特許第6306102号(P6306102)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6306102
(24)【登録日】2018年3月16日
(45)【発行日】2018年4月4日
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/08 20060101AFI20180326BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20180326BHJP
   C08G 18/72 20060101ALI20180326BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20180326BHJP
   G02C 7/00 20060101ALN20180326BHJP
【FI】
   C08G18/08 038
   C08G18/38 076
   C08G18/72
   G02B1/04
   !G02C7/00
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-150635(P2016-150635)
(22)【出願日】2016年7月29日
(65)【公開番号】特開2018-16778(P2018-16778A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2017年12月1日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509333807
【氏名又は名称】ホヤ レンズ タイランド リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HOYA Lens Thailand Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
(74)【代理人】
【識別番号】100119666
【弁理士】
【氏名又は名称】平澤 賢一
(74)【代理人】
【識別番号】100149250
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】影山 幸夫
(72)【発明者】
【氏名】上坂 昌久
(72)【発明者】
【氏名】大西 智文
【審査官】 松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/027665(WO,A1)
【文献】 特開2003−105033(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01580591(EP,A1)
【文献】 特開2016−060755(JP,A)
【文献】 特開2005−121679(JP,A)
【文献】 特開平11−349658(JP,A)
【文献】 特開2000−044647(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC C08L 1/00 − 101/14
C08K 3/00 − 13/08
C08G 18/00 − 18/87
C08G 71/00 − 71/04
G02B 7/00
G02B 7/18 − 7/24
G02B 1/00 − 1/08
G02B 3/00 − 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを含有する重合性組成物を重合して得られる樹脂組成物であって、
前記重合性組成物が、20質量ppmのトルエン溶液中で550nm以上600nm以下に極大吸収波長を有する染料L及び20質量ppmのトルエン溶液中で500nm以上550nm未満に極大吸収波長を有する染料Sを含み、
前記染料Lと前記染料Sとの質量比〔染料Lの質量/染料Sの質量〕が5以上500以下である、樹脂組成物。
【請求項2】
前記染料Lと前記染料Sとの合計の添加量が、樹脂組成物中、200質量ppb以上10,000質量ppb以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記ポリイソシアネート化合物が、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタンからなる群より選ばれる一種以上である、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記ポリチオール化合物が、ビス(メルカプトメチル)ジチアン、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカンジチオール、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトアセテート)、及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)からなる群より選ばれる一種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカンジチオールが、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールの混合物である、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記重合性組成物が、紫外線吸収剤を更に含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物からなる基材を備える、眼鏡レンズ。
【請求項8】
ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを含有する重合性組成物を重合する工程を含む、樹脂組成物の製造方法であって、
前記重合性組成物が、20質量ppmのトルエン溶液中で550nm以上600nm以下に極大吸収波長を有する染料L及び20質量ppmのトルエン溶液中で500nm以上550nm未満に極大吸収波長を有する染料Sを含み、
前記染料Lと前記染料Sとの質量比〔染料Lの質量/染料Sの質量〕が5以上500以下である、樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂組成物からなる基材を備える眼鏡レンズ、及び樹脂組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック製の眼鏡レンズは、ガラス製の眼鏡レンズと比較して、軽量で衝撃耐久性に優れる。そのため、現在の眼鏡レンズ市場においては、プラスチック製の眼鏡レンズが主流となっている。
特許文献1では、添加剤や熱処理などの影響により樹脂が黄色く着色することのないレンズの製造方法として、ポリイソシアネート化合物、ポリイソチオシアネート化合物、イソシアネート基を有するイソチオシアネート化合物から選ばれた1種または2種以上のエステル化合物と、ポリオール化合物、ポリチオール化合物、ヒドロキシ基を有するチオール化合物から選ばれた1種または2種以上の活性水素化合物を反応させて得られるウレタン系レンズの製造において、特定の式で表される化合物を添加して注型重合するウレタン系レンズの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−162401号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
眼鏡レンズの製造において、重合時の熱処理の影響や、添加剤、紫外線吸収剤等の影響によって、黄色みを帯びたレンズが得られることがある。そうすると外観上、経年劣化をしているかのような印象を与えてしまうことになる。特許文献1のように、青色染料のみを添加して注型重合すると、樹脂の黄色と青色染料の青色が混ざり、レンズが緑みを帯びた色調となる。つまり、このように緑みを帯びた色調を有している場合や、黄み、又は赤みを帯びた色調を有している場合には、眼鏡レンズの装用者が、装用感が悪いと感じやすい。一方、わずかに青みを帯びた色調を有している場合には、眼鏡レンズの装用者が、装用感が良いと感じやすい。
本発明の一実施例は、わずかに青みを帯びた色調が良好な樹脂組成物、樹脂組成物からなる基材を備える眼鏡レンズ、及び樹脂組成物の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の極大吸収波長を有する染料を組み合わせて使用することで、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の〔1〕〜〔3〕に関する。
〔1〕ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを含有する重合性組成物を重合して得られる樹脂組成物であって、
上記重合性組成物が、20質量ppmのトルエン溶液中で550nm以上600nm以下に極大吸収波長を有する染料L及び20質量ppmのトルエン溶液中で500nm以上550nm未満に極大吸収波長を有する染料Sを含み、
上記染料Lと上記染料Sとの質量比〔染料Lの質量/染料Sの質量〕が5以上500以下である、樹脂組成物。
〔2〕〔1〕に記載の樹脂組成物からなる基材を備える、眼鏡レンズ。
〔3〕ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを含有する重合性組成物を重合する工程を含む、樹脂組成物の製造方法であって、
上記重合性組成物が、20質量ppmのトルエン溶液中で550nm以上600nm以下に極大吸収波長を有する染料L及び20質量ppmのトルエン溶液中で500nm以上550nm未満に極大吸収波長を有する染料Sを含み、
上記染料Lと上記染料Sとの質量比〔染料Lの質量/染料Sの質量〕が5以上500以下である、樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0006】
上述した一実施例によれば、わずかに青みを帯びた色調が良好な樹脂組成物、樹脂組成物からなる基材を備える眼鏡レンズ、及び樹脂組成物の製造方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[樹脂組成物]
一実施例の樹脂組成物は、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを含有する重合性組成物を重合して得られる樹脂組成物である。
重合性組成物は、20質量ppmのトルエン溶液中で550nm以上600nm以下に極大吸収波長を有する染料L(以下、単に「染料L」ともいう)及び20質量ppmのトルエン溶液中で500nm以上550nm未満に極大吸収波長を有する染料S(以下、単に「染料S」ともいう)を含み、染料Lと染料Sとの質量比〔染料Lの質量/染料Sの質量〕が5以上500以下である。一実施例によれば、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物、樹脂組成物からなる基材を備える眼鏡レンズ、及び樹脂組成物の製造方法が提供できる。
【0008】
<重合性組成物>
重合性組成物は、染料L、染料S、ポリイソシアネート化合物及びポリチオール化合物を含有する。
【0009】
〔染料L〕
染料Lは、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、20質量ppmのトルエン溶液中で550nm以上600nm以下に極大吸収波長を有する。当該極大吸収波長は、最大極大吸収波長であることが好ましい。なお、20質量ppmのトルエン溶液とは、トルエン溶液全体に対する溶質の割合を意味する。
また、染料Lの極大吸収波長は、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、好ましくは550nm以上、好ましくは560nm以上、好ましくは580nm以上である。そして、染料Lの極大吸収波長は、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、好ましくは600nm以下、好ましくは590nm以下である。
【0010】
染料Lとしては、例えば、C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、33、36、37、38、45、47、48、51、59、60;C.I.ディスパースバイオレット26、27、28;が挙げられる。これらの中でも、C.I.ディスパースバイオレット27、C.I.ソルベントバイオレット13、31が好ましく、重合性組成物の重合によっても安定性が高く色調の変化が少ないという観点から、C.I.ディスパースバイオレット27、C.I.ソルベントバイオレット13がより好ましく、C.I.ディスパースバイオレット27が更に好ましい。
【0011】
〔染料S〕
染料Sは、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、20質量ppmのトルエン溶液中で500nm以上550nm未満に極大吸収波長を有する。当該極大吸収波長は、最大極大吸収波長であることが好ましい。
また、染料Sの極大吸収波長は、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、好ましくは500nm以上、より好ましくは510nm以上、より好ましくは530nm以上である。そして、染料Lの極大吸収波長は、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、好ましくは545nm以下である。
【0012】
染料Sとしては、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、C.I.ソルベントレッド24、49、52、90、91、111、118、119、122、124、125、127、130、132、143、145、146、150、151、155、160、168、169、172、175、181、207、218、222、227、230、245、247;C.I.アシッドレッド73、80、91、92、97、138、151、211、274、289;が挙げられる。これらの中でも、C.I.ソルベントレッド52、146が好ましく、重合性組成物の重合によっても安定性が高く色調の変化が少ないという観点から、C.I.ソルベントレッド52がより好ましい。
【0013】
染料Lと染料Sとの質量比〔染料Lの質量/染料Sの質量〕は、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、5以上500以下である。
染料Lと染料Sとの質量比は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、より好ましくは15以上、より好ましくは20以上である。また、染料Lと染料Sとの質量比は、好ましくは500以下、より好ましくは300以下、より好ましくは200以下、より好ましくは150以下、より好ましくは100以下、より好ましくは80以下、より好ましくは60以下である。
【0014】
染料Lと染料Sとの合計の添加量は、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、樹脂組成物中、好ましくは10,000質量ppb以下、より好ましくは8,000質量ppb以下、より好ましくは6,000質量ppb以下、より好ましくは3,000質量ppb以下、より好ましくは1,500質量ppb以下、より好ましくは1,000質量ppb以下である。また、染料Lと染料Sとの合計の添加量は、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、好ましくは200質量ppb以上、より好ましくは300質量ppb以上、より好ましくは350質量ppb以上、より好ましくは400質量ppb以上である。
【0015】
〔ポリチオール化合物〕
ポリチオール化合物としては、例えば、ポリオール化合物とメルカプト基含有カルボン酸化合物とのエステル化合物、直鎖又は分岐の脂肪族ポリチオール化合物、脂環構造を有するポリチオール化合物、芳香族ポリチオール化合物等が挙げられる。
【0016】
ポリオール化合物とメルカプト基含有カルボン酸化合物とのエステル化合物において、ポリオール化合物としては、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物が挙げられ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、プロパントリオール、ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ビス(2−ヒドロキシエチル)ジスルフィド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
メルカプト基含有カルボン酸化合物としては、例えば、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸化合物、チオサリチル酸等が挙げられる。
ポリオール化合物とメルカプト基含有カルボン酸化合物とのエステル化合物としては、例えば、ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトアセテート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
【0017】
直鎖又は分岐の脂肪族ポリチオール化合物としては、例えば、1,2−エタンジチオール、1,1−プロパンジチオール、1,2−プロパンジチオール、1,3−プロパンジチオール、2,2−プロパンジチオール、1,6−ヘキサンジチオール、1,2,3−プロパントリチオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジチオール、3,4−ジメトキシブタン−1,2−ジチオール、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、1,2−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,3−ジメルカプトプロピルメチルエーテル、2,2−ビス(メルカプトメチル)−1,3−プロパンジチオール、ビス(2−メルカプトエチル)エーテル、ビス(2−メルカプトエチル)スルフィド、ビス(2−メルカプトエチル)ジスルフィド、ビス[(2−メルカプトエチル)チオ]−3−メルカプトプロパン、ビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカンジチオール等が挙げられる。
【0018】
脂環構造を有するポリチオール化合物としては、例えば、1,1−シクロヘキサンジチオール、1,2−シクロヘキサンジチオール、メチルシクロヘキサンジチオール、ビス(メルカプトメチル)シクロヘキサン、ビス(メルカプトメチル)ジチアン等が挙げられる。
【0019】
芳香族ポリチオール化合物としては、例えば、ジメルカプトベンゼン、ビス(メルカプトメチル)ベンゼン、ビス(メルカプトエチル)ベンゼン、トリメルカプトベンゼン、トリス(メルカプトメチル)ベンゼン、トリス(メルカプトエチル)ベンゼン、ジメルカプトビフェニル、4,4’−ジメルカプトビベンジル、2,5−トルエンジチオール、ナフタレンジチオール、2,4−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、4,5−ジメチルベンゼン−1,3−ジチオール、9,10−アントラセンジメタンチオール、1,3−ジ(p−メトキシフェニル)プロパン−2,2−ジチオール、1,3−ジフェニルプロパン−2,2−ジチオール、フェニルメタン−1,1−ジチオール、2,4−ジ(p−メルカプトフェニル)ペンタン等の芳香族ポリチオール化合物が挙げられる。
これらのポリチオール化合物の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0020】
ポリチオール化合物は、好ましくは、ビス(メルカプトメチル)ジチアン、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパン、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカンジチオール、トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2−メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2−メルカプトアセテート)、及びジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)からなる群より選ばれる一種以上であり、より好ましくは、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカンジチオール、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパンからなる群より選ばれる一種以上である。
なお、ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカンジチオールは、好ましくは、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールの混合物である。
【0021】
ポリチオール化合物は、光路長10mmでの透過光測定において、L表色系におけるb値が、0.5以上10.0以下であってもよい。
本製造方法においては、比較的b*値が高いポリチオール化合物を用いたとしても、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得ることができる。
ポリチオール化合物のb値は、0.8以上であってもよく、1.0以上であってもよく、1.5以上であってもよく、2.0以上であってもよい。
ポリチオール化合物のb値は、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、好ましくは8.0以下、より好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下である。
【0022】
〔ポリイソシアネート化合物〕
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート化合物、脂環式ポリイソシアネート化合物、直鎖又は分岐鎖の脂肪族ポリイソシアネート化合物が挙げられる。
【0023】
芳香族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ジイソシアナトベンゼン、2,4−ジイソシアナトトルエン、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピルフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(2−メチルフェニルイソシアネート)、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチルフェニル)エーテル、2−イソシアナトフェニル−4−イソシアナトフェニルスルフィド、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルフィド、ビス(4−イソシアナトメチルフェニル)スルフィド、ビス(4−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(2−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メチル−6−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4−メチル−5−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(3−メトキシ−4−イソシアナトフェニル)ジスルフィド、ビス(4−メトキシ−3−イソシアナトフェニル)ジスルフィド等が挙げられる。
【0024】
脂環式ポリイソシアネート化合物としては、ジイソシアナトシクロヘキサン、イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタン、2,5−ジイソシアナト−1,4−ジチアン、2,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,4−ジチアン、4,5−ジイソシアナト−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−1,3−ジチオラン、4,5−ビス(イソシアナトメチル)−2−メチル−1,3−ジチオラン等が挙げられる。
【0025】
直鎖又は分岐の脂肪族ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)スルフィド、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)スルホン、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアネート−2−イソシアナトメチル−3−ペンタン、1,2,3−トリス(イソシアナトメチルチオ)プロパン、1,2,3−トリス(イソシアナトエチルチオ)プロパン、3,5−ジチア−1,2,6,7−ヘプタンテトライソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチル−3,5−ジチア−1,7−ヘプタンジイソシネート、2,5−ジイソシアネートメチルチオフェン、4−イソシアナトエチルチオ−2,6−ジチア−1,8−オクタンジイソシアネート、1,2−ジイソチオシアナトエタン、1,6−ジイソチオシアナトヘキサンが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物は、1種又は2種以上を使用してもよい。
【0026】
ポリイソシアネート化合物は、好ましくは、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及びビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタンからなる群より選ばれる一種以上であり、より好ましくは、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタンからなる群より選ばれる一種以上である。
【0027】
ポリチオール化合物とポリイソシアネート化合物との組合せの好適例としては、
(1)キシリレンジイソシアネート、及び、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールの混合物、
(2)ビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタン、及び、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、
(3)ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、及び、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールの混合物、
が挙げられる。
【0028】
ポリイソシアネート化合物とポリチオール混合物との配合割合は、イソシアネート基/メルカプト基のモル比が、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.80以上、より好ましくは0.95以上である。当該モル比は、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.20以下、更に好ましくは1.05以下である。
【0029】
〔その他の成分〕
染料L、染料S、ポリイソシアネート化合物、及びポリチオール化合物の他、紫外線吸収剤、重合触媒、離型剤、抗酸化剤、着色防止剤、蛍光増白剤等の各種添加剤を配合してもよい。
上記各種成分を通常の方法により混合することで、重合性組成物が得られる。
【0030】
(紫外線吸収剤)
紫外線吸収剤は、好ましくは、クロロホルム溶液中において、345nm以上の極大吸収波長を有する。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホニックアシッド、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン及び2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−tert−オクチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール及び2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物が挙げられる。これらは、1種を単独で、又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
紫外線吸収剤の添加量は、ポリチオール化合物及びポリイソシアネート化合物の合計量100質量部に対し、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.1質量部以上、更に好ましくは0.3質量部以上、更に好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは0.8質量部以上であり、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部以下、より好ましくは2質量部以下、更に好ましくは1質量部以下である。
【0031】
(重合触媒)
重合触媒は、好ましくは有機スズ化合物であり、より好ましくはアルキルスズハライド化合物又アルキルスズ化合物である。
アルキルスズハライド化合物としては、例えば、ジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジクロライド、モノメチルスズトリクロライド、トリメチルスズクロライド、トリブチルスズクロライド、トリブチルスズフロライド、ジメチルスズジブロマイド等が挙げられる。
アルキルスズ化合物としては、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート等が挙げられる。
これらの中でも、ジブチルスズジクロライド、ジメチルスズジクロライド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレートが好ましい。
重合触媒の添加量は、ポリチオール化合物及びポリイソシアネート化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.005質量部以上であり、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.1質量部以下である。
【0032】
(離型剤)
離型剤としては、例えば、イソプロピルアシッドフォスフェート、ブチルアシッドフォスフェート、オクチルアシッドフォスフェート、ノニルアシッドフォスフェート、デシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、イソデシルアシッドフォスフェート、トリデシルアシッドフォスフェート、ステアリルアシッドフォスフェート、プロピルフェニルアシッドフォスフェート、ブチルフェニルアシッドフォスフェート、ブトキシエチルアシッドフォスフェートなどのリン酸エステル化合物等が挙げられる。リン酸エステル化合物は、リン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物のいずれであってもよいが、リン酸モノエステル化合物、及びリン酸ジエステル化合物の混合物が好ましい。
離型剤の添加量は、ポリチオール化合物及びポリイソシアネート化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上であり、好ましくは1.00質量部以下、好ましくは0.50質量部以下である。
【0033】
重合性組成物は、染料L及び染料S未添加の状態で、光路長10mmでの透過光測定において、L表色系におけるb値が、0.5以上10.0以下であってもよい。
本製造方法においては、比較的b*値が高い重合性組成物を用いたとしても、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得ることができる。
重合性組成物のb値は、染料L及び染料S未添加の状態で、0.8以上であってもよく、1.0以上であってもよく、1.5以上であってもよく、2.0以上であってもよく、3.0以上であってもよい。
重合性組成物のb値は、染料L及び染料S未添加の状態で、わずかに青みを帯びた良好な色調の樹脂組成物を得る観点から、好ましくは8.0以下、より好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下である。
【0034】
[樹脂組成物]
樹脂組成物は、上述の重合性組成物を重合して得られる。
樹脂組成物は、好ましくは光学部材である。
光学部材としては、眼鏡レンズ、カメラレンズ、プリズム、光ファイバ、光ディスク若しくは磁気ディスク等に用いられる記録媒体用基板、コンピュータのディスプレイに付設する光学フィルタ等が挙げられる。これらの中でも、眼鏡レンズが好ましく、眼鏡レンズの基材がより好ましい。
光学部材が眼鏡レンズである場合、重合は、注型重合法であることが好ましい。眼鏡レンズは、例えば、重合性組成物を、ガラス又は金属製のモールドと、テープ又はガスケットとを組み合わせたモールド型に注入して重合を行うことで得られる。
【0035】
樹脂組成物の製造方法は、好ましくは上述の重合性組成物を重合する工程を有する。
重合条件は、重合性組成物に応じて、適宜設定することができる。
重合開始温度は、好ましくは0℃以上、より好ましくは10℃以上であり、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下である。重合開始温度から昇温し、その後、加熱して硬化形成することが好ましい。例えば、昇温最高温度は、通常110℃以上130℃以下である。
重合終了後、眼鏡レンズを離型して、アニール処理を行ってもよい。アニール処理の温度は、好ましくは100〜150℃である。
【0036】
[眼鏡レンズ]
眼鏡レンズの表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等のいずれであってもよい。
眼鏡レンズは、単焦点レンズ、多焦点レンズ、累進屈折力レンズ等のいずれであってもよい。例えば、一例として、累進屈折力レンズについては、通常、近用部領域(近用部)及び累進部領域(中間領域)が、下方領域に含まれ、遠用部領域(遠用部)が上方領域に含まれる。
眼鏡レンズは、フィニッシュ型眼鏡レンズであってもセミフィニッシュ型眼鏡レンズであってもよい。
【0037】
眼鏡レンズ(基材)の厚さ及び直径は、特に限定されるものではないが、厚さは通常1mm以上30mm以下、直径は通常50mm以上100mm以下である。
眼鏡レンズの屈折率neは、好ましくは1.53以上、より好ましくは1.55以上、より好ましくは1.58以上、更に好ましくは1.60以上であり、そして、好ましくは1.80以下、より好ましくは1.70以下、更に好ましくは1.67以下である。
【0038】
本発明の眼鏡レンズは、上述の樹脂組成物からなる基材を備える。
眼鏡レンズは、更に、ハードコート層、プライマー層、反射防止膜及び撥水膜からなる群より選ばれる一種以上が挙げられる。
【0039】
ハードコート層は、耐擦傷性向上のために設けられ、好ましくは有機ケイ素化合物、酸化スズ、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の微粒子状無機物等を有するコーティング液を塗工して形成することができる。
プライマー層は、耐衝撃性を向上させるために設けられ、例えば、ポリウレタンを主成分とする。ここでポリウレタンの含有量は、プライマー層中、好ましくは50質量%以上である。
反射防止膜としては、酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化タンタル等を積層した膜が挙げられる。
撥水膜としては、フッ素原子を有する有機ケイ素化合物を用いて形成することができる。
【0040】
眼鏡レンズの視感透過率は、好ましくは83%以上、より好ましくは85%以上、更に好ましくは88%以上である。眼鏡レンズの視感透過率は、100%以下であり、好ましくは99%以下、より好ましくは98%以下である。視感透過率の測定方法は、JIS T 7333:2005に記載の方法による。
【0041】
本発明は、上記各成分の例、含有量、各種物性については、発明の詳細な説明に例示又は好ましい範囲として記載された事項を任意に組み合わせてもよい。
また、実施例に記載した組成に対し、発明の詳細な説明に記載した組成に調整を行えば、クレームした組成範囲全域にわたって実施例と同様に発明を実施することができる。
【実施例】
【0042】
以下、具体的な実施例を示すが、本特許請求の範囲は、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の記載において「部」は「質量部」を意味する。
各種数値の測定及び評価は以下の方法により行った。
【0043】
[測定方法]
〔b値〕
チオール化合物、重合性組成物のL表色系におけるb値は、(株)日立製作所製分光光度計U−3500を用いて下記の条件で測定を行った。
試料:無希釈
測定モード:透過率
光路長:10mm
【0044】
〔最大極大吸収波長(λmax)〕
染料の最大極大吸収波長(λmax)は、(株)日立製作所製分光光度計U−3500を用いて下記の条件で測定を行った。
試料:トルエン溶液(染料の含有量:20質量ppm)
測定モード:透過率
光路長:10mm
【0045】
〔レンズ色調評価〕
目視にて外観を確認した。
色調の評価は、「赤み(明るさ)黄み」の基準で表記し、以下の基準で行った。
「明るさ」は、無色透明に近いわずかに青みを帯びた視感透過率88%の眼鏡レンズを「5」、視感透過率80%の着色眼鏡レンズを「1」として、目視にて、明るさを標記した。
「赤み」は、赤色に観察されたとき「+++」、赤紫色に観察されたとき「++」、青紫色に観察されたとき「+」とした。
「黄み」は、黄色に観察されたとき「+++」、やや黄色に観察されたとき「++」、わずかに黄色に観察されたとき「+」とした。
明るさ: 薄い 5・4・3・2・1 濃い
赤み: 強い +++ ・ ++ ・ + 弱い
黄み: 強い +++ ・ ++ ・ + 弱い
赤み及び黄みが無表示の場合、青色の色調を有することを意味する。
なお、参考のため、表中には、目視により確認される色を標記した。
【0046】
[実施例1]
(マスターバッチ溶液の製造)
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し、0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.0025部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。
ディスパースバイオレット27の20質量ppmのトルエン溶液における最大極大吸収波長は586nmであった。
ソルベントレッド52の20質量ppmのトルエン溶液における最大極大吸収波長は543nmであった。
(眼鏡レンズの製造)
キシリレンジイソシアナート50.52部、触媒としてジメチルスズジクロライド0.01部、離型剤として酸性リン酸エステル(城北化学工業(株)製JP−506H)0.10部、紫外線吸収剤(シプロ化成(株)製シーソーブ701、吸収波長:340nm)0.5部を混合し、溶解させた。
つづいて、マスターバッチ溶液0.08部を加え、撹拌、溶解した。
さらに、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールの混合物T1 49.40部を添加混合し、混合均一液とした。混合物T1のb値は2.5であった。混合均一液の組成を表1に示した。
この混合均一液を200Paの減圧下にて1時間脱泡を行った後、5.0μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過を行った。つづいて、直径75mm、−4.00Dのガラスモールドとテープからなるレンズ用モールド型へ注入した。このモールド型を電気炉へ投入し、15℃から120℃まで20時間かけて徐々に昇温し、2時間保持した。重合終了後、電気炉からモールド型を取り出し、離型して眼鏡レンズを得た。得られたレンズをさらに120℃で3時間アニールを行った。得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0047】
[実施例2]
実施例1においてキシリレンジイソシアナート50.56部へ変更し、マスターバッチ溶液を0.04部へ変更した以外は実施例1と同様にレンズを作製した。混合均一液の組成を表1に示した。得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0048】
[実施例3]
(マスターバッチ溶液の製造)
ビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタン100.0部に対し0.100部のディスパースバイオレット27、及び0.002部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。
(眼鏡レンズの製造)
ビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタン50.55部、触媒としてジメチルスズジクロライド0.05部、離型剤として酸性リン酸エステル(城北化学工業(株)製JP−506H)0.15部、紫外線吸収剤(シプロ化成(株)製 シーソーブ701)1.00部を混合、溶解させた。
つづいて、マスターバッチ溶液を0.05部を加え、撹拌、溶解した。
さらに、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)23.90部とビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパン25.50部を添加混合し、混合均一液とした。混合均一液の組成を表1に示した。
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)とビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパンの混合液のb値は2.4であった。
この混合均一液を200Paの減圧下にて1時間脱泡を行った後、5.0μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過を行った。つづいて直径75mm、−4.00Dのガラスモールドとテープからなるレンズ用モールド型へ注入した。このモールド型を電気炉へ投入し、15℃から120℃まで20時間かけて徐々に昇温し、2時間保持した。重合終了後、電気炉からモールド型を取り出し、離型して眼鏡レンズを得た。得られた眼鏡レンズをさらに120℃で3時間アニールを行った。得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0049】
[実施例4]
マスターバッチ溶液の処方を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し0.1000部のソルベントバイオレット31、及び0.0010部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。混合均一液の組成を表1に示した。
ソルベントバイオレット31の20質量ppmのトルエン溶液の最大極大吸収波長は555nmであった。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0050】
[実施例5]
マスターバッチ溶液の処方を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.00125部のソルベントレッド146を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。混合均一液の組成を表1に示した。
ソルベントレッド146の20質量ppmのトルエン溶液の最大極大吸収波長は515nmであった。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0051】
[実施例6]
実施例3において紫外線吸収剤を(シプロ化成(株)製 シーソーブ703、最大極大吸収波長:353nm)1.0部へ変更し、ビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタンを50.10部へ変更し、マスターバッチ溶液を0.50部へ変更した以外は実施例3と同様に眼鏡レンズを作製した。混合均一液の組成を表1に示した。
ただし、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)とビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパンの混合液のb値は0.7であった。
染料L及び染料S未添加の重合性組成物のb値は6.8であった。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0052】
[実施例7]
キシリレンジイソシアナート50.50部へ変更し、マスターバッチ溶液を0.10部へ変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0053】
[実施例8]
マスターバッチ溶液の処方等を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.0200部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。
マスターバッチ溶液0.08部から、0.05部へと変更し、キシリレンジイソシアネート50.52部から、50.55部へと変更した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0054】
[実施例9]
マスターバッチ溶液の処方等を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.0100部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。
マスターバッチ溶液0.08部から、0.05部へと変更し、キシリレンジイソシアネート50.52部から、50.55部へと変更した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0055】
[実施例10]
紫外線吸収剤として(シプロ化成(株)製シーソーブ707、吸収波長:345nm)0.45部を使用した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0056】
[実施例11]
(マスターバッチ溶液の製造)
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100.0部に対し、0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.0025部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。
(眼鏡レンズの製造)
ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート58.82部、触媒としてジメチルスズジクロライド0.10部、離型剤として酸性リン酸エステル(城北化学工業(株)製JP−506H)0.10部、紫外線吸収剤(シプロ化成(株)製シーソーブ707、吸収波長:345nm)1.00部を混合し、溶解させた。
つづいて、マスターバッチ溶液0.08部を加え、撹拌、溶解した。
さらに、4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールの混合物T1 41.10部を添加混合し、混合均一液とした。混合均一液の組成を表1に示した。上記混合物T1のb値は2.5であった。
この混合均一液を200Paの減圧下にて1時間脱泡を行った後、5.0μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)フィルターにて濾過を行った。つづいて、直径75mm、−4.00Dのガラスモールドとテープからなるレンズ用モールド型へ注入した。このモールド型を電気炉へ投入し、15℃から120℃まで20時間かけて徐々に昇温し、2時間保持した。重合終了後、電気炉からモールド型を取り出し、離型して眼鏡レンズを得た。得られたレンズをさらに120℃で3時間アニールを行った。得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0057】
[実施例12]
(マスターバッチ溶液の製造)
マスターバッチ溶液の処方等を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し、0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.0025部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。
マスターバッチ溶液0.08部から、0.02部へと変更し、キシリレンジイソシアネート50.52部から、50.58部へと変更した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0058】
[実施例13]
(マスターバッチ溶液の製造)
マスターバッチ溶液の処方等を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し、0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.0020部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。
マスターバッチ溶液0.08部から、0.80部へと変更し、キシリレンジイソシアネート50.52部から、49.8部へと変更した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0059】
[実施例14]
(マスターバッチ溶液の製造)
マスターバッチ溶液の処方等を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し、0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.0002部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0060】
[実施例15]
(マスターバッチ溶液の製造)
マスターバッチ溶液の処方等を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し、0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.0005部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0061】
[実施例16]
(マスターバッチ溶液の製造)
マスターバッチ溶液の処方等を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し、0.1000部のディスパースバイオレット27、及び0.0031部のソルベントレッド52を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。
マスターバッチ溶液を0.08部から、0.96部へと変更し、キシリレンジイソシアネートを50.52部から、49.64部へと変更した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0062】
[実施例17]
(マスターバッチ溶液の製造)
マスターバッチ溶液の処方等を下記に変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。
キシリレンジイソシアネート100.0部に対し、0.1000部のソルベントバイオレット31、及び0.0025部のソルベントレッド146を添加し、撹拌、溶解し、マスターバッチ溶液を得た。
マスターバッチ溶液0.08部から、0.06部へと変更し、キシリレンジイソシアネート50.52部から、50.54部へと変更した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0063】
[比較例1]
ディスパースバイオレット27をソルベントバイオレット13へ変更し、ソルベントレッド52を使用しなかった以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。混合均一液の組成を表1に示した。
ソルベントバイオレット13の20質量ppmのトルエン溶液における最大極大吸収波長は585nmであった。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0064】
[比較例2]
ソルベントレッド52を0.025部へ変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0065】
[比較例3]
ディスパースバイオレット27をソルベントブルー97へ変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。混合均一液の組成を表1に示した。
ソルベントブルー97の20質量ppmのトルエン溶液の最大極大吸収波長は630nmであった。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0066】
[比較例4]
ディスパースバイオレット27を添加せず、ソルベントレッド52を0.1025部へ変更した以外は実施例1と同様に眼鏡レンズを作製した。混合均一液の組成を表1に示した。
得られた眼鏡レンズの外観評価を行い、その結果を表2に示した。
【0067】
【表1】
【0068】
表1中の注釈及び略語は以下のとおりである。
*1 光学材料に対する染料の添加量(質量ppb)
*2 イソシアネート化合物とチオール化合物の合計100質量部に対する添加量(質量部)
DV27: ディスパースバイオレット27(λmax 586nm)
SV31: ソルベントバイオレット31(λmax 555nm)
SV13: ソルベントバイオレット13(λmax 585nm)
SB97: ソルベントブルー97(λmax 630nm)
SR52: ソルベントレッド52(λmax 543nm)
SR146: ソルベントレッド146(λmax 515nm)
I1:キシリレンジイソシアネート
I2:ビス(イソシアナトメチル)ビシクロヘプタン
I3:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
T1:4,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、4,8−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオール、5,7−ビス(メルカプトメチル)−3,6,9−トリチアウンデカン−1,11−ジチオールの混合物
T2:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
T3:ビス(メルカプトエチルチオ)メルカプトプロパン
U1:2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール:「シーソーブ701」(シプロ化成(株)製)
U2:2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール:「シーソーブ703」(シプロ化成(株)製)
U3:2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール:「シーソーブ707」(シプロ化成(株)製)
触媒:ジメチルスズジクロライド
離型剤:ブトキシエチルアシッドフォスフェート(リン酸モノエステルとリン酸ジエステルの混合物)「JP−506H」(城北化学工業(株)製)
【0069】
【表2】
【0070】
実施例1〜17の結果と、比較例1〜4の結果との比較により、染料L及び染料Sを特定の質量比で含有することで、わずかに青みを帯びた色調が良好な眼鏡レンズが得られることがわかる。
実施例1、比較例1及び比較例4の対比によれば、染料Lと染料Sの両方が含まれていることで黄色や赤みを抑制し、青みを帯びた良好な透明性を有する眼鏡レンズが得られることがわかる。
実施例8、比較例2の対比によれば、染料Lと染料Sとの質量比〔染料Lの質量/染料Sの質量〕が5以上であることで、わずかに青みを帯びた良好な透明性を有する眼鏡レンズが得られることがわかる。
実施例1、比較例3の対比によれば、染料Lの極大吸収波長が550nm以上600nm以下であることで、わずかに青みを帯びた良好な透明性を有する眼鏡レンズが得られることがわかる。
実施例6、13、16の結果によれば、明るさは低下しているが、透明に近い(赤や黄色になっていない)ため、色調は良好であった。
【0071】
最後に、本発明を総括する。
本発明の樹脂組成物は、ポリイソシアネート化合物とポリチオール化合物とを含有する重合性組成物を重合して得られる樹脂組成物であって、前記重合性組成物が、20質量ppmのトルエン溶液中で550nm以上600nm以下に極大吸収波長を有する染料L及び20質量ppmのトルエン溶液中で500nm以上550nm未満に極大吸収波長を有する染料Sを含み、前記染料Lと前記染料Sとの質量比〔染料Lの質量/染料Sの質量〕が5以上500以下である。
上述した一実施例によれば、わずかに青みを帯びた色調が良好な樹脂組成物が得られる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。