波状の曲線輪郭を有し得る。したがって、足底板120は、中央アーチ127と側方アーチ128とを含み、これらはそれぞれ着用者の土踏まずの対応部分を支持するように設計される。代替実現形態では、足底板が長手方向の単一の主要な曲率半径を特徴とするように、足底板は、側方アーチ及び中央アーチのうちの一方のみを含んでいてもよい。描かれている実現形態による実施形態では、中央アーチ127及び側方アーチ128は共に、足底板120の横方向軸線122に沿って見たときに輪郭が凸状であるように、湾曲を含んでいる(図5及び図6参照)。本明細書に更に記載する方法に従って足に設置されると、凸状の湾曲により、これらアーチは、着用者の土踏まずの自然な湾曲に少なくとも近似して、足底筋膜を支持することが可能となる。
【0032】
各アーチ127、128の曲率半径は、潜在的着用者の解剖学的特徴によって異なり得るが、典型的には3〜4インチである。後述するように熱可鍛性又は形状記憶材料を含む実施形態では、曲率半径は、着用者の足のエネルギー及び下向きの圧力が加わると、着用者の土踏まずの湾曲とより緊密に一致するように有利に変化し得る。
【0033】
図4を参照すると分かるように、中央アーチ127は、足底板の基部129に対するピーク127a(即ち、頂点)において、側方アーチサポート部128の頂点高さ128bよりも大きい高さ127bを有している。高さの差は、長手方向軸線121に沿って足底板を見たときに、上面130の凹状輪郭に寄与し得る(図4参照)。複数の隆起した付形表面は、体重がかけられても圧潰することなく、足の土踏まずに対する支持を提供する。理論に束縛されるものではないが、中央及び側方の両方の支持湾曲は、屈曲又は伸長しようとするかどうかにかかわらず、足底筋膜を張力下に保ち(即ち、短縮しないように保ち)、筋膜が微小断裂及び/又は炎症から適切に治癒できるようにする。したがって、本開示の足アセンブリは、着用者が活動及び歩行している間に、有意義な治療を提供する。
【0034】
足底板120は、典型的には薄く、そのため低背が維持されて、調節可能なストラップ110のポケット114に容易に挿入でき、又は他の履物と共に着用することができる。足底板は、典型的には、少なくとも0.025インチかつ0.1インチ以内の、連続した概ね均一な厚さTを有する。いくつかの実施形態では、足底板120は、少なくとも0.04インチかつ0.06インチ以内の厚さTを有する。
【0035】
図1図5に示される実施形態では、足底板120は、踵又は前足部分を含んでおらず、典型的には、足の内側(中央)部分から外側(側方)まで延在した状態で、踵骨26と中央中足骨30との間に挟置されるような寸法とされる。例示的な足底板120は、約2.8インチの幅131、及び約2.8インチの最小長手方向長さ132を有する。例示的な足底板は、約3.15インチの中央アーチサポート部長さ133、及び約2.6インチの側方アーチサポート部長さ134を更に含む。上記寸法は、例示のみを目的として提供されたものであり、土踏まずのサイズ、足幅、及び他の着用者の特徴の様々なタイプを考慮して変更可能であることが理解されるべきである。
【0036】
図1図9に示される実現形態では、近位縁部124及び遠位縁部126は、一般に、中央アーチサポート部縁部123から側方アーチサポート部縁部125に近づくにつれて先細になっている。このテーパは湾曲を含み、近位縁部124及び遠位縁部126に凹状輪郭を形成することができる。曲率半径は、着用者の特徴に応じて異なり得るが、一般に約3〜5インチである。例示的な足底板では、近位縁部124は、約4.2インチの曲率半径を有し、遠位縁部126は、3.4インチの曲率半径を有する。ここでもまた、上記寸法は、例示のみを目的として提供されたものであり、土踏まずのサイズ、足幅、及び他の着用者の特徴の様々なタイプを考慮して変更可能であることが理解されるべきである。
【0037】
足底板120は、着用者の土踏まず又は調節可能なストラップ110に対して足底板を位置合わせする際に着用者を支援するためのしるしを有してもよい。好適なしるしとしては、方向マーク(例えば、矢印)、色、記号、参照文字、他の表記された指示、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。例えば、中央アーチは、アセンブリが左足又は右足のいずれかに着用されたときのアセンブリの所望の配向を示すための矢印及び「L」を有し得る。別の例として、足底板120は、ポケット115に対する足底板の所望の配向を示すために、側方アーチ128近傍に矢印を備えていてもよい。
【0038】
足底板120は、少なくとも半剛性のベース材料、典型的にはプラスチックを含む。ベース材料は、半剛性又は剛性のポリマー、例えば、ナイロン、ポリオキシメチレン(POM、即ち「アセタール」)、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート、ポリアミド等を含み得る。他の好適なベース材料としては、繊維性材料、コルク、木材、複合材料、及び金属が挙げられる。特定の実現形態では、ベース材料は熱可鍛性であり得る。明細書で使用するとき、熱可鍛性材料は、ガラス転移温度を上回るまで加熱され、ユーザーの足によって圧縮されると、塑性変形することができる材料である。好適な熱可鍛性材料としては、ポリカプロラトン、ポリラクチド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリグリコリド、他の熱可塑性エラストマー(例えば、DuPont(Wilmington,DE)より入手可能なHytrel(登録商標)#2)、他の熱可塑性ポリマー、前述のポリマーのコポリマー、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。そうした変形の際の着用者への外傷を防止するため、熱可鍛性材料のガラス転移温度は、典型的には45℃〜75℃である。
【0039】
特定の実現形態では、足底板120は形状記憶材料を含み得る。本明細書で使用するとき、形状記憶材料は、外部刺激又はトリガが加えられると変形状態から初期形状に戻ることができる、変形可能な材料である。トリガは、典型的には温度変化であるが、特定波長の光又は材料の構造的一体性を変更する他の手段への暴露も含み得る。特に好適な形状記憶材料としては、CRG Technologies Inc.(Dayton,Ohio)より入手可能な熱可塑性形状記憶ポリマー樹脂であるEssemplex(商標)及びVeriflex(商標)群が挙げられる。形状記憶材料の使用により、足底板120を再利用し、着用者の右の土踏まずと左の土踏まずの違い、又はユーザーの違いを考慮して変更することができるので、足アセンブリ100の耐用年数を延ばすことができる。形状記憶はまた、着用者が使用中に治療を変更するか、又は初期変形の欠点を修正するのを可能にし得る。
【0040】
特定の実現形態では、足底板120は、支持ベース材料が柔軟で可撓性の材料によって少なくとも部分的に覆われている多層構造を含む。外層に適した材料としては、熱可塑性エラストマー(TPE)、シリコーンゲル及びフォーム、ウレタンフォーム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。外材層はまた、熱可鍛性材料又は形状記憶ポリマーで作製された裏張り又は被覆を含み得る。更に、足底板120は、射出成形又は圧縮成形などの様々な技術、あるいは、複合足底板を抜き加工又は型押し加工し、足底板の表面を所望の湾曲まで曲げるといった技術の組み合わせを用いて形成され得る。
【0041】
足底板120は、典型的には、足底板が違ったふうに取り付けられているときに足底板の中心を一定の距離だけずらすのに必要な力として表わされる変形プロファイルに対する特定の抵抗性を有して設計される。足底板120はまた、加えられた力が除去された際に元の形状に戻るという点で、柔軟であるのが好ましい。変形抵抗性と、元の形状に向けた付勢力との組み合わせは、足底筋膜に対するほとんど連続的な支持を提供することができる。足底板は、全圧縮力を吸収するのではなく、土踏まずの中へと変形して戻り、足底筋膜を張力を受けた状態に維持することができる。抵抗のレベルを、とりわけ材料の選択、厚さ、及び製造方法によって変更又は制御することができることを、当業者なら理解するであろう。特に好適な足底板は、下記の変形抵抗性試験方法に従って、約0.25インチの変位において、少なくとも約5ポンド力から約20ポンド力までの変形抵抗性を有する。他の実施形態では、好適な足底板は、下記の変形抵抗性試験方法に従って、約0.25インチの変位において、少なくとも約10ポンド力から約15ポンド力までの変形抵抗性を有する。
【0042】
図6図8は、本開示の別の態様である足底筋膜を支持する方法を示す。図6に示される埋め込みでは、側方支持縁部125が開口部115aに対して位置付けられて、足底板120がポケット115に挿入される。足底板120は、典型的には、中央サポート部127が、ポケット115の中央輪郭116aと整列するまで挿入される。他の実施形態では、足底支持アセンブリ100はまた、予め組み立てられて、足底板120がストラップ110に固定されている状態で提供され得るので、着用者は足底板120を挿入する必要がない。
【0043】
足底板の長手方向軸線121は、一般に、足の長手方向軸線と整列され、中央アーチサポート部127は、右足又は左足の中央土踏まずに対して位置付けられる。足底板120が着用者の足に対して固定されたら、調節可能なストラップ110を足に周囲方向に巻き付けた後、患者の快適さに合わせてこれを引っ張る。装着者は、所望の支持が得られるまでストラップを引き締め続けることができる。締結機構(例えば、バックル、Velcro(登録商標))は、所望の張力が生じた後にストラップの外側表面と係合され得る。図8に示されるように、調節可能なストラップは、着用者の足の背面の舟状骨及び立方骨領域付近で固定されるのが好ましい。
【0044】
足底板が熱可鍛性及び/又は形状記憶ポリマーを含む場合には、支持アセンブリの施術者又はユーザーは、トリガとなる刺激(例えば、熱)を加えて、この材料の一部分をガラス転移温度を上回る温度に至らせることができる。熱又は他のトリガは、足底板120を調節可能なストラップ110に挿入する前又は挿入した後に加えることができる。選択された熱可鍛性/形状記憶材料に応じて、マイクロ波加熱炉、対流加熱炉、ホットエアガン、加温パッド、温水パン(pan of heated water)、紫外光線、又は任意の好適な加熱装置などの種々のトリガ装置を使用することができる。足底板120をガラス転移温度を上回る温度に維持した状態で、ユーザーによる下向きの圧力により足を足底板120に押し付けてもよい。あるいは、ユーザー又は施術者が足底板120を足底面に押し付けてもよい。足底板120の変形可能な表面は、ガラス転移温度を上回る力にさらされると、土踏まずの下側に実質的に対応する形状に塑性的に変形され得る。
【0045】
足底板120がガラス転移温度を下回る温度(例えば、周囲温度)に冷却されるまで、足は、ローダイ又は他の同様の足のテーピング又はストラッピング技術によって中立位置に押し付けられ、保持されてもよい。その後材料は硬化され、土踏まずの下側に実質的に対応する形状に保持される。この結果、歩行中にユーザーの足底筋膜を張力下に保ち、かつ治療的及び予防的軽減を提供するのを助けることができる、カスタマイズされた足底板120が得られる。
【0046】
本開示は、足底筋膜炎、並びに踵及び土踏まずに関連した他の痛みを治療するためのシステムを更に提供する。足底支持システム200の一実現形態は、調節可能なストラップ210と、一連の足底板220、230と、を含む。支持システム200は、異なる可撓性及び変形プロファイルに対する抵抗性を有する2つ以上の足底板220、230を含む。特定の好ましい実施形態では、システム200は3つの足底板を含む。一連の足底板のうちの少なくとも2つの足底板は、変形プロファイルに対して異なる抵抗性を有する。ある特定の状況では、全ての足底板が異なる抵抗プロファイルを有する。したがって、ユーザーは、足底板によって提供される抵抗及び支持を徐々に変更して、治療効果を経時的に徐々に増加又は減少させることができる。
【0047】
典型的には、治療は、より可撓性でかつ変形抵抗性が小さい足底板を使用して開始される。ユーザーは、足底筋膜の変化に応じて、第1の足底板を約1週間着用してもよい。次に、ユーザーは、同様の可撓性及び抵抗プロファイルを有するが、好ましくは可撓性が若干低く、かつより抵抗性である足底板に進んでもよい。ユーザーは、症状が止むか又は足底筋膜が治癒するまで、新しい足底板を使用して可撓性を徐々に減少させ、抵抗を徐々に増加させてもよい。
【0048】
ユーザーのコンプライアンスを支援するため、一連の足底板は色分けされていてもよい、即ち、色、色調、又は勾配を提示して、変形抵抗性の増加を示してもよい。一連の足底板のうち異なる足底板は、異なる色を特徴としてもよく、又は一連の足底板は変化勾配を含んでもよい。例示的なシステムでは、足底板は、変形抵抗性が増大するにつれて濃くなる青色を含む。
【0049】
それぞれが類似しているが固有の抵抗プロファイルを提供する一連の足底板を提供することにより、システムは、着用者に対して幅広い支持を提供することができる。このことは、ひいては、様々な足のサイズ及び特徴に対しても支持を提供し、適切な治療を確実にする。支持システムの手法はまた、個々の患者が、個々の足の特有の課題を考慮して、提供される支持量をそれぞれの個人的ニーズに合うように徐々に増加させるのを可能にする。
【0050】
本開示による足底板の別の実施形態が図10に示されている。足底板1000は、長手方向軸線1001及び横方向軸線1002を有し、長手方向軸線1001は、使用中に足の長手方向軸線(即ち、踵からつま先まで)と実質的に整列することが典型的には意図される。足底板120と同様に、足底板1000は両足共通であり、右又は左の土踏まずのどちらにも着用することができる。しかしながら、足底板の前述の実施形態と異なり、足底板1000は、踵部分1010と前足部分1020とを含む。足底板1000は、典型的には、(以下に記載される波状の曲線輪郭を有しているという点で)予め成形されて提供されるが、着用者の土踏まずとより緊密にぴったり合うように、本開示の特定の実現形態に従って変更することができる。
【0051】
足底板1000は、着用者の土踏まずの足底面の外形に追従するように適合された波状の曲線外形を、土踏まず領域1006内に有し得る。したがって、足底板1000は、中央アーチサポート部1007と側方アーチサポート部1008とを含む。中央アーチサポート部1007及び側方アーチサポート部1008は共に、足底板1000の横方向軸線1002に沿って見たときに輪郭が凸状であるように、湾曲を含んでいる。上述の方法に従って足に設置されると、凸状の湾曲により、これらアーチサポート表面は、着用者の土踏まずの自然な湾曲に少なくとも近似して、足底筋膜を支持することが可能となる。
【0052】
足底板1000は、典型的には、踵骨から中央中足骨まで延在する寸法とされる。足底板は更に延びていてもよいが、一般につま先の手前で終端する。指骨を支持する部分が存在しないことで、着用者の屈曲及び運動の自由度をより大きくすることができる。足底板100は、矯正インサートとして使用されて、着用者の靴下の内側又は外側に着用されてもよい。上面及び下面の少なくとも一方は、足底板1000を着用者の足に対して保持するために、3M Company(St.Paul,Minnesota)から入手可能な3M(商標)9425はがせる両面テープなどの取り外し可能な又は再付着性の接着剤を含んでいてもよい。足底板は、着用者の靴下又は着用者の靴の中敷きに付着されてもよい。あるいは、足底板1000は、弾性又は非弾性の織物ラップによって足に固定されてもよい。そのような固定の代替案は、ある特定の状況では、足底板120を着用者の足に固定するのに適している場合があることが理解されるべきである。
【0053】
実施形態
1.着用者の足底筋膜を支持するためのアセンブリであって、
着用者の足の土踏まず領域と形状適合するように付形された足底板であって、中央アーチと側方アーチとを含む波状の輪郭を有する、足底板と、
使用中に土踏まず領域近傍に足底板を保持するように適合された調節可能なストラップと、を含み、アセンブリが両足共通である、アセンブリ。
2.足底板が熱可鍛性材料を含む、実施形態1に記載のアセンブリ。
3.足底板が形状記憶材料を含む、実施形態1に記載のアセンブリ。
4.足底板が、少なくとも0.04インチかつ0.06インチ以下の連続厚みを有する、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のアセンブリ。
5.調節可能なストラップがポケットを含み、足底板が、使用中、ポケットの中に保持される、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のアセンブリ。
6.足底板が横方向軸線を含み、中央アーチ及び側方アーチが、横方向軸線に沿って見たときに凸状輪郭を有する、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のアセンブリ。
7.足底板が長手方向軸線を含み、足底板が、長手方向軸線に沿って見たときに凹状輪郭を有する、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のアセンブリ。
8.足底筋膜炎を治療するためのシステムであって、
着用者の足の土踏まず近傍で足底板を保持するように適合された調節可能なストラップと、
着用者の足の土踏まず領域と形状適合するように付形された第1の足底板であって、中央アーチと側方アーチとを含む波状の輪郭を有し、かつ第1の変形抵抗性を含む、第1の足底板と、
着用者の足の土踏まず領域と形状適合するように付形された第2の足底板であって、中央アーチと側方アーチとを含む波状の輪郭を有し、かつ第2の変形抵抗性を含む、第2の足底板と、を含み、第1の抵抗性が第2の抵抗性よりも小さい、システム。
9.第3の変形抵抗性を有する第3の足底板を含み、第3の抵抗性が第1又は第2の抵抗性よりも大きい、実施形態8に記載のシステム。
10.各足底板がその表面上にしるしを有する、実施形態8又は9に記載のシステム。
11.しるしが、色、勾配、及び方向マークからなる群から選択される、実施形態10に記載のシステム。
12.長手方向軸線と横方向軸線とを有する足底板であって、足底板が着用者の足の下側と形状適合するように付形され、かつ、中央アーチと側方アーチとを含む波状の輪郭を有し、両足共通である、足底板。
13.足底板が熱可鍛性材料を含む、実施形態12に記載の足底板。
14.足底板が形状記憶材料を含む、実施形態12又は13に記載の足底板。
15.足底板が、少なくとも0.04インチかつ0.06インチ以下の連続厚みを有する、実施形態12〜14のいずれか1つに記載の足底板。
16.足底板がプラスチックを含む、実施形態12〜15のいずれか1つに記載の足底板。
17.長手方向軸線と横方向軸線とを有する足底板であって、足底板が着用者の足の下側と形状適合するように付形され、かつ、中央アーチと側方アーチとを含む波状の輪郭を有し、両足共通である、足底板。
【0054】
本発明の目的及び利点を、以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例において列挙される特定の材料及びその量並びに他の諸条件及び詳細によって、本開示を不当に制限するものではないと解釈すべきである。
【実施例】
【0055】
試験方法
変形抵抗性
この試験は、形成された足底板を特定の距離(インチ)だけずらすのに必要な力(lbf)を求める手段である。
【0056】
サンプル足底板を、CHATILLON(登録商標)TCD225シリーズのデジタル力試験機(Ametek Corporation(Largo,Florida)より入手可能)に入れる。サンプル足底板の中心に概ね直交する方向に力を印加する。一定の距離間隔でサンプルをずらすのに必要な力を記録する。
【0057】
サンプルの調製
サンプル足底板は、(下の)表Iに列挙されている特定の材料を、図2に示された外形を提供する成形型内において射出成形することによって作製された。各足底板は、約0.04インチの連続厚みを有した。各実施例の足底板構成(F1、F2、F3、F4、F5)の3つのサンプルを、上記方法に従って試験した。
【0058】
【表1】
【0059】
Globalene HP600は、Lee Chang Yung Chemical Industry Corp(Taiwan)より入手可能なポリプロピレンホモポリマーである。
【0060】
Globalene ST751は、Lee Chang Yung Chemical Industry Corp(Taiwan)より入手可能な耐衝撃性ヘテロファジックポリプロピレン(HECO)である。
【0061】
ナイロン6は、PolyOne Corporation(Avon Lake,OH)より入手可能なポリアミドである。
【0062】
Hytrel(登録商標)#2は、DuPont(商標)(Wilmington,DE)より入手可能な熱可塑性ポリエステルエラストマーである。
【0063】
Hytrel(登録商標)#1は、DuPont(商標)(Wilmington,DE)より入手可能な熱可塑性ポリエステルエラストマーである。
【0064】
各実施例の試験結果が下の表IIに列挙されており、一定の距離だけずらすのに必要な力は3つのサンプルにわたって平均化されている。
【0065】
【表2】
【0066】
試験した各サンプルの変形プロファイルに対する完全な抵抗性を図13に示す。5つの足底板構成は全て同じ工具で製造され、かつ同じ厚さを有していたが、各材料特性は、独自の抵抗力レベル及び線形プロファイルをもたらした。
【0067】
本明細書に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示内容は、あたかもそれぞれが個々に組み込まれたのと同様に、それら全体が参照により組み込まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な改変及び変更が当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書に記載される例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではない点、また、こうした実施例及び実施形態はあくまで例示を目的として示されるにすぎないのであって、本発明の範囲は本明細書において以下に記載する「特許請求の範囲」によってのみ限定されるものである点は理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13